JP5857600B2 - 化粧シート及びこれを用いた化粧鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧シート及びこれを用いた化粧板に関する。詳しくは、ポリオレフィン系樹脂基材を用いた鋼板曲げ性、耐汚染性、自己修復性、及び耐候性に優れる化粧シート及びこれを用いた化粧鋼板に関する。
鋼板に意匠を付与するために、塩化ビニル樹脂フィルム、オレフィン樹脂フィルム又はPETなどのポリエステル樹脂フィルムに加飾したシートを、鋼板にラミネートすることが行われている。特に、耐汚染性、成形加工性及び高硬度を有するものとしてPETフィルムラミネート鋼板が提案されている(特許文献1)。また、ポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂からなる基材シート上に、絵柄模様層、透明性接着剤層及び透明性ポリエステル系樹脂層が順に積層されてなる鋼板用の化粧シートが提案されている(特許文献2参照)。
上記化粧シートは、耐汚染性が高く、高硬度ではあるが、鋼板の曲げ加工の際に、曲面部の表面にクラックが発生するという問題があった。PETなどのポリエステルフィルムを用いた場合にはクラックは起きにくく、ある程度の加工性が確保されるが、擦り傷に対する耐性が低いという問題があった。そして、PETなどに耐擦傷性を付与するために、その表面にハードコートする方法があるが、やはり曲面部でハードコートにクラックが発生するという問題が生じる。このようなクラックが発生するとクラック部分に汚れが溜まり、耐汚染性が低下する。また、水廻りなどに用いた場合には、クラック部分にカビが発生するなどの問題が生じたり、ホワイトボードなどに用いた場合には、クラック部分にマーカーが残存し、マーカー消去性が著しく低下するといった問題が生じる。
本出願人は、上記問題点に対して、鋼板にラミネートして曲げ加工を行っても、曲面部にクラックが入らず、高い成形加工性を有するとともに、耐汚染性及び耐擦傷性を有する化粧シートとして、2軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材上に、ウレタン系樹脂組成物からなるプライマー層と電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化させた表面保護層をこの順に積層した鋼板用化粧シートを提案した(特許文献3参照)。
しかし、化粧シートに対して、耐傷付き性を付与するために、化粧シートの表面保護層を硬くする手法を取ると、化粧シートを折り曲げたり、衝撃を受けた際にひび割れや白化が生じやすい。一方で、表面保護層を柔らかくすると傷が入りやすく、また溶剤に簡単に溶けてしまう恐れがある。
一方、弾力性を持ちながら、一度表面に細かい擦り傷ができても、これを自己修復可能な活性エネルギー線硬化性ウレタン(メタ)アクリレートが提案されており(特許文献4参照)、この材料を表面保護層として用いることで、長期間使用しても外観を損なうことなく、優れた耐衝撃性、耐傷付き性を維持し得る化粧シートが得られることが期待される。
そして、上述の自己修復可能な活性エネルギー線硬化性ウレタン(メタ)アクリレートを表面保護層形成用材料として用いて、外装用の化粧シートを製造する場合には、特に該化粧シートに耐候性、耐傷付き性、特に耐擦傷性に優れ、鋼板貼り後の曲げ加工に耐える程度の加工性が要求されるが、これらを満足する化粧シートは未だ得られていない。
特開2000−43192号公報 特開2005−238498号公報 特開2007−290382号公報 特開2002−256053号公報
上記課題に対して、本発明者らは、自己修復性を有し、かつ耐候性及び耐擦傷性に優れる化粧シートを目的として、炭素数13〜25のアルキル基と電離放射線硬化性官能基を有し、かつポリカプロラクトン変性されている、電離放射線硬化性樹脂と特定の耐候剤を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる層とすることで目的に適合し得ることを見出して特許出願(特願2011−073620:以下、「先願発明」ということがある。)した。
しかしながら、化粧鋼板等でさらに十分な曲げ加工性を付与するためには、この先願発明でも、不十分であることが判明した。
また、化粧シートの基材(原反)は、機械強度が制限され、シートの使用用途が制限される。基材の伸びが大きいと塗工されている表面保護層も追従して大きく伸びるため、曲げ加工性の観点からはPETフィルムの様な機械強度が強いものが好ましいが、耐加水分解性等を考慮した耐候性、経済性等の観点からポリオレフィンフィルムが好まれる分野もある。基材にポリオレフィンフィルムを用いた表面保護層への曲げ加工性の付与は、基材の伸びにも追従できるように表面保護層の樹脂組成物を柔軟なものにすれば曲げ加工性の付与は可能であるが、反面耐傷付き性等の物性が低下するという矛盾を含み、困難であった。
さらに、表面保護層に用いる樹脂組成物の軟質化は架橋密度を下げることであり、耐候助剤等の添加剤保持力が低下するため、添加剤の添加のみで十分な機能付与を行うことは困難であった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、鋼板に貼り付けて折り曲げ加工をしても最表層の表面保護層にクラックが発生せず、耐汚染性、自己修復性、及び耐候性の高い化粧シート及び化粧鋼板を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、基材上に、表面保護層を形成するに当たり、自己修復性を有する電離放射線硬化性樹脂において、伸び率を特定の範囲に制御することにより、表面保護層としての諸物性と鋼板曲げ加工性を両立ができることを知得して、本発明を完成した。
すなわち本発明は、下記の〔1〕及び〔2〕を提供する。
〔1〕ポリオレフィン系樹脂からなる基材上に、装飾層、プライマー層、及び表面保護層、又は装飾層、接着剤層、透明ポリオレフィンフィルム層、プライマー層、及び表面保護層をこの順に積層してなる化粧シートであって、該表面保護層が下記の(1)〜(3)を満足する化粧シート。
(1)以下に記載するウレタンアクリレート(A)及びウレタンアクリレート(B)が、ウレタンアクリレート(A)とウレタンアクリレート(B)の配合質量比を25:75〜75:25で配合されてなる電離放射線硬化性樹脂を架橋硬化したものであり、
・ウレタンアクリレート(A);炭素数13〜25の長鎖アルキル基と電離放射線硬化性官能基を有し、かつポリカプロラクトン変性されてなるウレタンアクリレート。
・ウレタンアクリレート(B);1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートと、ヒドロキシ変性(メタ)アクリレート及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られるウレタンアクリレート。
(2)塗膜厚みが10〜50μm、及び
(3)(1)の電離放射線硬化性樹脂による塗膜を以下の条件の引張試験により測定した引張り伸度が50〜90%である。
引張試験;厚さ140μmのポリプロピレンフィルムに電離放射線硬化性樹脂を厚さ15μmとなるように塗工・硬化させた後、温度25℃、引張速度50mm/分で引張試験を行い破断する際の伸度を測定する。
〔2〕前記〔1〕の化粧シートを鋼板に貼付した化粧鋼板。
