JP4452026B2 - ビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物、紫外線吸収剤、これを含有した組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外線吸収剤として有用なベンゾトリアゾリルフェノールの新規化合物、及び該新規化合物からなる紫外線吸収剤を含有した組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂の耐候性を向上させたり、樹脂に紫外線遮蔽性を持たせる手段として、樹脂の組成物中に紫外線吸収剤を含有させることが行われている。
【0003】
近年このような紫外線吸収剤の中でも、紫外線吸収剤が低分子であるがために経時的にブリードアウトしたり、使用環境において雨や洗剤を含む水などにより溶出するという問題を解決するものとして、付加重合側鎖を有するベンゾトリアゾール型反応性紫外線吸収剤が開発されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記反応性紫外線吸収剤は1個の付加重合側鎖しか有していないため、硬化樹脂等の組成物に添加して用いた場合、硬化樹脂が本来持つ特徴を損なう場合が多い。特に紫外線や電子線による硬化樹脂に紫外線遮蔽能を導入する場合、多量の紫外線吸収剤の添加が必要であり、この化合物が重合反応における末端成分として作用してしまい、架橋密度が大きく低下するため、架橋硬化による十分な硬度、耐磨耗性を与えることが困難となる。また、成型体等の表面を保護することを目的とした被膜として適用しても、成型体等に対する被膜の接着性が低下してしまうという問題を生じてしまう。
【0005】
そこでこのような問題を解消することができるものとして、2個の付加重合側鎖を有するビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物からなる紫外線吸収剤が近年開発されている(特許文献2参照)。この化合物は、2個の付加重合側鎖を有するために、紫外線吸収剤として機能すると共に架橋剤としても機能し、紫外線や電子線による硬化樹脂の硬化を阻害することがない。
【0006】
しかしながら、このような化合物を架橋剤として使用した紫外線や電子線による硬化樹脂は柔軟性に劣り、このような硬化樹脂から形成される被膜の可撓性が損なわれてしまうという問題を有している。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−271203号公報(請求項1〜9、段落番号0014)
【特許文献2】
特開2000−119262号公報(請求項1〜7、段落番号0015)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、このような問題を解消する新規な化合物を提供することを目的とする。すなわち本発明は、特に該新規化合物を架橋剤として使用して硬化させた紫外線や電子線による硬化樹脂の柔軟性を改善し、このような硬化樹脂から形成される被膜の可撓性を改善することができる紫外線吸収剤として有用である新規なビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物を提供することを目的とする。また、該新規化合物からなる紫外線吸収剤を含有する組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物は、下記の一般式(1)で表される新規化合物である。
【0010】
【化2】
〔式中、Aはメチレン基、(CH3)2C基またはC2H5(CH3)C基を示す。R1及びR8は同一または異なって、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を示す。R2、R3、R5及びR6は同一または異なって炭素数1〜6の直鎖または分岐状アルキレン基を示す。R4及びR7はそれぞれ水素原子またはメチル基を示す。i、j及びkはそれぞれ0または1を示す。〕
【0011】
この化合物は、従来の反応性紫外線吸収剤と異なり、複数の付加重合性基、すなわち(メタ)アクリロイル基を有している。従って、紫外線や電子線による硬化樹脂等の組成物中に含有した場合、紫外線吸収剤自身が架橋剤として機能するため、架橋密度を低減することなく、硬度、耐摩耗性等を損なうことのない硬化樹脂に、優れた耐候性及び紫外線遮蔽性を付与することができる。
【0012】
さらにこの化合物は、分子内にカルバモイルオキシユニット(−OCONH−)を2つ有しているために、特に該化合物を架橋剤として使用した紫外線や電子線による硬化樹脂に柔軟性を与え、このような硬化樹脂によって形成される被膜に十分な可撓性を付与することができるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の新規ビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物、該新規化合物を紫外線吸収剤として含有する組成物の実施の形態について説明する。
【0014】
まず本発明の下記の一般式(1)で表される新規ビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物からなる紫外線吸収剤について説明する。
【0015】
【化3】
〔式中、Aはメチレン基、(CH3)2C基またはC2H5(CH3)C基を示す。R1及びR8は同一または異なって、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を示す。R2、R3、R5及びR6は同一または異なって炭素数1〜6の直鎖または分岐状アルキレン基を示す。R4及びR7はそれぞれ水素原子またはメチル基を示す。i、j及びkはそれぞれ0または1を示す。〕
【0016】
上記一般式(1)中に表される各基は、より具体的には次の通りである。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル基等を挙げることができる。
【0017】
アリール基としては、例えばフェニル、ナフチル基等を挙げることができ、芳香環上には炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子等の置換基が置換していても良い。
