JP6286847B2 - ガスバリア性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、良好なガスバリア性と耐紫外線劣化性を示すガスバリア性フィルム及びその製造方法並びにそのガスバリア性フィルムを備えた装置に関する。
ガスバリア性フィルムは、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、液晶表示素子、薄膜トランジスタ、太陽電池、タッチパネル、電子ペーパー等の装置に対し、それらの性能を劣化させる酸素又は水蒸気等の化学成分の透過を防ぐために好ましく適用されている。特に最近の電子デバイスの高性能化と高品質化に伴い、ガスバリア性フィルムにおいても高いガスバリア性が求められている。
近年のガスバリア性フィルムには、プラスチックフィルムと、そのプラスチックフィルム上に設けられた有機層と、その有機層上に設けられた無機層とで構成されているものがある。有機層は、ガスバリア性の無機層の下に平坦化層として設けられ、無機層に生じる欠陥を低減してガスバリア性を高めるという役割を担うとされている。こうした有機層は、屋外で長期間使用されると、紫外線の照射により劣化し、有機層の透明性が低下するという問題がある。そのため、ガスバリア性フィルムを屋外で安定的に長期間使用することが難しいという問題があった。こうした問題に対し、屋外で使用されるガスバリア性フィルムには、ガスバリア性に加えて、屋外での長期間の使用に耐えられる高い耐紫外線劣化性が求められている。
上記した構成を有するガスバリア性フィルムは、従来から種々提案されている。特許文献1には、基材の少なくとも一方の面に、ポリアクリル酸樹脂を含むアンカーコート層と、紫外線又は電子線により反応し硬化させた(メタ)アクリル樹脂を含むハードコート層と、無機化合物からなるバリア性薄膜層とが、この順で積層されている積層体が提案されている。この技術によれば、経済的な生産方法が適用可能で、基材と蒸着層の密着がよく、ガスバリア性が安定し、耐紫外線劣化性、耐湿性に優れた積層体を提供できるとのことである。
特許文献2には、アクリレートとメタクリレートの混合系、アクリレートとウレタン系アクリレートの混合系、又は、アクリレート、ウレタン系アクリレート及びメタクリレートの混合系を、プライマーコート及びオーバーコートとして用いたガスバリア材に関する技術が提案されている。この技術によれば、酸素、水蒸気ともに高度なガスバリア性を有するガスバリア材を提供できるとのことである。
特開2010−105321号公報 特開2002−205354号公報
最近の電子デバイスの高性能化の要請はガスバリア性フィルムに対しても同様であり、必要十分なガスバリア性を確保した上で、耐紫外線劣化性を高くすることが望まれている。しかしながら、本発明者の検討によれば、上記した特許文献1及び特許文献2に記載された技術では、初期の透明性は良好であっても、長時間にわたり紫外線を照射した場合、有機層に黄変が生じ、透明性が悪化する等の問題があった。
本発明は、上記課題を解決したものであって、その目的は、良好なガスバリア性と耐紫外線劣化性を示すガスバリア性フィルムの製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、良好なガスバリア性と耐紫外線劣化性を示すガスバリア性フィルム及びそのガスバリア性フィルムを備える装置を提供することにある。
(1)上記課題を解決するための本発明に係るガスバリア性フィルムの製造方法は、基材上に、電離放射線硬化性樹脂と耐紫外線劣化剤とを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する工程と、塗布された前記電離放射線硬化性樹脂組成物に電子線を照射して有機層を形成する工程と、前記有機層上に無機層を形成する工程とを有し、前記電離放射線硬化性樹脂は、17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物の含有割合が50質量%以上の硬化物を形成する樹脂であることを特徴とする。
本発明に係るガスバリア性フィルムの製造方法において、前記電離放射線硬化性樹脂が、17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物を形成するウレタンアクリレートのモノマー、オリゴマー又はプレポリマーであることが好ましい。
本発明に係るガスバリア性フィルムの製造方法において、前記基材と前記有機層との間に、前記耐紫外線劣化剤と同じ又は異なる耐紫外線劣化剤を含有するプライマー層が設けられていてもよい。
本発明に係るガスバリア性フィルムの製造方法において、前記耐紫外線劣化剤が、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤の一方又は両方であることが好ましい。
(2)上記課題を解決するための本発明に係るガスバリア性フィルムは、基材と、該基材上に形成された有機層と、該有機層上に形成された無機層とを有し、前記有機層が、ガラス転移温度が17℃以上の高分子化合物の含有割合が50質量%以上の硬化物と、該硬化物中に含まれる耐紫外線劣化剤とを有することを特徴とする。
(3)上記課題を解決するための本発明に係る装置は、上記本発明に係るガスバリア性フィルムを備える表示装置又は発電装置であることを特徴とする。
本発明に係るガスバリア性フィルム及びその製造方法によれば、紫外線が照射されること等によりガスバリア性フィルムに白化が生じ、透明性が低下するのを防止できる。その結果、得られたガスバリア性フィルムは、良好なガスバリア性と耐紫外線劣化性を示すことができる。
本発明に係るガスバリア性フィルムの一例を示す模式的な断面図である。 本発明に係るガスバリア性フィルムの他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明に係るガスバリア性フィルムのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[ガスバリア性フィルムの製造方法]
本発明に係るガスバリア性フィルム10の製造方法は、図1〜図3に示すガスバリア性フィルムを製造するための方法であって、基材1上に、電離放射線硬化性樹脂と耐紫外線劣化剤とを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する工程(塗布工程)と、塗布された前記電離放射線硬化性樹脂組成物に電子線を照射して有機層2を形成する工程(有機層形成工程)と、その有機層2上に無機層3を形成する工程(無機層形成工程)とを有する。そして、前記電離放射線硬化性樹脂として、17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物の含有割合が50質量%以上の硬化物を形成する樹脂を用いる。