本発明は、折り曲げ加工をしても最表層の表面保護層にクラックが発生せず、耐汚染性、自己修復性、及び耐候性の高い化粧シート及び化粧板を提供できる。
本発明の化粧シートの第一態様の断面を示す模式図である。 本発明の化粧シートの第二態様の断面を示す模式図である。 本発明の化粧鋼板の一態様の断面を示す模式図である。
〔化粧シートの層構成〕
本発明の化粧シートは、ポリオレフィン系樹脂からなる基材(以下、「オレフィン基材」ということがある。)上に、少なくとも装飾層、プライマー層及び表面保護層(以下、この構成を「第一態様」という。)、又は少なくとも装飾層、接着剤層、透明ポリオレフィンフィルム層、プライマー層、及び表面保護層(以下、この構成を「第二態様」という)をこの順に有する。第一態様の層構成及び第二態様の層構成について、以下、図1及び図2を参照しつつ、詳細に説明する。
図1に示す本発明の第一態様の化粧シート10は、ポリオレフィン系樹脂からなる基材11上に、装飾層12、プライマー層13、及び表面保護層14をこの順に有する。また、必要に応じて、基材11の上記各層が設けられるのとは反対の面(以下「裏面」と称する。)に、裏面プライマー層15を設けてもよい。
次に、図2に示す第二態様では、オレフィン基材11上に装飾層12、接着剤層16を介して透明ポリオレフィンフィルム層17、プライマー層13、及び表面保護層14をこの順に有し、図1に示す態様と同様に、基材11には裏面プライマー層15を設けてもよい。
〔表面保護層〕
本発明の化粧シートは、表面保護層が下記の(1)〜(3)を満足する化粧シートである。
(1)以下に記載するウレタンアクリレート(A)及びウレタンアクリレート(B)が、ウレタンアクリレート(A)とウレタンアクリレート(B)の配合質量比を25:75〜75:25で配合されてなる電離放射線硬化性樹脂を架橋硬化したものであり、
・ウレタンアクリレート(A);炭素数13〜25の長鎖アルキル基と電離放射線硬化性官能基を有し、かつポリカプロラクトン変性されてなるウレタンアクリレート。
・ウレタンアクリレート(B);1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートと、ヒドロキシ変性(メタ)アクリレート及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られるウレタンアクリレート。
(2)塗膜厚みが10〜50μm、及び
(3)(1)の電離放射線硬化性樹脂による硬化塗膜を以下の条件の引張試験により測定した引張り伸度が50〜90%である。
引張試験;厚さ140μmのポリプロピレンフィルムに電離放射線硬化性樹脂を厚さ15μmとなるように塗工・硬化させた後、温度25℃、引張速度50mm/分で引張試験を行い破断する際の伸度を測定する。
(電離放射線硬化性樹脂)
本発明におけるウレタンアクリレート(A)成分は、炭素数13〜25のアルキル基と電離放射線硬化性官能基を有し、かつポリカプロラクトン変性してなるウレタンアクリレートである。
また、本発明におけるウレタンアクリレート(B)成分は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートと、ヒドロキシ変性(メタ)アクリレート及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られるウレタンアクリレートである。
ここで、電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。本発明においては、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。電離放射線硬化性樹脂とは、上記電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂(化合物)を指す。
前記電離放射線硬化性樹脂であるウレタンアクリレート(A)は、(a)1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、(b)炭素数13〜25のアルキル基を有するアルコール、(c)ポリカプロラトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させることによって、得られる。
上記(a)成分は、ジイソシアネートモノマーを、イソシアヌレート変性、アダクト変性、ビウレット変性などの方法によって変性することにより得られる。ここで用いられるジイソシアネートモノマーとしては、特に制限はなく、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などが挙げられる。
次に、上記(b)成分としては、トリデカノール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが例示される。
また、(c)成分は、下記一般式(I)で示される化合物である。
式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、nは1〜25の整数、好ましくは2〜5の整数である。nが2〜5の整数であると、架橋間分子量の増大に伴う硬化不良が抑制され、かつ良好な耐擦傷性及び自己修復機能が発揮される。
また、前記ウレタンアクリレート(B)は、(d)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートと、(e)ヒドロキシ変性(メタ)アクリレート及び(f)ポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られるウレタンアクリレートである。
((d)有機イソシアネート)
上記(d)成分の有機イソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する有機化合物であるが、有機イソシアネート1分子中に含まれるイソシアネート基の数は3個以上であることが好ましい。
1分子中にイソシアネート基を2個有する有機イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネートなどのジイソシアネートモノマーが挙げられる。
1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートとしては、ジイソシアネートモノマーをイソシアヌレート変性させた下記一般式(II)で表されるような化合物、ジイソシアネートモノマーをアダクト変性させた下記一般式(III)で表されるような化合物、ジイソシアネートモノマーをビウレット変性させた下記一般式(IV)で表されるような化合物、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、トリアミノノナントリイソシアネートなどのイソシアネートプレポリマーが挙げられる。
((e)ヒドロキシ変性(メタ)アクリレート)
ヒドロキシ変性(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸のカルボキシル基の水素原子を、ヒドロキシル基を有する原子団で置き換えた構造を有するものである。具体的には、下記一般式(V)で表されるようなポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート、下記一般式(VI)で表されるようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ただし、その中でもポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。ポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレートは、カプロラクトン単位の繰り返し数が1〜25のいずれであってもよいが、カプロラクトン単位の繰り返し数が大きすぎるとウレタン(メタ)アクリレートの硬化物の強度が低下するため、繰り返し数が5以下であることが好ましい。
