JP7052205B2 - ガスバリア性積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ガスバリア性積層フィルムに関する。
ガスバリア性フィルムとは、酸素や水蒸気などのガスを透過させない性質(ガスバリア性)を備えているものである。また、ガスバリア性積層フィルムとは、ガスバリア性フィルムを2枚以上積層したものである。ガスバリア性フィルムで遮蔽された部位に保持された部材は、外部のガスに起因する劣化/変質などを抑制することができる。近年、このようなガスバリア性フィルムは、様々な分野で活用されている。
このようなガスバリア性フィルムは、例えば、食品などの包装に用いられる包装材料として活用されている。食品などの包装用途では、内容物の変質を防止することが求められている。具体的には、タンパク質や油脂等の酸化や変質を抑制し、更に風味や鮮度を保持できることが求められる。このため、好適にガスバリア性フィルムが用いられる。
また、このようなガスバリア性フィルムは、例えば、医薬品などの包装に用いられる包装材料として活用されている。医薬品などの包装用途では、内容物の変質を防止することが求められている。具体的には、無菌状態を保持し、内容物の有効成分の変質を抑制し、その効能を保持できることが求められている。このため、好適にガスバリア性フィルムが用いられる。
また、このようなガスバリア性フィルムは、例えば、半導体ウェハなどの電子部品や精密部品の包装に用いられる包装材料として活用されている。精密部品は、外部のガスに暴露されると、外部のガスが異物として働き不良品となる恐れがあることから、外部のガスを遮蔽することが求められている。このため、好適にガスバリア性フィルムが用いられる。
また、このようなガスバリア性フィルムは、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイの部材として活用されている。フラットパネルディスプレイの用途では、画素素子など内部部材の劣化を防止することが求められている。このため、好適にガスバリア性フィルムが用いられる。
また、このようなガスバリア性フィルムは、例えば、太陽電池におけるバックシートやフロントシートとして活用されている。太陽電池用途では、紫外線や湿気などから内部機構の劣化を防止することが求められる。このため、好適にガスバリア性フィルムが用いられる。
ここで、このようなガスバリア性フィルムを包装部材として用いる場合、透明性も兼ね備えることが好ましい。包装材料が透明性を有することで、包装の外から内容物の形状や内容物の色などが目視で確認することができ、それにより、内容物の取り違い防止や、損傷の有無、内容物の変質の有無を開封前に把握することができる。
以上、ガスバリア性フィルムは、種々の広範な用途に対応できるように、ガスバリア性だけでなく、透明性、耐湿性、耐候性、耐久性などの特性を高度なレベルで兼ね備えていることが求められる。
従来、ガスバリア性フィルムとして、フィルム基材上にガスバリア性物質を蒸着したガ
スバリア性フィルムが知られている。ガスバリア性物質の蒸着膜は、ガスバリア性を有するほか、極めて薄いことから透明性も良好である。
このようなガスバリア性フィルムとしては、例えば、シリカ系蒸着フィルムやアルミナ反応蒸着フィルムが挙げられる。シリカ系蒸着フィルムは、フィルム基材に、一酸化ケイ素やSi/SiO混合材料を蒸着したフィルムである。また、アルミナ反応蒸着フィルムは、フィルム基材に、金属アルミニウムを蒸発させ酸素と反応させて蒸着したフィルムである。
ここで、シリカ系蒸着フィルムやアルミナ反応蒸着フィルムは、ガスバリア性が温度や水分の影響を受けやすいことから、耐熱性、耐水性、耐湿性を向上させたガスバリア性フィルムが提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。
特許文献1および特許文献2に開示されたフィルムは、基材上に設けた蒸着膜の上に、さらに、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子と、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン又はその加水分解物とを含有するコーティング液を塗工し、加熱乾燥させてガスバリア性被膜を設けている。このような構成によって、ガスバリア性、耐熱性、耐水性、耐湿性等を向上させている。
特開平7-164591号公報 国際公開第2004/048081号
しかしながら、用途の拡大に伴い、ガスバリア性フィルムはさらなる過酷な環境下での使用が求められている。このため、さらなる耐湿性、耐熱性、耐水性、耐候性、耐屈曲性、耐伸張性などの耐久性の向上が求められている。ここで、過酷な環境下としては、例えば、引っ張られることによる塑性変形、高温や高湿にさらされることによる負荷などが挙げられる。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、過酷な環境下においても優れたガスバリア性を発揮するガスバリア性積層フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、蒸着層とオーバーコート層とを有するガスバリア性フィルムが接着層を介して2枚以上積層された構成とすることで、耐久性が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は以下の態様を有する。
