JP5786276B2 - コーティング剤及びこれを用いたシート - Google Patents

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本発明は、コーティング剤及びこれを用いたシートに関する。
一般住居の玄関ドアや外装材、公共施設の床材や外壁などの内外装、あるいは建造物や屋外に設置される構造物は、空気中の埃や粉塵、油分といった汚染物が付着しやすく、該汚染物が付着した状態で風雨に晒されると、汚染物が雨筋に沿って線状に残ってしまうため、その外観が著しく低下するという問題がある。そこで、これらの内外装材や建造物の表面に用いられるシートには、自浄性能(防汚性)が求められている。自浄性能(防汚性)の向上には、通常シリコーンやフッ素の配合のほか、シリカなどの添加剤を用いることで保護層の親水性を向上させるという手法がとられる。しかし、十分な自浄性能(防汚性)を確保するには、多量の添加剤を用いる必要があること、そのため該保護層から添加剤が脱落したり、擦過傷により親水性が低下するといった問題があった。また、特許文献1には、添加剤としてオルガノシリケート化合物を採用することが記載されている。しかし、この場合も、上記したような多量の添加剤を要すること、添加剤の脱落、擦過傷による親水性の低下などの問題を解決するには至っていない。
ところで、上記したような内外装材や建造物は、日々直射日光や風雨に晒されるため、これらの内外装材や建造物の表面保護などに用いられるシートには、極めて厳しい耐候性が求められている。耐候性を向上させるため、種々のシートが検討されている(特許文献2〜4参照)。
特許文献2〜4は、いずれも保護層に光安定剤や紫外線吸収剤などの添加剤を含有させることで、耐候性の向上を図っている。しかし、該保護層中の添加剤の含有量を向上させた場合、保護層を形成するバインダー樹脂との相溶性などに起因して、これらの添加剤がブリードアウトし、ベタ付きの原因となっていた。一方、ブリードアウトしない程度の添加剤の含有量では、これらの添加剤の十分な性能を得られず、耐候性の点で満足のいくものが得られないといった問題もあった。
さらに、上記のような内外装材や構造物に用いられるシートの耐候性や自浄性能が着目され、例えば窓ガラスの保護シートやビニールハウスなどといった透明性を必要とするような用途への適用が要請されるようになっている。光安定剤や紫外線吸収剤を保護層に添加した場合、透明性の低下や、黄変といった変色を招くことが一般に知られており、透明性が求められる用途のシートの製造においては、より一層の厳しい課題が課せられる状況にある。
特許第2869443号明細書 特開2007−245442号公報 特開2009―66966号公報 特開2009−66967号公報
本発明は、このような課題に対して、シートに優れた自浄性能とその持続性、耐候性、及び透明性を付与するコーティング剤組成物、該組成物により形成した保護層を有するシートを提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、電離放射線硬化性樹脂と特定のシリケート化合物とを含むコーティング剤組成物が上記課題を解決し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
1.電離放射線硬化性樹脂、及び反応性官能基Aを有するシリケート化合物を含むコーティング剤組成物。
2.反応性官能基Aが、エチレン性二重結合を有する官能基である上記1に記載のコーティング剤組成物。
3.反応性官能基Aが、(メタ)アクリロイル基である上記2に記載のコーティング剤組成物。
4.シリケート化合物の含有量が、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜15質量部である上記1〜3のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
5.電離放射線硬化性樹脂が、カプロラクトン系ウレタンアクリレートである上記1〜4のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
6.カプロラクトン系ウレタンアクリレートの数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の数平均分子量)が、1000〜10000である上記5に記載のコーティング剤組成物。
7.上記1〜6のいずれかに記載のコーティング剤組成物を架橋硬化してなる表面保護層を有するシート。
8.少なくとも基材と表面保護層とを有し、該表面保護層が最表面に設けられるものである上記7に記載のシート。
9.基材が、ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体及びポリエーテルエステルアミドから選ばれる少なくとも一種の帯電防止剤を含むものである上記8に記載のシート。
本発明によれば、シートに優れた自浄性能とその持続性、耐候性、及び透明性を付与するコーティング剤組成物、ならびに優れた自浄性能、耐候性とその持続性、及び透明性を有するシートを得ることができる。
本発明のシートの断面を示す模式図である。 本発明のシートの断面の別の態様を示す模式図である。 本発明のシートの断面の別の態様を示す模式図である。
[コーティング剤]
本発明のコーティング剤は、電離放射線硬化性樹脂、及び反応性官能基Aを有するシリケート化合物を含むコーティング剤組成物である。以下、各成分について説明する。
《電離放射線硬化性樹脂》
