JP4848473B1 - 蒸着フィルムおよび該蒸着フィルムの製造方法 - Google Patents

蒸着フィルムおよび該蒸着フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】経年変化(高温・多湿環境に曝された場合を含む)により濁度および機械強度が低下しない蒸着フィルムおよび該蒸着フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】基材フィルムと、該基材フィルムの表面に設けられたアンダーコート層と、該アンダーコート層の表面に設けられたSiOx蒸着層とを含む蒸着フィルムであって、該蒸着フィルムは、濁度が4%以下であり、かつ、破断強度が35〜40(N/15mm)以下であり、温度120℃、湿度100%RH、2気圧、24時間という条件で実施するプレッシャー・クッカー・テスト後の上記蒸着フィルムは、濁度が15%以下であり、かつ、破断強度が27(N/15mm)以上である蒸着フィルムおよび該蒸着フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は蒸着フィルムおよび該蒸着フィルムの製造方法に関する。より詳細には、経年変化(高温・多湿環境に曝された場合を含む)により濁度および機械強度が低下しない蒸着フィルムおよび該蒸着フィルムの製造方法に関する。
従来、食品や医薬品、化学品等の包装用材料には、包装されている内容物が空気中の酸素や水蒸気等と反応して変質してしまわないように、ガスバリア性を備えた素材により製造されることが望まれている。
この、いわゆるガスバリアフィルムとしては種々提案されているが、特に高ガスバリア性が求められる内容物に対しては、高分子樹脂フィルムにアルミニウムを蒸着した蒸着フィルムや、ケイ素酸化物を蒸着した蒸着フィルムが広く利用されている(特許文献1および2参照)。
特開平7−164591号公報 特開2002−028999号公報
しかしながら、これらの従来の蒸着フィルムにおいて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の高分子樹脂フィルムを基材フィルムとして用いる場合、蒸着フィルムの製造過程や、蒸着フィルムとして利用開始後において、経年変化(特に高温・多湿環境に曝された場合等)により、フィルムの濁度が増したり、フィルムの機械特性(破断強度等)が低下するという問題がある。かかる問題の一因としては、経年変化による基材フィルムからのオリゴマーの発生が挙げられる。
すなわち、基材フィルムが経年変化(高温・多湿環境に曝されること等を含む)により、基材フィルムを構成する物質がオリゴマーとなって遊離し、加水分解等を引き起こす。その結果、得られる蒸着フィルムの機械強度(特に破断強度)を低下させ、基材フィルムと、該基材フィルムに積層される蒸着層等との接着力を低下させ、品質維持ができない、という問題がある。
本発明は、かかる従来の問題に鑑みてなされたものであり、経年変化(高温・多湿環境に曝された場合を含む)により濁度および機械強度が低下しない蒸着フィルムおよび該蒸着フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる蒸着フィルムは、基材フィルムと、該基材フィルムの表面に設けられたアンダーコート層と、該アンダーコート層の表面に設けられたSiOx蒸着層とを含む蒸着フィルムであって、該蒸着フィルムは、濁度が4%以下であり、かつ、破断強度が35〜40(N/15mm)以下であり、温度120℃、湿度100%RH、2気圧、24時間という条件で実施するプレッシャー・クッカー・テスト後の上記蒸着フィルムは、濁度が15%以下であり、かつ、破断強度が27(N/15mm)以上であり、
(1)基材フィルムの表面にアンダーコート層を設ける表面処理工程と、
(2)得られたアンダーコート層の表面に、真空蒸着法によりSiOxを蒸着する蒸着工程とを含む製造方法により製造され、
前記蒸着工程が、雰囲気に水蒸気を導入する水蒸気導入工程を含み、
該水蒸気導入工程は、真空度が8×10 -3 Paに到達した時点で水蒸気の導入を開始し、
