JP5381017B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、高いガスバリア性を示し、且つ、透明性、基材密着性、耐久性、耐候性に優れた積層体に関するものであり、太陽電池裏面保護シートや有機ELディスプレイの保護材料へのバリア性発現材料としての積層体に関する。
従来、ガスバリア性の積層体は、食品や医療医薬品などの包装材料として用いられ、内容物を保護するために、水蒸気透過率や酸素透過率を小さくすることが特に重要視されてきた。ところが最近ではこれらの用途以外に、太陽電池バックシートやエレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイの保護材料等へのバリア性発現材料としての需要が高まっている。
ガスバリア性積層体として最も一般的なものは、プラスチックフィルムからなる基材の表面に、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等からなる無機蒸着膜を形成した透明性の高いガスバリア性フィルムであり、これらは数多く提案され、また実用化されている。特許文献1には、未延伸または一軸延伸した透明プラスチックフィルム基体上に、非結晶性の酸化アルミニウム薄層を設けた包装用フィルムが開示されている。また、特許文献2には、高分子フィルム上に実質的にSiO、Si23、SiO2の混合系からなる酸化珪素蒸着膜を設けた透明バリアフィルムが開示されている。ところが、基材にこれらの蒸着膜を単純に積層しても基材と蒸着層の密着性が弱くデラミネーションが起こる可能性が高い。
基材と蒸着層の密着性を上げるために、基材にアンカーコート層を塗布する方法が多く提案されており、近年ではその性能も向上してきている。特許文献3には、基材上に無機金属酸化物と、分子内に三個以上の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物とアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル樹脂層を交互に積層することで、高いバリア性と透明性と密着性を示す積層体が開示されている。また、特許文献4には、基材フィルムの一方の面に、その構造中に2以上のヒドロキシル基を有するポリアクリル系またはポリメタクリル系樹脂と硬化剤とを含むアンカーコート剤層、無機酸化物からなる蒸着層、ガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を設けた積層体が開示されている。
さらにまた、特許文献5には、プラスチックフィルム表面に形成した金属酸化物薄膜上に、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を塗布し硬化皮膜を形成した耐薬品性が付与された複合ガスバリアフィルムが開示されている。また、特許文献6には、基材フィルムの一方の面に、ポリパラキシリレンからなる蒸着重合膜を設け、その上に無機酸化物からなるバリア性薄膜を設け、さらにその上に、アルコキシドとポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニル共重合体とを含有し、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物によるガスバリア性塗布膜を設けることで高度なバリア性を有する積層体が開示されている。
特開昭62−179935号公報 特開平2−122924号公報 特開2005−7741号公報 特開2006−116703号公報 特開2004−224056号公報 特開2007−21900号公報
しかしながら、上記特許文献3、4のアンカーコート層の適用において、アクリル系の樹脂が用いられているが、基材選択性があり、また皮膜にクッション性あるいは伸縮性がなく表層破壊を起こしやすい問題がある。また、特許文献5の被覆層を塗布するという技術を用いた場合でも、基材フィルムとに密着性の改善の課題は未解決である。また、特許文献6の積層体は、バリアの安定性は問題ないが、高価な設備が必要で経済性に欠け、さらに高温高湿度条件での長期使用では加水分解によるバリア皮膜の劣化の問題があった。
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、基材表面にアンカーコート層を介して設けられた無機化合物からなるバリア性薄膜層を有するバリア性積層体において、基材と蒸着層の密着がよく、アンカーコート層の平滑化によりガスバリア性が安定し、耐候性、耐湿性に優れた積層体を提供することを課題としている。
本発明の請求項1に係る発明は、プラスチック基材の少なくとも一方の面に、アクリル酸エステル重合体を50質量%以上含むアンカーコート層と、紫外線または電子線により反応・硬化させた(メタ)アクリル樹脂を50質量%以上含むハードコート層と、無機化合物からなるバリア性薄膜層とが、この順番で積層されていることを特徴とする積層体である。
