JP6582833B2 - 転写用ハードコートフィルム及びその製造方法、ハードコート層積層体 - Google Patents
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前記プライマー層は、紫外線吸収剤と、粒子と、を含有し、前記紫外線吸収剤と前記粒子の屈折率差Δnが0.13より大きく、
前記接着層は、重量平均分子量(Mw)が7.6×104以上2.3×105以下の樹脂を含有する転写用ハードコートフィルム。
前記プライマー層は、紫外線吸収剤と、粒子と、を含有し、前記紫外線吸収剤と前記粒子の屈折率差Δnが0.13より大きく、
前記接着層は、重量平均分子量(Mw)が7.6×104以上2.3×105以下の樹脂を含有するハードコート層積層体。
前記プライマー層は、紫外線吸収剤と、粒子と、を含有し、前記紫外線吸収剤と前記粒子の屈折率差Δnが0.13より大きく、
前記接着層は、重量平均分子量(Mw)が7.6×104以上2.3×105以下の樹脂を含有する基材フィルム付ハードコート層積層体。
a)基材フィルム上に、ハードコート層を形成する工程
b)前記ハードコート層上に、屈折率差Δnが0.13より大きい紫外線吸収剤及び粒子と、2液硬化型樹脂と、を含むプライマー層形成用組成物を用いてプライマー層を形成する工程
c)前記プライマー層上に、重量平均分子量(Mw)が、7.6×104以上2.3×105以下の樹脂を含有する接着層形成用組成物を用いて接着層を形成する工程
d)前記プライマー層を硬化する工程
本実施形態の転写用ハードコートフィルム10は、基材フィルム11上に、ハードコート層12と、プライマー層13と、接着層14とがこの順に配置されている積層体である(図1参照)。本実施形態の転写用ハードコートフィルム10を用いることにより、樹脂基体20にハードコート層12を含む転写層が積層されたハードコート層積層体を製造することができる。
基材フィルム11は、特に限定されないが、ポリエステル樹脂フィルム又はポリオレフィン樹脂フィルムにより構成されることが好ましい。また、上記フィルムのうち延伸フィルムであることが好ましい。基材フィルム11がこれらの樹脂フィルムにより構成されることにより、その上にハードコート層12などを容易に形成でき、また、転写用ハードコートフィルム10を製造する際に熱収縮や、ハードコート層12の形成に電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は、電離放射線の照射による収縮が生じにくいという優れた耐収縮性を有し、転写用ハードコートフィルム10を優れた安定性と効率とで製造することが可能となる。更に、転写用ハードコートフィルム10を樹脂基体20に転写する際の加熱温度による熱収縮が生じることもないので、容易にハードコート層積層体10を製造することができる。
ハードコート層12は、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層であり、樹脂基体20にハードコート性を付与する層である。上記硬化性樹脂組成物には硬化性樹脂の他、所望に応じて、耐候剤、耐傷粒子、非反応性シリコーン化合物などの滑剤がハードコート層積層体への耐候性及びハードコート性を付与する性能を損なわない範囲で含まれていてもよい。
プライマー層13は、ハードコート層12と接着層14との間に配置され、ハードコート層12に対する応力緩和層として機能するとともに、ハードコート層12の密着性を向上させる役割を果たす層である。
紫外線吸収剤は、粒子との屈折率差Δnが0.13超である屈折率を有する紫外線吸収剤を含めば特に限定されない。例えば、二酸化チタンや酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機系のものや、ベンゾトリアゾール系やトリアジン系の有機系の紫外線吸収剤が好ましく挙げられ、これらのうち、粒子との屈折率差Δnが0.13超であるものを選択して単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。トリアジン系紫外線吸収剤のなかでも、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤がさらに好ましい。上記ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2’−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが好ましく挙げられる。