[1]樹脂基材と、樹脂基材の少なくとも片面に積層された蒸着層と、蒸着層上に積層されたオーバーコート層とを有するガスバリア性フィルムが接着層を介して2枚以上積層され、かつ、いずれかのガスバリア性フィルムの蒸着層及びオーバーコート層と、他のガスバリア性フィルムの蒸着層及びオーバーコート層との間に、1以上の樹脂基材が位置するように構成され、蒸着層は、金属ケイ素、酸化ケイ素、金属アルミニウム、酸化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種を含有する蒸着膜であり、オーバーコート層は、水酸基を有する水溶性高分子と、アルコキシシランまたはその加水分解物とを含有し、樹脂基材と蒸着層との間にアンカーコート層を備え、アンカーコート層は、水酸基を2個以上有するアクリルポリオール由来の構成単位と、分子内にNCO基を2個以上有するイソシアネート化合物由来の構成単位とを有する重合体からなり、アクリルポリオールの水酸基価が50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であって、アクリルポリオールの水酸基に対するイソシアネート化合物のNCO基の当量比(NCO/OH)が0.3以上2.5以下であり、100μm/secで伸度3%の引張試験後の測定条件30℃70RHにおける酸素透過度が、引張試験前の測定条件30℃70RHにおける酸素透過度の5倍以内であることを特徴とする、ガスバリア性積層フィルム。
[2]40℃90%RH500時間保存試験後の測定条件30℃70RHにおける酸素透
過度が、保存試験前の測定条件30℃70RHにおける酸素透過度の5倍以内であることを特徴とする、上記[1]に記載のガスバリア性積層フィルム。
本発明によれば、過酷な環境下においても、オーバーコート層および蒸着層の劣化が抑制され、優れたガスバリア性を発揮することが可能なガスバリア性積層フィルムを実現できる。よって、加工により変形が加えられる用途や、ボイル殺菌、レトルト殺菌、のような過酷な処理および屋外配置のような過酷環境下におかれる用途であっても、長期に渡って優れたガスバリア性を発揮するガスバリア性積層フィルムを提供できる。
実施形態に係るガスバリア性積層フィルムの一例を示す概略断面図である。 実施形態に係るガスバリア性積層フィルムの他の例を示す概略断面図である。 実施形態に係るガスバリア性積層フィルムの他の例を示す概略断面図である。
以下、本発明に係るガスバリア性積層フィルムの実施形態について図面を参照して具体的に説明する。ただし、本発明の具体的な構成は下記実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、それらは本発明に含まれる。
<ガスバリア性積層フィルム>
本実施形態に係るガスバリア性積層フィルムは、樹脂基材と、樹脂基材の少なくとも片面に積層された蒸着層と、蒸着層上に積層されたオーバーコート層とを有するガスバリア性フィルムが接着層を介して2枚以上積層されて構成される。
図1に、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの一例についての概略断面図を示す。ガスバリア性積層フィルム10は、樹脂基材11の片面に、蒸着層12、オーバーコート層13、接着層14、樹脂基材15、蒸着層16、オーバーコート層17が順次積層した構成の積層フィルムである。つまり、ガスバリア性積層フィルム10は、樹脂基材11と、蒸着層12と、オーバーコート層13とを備えるガスバリア性フィルム18のオーバーコート層13と、樹脂基材15と、蒸着層16と、オーバーコート層17とを備えるガスバリア性フィルム19の樹脂基材15とが、接着層14を介して貼り合わされている。
図2に、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの他の例についての概略断面図を示す。ガスバリア性積層フィルム20は、樹脂基材11の片面に、アンカーコート層21、蒸着層12、オーバーコート層13、接着層14、樹脂基材15、アンカーコート層22、蒸着層16、オーバーコート層17が順次積層した構成の積層フィルムである。つまり、ガスバリア性積層フィルム20は、樹脂基材11と、アンカーコート層21と、蒸着層12と、オーバーコート層13とを備えるガスバリア性フィルム18のオーバーコート層1
3と、樹脂基材15と、アンカーコート層22と、蒸着層16と、オーバーコート層17とを備えるガスバリア性フィルム19の樹脂基材15とが、接着層14を介して貼り合わされている。
図3に、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの他の例についての概略断面図を示す。ガスバリア性積層フィルム30は、樹脂基材11の片面に、蒸着層12、オーバーコート層13が順次積層したガスバリア性フィルム18と、樹脂基材15の片面に、蒸着層16、オーバーコート層17が順次積層したガスバリア性フィルム19と、接着層14とを備え、ガスバリア性フィルム18の樹脂基材11とガスバリア性フィルム19の樹脂基材15とが接着層14を介して貼り合わされた構成のガスバリア性積層フィルムである。
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、100μm/secで伸度3%の引張試験後の測定条件30℃70RHにおける酸素透過度が、引張試験前の測定条件30℃70RHにおける酸素透過度の5倍以内であることが好ましい。バリア層である、蒸着層12及びオーバーコート層13と、蒸着層16及びオーバーコート層17との間に、樹脂基材や接着層などの他の層が挟まることで、ガスバリア性積層フィルムを引っ張ったときに起こるバリア層の割れが別々の箇所で発生するため、バリア性の低下を抑えることができる。引張試験で3%引っ張った後の酸素透過度が、引張試験前の酸素透過度の5倍以内であることが好ましく、3倍以内であることがより好ましい。引張試験後の酸素透過度が引張試験前の酸素透過度の5倍を超えると、バリア性の安定性が低下する。
