JP2021053825A - ハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法。 - Google Patents

ハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】ハードコート層付き有機ガラス板を、加熱して所望の形状に成形するハードコート層付き有機ガラス成形品の製造において、ハードコート層に微細な皺が発生するのを防ぐこと。【解決手段】押出成型工程と、ハードコート層積層工程と、加熱工程と、成形加工工程と、を、この順で行い、押出成型工程においては、加熱溶融した材料樹脂を圧延して板状に成型し、当該板状の材料樹脂に引っ張り力をかけながら冷却固化することによって、前記有機ガラス基体とし、加熱工程においては、ハードコート層付き有機ガラス板の引っ張り力の方向に対する一方の端部と該一方の端部に対向する他方の端部とを、ガラス板固定枠に固定した状態でハードコート層付き有機ガラス板を加熱する、ハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法とする。【選択図】図5

Description

本発明は、有機ガラス基体にハードコート層が積層されてなるハードコート層付き有機ガラス板を成形加工してなるハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法に関する。
例えば、下記の特許文献1には、ポリカーボネート板を押出成型しつつ、熱転写フィルムを用いて転写することで、ポリカーボネート板上に、プライマー層と、ハードコート層とが積層された構成が開示されている。
ここで、ハードコート層付き有機ガラス板を得るための有機ガラス基体の押出成型及びハードコート層の積層は、通常、ロール・トゥ・ロール方式の製造ラインにおいて、材料基材である有機ガラス基体に搬送方向(MD方向)に沿った引っ張り力が加わる状態で行われる。このようにして得たハードコート層付き有機ガラス板に対して、更に、折り曲げ加工等の成形を行うために加熱する工程を経た場合において、成形後のハードコート層付き有機ガラス成形品のハードコート層に、微細な皺が生じてしまう現象が散見されていた。
特開2005−178035号公報
本発明は、ハードコート層付き有機ガラス板を、加熱して所望の形状に成形するハードコート層付き有機ガラス成形品の製造において、ハードコート層に微細な皺が発生するのを防ぐことを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、加熱時に、ハードコート層付き有機ガラス板を、ガラス板固定枠に適切な態様で固定しておくことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1) ハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法であって、押出成型により有機ガラス基体を得る押出成型工程と、前記有機ガラス基体上に、ハードコート層を積層一体化してハードコート層付き有機ガラス板を得るハードコート層積層工程と、前記ハードコート層付き有機ガラス板を、加熱する加熱工程と、前記ハードコート層付き有機ガラス板を所望の形状に変形させる成形加工工程とを、この順で行い、前記押出成型工程においては、溶融した有機ガラス材料樹脂を板状に成型し、引っ張り力をかけながら冷却固化することによって、前記有機ガラス基体とし、前記加熱工程においては、前記ハードコート層付き有機ガラス板の前記引っ張り力の方向に対する一方の端部と該一方の端部に対向する他方の端部とを、ガラス板固定枠に固定した状態で該ハードコート層付き有機ガラス板を加熱する、ハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法。
(2) 前記押出成型工程後、前記ハードコート層積層工程前に、前記有機ガラス基体に対して引っ張り力が加えられている状態で該有機ガラス基体を加熱する予備加熱工程を、更に行う、(1)に記載のハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法。
(3) 少なくとも前記押出成型工程から前記ハードコート層積層工程迄の各工程が、ロール・トゥ・ロール方式の製造ライン内で行われ、前記引っ張り力の方向が前記製造ラインにおける前記有機ガラス基体の搬送方向であって、前記加熱工程は、枚葉状態の前記ハードコート層付き有機ガラス板の前記搬送方向に対する両端部を前記ガラス板固定枠に固定した状態で行う、(1)又は(2)に記載のハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法。
(4) 前記ガラス板固定枠における、前記ハードコート層付き有機ガラス板の前記引っ張り力の方向に対する一方の端部と該一方の端部に対向する他方の端部に対応する位置には、固定用突起部が形成されていて、前記加熱工程においては、前記固定用突起部を前記ハードコート層付き有機ガラス板の両方の前記端部に貫通させた状態で該ハードコート層付き有機ガラス板を加熱する、(1)から(3)の何れかに記載のハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法。
