JP6558189B2 - ハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法 - Google Patents

ハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、押出成形されたポリカーボネート板上に、熱転写によってハードコート層を転写した後に、熱曲げ加工して得られるハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法に関する。
樹脂成形品の表面に耐傷性を付与するために、ハードコート層を樹脂成形品の表面に形成することが行われている。耐傷性以外の必要特性として、特に樹脂がポリカーボネートの場合には、ポリカーボネート自体の高透明性を活かすため、ハードコート層付ポリカーボネート成形品にも透明性が要求される。
例えば、下記の特許文献1には、ポリカーボネート板を押出成形しつつ、熱転写フィルムを用いて転写することで、ポリカーボネート板上に、プライマー層と、ハードコート層とが積層された構成が開示されている。
特開2005−178035号公報
特許文献1の解決しようとする課題は、ハードコート層付き熱可塑性成形体を加熱して曲げた際の表面、すなわちハードコート層のクラック発生であり、このために、ハードコート層と共に転写されるプライマー層に粒子を含有させることで耐クラック性を付与したものである。すなわち、転写層自体の材料を変更することで耐クラック性を付与することが開示されている。
しかしながら、本発明者らの検討によれば、上記のような耐クラック性を付与した転写層を用いた場合であっても、曲げ加工前の加熱(予備加熱)工程において、ハードコート層付ポリカーボネート成形品の表面に白濁が生じる場合がある。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポリカーボネート板上にハードコート層を含む転写層を転写した後に、曲げのための加熱を行った場合であっても、ハードコート層を含む転写層の白濁を防止できるハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、転写前に加熱工程を行い、更に、転写後の板の状態を光学物性の観点から最適化することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を開発するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 少なくとも以下の工程を順に有する、ハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法。
a)押出成形によりポリカーボネート板を得る工程
b)前記ポリカーボネート板を加熱する工程
c)前記ポリカーボネート板上に、ハードコート層付転写シートを用いて、ハードコート層を転写し、複屈折が5.5×10−4以下のハードコート層付ポリカーボネート板を得る工程
d)前記ハードコート層付ポリカーボネート板を加熱する工程
e)前記ハードコート層付ポリカーボネート板を曲げる工程
(2) 前記ハードコート層は、電離放射線硬化性樹脂の硬化物である(1)に記載のハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法。
(3) 前記工程b)において、前記ポリカーボネート板の両面から前記加熱を行う(1)又は(2)に記載のハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法。
(4) 前記工程c)において、前記ポリカーボネート板の両面に前記ハードコート層を転写する(1)から(3)のいずれかに記載のハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法。
ポリカーボネート板上にハードコート層を転写した後に、曲げのための加熱を行った場合であっても、ハードコート層の白濁を防止できるハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法を提供できる。
本発明の製造方法の一実施形態の各工程を示す概略図である。 本発明の製造方法によって得られるハードコート層付ポリカーボネート成形品の一実施形態における、層構成を表す断面模式図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<ハードコート層付ポリカーボネート成形品>
本実施形態に関するハードコート層付ポリカーボネート成形品とは、図2に示すように、ポリカーボネート板11と接着層12dとプライマー層12cとハードコート層12bとを備えたハードコート層付ポリカーボネート板を曲げ加工した成形品(曲げは図示せず)である。ハードコート層12bを樹脂成形品の表面に形成させることで、樹脂成形品の表面に耐傷性等の物性を付与することができる。本発明のハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法について、その一実施形態を用いて以下の詳細に説明する。
<ハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法>
図1に示すように、本実施形態のハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法は、少なくとも、
a)押出成形によりポリカーボネート板を得る工程、
b)ポリカーボネート板を加熱する工程、