【0018】
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。
【0019】
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜6のアルキレン基としては、例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、エチリデン、プロピレン、プロピリデン、エチルエチレン、2−ブチリデン、1−メチルトリメチレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン等の直鎖状、または分岐状の基が挙げられる。
【0020】
本発明の紫外線吸収剤となるビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(1)の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができる。2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕メチル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕エチル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕エチル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕エチル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕プロピル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕プロピル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕プロピル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕プロピル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕プロピル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕プロピル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(4−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕ブチル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(4−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕ブチル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(4−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕ブチル)フェノール]、3,3−〔2,2’−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕エチル)フェニル]〕プロパン、2,2−〔2,2’−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−〔2−[2−(メタ)アクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕エチル)フェニル]〕ブタン等が挙げられる。
【0021】
本発明のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(1)は、例えば、一般式(2)で表されるビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物を、溶媒中で(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物と反応させることにより製造できる。
【0022】
【化4】
〔式中A、R1及びR8は上記に同じ。R9及びR10は炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のヒドロキシアルキル基を示す。iは0または1を示す。〕
【0023】
ここで使用されるビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(2)としては、2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(ヒドロキシメチル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシプロピル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシプロピル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシプロピル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール]、2,2’−メチレン−ビス[6−(5−ブロモ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(4−ヒドロキシブチル)フェノール]、3,3−〔2,2’−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]〕プロパン、2,2−〔2,2’−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−1−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]〕ブタン等が好ましく用いられる。
【0024】
またここで使用される(メタ)アクリロイルオキシ基を有するイソシアネート化合物としては、(メタ)アクリロイルオキシメチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネート等が好ましく用いられる。
【0025】