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記基材が、数平均分子量が18000〜40000の範囲で、環状オリゴマー含有量が1.5質量%以下、固有粘度が5×10-53/g以上の耐加水分解性を有するポリエステル基材であることを特徴とする請求項1に記載する積層体である。
また、本発明の請求項3に係る発明は、前記ハードコート層に含まれる(メタ)アクリル樹脂が、アルコキシシリル基と(メタ)アクリル基を併せ持つことを特徴とする請求項1に記載する積層体である。
また、本発明の請求項4に係る発明は、前記バリア性薄膜層を構成する無機化合物が、酸化珪素であることを特徴とする請求項1に記載する積層体である。
本発明によれば、プラスチック基材に、耐候性、耐湿性、プラスチック基材との密着性に優れるアクリル酸エステル重合体を50質量%以上含むアンカーコート層と、該アンカーコート層の上に、平滑性、バリア性薄膜層との密着性、耐候性、耐湿性にすぐれる紫外線または電子線により反応・硬化させた(メタ)アクリル樹脂を50質量%以上含むハードコート層とが設けられ、更にその上に無機化合物からなるバリア性薄膜層とが、この順番で積層されている。そのため、アンカーコート層やハードコート層の塗布形成には、周知のウエットコート法、例えば、ダイレクトグラビアコート法、リバースグラビアコート法、ロールコート法などの経済的な生産方法が適用可能であり、且つ、基材と蒸着層の密着がよく、アンカーコート層の平滑化によりガスバリア性が安定し、耐候性、耐湿性に優れた積層体が提供できる。また、本発明の積層体を中間層に用いることにより、耐久性、安定したバリア性を持った太陽電池封止材あるいは太陽電池バックシートや、有機EL保護材料を得ることが出来、環境にも良好な部材を提供することが可能となる。
本発明の積層体を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
図1は本発明の積層体の一例を断面で示した概略図である。基材10の一方の面上に、アンカーコート層20とハードコート層30を介して、無機化合物からなるバリア性薄膜層40が形成されている構造である。
基材10は、バリア性薄膜層40の透明性を生かし、太陽電池封止材あるいは有機EL保護材料に適用するために基本的には透明なフィルム基材であるが、太陽電池バックシート用途では必ずしも透明である必要はなく、例えば、白色でも可能である。基材の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリシクロヘキサンジメタノール−テレフタレート(PCT)などのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、ナイロン6、ナイロン12などのポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン−パーフルオロビニルエーテル三元共重合体(EPE)、エチレン−4フッ化エチレン共重合体(ETFE)、塩化−3フッ化エチレン樹脂(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはポリアクリルニトリル、アクリル系樹脂、メタクリル樹脂、ポリグリコール酸樹脂、ポリ乳酸樹脂から選択される樹脂フィルムが挙げられる。また、これらに限定されず、ポリサルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂など、耐熱性、強度物性、電気絶縁性等を考慮して適宜選択することが可能である。
これらの基材の中でも、強度、耐熱性、透明性ならびに安価なことから、ポリエステル系樹脂が好ましい。さらに、バリア性薄膜層を形成する真空プロセスの安定性、ならびに、長期間の耐久性を求める上で、数平均分子量が18000〜40000の範囲で、環状オリゴマー含有量が1.5質量%以下、固有粘度が5×10-53/g以上の耐加水分解性を有するポリエステル基材が好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)は寸法安定性、作業性が良く、安価であるので好ましく用いることができる。