前記水蒸気の導入量は、水蒸気導入後の真空度が2×10 -3 Pa以上6×10 -3 Pa以下となる量であることを特徴とする。本発明は、かかる構成を有することにより、経年変化(高温・多湿環境に曝された場合を含む)により濁度および機械強度が低下しない蒸着フィルムを提供することができる。
上記プレッシャー・クッカー・テスト後の上記蒸着フィルムは、濁度が12%以下であり、かつ、破断強度が27(N/15mm)以上であることが好ましい。かかる構成を有することにより、高温・多湿環境に曝した後であっても、濁度や機械特性が実用に充分に耐えうる蒸着フィルムを提供することができる。
上記基材フィルムが、ポリエステル系フィルムであることが好ましい。かかる構成を有することにより、基材フィルムとして特殊なフィルムを採用することなく、汎用されるフィルムにおいて上記顕著な効果を得ることができる。
また、本発明にかかる蒸着フィルムの製造方法は、SiOxが蒸着されてなる蒸着フィルムの製造方法であって、(1)基材フィルムの表面にアンダーコート層を設ける表面処理工程と、(2)得られたアンダーコート層の表面に、真空蒸着法によりSiOxを蒸着する蒸着工程とを含み、上記蒸着工程が、雰囲気に水蒸気を導入する水蒸気導入工程を含み、該水蒸気導入工程は、真空度が8×10-3Paに到達した時点で水蒸気の導入を開始し、上記水蒸気の導入量は、水蒸気導入後の真空度が2×10 -3 Pa以上6×10 -3 Pa以下となる量であることを特徴とする。本発明は、かかる構成を有することにより、経年変化(高温・多湿環境に曝された場合を含む)により濁度および機械強度が低下しない蒸着フィルムを提供することができる。
また、本発明は、上記蒸着フィルムの製造方法により得られてなる蒸着フィルムであり、該蒸着フィルムは、濁度が4%以下であり、かつ、破断強度が35〜40(N/15mm)以下であり、温度120℃、湿度100%RH、2気圧、24時間という条件で実施するプレッシャー・クッカー・テスト後の上記蒸着フィルムは、濁度が15%以下であり、かつ、破断強度が27(N/15mm)以上であることを特徴とする。かかる蒸着フィルムは、経年変化(高温・多湿環境に曝された場合を含む)により濁度および機械強度が低下しない蒸着フィルムである。
以上のように、本発明にかかる蒸着フィルムおよび該蒸着フィルムの製造方法によれば、経年変化(高温・多湿環境に曝された場合を含む)により濁度および機械強度が低下しない蒸着フィルムおよび該蒸着フィルムの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、この実施の形態に限定されるものではない。
本発明にかかる蒸着フィルムについて説明する。本発明の蒸着フィルムは、基材フィルムと、該基材フィルムの表面に設けられたアンダーコート層と、該アンダーコート層の表面に設けられたSiOx蒸着層とを含む蒸着フィルムであって、該蒸着フィルムは、濁度が4%以下であり、かつ、破断強度が35〜40(N/15mm)以下であり、温度120℃、湿度100%RH、2気圧、24時間という条件で実施するプレッシャー・クッカー・テスト後の上記蒸着フィルムは、濁度が15%以下であり、かつ、破断強度が27(N/15mm)以上であることを特徴とする。
基材フィルムは、本発明にかかる蒸着フィルムの基材を構成するフィルムである。基材フィルムとしては、蒸着フィルムに用いられる従来公知のものを使用することができ、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル系フィルム、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルムまたはポリ乳酸フィルム等の生分解フィルム等が用いられる。これらの中でも、たとえばポリエステル系フィルム、特にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムや、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等はガスバリア性を付与されたガスバリアフィルムとして使用できるため、好適に使用することができる。さらに、通常汎用されるPETフィルムは入手の利便性やコスト面から特に好適に使用することができる。ここで、汎用されるPETフィルムとは、耐熱PET、低オリゴマーPET、低熱収縮PETなどの予め熱、湿熱耐性を持たせたものではなく極めて一般的なフィルムをいい、たとえば、東レ(株)製のルミラー(包装材料用)、東洋紡績(株)製のエステルフィルムやエスペットフィルム(一般タイプ・レトルトタイプ)、等をいう。
