JP6597305B2 - 転写フィルム及びこれを用いた転写成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、成形品の表面につや消し外観を付与する転写フィルム及びこれを用いた転写成形品に関し、特に基材フィルムから剥離しないマット層と該マット層の面上に形成された離型層とを有する転写フィルム及びこれを用いた転写成形品に関する。
従来から、主にプラスチック成形物へ加飾を施す際に、塗装などの直接的な加飾方法の代わりに、転写フィルムを用いた熱転写法によって加飾を施すことがある。この転写フィルムの多くには、プラスチック成形物の表面保護を目的としたハードコート機能が求められている。これは、プラスチック成形物などの被転写体として、例えば、ポリカーボネイト樹脂に代表されるような柔らかい樹脂が用いられることが多いためである。このように、被転写体の表面を加飾するための転写フィルムには、ハードコート層などの表面保護層を設けられていることが多い。
上記転写フィルムは、一般的に、基材フィルムの一方の面に離型層が形成された離型フィルムと、離型層の面上にハードコート層/加飾層/接着層がこの順で形成された転写層と、を順次積層した構成となっている。また、上記転写フィルムは、例えば、以下のようにして作製される。まず、基材フィルムの一方の面に離型層を形成して離型フィルムを作製する。次に、その離型層の面上にハードコート層、加飾層、接着層といった転写層を順次積層することで、所望の加飾が可能な転写フィルムを作製する。
ここで、離型層には、プラスチック成形物などの被転写体への熱転写時に、転写層(特にハードコート層)を離型フィルムから剥離して被転写体へ転写させるための良好な剥離性を有することが求められる。また、ハードコート層には、耐キズ性や耐薬品性などの表面性能を有することが求められる。また、加飾層には、要求に応じた意匠性を付与することが求められる。また、接着層には、被転写体への強固な接着性を有することが求められる。
さらに、基材フィルムに対して第一層目に形成される離型層は、転写層(特にハードコート層)からの良好な剥離性を有することに加えて、ハードコート層を形成する際の塗布液塗工時におけるハードコート層用塗布液のハジキが発生しないこと(上塗り性)や、転写時の熱に耐えうる耐熱性があること、基材フィルム又は下地との密着が強いこと、さらには、被転写体の立体形状に追従できること(延伸性)といった性能を有することが求められる。
上述の各層を備えた転写フィルムを用いて被転写体に転写層を熱転写する方法としては、例えば、射出成形と同時に転写する方法(インモールド成形法)や、熱ロールの熱圧で転写する方法、あるいは、真空もしくは圧空または加熱機を利用して被転写体へ転写する方法(真空圧空成形法)などが挙げられる。
また、上述の離型フィルムは、転写層の支持部材としての役割を果たすともに、被転写体表面の外観を制御する部材としての役割も果たす。これは、転写後には、転写層の離型フィルムに接する面が被転写体の最表面になることに由来する。そのため、例えば、被転写体の表面につや消し外観を付与したい場合には、離型フィルムの離型層表面に微細な凹凸を付与するために、離型層にマット剤として有機粒子や無機粒子を添加することがある。こうすることで、転写時には、マット剤を添加した離型層自体は離型フィルムと一体のまま、転写層のみが転写され、転写層の最表面には、離型層表面の微細な凹凸パターンが転写される。その結果、被転写体につや消し外観を付与することができる。
特許文献1には、被転写体(転写成形品)の表面につや消し外観を付与することができる転写フィルムとして、マット離型フィルムと転写層とを有する転写フィルムが記載されている。特許文献1に記載のマット離型フィルムは、基材フィルムと、該基材フィルムの面上に形成された、基材フィルムから剥離しないマット層とを有している。また、転写層は、マット離型フィルムのマット層の面上に形成されたハードコート層と、接着層とを有している。このような構成の転写フィルムとすることで、被転写体の表面につや消し外観を付与している。なお、ここで「マット離型フィルム」とは、マット剤が添加された離型層を備える離型フィルムを意味する。
特開2000−108594号公報
ところで、上述の基材フィルムの面上に形成されたマット層は、例えば、アミノアルキッド系樹脂、尿素メラミン系樹脂、またはこれらの混合物といった熱硬化性樹脂を主成分としている。このため、転写フィルムの製造工程では、いわゆる焼付け工程が必要となる。具体的には、この焼付け工程では、例えば、180〜200℃のオーブンで30秒間〜1分間程度の加熱が必要となる。そのため、基材フィルムは、その加熱条件で耐えうる必要があり、薄い基材や熱に弱い基材は基材フィルムに適さないことが多い。
また、熱硬化性樹脂は、印刷工程で発生する熱を吸収するなどして、硬化反応が進行する性質を有する。そのため、例えば、熱硬化性樹脂を含む塗布液(インキ)を用いてグラビア印刷を行う場合、版の凸部(非画線部)にインキが残存しやすくなるため、版かぶりといった印刷不良が発生してしまい、均一塗工が困難となるという問題がある。
さらには、上述のメラミン樹脂は、製造工程で有害なホルムアルデヒドを発生し、このホルムアルデヒドがメラミン硬化物及びインキ乾燥装置内に多く残留するという問題がある。また、国際がん研究機関の報告によれば、このホルムアルデヒドは、人に対する発癌性が認められるグループ1に挙げられており、さらに、シックハウス症候群の原因物質であることも問題となっている。
本発明は、このような問題点を解決しようとするものであり、マット層の印刷適性及び低温加工性があり、被転写体(主にプラスチック成形品)に対しつや消し外観を付与することが可能な、環境負荷(人的負荷)が少ない転写フィルム及びこれを用いた転写成形品を提供することを目的とする。
さらに、前記マット層の面上に離型層を形成することにより、該離型層の膜厚を調整することで、被転写体の表面光沢度をコントロール可能な転写フィルム及びこれを用いた転写成形品を提供することを目的とする。
本発明に係る一態様は、基材フィルムの一方の面に、少なくともマット層、離型層、ハードコート層、及び接着層をこの順に有する転写フィルムであって、前記マット層を、2液硬化型ウレタン樹脂で形成し、且つ第1のマット剤を含んだ層とし、前記離型層を、アクリルウレタン樹脂を主成分とする層とし、前記アクリルウレタン樹脂は、少なくともアクリルポリオール樹脂と、ヒドロキシル基及び炭素数10以上30以下の長鎖アルキル基を含有するアクリル樹脂と、イソシアネート化合物との架橋反応から生成されたことを特徴とする転写フィルムである。
また、上記転写フィルムにおいて、前記マット層と前記離型層の少なくともいずれか1層に、ヒドロキシル基を含有するセルロース誘導体をさらに含めたこととしてもよい。
また、上記転写フィルムにおいて、前記離型層に、ヒドロキシル基を含有するアクリルシリコーン樹脂をさらに含めたこととしてもよい。
また、上記転写フィルムにおいて、前記離型層に、第2のマット剤をさらに含めたこととしてもよい。
また、上記転写フィルムにおいて、前記第1のマット剤と前記第2のマット剤とを、同一のマット剤としたこととしてもよい。
また、本発明に係る別の態様は、上記転写フィルムを用いて製造したことを特徴とする転写成形品である。
本発明の一態様に係る転写フィルムによれば、マット層が2液硬化型ウレタン樹脂で形成されているので、グラビア印刷時の印刷適性を高めることができるとともに、室温〜50℃程度の低温で硬化反応が終了し、基材フィルムへの熱負荷の少ないマット層を作製することができる。さらに、マット層が第1のマット剤を含んでいるので、被転写体の表面につや消し外観を付与することもできる。
また、離型層が炭素数10以上30以下の長鎖アルキル基を有するアクリルウレタン樹脂で形成されているので、グラビア印刷時の印刷適性を高めることができるとともに、離型層は熱転写時には優れた離型性を呈し、且つ、離型層の上に塗布するハードコート層用塗布液のハジキ現象を抑制して、均一なハードコート層を形成することができる。さらに、マット層と離型層の間の密着性をも得ることもできる。