また、本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、40℃90%RH500時間保存試験後の測定条件30℃70RHにおける酸素透過度が、保存試験前の測定条件30℃70RHにおける酸素透過度の5倍以内であることが好ましい。ガスバリア性フィルムを2枚以上貼りあわせることで、湿熱保存に対する耐性が向上し、湿熱保存によるバリア性の低下を抑えることができる。40℃90%RH500時間時間保存試験後の酸素透過度が、保存試験前の酸素透過度の5倍以内であることが好ましく、3倍以内であることがより好ましい。保存試験後の酸素透過度が保存試験前の酸素透過度の5倍を超えると、バリア性の安定性が低下する。
以下に、本実施形態のガスバリア性積層フィルムを構成する、樹脂基材11、15、蒸着層12、16、オーバーコート層13、17、アンカーコート層21、22及び接着層14について説明する。
<樹脂基材11、15>
樹脂基材は、ガスバリア性フィルム18、19の基体となる層である。樹脂基材は、一般的に使用されている種々のシート状の基材(フィルム状のものを含む)のなかから適宜選択し、用いてよい。例えば、(1)ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、(2)ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンフィルム、(3)ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリ乳酸などの生分解性プラスチックフィルム、などが挙げられる。
また、樹脂基材には、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤等の公知の添加剤が含有されていてもよい。
また、樹脂基材の厚みは、特に制限がなく、仕様などに応じて適宜決定してよい。実用上、樹脂基材の厚みは、6μm以上200μm以下、好ましくは12μm以上125μm以下、より好ましくは12μm以上50μm以下が望ましい。ただし、本実施形態のガス
バリア性積層フィルムにおいて、樹脂基材の厚みは上記範囲に限定されるものではない。
本実施形態におけるガスバリア性積層フィルムは、少なくとも樹脂基材を2層以上備えることが望ましい。樹脂基材を2層以上備えることで、迷路効果をガスバリア性積層フィルムにもたらすことが可能となる。迷路効果とは、ガスバリア性積層フィルム中を透過する気体のガスバリア性積層フィルムの厚み方向における透過距離が長くなることでガスバリア性能が向上する効果である。
また、樹脂基材は、樹脂基材表面に表面処理を施してもよい。表面処理を行うことにより、他の層(蒸着層、アンカーコート層など)を積層するにあたり、他の層との密着性を高めることができる。ここで、表面処理として、例えば、(1)コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの物理的処理、(2)酸やアルカリによる薬液処理などの化学的処理、などを用いてもよい。
<蒸着層12、16>
蒸着層は、ガスバリア性を付与するため、蒸着材料を蒸着させることにより樹脂基材上に形成される層である。蒸着層に用いる蒸着材料としては、金属ケイ素、酸化ケイ素、金属アルミニウム、酸化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種を含有する蒸着材料であり、加えて公知のガスバリア性蒸着膜を構成する無機材料から適宜選択して用いてよい。例えば、Zn、Sn、Fe、Mn等の金属、これらの金属の1種以上を含む無機化合物などが挙げられる。該無機化合物としては、酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物等が挙げられる。
蒸着層の形成方法には、公知の蒸着方法から適宜選択し用いてよい。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法等の物理気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法等の化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、ALD:Atomic Layer Deposition法、などを用いてよい。特に、EB:Electron Beam加熱方式の真空蒸着法は高い成膜速度を得ることができ、本実施形態のガスバリア性積層フィルムの蒸着層の形成方法として好ましい。
また、蒸着を行うにあたり、反応蒸着法を用いてもよい。反応蒸着法は、蒸着材料を蒸着させる際に、蒸発した粒子と雰囲気中に導入したガスなどとを反応させて蒸着させる方法である。導入するガスとしては、例えば、酸素ガス、アルゴンガスなどが挙げられる。酸素ガスなどとの反応蒸着を行うことにより、蒸着材料中の金属成分が酸化され、蒸着層の透明性を向上させることができる。また、反応蒸着法を用いる場合、ガスを導入する際は、成膜室の圧力が2×10-1Pa以下にすることが望ましい。成膜室の圧力が2×10-1Paよりも大きくなってしまうと、蒸着層がきれいに積層されず、水蒸気バリア性が低下してしまうおそれがある。
また、蒸着層の膜厚は、5nm以上300nm以下が好ましく、10nm以上150nm以下がより好ましい。5nm以上であると充分なバリア性が発現し、300nm以下であると、後工程などでクラックの発生やそれによるバリア性の低下が生じにくい。ただし、本実施形態のガスバリア性積層フィルムにおいて、蒸着層の膜厚は上記範囲に限定されるものではない。
<オーバーコート層13、17>
オーバーコート層は、蒸着層上に形成される層である。オーバーコート層を蒸着層上に積層することで、蒸着層が単層で構成されたガスバリア性フィルムでは発現できない優れたガスバリア性を得ることができる。また、オーバーコート層は、緻密で脆い蒸着層を保
