JP4944398B2 - 太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムおよびそれを用いた太陽電池裏面保護膜 - Google Patents
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Description
[ポリエステルフィルム]
本発明の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムにおける2,6−ナフタレンジカルボン酸成分の含有量は、フィルムを構成するポリエステルの全ジカルボン酸成分の4〜20モル%、好ましくは4.5〜15モル%であることが肝要である。4モル%未満であると耐久性が向上されず、20モル%を超えるとポリエステルの結晶性が著しく失われるために耐熱性が低下する。
単層のポリエステルからなる構成である場合、ポリエステルフィルムは例えば全ジカルボン酸成分あたり4〜20モル%の2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を含有する共重合ポリアルキレンテレフタレートからなる。この共重合アルキレンテレフタレートを構成するジオール成分としては、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールおよびシクロヘキサン−1,4−ジメタノールを用いることができる。すなわち、単層のポリエステルフィルムである場合、好ましくは全ジカルボン酸成分あたり4〜20モル%の2,6−ナフタレンジカルボン酸および80〜96モル%のテレフタル酸をジカルボン酸成分としてエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールおよびシクロヘキサン−1,4−ジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のジオールをジオール成分としてなるポリエステルから構成される。
(1)一つのポリエステルの層と、このうえに配置されこれより融点が5℃以上高い他のポリエステルの層とからなる多層ポリエステルフィルム。
(2)一つのポリエステルの層と、この両側に配置されこれより融点が5℃以上高い他のポリエステルの層とからなる多層ポリエステルフィルム。
融点の高い層の厚みは、融点の低い層の厚みより厚くすることが好ましく、多層フィルムである場合、融点の高い層の厚みを合計した総厚み(a)と融点の低い層の厚みを合計した総厚み(b)との比a/bは、好ましくは0.01〜1、さらに好ましくは0.05〜0.5である。
本発明の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムには、製膜時のフィルムの巻取り性を向上し、太陽電池用裏面保護膜加工工程におけるフィルムの搬送性等をよくするために、滑剤としての有機微粒子および/または無機微粒子を含有させること好ましい。
有機微粒子としては、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、尿素樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子を例示することができる。
本発明の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムには、フィルムの耐候性を向上させるために、紫外線吸収剤を含有させることができる。紫外線吸収剤としては、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)および2,2’−(2,6−ナフチレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)を例示することができる。
本発明の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムには、太陽電池素子の封止樹脂との接着および接着の耐久性向上を目的として、ポリエステルフィルムのうえに易接着層を設けることが好ましい。易接着層を設けることにより、封止樹脂との強固で耐久性のある接着力を得ることができ、太陽電池としたときに界面からの劣化を防ぎ、さらに耐久性を向上させることができる。
これらの架橋剤のなかでも、オキサゾリン基含有ポリマーが、特に優れた易接着性を示すため好ましい。これらの架橋剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
易接着層には、優れた易滑性を得る目的でワックスを添加してもよく、さらに帯電防止剤、着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤を含有させてもよい。