また、離型層がマット層の面上に形成されているので、その離型層の膜厚を調整することで、被転写体の表面光沢度を容易にコントロールすることができる。
また、本発明の一態様に係る転写フィルムは、メラミン樹脂を含んでいないので、環境負荷(人的負荷)を少なくすることもできる。
また、上記転写フィルムにおいて、マット層と離型層の少なくともいずれか1層に、ヒドロキシル基を含有するセルロース誘導体をさらに含めることで耐熱性を向上させることができるので、射出成形と同時に転写する方法(インモールド成形)を用いた場合であっても、熱シワやブロッキング現象等の不具合を抑制することができる。
また、上記転写フィルムにおいて、離型層にヒドロキシル基を含有するアクリルシリコーン樹脂をさらに含めることで、熱転写の高速化にも十分対応できる優れた離型性を付与することができる。
また、上記転写フィルムにおいて、離型層に、第2のマット剤をさらに含めることで、被転写体の表面につや消し外観をさらに付与することもできる。また、その離型層がマット層の面上に形成されているので、その離型層のマット剤含有量及び膜厚を調整することで、被転写体の表面光沢度を容易にコントロールすることができる。さらに、離型層の膜厚変動による被転写体の表面光沢度への影響を抑えることができるので、光沢度バラツキの少ない転写フィルムを生産することできる。
また、上記転写フィルムにおいて、第1のマット剤と第2のマット剤とを同一のマット剤とすることで、転写フィルムの製造コストが高騰するのを抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る転写フィルムの断面概略図である。 第1実施形態に係る転写フィルムを用いて製造された転写成形品の断面概略図である。 本発明の第2実施形態に係る転写フィルムの断面概略図である。 第2実施形態に係る転写フィルムを用いて製造された転写成形品の断面概略図である。
以下、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、本発明の実施形態にあっては、添加する各粒子の平均粒子径は、レーザー回折法によって測定されたものである。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る転写フィルムの断面概略図である。また、図2は、第1実施形態に係る転写フィルムを用いて製造された転写成形品の断面概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係る転写フィルム11Aは、基材フィルム1、マット層2、離型層3A、ハードコート層4、プライマー層5、加飾(印刷)層6、接着層7をこの順に備えた積層体である。ここで、通常、加飾(印刷)層6(以下、単に「加飾層6」とも記す。)は、複数層である場合が多く、エンボス加工やパール顔料などの光学効果を有する加飾材料も入れることも可能である。以下、本実施形態に係る転写フィルム11Aに備わる上記各層について説明する。
(基材フィルム1)
基材フィルム1としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリカーボネートフィルム、ナイロンフィルム、セロファンフィルム、アクリルフィルム、塩ビフィルムといった基材が使用可能である。使用可能なフィルム厚みは、25μm以上250μm以下の範囲内が好ましく、特に38μm以上150μm以下の範囲内であれば、コストやフィルム成形性のバランスの面でも有利なため、より好ましい。
(マット層2)
マット層2は、表面に微細な凹凸が形成された層であり、マット剤(第1のマット剤)が添加された層である。マット層2に添加されるマット剤には、各種の無機粒子や有機粒子を用いることができ、その材料等について特に制限されるものではない。
マット剤に用いられる粒子の平均粒子径は、0.01μm以上50μm以下の範囲内が好ましく、1μm以上30μm以下の範囲内がより好ましい。マット剤に用いられる粒子の平均粒子径が、0.01μm未満であると転写成形品表面のつや消し外観の付与が不十分となることがあり、50μmを超えると各印刷工程でのピンホール発生の要因となることがある。また、マット層2の平均厚みは、用いるマット剤の平均粒子径を考慮して、2μm以上15μm以下の範囲内であればつや消し効果を示すことが期待できるので、好ましい。
マット剤は、マット層2を形成するための塗布液(以下、単に「マット層用塗布液」とも記す。)の中に、マット層2を構成する塗膜の主成分となる樹脂材料に対して0.5重量%以上20重量%以下の範囲内で含まれていることが好ましく、1重量%以上10重量%以下の範囲内で含まれていることがより好ましい。マット剤の量が20重量%を超える場合には、マット層用塗布液中でマット剤が沈降・凝集しやすくなり、印刷適性に悪影響を及ぼす可能性がある。また、マット剤の量が0.5重量%未満の場合には、つや消し外観の付与が不十分となってしまうことがある。
マット層2を構成する塗膜の主成分となる樹脂材料は、基材フィルム1との密着性や耐熱性及び後述する離型層3Aとの密着性が必要となることから、2液硬化型アクリルウレタン樹脂、2液硬化型ポリエステルウレタン樹脂、またはこれらの混合物(以下、これらの樹脂を単に「2液硬化型ウレタン樹脂」とも記す。)を含有するものであることが望ましい。このような2液硬化型ウレタン樹脂であれば、室温〜50℃程度の低温で硬化反応が終了するため、マット層2を形成する際の基材フィルム1への熱負荷を少なくできる。
また、マット層2は、耐熱性を向上させるために、ヒドロキシル基を含有するセルロース誘導体を含んでいてもよい。このように耐熱性を向上させる理由は、被転写体に転写層を転写する際に、極度に熱がかかる場合があるからである。ヒドロキシル基を含有するセルロース誘導体としては、例えば、ニトロセルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロースなどが挙げられる。セルロース誘導体の配合量としては、マット層2を構成する塗膜の主成分となる樹脂材料(例えば、アクリルポリオール樹脂)に対して、20重量%以上100重量%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、マット層2に対して十分な耐熱性を付与することができる。
また、マット層2は、離型剤として、炭素数10以上30以下の長鎖アルキル基及びヒドロキシル基を有するアクリル樹脂、またはヒドロキシル基を含有するアクリルシリコーン樹脂を含有してもよい。
(離型層3A)
離型層3Aは、炭素数10以上30以下の長鎖アルキル基を含有するアクリルウレタン樹脂を主成分とする層であり、そのアクリルウレタン樹脂は、少なくともアクリルポリオール樹脂と、ヒドロキシル基及び炭素数10以上30以下の長鎖アルキル基を含有するアクリル樹脂と、イソシアネート化合物との架橋反応から生成された樹脂である。このような炭素数の範囲にある長鎖アルキル基を有するアクリルウレタン樹脂を用いることにより、熱転写時には優れた離型性を呈し、且つ、その離型層3Aの上に塗布するハードコート層用塗布液のハジキ現象が起こらず、均一なハードコート層4を形成することができる。なお、炭素数が10未満の場合には、熱転写時の離型性が不十分で被転写体の表面に転写ムラが生じ品質欠陥となることがある。また、炭素数が30を超えると、ハードコート層用塗布液の塗布時にハジキが生じ、均一なハードコート層4を形成できないことがある。
離型層3Aを形成するアクリルウレタン樹脂は、例えば、アクリルポリオール樹脂と、長鎖アルキル基を有するアルキルイソシアネートとを含んだインキ組成物(離型層用塗布液)、または、長鎖アルキル基及びヒドロキシル基を有するアクリル樹脂と、イソシアネート化合物とを含んだインキ組成物から得ることができる。
