JP4917943B2 - ガスバリアフィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ガスバリアフィルムの製造方法に関する。
液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示素子などにおいては、フレキシブル化、軽量化、薄型化などの要求に伴い、透明性樹脂フィルムが、従来の薄型表示装置に用いられていたガラス基板に代わって利用され始めている。
透明性樹脂フィルムはガラス基板に比べてガスバリア性に劣るという問題点がある。有機EL表示素子の基板としてこれを用いた場合には、ガスバリア性が劣ることから水蒸気や酸素が透過し、有機膜が劣化して発光特性、耐久性等を損なう要因となる。また、表面平滑性が劣り表面に突起があると、ガスバリア膜にピンホールが発生しやすく、ガスバリア性が十分に得られない。さらに、表面の突起により上面に製膜した電極層にも突起が生じ、断線や短絡が生じる問題があった。
特許文献1、2には、プラスチックフィルム等の基材上に金属酸化膜を真空蒸着して薄膜を形成するガスバリアフィルムの製造方法が開示されている。
特開平2−122924号公報 特開平2−250953号公報
しかしながら、フィルム基材に対しガスバリア層が積層された従来のガスバリアフィルムにおいては、フィルム基材とガスバリア層との間の密着性が損なわれ、十分なガスバリア性が発揮されない、あるいは経時変化に伴いガスバリア性が悪化するという問題があった。特に、高平滑性を有するガスバリアフィルムを得ようと、高平滑化層上にガスバリア層を積層する場合において、その傾向は顕著であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ガスバリア性および密着性に優れた高平滑ガスバリアフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために以下の手段を提案する。
すなわち、本発明の第の態様は、真空引きされたチャンバー内にプラズマ生成ガスを導入し、該チャンバー内においてフィルム基材に高周波電力を印加して該フィルム基材の周辺で該プラズマ生成ガスをプラズマ化させ、更に、該フィルム基材に負の直流高電圧のパルスを印加しつつターゲット材料をスパッタすることにより、該フィルム基材上にガスバリア層を積層することを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法である。
本発明により、ガスバリア性および密着性に優れたガスバリアフィルムが提供できる。さらに、本発明においてはガスバリア性および密着性に優れていることに加えて、高平滑性をも併せ持ったガスバリアフィルムを提供できるところにも特徴を有する。高密着性を有することによって、ガスバリア層のクラック、剥離等を防止し、優れたガスバリア性を長時間維持することができる。
従って、本発明のガスバリアフィルムは、水蒸気の発生を嫌う、液晶表示素子、有機EL表示素子などにおいて、水蒸気等による有機物の劣化の防止などが期待され、特に有機EL表示素子においては発光寿命、発光効率を向上させるために好適に用いることができる。
<ガスバリアフィルム>
本発明のガスバリアフィルムは、フィルム基材上にガスバリア層が積層された構成を有する。
本発明のガスバリアフィルムにおいて、フィルム基材の材料としては、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示素子などの用途分野の要求性能に応じて適宜選択され、特に制約はないが、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、脂環式構造含有重合体、芳香族系重合体などが挙げられる。これらの中でも汎用性、透明性、耐熱性等の観点からポリエステル、ポリアミドが特に好ましい。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレートなどが挙げられる。
ポリアミドとしては、全芳香族ポリアミド;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン共重合体が挙げられる。
フィルム基材の厚さとしては特に制約はなく、通常1〜1000μm、好ましくは5〜500μm、実用性の面から10〜200μmである。
本発明のガスバリアフィルムは、フィルム基材上に高平滑化層及びガスバリア層がこの順に積層された構成を有するものとすることができる。高平滑化層を積層することによりフィルム基材の凸凹を埋め、後述のとおり非常に高平滑な面を得ることができる。高平滑化層としては、液晶表示素子、有機EL表示素子などに適用可能となる高平滑化面を付与するものであれば制約はないが、例えば、エネルギー線硬化型化合物を含有するハードコート層形成材料を好ましく用いることができる。
ここで、エネルギー線硬化型化合物とは、紫外線や電子線のようなエネルギー線を照射することにより、架橋、硬化する重合性化合物を指す。