プライマー層13に粒子が含有されることによって、転写用ハードコートフィルム10の製造工程において、プライマー層13を形成した後にフィルムを巻取った場合に、基材フィルム11とプライマー層13とが接触する面積を減らすことができ、また、プライマー層13とガイドロールとの接着を抑制し、転写用ハードコートフィルム10の巻き形状の悪化や、転写用ハードコートフィルム10が損傷することを防止できる。
本実施形態に関するプライマー層13を構成するバインダー樹脂は、主剤と硬化剤とからなる2液硬化型樹脂を含有することが好ましい。
主剤としては、特に限定はなく、例えば、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、プチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのバインダー樹脂の中でも、密着性及び耐候性の観点から、ポリウレタン樹脂が好ましい。
[化1]
HO−[R1−O−(C=O)−O]m1−R1−OH(1)
[化2]
HO−[R2−O−(C=O)]m2−R2−OH(2)
上記の主剤の硬化を促進する観点から、例えばトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネートなどのイソシアネート硬化剤が挙げられる。
本実施形態に関する接着層14は、ハードコート層12を樹脂基体20の表面に形成するために、ハードコート層12を樹脂基体20に接着するために設けられる層であり、このようなハードコート層12を樹脂基体20に接着するという機能に加えて、プライマー層13に含まれる粒子がプライマー層13の表面に突き出す、いわゆる頭出しを和らげて透明性の低下を抑制し、優れた光学的性能を確保するという機能をも有する。
本発明の転写用ハードコートフィルムでは必須ではないが、ハードコート層積層体の意匠性を向上させるため、必要に応じて転写用ハードコートフィルムの一部又は全面に、更に着色層(加飾層)を設けてもよい。着色層の柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字などからなる柄や絵柄等を設けることもできる。
本実施形態に関する転写用ハードコートフィルム10の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、少なくとも以下の工程を順に有する転写用ハードコートフィルムの製造方法を挙げることができる。
b)ハードコート層12上に、屈折率差Δnが0.13より大きい紫外線吸収剤及び粒子と、2液硬化型樹脂と、を含むプライマー層形成用組成物を用いてプライマー層13を形成する工程
c)プライマー層13上に、重量平均分子量(Mw)が、7.6×104以上2.3×105以下の樹脂を含有する接着層形成用組成物を用いて接着14層を形成する工程
d)プライマー層13を硬化する工程
基材フィルム11上に、ハードコート層12を含む転写層形成する方法としては、ハードコート層形成用樹脂組成物を、硬化後の厚さが通常1μm以上20μm以下程度となるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、硬化して行う方法がある。樹脂組成物が溶剤を含むような場合は、塗工後、熱風乾燥機などにより塗布層を予め加熱乾燥してから、さらに加熱処理、あるいは電離放射線を照射することが好ましい。
次に、ハードコート層12上に、屈折率差Δnが0.13より大きい紫外線吸収剤及び粒子と、2液硬化型樹脂と、を含むプライマー層形成用組成物を用いてプライマー層13を形成する。プライマー層13は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの塗布方式、或いは転写コーティング法により形成することができる。ここで、転写コーティング法とは、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層13の塗膜を形成し、その後にハードコート層12の表面に被覆する方法である。好ましくはグラビアコートにより行うのがよい。