こうしたガスバリア性フィルム10の製造方法によれば、電離放射線硬化性樹脂と耐紫外線劣化剤とを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物に電子線を照射して有機層2が形成される。(1)有機層2の形成には、17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物の含有割合が50質量%以上の硬化物を形成する電離放射線硬化性樹脂を用いるので、耐熱性の高い有機層2を形成できる。その結果、その後、有機層2上に、熱の発生を伴う成膜手段(例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法、等々)で無機層3を形成した場合であっても、その熱により有機層2の平坦性の低下が起こるのを抑制でき、それに起因した白化が生じるのを防ぐことができる。(2)また、電離放射線硬化性樹脂組成物に電子線を照射して有機層2が形成されるので、形成された有機層2は高い密度で架橋し、良好なガスバリア性を示すことができる。(3)また、電離放射線硬化性樹脂組成物が耐紫外線劣化剤を含むので、形成された有機層2も耐紫外線劣化剤を含み、良好な耐紫外線劣化性を示すことができる。(4)なお、耐紫外線劣化剤を含まない有機層に長時間にわたり紫外線を照射した場合には、有機層に黄変が生じる。このことは、紫外線の照射により有機層に酸化反応が生じ、その結果、有機層が劣化(光酸化劣化ともいう。)することに原因がある。(5)こうしたガスバリア性フィルム10の製造方法によれば、紫外線が照射されること等により、ガスバリア性フィルム10に白化が生じ、透明性が低下するのを防止できるので、良好なガスバリア性と耐紫外線劣化性を示すガスバリア性フィルム10を製造できる。
なお、有機層2と無機層3とは、図1に示すように、基材1の一方の面S1にその順で設けられるが、図2に示すように、基材1の両面S1,S2にそれぞれ有機層2,2’と無機層3,3’とがその順で設けられていてもよい。また、一方の面S1に無機層2と有機層3とが設けられていれば、他の面S2には、図1に示すように有機層も無機層も設けなくてもよく、また、有機層2と無機層3のいずれか一方だけを設けてもよい。また、図示しないが、有機層2や無機層3を2層以上にしてもよい。また、図3に示すように、基材1と有機層2との間にプライマー層4を設けてもよい。また、図示しないが、他方の面S2の基材1と有機層2又は無機層3との間にプライマー層を設けてもよい。
以下、各工程について説明するとともに、各工程で得られる有機層及び無機層についても説明する。
<塗布工程>
塗布工程は、電離放射線硬化性樹脂と耐紫外線劣化剤とを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を基材1上に塗布する工程である。
(基材)
基材1は、有機層2を形成できるフィルムであれば特に限定されないが、実使用の見地からは、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂、及びセルロース系樹脂等からなる基材1を挙げることができる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、これらの共重合体、及びポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)等を挙げることができる。ポリエステル系樹脂のうちでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びこれらの共重合体が好ましく、ポリエチレンナフタレート及びポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。オレフィン系樹脂としては、ノルボルネン系ポリマー、シクロペンテン系ポリマー、シクロブテン系ポリマー等を挙げることができ、中でも、ノルボルネン系ポリマーを好ましく挙げることができる。
基材1の材質としてポリエステル系樹脂を適用する場合、その全てがポリエステル系樹脂の基材であってもよいし、有機層2が形成される側(図1における片面S1又は図2における両面S1,S2)に少なくともポリエステル系樹脂層が形成された積層型の基材であってもよい。この積層型の基材1では、有機層2が形成される側のポリエステル系樹脂層以外の層は、ポリエステル系樹脂層でなくてもよい。ポリエステル系樹脂層以外の層としては、柔軟性、強度、耐熱性、熱膨張又は光透過性等を考慮した各種の樹脂層を選定できる。
基材1の厚さは特に限定されないが、10μm以上、500μm以下の程度であることが好ましい。基材1は、その厚さによって基材フィルム又は基材シートと呼ばれることがある。また、基材1の透明性は特に限定されず、その用途に応じて任意に選択できる。透明性がより要求される場合には、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。基材1は、必要に応じて着色剤を含んでいてもよいし、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を含んでいてもよい。また、一軸延伸又は二軸延伸したフィルムは、透明性及び機械的強度が共に高いので好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートの2軸延伸フィルムは、耐熱性、機械的強度、光透過性及びコスト等の点で好ましい。
こうした基材1は、市販品を購入することにより準備してもよいし、自前で製造することにより準備してもよい。基材1の製造方法としては、従来公知の製造方法を適用でき、例えば、溶液流延法、溶融押出法、カレンダー法等を挙げることができる。
基材1の表面は、必要に応じて、有機層2との密着性、又は必要に応じて設けられるプライマー層4(図3参照)との密着性を向上させるために表面処理されていることが好ましい。表面処理としては、酸化処理、凹凸化処理(粗面化処理)、易接着コート処理等を挙げることができる。酸化処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線照射処理等を挙げることができる。凹凸化処理(粗面化処理)としては、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等を挙げることができる。これらの表面処理は、基材1の種類に応じて選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
(電離放射線硬化性樹脂組成物)
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂と、耐紫外線劣化剤とを含有する。電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線を照射することにより架橋して硬化する樹脂のことであり、電離放射線硬化性樹脂を硬化して形成された有機層2は、高い密度で架橋し、良好なガスバリア性を示すことができる。なお、電離放射線は、電子線、紫外線、可視光線、X線、γ線等の電磁波、α線等の荷電粒子線である。
本発明の第1の特徴は、17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物を形成する電離放射線硬化性樹脂であることにある。そうした電離放射線硬化性樹脂は、17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物を形成するウレタンアクリレートのモノマー、オリゴマー又はプレポリマーであることが好ましい。
ガラス転移温度が17℃以上の高分子化合物を形成するウレタンアクリレートの市販品としては、例えば、UV7000B(日本合成化学工業株式会社製)、UV7510B(日本合成化学工業株式会社製)、UV7600B(日本合成化学工業株式会社製)、UV7630B(日本合成化学工業株式会社製)、UV3310B(日本合成化学工業株式会社製)、UV7461TE(日本合成化学工業株式会社製)、EBECRYL220(ダイセル・サイテック株式会社製)、EBECRYL284(ダイセル・サイテック株式会社製)、EBECRYL285(ダイセル・サイテック株式会社製)、EBECRYL8701(ダイセル・サイテック株式会社製)、EBECRYL8804(ダイセル・サイテック株式会社製)、EBECRYL8807(ダイセル・サイテック株式会社製)、EBECRYL8405(ダイセル・サイテック株式会社製)、UA−306H(共栄社化学株式会社製)等を挙げることができる。これらのウレタンアクリレートは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本明細書において、ウレタンアクリレートの「アクリレート」は、メタクリレートであるウレタンメタクリレートを含み、「アクリロイル基」は、メタクリロイル基を含む。これらのウレタンアクリレートのアクリロイル基数は、通常、2以上である。また、これらのウレタンアクリレートの分子量は、通常、1200以上、3500以下である。