((f)ポリカプロラクトン含有多官能アルコール)
ポリカプロラクトン含有多官能アルコールの具体例としては、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオールのほか、5官能以上のポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。ポリカプロラクトン含有多官能アルコールは、カプロラクトン単位の繰り返し数がいくつであってもよいが、カプロラクトン単位の繰り返し数が大きすぎるとウレタン(メタ)アクリレートの硬化物の強度が低下するため、繰り返し数は5以下であることが好ましい。なお、ポリカプロラクトン含有多官能アルコールは、カプロラクトン単位の繰り返し数が異なる2種以上のポリカプロラクトン含有多官能アルコールの混合物であってもよい。
また、ポリカプロラクトン含有多官能アルコールは、官能基(−O−[CO(CH25O]n−H)の数が多いほど好ましい。これは、官能基(−O−[CO(CH25O]n−H)の数が多くなるほどウレタンアクリレートにおける活性エネルギー線硬化性官能基の数が増えるので、その架橋密度が増し、その結果、ウレタンアクリレートの硬化物の耐擦傷性が向上するからである。
なお、反応原料にポリカプロラクトン含有多官能アルコールが含まれているウレタンアクリレート(B)は、活性エネルギー線硬化性官能基の数が増えて架橋密度が増しても、硬化したときにカールが生じたり加工性が低下したりするおそれが少ない。それに対し、反応原料としてポリカプロラクトン含有多官能アルコールに代えてポリカプロラクトン非含有の長鎖アルキル基多官能アルコールを用いたウレタンアクリレートは、活性エネルギー線硬化性官能基の数が増えて架橋密度が増すと、硬化したときにカールが生じたり加工性が低下したりすることがある。すなわち、本実施形態のウレタンアクリレートは、ポリカプロラクトン鎖を有するアルコール成分を反応原料に含んでいるがために、活性エネルギー線硬化性官能基の数が増えて架橋密度が増しても、硬化したときにカールが生じたり加工性が低下したりするおそれが少ないのである。
本発明の化粧シートの表面保護層に用いる電離放射線硬化性樹脂において、ウレタンアクリレート(A)とウレタンアクリレート(B)の配合比(質量比)は、25:75〜75:25であることを要する。この配合比の範囲内であれば、架橋硬化された塗膜が適度な柔軟性を有し、鋼板に貼付した場合に鋼板曲げ性等を有する化粧鋼板を得ることができる。
さらに、本発明においては、表面保護層14を形成する電離放射線硬化性樹脂が、これを厚さ140μmのポリプロピレンフィルムに厚さ15μmとなるよう塗工・硬化後の塗膜を所定条件で引張試験した場合の引張り伸度が50〜90%であることを要する。
引張試験は前記の条件で行う。
引張り伸度が50%以上であれば、鋼板曲げ性を満足し、引張り伸度が90%以下であれば耐汚染性が満足できる。
また、本発明の電離放射線硬化性樹脂組成物において、電離放射線硬化性樹脂として、紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明で用いる電離放射線硬化性樹脂としては、電子線硬化性であることが好ましい。電子線硬化性の場合は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、かつ、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
本発明における化粧シートの表面保護層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物には、耐候安定剤、帯電防止剤、反応性シリコーンの少なくともいずれかを添加することができる。好ましい耐候安定剤としては、反応性官能基Aを有するヒンダードアミン系光安定剤(以下、「反応性HALS」と称することがある。)、紫外線吸収剤、その他の耐候安定剤を挙げることができる。さらに、その他の添加剤を配合することができる。
(反応性官能基Aを有するヒンダードアミン系光安定剤)
この反応性HALSにおける反応性基Aは、前述した電離放射線硬化性樹脂と反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
このような反応性HALSとしては、例えば4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
これらの反応性HALSは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該反応性HALSは、電離放射線の照射によって、それ自体が重合して、高分子量化したり、前述した電離放射線硬化性樹脂と共重合することにより、ブリードアウトが抑制される。
当該反応性HALSの含有量は、電離放射線硬化性樹脂組成物中の固形分全量に対して、1〜5質量%であることが好ましい。当該反応性HALSの含有量が上記範囲内であれば、該HALSがブリードアウトすることなく、また本発明のコーティング剤組成物を用いて作製されるシートは十分な光安定性が得られるので、優れた耐候性が得られる。以上の観点から、反応性HALSの含有量は、1〜4質量%であることがさらに好ましい。
(紫外線吸収剤)
本発明における電離放射線硬化性樹脂組成物には、紫外線吸収剤(以下、「UVA」と称することがある。)を添加することができる。UVAは、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系などを用いることができる。ベンゾトリアゾール系としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。
トリアジン系としては、例えば2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2'−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが好ましく挙げられ、ベンゾフェノン系としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
本発明においては、UVAとして、反応性基Bを有する紫外線吸収剤(以下、「反応性UVA」と称することがある。)を用いることが、ブリードアウトすることなく、含有量を増大させることができる点で好ましい。
反応性基Bとしては、上記反応性基Aと同様に、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
なお、前記反応性HALSや反応性UVAは、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有することにより、電離放射線の照射によって、それ自体が重合して高分子量化したり、あるいは共存する電離放射線硬化性樹脂と共重合することにより、ブリードアウトが抑制される。
(その他の耐候剤)