(5) 前記ハードコート層積層工程が、前記有機ガラス基体上に、基材フィルムとハードコート層と接着層とを含んでなるハードコート層付き転写シートを用いてハードコート層を転写することによってハードコート層付き有機ガラス板を得る工程である、(1)から(4)の何れかに記載のハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法。
本発明によれば、ハードコート層付き有機ガラス板を、加熱して所望の形状に成形するハードコート層付き有機ガラス成形品の製造において、ハードコート層に微細な皺が発生するのを防ぐことができる。
本発明のハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法の全体の流れを模式的に示す説明図である。 「本発明の製造方法」において成型される有機ガラス基体の斜視図である。 「本発明の製造方法」において加熱工程に投入されるハードコート層付き有機ガラス板の層構成を模式的に示す断面図である。 「本発明の製造方法」によって得ることができるハードコート層付き有機ガラス成形品の形状及び層構成の一例を模式的に示す断面図である。 「本発明の製造方法」における加熱工程の実施態様の一例を模式的に示す説明図である。 図5に示す加熱工程において用いられるガラス板固定枠の平面図である。 図5に示す加熱工程においてガラス板固定枠に固定される枚葉状態のハードコート層付き有機ガラス板の平面図である。 図5に示す加熱工程におけるハードコート層付き有機ガラス板のガラス板固定枠への固定の態様の一例を模式的に示す固定部分の斜視図である。
以下においては、本発明の「ハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法」(以下、単に、「本発明の製造方法」とも言う)によって製造することができる「ハードコート層付き有機ガラス成形品」の基本的な特徴について先ず簡単に説明し、引き続き、このような「ハードコート層付き有機ガラス成形品」の製造方法として好適な、本発明の「ハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法」の詳細を説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施形態等に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<ハードコート層付き有機ガラス成形品>
図4に示すハードコート層付き有機ガラス成形品100は、「本発明の製造方法」によって製造することができる成形品である。図4に示すように、ハードコート層付き有機ガラス成形品100は、有機ガラス基体11の表面にハードコート層12bが形成されてなるハードコート層付き有機ガラス板10(図3参照)を、例えば曲げ加工等によって、所望の形状に変型させる成形を行うことにより得ることができる。
<ハードコート層付き有機ガラス板>
ハードコート層付き有機ガラス成形品100を形成するハードコート層付き有機ガラス板10は、図3に示すように、有機ガラス基体11の両方の表面、或いは、少なくとも何れか一方の表面に、ハードコート層12bが形成されてなる積層体である。ハードコート層付き有機ガラス板10において、ハードコート層12bは、接着層を介して、有機ガラス基体11に接合されていることが好ましい。
[有機ガラス基体]
ハードコート層付き有機ガラス板10を構成する有機ガラス基体11は、「ハードコート層付き有機ガラス成形品」に求められる各種物性や形状等に応じて、各種の有機ガラスを適宜選択することができる。但し、曲げ加工等の成形加工の容易性と、透明性と、をバランスよく兼ね備えるポリカーボネート板を、有機ガラス基体として特に好ましく用いることができる。
尚、有機ガラス基体11板の厚さは、特に限定されないが、例えば、有機ガラス基体が、上記のポリカーボネート板である場合であれば、この厚さは、1mm以上20mm以下であることが好ましく、1.5mm以上15mm以下であることがより好ましい。
[ハードコート層]
ハードコート層12bは、硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層であり、ハードコート層付き有機ガラス板10、及び、ハードコート層付き有機ガラス成形品100の表面に耐傷性を付与する機能を有する層である。
ハードコート層12bを形成する硬化性樹脂組成物の主剤樹脂は、特に限定されない。但し、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、電離放射線硬化性樹脂等を、ハードコート層12bを形成する好ましい樹脂の具体例として挙げることができる。耐候性や耐傷性をより高い水準で付与する観点からは、上記の中でも、ハードコート層12bを形成する樹脂を電離放射線硬化性樹脂とすることが好ましい。