なお、電離放射線硬化性樹脂は、上記したウレタンアクリレートと同じ特性を有し、同じ作用効果を奏する他の同種の電離放射線硬化性樹脂、例えばエポキシアクリレート等であっても用いることができる。また、ウレタンアクリレートとアクリル樹脂との混合物(例えば、ウレタン/アクリル比=6/4以上)等を用いることもできる。
ガラス転移温度が17℃以上の高分子化合物を形成する電離放射線硬化性樹脂を用いることにより、耐熱性の高い有機層2を形成できる。ガラス転移温度が17℃未満の高分子化合物を形成する電離放射線硬化性樹脂では、十分な耐熱性を有する有機層2を形成することができない。なお、ガラス転移温度の上限は特に限定されず、ガラス転移温度を示さない高分子化合物を形成する電離放射線硬化性樹脂であってもよいし、例えば100℃程度の高いガラス転移温度の高分子化合物を形成する電離放射線硬化性樹脂であってもよい。
本発明の第2の特徴は、17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物が、有機層2を構成する硬化物中に50質量%以上の割合で含まれることにある。このことは、有機層2を形成するための電離放射線硬化性樹脂中に、17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物を形成するための電離放射線硬化性樹脂が50質量%以上の割合で含まれていることを意味している。これらにより、耐熱性の高い有機層2を形成できる。17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物が、有機層2を構成する硬化物中に50質量%未満の割合で含まれる場合は、十分な耐熱性を有する有機層2が得られないことがある。なお、含有割合の上限は特に限定されないが、有機層2を構成する硬化物の全てが、17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物であってもよい。すなわち、有機層2を形成するための電離放射線硬化性樹脂の全てが、17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物を形成するための電離放射線硬化性樹脂であってもよい。
本発明では、上記第1及び第2の特徴を有するので、形成される有機層2は、十分な耐熱性を有する。そのため、その後に有機層2上に、熱の発生を伴う成膜手段(例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法、等々)で無機層3を形成した場合であっても、その熱により有機層2の平坦性の低下が起こるのを抑制でき、それに起因した白化が生じるのを防ぐことができるという格別の効果を示す。なお、白化が生じる現象は、ガスバリア性フィルム10に可視光線があたった場合、平坦性が低下した有機層2と無機層3との界面や、無機層3の表面で光散乱するためである。
高分子化合物のガラス転移温度は、例えば、固体粘弾性アナライザー(ティー・エイ・インスツルメンツ社製、型番:RSA−III)を用い、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法でその高分子化合物を測定することにより求めることができる。ここで、例えば、ガラス転移温度が200℃上の高分子化合物は、測定中に高分子化合物の分解が始まってしまうので、ガラス転移温度を示さない場合がある。そのため、例えば、ガラス転移温度の測定を−50℃から150℃の温度範囲で行って、この範囲でガラス転移温度を示さない高分子化合物は、ガラス転移温度は150℃以上のものとして評価でき、本発明に適用できる高分子化合物であると言える。なお、本発明において、ガラス転移温度の上限は特に限定されないが、上記したように、ガラス転移温度が200℃以上の高分子化合物は、実質的に測定ができなくなってしまう。そのため、強いてガラス転移温度の上限を言うとすれば、200℃ということができる。
また、電離放射線硬化性樹脂の種類は、例えば、X線光電子分光法や、フーリエ変換赤外分光法により特定することができる。
こうした電離放射線硬化性樹脂の硬化は、電子線で行うことが好ましい。電子線で硬化させることにより、形成された有機層2は高い密度で架橋した高分子化合物で構成され、良好なガスバリア性を示すことができる。高い密度で架橋した高分子化合物は、耐熱性も高く、その後に熱の発生を伴う成膜手段で無機層3を形成した場合であっても、その熱により有機層2の平坦性の低下が起こるのを抑制でき、それに起因した白化が生じるのを防ぐことができる。また、電子線で硬化させるので、電離放射線硬化性樹脂中に後述する紫外線吸収剤を含有させることもでき、得られた有機層2の耐紫外線劣化性(耐紫外線性)を高めることができる。なお、電離放射線硬化性樹脂を電子線で硬化したものであることは、得られた硬化物(有機層2)中に、紫外線で硬化させる場合に含有させる光アセトフェノン系化合物及びアシルフォスフォンオキサイド系化合物等の重合開始剤が含まれていないことで容易に確認できる。
本発明では、硬化物である有機層2は、17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物が全体の50質量%以上を占めているが、それ以外の高分子化合物を形成する電離放射線硬化性樹脂としては、各種のものを用いることができる。例えば、電離放射線の照射により架橋重合が可能なラジカル重合性の化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリロイル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等のラジカル重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー及びプレポリマーから選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。こうしたオリゴマー及びプレポリマーとしては、例えば、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリレート及びポリオールアクリレート等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、単官能モノマー及び多官能モノマーを挙げることができる。単官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカブロラクトン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、スチレン等のビニルモノマー;フェノキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、バラクミルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、オルトフェニルフェノキシエチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、アクリロイルモルホリン等のアクリレートモノマー;及びアクリルアミド誘導体が挙げられる。多官能モノマーとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレート、ペンタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジオールジアクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリルトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等、及びこれらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、及びカプロラクタン変性物等が挙げられる。こうしたモノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、そうしたモノマーが結合して生成したオリゴマーであってもよい。