このようなエネルギー線硬化型化合物としては、例えば光重合性プレポリマー及び/又は光重合性モノマーを挙げることができる。光重合性プレポリマーとしては、例えば、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリオールアクリレート系などが挙げられる。また、光重合性モノマーとしては、例えば1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリルかシクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種類で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
また、前記エネルギー線硬化型化合物は、所望により光重合開始剤を併用することができる。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、アントラキノン系等を挙げることができる。配合量としては、通常、前記エネルギー線硬化型化合物に対して、0.2〜10質量%の範囲で選ばれる。
ハードコート層形成材料としては、エネルギー線硬化型化合物以外にも溶剤を含有させることができる。例えば、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、アルコール系、ケトン系、セロソルブ系、グリコールエーテル系などの溶剤が挙げられる。
この他、ハードコート層形成材料として光増感剤、架橋剤、酸化防止剤、重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤などを適宜含有させてもよい。
本発明において、高平滑化層はそれを積層することによりフィルム基材の凹凸を埋め、高平滑な面を得ることを目的としている。従って、高平滑化層を形成するための材料、例えば前記ハードコート層形成材料には、フィラー等の固形物が含まれないことが好ましい。尚、高平滑化層を積層していないフィルム基材、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)の中心平均粗さ(Ra)は、最も平滑性の高いグレードのものでも1.5nm程度である。
これに対して、高平滑化層の中心平均粗さ(Ra)としては、1.0nm以下であることが好ましく、0.5nm以下であることがより好ましく、0.3nm以下であることが特に好ましい。尚、本発明で用いる中心平均粗さ(Ra)とは、JIS B0601に定義されているものを、測定面に対して適用できるよう三次元に拡張したものをいう。詳細は後述する。
高平滑化層の厚さとしては特に制約はなく、通常5〜100μm、好ましくは8〜50μm、さらに好ましくは9〜20μmである。高平滑化層の厚さが5μm未満の場合、フィルム基材の凸凹の影響により高平滑な表面が得られない場合があり、また、高平滑化層の厚さが100μmを超える場合、カール等の問題を生じる恐れがある。
本発明のガスバリアフィルムにおいて、ガスバリア層の材料としては、酸素及び水蒸気の透過を阻止するものであれば制約はないが、例えば、窒化珪素、酸化珪素、酸窒化珪素などの珪素化合物、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウムなどのアルミニウム化合物、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズなどの無機酸化物などが挙げられる。これらの中でも、珪素化合物が好ましく、酸化珪素及び酸窒化珪素がより好ましい。ガスバリア層の厚さとしても、酸素及び水蒸気の透過を阻止するものであれば特に制約はないが、10〜1000nmであることが好ましく、20〜500nmであることがより好ましく、50〜200nmであることが特に好ましい。ガスバリア層の厚さが10nm未満では十分なガスバリア性が十分に得られず、また、1000nmを超えると透明性等が悪化し液晶表示素子、有機EL表示素子などに適用する場合に問題となる。
ガスバリア層の中心平均粗さ(Ra)としては、液晶表示素子、有機EL表示素子などに適用可能となるものであれば制約はないが、2.0nm以下であることが好ましく、1.0nm以下であることがより好ましく、0.5nm以下であることが特に好ましい。
ガスバリア層を設けた本発明のガスバリアフィルムの水蒸気透過率としては、液晶表示素子、有機EL表示素子などに適用可能となるものであれば制約はないが、1.0g/cm・day以下であることが好ましく、0.5g/cm・day以下であることがより好ましく、0.1g/cm・day以下であることが特に好ましい。
本発明のガスバリアフィルムの全光線透過率としては、液晶表示素子、有機EL表示素子などに適用可能となるものであれば制約はないが、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることが特に好ましい。