次に、プライマー層13上に、重量平均分子量(Mw)が、7.6×104以上2.3×105以下の樹脂を含有する接着層形成用組成物を用いて接着層14を形成する。接着層14を形成する方法は、上記b)と同様の方法を用いることができ特に限定されない。
最後に、プライマー層13を硬化する。ここでの硬化とは、プライマー層13に残存している硬化剤を主剤と完全に反応させてしまう工程である。具体的には、従来公知の方法で硬化反応を促進させればよく、硬化剤の種類にもよるが、典型的には、40℃以上60℃以下の温度で、24時間以上72時間以下置くとよい。
ハードコート層積層体とは、樹脂基体20上に、接着層14とプライマー層13とハードコート層12と必要に応じて基材フィルム11とが、この順に配置されて積層された積層体である。樹脂基体20にハードコート層12を含む転写層が積層されることで、樹脂基体20に十分な耐傷性を付与することができる(図2参照)。
基材フィルムとして厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)からなるフィルムを用い、該基材フィルムの一方の面に、以下のハードコート層形成用の硬化性樹脂組成物を塗布して未硬化樹脂層を形成し、90kV及び7Mrad(70kGy)の条件で電子線を照射して、該未硬化樹脂層を架橋硬化させることにより、ハードコート層(厚さ:3μm)を形成した。
(硬化性樹脂)
多官能ウレタンアクリレートオリゴマー:60質量部
多官能カプロラクトン系ウレタンアクリレートオリゴマー:40質量部
紫外線吸収剤:0.5質量部
光安定剤:3質量部
シリコーン化合物:0.2質量部
粒子:10質量部
ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体:100質量部
紫外線吸収剤A(Tinuvin400):13質量部、屈折率 1.56
紫外線吸収剤B(Tinuvin479):17質量部、屈折率 1.68
光安定剤(Tinuvin123):3質量部
粒子(平均粒径3μmのシリカ、屈折率 1.46):8質量部
ポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート):25質量部
粒子、及び、紫外線吸収剤の屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ社製、製品名[DR−M2])等によって測定した。ここで、紫外線吸収剤の屈折率は、紫外線吸収剤10質量部を有機溶剤メチルエチルケトン90質量部に対して溶解した溶液を、PETフィルム上に1g/m2で塗布、乾燥した後に、上記の屈折率計にて測定した値である。
実施例1において、接着層14に含有される樹脂の重量平均分子量(Mw)が9.6×104であるアクリル系樹脂を用いて接着層(厚さ:5μm)を積層した以外は、実施例1と同様に製造し、実施例2の転写用ハードコートフィルムを得た。
実施例1において、接着層14に含有される樹脂の重量平均分子量(Mw)が1.2×105であるアクリル系樹脂を用いて接着層(厚さ:5μm)を積層した以外は、実施例1と同様に製造し、実施例3の転写用ハードコートフィルムを得た。
実施例1において、接着層14に含有される樹脂の重量平均分子量(Mw)が2.3×105であるアクリル系樹脂を用いて接着層(厚さ:5μm)を積層した以外は、実施例1と同様に製造し、実施例4の転写用ハードコートフィルムを得た。
実施例1において、プライマー層に含有される紫外線吸収剤を、紫外線吸収剤A:13質量部(屈折率1.56)、及び、紫外線吸収剤C(Tinuvin405):17質量部(屈折率1.62)とし、かつ、接着層14に含有される樹脂の重量平均分子量(Mw)が9.6×104であるアクリル系樹脂を用いて接着層(厚さ:5μm)を積層した以外は、実施例1と同様に製造し、実施例5の転写用ハードコートフィルムを得た。
実施例5において、プライマー層に含有される紫外線吸収剤を、紫外線吸収剤C:17質量部(屈折率1.62)のみとし、かつ、接着層14に含有される樹脂の重量平均分子量(Mw)が9.6×104であるアクリル系樹脂を用いて接着層(厚さ:5μm)を積層した以外は、実施例5と同様に製造し、実施例6の転写用ハードコートフィルムを得た。
実施例1において、接着層14に含有される樹脂の重量平均分子量(Mw)が2.5×104であるアクリル系樹脂を用いて接着層(厚さ:5μm)を積層した以外は、実施例1と同様に製造し、比較例1の転写用ハードコートフィルムを得た。