護する機能も有しており、擦れや屈曲によるクラックの発生を抑制できる。
オーバーコート層は、塗布液を調整し、蒸着層上に塗布液を塗布した後、塗布液を加熱乾燥することにより形成する。
本実施形態のガスバリア性積層フィルムにおいて、オーバーコート層形成用の塗布液は、水酸基を有する水溶性高分子と、アルコキシシランまたはその加水分解物とを含有する。
水酸基を有する水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸、でんぷん、セルロース類が好ましい。特にポリビニルアルコール(以下PVA)を本実施形態のオーバーコート層形成用の塗布液に用いた場合、ガスバリア性に優れる。PVAはモノマー単位中に最も多く水酸基を含む高分子であるため、加水分解後の有機ケイ素化合物の水酸基と非常に強固な水素結合をもつ。ここで言うPVAとは、一般にポリ酢酸ビニルをケン化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分ケン化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全ケン化PVAまでを含む。PVAの分子量は重合度が300~数千まで多種あるが、どの分子量のものを用いても効果に問題はない。しかし一般的にケン化度が高く、また重合度が高い高分子量のPVAは耐水性が高いため好ましい。
また、アルコキシシランは、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどを用いることができる。また、アルコキシシランの加水分解生成物としては、メタノールなどのアルコールにアルコキシシランを溶解し、その溶液に塩酸などの酸の水溶液を添加し、加水分解反応させることにより調製したものが挙げられる。加水分解反応により、ケイ素原子に結合したアルコキシ基が水酸基となり、水酸基の脱水縮合によりシロキサン結合を形成し、緻密で強固なネットワーク重合被膜を形成することができる。このため、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐屈曲性、耐伸張性などに優れたオーバーコート層を得ることができる。
また、蒸着層との密着性を上げるために、シランカップリング剤を添加してもよい。シランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有するもの、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基を有するもの、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有するもの、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基を有するものなどが挙げられ、これらのシランカップリング剤を1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
オーバーコート層形成用の塗布液の塗布方法は、通常のコーティング方法を用いることができる。例えばディッピング法、ローコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。乾燥方法は、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射など、熱をかける方法を1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。乾燥方法において、加熱温度は、60℃以上200℃以下の範囲内が好ましく、100℃以上150℃以下の範囲内がより好ましい。60℃以上であると、所望のバリア性が発現され良好である。200℃以下であると、蒸着短時間であれば、基材の変形や蒸着膜にクラックが発生することなく好適である。
オーバーコート層の膜厚は、0.1μm以上2μm以下が好ましく、0.2μm以上1.0μm以下がより好ましい。0.1μm以上であると安定してバリア性が発現し、2μm以下であると、印刷や他のフィルムの積層や曲げ加工などの後加工適性に優れる。ただ
し、本実施形態のガスバリア性積層フィルムにおいて、オーバーコート層の膜厚は上記範囲に限定されるものではない。
<アンカーコート層21、22>
本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、上記樹脂基材と上記蒸着層との間に、さらに、アンカーコート層を備えてもよい。アンカーコート層を設けることにより、樹脂基材と蒸着層との密着性を高め、各層の間での剥離発生を抑制することができる。
アンカーコート層は、アンカーコート剤を調整し、樹脂基材上にアンカーコート剤を塗布した後、塗布された該アンカーコート剤を加熱乾燥することにより形成する。アンカーコート剤は、水酸基を2個以上有するアクリルポリオール(1)と、分子内にNCO基を2個以上有するイソシアネート化合物(2)と、を含有することが好ましい。これらの化合物を含有するアンカーコート剤の塗膜を加熱乾燥させることにより、水酸基を2個以上有するアクリルポリオール(1)由来の構成単位と、分子内にNCO基を2個以上有するイソシアネート化合物(2)由来の構成単位とを有する重合体からなるアンカーコート層が得られる。
