JP5243135B2 - 太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムおよび太陽電池裏面保護膜 - Google Patents
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Description
[ポリエステル(A)]
本発明の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムを構成するポリエステル組成物のポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸とグリコール成分とからなるポリエステルを用いることができる。例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,4′―ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分と、例えばエチレングリコール、1,4―ブタンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール、1,6―ヘキサンジオール等のグリコール成分とから構成される芳香族ポリエステルを用いることができ、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン―2,6―ナフタレンジカルボキシレートであり、特に好ましくはポリエチレンテレフタレートである。これらのポリエステルは共重合ポリエステルであってもよいが、共重合成分は20モル%以下であることが好ましい。また、機械特性と生産性の上から問題ない範囲内であれば、他の成分がブレンドされていてもよい。
ポリエステル組成物のビニル系重合体(B)は、その側鎖にオキサゾリン基および芳香族基を有している必要がある。かかるビニル系重合体は、下記式(I)で表わされる付加重合性オキサゾリン化合物と、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンに例示される芳香族基を有する付加重合性ビニル化合物と、さらに必要に応じてアクリロニトリル、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレートに例示される脂肪族の付加重合性ビニル化合物と、を共重合することにより得ることができる。
このポリエステル組成物は、組成物の状態で測定したポリエステルの固有粘度(オルソクロロフェノール溶媒を用いて温度35℃で測定)が、好ましくは0.6〜1.0dl/g、特に好ましくは0.7〜0.9dl/gである。固有粘度がこの範囲であることによって、機械的特性および耐加水分解性に優れるフィルムを、溶融押出時の負荷が大きくなることなく、高い生産性で生産することができる。
本発明の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムは、121℃、100%RHの環境下で50時間経過後の部分放電開始電圧が1000eV以上であることが好ましい。1000eV以上の部分放電開始電圧を備えることによって、太陽電池裏面保護膜として用いたときに長期間に亘り部分放電開始電圧を高く維持することができる。
本発明の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムは、温度121℃、湿度100%RHの環境下において50時間経過後の破断伸度保持率が、好ましくは75%以上である。75%以上の破断伸度保持率を備えることによって、長期間に亘り良好な耐加水分解性を維持することができる。
本発明におけるビニル系重合体(B)は、付加重合性オキサゾリン化合物と芳香族基を有するビニル系単量体、および、要すればさらに他の単量体とを、従来公知の重合方法で重合することで得ることができる。重合方法としては、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、バルク重合法を例示することができる。
本発明の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムは、単独または2枚以上を貼り合わせて、太陽電池裏面保護膜として使用することができる。
太陽電池裏面保護膜として用いる際には、水蒸気バリア性を付与する目的で、水蒸気バリア層を積層してもよい。この構成の太陽電池裏面保護膜は、JIS Z0208−73に従い測定される水蒸気の透過率が5g/(m2・24h)以下であることが好ましい。
オルソクロロフェノール溶媒による溶液の粘度を35℃にて測定し求めた。
溶媒としてテトラヒドロフランを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:日本ウォーターズ製)によって測定した。
窒素雰囲気下でベンジルアルコールに溶解させ、滴定法により測定した。
厚み12ミクロンの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製 商品名:テイジンテトロンNS)の片面に厚さ80nmの酸化珪素の蒸着薄膜層を設けたものを水蒸気バリアフィルムとして、また厚み50ミクロンの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製 商品名:テイジンテトロンU2)を白色フィルムとして用意し、本発明のフィルムと合せて、白色フィルム/水蒸気バリアフィルム/本発明のフィルムの順となるように、武田薬品工業(株)製ポリウレタン接着剤(主剤タケラックA515/硬化剤タケネートA50=10/1の溶液)を用いてドライラミネート機で貼り合わせて、太陽電池裏面保護膜を作成した。
○:1000eV以上
×:1000eV未満
フィルムの縦方向に100mm長、横方向に10mm幅に切り出した短冊状の試料片を、温度121℃、湿度100%RHに設定した環境試験機内に50時間放置した。その後試料片を取り出しその縦方向の破断伸度を5回測定し平均値を求めた。その平均値を放置前の破断伸度の測定値で割った値を破断伸度保持率(%)とし、下記基準にて耐加水分解性を評価した。
破断伸度保持率(%)
=(50時間経過後の破断伸度)/(初期の破断伸度)×100
○: 破断伸度保持率 75%以上
×: 破断強度保持率 75%未満
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計および滴下ロートを備えたフラスコに、トルエン665部を仕込み、ゆるやかに窒素ガスを流しながら90℃に加熱した。そこへ、スチレン512部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン128部およびパ−ブチルO(日本油脂(株)製)25部からなる混合物を2時間にわたって滴下した。さらに、90℃で6時間攪拌を続けて反応を完結させた後、室温まで冷却して樹脂溶液を得た。次に得られた樹脂溶液をロータリーエバポレーターに移し、所定の温度および圧力でトルエンを留去した後、残留物を粉砕して、オキサゾリン基および芳香族基を有するビニル系重合体を得た。得られた重合体中にオキサゾリン基が存在することは、IRスペクトルにより、1655cm−1に特性吸収があることにより確認した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量をGPCにて測定したところ、30000であった。
