JP5662202B2 - 太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、耐加水分解性向上剤としてカルボジイミド系化合物を含有する白色の太陽電池裏面保護用フィルムであって、耐加水分解性に優れ、カルボジイミド系化合物のブリードアウトが改善された太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムに関する。
近年、太陽電池モジュールを用いる太陽光発電システムは、クリーンエネルギーを利用する発電手段の一つとして普及が進んでいる。太陽電池の裏面保護膜は、主として太陽電池モジュールの保護機能を有し、機械的特性に優れ、かつ耐候性、耐熱性および耐加水分解性等の諸特性を備えていることが必要とされている。
このような太陽電池裏面保護膜として、強度特性に優れたプラスチックシートが使用され、中でもフッ素系樹脂フィルムが広く用いられているが、近年、かかる太陽電池の裏面保護膜として、ポリエチレンテレフタレートフィルムの使用が種々検討されている(例えば特許文献1)。
また、太陽電池の裏面保護膜を白色に着色するなど隠蔽性を高めることにより、反射光も電気に変換して電池の光電換効率を高めることが検討されている。例えば、特許文献2には数平均分子量が18500〜40000であって、層全体に対して二酸化チタンを5〜40重量%含有する熱可塑性樹脂層を有する太陽電池用熱可塑性樹脂シートが提案されており、単層フィルムまたは二酸化チタンを多く含む熱可塑性樹脂層を両表層に用いた3層フィルムが開示されている。
しかしながら、ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたものは、比較的安価であるがプラスチックフィルムの中で耐熱性や耐加水分解性は十分とはいえない。太陽電池用裏面保護フィルムには、とりわけ耐加水分解性向上の要求が高く、これまでにも種々の提案がなされてきており、例えば特許文献2にはポリエステルを含む熱可塑性樹脂を高分子量化することで耐加水分解性を高めることが記載されている。
またポリエステルフィルムの耐加水分解性を高める他の方法として、エポキシ基を有する耐加水分解性向上剤やカルボジイミド系化合物など、種々の耐加水分解性向上剤をフィルムに添加することが検討されている。
例えば特許文献3にはカルボジイミド系化合物の単量体または重合体を添加したポリエステルフィルムが開示されており、3層積層フィルムとしてカルボジイミド系化合物を内層のベース層にのみ含み、両外層としてカルボジイミド系化合物を含まない高々1.5μmの層を有するフィルムが記載されている。
しかしながら、カルボジイミド系化合物を耐加水分解性向上剤として用いると耐加水分解性は向上するものの、フィルム製造工程や加工工程においてイソシアネートや他の副生成物および分解物によるガスが発生することがあり、特に射出成形品などよりもフィルムのような大きな表面積を有する成形品の方がガスなどの発生が生じやすい。
また、本発明者等はカルボジイミド系化合物の太陽電池裏面保護膜への検討を進めるうちに、カルボジイミド系化合物に含まれている、完全に高分子量化せずに残存しているカルボジイミドの低分子量成分などがフィルムからブリードアウトし、太陽電池の充填材や接着剤と裏面保護フィルムとの間に剥離が生じることを新たに見出した。
特開2009−188105号公報 特開2006−270025号公報 特開2002−187965号公報
本発明は上記の問題点に注目してなされたものであり、耐加水分解性向上剤としてカルボジイミド系化合物を含有する白色の太陽電池裏面保護用フィルムにおいて、耐加水分解性に優れるとともに、カルボジイミド系化合物のブリードアウトが改善され、高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下や太陽電池の充填材や接着剤との接着性の低下が抑制された太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムを提供することにある。
また本発明の別の課題は、耐加水分解性向上剤としてカルボジイミド系化合物を含有する白色の太陽電池裏面保護用フィルムにおいて、耐加水分解性に優れるとともに、カルボジイミド系化合物のブリードアウトが改善され、高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下や充填材や接着剤との接着性の低下が抑制され、同時にフィルム剥離時、あるいは太陽電池に組み込んでモジュール化させた際に積層される部材などの影響によるフィルム凝集破壊が改善された太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、白色顔料を含む太陽電池裏面保護用ポリエステルフィルムに耐加水分解性向上剤としてカルボジイミド系化合物を用いるに際し、カルボジイミド系化合物および白色顔料を含むポリエステル層の両面にカルボジイミド系化合物を実質的に含有しないポリエステル層を設けるとともにその層厚みを従来よりも厚くすることにより、太陽電池裏面保護用フィルムとして高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下が抑制されると同時に、太陽電池の充填材や接着剤との接着性の低下が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の目的は、基材層(B)およびその両側に設けられた表層(A)からなる三層構成の二軸配向ポリエステルフィルムであって、該表層(A)はカルボジイミド系化合物を含まない熱可塑性ポリエステルからなり、表層(A)1層あたりの厚みが3.0μm以上であり、該表層(A)を構成する熱可塑性ポリエステル100重量部に対して0.1重量部以上2重量部以下の範囲で白色顔料を含有し、該基材層(B)はカルボジイミド系化合物および白色顔料を含有し、該カルボジイミド系化合物の含有量は基材層(B)を構成する熱可塑性ポリエステル100重量部に対して0.3重量部以上2.5重量部以下である太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムによって達成される。