アクリルポリオール(1)としては、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物などが挙げられる。水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、水酸基を有さない(メタ)アクリル酸誘導体モノマーが好ましい。水酸基を有さない(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとしては、例えば、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマー、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマー、環構造を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマー等が挙げられる。アルキル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。カルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸などが挙げられる。環構造を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとしては、例えばベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。その他のモノマーとして、(メタ)アクリル酸誘導体モノマー以外のモノマーを用いてもよい。該モノマーとしては、例えばスチレンモノマー、シクロヘキシルマレイミドモノマー、フェニルマレイミドモノマーなどが挙げられる。上記(メタ)アクリル酸誘導体モノマー以外のモノマーは水酸基を有していてもよい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方を指し、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を指す。
また、アクリルポリオール(1)の水酸基価が50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。水酸基価とは、アクリルポリオール中の水酸基量の指標であり、アクリルポリオール1g中の水酸基をアセチル化するために必要な水酸化カリウムのmg数を示す。水酸基価が50mgKOH/g未満であると、イソシアネート化合物(2)との反応量が少なく、アンカーコート層による樹脂基材と蒸着層との密着性の向上効果が充分に発現しないおそれがある。一方、水酸基価が250mgKOH/gよりも大きいと、イソシアネート化合物(2)との反応量が多くなり過ぎて、アンカーコート層の膜収縮が大きくなるおそれがある。膜収縮が大きいと、その上に蒸着層がきれいに積層されず、充分なガスバリア性を示さないおそれがある。
アクリルポリオール(1)の重量平均分子量は特に規定しないが、3000以上200000以下が好ましく、5000以上100000以下がより好ましく、5000以上40000以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は、ポリスチレンを基準として、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された重量平均分子量とする。また、アクリルポリオール(1)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
イソシアネート化合物(2)としては、分子内にNCO基を2個以上有するものであればよい。例えば、モノマー系イソシアネートとして、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などの芳香族系イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)などの脂肪族系イソシアネート、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香脂肪族系イソシアネートなどを用いてもよい。また、これらのモノマー系イソシアネートの重合体又は誘導体を用いてもよい。該重合体又は誘導体としては、例えば、3量体のヌレート型、1,1,1-トリメチロールプロパンなどと反応させたアダクト型、ビウレットと反応させたビウレット型などが挙げられる。イソシアネート化合物(2)としては、上記のモノマー系イソシアネート、その重合体、誘導体等のなかから任意に選択してよく、1種を単独で又は2種類以上組み合わせて用いることができる。
また、アンカーコート剤において、アクリルポリオール(1)の水酸基に対するイソシアネート化合物(2)のNCO基の当量比(NCO/OH)が0.3以上2.5以下であることが好ましく、0.5以上2.0以下であることがより好ましい。NCO/OHが0.3以上であると基材との密着性が向上し、2.5以下であると湿熱耐性試験後の密着性が向上する。アンカーコート剤におけるアクリルポリオール(1)とイソシアネート化合物(2)の配合量は、当量比に基づき配合されるのが好ましく、概ねアクリルポリオール(1)の100質量部に対し、イソシアネート化合物(2)が10質量部以上90質量部以下であることが好ましく、20質量部以上80質量部以下であることがより好ましい。
また、アンカーコート剤は、樹脂基材と蒸着層との密着性をより高めるために、さらに、シランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有するもの、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基を有するもの、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有するもの、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基を有するものなどが挙げられる。また、シランカップリング剤としては1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