なお、後述するアンダーコート層を設ける表面については、無処理のままでもよいし、接着性向上のための表面処理、たとえばコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理を施しておいてもよく、周知の種々の添加剤や安定剤、たとえば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤などが配合されていてもよい。基材フィルムの厚みとしては、用途に応じ6〜50μm程度のものが使用される。
アンダーコート層は、基材フィルムの表面に設けられる。すなわち、仮にアンダーコート層を設けることなく基材フィルムの表面に直接、SiOx蒸着層を設けた場合には、高温多湿な環境に曝されることによる寸歩変化、基材フィルムとSiOx蒸着層との膨張係数差等によりクラック等を生じ、バリア劣化や水蒸気透過度の劣化等が発生するという問題があるが、かかる問題を防止するために、加水分解耐性を有するアンダーコート層が設けられる。また、アンダーコート層を設けることにより、積層面における凹凸を緩和することができ、積層面が略平滑状となるので積層物同士の密着性を向上させることができる。その結果、基材フィルムと後述するSiOx蒸着層との層間密着力を確保することができる。さらに、SiOx蒸着層を設ける際に、アンダーコート層がいわゆる接着剤のような働きをして基材フィルムとSiOx蒸着層とが容易に剥離しないよう保持することができる。また、アンダーコート層そのものにもガスバリア性が備わっていれば、より一層、全体としてのガスバリア性向上に寄与することが可能となる。
アンダーコート層は、高分子樹脂を含む。高分子樹脂としては、たとえばシランカップリング剤またはその加水分解物、シロキサン結合を含むもの、各種ウレタン系樹脂を使用することができる。シランカップリング剤としては、任意の有機官能基を含むシランカップリング剤を用いることができ、たとえばエポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤等を使用することができ、より具体的には、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤或いはその加水分解物の1種または2種以上を使用することができる。
アンダーコート層を積層する方法としては、従来公知の方法を採用することができ、たとえばコーティング法、オフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方法や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方法を用いることができる。乾燥条件については、一般的に使用される条件を採用すればよく、反応を促進させるために、高温のエージング室等に数日放置してもよい。
塗布されたアンダーコート層は、従来公知の方法により硬化される。硬化剤を添加する場合には、たとえば、(ブロック)ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、およびオキサゾリン基含有樹脂、アミノプラスト樹脂などを使用することができ、これらは、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アンダーコート層の厚みとしては、0.03μm以上2μm以下であることが好ましい。厚みが0.03μm未満の場合、上記効果が得られにくい傾向がある。一方、2μmを超える場合、得られる蒸着フィルムの厚みが大きくなりすぎ、可撓性が欠けたものとなってしまったり、ホログラムが生じたり、クラックが発生したり、製造時において乾燥工程に時間を要するためにコスト抑制が難しくなる等の傾向がある。