また本発明の太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムは、その好ましい態様として、該基材層(B)における白色顔料の含有量が基材層(B)を構成する熱可塑性ポリエステル100重量部に対して1重量部以上10重量部以下であること、該白色顔料が酸化チタンであること、太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムを構成する熱可塑性ポリエステルの極限粘度が0.55dl/g以上0.80dl/g以下の範囲にあり、かつ該熱可塑性ポリエステルの末端カルボキシル基濃度が5当量/トン以上25当量/トン以下の範囲にあること、該カルボジイミド系化合物がビスカルボジイミドまたは芳香族ポリカルボジイミドであること、の少なくともいずれか一つを具備するものを包含するものである。
本発明によれば、高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下や太陽電池の充填材や接着剤との接着性の低下が抑制された、熱可塑性ポリエステルからなる太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[熱可塑性ポリエステル]
本発明の太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムの各層を構成する熱可塑性ポリエステルとして、芳香族ジカルボン酸成分またはそのエステル形成性誘導体成分とジオール成分またはそのエステル形成性誘導体成分とを重縮合して得られる熱可塑性ポリエステルが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸を例示することができる。ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオールを例示することができる。
熱可塑性ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。なお、熱可塑性ポリエステルはホモポリマーであってコポリマーであってもよく、これらのブレンドであってもよいが、耐加水分解性の観点から好ましくはホモポリマーを使用する。また、表層と基材層の熱可塑性ポリエステルは異なる種類のものでも同一のものでも構わない。
本発明の太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムの原料に用いる熱可塑性ポリエステルの極限粘度数は、いずれの層についても好ましくは0.50dl/g〜0.90dl/g、さらに好ましくは0.55dl/g〜0.85dl/gである。耐加水分解性の観点からはフィルムを構成する熱可塑性ポリエステルの極限粘度数が高い方が良く、そのためには極限粘度数の高い熱可塑性ポリエステル原料を用いてフィルムを製造することが好ましい。しかし、原料の極限粘度数が高すぎると樹脂の溶融粘度が高いために溶融押出が困難になり、また原料の重合時間が長くなることがある。そのためフィルムの耐加水分解性と生産性のバランスを考慮し、上述の範囲の極限粘度数を有する熱可塑性ポリエステルを用いることが好ましい。かかる極限粘度数の熱可塑性ポリエステルを得る方法として、原料の重合時間を調整することで得られ、さらに必要に応じて固相状態での重合(固相重合)を施してもよい。また、基材層(B)を構成する熱可塑性ポリエステルについてはカルボジイミド化合物を用いることでもかかる極限粘度数のポリエステルを得ることができる。
上述の極限粘度は、試料0.6gをオルソクロロフェノール50ml中に加熱溶解した後、一旦冷却させ、その溶液をオストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出した値である。
[積層フィルム]
本発明の太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムは、基材層(B)およびその両側に設けられた表層(A)からなる三層構成の二軸配向ポリエステルフィルムである。また表層(A)1層あたり3.0μm以上の厚みを有することが必要である。
耐加水分解性を付与するために用いられるカルボジイミド系化合物は、例えそれが高分子量のものであっても、低分子量の成分を一部含んでいる。そのため、カルボジイミド系化合物を含む層をフィルム表面に露出した構造としたのでは、低分子量の成分がフィルムの表面にブリードアウトすることになる。太陽電池裏面保護用フィルムには、通常、EVA(エチレンビニルアセテート)などの充填材層や、保護膜を積層するための接着剤層を設けるが、カルボジイミド系化合物の低分子量成分のブリードアウトがあると、これらの層との接着性が低下する。
本発明ではかかるブリードアウトを防ぐために、カルボジイミド系化合物を含まない層を表層(A)として基材層(B)の両面に設け、かつ表層1層あたりの厚みを3.0μm以上、好ましくは5.0μm以上とすることにより、カルボジイミド系化合物の低分子量成分のブリードアウトを抑制し、太陽電池裏面保護用フィルムとして太陽電池の充填材層や接着剤層と貼り合せた際の接着性低下を抑制することにより、太陽電池の耐久性を高めるものである。表層1層あたりの厚みの上限値は特に制限されないが、太陽電池裏面保護膜として使用される厚みを考慮し、12.0μm以下、さらに10.0μm以下であることが好ましい。
また、カルボジイミド系化合物を含有するポリエステル組成物を単層で溶融押出する場合にはイソシアネート系の分解ガスが発生して粘膜を刺激することがあるが、かかる表層厚みを有する三層構成とすることにより、刺激性ガスの発生が抑制される。
なお、表層の厚みは二軸延伸後の厚みであり、押出直後の延伸前における積層シートの表層の厚みは、延伸倍率が面積倍率で例えば9倍である場合は27μm以上、例えば8倍である場合は24μm以上である。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに耐加水分解性を付与し、かつブリードアウトを十分に抑制するために、表層と基材層の厚みの比率を、表層/基材層/表層=1/6/1〜1/12/1の範囲とすることが好ましい。表層に対する基材層の厚みが相対的に薄くなりすぎると、基材層による耐加水分解性が十分に発現しないことがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは20〜300μm、さらに好ましくは40〜250μm、特に好ましくは50〜200μmである。