本発明において、単層のポリエステルフィルムを作成する場合には、予め2,6−ナフタレンジカルボン酸を共重合させたポリエステル樹脂、もしくは、主たるポリエステル樹脂と2,6−ナフタレンジカルボン酸を含有する樹脂の混合物を、乾燥し、押出機で溶融したのちダイから押出し、冷却ドラム上にキャスティングして未延伸フィルムを得る。多層フィルムの場合には、単層フィルム同様に共重合もしくはブレンド法により所定の2,6−ナフタレンジカルボン酸を含有せしめた2種類以上の樹脂を、各々別個に乾燥し、別個の押出機より溶融し、溶融樹脂をダイより押出す手前で積層した後にダイより押出し、冷却ドラム上にキャスティングして未延伸フィルムを得る。
かかる処理後の二軸配向ポリエステルフィルムの厚さは50〜300μmであること、また塗膜の厚さは0.01〜1μmであることが好ましい。
本発明の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムは、単独または2枚以上を貼り合わせて、太陽電池裏面保護膜として好適に使用することができる。この際、ガスバリア性を付与させる目的で、ガスバリア性を有するフィルムや箔を本発明のポリエステルフィルムに積層することが好ましい。ここでガスバリア性とは、水蒸気バリア性のことを指し、JIS Z0208−73に準じて測定した水蒸気の透過率が、5g/(m2・24h)以下であることが好ましい。ガスバリア性を有するフィルムとしては、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニリデンコートフィルム、ポリフッ化ビニリデンコートフィルム、酸化ケイ素蒸着フィルム、酸化アルミニウム蒸着フィルム、アルミニウム蒸着フィルムなどが例示でき、箔としては、アルミニウム箔、銅箔などが例示できる。これらのフィルムまたは箔は、本発明のポリエステルフィルムの易接着面の反対側に積層したり、また易接着側を外側にして2枚のポリエステルフィルムで挟みこむ構造をとることができる。
(1)融点およびガラス転移点(Tg)
樹脂を一度溶融した後、急冷、固化したサンプルを、デュポン製 Thermal Analyst 2000型 示差熱量計にて、試料10mg、20℃/分の昇温速度にて測定した。なお、多層フィルムの場合には、顕微鏡観察を行いながら該当ポリエステル層を削り、試料10mgを得て同様に測定を行った。
オルソクロロフェノール溶媒による溶液の粘度を35℃にて測定し求めた。
JIS−C2318に準じて、150℃に温度設定されたオーブンの中に無緊張状態で30分間フィルムを保持し、フィルム長手方向の加熱処理前後での寸法変化を熱収縮率として下式により算出し、熱収縮率を求めた。
熱収縮率%=((L0−L)/L0)×100
ただし、L0:熱処理前の標点間距離、L:熱処理後の漂点間距離
以下エチレン−酢酸ビニル共重合体を「EVA」と略称する。
フィルムを20mm幅×100mm長にカットしたものを2枚、EVAシート(ハイシート工業(株)製 SOLAR EVA(R) SC4)を20mm幅×50mm長にカットしたものを1枚、それぞれ準備した。EVAシートがフィルムのほぼ中央に位置するよう、またフィルムの易接性を評価したい面がEVA側になるよう、フィルム/EVAシート/フィルムの順に重ねて、ヒートシーラー(テスター産業(株)製 TP−701−B)にてプレスを行う。圧着条件は、120℃・0.02MPaにて5分圧着後、150℃に昇温し、プレス圧を0.1MPaに上げて25分圧着した。熱圧着した試料のEVA接着部の一方の端をホフマン式クリップでしっかり止めて固定した。23℃、50%RH雰囲気下において、JIS−Z0237に準じて、上下のクリップにクリップで固定したのとは反対の未接着部のフィルムを挟み、剥離角180°、引張速度100mm/分で剥離がクリップ固定部に到達するまで荷重を測定し、接着力とした。
EVAとフィルムの接着性は以下の通り評価した。
◎:接着力 20N/20mm以上・・・接着性非常に良好
○:接着力10N/20mm以上、20N/20mm未満・・・接着性良好
△:接着力 5N/20mm以上〜10N/20mm未満・・・接着性やや良好
×:接着力 5N/20mm未満 ・・・接着性不良
上記(4)にて作成した熱圧着サンプルを、JIS−C8917−1998に準じて85℃・85%RHで1000時間処理した後に、上記(4)同様にクリップ固定を行い、接着力およびフィルム強度を測定した。
接着耐久性は、(4)で測定した処理前の接着力(α)と処理後の接着力(β)との比(β/α)をもって接着性保持率とし、下記の通り評価した。
◎:接着性保持率 75%以上・・・接着耐久性非常に良好