なお、アンダーコート層は、基材フィルムに直接設けることも可能であるが、高温・多湿環境に曝した場合に、機械特性が劣化することをより効果的に防止するために、基材フィルム表面をプラズマ処理することが好ましい。なお、このように機械特性の劣化が防止される一因としては、プラズマ処理を施し、その表面にアンダーコート層を設けることにより、高温・多湿環境に曝した場合に発生する傾向がある基材フィルムの加水分解物(オリゴマー)の発生を効果的に抑制することが考えられる。
プラズマ処理の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。たとえば、不活性ガス導入下において、気圧0.1Pa以上10Pa以下という環境下でプラズマ処理を行うことができる。
SiOx蒸着層は、アンダーコート層の表面に設けられる。SiOx蒸着層を設けることにより、得られる蒸着フィルムにガスバリア性を付与することができる。SiOxとは、酸素−ケイ素−酸素を主骨格とし、ケイ素−炭素の結合を持ち、水素、酸素、炭素のうち少なくとも1つの元素が、ケイ素に対して2つ結合された構造を有する酸化ケイ素系材料である。SiOxの積層方法としては、真空蒸着法を用いることが好ましい。
真空蒸着法としては、従来公知の方法を使用することができる。かかる真空蒸着工程を経て得られた本発明の蒸着フィルムは、蒸着フィルムの濁度が4%以下であり、かつ、破断強度が35〜40(N/15mm)以下であり、温度120℃、湿度100%RH、2気圧、24時間という条件で実施するプレッシャー・クッカー・テスト(PCT)後の上記蒸着フィルムは、濁度が15%以下であり、かつ、破断強度が27(N/15mm)以上であることを特徴とする。このように、本発明の蒸着フィルムは、濁度が4%以下であり、上記過酷な条件によるPCTを経た場合であっても、濁度は15%以下であり、好ましくはPCT後の濁度が12%以下である。また、PCT前の破断強度が35〜40(N/15mm)以下であるが、PCT後の破断強度は、PCT前の破断強度からほとんど低下することなく、27(N/15mm)以上となる。すなわち、PCTを経たのちであっても、濁度の変化はわずかであり、かつ、破断強度の低下もわずかであることから、経年変化(高温・多湿環境に曝された場合を含む)により濁度および機械強度が低下しない蒸着フィルムであると判る。かかる効果の一因としては、上記の通り、基材フィルムを構成するオリゴマーの発生を抑制し、層間剥離を防止し、かつ、オリゴマーの存在に起因する濁りを抑制できていることが挙げられる。
このように、本発明では、たとえば耐熱PET、低オリゴマーPET、低熱収縮PETなどの予め熱、湿熱耐性を持たせた特殊な原料ではなく、汎用される原料を用いた場合でも、経年変化(高温・多湿環境に曝された場合を含む)により濁度および機械強度が低下しない蒸着フィルムを提供することができる。
次に、本発明の蒸着フィルムの製造方法について説明する。本発明の蒸着フィルムの製造方法は、SiOxが蒸着されてなる蒸着フィルムの製造方法であって、
(1)基材フィルムの表面にアンダーコート層を設ける表面処理工程と、
(2)得られたアンダーコート層の表面に、真空蒸着法によりSiOxを蒸着する蒸着工程とを含み、
上記蒸着工程が、雰囲気に水蒸気を導入する水蒸気導入工程を含み、
該水蒸気導入工程は、真空度が8×10-3Paに到達した時点で水蒸気の導入を開始し、
上記水蒸気の導入量は、水蒸気導入後の真空度が1×10-1Pa以上2×10-3Pa以下となる量であることを特徴とする。
使用する基材フィルム、アンダーコート層、SiOx蒸着層は、上記した蒸着フィルムで述べたものと同じであるため説明を省略する。
表面処理工程について説明する。表面処理工程は、基材フィルムの表面にアンダーコート層を設ける工程である。上記の通り、アンダーコート層は、高温多湿な環境に曝されることによる寸歩変化、基材フィルムとSiOx蒸着層との膨張係数差等によりクラック等を生じ、バリア劣化や水蒸気透過度の劣化等が発生するという問題を防止する目的で設けられる。
アンダーコート層は、上記の通り、従来公知の方法により設けることができ、基材フィルムに直接設けることも可能であるが、高温・多湿環境に曝した場合に、機械特性が劣化することをより効果的に防止するために、基材フィルム表面をプラズマ処理することが好ましい。