本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂は、従来電離放射線硬化性の樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができるが、良好な硬化特性を得る観点から、ブリードアウトしにくく、固形分基準として95〜100%程度としても塗工性を有し、かつ硬化する際に硬化収縮を生じにくいものが好ましい。そのような電離放射線硬化性樹脂の代表例を以下に記載する。また、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート単量体が好適であり、なかでも分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有するような多官能性(メタ)アクリレートが好ましく、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いて用いればよい。官能基数としては、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、3〜4がさらに好ましい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を調整するなどの目的で、メチル(メタ)アクリレートなどの単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系やポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートやカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーなどが好ましく挙げられ、ウレタン(メタ)アクリレート系がより好ましい。これらのオリゴマーのうち、多官能性の重合性オリゴマーが好ましく、官能基数としては、2〜16が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテルなどの分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。これらの重合性オリゴマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されない。
(カプロラクトン系ウレタンアクリレート)
上記した重合性オリゴマーのうち、特にカプロラクトン系ウレタンアクリレートが、後述する反応性官能基Aを有するシリケート化合物との組合せにより、優れた自浄性能のほか、耐候性とその持続性、及び透明性も得られるので、好ましい。カプロラクトン系ウレタンアクリレートは、通常カプロラクトン系ポリオールと有機イソシアネートとヒドロキシアクリレートとの反応により得ることができるものである。
ここで、カプロラクトン系ポリオールとしては、市販されるものを使用することができ、好ましくは2個の水酸基を有し、数平均分子量が好ましくは500〜3000、より好ましくは750〜2000のものが挙げられる。また、カプロラクトン系以外のポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1.4−ブタンジオール、1.6−ヘキサンジオールなどのポリオールを1種又は複数種を任意の割合で混合して使用することもできる。
有機ポリイソシアネートとしては、2個のイソシアネート基を有するものが好ましく、黄変を抑制する観点から、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4.4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが好ましく挙げられる。また、ヒドロキシアクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、カプロラクトン変性−2−ヒドロキシエチルアクリレートなどが好ましく挙げられる。
カプロラクトン系ウレタンアクリレートは、これらのポリカプロラクトン系ポリオールと有機ポリイソシアネートとヒドロキシアクリレートとの反応で合成することができる。合成法としては、ポリカプロラクトン系ポリオールと有機ポリイソシアネートとを反応させて、両末端に−NCO基を含有するポリウレタンプレポリマーを生成させた後に、ヒドロキシアクリレートと反応させる方法が好ましい。反応の条件などは常法に従えばよい。
本発明で好ましく用いられるカプロラクトン系ウレタンアクリレートは、その数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の数平均分子量)が、1000〜10000であることが好ましく、2000〜10000がより好ましい。すなわち、カプロラクトン系ウレタンアクリレートはオリゴマーであることが好ましい。数平均分子量が上記範囲内(オリゴマー)であれば、加工性に優れ、コーティング剤組成物が適度なチキソ性が得られるので、表面保護層の形成が容易となる。
《反応性官能基Aを有するシリケート化合物》
本発明において、シリケート化合物は、本発明のコーティング剤組成物の被塗物に自浄性を付与するために用いられるものである。本発明で用いられるシリケート化合物は、カプロラクトン系ウレタンアクリレートと反応性を有する反応性官能基Aを有するシリケート化合物であれば特に制限はない。反応性官能基Bとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
反応性官能基Aを有するシリケート化合物は、好ましくは下記一般式(1)で示される化合物である。
式(1)中、R1〜R3は、水素原子、又は炭素数1〜10の有機基を示し、複数のR1及びR2は、同じでも異なっていてもよい。また、R4は反応性官能基Bを含む官能基である。
炭素数1〜10の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが好ましく挙げられる。これらの基は置換されていても置換されていなくてもよく、また、アルキル基及びアルケニル基は直鎖状であっても、枝分かれ状であってもよい。これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
また、n1は1〜30が好ましく、1〜10がより好ましい。
より具体的には、下記一般式(2)で示される化合物が好ましい。