○:接着性保持率50%以上、75%未満・・・接着性耐久性良好
△:接着性保持率25%以上、50%未満・・・接着性やや良好
×:接着性保持率25%未満 ・・・接着性不良
フィルムのサンプルとして長さ100mm、幅10mmのサンプルを用い、JIS−C2318 5.3.3に準じて、つかみ間隔50mm引張速度100mm/minで伸度の測定を行い3回の測定値の平均をとり、処理前のフィルム伸度(γ)とした。次に、フィルムのサンプルを、JIS−C8917−1998に準じて85℃・85%RHで1000時間処理した後に、処理前のフィルム伸度の測定と同様の方法でフィルム伸度の測定を行い、3回の測定値の平均をとり、処理後のフィルム伸度(γ)とした。処理前のフィルム伸度(γ)と処理後のフィルム伸度(δ)との比(δ/γ)をもってフィルムの伸度保持率とし下記の通り評価した。
◎:伸度保持率 75%以上・・・フィルム耐久性非常に良好
○:伸度保持率50%以上、75%未満・・・フィルム耐久性良好
△:伸度保持率25%以上、50%未満・・・フィルム耐久性やや良好
×:伸度保持率25%未満 ・・・耐久性不良
平均粒径1.5μmの塊状酸化珪素粒子を350ppm含有し、2,6−ナフタレンジカルボン酸を全ジカルボン酸成分に対し10mol%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度:0.80、DEG=2.5mol%、Tg=81℃、Tm=228℃)を20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出しして未延伸フィルムとした。次いで縦方向に100℃で3.0倍に延伸した後、その両面に下記易接着層形成用組成物の濃度8%の水性塗液(塗剤A)をロールコーターで均一に塗布した。
四つ口フラスコに、界面活性剤としてラウリルスルホン酸ナトリウム3部、およびイオン交換水181部を仕込んで窒素気流中で60℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部、亜硝酸水素ナトリウム0.2部を添加し、更にモノマー類である、メタクリル酸メチル30.1部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン21.9部、ポリエチレンオキシド(n=10)メタクリル酸39.4部、アクリルアミド8.6部の混合物を3時間にわたり、液温が60〜70℃になるよう調整しながら滴下した。滴下終了後も同温度範囲に2時間保持しつつ、攪拌下に反応を継続させ、次いで冷却して固形分が35%重量のアクリルの水分散体を得た。一方で、シリカフィラー(平均粒径:100nm)(日産化学株式会社製 商品名スノーテックスZL)を0.2重量%、濡れ剤として、ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製 商品名ナロアクティーN−70)の0.3重量%添加した水溶液を作成した。アクリルの水分散体15重量部と水溶液85重量部を混合して、塗剤Aを作成した。
評価結果を表1に示す。
平均粒径1.5μmの塊状酸化珪素粒子を600ppm含有し、2,6−ナフタレンジカルボン酸を全ジカルボン酸成分に対し2mol%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート(固有粘度:0.65、DEG=2.1mol%、Tg=78℃、Tm=249℃)を20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出しして未延伸フィルムとした。次いで縦方向に100℃で3.1倍に延伸した後、横方向に110℃で3.6倍に延伸し、228℃で幅方向に3%収縮させ熱固定し、厚さ50μmの太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムを得た。フィルムの長手方向の熱収縮率は1.7%であった。評価結果を表1に示す。
平均粒径1.5μmの塊状酸化珪素粒子を600ppm含有し、2,6−ナフタレンジカルボン酸を全ジカルボン酸成分に対し4mol%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートA(固有粘度:0.70、DEG=1.3mol%、Tg=80℃、Tm=245℃)と、平均粒径1.5μmの塊状酸化珪素粒子を20ppm含有し、2,6−ナフタレンジカルボン酸を全ジカルボン酸成分に対し18mol%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートB(固有粘度:0.70、DEG=1.8mol%、Tg=81℃、Tm=205℃)を、別々に乾燥、溶融押出して、ダイ内部で共重合ポリエチレンテレフタレートA/共重合ポリエチレンテレフタレートBの2層に溶融ポリマーを積層し、20℃に維持した回転冷却ドラム上にキャスティングして未延伸フィルムを得た。次いで縦方向に105℃で3.0倍に延伸した後、実施例1と同様、その両面に塗剤Aをロールコーターで均一に塗布した。