c)ポリカーボネート板上に、ハードコート層付転写シートを用いて、ハードコート層を転写し、複屈折が5.5×10−4以下のハードコート層付ポリカーボネート板を得る工程、
d)ハードコート層付ポリカーボネート板を加熱する工程
e)ハードコート層付ポリカーボネート板を曲げる工程
を有する製造方法である。
なお、本発明の製造方法は、図1のようなインラインの連続工程に限定されず、各工程をオフラインで独立に行なう場合ももちろん本発明の範囲内である。以下、各工程について説明する。
[a)押出成形によりポリカーボネート板を得る工程]
まず、押出成形によりポリカーボネート板を得る。押出成形は、従来公知の方法で行えばよく、例えば、ポリカーボネート樹脂を加熱溶融し、押出機20のダイスから押出した後、冷却ロールで圧延し、ガイドロールを経て、取引ロールで取引ながら冷却固化することで得られる。
ポリカーボネート樹脂は、公知の材料を用いればよく、必要に応じて、添加剤、例えば脂肪酸エステル系等添の離型剤、リン酸エステル系、フェノール系の熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、アセトフェノン系、サリチル酸エステル系等の紫外線吸収剤、多価アルコール系、アンモニウム塩等のアニオン系等の帯電防止剤、増白剤、着色剤、難燃剤を配合してもよい。
押出成形によりポリカーボネート板11を得る工程によって得られるポリカーボネート板11の厚さは、特に限定されるものではないが、1mm以上20mm以下であることが好ましく、1.5mm以上15mm以下であることがより好ましい。
[b)ポリカーボネート板を加熱する工程]
次に、押出成形後のポリカーボネート板11に対してヒーター30a、30bを用い加熱する。図1(b)では両面から加熱をしているが、ポリカーボネート板11の片面から加熱してもよい。また、ポリカーボネート板を加熱する工程は、押出し成形後にインラインで行うこともできるし(図1参照)、オフラインで行ってもよいが、生産性の観点からはインラインにより行うことが好ましい。
本発明者らの検討によれば、ハードコート層12bを転写した後のハードコート層付ポリカーボネート板10aを加熱した際の白濁は、ハードコート層12bとポリカーボネート板11との熱収縮率の差によって、ハードコート層12bを含む転写層が波を打ったような凹凸形状に変化してシワを発生することで生じることが分かっている。
そこで、本発明においては、ポリカーボネート板11にハードコート層を転写する前に加熱する工程、を経ることによって、ポリカーボネート板11の残留応力を解放することにより、ハードコート層付ポリカーボネート板を加熱した際のハードコート層12bを含む転写層の白濁を防止することを見出した。
加熱の条件としては、後述のC)工程での屈折率が特定の範囲に入るように設定すれば特に限定はなく、180℃で1分以上加熱することが好ましく、転写後により高い温度と時間で加熱することができ、その後の曲げ加工適正を向上させる観点から200℃以上で1分以上加熱することがより好ましい。また、加熱温度の上限はポリカーボネートシートの歪変形の観点から250℃以下が好ましい。加熱時間の上限は生産性の観点から5分以下である。なお、工程b)後で、かつ、工程c)前でのポリカーボネート板10aの複屈折は、7.6×10−4以下、位相差値で2432nm以下となるように、b)工程を行うことが好ましい。この調整は、ヒーター30a、30bによる加熱温度と加熱時間を調整することで達成される。
[c)ハードコート層付ポリカーボネート板を得る工程]
次に、ポリカーボネート板11上に、ハードコート層付転写シート12を用いて、ハードコート層12bを含む転写層を転写し、複屈折が5.5×10−4以下のハードコート層付ポリカーボネート板10aを得る。ハードコート層付転写シート12とは、少なくとも基材フィルム12aにハードコート層12bが積層されたシートである。
(ハードコート層付転写シート)
ハードコート層付転写シート12の一実施形態について説明する。本実施形態に関するハードコート層付転写シート12とは、例えば、基材フィルム12aと、ハードコート層12bと、プライマー層12cと、接着層12dからなる積層体である。ポリカーボネート板11の表面とハードコート層付転写シート12の接着層12dと対向するように積層する。その後、ポリカーボネート板11とハードコート層付転写シートとの積層体から、基材フィルム12aを剥離し、ハードコート層12b、プライマー層12cと、接着層12dを転写することで、ハードコート層付ポリカーボネート板10a(図2参照)を得ることができる。なお、本発明の効果を妨げない範囲で、離型層や着色層などの他の層が積層されていても本発明の範囲である。
(基材フィルム)
基材フィルム12aは、特に限定されないが、ポリエステル樹脂フィルム又はポリオレフィン樹脂フィルムにより構成されることが好ましい。また、上記フィルムのうち延伸フィルムであることが好ましい。基材フィルム12aがこれらの樹脂フィルムにより構成されることにより、その上にハードコート層12bなどを容易に形成でき、また、ハードコート層付転写シート12を生産する際に熱収縮や、ハードコート層12bの形成に電離放射線硬化性樹脂を用いる場合は、電離放射線の照射による収縮が生じにくいという優れた耐収縮性を有し、ハードコート層付転写シート12を優れた安定性と効率とで生産することが可能となる。更に、ハードコート層付転写シート12をポリカーボネート板11に転写する際の加熱温度による熱収縮が生じることもないので、容易にハードコート層付ポリカーボネート成形品10を生産することができる。