式(2)中、R5〜R7は各々R1〜R3と同じである。R11はR1と同様であり、特に好ましくは水素原子又はメチル基である。また、R8及びR10は単結合又は2価の有機基を示す。また、R9は、単結合、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、チオエーテル結合(−S−)アミド結合(−CONH−)、イミノ結合(−NH−)、カーボネート結合(−OCOO−)、及びこれらが複数個連結した基を示す。2価の有機基としては、アルカンジイル基、アルケンジイル基、アリーレン基、アリーレンアルカンジイル基などが好ましく挙げられる。これらの基は置換されていても置換されていなくてもよく、また、アルカンジイル基及びアルケンジイル基は直鎖状であっても、枝分かれ状であってもよい。これらのうち、炭素数1〜4のアルカンジイル基がより好ましい。R9としては、エステル結合(−COO−)がより好ましい。
また、n2は1〜30が好ましく、1〜10がより好ましい。
反応性官能基Aを有するシリケート化合物の含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、1〜15質量部が好ましく、3〜15質量部がより好ましく、5〜15質量部がさらに好ましい。シリケート化合物の含有量が上記範囲内であれば、カプロラクトン系ウレタンアクリレートの良好な架橋状態が得られる。また、本発明のコーティング剤組成物を用いた表面保護層は、適度な親水性を有することになるため、水の濡れ性が高まり、優れた自浄性を有することができる。すなわち、内外装材や建造物は、風雨に晒されるが、表面保護層が親水性を有することで雨水が該表面保護層上に薄膜を形成しやすくなるため、汚染物自体の付着が抑制され、あるいは付着した汚染物が除去されやすくなる。
《アルキルシリケート化合物》
本発明のコーティング剤は、アルキルシリケート化合物を含むことが好ましい。本発明におけるアルキルシリケート化合物は、下記一般式(3)で示される化合物である。
式(3)中、R11〜R14は、水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状あるいは枝分かれ状のアルキル基を示し、複数のR11及びR12は、同じでも異なっていてもよい。また、全てのR11〜R14が同時に水素原子となることはない。R11〜R14としては、自浄性とその持続性を向上させる観点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素数1及び2のアルキル基がより好ましい。
また、n3は自浄性とその持続性を向上させる観点から、1〜30が好ましく、5〜15がより好ましい。
アルキルシリケート化合物の含有量は、自浄性とその持続性を向上させる観点から、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、1〜15質量部が好ましく、3〜15質量部がより好ましく、5〜15質量部がさらに好ましい。
《ヒンダードアミン系光安定剤》
本発明のコーティング剤は、ヒンダードアミン系光安定剤を含むことが好ましい。本発明において、光安定剤はヒンダードアミン系であれば制限はないが、反応性官能基Bを有するヒンダードアミン系光安定剤であることが好ましい。
反応性官能基Bは、電離放射線硬化性樹脂と反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
このような光安定剤としては、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)などが好ましく挙げられる。
反応性官能基Bを有するヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましく、5〜10質量部がさらに好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が上記範囲内であれば、該光安定剤がブリードアウトすることなく、また十分な光安定性が得られるので、優れた耐候性が得られる。
《トリアジン系紫外線吸収剤》
本発明で好ましく用いられるトリアジン系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。このような紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2'−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
トリアジン系紫外線吸収剤の含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、1〜10質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましく、5〜10質量部がさらに好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤の含有量が上記範囲内であれば、該吸収剤がブリードアウトすることなく、また十分な紫外線吸収能が得られるので、優れた耐候性が得られる。これまで一般的には、バインダー樹脂100質量部に対して紫外線吸収剤を1質量部以上加えると、該吸収剤がブリードアウトする場合があるため、より優れた紫外線吸収能を得ようとしても得られなかった。しかし、本発明においてトリアジン系紫外線吸収剤を用いる場合には、該紫外線吸収剤と電離放射線硬化性樹脂及び所定の光安定剤との組合せにより、1質量部以上という多量の紫外線吸収剤を添加しても、該吸収剤がブリードアウトすることなく、優れた耐候性を得ることが可能となった。
《各種添加剤》
本発明のコーティング剤は、その性能を阻害しない範囲で各種添加剤を含有することができる。各種添加剤としては、例えば重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
[シート]