[表層(A)]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの表層(A)は、カルボジイミド系化合物を含まない熱可塑性ポリエステルからなる。ここで、「カルボジイミド系化合物を含まない」とは、表層がカルボジイミド系化合物を全く含有しないか、含有するとしても表面へのカルボジイミド系成分のブリードアウトが生じない、ごく少量の含有量であることを意味する。例えば、表層の熱可塑性ポリエステル100重量部に対してカルボジイミド系化合物が0.1重量部未満、さらには0.05重量部以下である。表層にはカルボジイミド系化合物が全く含有されていないことが最も好ましい。
また、表層(A)には白色顔料が含まれていないか、含まれるとしても該表層を構成する熱可塑性ポリエステル100重量部に対して2重量部以下の範囲であることが好ましい。また白色顔料の上限値はより好ましくは1.8重量部以下、さらに好ましくは1.5重量部以下、特に好ましくは1.0重量部以下である。他方、表層(A)に白色顔料が含まれる場合は、かかる白色顔料の含有量の下限値は0.05重量部以上が好ましく、0.1重量部以上がさらに好ましい。白色顔料の含有量が下限値未満であると、表層に多くの太陽光が当たり表層のポリエステル樹脂を劣化させてしまうことがある。他方、白色顔料の含有量が上限値を超えてしまうと、ポリエステルフィルムの耐加水分解性が低下したり、太陽電池の充填材であるEVAとの接着性が低下したり、フィルム剥離時、あるいは太陽電池に組み込んでモジュール化させた際に積層される部材などの影響により、フィルム凝集破壊が生じるなどの影響を及ぼすことがある。
白色顔料として、太陽光の透過を遮る効果を有するものであれば特に制限されず、例えば酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素、アルミナなどの粒子が例示され、この中でも酸化チタンは効率良く光を吸収するため好ましい。さらに好ましくは、ルチル型結晶系の酸化チタンである。
本発明の太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムには、必要に応じてさらに性能を上げるために、従来公知の各種添加剤を含有してもよく、例えば滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤を添加することができる。酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール化合物を、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール化合物、トリアジン化合物を例示することができる。これら添加剤は、積層フィルムの少なくとも一層に配合してもよく、積層フィルムのうえに塗布層を設け、塗布層に配合してもよい。
[基材層(B)]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの基材層(B)は、カルボジイミド系化合物および白色顔料を含有する熱可塑性ポリエステル組成物からなる層である。熱可塑性ポリエステル組成物の熱可塑性ポリエステルとしては、表層の熱可塑性ポリエステルで説明した種類の熱可塑性ポリエステルを用いることができる。基材層の熱可塑性ポリエステルは、表層(A)の熱可塑性ポリエステルと同じであってもよく、異なってもよい。
(カルボジイミド系化合物)
本発明において、カルボジイミド系化合物は基材層(B)に含有される。カルボジイミド系化合物は熱可塑性ポリエステルとの反応性が高く、太陽電池の裏面保護膜に求められる高度な耐加水分解性を付与することができる。
カルボジイミド系化合物は、基材層(B)を構成する熱可塑性ポリエステルを100重量部として0.3重量部以上2.5重量部以下、より好ましくは0.6重量部以上1.5重量部以下の範囲で含有される。
カルボジイミド系化合物の含有量が下限値に満たないと耐加水分解性向上剤としての効果が十分に発現しない。他方、上限値を超えてカルボジイミド系化合物を用いてもそれ以上の耐加水分解性効果が得られないだけでなく、熱可塑性ポリエステルが増粘することにより生産効率が低下したり、フィルムが黄色く着色したり、過剰なカルボジイミド同士が反応してフィルム中で異物になるなどの悪影響がでる。
カルボジイミド系化合物として、ビスカルボジイミドまたは芳香族ポリカルボジイミドを用いることが好ましく、R−N=C=N−Rで表される化合物を用いることが好ましい。R、Rは各々独立に、炭素数炭素数1〜12の直鎖状炭化水素基、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基または炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を表わしており、上式で表される化合物はRおよびRを介して連結されたポリマーとなっていてもよい。
直鎖状炭化水素基として、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルケニル基が挙げられる。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、プロペニル基、ブチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。脂環式炭化水素基として、炭素数6〜20のシクロアルキル基が挙げられ、例えばシクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素数6〜14の芳香族炭化水素基としてフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜8のアルキル基で置換されていても良い。
かかるカルボジイミド系化合物としてはN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’−ジ−n−ブチルカルボジイミド、N,N’−ジ−n−ヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ビス(2−メチルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2−エチルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジメチルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジエチルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)カルボジイミド、N,N’−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)カルボジイミド、カルボジライトLA−1(登録商標)、カルボジライトHMV−8CA(登録商標)、スタバクゾールI(登録商標)、スタバクゾールP(登録商標)、ベンゼン−2,4−ジイソシアナート−1,3,5−トリス(1−メチルエチル)カルボジイミド(商品名、スタバクゾールP100(登録商標))等が挙げられる。