またここで使用される溶媒は、特に限定されるものではないが、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒などの非プロトン性の溶媒を適宜単独若しくは2種以上混合して使用することができる。また、前記溶媒の使用量は特に制限されるものではなく、撹拌の容易さ、反応温度、基質の溶解度に応じて選定できるが、通常一般式(2)で示されるビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物100重量部に対して100〜500重量部が好ましい。また反応温度は20〜150℃、好ましくは30〜100℃の範囲で溶媒の種類に応じて適時選択される。
【0026】
次に本発明のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(1)からなる紫外線吸収剤を含有する組成物について説明する。即ち、本発明の紫外線吸収剤は、他の化合物と混合することにより組成物を形成することができる。このような組成物の形態としては、固体状態、液体状態、液晶状態等のいずれの形態であっても構わない。
【0027】
ここで本発明の紫外線吸収剤と混合可能な化合物としては、特に限定されるものではなく、ポリマー(高重合体)、オリゴマー(低重合体)、及びモノマー(単量体)等の化合物を挙げることができる。特に本発明のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(1)は、紫外線吸収剤であると同時に1分子中に複数の付加重合性基を有しているので、組成分中において架橋剤としても機能することができる。従って、本発明の紫外線吸収剤を含有する組成物に混合する化合物としては、分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリル系化合物等の硬化樹脂が好ましく用いられる。このような(メタ)アクリル系化合物を含有する組成物は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射によって架橋する活性エネルギー線硬化樹脂組成物となるものである。
【0028】
ここで1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリル系化合物としては、公知のものが使用できるが、その中でも、1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート系オリゴマー、及び1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート系モノマー、から選ばれる少なくとも1種のものが好ましく用いられる。
【0029】
1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば、1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する、多官能ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、多官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、多官能エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、多官能エーテル(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
【0030】
1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、多価アルコール及び多塩基酸(無水物)から合成した化合物等を使用できる。また1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば、ポリイソシアネート、ポリオール及びヒドロキシ(メタ)アクリレートの反応によって得られる化合物等を使用できる。また1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば、ポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応によって得られる化合物等を使用できる。また1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能エーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば、ポリオールとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等を反応して得られるポリエーテルと、エチル(メタ)アクリレートとのエステル交換反応によって得られる化合物等を使用できる。上記各オリゴマーは、いずれも、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。特に上記オリゴマーの中でも、耐候性向上のために脂肪族または脂環式化合物から調製されたものを好ましく使用できる。
【0031】
1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、多官能及び単官能の(メタ)アクリレート系モノマーが挙げられる。このような多官能及び単官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート等を好ましく使用でき、それぞれ1種を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
【0032】
また本発明の紫外線吸収剤と混合可能な化合物としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶プラスチック等の公知の樹脂を、それぞれ1種を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
【0033】
本発明の組成物中における紫外線吸収剤の含有率は、組成物100重量%の内、0.1〜35重量%、好ましくは0.5〜25重量%の範囲で使用されることが望ましい。含有率が0.1重量%未満の場合は、組成物から得られる硬化樹脂等に高度の耐候性を付与することができず、また35重量%を越える場合は組成物から得られる硬化樹脂等の基本物性を損なう。また本発明の組成物には、本発明の紫外線吸収剤を2つ以上混合して使用することが可能である。