また、離型層3Aは、上述したように、離型性、延伸性、耐熱性といった性能を有することが求められており、被転写体の形状や転写時の加工条件によっては上記性能の微調整を要する場合がある。例えば、上述の長鎖アルキル基及びヒドロキシル基を有するアクリル樹脂とイソシアネート化合物とを含んだインキ組成物に、アクリルポリオール樹脂やアクリルウレタン樹脂を配合することでインキ組成物の調整を図り、離型層3Aを形成してもよい。このようにしてインキ組成物の調整を行なうことで、離型層3Aの離型性や延伸性、耐熱性といった性能を調整することができる。なお、長鎖アルキル基及びヒドロキシル基を有するアクリル樹脂の配合量は、アクリルポリオール樹脂に対して2重量%以上30重量%以下の範囲内であることが好ましいが、特に制限されるものではない。
本実施形態における離型層3Aは、少なくともアクリルポリオール樹脂と、ヒドロキシル基及び炭素数10以上30以下の長鎖アルキル基を有するアクリル樹脂と、イソシアネート化合物とを含んだインキ組成物の硬化物、すなわちアクリルウレタン樹脂を主成分としている。このインキ組成物を硬化させるためには、メラミン樹脂のように高温での焼付け工程(180〜200℃)を経る必要がなく、室温〜50℃程度の温度でエージングすることで硬化反応が終了する。このように本実施形態によれば、低温硬化で離型層3Aを形成できる。したがって、メラミン樹脂で離型層を形成した場合の硬化条件ではシワや熱収縮、結晶化などで不具合が発生するため、従来は使用できなかった無延伸PETフィルム、塩化ビニルフィルムやPET−Gフィルムといった熱には弱いが伸び率が高く成形物追従性に優れた基材フィルムなども使用可能である。
なお、上記アクリルポリオール樹脂は、複数のヒドロキシル基を有するアクリル樹脂のことであり、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーを(共)重合することで得られる。ヒドロキシル基を有しない(メタ)アクリル酸エステルモノマー、スチレンモノマー、酢酸ビニルモノマーなどを共重合させても構わない。
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどがある。また、長鎖アルキル基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、デキル(メタ)アクリレート、ウンデキル(メタ)アクリレート、ドデキル(メタ)アクリレート、トリデキル(メタ)アクリレート、テトラデキル(メタ)アクリレート、ペンタデキル(メタ)アクリレート、ヘキサデキル(メタ)アクリレート、ヘプタデキル(メタ)アクリレート、オクタデキル(メタ)アクリレート、ノナデキル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。長鎖アルキル基及びヒドロキシル基を有するアクリル樹脂は、長鎖アルキル基を有するアクリルモノマーと、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーとの共重合によって得ることができる。
また、イソシアネート化合物とは、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びこれらのプレポリマーなどを意味する。
離型層3Aは、転写フィルム11Aをインモールド成形に用いる場合の耐熱性向上を目的として、マット層2と同様に、ヒドロキシル基を含有するセルロース誘導体を配合してもよい。このヒドロキシル基を含有するセルロース誘導体としては、例えば、ニトロセルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロースなどが挙げられる。このセルロース誘導体の配合量としては、離型層3Aを構成する塗膜の主成分となる樹脂材料(例えば、アクリルポリオール樹脂)に対して、20重量%以上100重量%以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、離型層3Aに対して十分な耐熱性を付与することができる。
また、分子中にウレタン結合などの極性が高い官能基を含有するハードコート層4を積層する場合や、剥離時の高速化を行う場合は、離型層3Aの剥離がより軽いことが要求される。この際には、ヒドロキシル基を含有するアクリルシリコーン樹脂を配合することで、上塗り性を落とさずに剥離を軽くすることができる。この場合におけるヒドロキシル基を含有するアクリルシリコーン樹脂の配合量としては、離型層3Aを構成する塗膜の主成分となる樹脂材料(例えば、アクリルポリオール樹脂)に対して、0.5重量%以上15重量%以下の範囲内であれば適当であり、これにより離型層3Aの離型性を向上させることができる。
離型層3Aの厚みは、特に制限されるものではないが、0.1μm以上5μm以下の範囲内が最適である。この離型層3Aの厚みを変えることにより、転写成形品(被転写体)の最表面に被覆する転写層10の光沢度を調整することができる。離型層3Aの厚みを厚くすると、転写成形品表面の光沢度を高く、また、離型層3Aの厚みを薄くすると、その光沢度を低くすることが可能である。
(ハードコート層4)
ハードコート層4は、転写に用いる前の転写フィルムにおいてはタックフリー状態(溶剤分を蒸発させただけでべとつきがなくなる状態)であり、被転写体に転写した後には、紫外線やエレクトロンビームなどの活性エネルギー線を照射することで架橋できる樹脂で形成されることが好ましい。転写後に活性エネルギー線を照射して架橋する理由としては、予め架橋した状態のハードコート層4を備える転写フィルムを用いて転写加工してしまうと、転写フィルムが被転写体の表面に追従しようと延伸する際にハードコート層4にクラックが生じやすく、外観不良の原因となってしまうためである。転写に用いる前の転写フィルムにおいて、ハードコート層4がタックフリー状態となるための方法としては、主に以下の3つの方法がある。第1の方法は、ハードコート層4を構成する樹脂として、高分子型のアクリレートやメタクリレートを使用する方法である。第2の方法は、ハードコート層4を構成する樹脂として、液状又は半液状の活性エネルギー線硬化型樹脂の他に、イソシアネート/ポリオール樹脂やエポキシ樹脂/アミン類などの架橋反応物を含有させて、適度に硬化させる方法である。第3の方法は、ハードコート層4を構成する樹脂として、活性エネルギー線硬化型樹脂を用い、被転写体への形状追従性を損なわない範囲内で、活性エネルギー線を適量照射して活性エネルギー線硬化型樹脂を半硬化状態にする方法である。本実施形態では、いずれの方法を使用しても構わない。
また、第1の方法の場合、高分子型のアクリレート(アクリル樹脂)の他に、表面硬度を補う目的で、そのアクリル樹脂にナノシリカ粒子を添加することができる。ナノシリカ粒子の添加量は、上記アクリル樹脂に対して10重量%以上40重量%未満の範囲内が最適である。その添加量が10重量%未満では、表面硬度を向上させる効果が乏しいことがある。一方、その添加量が40重量%以上では、硬化塗膜が脆くなりすぎてしまい、耐摩耗性が悪化することがある。
ハードコート層4に添加されるナノシリカ粒子は、ハードコート層4の透明性を維持するために、粒子径が10nm以上100nm未満の範囲内のものを使用することが好ましい。また、上記ナノシリカ粒子は、アクリロイル/メタクリロイル基含有のシランカップリング剤等で表面処理されたナノシリカ粒子であることが望ましいが、単なる未処理のナノシリカ粒子であっても構わない。
また、一般的に活性エネルギー線硬化型樹脂は、耐摩耗性が乏しい傾向にある。このため、耐摩耗性を補うために、活性エネルギー線硬化型樹脂に、滑剤としてポリテトラフルオロエチレンパウダーやポリエチレンワックス、金属石鹸などを少量添加してもよい。
また、このハードコート層4の厚みは、特に制限されるものではないが、表面硬度の発現と硬化収縮やコスト等のバランスを考慮すると、2μm以上10μm以下の範囲内が好ましい。
(プライマー層5)
プライマー層5は、ハードコート層4と加飾層6との密着を保つための層であり、ポリエステルポリオール樹脂やアクリルポリオール樹脂等のポリオール樹脂及び/又は、ヒドロキシル基含有塩酢ビ樹脂などヒドロキシル基含有の樹脂とイソシアネート化合物からなる樹脂を使用することができる。また、プライマー層5の厚みは、特に制限されるものではないが、0.5μm以上10μm以下の範囲内が最適である。
(加飾層6)