その中でも特に分子量が5000以上のものが好ましく、これは多湿環境下の耐加水分解性の観点だけでなく、100℃を超える高温環境下での耐加水分解性の観点において非常に良好なためである。好ましい化合物においては、ベンゼン−2,4−ジイソシアナート−1,3,5−トリス(1−メチルエチル)カルボジイミド(商品名、スタバクゾールP100(登録商標))が特に好ましい。
カルボジイミド系化合物を基材層に添加する方法として、高濃度のカルボジイミド系化合物を含有するマスターバッチを製造し、このマスターバッチとカルボジイミド系化合物を含有しない熱可塑性ポリエステルとを溶融混練して所定量のカルボジイミド系化合物の含有量に調整された組成物を製造する方法が好ましい。マスターバッチにおけるカルボジイミド系化合物の濃度は、マスターバッチ全重量に対してカルボジイミド系化合物が5重量%から20重量%の範囲にあることが好ましい。カルボジイミド系化合物濃度が20重量%より高いと、マスターバッチの製造工程で高粘度化してしまい生産効率が低下したり、過剰なカルボジイミド同士が反応して異物になるなどの悪影響がでることがある。他方、カルボジイミド系化合物の濃度が低いと、目的とするポリエステルフィルム中に添加する濃度を満たすことができず、耐加水分解性向上剤としての効果が十分に発現しないことがある。マスターバッチにおけるカルボジイミド系化合物の濃度は、マスターバッチ全重量に対して10〜17重量%の範囲がさらに好ましく、15重量%が最も好適である。その他の方法として、カルボジイミド系化合物を加熱して液状に溶融し、基材層(B)の押出機の途中で直接添加する方法を用いることもできる。
(白色顔料)
本発明における基材層(B)は白色顔料を含む層である。白色顔料を含む二軸配向ポリエステルフィルムを太陽電池裏面保護膜として用いることにより太陽光を吸収および/または反射し、太陽光の照射による経時的なフィルム強度の低下が小さく、強度保持率を高めることができる。同時に、太陽光の裏面反射を増大させ、太陽電池の変換効率を高めることができる。またかかる白色顔料を基材層(B)に用いることにより、表層中の白色顔料量を減らすことができ、フィルム剥離時等のフィルム凝集破壊を抑制することができる。
かかる白色顔料として酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどが挙げられ、特に酸化チタンが好ましい。太陽電池裏面保護膜は長年屋外で使用されるため、太陽光の吸収および/または反射を高めるとともに耐光性に優れた材料であることが好ましく、酸化チタン、特にルチル型結晶系の酸化チタンを用いることで、ポリエステルフィルムを劣化させる吸収波長に対して効率的に光を吸収し、ポリエステルの分解を防ぎ、経時劣化を効果的に抑えることができる。
基材層(B)に含まれる白色顔料の含有量は、基材層(B)を構成する熱可塑性ポリエステルを100重量部として1重量部以上10重量部以下であることが好ましく、より好ましくは2重量部以上7重量部以下、さらに好ましくは3重量部以上6重量部以下である。
白色顔料の含有量が下限値に満たないと、太陽光を吸収および/または反射するのに十分な量を満たせず、ポリエステルフィルムを劣化させ、フィルムの強度低下や黄変に影響を及ぼすことがある他、太陽光の裏面反射効率についても十分ではないことがある。他方、白色顔料の含有量が上限値を超えると、経時劣化後のフィルムの強度が低下して耐加水分解性の低下につながることがある。
[極限粘度および末端カルボキシル基濃度]
太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムを構成する熱可塑性ポリエステルの極限粘度は0.55dl/g以上0.80dl/g以下の範囲であることが好ましく、さらに0.60dl/g以上0.80dl/g以下が好ましい。また太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムを構成する熱可塑性ポリエステルの末端カルボキシル基濃度は5当量/トン以上25当量/トン以下の範囲であることが好ましく、さらに5当量/トン以上20当量/トン以下の範囲であることがより好ましい。太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムを構成する熱可塑性ポリエステルの極限粘度が高く、また末端カルボキシル基濃度が低い方が耐加水分解性は良好である。かかる極限粘度および末端カルボキシル基濃度は、フィルム製膜後のフィルム全体の熱可塑性ポリエステルの特性を指している。
フィルム製膜後の熱可塑性ポリエステルの極限粘度の測定についても、前述の熱可塑性ポリエステルに記載した方法を用いて測定される。また、ここでいう末端カルボキシル基濃度は、試料10mgをHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール):重クロロホルム=1:3の混合溶媒0.5mlに溶解してイソプロピルアミンを数滴添加し、H−NMR法(50℃、600MHz)により定量して求められる。
かかる末端カルボキシル基濃度は、熱可塑性ポリエステルの重合後に固相重合を行い、さらに本発明のカルボジイミド系化合物と反応させることによって得ることができる。
[耐加水分解性]
本発明の太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムは、温度121℃、湿度100%RHの環境におけるエージング前後での破断伸度保持率が50%に低下する半減時間が80時間以上であることが好ましい。かかる半減時間を有することにより、本発明のフィルムを屋外で長期使用しても良好な機械強度を維持することができる。かかる破断伸度保持率が下限値に満たないと耐加水分解性の不足により、屋外での長期使用において劣化を引き起こし、太陽電池裏面保護膜として十分な強度を維持できないことがある。ポリエステルフィルムの破断伸度保持率をかかる範囲にするには、基材層(B)にカルボジイミド系化合物を含み、かつ基材層(B)の熱可塑性ポリエステルの極限粘度数および末端カルボキシル基濃度を所定の範囲とし、本発明に記載の製造条件にて製造するのが好ましい。