実施例1において、接着層14に含有される樹脂の重量平均分子量(Mw)が4.0×104であるアクリル系樹脂を用いて接着層(厚さ:5μm)を積層した以外は、実施例1と同様に製造し、比較例2の転写用ハードコートフィルムを得た。
実施例1において、接着層14に含有される樹脂の重量平均分子量(Mw)が6.7×104であるアクリル系樹脂を用いて接着層(厚さ:5μm)を積層した以外は、実施例1と同様に製造し、比較例3の転写用ハードコートフィルムを得た。
実施例1において、接着層14に含有される樹脂の重量平均分子量(Mw)が2.8×105であるアクリル系樹脂を用いて接着層(厚さ:5μm)を積層した以外は、実施例1と同様に製造し、比較例4の転写用ハードコートフィルムを得た。
実施例1において、接着層14に含有される樹脂の重量平均分子量(Mw)が3.0×105であるアクリル系樹脂を用いて接着層(厚さ:5μm)を積層した以外は、実施例1と同様に製造し、比較例5の転写用ハードコートフィルムを得た。
実施例及び比較例の転写用ハードコートフィルムについて接着層の外観を目視にて確認した。評価結果を表2に示す(表2中、「接着層面質」と表記)。
○:塗工スジ、ムラ、及びピンホールが認められず、均一な塗工面質であった
△:若干の塗工スジ、ムラ、またはピンホールが認められる塗工面質であった
×:著しい塗工スジ、ムラ、またはピンホールが認められ、不均一な塗工面質であった
実施例及び比較例の転写用ハードコートフィルムについて接着層の積層後、50℃恒温層内にて2週間保管し、保管後の転写用ハードコートフィルムについて接着層のクラック有無を確認した。評価結果を表2に示す(表2中、「接着層クラック」と表記)。
○:接着層にクラック及び剥離が認められず、均一な面質である状態であった
×:接着層にクラックまたは剥離が認められ、不均一な面質である状態であった
実施例及び比較例の転写用ハードコートフィルムから得られたハードコート層積層体の表面を、ヘイズメータ(東洋精機製作所社製、ヘイズガードプラス)で測定した。評価結果を表2に示す(表2中、「ヘイズ(%)」と表記)。
実施例及び比較例の転写用ハードコートフィルムから得られたハードコート層積層体の転写面にカッターナイフで1mm碁盤目クロスカットを入れ、コート面にニチバン製工業用テープを圧着し、45°方向に急激剥離する試験を1回実施後、試験面を目視で観察した(ASTM D3359準拠)。評価結果を表2に示す(表2中、「密着性」と表記)。
11 基材フィルム
12 ハードコート層
13 プライマー層
14 接着層
20 樹脂基体
Claims (4)
- 基材フィルム上に、ハードコート層とプライマー層と接着層とがこの順に配置されており、
前記プライマー層は、紫外線吸収剤と、粒子と、を含有し、前記紫外線吸収剤と前記粒子の屈折率差Δnが0.13より大きく、
前記接着層は、重量平均分子量(Mw)が7.6×104以上2.3×105以下のアクリル系樹脂を含有する転写用ハードコートフィルム。 - 樹脂基体上に、接着層とプライマー層とハードコート層とがこの順に配置されており、
前記プライマー層は、紫外線吸収剤と、粒子と、を含有し、前記紫外線吸収剤と前記粒子の屈折率差Δnが0.13より大きく、
前記接着層は、重量平均分子量(Mw)が7.6×104以上2.3×105以下のアクリル系樹脂を含有するハードコート層積層体。 - 樹脂基体上に、接着層とプライマー層とハードコート層と基材フィルムとがこの順に配置されており、
前記プライマー層は、紫外線吸収剤と、粒子と、を含有し、前記紫外線吸収剤と前記粒子の屈折率差Δnが0.13より大きく、
前記接着層は、重量平均分子量(Mw)が7.6×104以上2.3×105以下のアクリル系樹脂を含有する基材フィルム付ハードコート層積層体。 - 少なくとも以下の工程を順に有する転写用ハードコートフィルムの製造方法。
a)基材フィルム上に、ハードコート層を形成する工程
b)前記ハードコート層上に、屈折率差Δnが0.13より大きい紫外線吸収剤及び粒子と、2液硬化型樹脂と、を含むプライマー層形成用組成物を用いてプライマー層を形成する工程
c)前記プライマー層上に、重量平均分子量(Mw)が、7.6×104以上2.3×105以下のアクリル系樹脂を含有する接着層形成用組成物を用いて接着層を形成する工程
d)前記プライマー層を硬化する工程
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