ハードコート層12bの厚さは、特に限定されない。但し、その厚さは、通常、1μm以上20μm以下程度である。ハードコート層12bの厚さは、優れた耐候性とその持続性得る観点、及び、ハードコート層付き有機ガラス成形品100の透明性を維持する観点から、2μm以上20μm以下であることが好ましく、2μm以上10μm以下であることがより好ましい。
[接着層]
ハードコート層付き有機ガラス板10において、ハードコート層12bを、有機ガラス基体11に接合する接着層は、接着性を有する2つの層により構成されていることが好ましい。2つの層とは、具体的に、有機ガラス基体11の表面に形成されているヒートシール層12d、及び、ヒートシール層12dとハードコート層12bとの間に形成されているプライマー層12cである。
(プライマー層)
プライマー層12cは、ハードコート層付き有機ガラス板10において、ハードコート層12bとヒートシール層12dとの間に配置され、ハードコート層付き有機ガラス板10、及び、ハードコート層付き有機ガラス成形品100において、ハードコート層12bに対する応力緩和層として機能するとともに、有機ガラス基体11に対するハードコート層12bの密着性を向上させる機能を有する層である。
プライマー層12cに形成に用いる主材樹脂は、特に限定されない。従来同様、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、プチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等とすることができる。これらの樹脂を、単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。又、これらの樹脂のなかでも、プライマー層12cの形成に用いる主材樹脂は、密着性及び耐候性の観点から、ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
又、プライマー層12cの形成に用いる硬化剤は、特に限定されない。従来同様、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等のイソシアネート硬化剤等とすることができる。
プライマー層12cの厚さは、特に制限されないが、例えば、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、1μm以上4μm以下であることがより好ましい。
尚、プライマー層12cには、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、無機フィラー等からなるブロッキング防止剤、及び、その他の各種添加剤を含有させることができる。
(ヒートシール層)
ヒートシール層12dは、熱融着性を有する樹脂組成物からなる層であり、ハードコート層12b及びプライマー層12cを有機ガラス基体11に接着する機能を有する層である。
ヒートシール層12dの形成に用いる熱融着性を有する樹脂は、特に限定されないが、従来同様、有機ガラス基体11の材質や熱転写の際の転写温度や圧力に応じて適切な樹脂を選択すればよい。上記の熱融着性を有する樹脂は、一般に、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂等の樹脂であることが好ましく、上記樹脂の中から1種又は2種以上の樹脂を適宜選択して用いることができる。
ヒートシール層12dの厚さについては、ハードコート層12bを有機ガラス基体11に接着するという機能と、優れた透明性を確保するという観点から、1μm以上7μm以下であることが好ましく、1μm以上6μm以下であることがより好ましい。
ヒートシール層12dにも、上記ハードコート層12bやプライマー層12cと同様、耐候性を更に向上させるため、紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤を含有させることができる。
[ハードコート層付き転写シート]
以上説明したハードコート層12b、プライマー層12c、及び、ヒートシール層12dを含んでなる積層体を、有機ガラス基体11の表面の積層一体化する方法は特に限定されないが、これらの層の積層一体化は、ハードコート層付き転写シート12を用いて行うことが好ましい。
ハードコート層付き転写シート12は、例えば、ポリエステルフィルム等の基材フィルム12a上に、ハードコート層付き有機ガラス板10のハードコート層12b、接着層(プライマー層12c、ヒートシール層12d)を構成することとなる各樹脂層が、この順で積層されている材料積層体である。
ハードコート層付き転写シートを用いてハードコート層付き有機ガラス板10を製造する場合には、ハードコート層付き転写シート12を、ヒートシール層12dを有機ガラス基体11の表面に対面させて積層して加熱圧着することによりハードコート層付き転写シート12を有機ガラス基体11の表面に転写する(図1参照)。この転写の工程により、有機ガラス基体11の表面に、ヒートシール層12d、プライマー層12c、及び、ハードコート層12bが、この順で積層されてなるハードコート層付き有機ガラス板10(図3参照)を得ることができる。