温度121℃、湿度100%RHの環境における80時間エージングは、概ね40年間の屋外暴露状態に相当する耐加水分解性を検査する加速試験であり、このエージング前後での伸度保持率が50%未満であると、耐加水分解性の不足により屋外での長期使用において劣化を引き起こし機械的性質が低下する可能性がある。
[接着性]
本発明の太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムは、EVA(エチレンビニルアセテート)との接着強度が15〜20N/15mmの範囲で、さらに温度121℃、湿度100%RHの環境下で48時間のエージングの後も10N/15mm以上の接着強度を維持していることが好ましい。この接着性は、カルボジイミド系化合物を実質的に含有しない表層を1層あたり3.0μm以上の厚みで設けることで達成できる。他方、表層の厚みが1層あたり3.0μm未満であると、カルボジイミド系化合物が含まれる基材層からカルボジイミド系化合物の低分子量成分が表層を通過してフィルム表面にまでブリードアウトしやすく、初期の接着強度が低下したり、特にエージング後の接着強度を10N/15mm以上に維持することが困難となることがある。また、表層に実質的にカルボジイミド系化合物を用いることも接着性を低下させる一因となる。
[太陽電池裏面保護膜]
本発明の白色の二軸配向ポリエステルフィルムは、太陽電池の裏面を保護する膜、通常、太陽電池裏面保護膜や太陽電池バックシートと称される部材に用いられ、本発明のフィルム1枚で使用してもよく、他のフィルムとの複合体として用いてもよい。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのうえに、EVA(エチレンビニルアセテート)などといった太陽電池素子の封止樹脂層が設けられる。本発明の二軸配向ポリエステルフィルムとかかる封止樹脂層とは接着層を介して貼り合せてもよい。また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムと封止樹脂や接着層との接着性を向上させる目的で本発明のフィルムに易接着性層を設けてもよい。
本発明の白色の二軸配向ポリエステルフィルムを太陽電池裏面保護膜として用いることにより、耐加水分解性に優れるとともに、カルボジイミド系化合物のブリードアウトが改善され、高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下や充填材や接着剤との接着性低下が抑制され、太陽電池素子の耐久性を高めることができる。
また、二軸配向ポリエステルフィルムの表層に含まれる白色顔料が熱可塑性ポリエステルに対して2重量部以下である範囲において、端子ボックスなどを接着剤で貼り付けた後、その重みによりフィルムの凝集破壊を生じることなく、端子ボックスを取り付けることができる。また、太陽電池裏面保護膜として重要な、EVAなどの充填剤や接着剤との接着性を向上でき、かつ高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても接着性の低下を抑制することができるため、太陽電池素子を保護でき耐久性を高めることができる。
[製造方法]
本発明の太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムの原料として用いる熱可塑性ポリエステルの製造方法について説明する。ここでは、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルの製造方法を例に説明する。まず、テレフタル酸ジメチルに代表される芳香族ジカルボン酸エステルとエチレングリコールに代表されるジオール、また必要に応じて共重合成分をエステル交換反応により反応させた後に重縮合反応を行う方法が挙げられる。この製造過程において、発生するアルコールを除去させつつエステル交換反応を実施した後、リン酸化合物を添加して実質的にエステル交換反応を完了させ、次いで得られた反応生成物にアンチモン化合物、チタン化合物などの金属触媒を添加し、重縮合反応を行う。より高い耐加水分解性のポリエステルフィルムを得るために、熱可塑性ポリエステルの極限粘度数を高くし、末端カルボキシル基濃度を低くすることが重要であり、このため、ポリエステルには固相重合を施すことが好ましい。
また、上記エステル交換反応の他に、テレフタル酸に代表される芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールに代表されるジオール、また必要に応じて共重合成分をエステル化反応させ、その後重縮合反応を行う方法を用いてもよい。
本発明の太陽電池裏面保護用に用いる二軸配向ポリエステルフィルムは、従来公知の製膜法に準拠して製造することができる。以下にその一例として、表層および基材層がともにポリエチレンテレフタレートの組成物で構成される場合について示す。なお、ポリマーの融点をTm、ガラス転移温度をTgと表記することがある。
まず、ポリエステル原料、カルボジイミド化合物など添加剤のマスターチップ、粉状の添加剤などを表層と基材層別々に準備し、所定の配合比にブレンドした後、必要に応じて乾燥する。続いて各々の原料を別々の押出機で280〜300℃の温度で溶融混合し、フィードブロックを用いた同時多層押出し法により多層構成にし、スリットダイより押出されたポリマーは、キャスティングドラムで冷却固化され、未延伸積層シートが形成される。すなわち表層(A)を構成するポリマーの溶融物と基材層(B)を構成するポリマーの溶融物とを、フィードブロックを用いて表層(A)/基材層(B)/表層(A)となるように3層に積層し、スリットダイに展開して押出を実施する。このとき、フィードブロックで積層されたポリマーは積層された形態を維持している。溶融混合する温度が280℃未満では樹脂の溶融が不充分で押出機への負荷が高くなりやすい。他方、溶融混合する温度が300℃を超えると樹脂の劣化が進み、結果としてフィルムの耐加水分解性の低下につながることがある。