ポリエステル樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ということがある。)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体などのポリエステル樹脂からなるフィルムが好ましく挙げられる。これらの中でも、本発明の転写シートを生産する際の熱収縮や、電離放射線の照射による収縮が生じにくいことなどを考慮すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
ポリオレフィン樹脂フィルムとしては、熱転写フィルムを生産する際の熱収縮や、電離放射線の照射による収縮が生じにくいことなどを考慮すると、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体樹脂、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体樹脂、オレフィン熱可塑性エラストマーなどのポリオレフィン樹脂からなり、延伸された樹脂フィルムが好ましく挙げられる。また、これらの中でも、延伸ポリプロピレン樹脂フィルムであることが好ましい。
延伸ポリオレフィン樹脂は、一軸延伸されたもの、二軸延伸されたもののいずれでもよいが、ハードコート層付転写シートを生産する際の熱収縮や、電離放射線の照射による収縮が生じにくいことなどを考慮すると、二軸延伸されたものであることが好ましい。二軸延伸ポリオレフィン樹脂のシートは、通常、長手方向延伸機を用いてガラス転移温度(Tg)以上に加熱して、好ましくは5〜30倍程度延伸し、次いで、幅方向延伸機を用いてガラス転移温度(Tg)以上に加熱して幅方向へ好ましくは5〜30倍延伸して得られる。また、延伸倍率が上記範囲内であると、ハードコート層付転写シートを生産する際の熱収縮や、電離放射線の照射による収縮が生じにくくなる。
基材フィルム12aの厚さは、特に限定されないが、通常4μm以上200μm以下であればよい。4μm以上であればカールやシワが入りにくくなり、200μm以下であればコストを安価に抑えられ、熱伝導効率が低下することがなく、転写後に基材フィルムを剥離する際に各層がとられることがなく、優れた転写性が得られる。基材フィルム11は、複層構成でもよい。その場合、複層構成全体で上記厚みの範囲にあることが好ましい。
なお、基材フィルム12aは、転写する際のハードコート層12bとの間の離型性を確保するために、必要に応じて基材フィルム12a表面に公知の離型処理を施したり、シリコーン樹脂などの離型層を設けてもよい。また、逆にハードコート層12との密着性を向上させるためにコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン/紫外線処理、易接着コート剤を塗布するなどの表面処理を施してもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層12bは、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層であり、ポリカーボネート板11にハードコート層付転写シート12を転写させてなるハードコート層付ポリカーボネート成形品に耐候性とともにハードコート性を付与する層である。上記硬化性樹脂組成物には硬化性樹脂の他、所望に応じて、耐候剤、耐傷粒子、非反応性シリコーン化合物などの滑剤がハードコート層付ポリカーボネート成形品10への耐候性及びハードコート性を付与する性能を損なわない範囲で含まれていてもよい。
ハードコート層12bを形成することのできる樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、電離放射線硬化性樹脂等、の硬化物からなる層を好ましく挙げることができる。耐候性やハードコート性の観点から電離放射線硬化性樹脂の硬化物であることが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線を照射することにより硬化する硬化性樹脂であり、電離放射線としては、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるほか、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も用いられる。
ハードコート層12bに使用できる電離放射線硬化性樹脂としては、従来から電離放射線硬化性を有する樹脂として慣用されている重合性オリゴマー(プレポリマー)、重合性ポリマーの中から適宜選択して用いることができ、良好な硬化特性を得る観点から、ブリードアウトしにくく、固形分基準として95〜100%程度としても塗布性を有し、かつ硬化させてハードコート層12bを形成する際に硬化収縮を生じにくいものが好ましい。
重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系やポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートやカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーなどが好ましく挙げられ、ウレタン(メタ)アクリレート系がより好ましい。これらのオリゴマーのうち、多官能の重合性オリゴマーが好ましく、官能基数としては、2以上15以下が高架橋密度によるハードコート性付与の点で好ましく、硬化収縮を生じにくいという点から、2以上8以下がより好ましく、さらに好ましくは2以上6以下である。なお、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