本発明のシートは、本発明のコーティング剤組成物を架橋硬化してなる表面保護層を有する態様を有すれば特に制限はない。本発明のシートは、該表面保護層を単独でシートとすることも可能であるが、基材上にコーティング剤組成物を架橋硬化してなる表面保護層を形成することが好ましい。本発明のシートの好ましい用途としては、透明性を必要とする用途、化粧シートへの用途などが挙げられ、以下用途別に本発明のシートを説明する。
《透明性を必要とする用途》
まず、本発明のシートが窓ガラスの保護シートやビニールハウスなどといった透明性を必要とする用途に用いられる場合について説明する。
〈基材〉
透明性を必要とする用途に用いられる本発明のシート(以下、シートIと称することがある。)において、用いられる基材としては、プラスチックフィルム、プラスチックシートが好ましく、ポリオレフィン樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂などからなるものが好ましく挙げられる。
また本発明のシートに自浄性を付与する観点から、基材は帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止剤としては、ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミド、ポリエーテルアミドイミドなどのポリエーテル構造を含む高分子型帯電防止剤が好ましく挙げられ、これらを単独で又は複数種を組み合わせて使用することができる。なかでも、ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体及びポリエーテルエステルアミドがより好ましい。
ここで、ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体としては、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどによるポリエーテル部分とポリエチレンやポリプロピレンなどによるポリオレフィン部分が交互に結合したブロック共重合体の他、ランダム共重合体、グラフト共重合体が挙げられるが、自浄性を付与する観点からはブロック共重合体であることが好ましい。これらの帯電防止剤は市販品を使用することもでき、例えばポリエーテル/ポリオレフィン共重合体の帯電防止剤としては、「ペレスタット300」、「ペレスタット230」「ペレスタット303」などの市販品が、ポリエーテルエステルアミドの帯電防止剤としては「ペレスタット6321」などの市販品が挙げられる。
基材中の帯電防止剤の含有量は、基材に用いられる樹脂100質量部に対して、5〜30質量部程度であり、好ましくは10〜20質量部である。帯電防止剤の含有量が上記範囲であれば、本発明のシートに対して効率的に優れた自浄性を付与することができる。
これらの基材は、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面にコロナ放電処理、クロム酸化処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などの酸化法や、サンドブラスト法、溶剤処理法などの凹凸化法といった、物理的または化学的表面処理を施すことができる。
該基材は、基材と表面保護層との層間密着性や、各種の被着材との接着性の強化などのためのプライマー層や、裏面プライマー層を形成するなどの処理を施してもよい。プライマー層の形成に用いられる材料としては特に限定されず、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。なお、裏面プライマー層7に用いられる材料は被着材によって、適宜選択される。
また、透明性を阻害しない範囲内であれば、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
基材の厚さについては特に制限はないが、耐久性を確保し、かつ汎用性を考慮すると、通常20〜200μm程度、好ましくは30〜150μmの範囲である。
〈表面保護層〉
表面保護層は、本発明のコーティング剤組成物を架橋硬化してなる層である。より具体的には、上記した基材上にコーティング剤組成物を塗工し、電離放射線などを照射することにより架橋硬化させて形成する層である。
コーティング組成物の塗工は、硬化後の厚さが通常1〜20μm程度となるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより行う。また、優れた耐候性とその持続性、さらには透明性と自浄性能とを得る観点から、好ましくは2〜20μmである。
本発明のコーティング剤組成物の塗工により形成した未硬化樹脂層は、電子線、紫外線などの電離放射線を照射して架橋硬化することで、表面保護層となる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
照射線量は、カプロラクトン系ウレタンアクリレートの架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
また、表面保護層は、凹部を有していてもよい。表面保護層に凹部を施す方法については特に制限はなく、例えばエンボス加工により施される。エンボス加工は、公知の枚葉又は輪転式のエンボス機を使用する通常の方法により行えばよい。
このようにして得られたシートIは、優れた耐候性とその持続性、透明性、コーティング剤に上記シリケート化合物を含有する場合には、さらに優れた自浄性能を有するものとなる。そして、窓ガラスの保護シートやビニールハウスなどといった透明性を必要とする用途に好適に用いられる。
《化粧シート》
本発明のシートは、化粧シートとしても好適に用いられる。例えば、上記した透明性を必要とする用途に用いられるシートI、あるいはこれに絵柄を施したシートIも化粧シートとして採用することができるが、以下、化粧シートとしてより好ましい態様について図1〜3を用いて説明する。