平均粒径1.5μmの塊状酸化珪素粒子を600ppm含有し、2,6−ナフタレンジカルボン酸を全ジカルボン酸成分に対し5mol%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートC(固有粘度:0.65、DEG=1.7mol%、Tg=80℃、Tm=242℃)と、平均粒径1.5μmの塊状酸化珪素粒子を20ppm含有し、2,6−ナフタレンジカルボン酸を全ジカルボン酸成分に対し15mol%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートD(固有粘度:0.78、DEG=2.1mol%、Tg=84℃、Tm=214℃)を、別々に乾燥、溶融押出して、ダイ内部で共重合ポリエチレンテレフタレートC/共重合ポリエチレンテレフタレートD/共重合ポリエチレンテレフタレートCの3層に溶融ポリマーを積層し、20℃に維持した回転冷却ドラム上にキャスティングして未延伸フィルムを得た。次いで縦方向に105℃で3.0倍に延伸した後、実施例1と同様、その両面に塗剤Aをロールコーターで均一に塗布した。
平均粒径1.5μmの塊状酸化珪素粒子を800ppm含有し、イソフタル酸を全ジカルボン酸成分に対し5mol%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートE(固有粘度:0.65、DEG=2.3mol%、Tg=74℃、Tm=241℃)と、平均粒径1.5μmの塊状酸化珪素粒子を50ppm含有し、イソフタル酸を全ジカルボン酸成分に対し12mol%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートF(固有粘度:0.68、DEG=2.4mol%、Tg=73℃、Tm=224℃)を、別々に乾燥、溶融押出して、ダイ内部で共重合ポリエチレンテレフタレートE/共重合ポリエチレンテレフタレートF/共重合ポリエチレンテレフタレートEの3層に溶融ポリマーを積層し、20℃に維持した回転冷却ドラム上にキャスティングして未延伸フィルムを得た。次いで縦方向に95℃で3.0倍に延伸した後、実施例1と同様、その両面に塗剤Aをロールコーターで均一に塗布した。
平均粒径1.5μmの塊状酸化珪素粒子を600ppm含有し、2,6−ナフタレンジカルボン酸を全ジカルボン酸成分に対し4mol%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートG(固有粘度:0.70、DEG=2.2mol%、Tg=79℃、Tm=244℃)と、平均粒径1.5μmの塊状酸化珪素粒子を20ppmおよび下記式に示す紫外線吸収剤を1重量%を含有し、2,6−ナフタレンジカルボン酸を全ジカルボン酸成分に対し16mol%共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートH(固有粘度:0.71、DEG=2.2mol%、Tg=85℃、Tm=211℃)を、別々に乾燥、溶融押出して、ダイ内部で共重合ポリエチレンテレフタレートG/共重合ポリエチレンテレフタレートH/共重合ポリエチレンテレフタレートGの3層に溶融ポリマーを積層し、20℃に維持した回転冷却ドラム上にキャスティングして未延伸フィルムとした。
Claims (4)
- 2,6−ナフタレンジカルボン酸成分をポリエステルの構成成分として全ジカルボン酸あたり4〜20モル%含有するポリエステルフィルムと、そのうえに架橋剤を含有する塗液を塗布して形成される易接着層とを有する、太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルム。
- ポリエステルフィルムが、一つのポリエステルの層と、このうえに配置されこれより融点が5℃以上高い他のポリエステルの層とからなる多層ポリエステルフィルムである、請求項1記載の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルム。
- 全ジカルボン酸成分あたり4〜20モル%の2,6−ナフタレンジカルボン酸を共重合成分とするポリアルキレンテレフタレートから構成される、請求項1記載の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムからなる太陽電池裏面保護膜。
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