アンカーコート剤は、アクリルポリオール(1)とイソシアネート化合物(2)と任意成分(シランカップリング剤等)と溶媒とを混合することにより調製できる。溶媒としては、アクリルポリオール(1)とイソシアネート化合物(2)とを溶解し得るものであればよく、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、アセトンなどが挙げられる。これらの溶媒は1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
アンカーコート剤の塗布方法は、通常のコーティング方法を用いることができる。例えばディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等の周知の方法を用いることができる。乾燥方法は、熱風乾燥、熱ロー
ル乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射など、熱をかける方法を1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。乾燥方法において、加熱温度は、特に限定されないが、60℃以上140℃以下の範囲内が好ましく、残留溶剤がない程度でかつ巻き取り加工しても塗工面が裏面にくっついてしまういわゆるブロッキング現象がないような条件を適宜選択でき、必要に応じて40℃以上60℃以下の範囲内でエージング処理を行っても良い。
アンカーコート層の膜厚は、0.02μm以上1.0μm以下が好ましく、0.04μm以上0.5μm以下がより好ましい。0.02μm以上であると、樹脂基材と蒸着層との密着性が充分に良好となる。1.0μmよりも厚いと内部応力の影響が大きくなり、蒸着層12、16がきれいに積層されず、ガスバリア性の発現が不充分となるおそれがある。
<接着層14>
本実施形態の接着層は、蒸着層とオーバーコート層とが積層されたガスバリア性フィルム同士を貼り合わせるために設けられる層である。接着層としては、特に限定されるものではないが、接着剤又は粘着剤を用いる、ドライラミネート加工法による接着層と、加熱及び加圧によって熱融着し易い熱接着性樹脂を用いる、押出しラミネート加工法による接着層とを用いることができる。
接着剤又は粘着剤を用いる接着層の、接着剤又は粘着剤としては、アクリル系粘着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、及びエステル系接着剤などを用いることができる。
熱接着性樹脂を用いる接着層の、熱接着性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンやエチレンプロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、アイオノマー、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルなどのアクリル樹脂、ポリビニルアセタール、フェノール樹脂、変成エポキシ樹脂及びこれらの共重合体や混合物などが挙げられるが、必ずしもこれらのものに限定されるものではない。これらの熱接着性樹脂の中では、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドやエチレン酢酸ビニル共重合体などが好ましい。なお、熱接着性樹脂の熱融着温度は、ガスバリア性フィルムの耐熱性を考慮すると、250℃以下であり、80~220℃が好ましい。
接着層の厚みは、用途により異なるが、0.1~1000μmの範囲であり、好ましくは、1~100μmである。
尚、本実施形態のガスバリア性積層フィルムは、板状でもよく、フィルム状でもよい。例えばロールでの巻き取り加工等によりフィルム状に成形されたものでもよい。
以下、本発明のガスバリア性積層フィルムの実施例について詳細に説明する。ただし、本発明のガスバリア性積層フィルムは、実施例で示した様態に限定されるものではない。なお、オーバーコート層形成用の塗布液における有機ケイ素化合物またはその加水分解物の含有量を示す「固形分」は、加水分解した有機ケイ素化合物が重合し、成膜される塗膜重量に換算した量とする。
(実施例1)
まず、樹脂基材上に蒸着層を形成した。樹脂基材には、片面がコロナ処理された厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レフィルム加工、
P60)を用いた。真空蒸着機を使用して、上記樹脂基材のコロナ処理面に、金属アルミニウムを蒸着源とし、酸素ガスを導入し、電子線加熱方式により加熱蒸着させ、酸化アルミニウム蒸着層を形成した。このとき、形成された蒸着層(AlO蒸着膜)は厚さ15nmであった。
次に、オーバーコート層形成用の塗布液を調製した。塗布液は、ポリビニルアルコール(PVA)の水溶液と、テトラエトキシシラン(TEOS)の加水分解溶液とを、乾燥後の固形分重量比が30:70となるように混合して固形分5質量%の溶液としたものとした。
次に、蒸着層上に塗布液を塗布し、加熱乾燥し、オーバーコート層を形成した。塗布液の塗工には、バーコートを用いた。加熱乾燥の条件は、120℃、2分間とした。このとき、形成されたオーバーコート層の乾燥膜厚は、膜厚0.4μmであった。以上より、樹脂基材/蒸着層/オーバーコート層がこの順で積層されたガスバリア性フィルムを製造した。
次に、上記ガスバリア性フィルムをもう1枚製造し、1枚目のガスバリア性フィルムのオーバーコート層13と、2枚目のガスバリア性フィルムの樹脂基材15とを、ウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法により接着した。接着層の乾燥膜厚は、膜厚2.0μmであった。以上により、樹脂基材11/蒸着層12/オーバーコート層13/接着層14/樹脂基材15/蒸着層16/オーバーコート層17がこの順で積層された、実施例1に係るガスバリア性積層フィルムを製造した。
[検査測定]