一般に、ポリエステル基材は、モノマーを縮合重合させたポリマーからなり、モノマーとポリマーの中間体であるオリゴマーが1.6〜2質量%含まれている。また、このようなポリエステル基材は分子末端がカルボン酸の場合、熱、水、さらには酸触媒としての作用が働き加水分解に影響を受ける。この末端カルボン酸基をカルボジイミド系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン系化合物により封止することも可能であるが、この末端カルボン酸基を上昇させることなく重合反応を高度に進める、すなわち、数平均分子量を増加させるために固相重合法を用いることで重合反応が進んでオリゴマー含有量1.5質量%以下好ましくは、1.0質量%以下に低くすることができ、加水分解しにくく耐久性に優れたバリア性を有する積層体の基材とすることが出来る。このようなポリエステル基材は、市販品としても入手可能であり、市販品として、例えば、東レ株式会社製のルミラーX10S(商品名)が挙げられる。ここで、オリゴマーの含有量は、核磁気共鳴(NMR)等の方法を用いて知ることができる。
また基材10は、上記した2種類以上の樹脂の混合物からなるフィルムや積層フィルムも用いられる。また、公知の添加剤、滑剤、可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤を添加することが可能であり、積層体の適用用途によっては着色剤の添加も可能である。
また、基材フィルムは延伸、未延伸のどちらでも良いが、連続的なアンカーコート処理、ハードコート処理やバリア性薄膜の成膜加工への適性、用途に合わせた他の材料との積層等の後加工適性等を考慮すると、機械的強度や寸法安定性を有するものが良く、二軸方向に任意に延伸されたフィルムが好ましい。基材の厚さはとくに制限を受けるものではなく、積層体として上記した加工適正を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、特に30〜150μmとすることが好ましい。
次に、アンカーコート層20に主たる成分として50質量%以上の割合で用いられるアクリル酸エステル重合体のアクリル酸としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸パルミチルまたはアクリル酸シクロヘキシル等のアルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエステルがある。また、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル等のアクリル酸の側鎖に水酸基を有するアルキルエステルがある。また、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシブチル等のように、(メタ)アクリル酸の側鎖にアルコキシル基を有するアルキルエステルがある。また、アクリル酸アリル等のアクリル酸のアルケニルエステルや、アクリル酸グリシジル並びにアクリル酸メチルグリシジル等のアクリル酸の側鎖にエポキシ基を有するアルキルエステルがある。また、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸メチルアミノエチル等のアクリル酸のモノ−又はジ−アルキルアミノアルキルエステルがある。さらに、側鎖としてシリル基、アルコキシシリル基または加水分解性アルコキシシリル基などを有するシリコン変性アクリル酸エステル等を用いることが可能である。
アンカーコート層20には、上記したアクリル酸エステル重合体に添加剤として、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂などを混合するのが望ましく、また、シランカップリング剤や紫外線吸収剤を加えることにより、基材とハードコート層との密着性だけでなく、耐水性、耐熱性等の耐性を上げることができる。ただし、本発明の目的とする、アンカーコート層の基材への密着性を安定させるためには、アクリル酸エステル重合体は50質量%以上必要であり、50%未満ではその効果が不安定なものとなる。
アンカーコート層20の形成方法は、前記したプラスチックフィルム基材を成膜する際に、アンカーコート層の樹脂を共押出しによって積層する手法や、プラスチックフィルム基材の成膜工程の延伸前あるいは延伸後の該フィルムに、熱溶融したアンカーコート層の樹脂を積層する手法、あるいは、アンカーコート層の樹脂を水や有機溶剤を媒体とした塗布液として、基材フィルムに塗布処理する手法のいずれも可能である。中でも、柔軟で基材選択性の小さいアンカーコート層を、既存の設備で加工可能なウエットコート法を用いることで生産性が良く作成できる。該アンカーコート層を塗布液として塗布する場合には、基材フィルムに塗布した後、加熱して乾燥させ、場合によっては紫外線照射等で硬化させる。塗布方法としては、ロールコート等公知の塗布方法が適用できる。
アンカーコート層20の厚さは、0.05μm〜10μm、より好ましくは0.1μm〜5μmである。アンカーコート層の厚さが0.05μm未満では、塗布抜け等が起こり、基材とハードコート層との密着性が不足し、且つ、本発明の積層体の構成で重要な役割を発揮する皮膜の柔軟性・クッション性が発現しない。また、厚さが5μmを超えると、基材とハードコート層との密着性向上効果が頭打ちとなり、また経済的にも不利になる。このアンカーコート層の厚さは、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、マイクロメーター等を用いることによって測定可能である。