次に、得られた未延伸積層シートを二軸方向に延伸する。延伸方法は、逐次二軸延伸でもよく、同時二軸延伸でもよい。例えば逐次二軸延伸を行う場合について説明すると、この未延伸積層シートを、ロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向(以下、フィルム連続製膜方向、長手方向、MD方向と称することがある)に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸温度はポリエステルのガラス転移点(Tg)以上の温度、さらには(Tg)℃〜(Tg+70)℃とするのが好ましい。縦延伸後のフィルムは、続いて、縦方向と直交する方向(以下、横方向、幅方向、TD方向と称することがある)に横延伸、熱固定、必要に応じて熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、これらの処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸はポリエステルのガラス転移点(Tg)より高い温度から始め、(Tg+5)℃〜(Tg+70)℃まで昇温しながら行う。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが、通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。延伸倍率は、縦方向、横方向ともに好ましくは2.8〜4.5倍、さらに好ましくは3.0〜4.0倍である。延伸倍率を下限値未満とするとフィルムの厚み斑が発生したり、延伸配向による耐加水分解性への寄与が十分に生じないことがある。他方、延伸倍率が上限値を超えると製膜中に破断が発生しやすくなる。
横延伸後のフィルムは、両端を把持したまま(Tm−55)℃〜(Tm−15)℃で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理を行い、熱収縮率を低下させると寸法安定性が良くなる。上限値を超える温度で熱処理するとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなることがある。また、下限値より低い温度で熱処理すると熱収縮率の低減効果が十分に発現しないことがある他、本発明の太陽電池裏面保護膜に例えば端子ボックスなどを接着剤で貼り付けた際等にフィルム凝集破壊が生じやすくなることがある。
熱固定処理の後、例えば特開昭57−57628号公報に記載されているように、フィルム温度を常温に戻す過程で把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する方法が挙げられる。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは1.0〜4.0%、さらに好ましくは1.2〜3.5%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩し(この速度ダウンの値を弛緩率と称する)、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整することができる。また横方向の寸法安定性を高めるために、フィルムの両端を切り落すまでの過程で把持しているフィルムの幅を減少させて、所望の熱収縮率を得ることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)組成分析
必要に応じて表層及び芯層を削り取り、試料5mgを重トリフルオロ酢酸/重クロロホルム=1/1混合溶媒0.5mlに溶解し、H−NMR法(50℃、600MHz)により、各層のポリマーおよび有機添加剤の組成を特定した。
(2)カルボジイミド系化合物の含有量
上述したH−NMR法によるスペクトルから見積り、カルボジイミド系化合物の含有量を算出した。
(3)層構成
サンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋した。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向と厚み方向を含む面に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡(日立製作所製 S−4300)を用いて加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層の厚みを10点ずつ測定し、各層の平均厚みを求めた。
(4)白色顔料の含有量
単層フィルムの場合はそのまま、積層ポリエステルフィルムの場合はそれぞれの層を10g程度削り取ってサンプリングし、ポリエステルは溶解し顔料は溶解させない溶媒を選択して、サンプルを溶解した後、顔料をポリエステルから遠心分離し、サンプル重量に対する顔料重量の比率から含有量を算出した。顔料種の同定は、SEM−XMA、ICPによる金属元素の定量分析などを使用して行うことができる。
(5)フィルムの厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて10点の厚みを測定し、平均値をフィルムの厚みとした。
(6)極限粘度数(IV)
重量比が6:4のフェノール:トリクロロエタン混合溶媒に溶解後、35℃の温度にて測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml)、Kはハギンス定数である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
(7)末端カルボキシル基濃度
試料10mgをHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール):重クロロホルム=1:3の混合溶媒0.5mlに溶解してイソプロピルアミンを数滴添加し、H−NMR法(50℃、600MHz)により定量した。
(8)耐加水分解性
フィルムの縦方向に100mm長、横方向に10mm幅に切り出した短冊状の試料片を、温度121℃、湿度100%RHに設定した環境試験機内に放置し、10時間毎にその後試料片を取り出し、試料の縦方向の破断伸度を5回測定し、平均値を求めた。引張試験は東洋ボールドウィン社製(商品名「テンシロン」)を用いて行い、チャック間距離50mm、引張速度50mm/minにて実施した。5点の平均値を、環境試験機内で放置する前のサンプルについて測定した破断伸度5点の平均値で割った値を破断伸度保持率[%]とし、その破断伸度保持率が50%に低下したときの半減時間を下記基準にて耐加水分解性として評価した。以下の評価基準で◎または○にあたる破断伸度保持率の半減時間を有するものを耐加水分解性良好と判断した。
<121℃100%RHの破断伸度保持率(%)の半減時間の評価基準>