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計および滴下ロートを備えたフラスコに、トルエン665部を仕込み、ゆるやかに窒素ガスを流しながら90℃に加熱した。そこへ、スチレン171部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン128部、メタクリル酸メチル350部、アクリル酸ブチル50部およびパ−ブチルO(日本油脂(株)製)25部からなる混合物を2時間にわたって滴下した。さらに、90℃で6時間攪拌を続けて反応を完結させた後、室温まで冷却して樹脂溶液を得た。次に得られた樹脂溶液をロータリーエバポレーターに移し、所定の温度および圧力でトルエンを留去した後、残留物を粉砕して、オキサゾリン基および芳香族基を有するビニル系重合体を得た。得られた重合体中にオキサゾリン基が存在することは、IRスペクトルにより、1655cm−1に特性吸収があることにより確認した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量をGPCにて測定したところ、30000であった。
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計および滴下ロートを備えたフラスコに、トルエン665部を仕込み、ゆるやかに窒素ガスを流しながら90℃に加熱した。そこへ、メチルメタクリレート600部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン128部およびパ−ブチルO(日本油脂(株)製)25部からなる混合物を2時間にわたって滴下した。さらに、90℃で6時間攪拌を続けて反応を完結させた後、室温まで冷却して樹脂溶液を得た。次に得られた樹脂溶液をロータリーエバポレーターに移し、所定の温度および圧力でトルエンを留去した後、残留物を粉砕して、オキサゾリン基および芳香族基を有するビニル系重合体を得た。得られた重合体中にオキサゾリン基が存在することは、IRスペクトルにより、1655cm−1に特性吸収があることにより確認した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量をGPCにて測定したところ、38000であった。
ジメチルテレフタレート(以下、DMTという)85重量部、エチレンエチレングリコール(以下、EGという)60重量部とを、酢酸カルシウム0.08重量部を触媒として反応器に仕込み、窒素雰囲気下で240℃まで昇温してエステル交換反応を行った。メタノールの留出量が理論量に対して90%以上に達した後、リン化合物としてポリマーに対し0.18重量%となるようにトリメチルホスフェート、および平均粒径1.5μmの塊状酸化珪素粒子がポリマーに対して350ppm含有するように調整したエチレングリコール溶液を添加し、次いで重合触媒として三酸化二アンチモン0.03重量部を添加した。その後、昇温と減圧を常法に従い徐々に行った。ポリエチレンテレフタレートが最終的に適度な溶融粘度になった時点で、参考例1で製造したビニル系重合体を、ポリエチレンテレフタレート100重量部に対して10重量部となるように添加した。その後、反応器内を3.0kPaに10分間保ち、反応を終了して固有粘度0.65、融点257℃のポリエチレンテレフタレート組成物を得た。これを285℃に加熱された押出機を用いて、20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出しして未延伸フィルムとした。次いで縦方向に100℃で3.5倍に延伸した後、横方向に110℃で3.8倍に延伸し、225℃で幅方向に3%収縮させながら熱固定し、厚さ50μmの太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムを得た。
この太陽電池裏面保護膜を用いて、湿熱処理(温度121℃、湿度100%RHの環境下で50時間経過)の前後の部分放電開始電圧を測定した。これらの評価結果を表1に示す。
ビニル系重合体の配合割合を表1記載のとおり変更する以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
ビニル系重合体を添加しない以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
ビニル系共重合体として参考例3で製造したものを用いる以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
(株)神戸製鋼製二軸混練押出機NEXT−60を用い、帝人ファイバー(株)製ポリエチレンテレフタレートFK−OMと参考例1(実施例3)または参考例2(実施例4)で製造したビニル系重合体とを重量比が100:25となるよう供給し、120kg/hの速度で溶融混練して押出し、固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレート組成物を得た。このポリエチレンテレフタレート組成物を用いて、実施例1と同様にして太陽電池裏面保護膜を作成した。評価結果を表1に示す。
実施例1で得られたポリエチレンテレフタレート組成物を、さらに温度230℃、真空度0.5mmHgの条件下で24時間の間、固相重合を行ない、固有粘度0.87のポリエチレンテレフタレート組成物を得た。このポリエチレンテレフタレート組成物を用いて、実施例1と同様にして太陽電池裏面保護膜を作成した。評価結果を表1に示す。
Claims (4)
- ポリエステル(A)100重量部と、側鎖にオキサゾリン基および芳香族基を有するビニル系重合体(B)5〜30重量部とからなるポリエステル組成物から構成され、121℃、100%RHの環境下で50時間経過後のフィルムの部分放電開始電圧が1000eV以上であることを特徴とする、太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルム。
- ビニル系重合体(B)の数平均分子量が1000〜40000である、請求項1記載の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルム。
- ポリエステル組成物の状態で測定したポリエステルの固有粘度が0.6〜1.0dl/gかつ末端カルボキシル基濃度が10〜30eq/Tである、請求項1記載の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池裏面保護膜用ポリエステルフィルムを用いた太陽電池裏面保護膜。
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