本発明における電離放射線硬化性樹脂組成物には、上述の反応性HALS及びUVAに加えて、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の耐候剤、例えば、反応性基を有しない光安定剤を併用することもできる。
反応性基を有しない光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
(帯電防止剤)
本発明における電離放射線硬化性樹脂組成物には、帯電防止剤として、第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を配合することが好ましい。この第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を配合することにより、帯電防止特性を向上するばかりでなく、表面保護層の表面保護特性を良好にすることができる。
第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤としては、第4級アンモニウムクロリド系帯電防止剤、第4級アンモニウムサルフェート系帯電防止剤、第4級アンモニウムナイトレート系帯電防止剤が挙げられる。また、通常の低分子型帯電防止剤のみならず、高分子型帯電防止剤をも用いることが出来る。高分子型帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩含有(メタ)アクリレート共重合体、第4級アンモニウム塩含有マレイミド共重合体、第4級アンモニウム塩含有メタクリルイミド共重合体等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤の含有量が、電離放射線硬化性樹脂組成物全質量を基準として、0.1〜10質量%であることを要する。0.1質量%以上であれば、帯電防止機能が付与され、10質量%以下であれば、帯電防止剤が析出しない。
(反応性シリコーン)
また、本発明においては、反応性シリコーンを滑剤として用いることも好ましい態様である。ここで反応性シリコーンとは、側鎖及び/又は末端に有機基を導入した変性シリコーンオイルであって、有機基が反応性を有するものをいう。この反応性シリコーンは電離放射線硬化性樹脂組成物が硬化する際に、該樹脂と反応し、結合して一体化するため、表面にブリードアウトすることなく、本発明の表面保護層の表面に滑性を付与し、耐擦傷性等を向上させるため、特に好ましい。
また、反応性シリコーンは、配合しても表層の平滑性、光沢に影響を及ぼさないため、特に鏡面性、高光沢な意匠を表現する際に適している。
反応性シリコーンの種類としては、変性シリコーンオイルの側鎖型、変性シリコーンオイルの両末端型、変性シリコーンオイルの側鎖両末端型があり、導入する有機基により、アミノ変性、エポキシ変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、フェノール変性、メタクリル変性、異種官能基変性などがある。
反応性シリコーンの含有量としては、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜50質量部の範囲が好ましい。0.1質量部以上であると表面に十分な滑性を付与することができ、50質量部以下であると、塗工の際にはじきが発生せず、塗膜面が荒れることがなく、しかも塗料安定性を向上させることができる。以上の観点から、該含有量は0.5〜10質量部の範囲がさらに好ましい。
(その他添加剤)
本発明における電離放射線硬化性樹脂組成物には、上述の耐候剤に加えて、本発明の目的が損なわれない範囲で各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素などの粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形などが挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物などが用いられる。
(表面保護層の形成)
本発明の化粧シート10における表面保護層14は、前述した本発明の電離放射線硬化性樹脂組成物を、前記プライマー層13上に塗布し、架橋硬化することにより、形成することができる。
なお、該電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗工方式により、プライマー層13の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、前記電離放射線硬化性樹脂組成物を、プライマー層13の表面に、硬化後の厚さが10〜50μm程度になるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。
本発明においては、このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線などの電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材11として電子線により劣化する素材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材11への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材11の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜100kGy(1〜10Mrad)、さらに好ましくは30〜70kGy(3〜7Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
本発明においては、表面保護層14の硬化後の厚さが10〜50μmであることが好ましい。表面保護層14の硬化後の厚さが10μm以上であれば、耐傷付き性、耐候性などの保護層としての十分な物性が得られる。一方、表面保護層14の硬化後の厚さが50μm以下であれば、電離放射線を均一に照射し易く、均一な硬化が得られ易く、経済的にも有利となる。
また、表面保護層14の硬化後の厚さは、安定して自己修復性能を付与する観点から、15〜50μmであることがより好ましく、加工適性を付与する観点から15〜25μmの範囲がさらに好ましい。
さらに、本発明においては、表面保護層14を形成する電離放射線硬化性樹脂が、これを厚さ140μmのポリプロピレンフィルムに厚さ15μmとなるよう塗工・硬化後の塗膜を、所定条件で引張試験した場合の引張り伸度が50〜90%であることを要する。
引張試験は前述の条件で行う。
〔基材〕
本発明の化粧シートは、基材として、ポリオレフィン系樹脂を用いることを特徴とする。
ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、化粧シートの分野で通常用いられているものが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、特にポリプロピレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が好ましい。