◎:破断伸度保持率の半減時間が100時間以上
○:破断伸度保持率の半減時間が80時間以上100時間未満
×:破断伸度保持率の半減時間が80時間未満
(9)接着強度(初期値)
フィルムを200mm×200mmのサイズにサンプリングし、太陽電池用ガラス板(AGC社製白板ガラス、200mm×200mm角、3mm厚)とEVAシート(サンビック製Ultra Pearl PV Standard Cure Type、170mm×170mm角、厚み600μm)とフィルムサンプルをこの順に重ねて、日清紡製小型真空ラミネーター(PVL0202S)を用いてラミネートして積層サンプルとした。続いてこの積層サンプルを温度150℃のオーブン内で30分間エージングした。その後、フィルム側から15mm幅でスリットを入れ、引張試験機を用いて未接着部のフィルムを挟んで、引張速度100mm/minの速度でT字剥離にて接着強度を測定した(単位はN/15mm)。下記の基準で評価した。
◎:接着強度が20N/15mm以上、またはフィルム片が破断した
○:接着強度が15N/15mm以上、20N/15mm未満
×:接着強度が15N/15mm未満
(10)接着強度(湿熱処理後)
上記(9)と同様の方法でサンプルを作成して、温度121℃、湿度100%RHの雰囲気にサンプルを48時間保持した後、同様にT字剥離にて接着強度を測定した(単位はN/15mm)。下記の基準で評価した。
◎:接着強度が15N/15mm以上、またはフィルム片が破断した
○:接着強度が10N/15mm以上、15N/15mm未満
×:接着強度が10N/15mm未満
(11)耐光性(耐光性試験後の機械特性)
高圧水銀ランプ(東芝製 TOS CURE 401)を用いてフィルムに200W/mの照射強度で10時間紫外線照射を行った後、ASTM−D61Tによりフィルムの破断伸度を測定し、照射前の破断伸度を100%にしたときの比(保持率)で比較し、下記の基準で判定した。
◎:保持率が80%以上
○:保持率が50以上80%未満
×:保持率が50%未満
(12)フィルムの耐凝集破壊性評価
フィルムを200mm×200mmのサイズにサンプリングし、耐凝集破壊性評価を実施するフィルム面同士を、太陽電池バックシート用のドライラミネート接着剤で貼り合せた。ドライラミネート用接着剤として、三井化学ポリウレタン株式会社製の製品名タケラックA315(100重量部)と製品名タケネートA50(10重量部)とを混合したウレタン系接着剤を、固形分の塗工量が3g/mとなるように調整・塗布を行った。エージングとして、50℃環境下にて4日間放置した。その後、15mm幅でスリットを入れ、引張試験機を用いて未接着部のフィルムを挟んで、引張速度500mm/minの速度でT字剥離にて、凝集破壊発生の有無を確認して下記の基準で評価した。
◎:フィルムに凝集破壊の発生はなく、接着強度が高いためにフィルムが破断した
○:フィルムに凝集破壊の発生はないが、フィルム破断までは至らなかった
×:フィルムに凝集破壊の発生がみられた
(参考例1)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−a)
エステル交換反応容器にテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを60重量部、酢酸マグネシウム四水塩を0.06重量部仕込み、150℃に加熱して溶融し撹拌した。反応容器内温度をゆっくりと235℃まで昇温しながら反応を進め、生成するメタノールを反応容器外へ留出させた。メタノールの留出が終了したらフェニルホスホン酸を添加し、エステル交換反応を終了させた。その後反応物を重縮合装置に移行し、酸化アンチモンを添加した。ついで重合装置内の温度を235℃から290℃まで90分かけて昇温し、同時に装置内の圧力を大気圧から100Paまで90分かけて減圧した。重合装置内容物の撹拌トルクが所定の値に達したら装置内を窒素ガスで大気圧に戻して重合を終了した。重合装置下部のバルブを開いて重合装置内部を窒素ガスで加圧し、重合の完了したポリエチレンテレフタレートをストランド状にして水中に吐出した。ストランドはカッターによってチップ化した。このようにして極限粘度が0.60dl/g、末端カルボキシル基濃度が17当量/トンであるポリエチレンテレフタレートのポリマーを得た。これをPET−aと称する。
(参考例2)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−b)
参考例1で得られたポリマー(PET−a)を150〜160℃で3時間予備乾燥した後、210℃、100トール、窒素ガス雰囲気下で7時間固相重合を行った。固相重合後の極限粘度は0.76dl/g、末端カルボキシル基濃度は10当量/トンであった。これをPET−bと称する。
(参考例3)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−c)
参考例2で得られたポリマー(PET−b)85重量%とライン・ケミー社製芳香族ポリカルボジイミド『Stabaxol P100』15重量%とをブレンドし、二軸混練機に供給して280℃で溶融した。溶融混練したポリエステル組成物をストランド状にして水中に吐出し、カッターによってチップ化した。これをPET−cと称する。
(参考例4)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−d)
参考例2で得られたポリマー(PET−b)60重量%と堺化学株式会社製ルチル型酸化チタン粒子TCR−52(平均粒径0.2μm)40重量%とをブレンドし、二軸混練機に供給して280℃で溶融した。溶融混練したポリエステル組成物をストランド状にして水中に吐出し、カッターによってチップ化した。これをPET−dと称する。
(参考例5)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET−e)
参考例2で得られたポリマー(PET−b)60重量%と堺化学工業株式会社製沈降性硫酸バリウム粒子300R(平均粒径0.7μm)40重量%とをブレンドし、二軸混練機に供給して280℃で溶融した。溶融混練したポリエステル組成物をストランド状にして水中に吐出し、カッターによってチップ化した。これをPET−eと称する。
[実施例1〜8]
