JP6834307B2 - 鏡面化粧シート及び成形品 - Google Patents
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Description
特許文献2に記載の方法によれば、ロールを巻き取る際に異物を巻き込むことによる表面の凹み及び傷が生じにくく、表面と裏面とが互いに密着することによる擦り傷及びシワが生じにくい加飾シートが得られる。しかしながら鏡面性の高い表面保護層を有し、且つ基材にポリオレフィン樹脂等から構成される柔らかい基材シートを用いた化粧シートにおいては、シートを巻き取った際に表面保護層に裏面の凹凸が賦型されて鏡面性が低下することがある。特に、黒色やダークブラウンなどの暗色の化粧シートでは凹凸の賦型による鏡面性低下が目視で顕著に観察される。
表面保護層へのシート裏面の凹凸賦型を防止するには表面保護層を硬くすることが有効であるが、曲げ加工時に剥がれやクラックが生じやすくなる。そのため鏡面性を有する化粧シートにおいて、従来は優れた曲げ加工性と鏡面性との両立が困難であった。
(クラック発生伸度の測定)
化粧シートをJIS K7127:1999に準拠した短冊型の試験片を用意し、該試験片を、23℃±2℃において、引張試験機を用いて引張速度200mm/分、チャック間距離100mmの条件で、任意伸度で引っ張った後、該試験片をホワイトボード用マーカーでチャック間内を着色し、該着色部を布でふき取り、クラックの発生によりふき取れなくなったときの伸度をクラック発生伸度とした。
2.前記鏡面化粧シートの前記表面保護層面について、JIS Z8741−1997に準拠して測定した20°グロスが40%以上である、上記1に記載の鏡面化粧シート。
3.前記表面保護層の厚さが6〜20μmである、上記1又は2に記載の鏡面化粧シート。
4.前記基材シートが着色基材シートである、上記1〜3のいずれか1項に記載の鏡面化粧シート。
5.上記1〜4のいずれか1項に記載の鏡面化粧シートの裏面に接着剤層を有する、接着剤層付鏡面化粧シート。
6.被着材上に、上記1〜4のいずれか1項に記載の鏡面化粧シートを有する成形品。
本発明の鏡面化粧シート(以下、単に「化粧シート」と称することがある)は、基材シートと表面保護層とを有する鏡面化粧シートであり、該基材シートは熱可塑性エラストマーを含有するポリオレフィン基材シートであり、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、前記表面保護層の下記方法で測定したクラック発生伸度が20%超、100%以下であり、JIS B0601:2001に準拠して測定した前記鏡面化粧シートの裏面の十点平均粗さ(RzJIS)が3μm以上、15μm以下であり、且つ、JIS Z8781−4:2013で規定されるL*a*b*表色系におけるL*値が50以下であることを特徴とする。
(クラック発生伸度の測定)
化粧シートをJIS K7127:1999に準拠した短冊型の試験片を用意し、該試験片を、23℃±2℃において、引張試験機を用いて引張速度200mm/分、チャック間距離100mmの条件で、任意伸度で引っ張った後、該試験片をホワイトボード用マーカーでチャック間内を着色し、該着色部を布でふき取り、クラックの発生によりふき取れなくなったときの伸度をクラック発生伸度とした。
なお、本発明の化粧シートにおいて、表面とは、いわゆる「おもて面」であり、本発明の化粧シートが被着材等に積層して用いられる際に、被着材と接触する面とは反対側の面であり、積層後に視認される面である。また、本明細書では、本発明の化粧シートについて、上記表面の方向を「おもて」又は「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する場合がある。
図1及び図2に図示の如く、鏡面化粧シート10の「表面10S」とは、表面保護層2の基材シート1側とは反対側の最外面をいう。
また、鏡面化粧シート10の「裏面10R」とは化粧シート10の該表面10Sとは反対側の最外面をいう。図1の如く基材シートに裏面プライマー層4を設けない形態においては、基材シート1の表面保護層2と反対側の最外面1R(基材シート1の裏面ともいう)が化粧シート10の裏面と一致する。また、図2の如く基材シートに裏面プライマー層4を設けた形態においては、裏面プライマー層4の表面保護層2と反対側の最外面4R(裏面プライマー層4の裏面ともいう)が化粧シート10の裏面と一致する。