(耐紫外線劣化剤)
耐紫外線劣化剤は、電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれ、形成された有機層2中にも含まれる。耐紫外線劣化剤は、形成された有機層2に紫外線等が照射して光酸化劣化が生じるのを抑制するように作用する。耐紫外線劣化剤としては、例えば、紫外線吸収剤と光安定剤の一方又は両方が用いられる。
紫外線吸収剤は、特に限定されないが、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤等を挙げることができる。中でも好ましくは、紫外線吸収能力が高く、紫外線等の高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系紫外線吸収剤を挙げることができる。トリアジン系紫外線吸収剤としては、具体的には、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール、1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリ[{3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等を挙げることができる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル等を挙げることができる。
紫外線吸収剤は、電離放射線硬化性樹脂中に、1質量%以上、10質量%以下の範囲内で含まれていることが好ましく、1質量%以上、20質量%以下の範囲内で含まれていることがより好ましい。この範囲内で含まれることにより、ガスバリア性フィルム10の耐紫外線劣化性をより向上させることができる。
光安定剤は、紫外線の作用によりラジカルが発生した場合に、そのラジカルを捕獲して不活性化させることができ、有機層2の光酸化劣化の進行を抑制することができる。光安定剤は、こうした効果を奏するものであれば特に限定されない。光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が好ましく、酸化反応を引き起こすフリーラジカルが生じた場合、そのフリーラジカルを触媒的に捕捉し、安定化させることができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート等を挙げることができる。また、反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤を用いてもよく、具体的には、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート等を挙げることができる。
ヒンダードアミン系光安定剤は、電離放射線硬化性樹脂中に、1質量%以上、10質量%以下の範囲内で含まれていることが好ましく、1質量%以上、20質量%以下の範囲内で含まれていることがより好ましい。この範囲内で含まれることにより、ガスバリア性フィルム10の耐紫外線劣化性をより向上させることができる。
なお、耐紫外線劣化剤として、分子内にアクリロイル基等の反応性官能基を有する反応性耐紫外線劣化剤を用いることもできる、この反応性耐紫外線劣化剤としては、反応性紫外線吸収剤、反応性ヒンダードアミン系等を挙げることができる。反応性紫外線吸収剤としては、例えば、(2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン)メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。反応性ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレートを挙げることができる。
こうした反応性耐紫外線劣化剤を電離放射線硬化性樹脂組成物に含有させて有機層2を形成することにより、反応性耐紫外線劣化剤が、電離放射線硬化性樹脂と反応性官能基を介して結合するので、反応性耐紫外線劣化剤が有機層2の表面にブリードアウトすることを抑制できる。そのため、ブリードアウトにより有機層2中の耐紫外線劣化剤が経時的に減少することを防止できる。また、有機層2と無機層3との間に耐紫外線劣化剤が析出することによる有機層2と無機層3との密着性の低下を防止できる。その結果、紫外線照射等によりガスバリア性フィルム10が経時的に耐紫外線劣化性が低下するのを抑制できるので、より良好なガスバリア性と耐紫外線劣化性を示すことができる。
電離放射線硬化性樹脂又は有機層2に含まれる耐紫外線劣化剤の定量方法としては、ガスクロマトグラフィー質量分析法が挙げられる。具体的には、電離放射線硬化性樹脂又はガスバリア性フィルム10をバイアル瓶に入れて密閉し、加熱することで有機層成分を揮発させる。バイアル瓶中をその温度での気相−固相の分配比にしたがった平衡状態とした後、ヘッドスペース部(気相部)の一部をガスクロマトグラフィーに導き、ガスクロマトグラフィーで分離した個々の成分についてマススペクトルを測定することにより成分の定性を行うことができ、さらに、検出されたイオン強度により定量を行うことができる。
(その他の成分)
電離放射線硬化性組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、必要に応じて他の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、熱安定剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、色素(着色染料、着色顔料)、体質顔料、光拡散剤、カップリング剤等が挙げられる。
電離放射線硬化性組成物には、製造時の粘度調整の見地から溶剤を含有させてもよい。溶剤としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;又はこれらの混合物を挙げることができる。こうした溶媒は、本発明の要旨の範囲内において、任意の割合で混合して用いてもよい。
(塗布方法)
電離放射線硬化性樹脂組成物を基材1上に塗布する方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスロールコート法、リバースロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法、スピンコート法、及びダイコート法等を挙げることができる。