ハードコート層付き転写シート12を構成する基材フィルム12aの材料は、特に限定されない。但し、基材フィルムの材料は、ポリエステル樹脂フィルム又はポリオレフィン樹脂フィルムとすることが好ましい。尚、この基材フィルム12aはハードコート層付き有機ガラス板10においては必須の構成部分ではなく、通常は、上記の熱転写の完了後に剥離される(図1参照)。
<ハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法>
以下、本発明の「ハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法」の詳細について説明する。尚、以下においては、有機ガラス基体11の両面にハードコート層12bが形成されているハードコート層付き有機ガラス板10を曲げ加工することによってハードコート層付き有機ガラス成形品100を得る実施態様を例に挙げて「本発明の製造方法」の詳細を説明する。但し、本発明ハードコート層付き有機ガラス板10の製造方法は以下に説明する実施態様に限定されるものではない。例えば、加熱後に行われる加工処理は「曲げ加工」に限定されるものではない。ハードコート層の基本性能の維持に差し支えない限りにおいて、加熱後に行われる成形処理であれば、いかなる変形又は賦形の処理であってもよい。この加熱後に行われる「曲げ加工」以外の加工処理の具体例としては、熱プレス成形や真空成形、圧空成形等による三次元成形加工が挙げられる。
[全体構成]
本発明の「ハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法」は、押出成型工程(a)、予備加熱工程(b)、ハードコート層積層工程(c)、加熱工程(d)、及び、成形加工工程(e)を、この順で行う製造方法である。上記工程のうち、予備加熱工程(b)については必ずしも必須の工程ではない。尚、上記各工程の前後関係を維持する限りにおいて、必要に応じて適宜他の工程を各工程間に追加することができる。
又、「本発明の製造方法」は、予備加熱工程(b)の実施の有無にかかわらず、少なくとも、押出成型工程(a)から、ハードコート層積層工程(c)に至る迄の各工程は、図1に示すようなロール・トゥ・ロール方式の製造ライン内で行われることが好ましい。
例えば、図1に示すようなロール・トゥ・ロール方式の製造ラインにおいて、押出成型工程(a)及び予備加熱工程(b)が行われる場合、ハードコート層付き有機ガラス板10には、加熱されている状態で、製造ラインにおける搬送方向(MD方向)に沿った引っ張り力が加えられる。この引っ張り力は、ハードコート層付き有機ガラス板10が、加熱工程(d)に投入される前迄の何れかの段階で、引っ張り力を受けたままの状態で常温程度にまで冷却固化された場合に、有機ガラス基体11に潜在的な内部応力として残存する。そのため、ハードコート層付き有機ガラス板10は、必然的に、その後に行われる加熱工程(d)において、特に上記のMD方向(図2参照)に沿って有機ガラス基体11が熱収縮しやすい積層体となる。
「本発明の製造方法」は、ロール・トゥ・ロール方式の製造ライン等において、加熱及び材料の引っ張りを伴う有機ガラス基体の成形に係る工程よりも下流側で行われる加熱工程(d)の実施時に、ハードコート層付き有機ガラス板10を、ガラス板固定枠60に熱収縮による変形が不能な態様で固定することによって、有機ガラス基体11の熱収縮を防ぐことができるプロセスとされている点を主たる特徴とする。以下、各工程の詳細について説明する。
[押出成型工程]
押出成型工程(a)は、材料樹脂を溶融押し出しして板状に成形することにより有機ガラス基体11を成型する工程である。この押出成型は、材料の加熱と引っ張り力の付加を伴う従来公知の各種方法により行うことができる。例えば、ロール・トゥ・ロール方式の製造ラインにおいて、有機ガラス基体11の材料樹脂(ポリカーボネート樹脂)を加熱溶融し、押出機20のダイスから押出した後、冷却ロールで圧延し、ガイドロールを経て、引取りロールで引取りながら(即ち、製造ラインにおける搬送方向(MD方向)に沿って「引っ張り力」を加えながら)、冷却固化することで、板状の有機ガラス基体11(ポリカーボネート板)を得る方法を、押出成型工程(a)の好ましい実施態様の一例として挙げることができる。
[予備加熱工程]
予備加熱工程(b)は、押出成型工程(a)の後に、ハードコート層積層工程(c)に先行して行われる工程であり、例えば、上記のような態様で、有機ガラス基体11に対して引っ張り力が加えられている状態で、有機ガラス基体11を加熱する工程である。具体的には、押出成形後の有機ガラス基体11に対してヒーター30a、30bを用いて加熱することによりこの予備加熱工程(b)における加熱処理を行うことができる。図1(b)では、予備加熱工程(b)において、有機ガラス基体11を両面から加熱しているが、有機ガラス基体11の片面側からのみの加熱であってもよい。