図1及び2は、化粧シートとして用いられる本発明のシート(以下、シートIIと称することがある。)の好ましい態様の断面を示す模式図である。図1に示す態様は、基材2上に柄印刷層3、表面保護層6を順に積層されたものであり、図2に示す態様は、基材2上に柄印刷層3、透明樹脂層4、プライマー層5及び本発明のコーティング剤組成物を架橋硬化してなる表面保護層6がこの順に積層されたものである。また、図2においては、基材2の裏面に裏面プライマー層7が設けられ、また柄印刷層3と透明樹脂層4の間に接着剤層8が設けられている。さらには、透明樹脂層4はプライマー層側表面に凹部を有し、該凹部に対してワイピングが施された着色樹脂層9が設けられている。以下、各層について詳細に説明する。
〈基材2〉
本発明で用いられる基材2は、通常化粧シート用として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、各種繊維の織布や不織布、プラスチックフィルム、プラスチックシート、金属箔、金属シート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材などを用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体など、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。これらのうち、加工性などを考慮すると、プラスチックフィルム、プラスチックシートが好ましく、なかでもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーなどのポリオレフィン系樹脂の基材が好ましく、加工性を考慮するとポリプロピレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂及びポリプロピレン結晶部を有し、かつプロピレン以外の炭素素2〜20のα−オレフィン共重合体なども好ましい。その他、エチレン、ブテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、又はオクテン−1の個モノマーを15モル%以上含むプロピレン−α−オレフィン共重合体なども好ましく挙げられる。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントにアイソタクチックポリプロピレン、ソフトセグメントにアタクチックポリプロピレンを質量比80:20で混合したものが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂の基材は、例えばカレンダー法、インフレーション法、Tダイ押出法などにより得ることができる。
基材2の厚さについては特に制限はないが、加工性、柔軟性、強度などの観点から、50〜150μmの範囲であることが好ましく、50〜120μmの範囲であることがさらに好ましい。
また、基材2は上記シートIの基材と同様に、物理的または化学的表面処理を施したり、プライマー層を設けることもできる。さらに、顔料や染料を用いて着色することもできる。基材シートの着色態様には、透明着色と不透明着床(隠蔽着色)とがあり、これらはその用途によって任意で選択しうる。
〈柄印刷層3〉
図1及び2に示される柄印刷層3は、本発明の化粧シートに装飾性を付与するものであり、好ましくは絵柄層3a及び着色層3bからなる。なお、後に詳述するように、基材2の色彩などをそのまま利用し、隠蔽する必要がないような場合には、絵柄層3aのみを施してもよいし、一方、柄を必要としない場合には、着色層3bのみを施してもよい。
柄印刷層の形成は、通常はインキを用い、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インキジェットプリントなどの公知の印刷法などで形成できる。
絵柄層3aは基材2に装飾性を与えるものであり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様などがあり、これらを複合した寄木、パッチワークなどの模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷などによっても形成される。
絵柄層3aに用いる絵柄インキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。
バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などの公知のバインダーの中から、要求される物性、印刷適性などに応じて適宜選択すれば良い。例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロース系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル−(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体などのアクリル樹脂のほか、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などの単体又はこれらを含む混合物を用いることができる。
これらの樹脂は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが用いられる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチルなどのエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの塩素系有機溶剤;水などの無機溶剤などが挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、1種単独又は2種以上を混合して使用できる。
さらに、絵柄インキには架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、イソシアネート基含有化合物、エポキシ基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含有化合物、シラノール基含有化合物などが挙げられるが、イソシアネート基含有化合物が好ましい。