電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布した後は、必要に応じて乾燥を行う。乾燥温度は、常温であってもよいが、電離放射線硬化性樹脂組成物が溶剤を含有する場合には、溶剤の沸点以上の温度として溶剤を除去するための乾燥を行うことが好ましい。
<有機層形成工程>
有機層形成工程は、基材1上に塗布した電離放射線硬化性樹脂組成物に電子線を照射して電離放射線硬化性樹脂を硬化させ、有機層2を形成する工程である。電離放射線硬化性樹脂を電子線照射により硬化することで、有機層2がより密に架橋する。そのため、得られた有機層2は、良好なガスバリア性を示すと共に、耐熱性と耐紫外線劣化性の点でも好ましい。電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。電子線の加速電圧は、通常100keV以上1000keV以下であり、好ましくは、100keV以上300keV以下である。電子線の照射量は、通常1Mrad以上30Mrad以下である。
形成された有機層2は、ガラス転移温度が17℃以上の高分子化合物の含有割合が50質量%以上の硬化物と、該硬化物中に含まれる耐紫外線劣化剤とを有する。この有機層2は、ガスバリア性フィルム10の耐紫外線劣化性を向上させる機能層としての役割があるとともに、無機層3の下に平坦化層として設けられ、無機層3に生じる欠陥を低減してガスバリア性を高めるという役割も担う。
有機層2の厚さは、単層又は2層以上に関わらず、基材1のたわみも考慮し、0.1μm以上、20μm以下であることが好ましく、さらに表面性や生産性の観点を加えると、0.5μm以上、10μm以下であることがより好ましい。なお、有機層2の厚さとは、有機層2の厚さが最大となる箇所の値を表す。
<無機層形成工程>
無機層形成工程は、有機層2上に無機層3を乾式成膜により成膜する工程である。無機層3は、水蒸気や酸素等のガスを遮断するガスバリア層として機能する。
無機層3の形成材料としては、例えば、無機酸化物、無機酸化窒化物、無機窒化物、無機酸化炭化物、無機酸化炭化窒化物、及び酸化珪素亜鉛等から選ばれる1又は2以上の無機化合物を挙げることができる。具体的には、珪素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、インジウム、セリウム、及び亜鉛から選ばれる1種又は2種以上の元素を含有する無機化合物を挙げることができ、より具体的には、珪素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、珪素亜鉛合金酸化物及びインジウム合金酸化物等の無機酸化物、珪素窒化物、アルミニウム窒化物、及びチタン窒化物等の無機窒化物、酸化窒化珪素等の無機酸化窒化珪素化物を挙げることができる。特に好ましくは、無機層3が、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、及び酸化珪素亜鉛から選ばれる1種又は2種以上からなる層である。無機層3は上記材料を単独で用いてもよいし、本発明の要旨の範囲内で上記材料を任意の割合で混合して用いてもよい。
無機層2は、乾式成膜により形成される。乾式成膜としては、物理気相成長(Physical Vapor Deposition、PVD)法又は化学気相成長(Chemical Vapor Deposition、CVD)法を挙げることができる。
PVD法は、原料として固体原料を用い、それを熱やプラズマのエネルギーで気化し、有機層2上で薄膜化する方法である。例えば、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、グロー放電スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、反応性スパッタリング法等を挙げることができる。また、CVD法は、原料ガスに、熱、光又は電磁波等のエネルギーを加えて励起や分解を行い、有機層2の表面での吸着、反応及び解離を経て膜を堆積する方法である。例えば、熱CVD法、有機金属気相成長(MOCVD)法、RFプラズマCVD法、ECRプラズマCVD法、光CVD法、レーザCVD法、水銀増感法等を挙げることができる。
より具体的には、(1)無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物、又は金属等の原料を有機層2上に加熱蒸着させる真空蒸着法、(2)原料に酸素ガスを導入して酸化させ、有機層2上に蒸着させる酸化反応性蒸着法、(3)ターゲット原料にアルゴンガス、酸素ガスを導入してスパッタリングすることにより、有機層2上に堆積させるスパッタリング法、(4)原料をプラズマガンで発生させたプラズマビームで加熱させ、有機層2上に蒸着させるイオンプレーティング法、(5)有機珪素化合物等を原料とし、酸化珪素膜を有機層2上に蒸着させるプラズマCVD法等を利用することができる。これらの無機層3の形成方法の中でも、特に、無機層3と有機層2との密着性と蒸着速度の点で、イオンプレーティング法又はプラズマCVDが特に好ましい。
無機層3の厚さは、使用する無機化合物によっても異なるが、通常、5nm以上、5000nm以下である。ガスバリア性の見地からは、10nm以上であることが好ましく、また、クラック等の発生を抑制する見地からは、500nm以下であることが好ましい。また、無機層3は1層であってもよいし、合計厚さが上記範囲内となる2層以上の無機層3であってもよい。2層以上の無機層3の場合には、同じ材料同士を組み合わせてもよいし、異なる材料同士を組み合わせてもよい。
<その他の工程>
ガスバリア性フィルム10が機能層を有する場合には、それらの機能層の形成工程が任意に含まれる。機能層は、無機層3上や、有機層2と無機層3の間に用途に応じて適宜設けてもよい。機能層としては、例えば、プライマー層、マット剤層、保護層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、及び被印刷層等が挙げられる。例えば、基材1と有機層2との間にプライマー層4が設けられる場合は、基材1上にプライマー層形成用塗布液を上記した塗布方法で塗布し、その後、硬化させることでプライマー層4を形成する。この場合、上記した塗布工程では、電離放射線硬化性樹脂組成物はプライマー層4上に塗布する。
(プライマー層の形成)
一例として、プライマー層4について説明する。プライマー層4は、図3に示すように、ガスバリア性フィルム10に必須の構成ではないが、基材1と有機層2との間に設けられ、耐紫外線劣化剤を含有させて、ガスバリア性フィルム10の耐紫外線劣化性を向上させるためや、基材1と有機層2との密着性を向上させるために好ましく設けられる。プライマー層4を構成する樹脂としては、上記した目的を達成できるものであれば特に限定されない。中でも、有機層2との密着性との観点から、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂であることが好ましい。こうした樹脂としては、上記した有機層2の形成材料として使用される各種モノマー、オリゴマー及びプレポリマーを挙げることができ、さらに、こうしたモノマー、オリゴマー及びプレポリマーが重合したポリマーを挙げることができる。中でも、有機層2との密着性と耐紫外線劣化性の点で、ウレタンアクリレート系樹脂を好ましく挙げることができる。こうしたウレタンアクリレート系樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系ウレタン−アクリル共重合体樹脂を挙げることができる。