尚、「本発明の製造方法」において、この予備加熱工程(b)は必ずしも必須の工程ではない。但し、ハードコート層積層工程(c)におけるハードコート層12bの転写の品位をより確実により良好な状態とするためには、この予備加熱工程(b)が行われることが一般的には好ましい。一方で、この予備加熱工程(b)を経ることによって、有機ガラス基体11の上述の熱収縮は、より起こりやすくなる。よって、「本発明の製造方法」は、予備加熱工程(b)が行われる場合において、従来方法に対して、より顕著に優位性が発現する。
[ハードコート層積層工程]
ハードコート層積層工程(c)は、上流工程で得た有機ガラス基体11上に、ハードコート層12bを積層一体化してハードコート層付き有機ガラス板10を得る工程である。ハードコート層12bの、有機ガラス基体11への積層一体化は、ハードコート層12b、プライマー層12c、及び、ヒートシール層12dを含んでなる積層体である、上述のハードコート層付き転写シート12を、有機ガラス基体11に熱転写する方法により行われることが好ましい。
図1には、ロール・トゥ・ロール方式の製造ラインにおける、ハードコート層付き転写シート12を用いた熱転写の様子が模式的に示されている。この熱転写は、図1に示すように、給紙ロール41a、41bの巻取り体からハードコート層付き転写シート12を巻き出し、有機ガラス基体11の表面とハードコート層付き転写シート12のヒートシール層12dとを対面させた状態でニップロール42a、42bによって、加熱加圧することで圧着し、その後、基材フィルム12aを剥離することにより、行うことができる。
[加熱工程]
加熱工程(d)は、曲げ加工等の変形加工を行う成形工程に先行して行う前処理として、上流工程で得たハードコート層付き有機ガラス板10を加熱する工程である。この加熱処理は、従来公知の各種加熱手段により行うことができる。例えば、パイプヒーター、赤外線ヒーターによる部分加熱、電気炉による全体加熱によることができる。
加熱工程(d)における加熱温度は、ハードコート層付き有機ガラス板10を構成する有機ガラス基体11の表面温度がガラス転移温度(Tg)以上となる温度であればよく、例えば、有機ガラス基体11がポリカーボネート板である場合であれば、その温度は、160℃以上であることが好ましい。
そして、加熱工程(d)においては、図5〜8に示すように、ハードコート層付き有機ガラス板10を、ガラス板固定枠60に固定した状態で、上述の加熱処理を行う。この固定は、少なくとも、上流工程でハードコート層付き有機ガラス板10にかけられていた上記の引っ張り力の方向に沿った熱収縮を防ぐことができる固定態様で行うものとする。
加熱工程(d)においては、上述の熱収縮を防ぐために、ハードコート層付き有機ガラス板10の、少なくとも、上記の引っ張り方向に沿った一方の端部と当該一方の端部に対向する他方の端部を、例えば、図6の61、図7の13に対応する箇所において、ガラス板固定枠60に固定する。この引っ張り方向とは、上流工程がロール・トゥ・ロール方式の製造ラインにおいて行われている場合であれば、上記のMD方向に対応する方向である。
勿論、MD方向のみならずTD方向に対応する方向にも起こりうる熱収縮も確実に防ぐことができるようにすることがより好ましく、そのためには、例えば、図6〜8に示すように、矩形上のハードコート層付き有機ガラス板10の4つの角の周りを、図6の62、図7の14に対応する箇所も含めて、同様の態様で固定することがより好ましい。
(ガラス板固定枠)
加熱工程(d)において、ハードコート層付き有機ガラス板10を固定するために用いるガラス板固定枠60は、図7、8に示すような中央部に矩形状の開口が形成されている枠型の部材であり、全体の平面形状としては矩形板状であることが好ましい。ガラス板固定枠60を構成する本体枠部63には、その内縁に取り囲まれた領域として矩形状の開口部64が形成されていることが好ましい。開口部64の大きさは、取り扱うハードコート層付き有機ガラス板10のサイズ、及び、そのうち、次工程での加工対象領域として、加熱が必要となる領域のサイズに応じて設計すればよい。
ガラス板固定枠60の材料は、加熱工程(d)で想定する加熱温度に応じた耐熱性や、所望の強度や耐久性を有するものであれば特に限定されないが、それらをバランスよく備え、経済性においても優れる点から、ガラス板固定枠60は、ステンレス(例えば、ステンレスSUS304、SUS316等)製とすることが好ましい。
ガラス板固定枠60にハードコート層付き有機ガラス板10を固定する手段は特定の機構等に限定されないが、例えば、図8に示すような固定用突起部61、62が、上記の固定箇所に対応する位置に固定手段として形成されていることが好ましい。
ガラス板固定枠60に、図6に示すような固定用突起部61、62が形成されている場合であれば、ハードコート層付き有機ガラス板10を枚葉状に切断し、各板の端部寄りの対応箇所に固定用貫通孔13、14を形成し、これらの各孔に各固定用突起部61、62を貫通させて、図8に示すような態様で係合させることにより、加熱工程(d)における枚葉状態にあるハードコート層付き有機ガラス板10の固定を、簡易な構造によって、確実且つ有効に行うことができる。