(ガスバリアフィルムの製造方法)
本発明のガスバリアフィルムの製造方法は、真空引きされたチャンバー内にプラズマ生成ガスを導入し、該チャンバー内においてフィルム基材に高周波電力を印加して該フィルム基材の周辺で該プラズマ生成ガスをプラズマ化させ、更に、該フィルム基材に負の直流高電圧のパルスを印加しつつターゲット材料をスパッタすることにより、該フィルム基材上にガスバリア層を積層することを特徴とする。
本発明のガスバリアフィルムの製造方法においては、フィルム基材に高周波電力を印加して該フィルム基材の周辺でプラズマ生成ガスをプラズマ化させ、更に、該フィルム基材に負の直流高電圧のパルスを印加しつつターゲット材料をスパッタする方法(以下、本明細書において、ダイナミックイオンミキシング法という。)により積層する。フィルム基材に負の直流高電圧のパルスを印加しつつターゲット材料をスパッタすることにより真空成膜とイオン注入(発生したプラズマがフィルム基材面に衝突することをいう。)を同時に行なう。フィルム基材に高周波電力を印加することによりフィルム基材の周辺でプラズマ生成ガスをプラズマ化させ、かつ、フィルム基材に負の直流高電圧のパルスを印加することにより、発生したプラズマをフィルム基材側に方向付け(イオン注入)することができる。また、フィルム基材に高周波電力を印加することによって、イオン注入によるフィルム基材の帯電を除去することもできる。
本発明の製造方法によれば、ダイナミックイオンミキシング法を用いることで、フィルム基材とガスバリア層とを、高密着に積層することができ、ガスバリア性に優れたガスバリアフィルムを製造することができる。
本発明のガスバリアフィルムの製造方法において、ダイナミックイオンミキシング法に用いるプラズマ生成ガスとしては、水素、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、フルオロカーボン系の有機化合物などが挙げられる。
注入イオン濃度は、通常1×1015ions/cm以上、好ましくは1×1016ions/cm以上、より好ましくは1×1016〜1018ions/cmである。プラズマガス圧力としては、1.0×10〜1.0×10−3Paが好ましく、1.0×10〜1.0×10−3Paがより好ましく、1.0×10〜1.0×10−2Paが特に好ましい。
本発明のガスバリアフィルムの製造方法において、ガスバリア層の積層は、ダイナミックイオンミキシング法を用いることにより、例えば、下記のとおりおこなわれる。
まず、フィルム基材(ガスバリア層を積層する側に高平滑化層が積層されていても良い)を、例えば、珪素をターゲットとするチャンバー内に設置し、ロータリーポンプ、及び油拡散ポンプによりチャンバー内を減圧後、所定量のアルゴン、窒素、酸素等を導入する。尚、アルゴンはプラズマ化して負に印加されたターゲット材料に誘引されることにより珪素等をスパッタするために使用され、窒素等は同じくプラズマ化されることによりターゲット材料に誘引され、珪素と反応して酸窒化珪素等をスパッタするために使用される。
次いで、フィルム基材に高電圧パルス電源から−100kV〜−100Vの、より好ましくは−40kV〜−300Vの、特に好ましくは−20kV〜−1000Vの直流高電圧のパルスを印加して、フィルム基材周辺にもプラズマを発生させ、フィルム基材に対してイオン注入とともにスパッタをおこなう。この際、直流高電圧のパルスに高周波電力を重畳させてイオン注入を行う。すなわち、フィルム基材に対して、あらかじめ、10μs〜400msにパルス変調された、例えば、13.56MHzの高周波電力を印加して、フィルム基材の周辺にプラズマを発生させ、同時に、前記直流高電圧のパルスを印加して、プラズマを、フィルム基材に対して誘引する。
本発明において、フィルム基材は、ガスバリア層を積層する側に高平滑化層が積層されていても良い。高平滑化層を設けることにより、その上に積層されるガスバリア層を高平滑化する効果が得られる。
高平滑化層のフィルム基材への積層の方法は、制約されるものではないが、例えば、前述した各成分を含み、塗工に適した濃度に調整されたハードコート層形成材料(塗工液)を調製し、前記フィルム基材上に、従来公知の方法、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、硬化後の厚さが所定の値になるように、コーティングして未乾燥塗膜を形成させたのち、60〜130℃程度で1〜3分間程度乾燥処理後、乾燥塗膜に、エネルギー線を照射して該塗膜を硬化させることにより、行われる。
エネルギー線としては、例えば紫外線や電子線などが挙げられる。上記紫外線は、高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプなどで得られ、照射量は、通常100〜500mJ/cmであり、一方、電子線は、電子線加速器などによって得られ、照射量は、通常150〜350kVである。このエネルギー線の中では、特に紫外線が好ましい。尚、電子線を使用する場合は、光重合開始剤を添加することなく、硬化層を得ることができる。