ポリプロピレンを主成分とする単独又は共重合体も好ましく、例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、及び、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられる。その他、エチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1のコモノマーを15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体等も好ましい。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントに高結晶性で且つ高融点の芳香族ポリエステル、ソフトセグメントにガラス転移温度が−70℃以下の非晶性ポリエーテルを使用したブロックポリマーである。特に、アイソタクチックポリプロピレンからなるハードセグメントとアタクチックポリプロピレンからなるソフトセグメントとを重量比80:20で混合したものが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂は、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等によりフィルム状にすればよい。
当該基材の厚みは、用途に応じて選定されるが、加工性、柔軟性、強度等の観点から50〜150μmであることが好ましく、50〜120μmであることがさらに好ましい。
基材には、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、着色剤(下記参照)などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
着色剤としては特に限定されず、顔料、染料等の公知の着色剤を使用できる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料;イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(染料も含む);アルミニウム、真鍮等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。
基材の着色態様には、透明着色と不透明着色(隠蔽着色)とがあり、これらは任意に選択できる。例えば、化粧シートを貼着する鋼板等の地色を着色隠蔽する場合には、不透明着色を選択すればよい。一方、鋼板等の地模様を目視できるようにする場合には、透明着色を選択すればよい。
当該基材はその上に設けられる装飾層或いは裏面プライマー層との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、ベースフィルムの種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また当該基材はプライマー層を形成するなどの処理を施しても良いし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていても良い。
〔装飾層〕
図1に示される装飾層12は、化粧シートに装飾性を与えるものであり、均一に着色が施された着色層(ベタ印刷層)でもよいし、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される模様層であってもよい。
模様層を構成する模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様などがあり、これらを複合した寄木、パッチワークなどの模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷などによっても形成される。
装飾層12に用いるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられるが、これらの中で特にポリウレタン系樹脂が好適である。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが用いられる。
本発明の化粧シート10は、所望により、基材11と装飾層12との間に隠蔽層(図示しない。)を設けても良い。基材11表面の色の変化、ばらつきにより、化粧シート10の柄の色に影響を及ぼさないようにする目的で設けられる。通常不透明色で形成することが多く、その厚さは1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
〔プライマー層〕
本発明の化粧シート10は、装飾層12と表面保護層14との間にプライマー層13が設けられる。該プライマー層を設けることにより、装飾層12と表面保護層の密着性を高めることができ、かつ、表面保護層に対する応力が緩和され、表面保護層の耐候劣化による割れを抑制することが可能となり、耐久性を著しく向上させることができる。
プライマー層13は、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートやポリエステル系ウレタンアクリレート、あるいはポリカーボネート系ウレタンアクリレートとアクリルポリオールとからなる樹脂を用いて形成することが好ましい。これらの樹脂を用いることで、極めて高い耐候性を本発明の化粧シートに付与することができる。
ポリカーボネート系ウレタンアクリレートは、ポリカーボネートジオールとジイソシアネートとを反応させて得られるポリカーボネート系ポリウレタン高分子を、ラジカル重合開始剤として使用し、アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる樹脂である。
ここで、ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系イソシアネートや、イソホロンジイソシアネート、水素転化キシリレンジイソシアネートなどの脂環式系イソシアネートが好ましく挙げられる。アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸やアルキル基の炭素数が1〜6程度の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリカーボネート系ウレタンアクリレートのアクリル成分とウレタン成分との質量比は、特に制限されないが、耐候性、耐溶剤性の点で、ウレタン成分:アクリル成分の質量比を80:20〜20:80の範囲とすることが好ましく、70:30〜30:70の範囲とすることがより好ましい。なお、アクリル及びウレタン成分の含有量が上記の範囲内であると過度に硬い塗膜となることがなく、十分な加工適性が得られ、折り曲げ加工時に樹脂表面上に白い筋(白化)が生じるといった問題が生じない。
ポリエステル系ウレタンアクリレートは、ポリエステルジオールとジイソシアネートとを反応させて得られるポリエステル系ポリウレタン高分子をラジカル重合開始剤として使用し、アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる樹脂である。ジイソシアネートやアクリルモノマーは、上記したポリカーボネート系ウレタンアクリレートの重合に用いるものから適宜選択されるものである。
また、アクリルポリオールは、上記したアクリルモノマーにヒドロキシル基が導入されたものである。例えば、上記アクリルモノマーに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアクリレートを共重合させて合成することができる。これらのアクリルポリオールは、架橋剤としての機能を果たす。