また、熱可塑性エラストマーを含有するポリオレフィン基材シートを用いた化粧シートは曲げ加工性に優れるが、基材シートが柔らかいと、巻き取り後に裏面の凹凸が化粧シートの表面保護層に賦型されやすく、鏡面性が低下しやすい。さらに、暗色の化粧シートにおいては凹凸の賦型による鏡面性低下が目立つという問題がある。しかしながら、特に前記方法で測定した表面保護層のクラック発生伸度が20%超、100%以下であることにより、前記の柔らかい基材シートを用いた化粧シートであってもシート巻き取り後に化粧シートの裏面の凹凸が表面保護層に賦型されるのを防ぐことができる。また、表面保護層に一度凹凸形状が賦型されても、表面保護層の自己修復機能により経時的に回復するので、巻き取りの後においても良好な鏡面性を維持することができる。
本発明の化粧シートは優れた鏡面性を有しているため、その鏡面性の評価には、通常の測定条件(角度60°)よりも厳しい条件である角度20°で測定したグロス値を用いている。すなわち、鏡面性が非常に優れている場合、角度60°での測定では、グロスすなわち鏡面光沢度(Specularglossiness)の数値が飽和して、視覚に基づく鏡面光沢感覚と測定値との相関性及び有意差が低下し、数値上の有意差も見られないためである。当該20°グロスは50%以上であることがより好ましく、60%以上がさらに好ましい。
優れた鏡面性が得られ、且つ化粧シートを巻き取った際のブロッキングを抑制する観点から、十点平均粗さ(RzJIS)は3〜13μmであることが好ましく、3〜10μmであることがより好ましい。
化粧シートの裏面の十点平均粗さ(RzJIS)は、例えば、シートの製膜時に使用するロールの材質や表面形状などにより調整することが可能である。また、十点平均粗さ(RzJIS)は、JIS B0601:2001に準拠して測定されるものであり、接触式表面粗さ計を用いて任意の5箇所について測定した平均値である。
化粧シートの裏面の算術平均粗さ(Ra)は、十点平均粗さ(RzJIS)と同様の方法で測定できる。
化粧シートのL*値を50以下とする方法としては、基材シート、又は、化粧シートを構成する層のうち少なくとも1つの層に暗色の着色剤を含有させるなどして着色する方法が挙げられる。本発明の化粧シートにおいては、隠蔽性を付与して意匠性を向上させる点から、着色基材シートを用いる方法が好ましい。
なお本明細書において、2%モジュラスは、JIS K7127:1999に準拠した測定方法により、15mm×140mmの短冊型の試験片を用いて、室温環境下で引張速度200mm/min、チャック間距離100mmで、伸度2%の条件で測定した荷重の値(N/15mm)である。
また、本発明の化粧シートは、表面保護層上にさらにマスキングフィルムを有するマスキングフィルム付き化粧シートの態様、及び/又は裏面側にさらに接着剤層を有する接着剤層付化粧シートの態様で実施し得るが、クラック発生伸度は、後述するマスキングフィルム又は接着剤層を有さない状態で測定した値である。
本発明の化粧シートに用いる基材シートは、熱可塑性エラストマーを含有するポリオレフィン基材シートである。基材シートが熱可塑性エラストマーを含有することにより、本発明の化粧シートに柔軟性が付与されてシートの曲げ加工時の過剰な伸び、収縮、戻り変形が抑制され、優れた曲げ加工性を有するシートとなる。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリエチレン系、ポリプロピレン系などのポリオレフィン系;スチレン系;ポリエステル系;ポリウレタン系;の熱可塑性エラストマーが挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましく、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマーがより好ましい。
基材シート中の熱可塑性エラストマーの含有量には特に制限はないが、曲げ加工性と耐熱性、強度の観点から、好ましくは5〜80質量%の範囲、より好ましくは10〜60質量%の範囲である。
ポリプロピレン樹脂を採用することにより、基材シートを薄いものとしても糊(接着剤)の塗布ムラ、あるいは被着材表面の凹凸などの、いわゆるダクを拾いにくく、優れた鏡面性が得られる。また生産効率にも優れ、材料費又は輸送費のコストアップを抑えることも可能となる。
上記添加剤のうち、優れた加工性を得る観点から、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルクなどの無機充填剤;耐候性向上のために、紫外線吸収剤(UVA)、ヒンダードアミン系の光安定剤(HALS)等の耐候剤を含有することが好ましい。これらの無機充填剤の含有量は、樹脂材料に対して1〜60質量%の範囲が好ましい。
着色基材シートとして、例えば着色剤を含有した基材シートを用いることができる。着色基材シートに用いうる着色剤としては、化粧シートに前記所定のL*値を付与できるものであれば特に制限はないが、暗色の着色剤が好ましい。例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒などの無機顔料の他、有機顔料、染料などを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