実施例1のガスバリア性積層フィルムについて、酸素透過度(OTR)の測定を行った。ここで、OTRの測定は、(1)下記(2)、(3)に係る試験前と、(2)引張試験(100μm/secで伸度3%の引張試験)後と、(3)保存試験(40℃90%RHで500時間の保存試験)後と、の3回行った。なお、酸素透過度の測定では、モダンコントロール社製の酸素透過度計(MOCON OX-TRAN 2/21)を用いて、30℃-70%RH雰囲気下での酸素透過度〔cc/m・day・atm〕を測定した。酸素透過度の倍率は、(1)各試験前の酸素透過度の値を1倍としたとき、(2)引張試験後ないし、(3)保存試験後の酸素透過度の値の倍率と定義した。測定結果を表1に示す。
(実施例2)
まず、アンカーコート剤を調製した。アンカーコート剤は、水酸基価が178mgKOH/gになるように、モノマーとして、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とメチルメタクリレート(MMA)とを共重合させてアクリルポリオール(重量平均分子量約1万)を調整し、該アクリルポリオールを主剤とし、硬化剤としてヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を、主剤のOH基量に対して0.5当量となるように配合した固形分5質量%のメチルエチルケトン溶液とした。
次に、樹脂基材上にアンカーコート剤を塗布し、アンカーコート層を形成した。樹脂基材には、片面がコロナ処理された厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レフィルム加工、P60)を用いた。グラビアコート機を用いて、アンカーコート剤を上記樹脂基材のコロナ処理面に塗工し、50℃の恒温室に48時間保管(エージング処理)し、アンカーコート層を形成した。このとき、アンカーコート層の乾燥膜厚は、0.1μmであった。
次に、アンカーコート層上に蒸着層を形成した。真空蒸着機を使用して、元素比O/S
iが1.5になるように金属ケイ素粉末及び二酸化ケイ素粉末を混合した蒸着材料を蒸着させ、樹脂基材上に蒸着層を形成した。このとき、形成された蒸着層(SiO蒸着膜)は厚さ40nmであった。
次に、オーバーコート層形成用の塗布液を調製した。塗布液は、ポリビニルアルコール(PVA)の水溶液と、テトラエトキシシラン(TEOS)の加水分解溶液と、1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートシランカップリング剤の加水分解溶液とを、乾燥後の固形分重量比が30:60:10となるように混合して固形分5質量%の溶液としたものとした。
次に、蒸着層上に塗布液を塗布し、加熱乾燥し、オーバーコート層を形成した。塗布液の塗工には、バーコートを用いた。加熱乾燥の条件は、120℃、2分間とした。このとき、形成されたオーバーコート層の乾燥膜厚は、膜厚0.4μmであった。以上より、樹脂基材/アンカーコート層/蒸着層/オーバーコート層がこの順で積層されたガスバリア性フィルムを製造した。
次に、上記ガスバリア性フィルムをもう1枚製造し、1枚目のガスバリア性フィルムのオーバーコート層13と、2枚目のガスバリア性フィルムの樹脂基材15とを、ウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法により接着した。接着層の乾燥膜厚は、膜厚2.0μmであった。以上により、樹脂基材11/アンカーコート層21/蒸着層12/オーバーコート層13/接着層14/樹脂基材15/アンカーコート層22/蒸着層16/オーバーコート層17がこの順で積層された、実施例2に係るガスバリア性積層フィルムを製造した。
[検査測定]
実施例2で得られたガスバリア性積層フィルムについて、実施例1と同様にして、酸素透過度(OTR)の測定を行った。測定結果を表1に示す。
(実施例3)
2枚のガスバリア性フィルムを貼り合わせる向きについて、1枚目のガスバリア性フィルムの樹脂基材11と、2枚目のガスバリア性フィルムの樹脂基材15とを、ウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法により接着した以外は、実施例1と同様にガスバリア性積層フィルムを製造した。以上により、オーバーコート層13/蒸着層12/樹脂基材11/接着層14/樹脂基材15/蒸着層16/オーバーコート層17がこの順で積層された、実施例3に係るガスバリア性積層フィルムを製造した。
[検査測定]
実施例3で得られたガスバリア性積層フィルムについて、実施例1と同様にして、酸素透過度(OTR)の測定を行った。測定結果を表1に示す。
(比較例1)
ガスバリア性フィルムを実施例1と同様に製造した。ただし、製造したガスバリア性フィルム同士を貼り合わせなかった。以上により、樹脂基材15/蒸着層16/オーバーコート層17がこの順で積層された、比較例1に係るガスバリア性フィルムを製造した。
[検査測定]
比較例1で得られたガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様にして、酸素透過度(OTR)の測定を行った。測定結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1と同様に製造したガスバリア性フィルムのオーバーコート層13上に、蒸着層を形成した。真空蒸着機を使用して、上記オーバーコート層13の面に、金属アルミニウムを蒸着源とし、酸素ガスを導入し、電子線加熱方式により加熱蒸着させ、酸化アルミニウム蒸着層を形成した。このとき、形成された蒸着層16(AlO蒸着膜)は厚さ15nmであった。
次に、オーバーコート層形成用の塗布液を調製した。塗布液は、ポリビニルアルコール(PVA)の水溶液と、テトラエトキシシラン(TEOS)の加水分解溶液とを、乾燥後の固形分重量比が30:70となるように混合して固形分5質量%の溶液としたものとした。