【0034】
また本発明の組成物中には、必要に応じて、例えば光安定剤、酸化防止剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、抗菌剤、充填剤、フィラー、顔料、染料、着色剤等の各種の添加剤を含有させることもできる。
【0035】
また本発明の組成物は、例えば溶融したり、適宜必要に応じて汎用の溶媒中に溶解又は分散したりして、液体状態にすることによって塗料組成物として調整することができる。このような塗料組成物は、適宜被塗体に塗布して塗膜を形成し、必要に応じて加えた溶媒を蒸発させた後、必要に応じて当該塗膜を硬化させる等により、被塗体表面に被膜化してなる組成物を形成することができる。この時、被膜の厚みは、被塗体の用途等に応じて広い範囲から適宜選択すればよいが、通常0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度とすればよい。即ち、本発明の組成物は、ビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(1)を紫外線吸収剤兼架橋剤として使用した硬化性塗料組成物として調整することができるものである。
【0036】
ここで塗布には公知の方法が採用でき、例えばロールコート、グラビアコート、フローコート、ディップコート、スピンコート、スプレーコート、スクリーン版による方法等が挙げられる。
【0037】
また硬化は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射することにより行われる。このような硬化性塗料組成物から形成された塗膜は、紫外線や電子線を照射すると硬化して被膜化する。ここで紫外線を用いる場合、硬化を速やかに行うために、硬化性塗料組成物中には光重合開始剤、重合促進剤、光開始助剤等を添加するのがよい。光重合開始剤としては、公知のものが使用でき、例えばアセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物等が挙げられる。光重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を併用して使用できる。光重合開始剤の使用量は特に制限されないが、通常オリゴマー及びモノマー成分の合計量100重量部に対して0.1〜30重量部程度、好ましくは1〜5重量部程度とすればよい。重合促進剤及び光開始助剤として、例えばトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が使用できる。重合促進剤及び光開始助剤の使用量は特に制限されないが、通常光重合開始剤100重量部に対して0.01〜10重量部程度、好ましくは0.5〜3重量部程度とすればよい。
【0038】
また適宜必要に応じて加えた溶媒を蒸発させるためには、熱風加熱、赤外線加熱、遠赤外線加熱等の公知の乾燥方法を適宜採用できる。
【0039】
またこのような塗料組成物には、その効果を損なわない範囲で、既に例示した添加剤の他、例えば界面活性剤、レベリング剤等の塗料としての塗布性を改善するための添加剤等を加えることができる。
【0040】
またこのような塗料組成物において、ビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(1)の使用割合は特に制限されず、得られる塗料組成物の使用目的、適用する被塗体の材質、被塗体の形状、被膜の硬度、厚み、長期耐候性、耐金属イオン性、透明性等の度合、及び紫外線吸収性化合物のモル吸光係数等の種々の条件を考慮して広い範囲から適宜選択すればよい。また、紫外線吸収剤として、本発明の紫外線吸収剤を複数種使用してもよいし、本発明のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(1)以外の他の紫外線吸収剤を併用してもよい。
【0041】
このように本発明によれば、ビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(1)が、従来の反応性紫外線吸収剤と異なり、複数の付加重合性基を有しているため、紫外線吸収剤兼架橋剤として機能し、架橋密度を低減することなく、硬度、耐摩耗性等を損なうことのない硬化樹脂に、優れた耐候性及び紫外線遮蔽性を付与することができる。
【0042】
また本発明のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(1)は、分子内にカルバモイルオキシユニット(−OCONH−)を2つ有しているために、特に該化合物を架橋剤として使用した組成物から得られる硬化樹脂に柔軟性を与え、このような硬化樹脂によって形成される被膜に十分な可撓性を付与することができるようになる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。尚、「部」「%」は特記しない限り、重量基準である。
【0044】
[実施例]
<本発明のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物の合成例>
窒素雰囲気下、メチルエチルケトン(MEK)100.0g中へ2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール](RUVA−100:大塚化学社)5.2g(10mmol)及び触媒としてジブチルチンジラウレート0.012gを混合した。この溶液へ2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(カレンズMOI:昭和電工社)6.0g(38.7mmol)とMEK50.0gの混合液を30分かけて滴下した。滴下終了後60℃で12時間加熱した。加熱終了後反応溶液を冷却、濾過し、濾液を乾固し、酢酸エチルで洗浄すると、目的とする2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−〔2−[2−メタアクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕エチル)フェノール]が白色固体として4.1g得られた(収率50%)。
【0045】