L*値が低い、黒色の鏡面化粧シートを製造する場合は、着色剤としてカーボンブラック、鉄黒などの黒色顔料を用いることが好ましい。
着色剤の使用量は、前記所定のL*値を付与できる量であって、基材シートを押出成形して得る際の製膜性や、機械的強度を低下させない範囲であれば特に制限はない。
基材シートの裏面の十点平均粗さ(RzJIS)が3μm以上であると、鏡面化粧シートを巻き取った際のブロッキングを抑制しやすい。一方、基材シートの裏面の十点平均粗さ(RzJIS)が15μm以下であれば、シート巻き取り後に化粧シートの表面(表面保護層)が比較的平滑な裏面と接することになるので、表面保護層に裏面の凹凸が賦型されることによる鏡面性低下を抑制することができる。基材シートが化粧シートの最下層である場合、当該RzJISが15μmよりも大きいと、シート巻き取り後に表面保護層に化粧シートの裏面の凹凸が賦型されることによる鏡面性低下を防止できない。
優れた鏡面性が得られ、且つ化粧シートを巻き取った際のブロッキングを抑制する観点から、基材シートの裏面の十点平均粗さ(RzJIS)は3〜13μmであることが好ましく、3〜10μmであることがより好ましい。
基材シートの裏面の十点平均粗さ(RzJIS)は、例えば、基材シートの製膜時に使用するロールの材質や表面形状などにより調整することが可能である。十点平均粗さ(RzJIS)は、前記と同様の方法で測定できる。
基材シートと表面保護層との間にはプライマー層を設けてもよい。プライマー層を設けることで基材シートと表面保護層との密着性を向上させるとともに、加工性を向上させ、また製造工程においてブロッキングを防止することもできる。
表面保護層は、本発明の化粧シートに耐候性、耐汚染性、耐傷性、耐溶剤性、及び耐熱性などの表面特性を付与し、且つ優れた鏡面性を付与する、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物で構成される層である。
反応性シリコーンの種類としては、変性シリコーンオイルの側鎖型、変性シリコーンオイルの両末端型、変性シリコーンオイルの側鎖両末端型があり、導入する有機基により、アミノ変性、エポキシ変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、フェノール変性、メタクリル変性、異種官能基変性等がある。
(クラック発生伸度の測定)
化粧シートを用いてJIS K7127:1999に準拠した短冊型の試験片を作製し、該試験片を、23℃±2℃において、引張試験機を用いて引張速度200mm/分、チャック間距離100mmの条件で、任意伸度で引っ張った後、該試験片をホワイトボード用マーカーでチャック間内を着色し、該着色部を布でふき取り、クラックの発生によりふき取れなくなったときの伸度をクラック発生伸度とした。
また、本発明の化粧シートは、表面保護層上にさらにマスキングフィルムを有するマスキングフィルム付き化粧シートの態様、及び/又は裏面側にさらに接着剤層を有する接着剤層付化粧シートの態様で実施し得るが、クラック発生伸度は、後述するマスキングフィルム又は接着剤層を有さない状態で測定した値である。
また表面保護層の前記クラック発生伸度が20%超、100%以下であると、表面保護層に一度凹凸形状が賦型されても、表面保護層の自己修復機能により経時的に回復するので、巻き取りの後においても良好な鏡面性を維持することができる。
優れた鏡面性、優れた加工性を得る観点から、表面保護層の厚さは、7〜18μmがより好ましく、7〜15μmがさらに好ましい。
上記20°グロスの調整は、表面保護層の厚さを調整することにより行うことができる。具体的には、表面保護層の厚さを薄くすると20°グロスが小さくなり、厚くすると20°グロスが大きくなる。
裏面プライマー層は、基材シートと各種被着材との接着性を向上させる目的で必要に応じ設けられる層であり、基材シートのプライマー層及び表面保護層を設ける側の面とは反対側の面(裏面)に設けられる。
また、マット剤としては、前記プライマー層の項で記載したものが好ましく挙げられ、その好ましい平均粒子径も前記と同様である。裏面プライマー層におけるマット剤の含有量は、好ましくはバインダー樹脂100質量部に対して5〜70質量部、より好ましくは10〜70質量部である。
なお、基材シートの裏面に裏面プライマー層が設けられている場合には、裏面プライマー層の裏面(表面保護層から遠い面)が化粧シートの裏面に相当するので、化粧シートの裏面として、裏面プライマー層の裏面の十点平均粗さ(RzJIS)を3μm以上、15μm以下に設定する。