プライマー層4は、耐紫外線劣化剤を含有することが好ましい。こうした耐紫外線劣化剤としては、上記した「ガスバリア性フィルムの製造方法」欄の「塗布工程」で例示した紫外線吸収剤、光安定剤等を挙げることができ、その例示した耐紫外線劣化剤と同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。プライマー層4が耐紫外線劣化剤を含有することにより、ガスバリア性フィルム10の耐紫外線劣化性を向上させることができる。
プライマー層4に含有される耐紫外線劣化剤は、プライマー層4を構成する樹脂に対して、10質量%以上、50質量%以下含有することが好ましく、10質量%以上、30質量%以下含有することがより好ましい。耐紫外線劣化剤がプライマー層4を構成する樹脂に対して、10質量%以上50質量%以下含有することにより、ガスバリア性フィルム10の耐紫外線劣化性をより向上させることができる。また、プライマー層4の厚さは、特に限定されるものではなく、通常、1μm以上、10μm以下である。
(ガスバリア性フィルム)
本発明に係るガスバリア性フィルム10は、上記した製造方法によって得ることができ、図1〜図3に示すように、基材1と、基材1上に形成された有機層2と、有機層2上に形成された無機層3とを有し、その有機層2が、ガラス転移温度が17℃以上の高分子化合物の含有割合が50質量%以上の硬化物と、該硬化物中に含まれる耐紫外線劣化剤とを有する。これらの各構成と効果は、既に説明したのでここでは省略する。
[装置]
本発明に係る装置は、上記本発明に係るガスバリア性フィルム10を備える表示装置又は発電装置である。この装置は、良好な耐紫外線劣化性を示し、特に屋外に使用される場合の紫外線の影響を低減できる。
表示装置としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子、タッチパネル、電子ペーパー等を挙げることができる。なお、これら各表示装置の構成は特に限定されるものではなく、それぞれ従来公知の構成を適宜採用することができ、且つそうした各表示装置に適用するガスバリア性フィルム10による封止手段も特に限定されるものではなく、従来公知の手段とすることができる。
具体的には、例えば、有機EL素子としては、本発明に係るガスバリア性フィルム10上に陰極と陽極を有し、両電極の間に、有機発光層(単に「発光層」ともいう。)を含む層を有するものを挙げることができる。発光層を含む層の積層態様としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。さらに、正孔輸送層と発光層との間、又は、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。また、陽極と正孔輸送層との間に正孔注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間に電子注入層を有してもよい。また、発光層は一層だけでもよく、また、第一発光層、第二発光層及び第三発光層等のように発光層を分割してもよい。さらに、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。なお、有機EL素子は発光素子であることから、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
発電装置としては、例えば、太陽電池素子(太陽電池モジュール)を挙げることができる。発電装置の構成は特に限定されるものではなく、従来公知の構成を適宜採用することができる。さらに、そうした発電装置に適用するガスバリア性フィルム10による封止手段も特に限定されるものではなく、従来公知の手段とすることができる。例えば、ガスバリア性フィルム10を太陽電池素子の裏面保護シートや表面保護シートとして用いることができる。
具体的には、例えば、太陽電池モジュールとしては、本発明に係るガスバリア性フィルム10を太陽電池バックシートとして使用した例を挙げることができる。こうした太陽電池モジュールは、太陽光側から厚さ方向に順に、前面基材(ガラス又はフィルム等の高光線透過性を有するもの)、充填材、太陽電池素子、リード線、端子、端子ボックス、太陽電池バックシートの構成で、それらがシール材を介して両端の外装材(アルミニウム枠等)に固定されている。その太陽電池バックシートとしては、裏面封止用フィルムと、外層側に配置されるフィルムとの間に、ガスバリア性フィルム10を挟んで構成される例を挙げることができるし、外層側に配置されるフィルムとしてガスバリア性フィルム10を用いる例を挙げることができる。また、前面基材の表面保護シートとしてガスバリア性フィルム10を用いる例を挙げることができる。こうした太陽電池素子の表面保護シートや外層側に配置されるフィルムは、耐紫外線劣化性が要求されるので、高い耐紫外線劣化性を有するガスバリア性フィルム10を好ましく適用できる。
なお、上記本発明に係るガスバリア性フィルム10で包装容器を構成してもよい。包装容器は、高い水蒸気バリア性と酸素ガスバリア性を有するので、食品や医療品等の包装材料、電子デバイス等へのパッケージ材料として好ましく用いられる。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
基材1として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:コスモシャイン A4100、東洋紡績株式会社製)の片面に、下記の組成に調製したプライマー層形成用組成物をダイコートにて塗布量4g/mで塗布し、60℃で30秒間保持することにより硬化させて厚さ4μmのプライマー層4を形成した。次いで、そのプライマー層4の上に下記の組成に調製した電離放射線硬化性樹脂組成物Aをダイコートにて塗布量3g/mで塗布し、70℃で1分間乾燥させた後、165keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して電離放射線硬化性樹脂組成物Aを硬化させて、厚さ3μmの有機層2を形成した。
(プライマー層形成用組成物)
・ポリカーボネート系ウレタン−アクリル共重合体樹脂(ポリカーボネート系ウレタンウレタンとアクリルとの質量比 70:30)24質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(商品名:チヌビン400、BASFジャパン株式会社製)3質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(商品名:チヌビン479、BASFジャパン株式会社製)4質量部
・ヒンダードアミン系光安定剤(商品名:チヌビン123、BASFジャパン株式会社製) 2質量部
・ヘキサメチレンジイソシアネート(硬化剤)6質量部
(電離放射線硬化性樹脂組成物A)
・ウレタンアクリレート(商品名:UV7000B、日本合成化学工業株式会社製)100質量部
・ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(商品名:チヌビン400、BASFジャパン株式会社製)3質量部
・反応性ヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、商品名:サノールLS−3410、日本乳化剤株式会社製)3質量部
次に、無機層3を有機層2上に形成した。具体的には、上記有機層2が形成された基材1の有機層2側を成膜する向きにしてホローカソード型イオンプレーティング装置にセットした。そして、蒸発源材料である酸化珪素(高純度化学研究所製)をホローカソード型イオンプレーティング装置内の坩堝に投入した後、真空引きを行った。真空度が5×10−4Paまで到達した後、プラズマガンにアルゴンガスを15sccm導入し、電流110A、電圧90Vのプラズマを発電させた。チャンバー内を1×10−1Paに保持すると共に磁力によりプラズマを所定方向に曲げ、蒸発源材料に照射させた。坩堝内の蒸発源材料は溶融状態を経て昇華することが確認された。イオンプレーティングを15秒間行って有機層2上に堆積させることにより、厚さ80nmの酸化珪素層を形成した。