前記ポリカーボネート系ウレタンアクリレートとアクリルポリオールとの質量比は、ポリカーボネート系ウレタンアクリレート単独の100:0から10:90の範囲が好ましく、より好ましくは100:0〜30:70の範囲である。この範囲であると、十分な耐候性が得られる。なお、アクリルポリオールのみであると耐候性が低下するだけでなく、これがイソシアネートと反応を起こすため、経時で電離放射線硬化性樹脂との密着性が変化し、安定した性能が発現しない場合がある。
上記プライマー層13には、耐候性をさらに向上させるため、紫外線吸収剤(UVA)や光安定剤(HALS)などの耐候性改善剤を含有させることが好ましい。
プライマー層に使用しうる紫外線吸収剤及び光安定剤は、表面保護層で用い得るものとして前記したものを挙げることができる。
紫外線吸収剤の含有量は、プライマー層13を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜25質量部、より好ましくは1〜25質量部、さらに好ましくは3〜20質量部であり、特に好ましくは5〜20質量部である。また、光安定剤の含有量は、プライマー層13を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05〜7質量部、より好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは1〜5質量部であり、特に好ましくは2〜5質量部である。
プライマー層13の厚さについては、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、十分な耐候性を得るとの観点から、0.5〜10μmの範囲が好ましく、さらには1〜5μmの範囲が好ましい。
プライマー層13の形成は、上記樹脂組成物をそのままで又は溶媒に溶解若しくは分散させた状態で用い、公知の印刷方法、塗布方法などによって行うことができる。
〔裏面プライマー層〕
本発明の化粧シートでは、基材の裏面に裏面プライマー層15を設けてもよい。裏面プライマー層は、後述する化粧板20を形成する際に、基板18との接着性を向上させる目的で設けられる。裏面プライマー層を形成する材料としては、上記プライマー層13に記載のものと同様のものを用いることができる。
本発明の化粧シートは、図2に示すように、基材11上に装飾層12、接着剤層16を介して透明ポリオレフィンフィルム層17、プライマー層13、及び表面保護層14をこの順に有する第二態様をとることもできる。
〔透明ポリオレフィンフィルム層〕
前記装飾層12(又は前記接着剤層16)の上には、耐傷付き性や耐汚染性等の諸性能を付与することを目的として、透明ポリオレフィンフィルム層17を形成してもよい。透明ポリオレフィンフィルム層17は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。透明ポリオレフィンフィルム層を形成する樹脂成分としては、先に基材の樹脂として例示したものの中でも、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂からなるフィルムが好ましい。より好ましくは、立体規則性を有するポリオレフィン系樹脂フィルムである。ポリオレフィン系樹脂を用いる場合は、溶融ポリオレフィン系樹脂を押し出し法により透明樹脂層を形成することが望ましい。
透明ポリオレフィンフィルム層には、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えばゴム)等の各種の添加剤が含まれていても良い。
透明ポリオレフィンフィルム層の形成方法としては、上記樹脂成分等を含む樹脂組成物を、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等により装飾層(又は接着剤層)の上にラミネートする方法が挙げられる。
透明樹脂層の厚みは特に限定されないが、一般的には20〜250μm、特に50〜200μm程度とすることが好ましい。
透明樹脂層の表面であって、表面保護層を形成する面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
〔接着剤層〕
本発明の化粧シートにおいては、装飾層12と透明ポリオレフィンフィルム層17を接着させるために、接着剤層16を有することが好ましい。接着剤層16を構成する接着剤としては特に制限はなく、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。
〔化粧シートの製造方法〕
図1に示す第一態様の化粧シートにおいては、例えば、基材11に装飾層12を公知の塗工方法により設け、その上にプライマー層13を積層し、該プライマー層上に未硬化樹脂層を形成させる。塗工方法としては、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方法を用いることができる。その後、上述のように、該未硬化樹脂層を、紫外線、電子線等の電離放射線を照射し、硬化して表面保護層14を形成することで本発明の化粧シートを得ることができる。
また、図2に示す第二態様では、基材11上に装飾層12を形成しておく。次いで、必要に応じて装飾層12上に接着剤層16を形成し、透明ポリオレフィンフィルム層17を構成する透明ポリオレフィンフィルムが接するように貼付する。次いで、透明ポリオレフィンフィルム層17上にプライマー層13を積層し、該プライマー層上に表面保護層14を形成し、図2に示す本発明の化粧シートを得ることができる。表面保護層の形成方法は上記と同様である。
〔化粧板〕
本発明の化粧シート10は、接着剤層を介して基板(鋼板)18と貼り合わされて化粧板(化粧鋼板)20を得ることができる。
被着体となる基板18は、特に限定されず、プラスチックシート、鋼板等の金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの基板、特にプラスチックシートを基板として用いる場合には、化粧シートとの密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。酸化法、凹凸化法の具体例としては前記したものと同様の方法を用いることができる。
〔化粧鋼板〕
本発明の化粧鋼板において、基板である鋼板としては、鉄、アルミニウム、銅などの金属材料が挙げられ、これらは溶融亜鉛めっき処理や電気亜鉛めっき処理などの表面処理が施されていてもよい。
また、基板としての鋼板の形状は特に限定されず、例えば、平板、曲面板、多角柱などの形状を任意に採用できる。
また、鋼板の厚さについては特に制限はないが、通常0.2〜1mm程度である。なお、基板としての鋼板は隠蔽性を付与するために、鋼板に直接着色してコーティング層を設けてもよい。
化粧シート10と基板18を貼り合わせるための接着剤層を構成する接着剤としては、特に限定されず、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤などが好適に使用できる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた化粧シートの諸特性を下記要領に従って評価した。
<電離放射線硬化性樹脂組成物による塗膜の伸び率測定>
引張試験;厚さ140μmのポリプロピレンフィルムに電離放射線硬化性樹脂組成物を厚さ15μmとなるように塗工・硬化させた後、JIS K 6732の図3に準拠した試験片を準備し、チャック間距離80mm、温度25℃、引張速度50mm/分で引張試験を行い破断する際の伸度を測定した。
<化粧シートの諸特性の評価>