また、単官能の重合性オリゴマーとしては、例えば、カプロラクトン系ポリオールと有機イソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応により得られるカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートや、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレートなどのような高分子ウレタン(メタ)アクリレートを挙げることができる。
重合性ポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つポリマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系やポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートやポリカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のポリマーなどが好ましく挙げられ、ポリカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート又はウレタン(メタ)アクリレート系がより好ましい。なお、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。これらのポリマーを単独で、あるいは複数を組合せて用いてもよい。
ハードコート層12bを形成する硬化性樹脂組成物には、耐傷粒子が含有されていてもよい。耐傷粒子としては、無機系と有機系の粒子があり、無機系粒子としては、例えば、アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素などの粒子が挙げられる。該無機系粒子の形状としては、例えば、球状、楕円体、多面体、鱗片形などが挙げられ、特に制限はないが、ハードコート層12bの硬度がより高くなり優れたハードコート性が得られる点で、球状が好ましい。耐傷粒子の粒子径としては特に制限されないが、ハードコート層12bの硬度及び平滑性の観点から、0.1μm以上4μm以下、好ましくは0.5μm以上3μm以下が挙げられる。なお、粒子の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
ハードコート層12bの厚さは、特に限定はないが、1μm以上20μm以下程度である。優れた耐候性とその持続性、更には透明性を得る観点から、好ましくは2μm以上20μm以下であり、より好ましくは2μm以上10μm以下であり、更に好ましくは2μm以上6μm以下である。また、ハードコート層12bの厚さをより薄くすることにより硬化収縮の発生を低減することができ、また製造安定性や製造効率を向上させることができるため、特に2μm以上4μm以下とすることが好ましい。
上記の樹脂組成物の塗布により形成した未硬化樹脂層は、加熱処理、あるいは電子線などの電離放射線を照射して硬化することで、ハードコート層12bとなる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70kV以上300kV以下、照射線量は5Mrad以上10Mrad以下程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
(プライマー層)
プライマー層12cは、ハードコート層12bと接着層12dとの間に配置され、ハードコート層12bに対する応力緩和層として機能するとともに、ハードコート層12bの密着性を向上させる役割を果たす層である。
[バインダー樹脂]
プライマー層12cは、バインダー樹脂を含むプライマー層形成用組成物を用いて形成される。バインダー樹脂は特に限定されないが、主剤と硬化剤とからなる2液硬化型樹脂を含有することが好ましい。
[主剤]
主剤としては、特に限定はなく、例えば、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、プチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのバインダー樹脂のなかでも、密着性及び耐候性の観点から、ポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂としては、ポリウレタン樹脂の高分子鎖中に更にアクリル骨格を有するポリウレタン樹脂であることが、耐候性及び耐久性の観点からより好ましい。高分子鎖中にアクリル骨格を有するポリウレタン樹脂としては、例えば、ウレタン成分とアクリル成分との共重合体であるウレタンアクリル共重合体、ポリウレタンを構成するポリオール成分又はポリイソシアネート成分としてヒドロキシル基又はイソシアネート基を有するアクリル樹脂があり、なかでもウレタンアクリル共重合体が好ましい。ウレタンアクリル共重合体は、例えば、1分子中に少なくとも2個のヒドロキシル基を有するアクリル樹脂にポリオール化合物及びイソシアネート化合物を反応させる方法(特開平6−100653号公報等参照)や、不飽和二重結合を両末端に有するウレタンプレポリマーにアクリルモノマーを反応させる方法(特開平10−1524号公報等参照)等によって得ることができる。