加飾層6は、被転写体に意匠性を付与するための層である。加飾層6として印刷層を形成する場合、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いて、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット法などの周知の印刷法によって形成することができる。また、その他の採用可能な加飾技術として、パールや蛍光、ミラー、再帰反射、磁気印刷などの特殊印刷、熱や紫外線によって凹凸構造(各種レンズ効果やホログラム)を形成するエンボス加工、アルミニウムや銀、クロム、酸化チタン、硫化亜鉛などを真空蒸着やスパッタによって形成する薄膜形成技術などを適用することができる。
(接着層7)
接着層7としては、公知のヒートシール性接着剤又は粘着剤を使用できる。接着層7としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、塩酢ビ樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などが挙げられる。接着層7の厚みは、特に制限されるものではないが、0.5μm以上10μm以下の範囲内が最適である。
(効果)
本実施形態に係る転写フィルム11Aは、マット層2が2液硬化型ウレタン樹脂で形成されているので、グラビア印刷時の印刷適性を高めることができるとともに、室温〜50℃程度の低温で硬化反応が終了し、基材フィルム1への熱負荷の少ないマット層2を作製することができる。さらに、マット層2が第1のマット剤を含んでいるので、転写成形品の表面につや消し外観を付与することもできる。
また、離型層3Aが炭素数10以上30以下の長鎖アルキル基を有するアクリルウレタン樹脂で形成されているので、グラビア印刷時の印刷適性を高めることができるとともに、離型層3Aは熱転写時には優れた離型性を呈し、且つ、離型層3Aの上に塗布するハードコート層用塗布液のハジキ現象を抑制して、均一なハードコート層4を形成することができる。さらに、マット層2と離型層3Aの間の密着性を得ることもできる。
また、離型層3Aがマット層2の面上に形成されているので、離型層3Aの膜厚を調整することで、転写成形品の表面光沢度を容易にコントロールすることができる。
また、本実施形態に係る転写フィルム11Aは、メラミン樹脂を含んでいないので、環境負荷(人的負荷)を少なくすることもできる。
また、本実施形態に係る転写フィルム11Aは、マット層2と離型層3Aの少なくともいずれか1層に、ヒドロキシル基を含有するセルロース誘導体を含んでいる。このため、転写フィルム11Aであれば、耐熱性が向上するので、射出成形と同時に転写するインモールド転写、すなわち高温での耐熱性が要求されるインモールド転写の場合であっても、熱シワやブロッキング現象等の不具合を抑制することができる。
また、本実施形態に係る転写フィルム11Aは、離型層3Aがヒドロキシル基を含有するアクリルシリコーン樹脂を含んでいる。このため、転写フィルム11Aであれば、熱転写の高速化にも十分対応できる優れた離型性を呈することができる。
(実施例1)
以下、第1実施形態に係る発明を各実施例に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1―1>
厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱樹脂社製:G440E50)を基材フィルムとして、その一方の面に、下記組成のマット層用塗布液を、グラビア印刷法を用いて、120℃で10秒間乾燥した後の膜厚が4.3μmとなるように塗布して、マット層を形成した。
(マット層用塗布液の組成)
・アクリルポリオール樹脂(東栄化成社製:LC#6560):
100重量部
・シリカフィラー(エボニックデグサ社製:粒径6μm): 5重量部
・ポリアクリルニトリルフィラー(東洋紡社製:粒径7μm): 5重量部
・イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートHL):
10重量部
上記マット層の上に、下記の組成の離型層用塗布液を、マイクログラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が5.2μmになるように塗布して離型層を形成し、その後50℃で5日間エージングして、マット離型フィルムを作製した。
(離型層用塗布液の組成)
・アクリルポリオール樹脂(東栄化成社製:LC#6560):
100重量部
・アクリル樹脂: 5重量部
(6−ヒドロキシヘキシルアクリレートとステアリルメタクリレートとの共重体であるヒドロキシル基と長鎖アルキル基(炭素数18)を有する)
・イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートL):
20重量部
次に、上記マット離型フィルムの離型層上に、下記組成のハードコート層用塗布液を、マイクログラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が5.0μmになるように塗布して、ハードコート層を形成した。
(ハードコート層用塗布液の組成)
・紫外線硬化樹脂: 100重量部
(DIC社製:RC29−117、紫外線重合開始剤入り、固形分30%)
・シリカ: 20重量部
(日産化学社製:粒径10〜20nm、MEK分散液、固形分30%)
次に、上記ハードコート層の上に、プライマー層用塗布液としてアクリルポリオール/イソシアネート系インキ(東洋インキ社製:V425アンカー)を、グラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が1μmになるように塗布して、プライマー層を形成した。その上に、加飾層用塗布液として墨インキ(東洋インキ社製:V428UR92墨)を、グラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が3μmになるように塗布して、加飾層を形成した。さらに、その上に、接着層用塗布液(東洋インキ社製:K539HP接着ワニス)を、グラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が1μmとなるように塗布して、接着層を形成した。このようにして、実施例1―1に係る転写フィルムを作製した。
上記のようにして作製した転写フィルムを射出成形機の金型内部にセットして、ポリカーボネートABSアロイ樹脂(日本エイアンドエル社製:テクノエースT−105)を射出成形した。冷却後、射出成形用金型を開放し、該転写フィルムを構成するマット離型フィルムを転写成形品から剥離した後、転写成形品表面に対して、高圧水銀灯を用いて積算光量1000mJ/cmの紫外線を照射し、ハードコート層を架橋硬化させた。これにより、高い表面強度を有する転写成形品を得た。
<実施例1―2>
下記組成の離型層用塗布液を用いた以外は、実施例1―1と同様にしてマット離型フィルムを作製した。
(離型層用塗布液の組成)
・アクリルポリオール樹脂(東栄化成社製:LC#6560):
100重量部
・ニトロセルロース(H1/4): 10重量部
・アクリル樹脂: 5重量部
(6−ヒドロキシヘキシルアクリレートとステアリルメタクリレートとの共重体であるヒドロキシル基と長鎖アルキル基(炭素数18)を有する)
・イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートL):
20重量部
次に、上記マット離型フィルムの離型層上に、実施例1―1と同様にハードコート層、プライマー層、加飾層、接着層を積層して、実施例1−2に係る転写フィルムを作製した。この転写フィルムを射出成形機の金型内部にセットして、実施例1−1と同様に射出成形及び転写成形品表面への紫外線照射を行ない、高い表面強度を有する転写成形品を得た。
<実施例1―3>
下記組成の離型層用塗布液を用いた以外は、実施例1―1と同様にしてマット離型フィルムを作製した。
(離型層用塗布液の組成)
・アクリルポリオール樹脂(東栄化成社製:LC#6560):
100重量部