蒸着工程について説明する。蒸着工程は、表面処理工程により設けられたアンダーコート層の表面に、真空蒸着法によりSiOxを蒸着する工程である。真空蒸着の方法は、上記の通り、従来公知の方法を使用することができる。ただし、本発明では、SiOx層を形成する際の雰囲気に水蒸気を導入する工程(水蒸気導入工程)を含むことを特徴とする。具体的には、真空蒸着時の真空度が8×10-3Paに到達した時点で水蒸気の導入を開始する。導入量としては、水蒸気を導入した結果、真空度が2×10 -3 Pa以上1×10 -1 Pa以下となるような量を導入することが好ましく、2×10 -3 Pa以上4×10 -3 Pa以下となるように導入することがより好ましい。ここで、水蒸気の導入量について、本発明においては、上記の通り、具体的な水蒸気そのものの導入量ではなく、真空度の範囲で定めるものである。すなわち、真空度が一定値以上となる場合など、水蒸気を導入しすぎて真空度が低くなる場合には、フィルムのバリア性が悪くなる傾向がある。一方、真空度が一定値以下となる場合など、導入した水蒸気量が充分でない場合には、水蒸気導入による効果が充分に発揮されない傾向がある。
以上の工程を経て得られる本発明の蒸着フィルムは、経年変化(高温・多湿環境に曝された場合を含む)により濁度および機械強度が低下しない。
本発明の蒸着フィルムは、たとえば太陽電池用パネルに用いる部材(バックシート等)として採用すれば、過酷な条件に曝されても、濁度が増したり、機械特性が劣化することがない。
さらに本発明を説明するために、以下のようにして蒸着フィルムの状態等につき調べ比較検討した。
使用原料を以下に示す。
・基材フィルム(PETフィルム、厚み12μm、帝人(株)製 NS)
・アンダーコート層(信越化学(株)製 KBM403 3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 膜厚:0.1μm)
基材フィルムの表面をプラズマ処理(導入ガス:Ar、真空度:4Pa、3000V、0.1A以下)し、さらにその表面にアンダーコート層をバーコート法により積層して設けた。アンダーコート層の厚みは0.1μmとした。アンダーコート層を積層した後、これを乾燥(乾燥機にて50℃で3日)し、次いでその表面にSiOxを真空蒸着法により膜厚が30nmとなるよう積層した。その後、PCTテスト(温度120℃、湿度100%RH、2気圧、24時間放置)を行った。
PCTテストの前後に、以下の方法により蒸着フィルムの濁度(Hz%)、蒸着フィルムの破断強度(N/15mm)、ラミ強度(N/15mm)を測定した。
(濁度)
ヘイズメーター( 日本電色工業(株)製 NDH2000)を用いて測定する。
(破断強度)
幅15mm×長さ10cmの試験片の片端を固定し、オートグラフ((株)島津製作所社製、型番:AGS−100A)を使用して他端を引っ張り、試験片が破断した際の荷重(N/15mm)を測定する。
(ラミ強度)
幅15mm×長さ10cmの50μmの耐候PET(東洋紡社製、型番:K1653)とラミネートした試験片の片端を固定し、オートグラフ((株)島津製作所社製、型番:AGS−100A)を使用して他端を引っ張り、試験片が剥離した際の荷重(N/15mm)を測定する。
(全光線透過度)
ヘイズメーター(日本電色工業(株)製 NDH2000)を用いて測定する。
(水蒸気透過度)
カップ法(JIS Z0208 40℃、RH90%)により測定する。
(実施例1)
SiOxを真空蒸着法にて積層する際、到達圧8×10-3Paを確認後、真空蒸着時の真空度(作業真空度)が2.5×10-3Paとなるように水蒸気を導入した。得られた蒸着フィルムの濁度および破断強度を表1に示す。
(実施例2)
SiOxを真空蒸着法にて積層する際、到達圧8×10-3Paを確認後、真空蒸着時の真空度(作業真空度)が4.0×10-3Paとなるように水蒸気を導入した。得られた蒸着フィルムの濁度および破断強度を表1に示す。
(実施例3)
SiOxを真空蒸着法にて積層する際、到達圧8×10-3Paを確認後、真空蒸着時の真空度(作業真空度)が6.0×10-2Paとなるように水蒸気を導入した。得られた蒸着フィルムの濁度および破断強度を表1に示す。