上記の高分子鎖中にアクリル骨格を有するポリウレタン樹脂のなかでも、高分子鎖中に、更にポリカーボネート骨格又はポリエステル骨格を有するものが、ハードコート層との密着性の観点から好ましい。高分子鎖中にアクリル骨格を有し、更にポリカーボネート骨格又はポリエステル骨格を有するポリウレタンとしては、ポリカーボネート系ウレタン成分とアクリル成分の共重合体であるポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体、又は、ポリエステル系ウレタン成分とアクリル成分の共重合体であるポリエステル系ウレタンアクリル共重合体がより好ましく、より一層優れた耐候性を備えさせるという観点から、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体を用いることが特に好ましい。これらのポリウレタンは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体は、例えば、カーボネートジオールとジイソシアネートを反応させて得られたポリカーボネート系ウレタンと、アクリル骨格を有するジオールを共重合させることにより得ることができる。また、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体は、アクリル骨格を有するジオールに、カーボネートジオールとジイソシアネートを反応させることによっても得ることができる。ここで、上記アクリル骨格を有するジオールとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸、アルキル基の炭素数が1〜6程度の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、或いはこれらがラジカル重合したオリゴマー又はプレポリマー(重合度2以上10以下程度)に、2つの水酸基が導入されている化合物が挙げられる。
上記ジイソシアネートとしては、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系インシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素転化キシリレンジイソシアネート等の脂環式系インシアネートが挙げられる。また、上記カーボネートジオールとしては、具体的には、下記一般式(1)に示される化合物(式中、R1は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の2価の複素環基、又は、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の2価の脂環基であり、m1は、1以上10以下の整数である)等が挙げられる。
[化1]
HO−[R−O−(C=O)−O]m1−R−OH(1)
また、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体は、ラジカル重合する基が導入されているポリカーボネート系ポリウレタンプレポリマーを、アクリルモノマーとラジカル重合させることによって得ることもできる。前記アクリルモノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸やアルキル基の炭素数が1以上6以下程度の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
上記ポリエステル系ウレタンアクリル共重合体は、例えば、エステルジオールとジイソシアネートを反応させて得られたポリエステル系ウレタンと、アクリル骨格を有するジオールを共重合させることにより得ることができる。あるいは、アクリル骨格を有するジオールに、エステルジオールとジイソシアネートを反応させることによっても得ることができる。ここで、アクリル骨格を有するジオール及びジイソシアネートは、前記ポリカーポネート系ウレタンアクリル共重合体の製造に使用されるものと同様である。また、エステルジオールとしては、具体的には、下記一般式(2)に示される化合物(式中、R2は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の2価の複素環基、又は、置換基を有していてもよい炭素数1以上12以下の2価の脂環基であり、m2は、1以上10以下の整数である)等が挙げられる。
[化2]
HO−[R−O−(C=O)]m2−R−OH(2)
また、ポリエステル系ウレタンアクリル共重合体は、ラジカル重合する基が導入されているポリエステル系ポリウレタンプレポリマーを、アクリルモノマーとラジカル重合させることによって得ることもできる。アクリルモノマーとしては、上記ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体の製造に使用されるものと同様である。
上記プライマー層に用いられるポリウレタンは、例えば、重量平均分子量が4.0×10以上1.0×10以下を満たすものが使用される。このような特定の重量平均分子量と後述するアクリル成分の含有量を満たすポリウレタンを使用することによって、優れた耐候性を備えさせることが可能になる。より一層優れた耐候性を備えさせるという観点から、ポリウレタンの重量平均分子量として、好ましくは5.0×10以上8.0×10以下が挙げられる。ここで、ポリウレタンの重量平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ、標準ポリスチレンで換算された値を示す。