・ニトロセルロース(H1/4): 10重量部
・アクリル樹脂: 5重量部
(6−ヒドロキシヘキシルアクリレートとステアリルメタクリレートとの共重体であるヒドロキシル基と長鎖アルキル基(炭素数18)を有する)
・シリコーン変性アクリル樹脂(日油社製:FS730): 5重量部
・イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートL):
20重量部
次に、上記マット離型フィルムの離型層上に、実施例1―1と同様にハードコート層、プライマー層、加飾層、接着層を積層して、実施例1−3に係る転写フィルムを作製した。この転写フィルムを射出成形機の金型内部にセットして、実施例1−1と同様に射出成形及び転写成形品表面への紫外線照射を行ない、高い表面強度を有する転写成形品を得た。
<実施例1―4>
実施例1―1と同様の基材フィルムを用いて、その一方の面に、実施例1―1と同様にして、マット層を形成した。その後、実施例1―3と同一組成の離型層用塗布液を、マイクログラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が2.2μmとなるように塗布して離型層を形成し、その後50℃で5日間エージングして、マット離型フィルムを作製した。
次に、上記マット離型フィルムの離型層上に、実施例1―1と同様にハードコート層、プライマー層、加飾層、接着層を積層して、実施例1−4に係る転写フィルムを作製した。この転写フィルムを射出成形機の金型内部にセットして、実施例1−1と同様に射出成形及び転写成形品表面への紫外線照射を行ない、高い表面強度を有する射出成形品を得た。
<実施例1―5>
実施例1―1と同様の基材フィルムを用いて、その一方の面に、実施例1―1と同様にして、マット層を形成した。その後、実施例1―2と同一組成の離型層用塗布液を、マイクログラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が0.8μmとなるように塗布して離型層を形成し、その後50℃で5日間エージングして、マット離型フィルムを作製した。
次に、上記マット離型フィルムの離型層上に、実施例1―1と同様にハードコート層、プライマー層、加飾層、接着層を積層して、実施例1−5に係る転写フィルムを作製した。この転写フィルムを射出成形機の金型内部にセットして、実施例1−1と同様に射出成形及び転写成形品表面への紫外線照射を行ない、高い表面強度を有する射出成形品を得た。
<比較例1―1>
厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱樹脂社製:G440E50)を基材フィルムとして、その一方の面に、マット層用塗布液としてアクリル/メラミン系インキ(東洋インキ社製:HP216マットコートNワニス)を、バーコーターを用いて乾燥後の膜厚が4.3μmになるように塗布した。その後、180度で焼き付けして、マット層を形成した。
次に、上記マット層の面上に、実施例1―1と同様にして、離型層を形成した。
<比較例1―2>
実施例1―1と同様の基材フィルムを用いて、その一方の面に、実施例1―1と同様にして、マット層を形成した。その後、離型層用塗布液としてアクリル/メラミン系インキ(東洋インキ社製:HP200グロスコートNワニス)を、バーコーターを用いて乾燥後の膜厚が0.5μmになるように塗布した。その後、180℃で焼き付けして離型層を形成し、マット離型フィルムを作製した。
次に、上記マット離型フィルムの離型層上に、実施例1―1と同様にしてハードコート層を形成した。
<評価及び方法>
実施例1―1〜1―5でそれぞれ作製した転写フィルムについて、マット層、離型層、ハードコート層の成膜性及びそれぞれの転写フィルムによる成形品への転写性について目視にて評価した。外観異常がない場合(実用上問題のないレベル)を「○」、均一塗布不可の場合または外観異常がある場合(実用上問題がある)を「×」とした。さらに、実施例1―1、1―4及び1―5で作製した転写フィルムを用いた成形品については、光沢度(60°)についても測定した。結果を表1に示す。なお、層形成未実施の場合、転写未実施の場合、光沢度未測定の場合を「−」とした。ここで「均一塗布不可の場合」とは、成膜するために塗布自体は試みたものの、均一に塗布できなかった場合を意味する。また、「層形成未実施の場合」とは、下地となる層に発生した不具合(シワ等)の影響により、その下地となる層上に積層すべき層の形成が実施できなかった場合を意味する。
Figure 0006597305
<比較結果>
実施例1―1〜1―5で得られた転写フィルムは、マット層、離型層、ハードコート層の形成がいずれも良好に形成できた。また、それぞれの転写フィルムを用いた成形品への転写も良好な結果が得られた。
一方、比較例1―1では、基材フィルムへのマット層の形成は行えたが、マット層の形成時に実施した180℃での焼き付けによって、シワや熱収縮といった不具合が生じてしまい、離型層を均一に塗布することができなかった。したがって、その後のハードコート層、加飾層、接着層の形成ができず、転写フィルムの作製には至らなかった。また、比較例1―2も同様に、基材フィルムへのマット層及び離型層の形成は行えたが、離型層の形成時に実施した180℃での焼き付けによって、シワや熱収縮といった不具合が生じてしまい、ハードコート層を均一に塗布することができず、その後の加飾層、接着層の形成ができず、転写フィルムの作製には至らなかった。
また、実施例1―1、1―4及び1―5で得られた転写フィルムを用いて、射出成形をして得られた成形品の光沢度(60°)は、離型層の膜厚との間に相関があることが確認できた。これは、積層する離型層の膜厚に応じて、マット層表面の凹凸が埋められる程度が変化しているためと考えられる。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係る転写フィルムの断面概略図である。また、図4は、第2実施形態に係る転写フィルムを用いて製造された転写成形品の断面概略図である。
図3に示すように、本実施形態に係る転写フィルム11Bは、基材フィルム1、マット層2、離型層3B、ハードコート層4、プライマー層5、加飾層6、接着層7をこの順に備えた積層体である。
ここで、第2実施形態に係る転写フィルム11Bは、第1実施形態に係る転写フィルム11Aと比較して、離型層3Bのみが異なっており、その他の層(つまり、基材フィルム1、マット層2、ハードコート層4、プライマー層5、加飾層6、接着層7)は同じである。より詳しくは、転写フィルム11Bに備わる離型層3Bは、マット剤(第2のマット剤)を含んでいる点で、転写フィルム11Aに備わる離型層3Aとは異なる。そこで、本実施形態では、第1実施形態で説明した基材フィルム1、マット層2、ハードコート層4、プライマー層5、加飾層6、接着層7についての説明は省略し、離型層3Bについてのみ説明する。
(離型層3B)
離型層3Bは、その表面に微細な凹凸を形成し、且つ離型性を有する層である。この離型層3Bは、マット剤(第2のマット剤)を含み、そのマット剤は、マット層2の場合と同様に特に制限されるものではなく、各種の無機粒子や有機粒子を用いることができる。以下、このマット剤を含んだ離型層3Bを、便宜的に「マット離型層3B」とも記す。つまり、このマット離型層3Bは、マット剤を含んでいること以外は、第1実施形態で説明した離型層3Aと同じである。
マット離型層3Bに含まれるマット剤の平均粒子径は、0.01μm以上50μm以下の範囲内が好ましく、1μm以上30μm以下の範囲内のものがより好ましい。マット剤の平均粒子径が、0.01μm未満であると転写成形品表面のつや消し外観の付与が不十分となることがあり、50μmを超えると各印刷工程でのピンホール発生の要因となることがある。マット離型層3Bの厚みは、特に制限されるものではないが、用いるマット剤の平均粒子径と、転写後における被転写体の表面光沢度を考慮して決定することができる。このマット離型層3Bの厚みを変えることによって、被転写体の表面光沢度を調整することができる。具体的には、マット離型層3Bの厚みを厚くすると、被転写体の表面光沢度を高く調整することができ、逆に、マット離型層3Bの厚みを薄くすると、被転写体の表面光沢度を低く調整することができる。