(1)鋼板曲げ
実施例及び比較例で得られた化粧シートを、鋼板に貼付して、90度、外R=1.5mmとなる様に折り曲げ加工を行い、その際に割れや白化が生じないかを目視して、下記の基準で評価した。
○ :割れや白化はほとんど確認されなかった
△ :割れや白化が若干みられたが、実用上問題なかった
× :割れや白化が著しかった
(2)耐汚染性
実施例及び比較例で得られた化粧シートに、マジックインキで筆記し、48時間後にエタノールでふき取ったときの汚染物の残存具合を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
○ :汚染物の残存は全くない
△ :汚染物の残存はあるものの軽微なもので実用上問題がない
× :汚染物の残存が著しい
(3)自己修復性
真鍮ブラシで1回引っ掻き、傷の修復性を目視で評価した。
○ :傷は完全に修復する
△ :部分的に修復しない箇所がある
× :傷は全く修復しない
(4)耐候性
耐候性試験装置「300サンシャインウェザーメーターS300SWOM(スガ試験機(株)製)」にて、耐候性評価を実施した。評価は2000時間後の色変化・耐セロテープ(登録商標)密着試験にて行った。評価基準は以下の通りである。
○ :色変化は小さく、表面保護層の塗膜剥がれ無し。
△ :色変化は小さいが、表面保護層の塗膜密着性が低下する。
× :著しい色変化あり
(1)電子線硬化性樹脂の合成
(i)ウレタンアクリレート(A)
(ア)合成例1
攪拌機、温度計及びコンデンサーを備えた500mL容のフラスコにトルエン60.8質量部、ステアリルアルコール(NAA−46;日本油脂(株)製、水酸基価:207)8.4質量部を仕込み40℃まで昇温した。その後ステアリルアルコールが完全に溶解したのを確認し、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(タケネートD−170N;武田薬品工業株式会社製、NCO%:20.9)50質量部を仕込み70℃まで昇温させた。同温度で30分反応後、ジブチルスズラウレートを0.02質量部仕込み、同温度で3時間保持した。その後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(プラクセルFA2D;ダイセル化学工業(株)製、水酸基価:163)83.5質量部、ジブチルスズラウレート0.02質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を仕込み、70℃で3時間保持して反応を終了し、トルエン81.1質量部を加え、固形分50質量%のウレタンアクリレートA−アを得た。
(イ)合成例2
合成例1と同様のフラスコにトルエン48.2質量部、ステアリルアルコール(NAA−46)4.2質量部を仕込み40℃まで昇温した。その後ステアリルアルコールが完全に溶解したのを確認し、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(タケネートD−170N)25質量部を仕込み70℃まで昇温させた。同温度で30分反応後、ジブチルスズラウレートを0.02質量部仕込み同温度で3時間保持した。その後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(プラクセルFA5;ダイセル化学工業株式会社製、水酸基価:81.8)83.3質量部、ジブチルスズラウレート0.02質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を仕込み、70℃で3時間保持して反応を終了し、トルエン64.2質量部を加え固形分50質量量%のウレタンアクリレートA−イを得た。
(ウ)合成例3
合成例1と同様のフラスコにトルエン44.8質量部、ステアリルアルコール(NAA−46)4.6質量部を仕込み40℃まで昇温した。その後ステアリルアルコールが完全に溶解したのを確認し、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト変性タイプ(タケネートD−110N;武田薬品工業株式会社製、N.V.:75、NCO%:11.5)50質量部を仕込み70℃まで昇温させた。同温度で30分反応後、ジブチルスズラウレートを0.02質量部仕込み同温度で3時間保持した。その後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(プラクセルFA5)91.7質量部、ジブチルスズラウレート0.02質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を仕込み、70℃で3時間保持して反応を終了し、トルエン76.5質量部を加え固形分50質量%のウレタンアクリレートA−ウを得た。
(ii)ウレタンアクリレート(B)
トルエン150質量部、イソホロンジイソシアネート(ダイセルヒュルス社製VESTANAT IPDI)50質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学社製ライトエステルHOA)28質量部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を混合し、40℃にまで昇温して12時間保持した。それから、ポリカプロラクトントリオール(ダイセル化学工業社製プラクセル320)154質量部を加えて80℃で30分間保持した後、ジブチル錫ラウレート0.02質量部を加えて80℃で24時間保持し、最後にトルエン82質量部を加えて固形分50質量%のウレタンアクリレート(B)を得た。
(2)電子線硬化性樹脂組成物の調製
電離放射線硬化性樹脂;前記ウレタンアクリレートA−ア〜A−ウ、とウレタンアクリレート(B)を表1〜3に示す所定の比率で配合した電子線硬化性樹脂各100質量部
反応性UVA;電離放射線硬化性樹脂組成物中に1質量%
反応性HALS;商品名「LS−3410」(チバジャパン(株)製)、電離放射線硬化性樹脂組成物中に1質量%
を混合して電子線硬化性樹脂組成物を調製した。
(3)プライマー層形成用樹脂組成物
以下の主剤G,H、硬化剤、体質顔料、及びUVAからなる。
主剤G;バインダーとしてウレタン成分とアクリル成分の質量比が7/3であるポリカーボネート系アクリルウレタン樹脂
硬化剤;ヘキサメチレンジイソシアネート(主剤100質量部に対して5質量部添加)
体質顔料;未処理シリカ(市販品)、平均粒径3μm、プライマー層形成用樹脂組成物中に16質量%
非反応性UVA;トリアジン系紫外線吸収剤、プライマー層形成用樹脂組成物中に11質量%(固形分換算)
非反応性HALS;商品名「チヌビン123」(チバジャパン(株)製)、プライマー層形成用樹脂組成物中に2質量%(固形分換算)
主剤H;バインダーとしてウレタン成分とアクリル成分の質量比が5/5であるポリエステル系アクリルウレタン樹脂
硬化剤;ヘキサメチレンジイソシアネート(主剤100質量部に対して5質量部添加)
体質顔料;未処理シリカ(市販品)、平均粒径3μm、プライマー層形成用樹脂組成物中に24質量%
非反応性UVA;トリアジン系紫外線吸収剤、プライマー層形成用樹脂組成物中に11質量%
参考例1
化粧シートの製造
基材11として着色ポリプロピレン樹脂フィルム(厚さ60μm)を準備し、該基材表面にコロナ放電処理を施した後、着色ベタ層、及び木目模様の絵柄層をグラビア印刷で形成して、装飾層12を形成した。バインダーの樹脂として、着色ベタ層はウレタンアクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤とからなる2液硬化型ウレタン樹脂を用い、絵柄層はウレタンアクリルポリオール樹脂を用いた。