表1に示した表層(A)、基材層(B)のポリエステル原料をそれぞれ別々の回転式真空乾燥機にて180℃で3時間乾燥した後、別々の押出機に供給して280℃で溶融押出し、三層フィードブロックを用いて合流させた後、その積層状態を保持したままスリットダイよりシート状に成形した。各層の厚みの比率は各押出機に供給する原料の量で調整し、(A)層/(B)層/(A)層を表1に記載の比率とした。さらにこのシートを表面温度20℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを100℃にて長手方向(縦方向)に3.5倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.7倍延伸した。その後テンター内で220℃に加熱された雰囲気中で約10秒間熱固定を行い、横方向に4%の幅入れを行い、続いて両端を切り落して長手方向に2.5%の弛緩率で弛緩した後、室温まで冷やして、表1に記載した厚みの積層フィルムを得た。得られたフィルムは耐加水分解性に優れ、またEVAとの初期接着強度、湿熱処理後の接着強度ともに良好であり、また耐凝集破壊性、耐光性にも優れており、太陽電池用積層フィルムとして適していた。
[比較例1]
基材層(B)のみの単層フィルムとし、延伸以降は実施例1と同様の条件で厚み50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1のとおりであった。基材層(B)から低分子量成分がブリードアウトするのを防ぐ層がないため、湿熱処理後のEVAとの接着強度が低下し、太陽電池用積層フィルムとしては不向きであった。
[比較例2]
基材層(B)の原料の配合比を変える以外は実施例1と同様の操作を行い、厚み50μmの積層フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1のとおりであった。カルボジイミドを添加していないため、耐加水分解性向上の効果が見られなかった。
[比較例3]
フィルムの厚みを25μmに変更し、原料の配合比を変える以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1のとおりであった。表層(A)の厚みが薄かったため、湿熱下で基材層(B)から低分子量成分がブリードアウトし、湿熱処理後のEVAとの接着強度が低下し、太陽電池用積層フィルムとしては不向きであった。
[比較例4]
各層の厚み比率を(A)層/(B)層/(A)層=40%/20%/40%に変更し、原料の配合比を変える以外は実施例1と同様にして厚み50μmの積層フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1のとおりであった。フィルム中に占める基材層(B)の厚みが薄く、耐加水分解性が高くない表層(A)の厚みが厚かったことと、基材層(B)のカルボジイミド系化合物の量が少なかったことから、フィルム全体としては耐加水分解性に劣り、太陽電池用積層フィルムとしては不向きであった。
[比較例5]
表層(A)と基材層(B)の原料の配合比を変える以外は実施例1と同様に行い、厚み50μmの積層フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1のとおりであった。表層(A)にカルボジイミド系化合物が含まれており、その低分子量成分が湿熱下で表層(A)からブリードアウトして湿熱処理後のEVAとの接着強度が低下し、太陽電池用積層フィルムとしては不向きであった。
[比較例6,7]
表層(A)と基材層(B)の原料の配合比を変える以外は実施例1と同様に行い、厚み50μmの積層フィルムを得た。得られたフィルムの特性は表1のとおりであった。比較例6では、基材層(B)に白色顔料を含まず、表層(A)にのみ2重量部を超える多量の白色顔料を含んだ白色フィルムであり、EVAとの接着強度を低下させ、またフィルム表層に凝集破壊が発生したため、太陽電池用積層フィルムとしては不向きであった。
また比較例7は、白色顔料がどの層にも添加されておらず、白色フィルムではなく、耐光性が低下した。
Figure 0005662202
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下が抑制され、同時に太陽電池の充填材や接着剤との接着性低下が抑制されることから、長期の耐加水分解性を有する白色の太陽電池裏面保護膜として、あるいは白色の太陽電池裏面保護膜を構成するフィルムとして特に有用である。

Claims (5)

  1. 基材層(B)およびその両側に設けられた表層(A)からなる三層構成の二軸配向ポリエステルフィルムであって、該表層(A)はカルボジイミド系化合物を含まない熱可塑性ポリエステルからなり、表層(A)1層あたりの厚みが3.0μm以上であり、該表層(A)を構成する熱可塑性ポリエステル100重量部に対して0.1重量部以上2重量部以下の範囲で白色顔料を含有し、該基材層(B)はカルボジイミド系化合物および白色顔料を含有し、該カルボジイミド系化合物の含有量は基材層(B)を構成する熱可塑性ポリエステル100重量部に対して0.3重量部以上2.5重量部以下であることを特徴とする太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルム。
  2. 該基材層(B)における白色顔料の含有量が基材層(B)を構成する熱可塑性ポリエステル100重量部に対して1重量部以上10重量部以下である請求項1に記載の太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルム。
  3. 該白色顔料が酸化チタンである請求項1または2に記載の太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルム。
  4. 太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルムを構成する熱可塑性ポリエステルの極限粘度が0.55dl/g以上0.80dl/g以下の範囲にあり、かつ該熱可塑性ポリエステルの末端カルボキシル基濃度が5当量/トン以上25当量/トン以下の範囲にある請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルム。
  5. 該カルボジイミド系化合物がビスカルボジイミドまたは芳香族ポリカルボジイミドである請求項1〜のいずれかに記載の太陽電池裏面保護用白色ポリエステルフィルム。
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