本発明の化粧シートには、さらに装飾層を設けてもよい。装飾層は、本発明の化粧シートに装飾性を与えるものであり、均一に着色が施された隠蔽層(ベタ印刷層)でもよいし、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される絵柄層であってもよい。あるいは、隠蔽層と絵柄層とを組み合わせたものであってもよい。装飾層は、通常基材シートと表面保護層との間に設けられる。本発明の化粧シートがプライマー層を有する場合には、装飾層は基材シートとプライマー層との間に設けられる。
また、絵柄層を設けることで、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様など、あるいはこれらを複合した寄木、パッチワークなどの模様を化粧シートに付与することができる。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷などによっても形成される。
マスキングフィルムは、化粧シートの被着材への貼着時、化粧シートを貼着、加工して得られた成形品の運搬時又は施工時の傷付き防止のために、化粧シートの表面保護層の上に好ましく設けられるフィルムである。よって、本発明の化粧シートは、化粧シートの表面にマスキングフィルムを有する、マスキングフィルム付き化粧シートとすることができる。なお、表面保護層のクラック発生伸度は、マスキングフィルムを有さない状態の化粧シートでの値である。
本発明の化粧シートの製造方法は特に限定されず、例えば、(1)基材シートを形成する工程、及び(2)基材シート上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて表面保護層を形成する工程、を順に有する方法により製造することができる。工程(1)と工程(2)との間に、必要に応じ前記基材シートにプライマー層及び裏面プライマー層を形成する工程を行ってもよい。
工程(1)は、基材シートを形成する工程である。
基材シートは、例えば熱可塑性エラストマーとポリオレフィン系樹脂とを含有する樹脂材料に、所望により暗色を付与するための着色剤、その他添加剤を添加した樹脂組成物を、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法などの方法によりシート化して得る。ここで、必要に応じて、一軸又は二軸延伸してもよい。
得られた基材シートは、接する層との密着性を向上させる観点から、その表面に所望によりコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン−紫外線処理法などの酸化法や、サンドブラスト法、溶剤処理法などの凹凸化法といった物理的または化学的表面処理を施して易接着層を設けてもよい。
プライマー層及び裏面プライマー層は、これらの層を形成する樹脂組成物を、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法などの公知の塗布方法により塗布して形成すればよい。また、プライマー層及び裏面プライマー層の両方を設ける場合、いずれの層を先に形成してもよい。
工程(2)は、基材フィルム上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて表面保護層を形成する工程である。
電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布は、硬化後の厚さが好ましくは6〜20μmとなるような厚さで、基材シート、又は所望に応じて設けられたプライマー層の表面にグラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法などの公知の方式、好ましくはグラビア印刷法により行う。電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、基材シートあるいはプライマー層の表面に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布して未硬化樹脂層を形成し得る粘度であれば特に制限はない。
電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚さに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜100kGy(1〜10Mrad)、さらに好ましくは30〜70kGy(3〜7Mrad)の範囲で選定される。
また、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