次に、蒸着層16上に塗布液を塗布し、加熱乾燥し、オーバーコート層17を形成した。塗布液の塗工には、バーコートを用いた。加熱乾燥の条件は、120℃、2分間とした。このとき、形成されたオーバーコート層17の乾燥膜厚は、膜厚0.4μmであった。以上より、樹脂基材11/蒸着層12/オーバーコート層13/蒸着層16/オーバーコート層17がこの順で積層された、比較例2に係るガスバリア性フィルムを製造した。
[検査測定]
比較例2で得られたガスバリア性フィルムについて、実施例1と同様にして、酸素透過度(OTR)の測定を行った。測定結果を表1に示す。
(比較例3)
オーバーコート層形成用の塗布液が、テトラエトキシシラン(TEOS)の加水分解溶液のみからなること以外は、実施例2と同様にガスバリア性積層フィルムを製造した。以上により、樹脂基材11/アンカーコート層21/蒸着層12/オーバーコート層13/接着層14/樹脂基材15/アンカーコート層22/蒸着層16/オーバーコート層17がこの順で積層された、比較例3に係るガスバリア性積層フィルムを製造した。
[検査測定]
比較例3で得られたガスバリア性積層フィルムについて、実施例1と同様にして、酸素透過度(OTR)の測定を行った。測定結果を表1に示す。
実施例1~3および比較例1~3で得たガスバリア性積層フィルムの層構成と、各層の材料と、酸素透過度(OTR)の測定結果とを表1にまとめて示す。なお、表1中の「AC層」は「アンカーコート層」を示し、表1中の「OC層」は「オーバーコート層」を示す。また、表1中の「AOH/NCO」は「実施例2で調製したアンカーコート剤」を示す。また、表1中の「PVA」は「ポリビニルアルコール」を示し、「SC」は「1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートの加水分解物」を示す。
Figure 0007052205000001
<評価>
実施例1~3のガスバリア性積層フィルムのガスバリア性は、引張試験後や、保存試験後においても、OTRの値が各試験前の値からそれほど増加していなかった。一方、比較例1~3のガスバリア性フィルム及びガスバリア性積層フィルムのガスバリア性は、引張試験後、OTRが引張試験前の100倍以上であった。また、比較例1、2のガスバリア性フィルムのガスバリア性は、保存試験後、OTRが保存試験前の5倍以上であった。
以上より、本発明のガスバリア性積層フィルムは、引張試験(100μm/secで伸度3%の引張試験)後や、保存試験(40℃90%RHで500時間の保存試験)後であってもガスバリア性を維持すること(具体的には、OTRが1.0〔cc/m・day・atm〕以下程度)ができ、過酷環境下であってもガスバリア性を維持することが確認された。
本発明のガスバリア性積層フィルムは、ガスバリア性、透明性、耐久性を高度なレベルで兼ね備えていることから、ガスバリア性積層フィルムを必要とする分野に広範に利用できる。例えば、(1)医薬品や食料などの包装用フィルム、(2)半導体ウェハなどの電子部品や精密部品の包装用フィルム、(3)液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ部材、(4)太陽電池におけるバックシート用途およびフロントシート用途、などの分野に好適に利用が期待されるが、これに限るものではない
10 ガスバリア性積層フィルム
11 樹脂基材
12 蒸着層
13 オーバーコート層
14 接着層
15 樹脂基材
16 蒸着層
17 オーバーコート層
18 ガスバリア性フィルム
19 ガスバリア性フィルム
20 ガスバリア性積層フィルム
21 アンカーコート層
22 アンカーコート層
30 ガスバリア性積層フィルム

Claims (2)

  1. 樹脂基材と、前記樹脂基材の少なくとも片面に積層された蒸着層と、前記蒸着層上に積層されたオーバーコート層とを有するガスバリア性フィルムが接着層を介して2枚以上積層され、かつ、いずれかの前記ガスバリア性フィルムの前記蒸着層及び前記オーバーコート層と、他の前記ガスバリア性フィルムの前記蒸着層及び前記オーバーコート層との間に、1以上の前記樹脂基材が位置するように構成され、
    前記蒸着層は、金属ケイ素、酸化ケイ素、金属アルミニウム、酸化アルミニウムから選ばれた少なくとも1種を含有する蒸着膜であり、
    前記オーバーコート層は、水酸基を有する水溶性高分子と、アルコキシシランまたはその加水分解物とを含有し、
    前記樹脂基材と前記蒸着層との間にアンカーコート層を備え、
    前記アンカーコート層は、水酸基を2個以上有するアクリルポリオール由来の構成単位と、分子内にNCO基を2個以上有するイソシアネート化合物由来の構成単位とを有する重合体からなり、
    前記アクリルポリオールの水酸基価が50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であって、
    前記アクリルポリオールの水酸基に対する前記イソシアネート化合物のNCO基の当量比(NCO/OH)が0.3以上2.5以下であり、
    100μm/secで伸度3%の引張試験後の測定条件30℃70RHにおける酸素透過度が、前記引張試験前の測定条件30℃70RHにおける酸素透過度の5倍以内であることを特徴とする、ガスバリア性積層フィルム。
  2. 40℃90%RH500時間保存試験後の測定条件30℃70RHにおける酸素透過度
    が、前記保存試験前の測定条件30℃70RHにおける酸素透過度の5倍以内であることを特徴とする、請求項1に記載のガスバリア性積層フィルム。
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