次に、バリア性薄膜層40の膜質に影響する平滑性と密着性を担うハードコート層30について説明する。ハードコート層30に主たる成分として50質量%以上用いられる(メタ)アクリル樹脂の構成成分としては、単官能では、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。多官能では、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。(メタ)アクリル化合物は1種類、あるいは2種類以上を同時に用いることができる。また、これらを重合させるために種々の重合開始剤を添加させることも可能である。さらに、アルコキシシリル基と(メタ)アクリル基を併せ持ち、無機酸化物からなるバリア性薄膜層と(メタ)アクリル樹脂からなるハードコート層との強い密着性が得られることが好ましい。これらを上述したアンカーコート層の上に無用剤あるいは溶剤に分散させて、公知の塗布方法で塗布し、紫外線(UV)、または、電子線(EB)を照射する方式で反応・固化させることにより、耐候性、密着性、平滑性の高い皮膜とすることができる。
本発明の積層体を構成するハードコート層30の膜厚は0.01μm〜10μmである。0.01μm未満であると十分な中間層として働かないため、高い密着性が得られず、10μmを超えるとクラックが発生する。好ましくは、0.1μm〜5.0μmであり、より好ましくは、0.2μm〜1.0μmである。この時、高い密着性とバリア性が得られる。
続いてバリア性薄膜層40について説明する。無機化合物からなるバリア性薄膜層は、水蒸気や酸素等のガスの透過を防ぐものである。バリア性薄膜層を形成する材料は特に限定されるものではなく、珪素、アルミニウム、クロム、マグネシウム等の金属の酸化物、窒化物、フッ化物や、錫含有酸化インジウム(ITO)などの複合酸化物、窒化物等、透明で且つ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものが使用できる。なかでも、無機酸化物は好ましく用いることが出来る。その中でも、例えば酸化珪素は、高いガスバリア性が得られ、(メタ)アクリル樹脂から形成されたハードコート層への密着性か良いことから最も好ましい。
酸化珪素を主成分とする無機酸化物等からなるバリア性薄膜層をプラスチック基材上に形成する方法としては種々在り、通常の真空蒸着法により形成することができる。また、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることも可能である。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましい。また蒸着薄膜層と基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を更に向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素等の各種ガスなど吹き込む反応蒸着を用いても一向に構わない。
ガスバリア性薄膜層40の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には1.0nm〜300nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が1.0nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また膜厚が300nmを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、折り曲げ、引っ張り、あるいは温度変化による伸縮などの外的要因により、薄膜に亀裂(クラック)を生じるおそれがあるので問題がある。より好ましくは、10〜150nmの範囲内にあることであり、この時高いバリア性が得られる。
本発明の積層体は、これらを中間層に用いることにより、より良い、耐久性、バリア性を持った、例えば太陽電池バックシート、太陽電池封止材、あるいは、有機EL素子保護材料への適用が可能である。そのため、無機酸化物蒸着層の上に蒸着膜を保護したり、ラミネートや印刷などの後加工適正を付与したりする目的でオーバーコート層を積層しても構わない。
以下に本発明の具体的実施例について説明する。
<実施例1>