1H−NMR(DMSO−d6):δ=1.83(s、6H、CH3)、2.91(t、4H、CH2)、3.25(t、4H、CH2)、4.08(s、H、CH2)、4.19(t、4H、CH2)、4.19(t、4H、CH2)、5.60(s、2H、ビニル)、6.03(s、2H、ビニル)、7.28(s、2H、Ar−H)、7.55(m、4H、Ar−H)、8.01(s、2H、Ar−H)、8.08(m、4H、Ar−H)、11.05(s、2H、Ar−OH)
【0046】
13C−NMR(DMSO−d6):δ=17.78(CH3)、29.78(CH2)、34.13(CH2)、39.41、63.28(CH2)、64.38(CH2)、117.67(Ar),120.27(Ar)、125.28(Ar)、125.52(ビニル)、127.87(Ar)、129.57(Ar),129.72(Ar)、132.08(Ar)、135.84(ビニル)、142.76(Ar)、146.17(Ar)、156.25(カルボニル)、166.45(カルボニル)
【0047】
赤外吸収スペクトル(KBr):1698cm-1(ウレタン C=O)、1718cm-1(エステル C=O)
【0048】
以上のこれらから、2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−〔2−[2−メタアクリロイルオキシ]エチルカルバモイルオキシ〕エチル)フェノール]の構造決定を行った。
【0049】
<上記化合物を含有する組成物からなる被膜の作製>
厚み188μmのポリエステルフィルムの片面に、下記の組成からなる硬化性塗料組成物を塗布、乾燥し、高圧水銀灯で紫外線を1〜2秒照射することにより、厚み5μmの被膜を形成し、本発明のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(1)を紫外線吸収剤兼架橋剤として含有する組成物からなる被膜が表面に形成されたフィルムを作製した。
【0050】
<硬化性塗料組成物>
・合成例で得たビスベンゾトリアゾリルフェノール
化合物 3部
・ポリウレタンアクリレート系オリゴマー
(NKオリゴマーU-4H:新中村化学工業社) 40部
・ポリエステルアクリレート系オリゴマー
(アロニックスM8530:東亜合成社) 40部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 20部
・光重合開始剤 3部
(イルガキュア184:チバ・スペシャルティ・ケミカル社)
・メチルエチルケトン 60部
【0051】
[比較例1]
実施例における硬化性塗料組成物中の「合成例で得たビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物」を「2−(2’−ヒドロキシ−5’−〔2−[2−メタクリロイルオキシ]エチル〕フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA―93:大塚化学社)」に置き換えた以外は、実施例と同様にして、2H−ビスベンゾトリアゾール化合物を紫外線吸収剤として含有する組成物からなる被膜が表面に形成されたフィルムを作製した。
【0052】
[比較例2]
実施例における硬化性塗料組成物中の「合成例で得たビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物」を組成から抜いた以外は、実施例と同様にして、紫外線吸収剤を含有していない組成物からなる被膜が表面に形成されたフィルムを作製した。
【0053】
[比較例3]
実施例における硬化性塗料組成物中の「合成例で得たビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物」を、「2個の付加重合側鎖を有し分子内にカルバモイルオキシユニット(−OCONH−)を有さないビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物として下記に示す比較例3の合成例のもの」に置き換えた以外は、実施例と同様にして、比較例3のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物を紫外線吸収剤兼架橋剤として含有する組成物からなる被膜が表面に形成されたフィルムを作製した。
【0054】
<比較例3のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物の合成例>
1.前駆体の合成
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA−93:大塚化学社)32.3g(0.1mol)、80% パラホルムアルデヒド5.2g及びジエチルアミン11.0g(0.15mol) をn−ブタノール25mlに溶解し、105℃で24時間加熱還流した。反応終了後、減圧下で溶媒及び残存原材料を回収すると目的物である2−(3’−N,N−ジエチルアミノメチル−2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール40.0gが褐色オイルとして得られた。(収率98.0%)
【0055】
1H−NMR(CDCl3):δ=1.09(t,6H,CH3),1.91(s,3H,CH3),2.60(q,4H,N−CH2),2.94(t,2H,CH2),3.86(s,2H,Ar−CH2−N),4.35(t,2H,CH2−O),5.54(s,2H,ビニル),6.08(s,2H,ビニル),7.03(d,1H,Ar−H),7.40(m,2H,Ar−H),7.65(s,1H,Ar−H),7.96(m,2H,Ar−H)
【0056】
2.UV吸収オリゴマーの合成
上記で合成した前駆体である粗2−(3’−N,N−ジエチルアミノメチル−2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール12.6g(30.9mmol)、及び2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール10.0g(30.9mmol)をキシレン64mlに溶解し、28%ナトリウムメチラート・メタノール溶液2.0mlを加え窒素雰囲気下16時間還流させた。反応終了後、反応液を室温まで冷却した。このとき生成した黄色結晶をろ過により回収すると2,2’−メチレン−ビス−[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェノール]14.6g(収率70.7%、純度98.6%)が得られた。