上記プライマー層に用いられるポリウレタンは、優れた耐候性を備えさせるために、アクリル成分の含有量が1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。ここで、ポリウレタンにおけるアクリル成分の含有量とは、ポリウレタンの総質量当たり、アクリル骨格を構成するモノマーが占める割合(質量%)である。より一層優れた耐候性を備えさせるという観点から、ポリウレタンにおけるアクリル成分の含有量として、好ましくは5質量%以上20質量%以下が挙げられる。ポリウレタンにおけるアクリル成分の含有量は、ポリウレタンのNMRスペクトルを測定し、全ピーク面積に対するアクリル成分に帰属されるピーク面積の割合を求めることによって算出される。
上記プライマー層において、上記ポリウレタンと他のバインダー樹脂を組み合わせて使用する場合、これらの混合比については、特に制限されないが、例えば、バインダー樹脂の総量100質量部当たり、上記ポリウレタンが50質量部以上、好ましくは70質量部以上、更に好ましくは85質量部以上となるように設定すればよい。
[硬化剤]
上記の主剤の硬化を促進する観点から、例えばトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネートなどのイソシアネート硬化剤が挙げられる。
これらのイソシアネート硬化剤の使用量は、応力緩和性能や表面保護層と接着層との密着性を向上の観点から、主剤となる樹脂100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下が好ましく、10質量部以上30質量部以下がより好ましく、20質量部以上30質量部以下がさらに好ましい。
プライマー層12cは、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の各種添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、ブロッキング防止剤としての粒子、紫外線吸収剤、光安定剤、耐摩耗性向上剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。
プライマー層12cの厚さについては、特に制限されないが、例えば、0.1μm以上10μm以下、好ましくは0.1μm以上5μm以下、更に好ましくは1μm以上4μm以下が挙げられる。
プライマー層12cは、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバードコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法により、バインダー樹脂を含むプライマー層形成用の樹脂組成物をハードコート層上に塗工することにより形成される。
(接着層)
接着層12dは、ハードコート層12bを転写体の表面に形成するために、ハードコート層12bをポリカーボネート板11に接着するために設けられる層であり、このようなハードコート層をポリカーボネート板11に接着するという機能を有する。
接着層12dに使用できる接着性の樹脂としては、ポリカーボネート板11の材質や熱転写の際の転写温度や圧力に応じて定められるものであるが、一般に、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂などの熱融着樹脂が好ましく、ポリカーボネート板11の材質や転写製品の用途に応じて、上記樹脂の中から1種又は2種以上の樹脂が選定される。プライマー層12cに含まれる粒子との屈折率差が小さく透明性に優れ、透明性と耐候性向上の点から、上記熱融着樹脂としては、アクリル樹脂を単体で用いることが特に好ましい。
接着層12dには、上記ハードコート層12bやプライマー層12cと同様、耐候性を更に向上させるため、紫外線吸収剤や光安定剤などの耐候性改善剤を含有させることもできる。使用できる紫外線吸収剤や光安定剤としては、プライマー層12cにおいて述べたものを好ましく用いることができる。
接着層12dの厚さについては、ハードコート層12bをポリカーボネート板11に接着するという機能と、優れた透明性を確保するという観点から、1μm以上7μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上6μm以下である。
[着色層]
本発明の転写用ハードコートフィルムでは必須ではないが、ハードコート層積層体の意匠性を向上させるため、必要に応じて転写用ハードコートフィルムの一部又は全面に、更に着色層(加飾層)を設けてもよい。着色層の柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字などからなる柄や絵柄等を設けることもできる。
着色層は、例えばプライマー層と接着層との間に積層されるが、これに限定されず、接着性を有する材料の場合には接着層の上に形成されていてもよい。
着色層の形成方法は、例えば、プライマー層13の上に、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂などの樹脂をバインダーとし、適当な色の顔料又は染料を着色剤として含有する印刷インキによる印刷を行うことで形成することができる。印刷方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、昇華転写印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷法が挙げられる。着色層の厚みは、意匠性の観点から5μm以上40μm以下が好ましく、5μm以上30μm以下がより好ましい。
(ハードコート層を転写する方法)