厚さ125μmのPETフィルム(東レ株式会社製 ルミラーX10S)の表面に、ポリエステル骨格を導入したアクリル樹脂(総研化学工業社製サーモラック)とアクリル系樹脂(総研化学工業社製アクトフロー)とを、樹脂の固形分質量比で70:30にて配合した塗布液を、グラビアコート法で塗布・乾燥して、固形分塗布量として0.5g/m2のアンカーコート層を設けた。次に、このアンカーコート層の表面上に、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学社製 AMP20GY)を塗布し、電子線硬化して、膜厚0.5μmのハードコート層を形成した。この上に、電子線加熱方式による真空蒸着法により厚さ40nmの酸化珪素蒸着膜からなるガスバリア性薄膜層を作成し、積層体を作成した。
<比較例1>
厚さ125μmのPETフィルム(東レ株式会社製 ルミラーX10S)の表面に、アンカーコート層を設けず、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学社製 AMP20GY)を塗布し、電子線硬化して、膜厚0.5μmのハードコート層を形成した。この上に、電子線加熱方式による真空蒸着法により厚さ40nmの酸化珪素蒸着膜からなるガスバリア性薄膜層を作成し、積層体を作成した。
<比較例2>
厚さ125μmのPETフィルム(東レ株式会社製 ルミラーX10S)の表面に、ポリエステル骨格を導入したアクリル樹脂(総研化学工業社製サーモラック)とアクリル系樹脂(総研化学工業社製アクトフロー)とを、樹脂の固形分質量比で70:30にて配合した塗布液を、グラビアコート法で塗布・乾燥して、固形分塗布量として0.5g/m2のアンカーコート層を設けた。この上にハードコート層を設けずに、電子線加熱方式による真空蒸着法により厚さ40nmの酸化珪素蒸着膜からなるガスバリア性薄膜層を作成し、積層体を作成した。
上記、実施例1、比較例1,2で作成した積層体のガスバリア性薄膜層上に、厚さ50μmのPETフィルム(東レ株式会社製 ルミラーX10S)を、2液硬化型ウレタン系接着剤(東洋モートン社製 AD76P1/CAT10)固形分塗布量4g/m2を用いて、ドライラミネート法により積層し、それぞれ実施例1、比較例1,2で作成した積層体とのラミネートフィルムを得た。このラミネートフィルムについて、各種測定を行った。
<水蒸気バリア性>
上記した各ラミネートフィルムの水蒸気透過率(g/m2・day )を測定した。測定はモコン(MOCON)法を用いて行い、測定時の測定条件は40℃−90%R.H.とした。その測定結果を、表1に示す。
<密着性評価>
上記した各ラミネートフィルムのラミネート強度(単位:N/15mm)を、初期、及び、85℃85%RH 2000Hrs保存後に測定した。測定は、日本工業規格JIS K6854−3:1999「接着剤―剥離接着強さ試験方法−第3部:T型剥離」で規定されている試験方法に従って測定した。試験にはオリエンテック社テンシロン万能試験機RTC−1250を用いた。その測定結果を、表1に示す。
Figure 0005381017
実施例1で作成した本発明の積層体によるラミネートフィルムは、水蒸気バリア性も良好であり、ラミネート強度は2000時間の高温多湿条件下での保存後も、太陽電池バックシートで実用上必要とされる2N/15mm以上の値が保持され、耐久性にすぐれた結果が明らかとなった。それに対して、アンカーコート層を設けない比較例1の積層体によるラミネートフィルムは、水蒸気バリア性は良好であったが、初期のラミネート強度が低く、2000時間の高温多湿条件下での保存後はデラミネーションを起こし実用性が低い結果となった。また、アンカーコート層のみでハードコート層を設けない比較例2の積層体による、ラミネートフィルムは、アンカーコート層の平滑性不足に起因して水蒸気バリア性が不足し、初期のラミネート強度は高いものの、高温多湿条件下での長期保存後はラミネート強度が低下する結果となった。
本発明の積層体の一例を断面で示した概略図。
符号の説明
10・・・基材 20・・・アンカーコート層 30・・・ハードコート層
40・・・ガスバリア性薄膜層

Claims (4)

  1. プラスチック基材の少なくとも一方の面に、アクリル酸エステル重合体を50質量%以上含むアンカーコート層と、紫外線または電子線により反応・硬化させた(メタ)アクリル樹脂を50質量%以上含むハードコート層と、無機化合物からなるバリア性薄膜層とが、この順番で積層されていることを特徴とする積層体。
  2. 前記基材が、数平均分子量が18000〜40000の範囲で、環状オリゴマー含有量が1.5質量%以下、固有粘度が5×10−5/g以上の耐加水分解性を有するポリエステル基材であることを特徴とする請求項1に記載する積層体。
  3. 前記ハードコート層に含まれる(メタ)アクリル樹脂が、アルコキシシリル基と(メタ)アクリル基を併せ持つことを特徴とする請求項1に記載する積層体。
  4. 前記バリア性薄膜層を構成する無機化合物が、酸化珪素であることを特徴とする請求項1に記載する積層体。
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