以上のようにして得た実施例1のガスバリア性フィルム10の層構成は、基材1と、プライマー層2と、有機層3と、無機層4とがその順で積層した層構成である。
[実施例2]
無機層3をプラズマ化学気相成長法(プラズマCVD法)で形成したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のガスバリア性フィルムを得た。なお、プラズマ化学気相成長法での無機層3の形成は、プラズマCVD装置にヘキサメチルジシロキサン(信越化学工業株式会社製)をアルゴンガス(ガス流量50sccm)とともに導入し、100mTorrの真空圧力、高周波出力100Wのプラズマ条件下で5分間成膜を行い、実施例1と同じ厚さ80nmの酸化珪素層を形成した。
[実施例3]
電離放射線硬化性樹脂組成物Aに含まれるウレタンアクリレートの種類を、ウレタンアクリレート(商品名:UV7510B、日本合成化学工業株式会社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例4]
電離放射線硬化性樹脂組成物Aに含まれるウレタンアクリレートの種類を、ウレタンアクリレート(商品名:UV7600B、日本合成化学工業株式会社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例5]
電離放射線硬化性樹脂組成物Aに含まれるウレタンアクリレートの種類を、ウレタンアクリレート(商品名:UV7630B、日本合成化学工業株式会社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例6]
電離放射線硬化性樹脂組成物Aに含まれるウレタンアクリレートの種類を、ウレタンアクリレート(商品名:EBECRYL284、ダイセル・サイテック株式会社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例6のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例7]
電離放射線硬化性樹脂組成物Aに含まれるウレタンアクリレートの種類を、ウレタンアクリレート(商品名:EBECRYL285、ダイセル・サイテック株式会社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例7のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例8]
電離放射線硬化性樹脂組成物Aに含まれるウレタンアクリレートの種類を、ウレタンアクリレート(商品名:EBECRYL8701、ダイセル・サイテック株式会社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例8のガスバリア性フィルムを得た。
[実施例9]
下記の組成に調製した電離放射線硬化性樹脂組成物Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例9のガスバリア性フィルムを得た。電離放射線硬化性樹脂組成物Bは、電離放射線硬化性樹脂組成物Aに含まれるウレタンアクリレートの種類と組成が変更されているが、それ以外は、電離放射線硬化性樹脂組成物Aと同様のものである。
(電離放射線硬化性樹脂組成物B)
・ウレタンアクリレート(商品名:UA−306H、共栄社化学株式会社製)70質量部
・アクリル樹脂(商品名:3EG−A、共栄社化学株式会社製)30質量部
・反応性ヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、商品名:サノールLS−3410、日本乳化剤株式会社製)3質量部
[実施例10]
下記の組成に調製した電離放射線硬化性樹脂組成物Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例9のガスバリア性フィルムを得た。電離放射線硬化性樹脂組成物Cは、電離放射線硬化性樹脂組成物Bに含まれるウレタンアクリレートとアクリル樹脂の配合量が変更されているが、それ以外は、電離放射線硬化性樹脂組成物Bと同様のものである。
(電離放射線硬化性樹脂組成物C)
・ウレタンアクリレート(商品名:UA−306H、共栄社化学株式会社製)60質量部
・アクリル樹脂(商品名:3EG−A、共栄社化学株式会社製)40質量部
・反応性ヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、商品名:サノールLS−3410、日本乳化剤株式会社製)3質量部
[実施例11]
下記の組成に調製した電離放射線硬化性樹脂組成物Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例11のガスバリア性フィルムを得た。電離放射線硬化性樹脂組成物Dは、電離放射線化性樹脂組成物Aに含まれるウレタンアクリレートの種類と組成が変更されているが、それ以外は、電離放射線硬化性樹脂組成物Aと同様のものである。
(電離放射線硬化性樹脂組成物D)
・ウレタンアクリレート(商品名:UA−306H、共栄社化学株式会社製)70質量部
・アクリル樹脂(商品名:40EM、共栄社化学株式会社製)30質量部
・反応性ヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、商品名:サノールLS−3410、日本乳化剤株式会社製)3質量部
[実施例12]
プライマー層を設けないこと以外は、実施例1と同様にして実施例12のガスバリア性フィルムを得た。
[比較例1]
電離放射線硬化性樹脂組成物Aに含まれるウレタンアクリレートの種類を、ウレタンアクリレート(商品名:UV3000B、日本合成化学工業株式会社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のガスバリア性フィルムを得た。
[比較例2]
下記の組成に調製した紫外線硬化用の電離放射線硬化性樹脂組成物Eを用い、波長250nm〜400nmの範囲の紫外線を積算光量300mJ/cmで照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物Eを硬化させて有機層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のガスバリア性フィルムを得た。電離放射線硬化性樹脂組成物Eは、電離放射線硬化性樹脂組成物Aに含まれるウレタンアクリレートの種類を変更し、紫外線吸収剤を配合せず、光重合開始剤を配合したものである。なお、それ以外は、電離放射線硬化性樹脂組成物Aと同様のものである。
(電離放射線硬化性樹脂組成物E)
・ウレタンアクリレート(商品名:UV7600B、日本合成化学工業株式会社製)100質量部
・反応性ヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、商品名:サノールLS−3410、日本乳化剤株式会社製)3質量部
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合開始剤、日本チバガイギー株式会社製、商品名:イルガキュア184):5質量部
[比較例3]
電離放射線硬化性樹脂組成物Aに含まれるウレタンアクリレートを、アクリル樹脂(商品名:EBECRYL150、ダイセル・サイテック株式会社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例3のガスバリア性フィルムを得た。