マット剤の添加量は、特に制限されるものではないが、マット離型層3Bを形成するための塗布液(以下、単に「マット離型層用塗布液」とも記す。)の中に、マット離型層3Bを構成する塗膜の主成分となる樹脂材料に対して0.0重量%よりも大きく5.0重量%以下の範囲内が好ましく、0.2重量%以上2.0重量%以下の範囲内がより好ましい。このような範囲内の添加量にすれば、マット層2のみの表面光沢度と比較して、若干高い領域で表面光沢度を調整することが可能となり、つや消し外観の光沢度バリエーションを容易に増やすことができる。
ところで、マット層2のみの場合では、光沢度が上がるにつれ、射出成形をして得られる転写成形品表面の非写像性が悪くなる傾向がある。これは、光沢度を調整する際に、マット層2のマット剤比率を低くするために、マット離型フィルム9の表面の凹凸の数が少なくなることに由来する。このように、光沢度としては狙いの値が得られていても非写像性が悪化してしまっては、転写成形品表面のつや消し外観を均一に付与できていないため、実用上好ましくない。一方で、本実施形態のように、マット層2に対してマット離型層3Bをさらに積層させた場合では、マット層2表面の凹凸の数を減らすことなく、光沢度を調整することができる。そのため、転写成形品表面への均一なつや消し外観の付与が可能となり、非写像性においても良好な結果が得られる。このように、マット層2のマット剤比率を低くすることなく、マット層2表面の凹凸の高さを調整する本実施形態のような構成とすれば、マット層2のみの場合と比較した際に、若干高い領域の表面光沢度を均一なつや消し外観で付与することができる。
なお、マット離型層3Bにおいて上記マット剤以外の材料等、つまりマット離型層3Bを形成している樹脂材料等については、第1実施形態で説明した離型層3Aを形成している樹脂材料等と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
また、マット離型層3Bに含まれるマット剤(第2のマット剤)と、マット層2に含まれるマット剤(第1のマット剤)とは、同じマット剤であってもよいし、異なるマット剤であってもよい。
(効果)
本実施形態に係る転写フィルム11Bは、マット層2が2液硬化型ウレタン樹脂で形成されているので、グラビア印刷時の印刷適性を高めることができるとともに、室温〜50℃程度の低温で硬化反応が終了し、基材フィルム1への熱負荷の少ないマット層2を作製することができる。さらに、マット層2が第1のマット剤を含んでいるので、転写成形品の表面につや消し外観を付与することもできる。
また、マット離型層3Bが炭素数10以上30以下の長鎖アルキル基を有するアクリルウレタン樹脂で形成されているので、グラビア印刷時の印刷適性を高めることができるとともに、マット離型層3Bは熱転写時には優れた離型性を呈し、且つ、マット離型層3Bの上に塗布するハードコート層用塗布液のハジキ現象を抑制して、均一なハードコート層4を形成することができる。さらに、マット層2とマット離型層3Bの間の密着性を得ることもできる。
また、マット離型層3Bがマット層2の面上に形成されているので、マット離型層3Bのマット剤含有量及び膜厚を調整することで、被転写体(転写成形品)の表面光沢度を容易にコントロールすることができる。さらに、マット離型層3Bの膜厚変動による被転写体の表面光沢度への影響を抑えることができるので、光沢度バラツキの少ない転写フィルム11Bを生産することができる。
また、本実施形態に係る転写フィルム11Bは、メラミン樹脂を含んでいないので、環境負荷(人的負荷)を少なくすることもできる。
また、本実施形態に係る転写フィルム11Bは、マット層2とマット離型層3Bの少なくともいずれか1層に、ヒドロキシル基を含有するセルロース誘導体を含んでいる。このため、転写フィルム11Bであれば、耐熱性が向上するので、射出成形と同時に転写するインモールド転写、すなわち高温での耐熱性が要求されるインモールド転写の場合であっても、熱シワやブロッキング現象等の不具合を抑制することができる。
また、本実施形態に係る転写フィルム11Bは、離型層3Bがヒドロキシル基を含有するアクリルシリコーン樹脂を含んでいる。このため、転写フィルム11Bであれば、熱転写の高速化にも十分対応できる優れた離型性を呈することができる。
(実施例2)
以下、第2実施形態に係る発明を各実施例に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
<実施例2―1>
厚さ50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(三菱樹脂社製:G440E50)を基材フィルムとして、その一方の面に、下記組成のマット層用塗布液を、グラビア印刷法を用いて、100℃で10秒間乾燥した後の膜厚が4.5μmとなるように塗布して、マット層を形成した。
(マット層用塗布液の組成)
・アクリルポリオール樹脂(東栄化成社製:LC#6560):
100重量部
・シリカフィラー(エボニックデグサ社製:粒径6μm): 5重量部
・ポリアクリルニトリルフィラー(東洋紡社製:粒径7μm): 5重量部
・イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートHL):
10重量部
上記マット層の上に、下記の組成のマット離型層用塗布液を、マイクログラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が2.5μmになるように塗布してマット離型層を形成し、その後50℃で5日間エージングして、マット離型フィルムを作製した。
(マット離型層用塗布液の組成)
・アクリルポリオール樹脂(東栄化成社製:LC#6560):
100重量部
・シリカフィラー(エボニックデグサ社製:粒径6μm): 1重量部
・アクリル樹脂: 5重量部
(6−ヒドロキシヘキシルアクリレートとステアリルメタクリレートとの共重体であるヒドロキシル基と長鎖アルキル基(炭素数18)を有する)
・イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートL):
20重量部
次に、上記マット離型フィルムのマット離型層上に、下記組成のハードコート層用塗布液を、マイクログラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が5.0μmになるように塗布して、ハードコート層を形成した。
(ハードコート層用塗布液の組成)
・紫外線硬化樹脂: 100重量部
(DIC社製:RC29−117、紫外線重合開始剤入り、固形分30%)
・シリカ: 20重量部
(日産化学社製:粒径10〜20nm、MEK分散液、固形分30%)
次に、上記ハードコート層の上に、プライマー層用塗布液としてアクリルポリオール/イソシアネート系インキ(東洋インキ社製:V425アンカー)を、グラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が1μmになるように塗布して、プライマー層を形成した。さらに、その上に、加飾層用塗布液として墨インキ(東洋インキ社製:V428UR92墨)を、グラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が3μmになるように塗布して、加飾層を形成した。さらに、その上に、接着層用塗布液(東洋インキ社製:K539HP接着ワニス)を、グラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が1μmとなるように塗布して、接着層を形成した。このようにして、実施例2−1に係る転写フィルムを作製した。
上記のようにして作製した転写フィルムを射出成形機の金型内部にセットして、ポリカーボネートABSアロイ樹脂(日本エイアンドエル社製:テクノエースT−105)を用いて射出成形した。冷却後、射出成形用金型を開放し、該転写フィルムを構成するマット離型フィルムを成形品から剥離した後、転写成形品表面に対して、高圧水銀灯を用いて積算光量1000mJ/cmの紫外線を照射し、ハードコート層を架橋硬化させた。これにより、高い表面強度を有する転写成形品を得た。