尚、ハードコート層付き有機ガラス板10の固定に際して、ハードコート層付き有機ガラス板10を予め枚葉状に切断することは必須ではない。何れの状態であるにしても、成形品を構成しない周辺の予備的な領域を固定用の領域として利用して、何らかの固定手段で、加熱による収縮変形が不能な態様で、ハードコート層付き有機ガラス板10をガラス板固定枠60に固定することにより本発明の製造方法を実施することができる。
[成形加工工程]
成形加工工程(e)は、加熱工程(d)を経たハードコート層付き有機ガラス板10を所望の形状に変形させる成形処理を行う工程である。この成形処理の代表的な処理として加熱後に行われる「曲げ加工」が挙げられる。但し、「本発明の製造方法」を構成する上記の「成形処理」には、前処理として加熱を必要とし、何らかの方法でハードコート層付き有機ガラス板10の少なくとも何れか一部を変形させる処理が全て含まれる。
成形加工工程(e)において「曲げ加工」を行う場合、その加工方法は特に制限されないが、一例として加熱により軟化した部分に成形型を当てて、型に沿って折曲げることにより所望の形状に成形する製法を挙げることができる。
以上説明した「本発明の製造方法」によれば、曲げ加工等、材料を再加熱して変形させる成形処理を含む製造方法により、ハードコート層付き有機ガラス成形品を製造する際に、従来、問題となっていた、ハードコート層に生じる微細な皺の発生を防ぐことができる。これにより、ハードコート層付き有機ガラス成形品100の品質を、従来方法による場合よりも、容易且つ確実に、より好ましい品質に維持することができる。
10 ハードコート層付き有機ガラス板
11 有機ガラス基体
12 ハードコート層付き転写シート
12a 基材フィルム
12b ハードコート層
12c プライマー層
12d ヒートシール層
20 押出機
30a、30b ヒーター
41a、41b 給紙ロール
42a、42b ニップロール
43a、43b 剥離ロール
44a、44b 排紙ロール
100 ハードコート層付き有機ガラス成形品

Claims (5)

  1. ハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法であって、
    押出成型により有機ガラス基体を得る押出成型工程と、
    前記有機ガラス基体上に、ハードコート層を積層一体化してハードコート層付き有機ガラス板を得るハードコート層積層工程と、
    前記ハードコート層付き有機ガラス板を、加熱する加熱工程と、
    前記ハードコート層付き有機ガラス板を所望の形状に変形させる成形加工工程と、
    を、この順で行い、
    前記押出成型工程においては、溶融した有機ガラス材料樹脂を板状に成型し、引っ張り力をかけながら冷却固化することによって、前記有機ガラス基体とし、
    前記加熱工程においては、前記ハードコート層付き有機ガラス板の前記引っ張り力の方向に対する一方の端部と該一方の端部に対向する他方の端部とを、ガラス板固定枠に固定した状態で該ハードコート層付き有機ガラス板を加熱する、
    ハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法。
  2. 前記押出成型工程後、前記ハードコート層積層工程前に、前記有機ガラス基体に対して引っ張り力が加えられている状態で該有機ガラス基体を加熱する予備加熱工程を、更に行う、
    請求項1に記載のハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法。
  3. 少なくとも前記押出成型工程から前記ハードコート層積層工程迄の各工程が、ロール・トゥ・ロール方式の製造ライン内で行われ、
    前記引っ張り力の方向が前記製造ラインにおける前記有機ガラス基体の搬送方向であって、
    前記加熱工程は、枚葉状態の前記ハードコート層付き有機ガラス板の前記搬送方向に対する両端部を前記ガラス板固定枠に固定した状態で行う、
    請求項1又は2に記載のハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法。
  4. 前記ガラス板固定枠における、前記ハードコート層付き有機ガラス板の前記引っ張り力の方向に対する一方の端部と該一方の端部に対向する他方の端部に対応する位置には、固定用突起部が形成されていて、
    前記加熱工程においては、前記固定用突起部を前記ハードコート層付き有機ガラス板の両方の前記端部に貫通させた状態で該ハードコート層付き有機ガラス板を加熱する、
    請求項1から3の何れかに記載のハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法。
  5. 前記ハードコート層積層工程が、前記有機ガラス基体上に、基材フィルムとハードコート層と接着層とを含んでなるハードコート層付き転写シートを用いて、ハードコート層を転写することによってハードコート層付き有機ガラス板を得る工程である、
    請求項1から4の何れかに記載のハードコート層付き有機ガラス成形品の製造方法。
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