具体的には、本発明の化粧シートの裏面に接着剤層を有する接着剤層付き化粧シートを、自動車用内外装部品、建築物の内外装、建材、家具、もしくは家電製品用などの様々な部材に適用することができる。
接着剤層の厚さは特に制限はないが、通常、1〜100μmの範囲である。この範囲とすることで、被着材と、化粧シートとの接着性をより向上させることができる。
本発明の成形品は、被着材上に本発明の鏡面化粧シートを有する。このような成形品としては、被着材、接着剤層、及び本発明の化粧シートを順に有する成形品が挙げられる。当該成形品は例えば、被着材の装飾しようとする面と、化粧シートの裏面とを対向させて、接着剤層を介して積層することにより得られる。
成形品の形状、用途は特に限定されず、自動車用内外装部品、建築物の内外装、建材、家具、もしくは家電製品などの様々な部材に適用することができる。
本発明の化粧シートは鏡面性に優れ、複雑な形状及び隅角部を有する形状に追従して貼着することが可能であり、クラックや外観変化も生じない。そのため本発明の成形品は平板状のものに限定されず、例えば、2Rよりも厳しい曲面形状を有する成形品でもよい。
当該プラスチック製の被着材としては、各種の合成樹脂からなるものを用いることができる。合成樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
各例で得られた化粧シートについては、下記の測定方法により性状又は特性を評価した。
JIS B0601:2001に準拠した方法により、表面粗さ計(株式会社東京精密製、ハンディサーフE−35A)を用いて、カットオフ値0.8mm、評価長さ4mmの条件により測定した。
分光測色計(コニカミノルタ製、分光測色計CM−3700d)を用いて、各例で得られた化粧シート表面におけるL*値を測定した。
化粧シートから、JIS K7127:1999に準拠して短冊型の試験片を切り出し、当該試験片を、23℃±2℃において、引張試験機を用いて引張速度200mm/分、チャック間距離100mm、幅15mmの条件で、任意の伸度で引っ張った。次いで、該試験片のチャック間内をホワイトボード用マーカーで着色し、当該着色部を布でふき取り、クラックの発生によりふき取れなくなったときの伸度をクラック発生伸度とした。
JIS Z8741−1997に準拠した方法により、光沢度測定器(BYKガードナー社製「マイクログロス」)を用いて角度20°の条件により測定した。測定は、化粧シートを作製した後、及びロールとして巻き取った後に引き出した直後、及び引き出してから24時間経過後のシートについて、表面保護層の任意の5箇所について行い、平均値を測定値とした。
各例で得られた化粧シートの裏面に接着剤(アクリル系感圧接着剤、三洋化成工業株式会社製、ポリシック470−S)を20g/m2の厚さで塗布し、1.0Rの曲率を有する凸部に貼付し、蛍光灯(直管型)の下で化粧シートの外観を目視により観察し、下記の基準で評価した。
○:外観に変化なし(白化又はクラックが認められない)
△:外観に白化又はクラックの軽微な変化はみられるが、実使用上問題なし
×:外観に著しい変化あり(白化又はクラックが認められる)
上記(5)と同様に、各例で得られた化粧シートの裏面に接着剤を塗布し、1.0Rの曲率を有する凸部に貼付したときの追従性を、下記の基準で評価した。
○:端部に剥がれ(スプリングバック)はほとんど発生せず、問題なく追従できる
△:端部に軽微な剥がれが見られ追従しにくいが、実使用上問題なし
×:端部に著しい剥がれが発生し、追従できない
着色ポリプロピレン樹脂シート(厚さ:100μm、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー含有)を基材シートとして用意し、その一方の面に、下記組成の2液硬化性プライマー層形成用樹脂組成物を塗布してプライマー層(厚さ:2μm)を形成し、他方の面に2液硬化性ポリエステル−ウレタン樹脂組成物(樹脂成分100質量部に対し、マット剤としてシリカを65質量部含有)を塗布して裏面プライマー層(厚さ:2μm)を形成した。
次いで、プライマー層上に、下記組成の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビア印刷によって塗布量10g/m2で塗布して、塗膜を形成した。次いで、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させ、表面保護層(厚さ:10μm)を形成し、鏡面化粧シートを得た。
得られた鏡面化粧シートを前記方法により評価した。結果を表1に示す。
主剤:ポリカーボネート系ウレタン/アクリル共重合体 100質量部
硬化剤:1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート 5質量部
マット剤(平均粒子径4μm) 15質量部