次に、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマーをTダイで溶融して得た透明樹脂フィルム(厚さ80μm)を形成し、2液硬化型ウレタン樹脂からなる塗液を装飾層12上に塗布して接着剤層16(乾燥状態での厚さ15μm)を形成し、該透明樹脂フィルムをドライラミネート法により積層させ、透明ポリプロピレンフィルム層17を形成した。
次いで、該透明ポリプロピレンフィルム層17上にコロナ放電処理を施した後、前記のプライマー層形成用樹脂組成物が前記の主剤Gのポリカーボネート系ウレタンアクリレートを2.5g/mの塗布量にて塗布し、プライマー層13を形成した。次に、表面保護層を形成すべく、前記のウレタンアクリレート(A−ア)75質量部とウレタンアクリレート(B)25質量部及び前記(2)の組成物を調合した電離放射線硬化性樹脂組成物を、塗布して、該プライマー層上にグラビア印刷によって塗布し、塗膜を形成した。次いで、165keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させ、表面保護層14を形成し、化粧シート10を得た。該化粧シートに関して、上記方法にて評価した結果を表1に示す。なお、実施例1では本発明の第二態様である図2に示す層構成をとる化粧シートである。
実施例2〜3、参考例2
参考例1において、ウレタンアクリレート(A)とウレタンアクリレート(B)の配合比率を表1に記載するように変更したこと以外は参考例1と同様にして、化粧シートを得た。参考例1と同様に評価した結果を表1に示す。
参考例3、実施例6〜7、参考例4
参考例1、実施例2〜3、参考例2と同様のウレタンアクリレート(A)とウレタンアクリレート(B)の配合比率とし、プライマー層形成用樹脂組成物が前記の主剤Hのポリエステルウレタンアクリレートとした他は、参考例1と同様にして、化粧シートを得た。参考例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例9〜10、参考例5〜6
参考例1において、表面保護層のウレタンアクリレート(A)とウレタンアクリレート(B)の配合比率を50:50とし、塗布量を調整して、硬化後の塗工厚みを表1、2に示すように変更した他は、参考例1と同様にして、化粧シートを得た。参考例1と同様に評価した結果を表1及び表2に示す。
実施例13〜15
実施例2において、化粧シートの層構成を図1に示すような単構成、すなわち、基材11上に、装飾層12、プライマー層13、及び表面保護層14をこの順に有する態様としたこと以外は実施例2と同様にして化粧シートを得た(実施例13)。参考例1と同様に評価した結果を表3に示す。また、実施例13においてウレタンアクリレート(A)をウレタンアクリレートA−イ(実施例14)、ウレタンアクリレートA−ウ(実施例15)とした他は実施例13と同様にして化粧シートを得た。参考例1と同様に評価した結果を表2に示す。
比較例1〜4
それぞれ、表面保護層に用いる電離放射線硬化性樹脂を、ウレタンアクリレート(A)単独(比較例1)、ウレタンアクリレート(B)単独(比較例2)、ウレタンアクリレート(A)と(B)の配合比率を80:20(比較例3)、及び20:80(比較例4)とした他は、参考例1と同様にして化粧シートを得た。参考例1と同様に評価した結果を表3に示す。
比較例5
実施例2において塗布量を調整して、硬化後の塗工厚みを5μmとした他は実施例2と同様にして化粧シートを得た。参考例1と同様に評価した結果を表3に示す。
比較例6
参考例1において、表面保護層に用いる電離放射線硬化性樹脂をウレタンアクリレート(C)〔カプロラクトンジオール系ウレタンアクリレート(2官能、分子量:約1000、伸び率:50%)〕とした他は、参考例1と同様にして化粧シートを得た。参考例1と同様に評価した結果を表3に示す。
本発明の化粧シートは、鋼板曲げ性、耐汚染性、自己修復性、及び耐候性に優れるので外観上の美観を長期間保持することができ、化粧シート、特に外装用の化粧シートとして有用である。
また、本発明の化粧鋼板は、鋼板に本発明の化粧シートを貼付しているので、特に、鋼板曲げ性、耐汚染性、自己修復性、及び耐候性に優れた化粧鋼板として有用である。
[符号の説明]
10 化粧シート
11 基材
12 装飾層
13 プライマー層
14 表面保護層
16 接着剤層
17 透明ポリオレフィンフィルム層
18 基板(鋼板)
20 化粧板(化粧鋼板)

Claims (6)

  1. ポリオレフィン系樹脂からなる基材上に、少なくとも装飾層、プライマー層、及び表面保護層を積層してなる化粧シートであって、
    該表面保護層が下記の(1)〜(3)を満足する化粧シート。
    (1)以下に記載するウレタンアクリレート(A)及びウレタンアクリレート(B)が、ウレタンアクリレート(A)とウレタンアクリレート(B)の配合質量比を40:60〜50:50で配合されてなる電離放射線硬化性樹脂を架橋硬化したものであり、
    ・ウレタンアクリレート(A);(a)1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、(b)炭素数13〜25のアルキル基を有するアルコール、及び(c)ポリカプロラトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させることによって得られる、炭素数13〜25の長鎖アルキル基と電離放射線硬化性官能基を有し、かつポリカプロラクトン変性されてなるウレタンアクリレート。
    ・ウレタンアクリレート(B);1分子中に2個イソシアネート基を有する有機イソシアネートと、ヒドロキシ変性(メタ)アクリレート及びポリカプロラクトン含有多官能アルコールとを反応させることによって得られるウレタンアクリレート。
    (2)塗膜厚みが10〜25μm、及び
    (3)(1)の電離放射線硬化性樹脂による塗膜を以下の条件の引張試験により測定した引張り伸度が50〜90%である。
    引張試験;厚さ140μmのポリプロピレンフィルムに電離放射線硬化性樹脂を厚さ15μmとなるよう塗工・硬化させた後、温度25℃、引張速度50mm/分で引張試験を行い破断する際の伸度を測定する。
  2. 前記プライマー層がポリカーボネート系ウレタンアクリレート、又はポリエステル系ウレタンアクリレートからなる請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記表面保護層が耐候安定剤、帯電防止剤、及び反応性シリコーンの少なくともいずれかを含有する請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂からなる基材の裏面にプライマー層を有する請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. さらに、前記装飾層の上に接着剤層、透明ポリオレフィンフィルム層をこの順に積層してなる請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の化粧シートを鋼板に貼付した化粧鋼板。
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