<実施例2―2>
下記組成のマット離型層用塗布液を用いた以外は、実施例2―1と同様にしてマット離型フィルムを作製した。
(マット離型層用塗布液の組成)
・アクリルポリオール樹脂(東栄化成社製:LC#6560):
100重量部
・シリカフィラー(エボニックデグサ社製:粒径6μm): 1重量部
・ニトロセルロース(H1/4): 20重量部
・アクリル樹脂: 5重量部
(6−ヒドロキシヘキシルアクリレートとステアリルメタクリレートとの共重体であるヒドロキシル基と長鎖アルキル基(炭素数18)を有する)
・イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートL):
20重量部
次に、上記マット離型フィルムのマット離型層上に、実施例2―1と同様にハードコート層、プライマー層、加飾層、接着層を積層して、実施例2―2に係る転写フィルムを作製した。この転写フィルムを射出成形機の金型内部にセットして、実施例2―1と同様に射出成形及び転写成形品表面への紫外線照射を行ない、高い表面強度を有する転写成形品を得た。
<実施例2―3>
下記組成のマット離型層用塗布液を用いた以外は、実施例2―1と同様にしてマット離型フィルムを作製した。
(マット離型層用塗布液の組成)
・アクリルポリオール樹脂(東栄化成社製:LC#6560):
100重量部
・シリカフィラー(エボニックデグサ社製:粒径6μm): 1重量部
・ニトロセルロース(H1/4): 20重量部
・アクリル樹脂: 5重量部
(6−ヒドロキシヘキシルアクリレートとステアリルメタクリレートとの共重体であるヒドロキシル基と長鎖アルキル基(炭素数18)を有する)
・シリコーン変性アクリル樹脂(日油社製:FS730): 5重量部
・イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートL):
20重量部
次に、上記マット離型フィルムのマット離型層上に、実施例2―1と同様にハードコート層、プライマー層、加飾層、接着層を積層して、実施例2―3に係る転写フィルムを作製した。この転写フィルムを射出成形機の金型内部にセットして、実施例2―1と同様に射出成形及び転写成形品表面への紫外線照射を行ない、高い表面強度を有する転写成形品を得た。
<実施例2―4>
実施例2―1と同様の基材フィルムを用いて、その一方の面に、実施例2―1と同様にしてマット層を形成した。その後、実施例2―1と同一組成のマット離型層用塗布液を、マイクログラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が1.9μmとなるように塗布してマット離型層を形成し、その後50℃で5日間エージングして、マット離型フィルムを作製した。
次に、上記マット離型フィルムのマット離型層上に、実施例2―1と同様にハードコート層、プライマー層、加飾層、接着層を積層して、実施例2―4に係る転写フィルムを作製した。この転写フィルムを射出成形機の金型内部にセットして、実施例2―1と同様に射出成形及び転写成形品表面への紫外線照射を行ない、高い表面強度を有する転写成形品を得た。
<実施例2―5>
実施例2―1と同様の基材フィルムを用いて、その一方の面に、実施例2―1と同様にして、マット層を形成した。その後、下記組成のマット離型層用塗布液を、マイクログラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が2.5μmになるように塗布してマット離型層を形成し、その後50℃で5日間エージングして、マット離型フィルムを作製した。
(マット離型層用塗布液の組成)
・アクリルポリオール樹脂(東栄化成社製:LC#6560):
100重量部
・シリカフィラー(エボニックデグサ社製:粒径6μm): 3重量部
・アクリル樹脂: 5重量部
(6−ヒドロキシヘキシルアクリレートとステアリルメタクリレートとの共重体であるヒドロキシル基と長鎖アルキル基(炭素数18)を有する)
・イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートL):
20重量部
次に、上記マット離型フィルムのマット離型層上に、実施例2―1と同様にハードコート層、プライマー層、加飾層、接着層を積層して、実施例2―5に係る転写フィルムを作製した。この転写フィルムを射出成形機の金型内部にセットして、実施例2―1と同様に射出成形及び転写成形品表面への紫外線照射を行ない、高い表面強度を有する転写成形品を得た。
<比較例2―1>
実施例2―1と同様の基材フィルムを用いて、その一方の面に、マット層用塗布液としてアクリル/メラミン系インキ(東洋インキ社製:HP216マットコートNワニス)を、バーコーターを用いて乾燥後の膜厚が4.3μmになるように塗布した。その後、180℃で焼き付けして、マット層を形成した。
次に、上記マット層の面上に、実施例2―1と同様にして、マット離型層を形成することを試みた。しかし、マット層の形成時に実施した180℃での焼き付けによって、基材フィルムにシワや熱収縮といった不具合が生じてしまい、マット離型層を均一に塗布することができなかった。したがって、その後のハードコート層、プライマー層、加飾層、接着層の形成ができず、転写フィルムの作製には至らなかった。
<比較例2―2>
実施例2―1と同様の基材フィルムを用いて、その一方の面に、実施例2―1と同様にして、マット層を形成した。その後、マット離型層用塗布液としてアクリル/メラミン系インキ(東洋インキ社製:HP200グロスコートNワニス及びHP216マットコートNワニスの混合インキ)を、バーコーターを用いて乾燥後の膜厚が0.5μmになるように塗布した。その後、180℃で焼き付けしてマット離型層を形成し、マット離型フィルムを作製した。
次に、上記マット離型フィルムのマット離型層上に、実施例2―1と同様にしてハードコート層を形成することを試みた。しかし、マット離型層の形成時に実施した180℃での焼き付けによって、基材フィルムにシワや熱収縮といった不具合が生じてしまい、ハードコート層を均一に塗布することができなかった。したがって、その後のプライマー層、加飾層、接着層の形成ができず、転写フィルムの作製には至らなかった。
<比較例2―3>
実施例2―1と同様の基材フィルムを用いて、その一方の面に、下記組成のマット層用塗布液を、グラビア印刷法を用いて、100℃で10秒間乾燥した後の膜厚が6.5μmとなるように塗布してマット層を形成し、その後50℃で5日間エージングして、マット離型フィルムを作製した。
(マット層用塗布液の組成)
・アクリルポリオール樹脂(東栄化成社製:LC#6560):
100重量部
・シリカフィラー(エボニックデグサ社製:粒径6μm): 4重量部
・ニトロセルロース(H1/4): 10重量部
・アクリル樹脂: 5重量部
(6−ヒドロキシヘキシルアクリレートとステアリルメタクリレートとの共重体であるヒドロキシル基と長鎖アルキル基(炭素数18)を有する)
・シリコーン変性アクリル樹脂(日油社製:FS730): 5重量部
・イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートL):
20重量部
次に、上記マット離型フィルムのマット層上に、実施例2―1と同様にハードコート層、プライマー層、加飾層、接着層を積層して、比較例2―3に係る転写フィルムを作製した。この転写フィルムを射出成形機の金型内部にセットして、実施例2―1と同様に射出成形及び転写成形品表面への紫外線照射を行ない、高い表面強度を有する転写成形品を得た。
<比較例2―4>
実施例2―1と同様の基材フィルムを用いて、その一方の面に、実施例2―1と同様にして、マット層を形成した。その後、下記組成のグロス離型層用塗布液を、マイクログラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が2.2μmになるように塗布してグロス離型層を形成し、その後50℃で5日間エージングして、グロス離型フィルムを作製した。