(比較例1)
SiOxを真空蒸着法にて積層する際、水蒸気を導入しなかった。得られた蒸着フィルムの濁度および破断強度を表1に示す。
Figure 0004848473
表1に示されるように、本発明の蒸着フィルムでは、真空蒸着時において水蒸気を導入することにより、結果的に機能を維持できる蒸着フィルムが得られることが判る。
すなわち、比較例1にかかる蒸着フィルムでは、破断強度が27(N/15mm)であり、そもそも耐久性に問題がある。一方、実施例1〜3にかかる蒸着フィルムでは、全光線透過率、水蒸気透過度および破断強度のすべてにおいて良好な値を示しており、これらが好適なガスバリアフィルムであることが判る。
本発明にかかる蒸着フィルムおよび該蒸着フィルムの製造方法は、経年変化(高温・多湿環境に曝された場合を含む)により濁度および機械強度が低下しない蒸着フィルムおよび該蒸着フィルムの製造方法が得られるため、たとえば太陽電池用パネル用部材等の分野において、耐久性のある太陽電池用パネル等が得られ、好適に使用することができる。

Claims (7)

  1. 基材フィルムと、該基材フィルムの表面に設けられたアンダーコート層と、該アンダーコート層の表面に設けられたSiOx蒸着層とを含む蒸着フィルムであって、
    該蒸着フィルムは、濁度が4%以下であり、かつ、破断強度が35〜40(N/15mm)であり、
    温度120℃、湿度100%RH、2気圧、24時間という条件で実施するプレッシャー・クッカー・テスト後の前記蒸着フィルムは、濁度が15%以下であり、かつ、破断強度が27(N/15mm)以上であり、
    (1)基材フィルムの表面にアンダーコート層を設ける表面処理工程と、
    (2)得られたアンダーコート層の表面に、真空蒸着法によりSiOxを蒸着する蒸着工程とを含む製造方法により製造され、
    前記蒸着工程が、雰囲気に水蒸気を導入する水蒸気導入工程を含み、
    該水蒸気導入工程は、真空度が8×10 -3 Paに到達した時点で水蒸気の導入を開始し、
    前記水蒸気の導入量は、水蒸気導入後の真空度が2×10 -3 Pa以上6×10 -3 Pa以下となる量であることを特徴とする蒸着フィルム。
  2. 前記プレッシャー・クッカー・テスト後の前記蒸着フィルムは、濁度が12%以下であり、かつ、破断強度が27(N/15mm)以上であることを特徴とする請求項記載の蒸着フィルム。
  3. 前記基材フィルムが、ポリエステル系フィルムであることを特徴とする、請求項1記載の蒸着フィルム。
  4. SiOxが蒸着されてなる蒸着フィルムの製造方法であって、
    (1)基材フィルムの表面にアンダーコート層を設ける表面処理工程と、
    (2)得られたアンダーコート層の表面に、真空蒸着法によりSiOxを蒸着する蒸着工程とを含み、
    前記蒸着工程が、雰囲気に水蒸気を導入する水蒸気導入工程を含み、
    該水蒸気導入工程は、真空度が8×10-3Paに到達した時点で水蒸気の導入を開始し、
    前記水蒸気の導入量は、水蒸気導入後の真空度が2×10 -3 Pa以上6×10 -3 Pa以下となる量であることを特徴とする、蒸着フィルムの製造方法。
  5. 前記基材フィルムが、ポリエステル系フィルムであることを特徴とする、請求項4記載の蒸着フィルムの製造方法。
  6. 請求項4または5記載の蒸着フィルムの製造方法により得られてなる蒸着フィルムであって、
    該蒸着フィルムは、濁度が4%以下であり、かつ、破断強度が35〜40(N/15mm)であり、
    温度120℃、湿度100%RH、2気圧、24時間という条件で実施するプレッシャー・クッカー・テスト後の前記蒸着フィルムは、濁度が15%以下であり、かつ、破断強度が27(N/15mm)以上であることを特徴とする蒸着フィルム。
  7. 前記プレッシャー・クッカー・テスト後の前記蒸着フィルムは、濁度が12%以下であり、かつ、破断強度が27(N/15mm)以上であることを特徴とする請求項6記載の蒸着フィルム。
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