ガスバリア層の積層の際には、回転メインキャンを備えた真空スパッタ装置を用いることにより、回転メインキャンを回転させ、導入するガスを順次変えることで連続しておこなってもよい。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
尚、ガスバリアフィルムの構成や性能は、下記の方法に従って評価した。
(1)高平滑化層及びガスバリア層の膜厚の測定
触針式段差計(AMBIOS TECNOLOGY社製、XP-1)により測定する。
(2)スチールウール硬度
日本スチールウール(株)製スチールウール#0000(超微細)を用い、高平滑化層表面を擦り付けた際の外観を目視にて観察し、
傷付きがないものを○
傷が確認されたものを×
として評価する。
(3)全光線透過率
透過率測定装置(UV-3101PC、島津製作所製)を使用し、JIS K7361に準拠して測定する。
(4)中心平均粗さ(Ra)
原子間力顕微鏡(SIIナノテクノロジー社製、SPA300HV、DMFモード)により測定する(測定範囲:縦1μm×横1μm)。JIS B0601を測定面に対して適用できるよう三次元に拡張して、基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値であり、次式で表される。
Figure 0004917943
F(X,Y):全測定データの示す面
S0:指定面から理想的にフラットであると仮定したときの面積
Z0:指定面内のZデータの平均値
(5)密着性
JIS K5600−5−6に準拠し、クロスカット法にて0〜5(5が最も密着性が悪い。)の6段階にて評価する。
(6)水蒸気透過率
Lyssyガス透過度計(Lyssy、L80-5000)にて測定する(フィルムの面積:50cm、試験条件:40℃、90%、常圧)。
(実施例1)
(ガスバリア層の積層)
フィルム基材として、厚さ188μmのPETフィルム(東洋紡製:A-4300)を用い、この表面にガスバリア層を積層した。
すなわち、真空スパッタ装置のチャンバー内にフィルム基材を設置し、該チャンバーを真空引き後、アルゴン及び窒素からなるプラズマ生成ガスを導入した。それと同時に該チャンバー内において前記フィルム基材に高周波電力を印加して該フィルム基材の周辺で該プラズマ生成ガスをプラズマ化させ、更に、該フィルム基材に負の直流高電圧のパルスを印加するとともに珪素をターゲットとしてスパッタすることにより、該フィルム基材上に窒化珪素からなるガスバリア層を積層させてガスバリアフィルムを得た。
実施条件は次のとおりである。
[実施条件(ガスバリア層)]
ガスバリア層の積層の際には、直流高電圧のパルスの電源(栗田製作所製、PV-3-HSHV-0835)を装着させた真空スパッタ装置(ロック技研工業製)を用い、下記の条件にてガスバリア層の積層を行った。
・高周波電力(13.56MHz):1000 W
・ターゲット:Si
・プラズマ生成ガス:Ar, N2
・ガス流量(ml/min):Ar:100, N2:60
・プラズマガス圧力:2×10-1 Pa
・直流高電圧:-5 kV、5 μs(パルス幅)
・ターゲット電力:2500 W
・スパッタ時間:110 s
・膜厚:100nm
(実施例2)
(高平滑化層の塗工液の調製)
活性エネルギー線硬化性化合物である多官能アクリレート混合物[荒川化学工業(株)製、商品名「ビームセット577CB」、固形分濃度100%]100重量部に、光重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア907」]2重量部を添加して混合したのち、全体の固形分濃度が30重量%になるようにメチルイソブチルケトン(MIBK)で希釈して、塗工液を調製した。
(高平滑化層の積層)
基材フィルムとして厚さ188μmの両面易接着処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[東洋紡績(株)製、商品名「A4300」]表面に、前記塗工液を硬化後の厚さが10μmになるように、マイヤーバーNo.16で塗布した。次いで、90℃で1分間乾燥したのち、紫外線を光量300mJ/cm2で照射して硬化させることにより高平滑化層をフィルム基材上に積層した。
(ガスバリア層の積層)
前記高平滑化層が積層されたフィルム基材は真空スパッタ装置のチャンバー内に高平滑化層側をスパッタされるように設置した。該チャンバーは真空引き後、アルゴン、窒素及び酸素からなるプラズマ生成ガスを導入し、該チャンバー内において高平滑化層が積層された前記フィルム基材に高周波電力を印加して該フィルム基材の周辺で該プラズマ生成ガスをプラズマ化させ、更に、該フィルム基材に負の直流高電圧のパルスを印加するとともに珪素をターゲットとしてスパッタすることにより、該フィルム基材上に酸窒化珪素化合物からなるガスバリア層を積層させてガスバリアフィルムを得た。実施条件は次のとおりである。