紫外線吸収剤:2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン〔チヌビン400(商品名)、BASFジャパン株式会社製〕 5質量部
紫外線吸収剤:2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン〔チヌビン479(商品名)、BASFジャパン株式会社製〕 5質量部
光安定剤:ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート〔チヌビン123(商品名)、BASFジャパン株式会社製〕 1質量部
電離放射線硬化性樹脂:ウレタンアクリレートオリゴマー(官能基数:2、重量平均分子量:3000)とウレタンアクリレートオリゴマー(官能基数:2、重量平均分子量:4500)との混合物(混合比(モル比)4:6) 100質量部
紫外線吸収剤:2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン〔チヌビン479(商品名)、BASFジャパン株式会社製〕 2質量部
反応性基を有する光安定剤:1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート〔サノールLS−3410(商品名)、BASFジャパン株式会社製〕 4質量部
反応性シリコーン化合物:ポリエーテル変性シリコーン〔57ADDITIVE(商品名)、東レ・ダウコーニング株式会社製〕 0.5質量部
実施例1において、化粧シートの裏面の十点平均粗さ(RzJIS)及び算術平均粗さ(Ra)、表面保護層の厚さ及びクラック発生伸度を表1に示されるものとした以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
得られた鏡面化粧シートを前記方法により評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、基材シートとして着色ポリプロピレン樹脂シート(厚さ:100μm、熱可塑性エラストマー非含有)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
得られた化粧シートを前記方法により評価した。結果を表1に示す。
2 表面保護層
3 プライマー層
4 裏面プライマー層
5 マスキングフィルム
10 鏡面化粧シート
Claims (6)
- 基材シートと表面保護層とを有する鏡面化粧シートであって、前記基材シートは熱可塑性エラストマーを含有するポリオレフィン基材シートであり、前記表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、前記表面保護層の下記方法で測定したクラック発生伸度が20%超、100%以下であり、JIS B0601:2001に準拠して測定した前記鏡面化粧シートの裏面の十点平均粗さ(RzJIS)が3μm以上、15μm以下であり、且つ、JIS Z8781−4:2013で規定されるL*a*b*表色系におけるL*値が50以下である、鏡面化粧シート。
(クラック発生伸度の測定)
化粧シートをJIS K7127:1999に準拠した短冊型の試験片を用意し、該試験片を、23℃±2℃において、引張試験機を用いて引張速度200mm/分、チャック間距離100mmの条件で、任意伸度で引っ張った後、該試験片をホワイトボード用マーカーでチャック間内を着色し、該着色部を布でふき取り、クラックの発生によりふき取れなくなったときの伸度をクラック発生伸度とした。 - 前記鏡面化粧シートの前記表面保護層面について、JIS Z8741−1997に準拠して測定した20°グロスが40%以上である、請求項1に記載の鏡面化粧シート。
- 前記表面保護層の厚さが6〜20μmである、請求項1又は2に記載の鏡面化粧シート。
- 前記基材シートが着色基材シートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鏡面化粧シート。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の鏡面化粧シートの裏面に接着剤層を有する、接着剤層付鏡面化粧シート。
- 被着材上に、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鏡面化粧シートを有する成形品。
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JP2016193232A JP6834307B2 (ja) | 2016-09-30 | 2016-09-30 | 鏡面化粧シート及び成形品 |
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