(グロス離型層用塗布液の組成)
・アクリルポリオール樹脂(東栄化成社製:LC#6560):
100重量部
・アクリル樹脂: 5重量部
(6−ヒドロキシヘキシルアクリレートとステアリルメタクリレートとの共重体であるヒドロキシル基と長鎖アルキル基(炭素数18)を有する)
・イソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製:コロネートL):
20重量部
次に、上記グロス離型フィルムのグロス離型層上に、実施例2―1と同様にハードコート層、プライマー層、加飾層、接着層を積層して、比較例2―4に係る転写フィルムを作製した。この転写フィルムを射出成形機の金型内部にセットして、実施例2―1と同様に射出成形及び転写成形品表面への紫外線照射を行ない、高い表面強度を有する転写成形品を得た。
<比較例2―5>
実施例2―1と同様の基材フィルムを用いて、その一方の面に、実施例2―1と同様にして、マット層を形成した。その後、比較例2―4と同一組成のグロス離型層用塗布液を、マイクログラビア印刷法を用いて乾燥後の膜厚が1.9μmとなるように塗布してグロス離型層を形成し、その後50℃で5日間エージングして、グロス離型フィルムを作製した。
次に、上記グロス離型フィルムのグロス離型層上に、比較例2―4と同様にハードコート層、プライマー層、加飾層、接着層を積層して、比較例2―5に係る転写フィルムを作製した。この転写フィルムを射出成形機の金型内部にセットして、実施例2―1と同様に射出成形及び転写成形品表面への紫外線照射を行ない、高い表面強度を有する転写成形品を得た。
<評価及び方法>
実施例2―1〜2―5及び比較例2―1〜2―3で作製した転写フィルムについて、マット層、離型層、ハードコート層の成膜性及びそれぞれの転写フィルムによる転写成形品への転写性について目視にて評価した。外観異常がない場合(実用上問題のないレベル)を「○」、均一塗布不可の場合または外観異常がある場合(実用上問題がある)を「×」とした。さらに、実施例2―1、2―4、2―5及び比較例2―3で作製した転写フィルムを用いた転写成形品については、転写成形品表面の光沢度(60°)及び非写像性について評価した。非写像性の評価は目視で行ない、蛍光灯の約2m真下にサンプルを置いた時に、蛍光灯の輪郭が確認できない場合(実用上問題のないレベル)は「○」、確認できる場合(実用上問題がある)は「×」とした。評価の結果を表2に示す。なお、層形成未実施の場合、転写未実施の場合、光沢度未測定の場合、非写像性について評価しなかった場合を「−」とした。また、上述した実施例1の場合と同様に、「均一塗布不可の場合」とは、成膜するために塗布自体は試みたものの、均一に塗布できなかった場合を意味する。また、「層形成未実施の場合」とは、下地となる層に発生した不具合(シワ等)の影響により、その下地となる層上に積層すべき層の形成が実施できなかった場合を意味する。
Figure 0006597305
実施例2―1、2―4及び比較例2―4、2―5で作製した転写フィルムについては、各々の転写フィルムを用いて作製した転写成形品の光沢度(60°)を測定し、マット離型層またはグロス離型層の膜厚変化時の光沢度変動の様子を評価した。具体的には、マット離型層同士(実施例2―1、2―4)及びグロス離型層同士(比較例2―4、2―5)の間の離型層膜厚変化をΔd、光沢度変動をΔGrとして、実施例と比較例の間で、離型層の膜厚変化が光沢度変動に及ぼす影響の大きさ(ΔGr/Δd)を計算して比較した。評価の結果を表3に示す。
Figure 0006597305
<比較結果>
表2に示したように、実施例2―1〜2―5及び比較例2―3で得られた転写フィルムは、マット層、マット離型層、ハードコート層がいずれも良好に形成できた。また、各転写フィルムを用いて転写成形品表面に転写した際も、転写性は良好であった。
一方、比較例2―1では、基材フィルムへのマット層の形成は可能であったが、マット層の形成時に実施した180℃での焼き付けによって、シワや熱収縮といった不具合が基材フィルムに生じてしまい、マット離型層を均一に塗布することができなかった。したがって、その後のハードコート層、加飾層、接着層の形成ができず、転写フィルムの作製には至らなかった。また、比較例2―2では、基材フィルムへのマット層及びマット離型層の形成は可能であったが、マット離型層の形成時に実施した180℃での焼き付けによって、シワや熱収縮といった不具合が基材フィルムに生じてしまい、ハードコート層を均一に塗布することができなかった。したがって、その後の加飾層、接着層の形成ができず、転写フィルムの作製には至らなかった。
また、実施例2―1、2―4、2―5の結果のように、射出成形をして得られた転写成形品の光沢度(60°)は、マット離型層の膜厚及びマット離型層に含まれるシリカフィラーの量との間に相関があることが確認できた。これは、積層するマット離型層の膜厚及びマット離型層に含まれるシリカフィラーの量に応じて、マット層上に積層されたマット離型層表面の凹凸状態が変化しているためと考えられる。また、転写成形品表面の非写像性に関しても良好な結果が得られた。
一方、比較例2―3で得られた転写フィルムを用いた場合、射出成形をして転写成形品を得ることはできたが、転写成形品の表面の非写像性において、良い結果が得られなかった。これは、マット層のフィラー量を調整し、マット層表面の凹凸の数を少なくすることにより、光沢度を調整したことに由来している。実際に、実施例2―1と同様の表面光沢度の値を示しているにも関わらず、非写像性が悪い結果になっており、マット離型フィルムの表面の凹凸数の差がつや消し外観の仕上がりに影響しているものと考えられる。
また、表3に示したように、実施例2―1、2―4及び比較例2―4、2―5で得られた転写成形品について、マット層の上に形成されるマット離型層、またはグロス離型層の膜厚変化が光沢度変動に及ぼす影響の大きさ(ΔGr/Δd)を評価した。その結果、マット離型層を備え持つ本実施例に係る転写フィルムを用いた場合、膜厚変動による光沢度への影響が半分程度と小さいことが確認でき、より均一なつや消し外観の付与が可能であった。
本発明の一態様により得られた転写フィルムは、家電製品、住宅機器、事務機器、自動車部品などに利用されるパネル部材等の表面保護兼加飾に用いることが可能である。
1…基材フィルム、2…マット層、3A…離型層、3B…(マット)離型層、4…ハードコート層、5…プライマー層、6…加飾(印刷)層、7…接着層、8…成形樹脂、9…(マット)離型フィルム、10…転写層、11A、11B…転写フィルム

Claims (5)

  1. 基材フィルムの一方の面に、少なくともマット層、離型層、ハードコート層、及び接着層をこの順に有する転写フィルムであって、
    前記マット層を、2液硬化型ウレタン樹脂で形成し、且つ第1のマット剤を含んだ層とし、
    前記離型層を、アクリルウレタン樹脂を主成分とする層とし、
    前記アクリルウレタン樹脂は、少なくともアクリルポリオール樹脂と、ヒドロキシル基及び炭素数10以上30以下の長鎖アルキル基を含有するアクリル樹脂と、イソシアネート化合物との架橋反応から生成されたことを特徴とする転写フィルム。
  2. 前記マット層と前記離型層の少なくともいずれか1層に、ヒドロキシル基を含有するセルロース誘導体をさらに含めたことを特徴とする請求項1に記載の転写フィルム。
  3. 前記離型層に、ヒドロキシル基を含有するアクリルシリコーン樹脂をさらに含めたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の転写フィルム。
  4. 前記離型層に、第2のマット剤をさらに含めたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の転写フィルム。
  5. 前記第1のマット剤と前記第2のマット剤とを、同一のマット剤としたことを特徴とする請求項4に記載の転写フィルム。
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