[実施条件(ガスバリア層)]
ガスバリア層の積層の際には、直流高電圧のパルスの電源(栗田製作所製、PV-3-HSHV-0835)を装着させた真空スパッタ装置(ロック技研工業製)を用い、下記の条件にてガスバリア層の積層を行った。
・高周波電力(13.56MHz):1000 W
・ターゲット:Si
・プラズマ生成ガス:Ar, N2, O2
・ガス流量(ml/min):Ar:100, N2:55, O2:5
・プラズマガス圧力:2×10-1 Pa
・直流高電圧:-5 kV、5 μs(パルス幅)
・ターゲット電力:2500 W
・スパッタ時間:165 s
・膜厚:150nm
(実施例3)
ガス流量をAr:100ml/min、N2:50ml/min、O2:10ml/min、とした以外は実施例2と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
(実施例4)
ガス流量をAr:100ml/min、N2:40ml/min、O2:20ml/min、とした以外は実施例2と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
(実施例5)
ガス流量をAr:100ml/min、N2:30ml/min、O2:30ml/min、とした以外は実施例2と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
(実施例6)
スパッタ時間を33s、膜厚を30nmとした以外は実施例5と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
(比較例1)
実施例2と同様にしてフィルム基材(前記と同じ)上に高平滑化層が積層されたフィルムを得た。尚、ガスバリア層は積層されていない。
(比較例2)
実施例2と同様にしてフィルム基材(前記と同じ)上に高平滑化層が積層されたフィルムを得た。該フィルムは真空スパッタ装置のチャンバー内に高平滑化層側をスパッタされるように設置した。該チャンバーは真空引き後、アルゴン、窒素及び酸素からなるプラズマ生成ガスを導入し、珪素をターゲットとしてスパッタすることにより、該フィルム基材上に酸窒化珪素化合物からなるガスバリア層を積層して、ガスバリアフィルムを得た。尚、実施例1〜6と異なり前記フィルム基材側に高周波電力や直流高電圧のパルスの印加(イオンダイナミックミキシング法)は行っていない。実施条件は次のとおりである。
[実施条件(ガスバリア層)]
ガスバリア層の積層の際には、直流高電圧のパルスの電源(栗田製作所製、PV-3-HSHV-0835)を装着させた真空スパッタ装置(ロック技研工業製)を用い、下記の条件にてガスバリア層の積層を行ったが、直流高電圧のパルスの電源は使用しなかった。
・ターゲット:Si
・プラズマ生成ガス:Ar, N2, O2
・ガス流量(ml/min):Ar:100, N2:50, O2:10
・プラズマガス圧力:2×10-1 Pa
・ターゲット電力:2500 W
・スパッタ時間:165s
・膜厚:150nm
(比較例3)
ガス流量をAr:100ml/min、N2:30ml/min、O2:30ml/min、とした以外は比較例2と同様にしてガスバリアフィルムを得た。
実施例1〜6のガスバリアフィルム、及び比較例1〜3のガスバリアフィルムの構成を表1にまとめて示した。また、表2に、それらの評価結果をまとめて示した。本発明のガスバリアフィルムは、ガスバリア性および密着性に優れていることが分かる。
Figure 0004917943
Figure 0004917943

Claims (2)

  1. 真空引きされたチャンバー内にプラズマ生成ガスを導入し、該チャンバー内においてフィルム基材に高周波電力を印加して該フィルム基材の周辺で該プラズマ生成ガスをプラズマ化させ、更に、該フィルム基材に負の直流高電圧のパルスを印加しつつターゲット材料をスパッタすることにより、該フィルム基材上にガスバリア層を積層することを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法。
  2. フィルム基材上に、中心平均粗さ(Ra)が1.0nm以下の高平滑化層及びガスバリア層をこの順に積層するガスバリアフィルムの製造方法であって、
    フィルム基材上に高平滑化層を積層し、
    真空引きされたチャンバー内にプラズマ生成ガスを導入し、該チャンバー内において高平滑化層が積層された前記フィルム基材に高周波電力を印加して該フィルム基材の周辺で該プラズマ生成ガスをプラズマ化させ、更に、該フィルム基材に負の直流高電圧のパルスを印加しつつターゲット材料をスパッタすることにより、該フィルム基材上にガスバリア層を積層することを特徴とするガスバリアフィルムの製造方法。
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