ハードコート層付転写シート12を用いて、ハードコート層12bを含む転写層を転写する方法は、例えば図1の(c)工程のように、給紙ロール41a、41bの巻取体からハードコート層付転写シート12を巻き出し、ポリカーボネート板11の表面とハードコート層付転写シート12の接着層12dと対向するようにニップロール42a、42bによって、加熱加圧することで積層し(熱転写方法)、その後、基材フィルム12aを剥離することによってハードコート層付ポリカーボネート板10aを得ることができる。基材フィルムは、曲げ加工後にも剥がすことはできるが、剥離のしやすさから曲げ加工前に基材フィルムを剥がすことが好ましい。
ニップロールの圧力は、特に限定されるものではないが、1.0MPa以上程度であればハードコート層付転写シート12とポリカーボネート板11とを十分に密着させことができる。ニップロールの加熱温度は、特に限定されるものではないが、90℃以上150℃以下であることが好ましい。このニップロールにおける加熱によっても、更に内部応力が解放されて複屈折や位相差値が低減し、後の白濁を抑制することができる。
ハードコート層付転写シート12とポリカーボネート板11との積層体から基材フィルム12aを剥離する方法は特に限定されるものではないが、例えば、ニップロール43a、43bを介して排紙ロール44a、44bへ基材フィルム12aを巻き取ることにより、上記積層体から基材フィルム12aを連続的に剥離することができる。
なお、ハードコート層12bを含む転写層の転写は、ポリカーボネート板11の一方の面のみへの転写であってもよいが、ポリカーボネート板11の両面へハードコート層12bを含む転写層を転写することが好ましい。ポリカーボネート板11の両面にハードコート層を転写することにより、ポリカーボネート板11の両面に耐傷性を付与することができる。
(ハードコート層付ポリカーボネート板)
本発明においては、このようにして得られたハードコート層付ポリカーボネート板10aの複屈折が5.5×10−4以下であり、4.3×10−4以下が好ましい。位相差値では1753nm以下であることが好ましく、より好ましくは1371nm以下である。複屈折が上記範囲内であることで、後述する曲げ加工のための加熱を行っても、ハードコート層12bが白濁しない。屈折率は、上述したように、b)工程や、c)工程でポリカーボネートに加える熱の温度、時間、ポリカーボネート板の厚みや材料を変更することによって調整することができる。
ここで、本発明における位相差値とは、Re値(面内位相差)を意味する。Re値とは屈折率異方体の面内方向における複屈折性の程度を示す指標をいい、面内方向において屈折率が最も大きい遅相軸方向の屈折率をNx、遅相軸方向に直交する進相軸方向の屈折率をNy、屈折率異方体の面内方向に垂直な方向の厚さをdとした場合に、
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。ここで(Nx−Ny)が本発明における複屈折である。Re値は、位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器社製)を用い、平行ニコル回転法により測定することができる。また、本明細書においては、特に別段の記載をしない限り、Re値は波長589nmにおける値を意味するものとする。
[d)ハードコート層付ポリカーボネート板を加熱する工程]
次にa)〜c)の工程を経ることによって得られたハードコート層付ポリカーボネート板10aを加熱する。加熱は従来公知の方法で行えば特に限定はない。代表的な方法として、パイプヒーター、赤外線ヒーターによる部分加熱、電気炉による全体加熱が挙げられる。
加熱の温度は、ポリカーボネートのガラス転移温度(Tg)以上であればよく、好ましくは160℃以上であればよい。本発明においては、曲げ加工性と白濁防止の観点から160℃以上165℃以下、加熱時間は3分以上5分以下が好ましい。
[e)ハードコート層付ポリカーボネート板を曲げる工程]
ハードコート層付ポリカーボネート板10aを加熱後、曲げ加工を行う。曲げの方法も特に制限はないが、たとえば、上記d)工程の加熱で軟化した部分に成形型を当てて、型に沿って折曲げることで形状をつくることができる。また、雄型と雌型の成形型にハードコート層付ポリカーボネート板10aを挟んで型押し成形してもよい。曲げ加工する際の温度は、d)工程の余熱が十分に残っていれば、常温で行ってもよく、加熱雰囲気下で行ってもよい。
本実施形態のハードコート層付ポリカーボネート成形品10の製造方法は、c)ハードコート層付ポリカーボネート板10aを得る工程おいてハードコート層付ポリカーボネート板10aの複屈折を5.5×10−4以下と制御している。そのため、d)ハードコート層付ポリカーボネート板を加熱して曲げ加工する工程を行った場合であっても、ハードコート層12bを含む転写層の白濁を防止することができる。
以下、実施例、比較例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<ハードコート層付転写シートの作成>
ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム(厚さ50μm)に、下記ハードコート層形成用組成物Aを厚みが3μmとなるように塗工して塗膜を形成し、該塗膜を電子線照射10Mradにて硬化させることにより、基材フィルム上に厚み3μmのハードコート層を形成した。