【0057】
1H−NMR(CDCl3):δ=1.86(s,6H,CH3),2.99(t,4H,CH2),4.27(s,2H,CH2),4.37(t,4H,CH2),5.45(s,2H,ビニル),6.05(s,2H,ビニル),7.23(s,2H,Ar−H),7.49(m,4H,Ar−H),7.92(m,4H,Ar−H),8.21(s,2H,Ar−H),11.60(s,2H,Ar−OH)
【0058】
赤外吸収スペクトル(KBr):1718cm-1(エステル C=O)
【0059】
以上のこれらから、2,2’−メチレン−ビス−[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェノール]の構造決定を行った。
【0060】
以上のようにして実施例及び比較例によって得られた、表面に被膜が形成されたフィルムについて、以下のようにして評価を行った。
【0061】
[被膜の紫外線遮蔽性]
プラスチックシートの一方の表面に紫外線硬化型インキ(FDOR:成東インキ社)を用いて画像を印刷した表示板を用意し、実施例及び比較例で作製したフィルムの被膜を形成した面とは反対の面と、その表示板の印刷面とを接着剤を介して貼り合わせた。
【0062】
そして、200時間の照射が屋外における紫外線照射量1年分に相当する促進能を有する耐光性促進試験機(紫外線フェードメーターFAL-5:スガ試験機社)を用いて、被膜面側から、600時間の紫外線照射を行った後、表示板の印刷画像の変色・退色について目視評価し、殆ど変色・退色していなかったものを「○」、変色・退色が激しかったものを「×」として評価した。評価結果を表1に示す。
【0063】
[被膜のハードコート性]
被膜の表面について150gの荷重においてスチールウール#0000で10往復擦った後に、その表面の傷の有無を目視評価し、殆ど傷がつかなかったものを「○」、目視でかなり確認できる傷がついたものを「△」、傷だらけになったものを「×」として評価した。尚、評価は耐光性促進試験を行う前後で行った。評価結果を表1に示す。
【0064】
[ベースフィルムに対する被膜の接着性]
ベースフィルムに対する被膜の接着性について、碁盤目テープ法(JIS-K5400)により評価した。碁盤目部分の面積が30%以上剥離したものを「×」、剥離面積が20%以上、30%未満のものを「△」、剥離面積が20%未満のものを「○」とした。尚、評価は耐光性促進試験を行う前後で行った。評価結果を表1に示す。
【0065】
[被膜の可撓性]
直径が約1cmの鉄棒に、実施例及び比較例で得られたフィルムを、被膜が外側になるように、それぞれ折り返して巻き付け、その巻き付けた部分の被膜にクラックが生じるか否かを目視評価した。評価は、目視で確認できるクラックが入ったものを「×」、目視では確認できなかったが50倍の光学顕微鏡で目視観察するとクラックが見えるものを「△」、50倍の光学顕微鏡でもクラックが観察できなかったものを「○」として評価した。評価結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1の結果からも明らかなように、実施例で得られた被膜は、紫外線遮蔽性、ハードコート性、ベースフィルムに対する接着性、可撓性の全てに優れるものであった。特に実施例で得られた被膜は、本発明のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(1)が紫外線吸収剤兼架橋剤として機能しているため、比較例1のようにハードコート性が損なわれるものではなかった。また、実施例で得られた被膜は、被膜中に含まれる紫外線吸収剤であるビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(1)がカルバモイルオキシユニットを構成成分として含んでいるため、可撓性に優れるものであった。
【0068】
一方、比較例1で得られた被膜は、被膜中に含まれる紫外線吸収剤兼架橋剤である2H−ベンゾトリアゾール化合物が1個の付加重合性基しかもっていないために、硬化性塗料組成物の硬化反応を阻害してしまっていると考えられ、ハードコート性、ベースフィルムとの接着性、及び被膜の可撓性を阻害してしまっているものであった。
【0069】
また、比較例2で得られた被膜は、被膜中に紫外線吸収剤が含まれていないため、被膜に紫外線遮蔽性がないと共に、ハードコート性、ベースフィルムに対する接着性が耐光性促進試験後に極端に低下するものであった。
【0070】
また、比較例3で得られた被膜は、被膜中に含まれる紫外線吸収剤兼架橋剤である2,2’−メチレン−ビス−[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェノール]が、2個の付加重合側鎖を有し分子内にカルバモイルオキシユニット(−OCONH−)を有さないビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物であったため、ハードコート性が損なわれるものではなかったものの、実施例と比べて接着性及び被膜の可撓性に劣るものとなった。
【0071】
【発明の効果】
本発明の新規なビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物(1)からなる紫外線吸収剤によれば、分子内に反応性の高い付加重合性基を2つ有していると共に、カルバモイルオキシユニットを2つ有しているために、特にこの化合物を架橋剤として使用した硬化樹脂に、優れた紫外線吸収性を発現させると共に、柔軟性をも与えることができる。また、このような化合物からなる紫外線吸収性剤を含有する組成物によって形成された被膜に優れた可撓性を付与することができる。
Claims (4)
- 請求項1に記載のビスベンゾトリアゾリルフェノール化合物からなることを特徴とする紫外線吸収剤。
- 請求項2に記載の紫外線吸収剤を含有することを特徴とする硬化樹脂用組成物。
- 前記組成物が塗料組成物として調整されてなるものであることを特徴とする請求項3記載の組成物。
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