[比較例4]
電離放射線硬化性樹脂組成物Aに含まれるウレタンアクリレートを、アクリル樹脂(商品名:AMP20GY、新中村化学工業株式会社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較例4のガスバリア性フィルムを得た。
[比較例5]
下記の組成に調製した電離放射線硬化性樹脂組成物Fを用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例5のガスバリア性フィルムを得た。電離放射線硬化性樹脂組成物Fは、電離放射線硬化性樹脂組成物Bに含まれるウレタンアクリレートとアクリル樹脂の配合量が変更されているが、それ以外は、電離放射線硬化性樹脂組成物Bと同様のものである。
(電離放射線硬化性樹脂組成物F)
・ウレタンアクリレート(商品名:UA−306H、共栄社化学株式会社製)40質量部
・アクリル樹脂(商品名:3EG−A、共栄社化学株式会社製)60質量部
・反応性ヒンダードアミン系光安定剤(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、商品名:サノールLS−3410、日本乳化剤株式会社製)3質量部
[評価と結果]
実施例1〜12及び比較例1〜5のガスバリア性フィルムについて、(ア)有機層を構成する高分子化合物のガラス転移温度の測定、(イ)製造直後(初期)の外観観察、(ウ)耐紫外線劣化性試験後の外観観察、(エ)製造直後の水蒸気透過率の測定を行った。
高分子化合物のガラス転移温度の測定は、固体粘弾性アナライザー(ティー・エイ・インスツルメンツ社製、型番:RSA−III)を用い、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法で測定した。具体的な測定条件は、アタッチメントモードを圧縮モードとし、周波数を1Hzとし、測定温度範囲を−50℃から150℃までとし、昇温速度を5℃/分とした。
製造直後の外観観察は、製造直後のガスバリア性フィルムを目視で観察することにより行った。白化が発生せずに、有機層の透明性を維持したものを「良い」とし、白化が発生したものを「悪い」とした。
耐紫外線劣化性試験後の黄変の確認は、耐紫外線劣化性試験後のガスバリア性フィルムを目視で観察することにより行った。黄変が発生せずに、透明性を維持したものを「非常に良い」とし、黄変が発生したが、実用上問題がないものを「良い」とし、黄変が発生し、実用上問題になるものを「悪い」とした。
耐紫外線劣化性試験は、超促進耐紫外線劣化性試験機(岩崎電気株式会社製、商品名:アイスーパーUVテスター、型番:SUV−W23)を用いて、ガスバリア性フィルムに下記の(A),(B),(C)を1サイクルとし、これを21サイクル繰り返すことにより行った。
(A)温度:63℃、湿度:50%RHの雰囲気下で、照度:60mW/cm、ピーク波長:365nmの紫外線を20時間照射する、
(B)散水処理(シャワー)を30秒間行う、
(C)温度:63℃、湿度:98%RHの雰囲気下で4時間保持する(紫外線の照射は無し)。
水蒸気透過率の測定は、温度37.8℃、湿度100%RHの雰囲気下で、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、商品名:PERMATRAN−W3/31)を用いて行った。この装置の測定限界は、0.05g/m/dayである。
結果を表1に示す。なお、有機層を構成する高分子化合物のガラス転移温度(Tg)を示さなかったものは、「−」と表記した。なお、実施例9〜11又は比較例5で用いられているウレタンアクリレート(商品名:UA−306H、共栄社化学株式会社製)、アクリル樹脂(商品名:3EG−A、共栄社化学株式会社製)、及びアクリル樹脂(商品名:40EM、共栄社化学株式会社製)は、それぞれ単体のTgを測定しても、いずれもTgを示さなかった。
Figure 0006286847
表1から、実施例1〜10のガスバリア性フィルムは、製造直後に白化が発生せず、耐紫外線劣化性試験後に黄変が発生しなかったので、優れた耐紫外線劣化性を示した。また、実施例11,12の製造直後のガスバリア性フィルムは、製造直後に白化が発生せず、耐紫外線劣化性試験後に僅かな黄変は発生したが、実用上問題のない程度であったので、実用可能な耐紫外線劣化性を示した。また、実施例1〜12のガスバリア性フィルムは、水蒸気透過率が0.4g/m/day以下であり、高いガスバリア性を示した。
一方、比較例1,2のガスバリア性フィルムは、耐紫外線劣化性試験後に黄変は発生しなかったが、製造直後に白化が発生したので、実用上問題があった。比較例3のガスバリア性フィルムは、製造直後に白化が発生せずに透明性を維持していたが、耐紫外線劣化性試験後に黄変が発生したので、実用上問題があった。比較例4のガスバリア性フィルムは、製造直後に白化が発生し、耐紫外線劣化性試験後においても黄変が発生した。比較例5のガスバリア性フィルムは、製造直後に白化が発生せず透明性を維持していたが、耐紫外線劣化性試験後に黄変が発生したので、実用上問題があった。
1 基材
2,2’ 有機層
3,3’ 無機層
4 プライマー層
10,10A,10B,10C ガスバリア性フィルム
S1 基材の片面
S2 基材の他の面

Claims (4)

  1. 基材上に、電離放射線硬化性樹脂とトリアジン系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤とを含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する工程と、塗布された前記電離放射線硬化性樹脂組成物に電子線を照射して有機層を形成する工程と、前記有機層上に無機層を形成する工程とを有し、
    前記有機層は、17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物が全体の50質量%以上を占め、
    前記17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物が、ウレタンアクリレートであることを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
  2. 前記基材と前記有機層との間に、前記紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤と同じ又は異なる紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含有するプライマー層が設けられている、請求項1に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
  3. 基材と、該基材上に形成された有機層と、該有機層上に形成された無機層とを有し、前記有機層が、ガラス転移温度が17℃以上の高分子化合物の含有割合が50質量%以上の硬化物と、該硬化物中に含まれるトリアジン系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤とを有し、
    前記17℃以上のガラス転移温度を示す高分子化合物が、ウレタンアクリレートであることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  4. 請求項3に記載のガスバリア性フィルムを備える表示装置又は発電装置であることを特徴とする装置。

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