次いで、当該ハードコート層の表面にコロナ放電処理をし、下記プライマー層形成用樹脂組成物1をグラビアリバース法によって塗工して厚さ3μmのプライマー層(平均屈折率1.51)を形成した。その後、形成したプライマー層上に、熱融着樹脂(アクリル樹脂)をグラビアリバース法によって塗工して厚さ4μmの接着層を形成した。斯して、基材フィルム上に、ハードコート層、プライマー層及び接着層がこの順に積層されたハードコート層付転写シートを得た。
<ハードコート層形成用の樹脂組成物A>
多官能のウレタンアクリレート(分子量約1,000)60質量部
多官能のカプロラクトン変性ウレタンアクリレート(分子量数千程度)40質量部
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤:0.7質量部
ヒンダードアミン系光安定剤:4.2質量部
非反応性シリコーン化合物:0.3質量部
耐傷無機粒子:2重量部
<プライマー層形成用の樹脂組成物1>
ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体:100質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:17質量部
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤:13質量部
光安定剤:8質量部
粒子(シリカ粒子、平均粒径:3μm):9質量部
硬化剤(ヘキサンメチレンジイソシアネート):25質量部
<ハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造>
ポリカーボネート樹脂を押出し機から押し出し、厚さ3.2mmのポリカーボネート板を得た。その後、得られたポリカーボネート板をヒーターによりポリカーボネート板の両面から表1の加熱温度(表1中、工程(b)ヒーター温度)で1分間加熱を行った。
その後、加熱されたポリカーボネート板に上記のハードコート層付転写シートの接着層側が対向するように積層し、熱ロールでラミネートした後、基材フィルムを剥離させ、ハードコート層付ポリカーボネート板を得た。尚、工程(b)後及び工程(c)後のハードコート層付ポリカーボネート板の複屈折を位相差測定装置KOBRA−WR(王子計測機器社製)を用い、平行ニコル回転法により測定した。その後、ハードコート層付ポリカーボネート板をオーブンにて加熱をし、加熱3分後、5分後及び10分後のハードコート層付ポリカーボネート板の外観(表1中、「外観」と表記)及び、当該加熱後、ハードコート層付ポリカーボネート板を、曲率半径100Rの曲げ木型を用いて常温下で曲げたときの曲げ性(表1中、「曲げ」と表記)を確認した。試験結果を表1に示す。
[外観確認評価基準]
○:サンプルを透かして目視確認した際、板の反対側の物が鮮明に確認できる
△:サンプルを透かして目視確認した際、板の反対側の物は確認できるが、鮮明ではない
×:サンプルを透かして目視確認した際、板の反対側の物が確認できない
[曲げ性評価基準]
○:加熱したサンプルを手動で曲げることができる
△:加熱したサンプルを手動で曲げることができるが、形状固定に時間がかかる
×:加熱したサンプルを手動で曲げることができない
Figure 0006558189
表1より、ハードコート層付ポリカーボネート板の複屈折が5.5×10−4以下であった実施例1〜3のハードコート層付ポリカーボネート成形品は、工程(d)工程における加熱160℃において、少なくともサンプルの反対側の物が確認できる程度の透明性を有していた。本試験結果から、本発明のハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法によって、ハードコート層の白濁を防止できることが理解できる。
10 ハードコート層付ポリカーボネート成形品
10a ハードコート層付ポリカーボネート板
11 ポリカーボネート板
12 ハードコート層付転写シート
12a 基材フィルム
12b ハードコート層
12c プライマー層
12d 接着層
20 押出機
30a、30b ヒーター
41a、41b 給紙ロール
42a、42b ニップロール
43a、43b ニップロール
44a、44b 排紙ロール

Claims (4)

  1. 少なくとも以下の工程を順に有する、ハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法。
    a)押出成形によりポリカーボネート板を得る工程
    b)前記ポリカーボネート板を加熱する工程
    c)前記ポリカーボネート板上に、ハードコート層付転写シートを用いて、ハードコート層を転写し、複屈折が5.5×10−4以下のハードコート層付ポリカーボネート板を得る工程
    d)前記ハードコート層付ポリカーボネート板を加熱する工程
    e)前記ハードコート層付ポリカーボネート板を曲げる工程
  2. 前記ハードコート層は、電離放射線硬化性樹脂の硬化物である請求項1に記載のハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法。
  3. 前記工程b)において、前記ポリカーボネート板の両面から前記加熱を行う請求項1又は2に記載のハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法。
  4. 前記工程c)において、前記ポリカーボネート板の両面に前記ハードコート層を転写する請求項1から3のいずれかに記載のハードコート層付ポリカーボネート成形品の製造方法。
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