着色層3bは、通常基材2を全面にわたって被覆する一様均一な層であり、本発明の化粧シートの意匠性を高める目的で所望により設けられる層である。隠蔽層、あるいは全面ベタ層とも称されるものであって、基材2の表面に意図した色彩を与えるものである。通常不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。また、基材2が白色であることを活かす場合や、基材2自身が適切に着色されている場合には着色層3bの形成を行う必要はない。
着色層3bに用いるインキとしては、絵柄層3aで用いたのと同様のものを用いることができる。
〈透明樹脂層4〉
図2に示される透明樹脂層4は、本発明のシートにおいて、柄印刷層3を保護し、かつ、本発明のシートに耐候性を付与するものである。本発明の透明樹脂層4は、透明性のものであれば限定されず、無色透明、着色透明、及び半透明のいずれも含む。
透明樹脂層4としては、例えば熱可塑性樹脂により形成されたものを好適に使用することができる。具体的には、軟質、半硬質又は硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどを挙げることができる。本発明では、特に透明樹脂層4として、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
透明樹脂層4は、必要に応じて着色されていてもよい。この場合は、上記のような熱可塑性樹脂に対して着色剤(顔料又は染料)を添加して着色することができる。着色剤としては、公知又は市販の顔料又は染料を適宜使用することができる。これらは、1種又は2種以上を選ぶことができ、また、着色剤の添加量も、所望の色合いなどに応じて適宜設定すればよい。
さらに、透明樹脂層4には、耐候性改善剤として紫外線吸収剤(UVA)や光安定剤を含有させることが好ましい。紫外線吸収剤(UVA)は、有害な紫外線を吸収し、本発明の化粧シートの長期耐候性、安定性を向上させる。また、光安定剤(HALS)は、自身は紫外線をほとんど吸収しないが、紫外線エネルギーによって生じる有害なフリーラジカルを効率よく捕捉することにより安定化するものである。
紫外線吸収剤としては、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、サリチレート系、アクリロニトリル系などが好ましく挙げることができる。なかでも、紫外線吸収能が高く、また紫外線などの高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系がより好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤としては、上記したコーティング剤に用いられるものが好ましく挙げられる。
光安定剤としては、上記したコーティング剤に含まれるようなヒンダードアミン系(HALS)などが好ましく挙げられる。
また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
透明樹脂層4における紫外線吸収剤の含有量は、透明樹脂層4を形成する樹脂100質量部に対して、通常0.1〜1質量部の範囲であり、好ましくは0.3〜0.8質量部の範囲である。0.1質量部以上であると本発明の化粧シートに十分な耐候性を付与することができ、1質量部以下であると、ブリードアウトすることがない。
透明樹脂層4における光安定剤の含有量は、透明樹脂層4を形成する樹脂100質量部に対して、通常0.05〜0.8質量部の範囲であり、好ましくは0.1〜0.5質量部の範囲である。0.05質量部以上であると本発明の化粧シートに十分な耐候性を付与することができ、0.8質量部以下であると、ブリードアウトすることがない。
また、透明樹脂層4には、必要に応じて充填剤、艶消し剤(マット剤)、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、軟質成分(例えばゴム)などの各種の添加剤が含まれていてもよい。
透明樹脂層4の形成方法については特に制限されず、種々の方法を用いることができる。例えば予め形成されたシート又はフィルムを隣接する層に積層する方法、透明樹脂層4を形成し得る樹脂組成物を溶融押出することにより隣接する層上に塗工する方法、隣接する層と一緒にラミネートする方法などのいずれも採用することができる。
本発明では、溶融押出により透明樹脂層4を形成することが好ましく、透明樹脂層4は、ポリオレフィン系樹脂を溶融押出によって塗工することが望ましい。具体的には、柄印刷層3上に予め接着剤層8を形成し、当該接着剤層8上にポリプロピレン系熱可塑性エラストマーを溶融押出して塗工することにより透明樹脂層4を好適に形成することができる。溶融押出の方法は、例えばTダイなどを用いる公知の方法に従って実施すればよい。
なお、透明樹脂層4の厚みは、最終製品の用途、使用方法などにより適宜設定できるが、一般的には20〜250μm、特に50〜200μm程度とすることが好ましい。
(透明樹脂層凹部)
透明樹脂層4は、図1に示すように凹部を有していてもよい。透明樹脂層に凹部を施す方法については特に制限はなく、例えばエンボス加工により施される。エンボス加工は、公知の枚葉又は輪転式のエンボス機を使用する通常の方法のほか、柄印刷層3上に透明樹脂層4を積層する工程で同時にエンボス加工を行う方法(いわゆるダブリングエンボス法)を用いて行ってもよい。
なお、透明樹脂層4の表面(おもて面)及び/又は裏面には、隣接する層との接着性を高めるために、必要に応じてコロナ放電処理を行うこともできる。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従えばよい。
〈着色樹脂層9〉
上記の透明樹脂層4に設けられた凹部には、ワイピング加工を施して着色樹脂層9を形成することが意匠性及び耐候性を向上させる点で好ましい。ワイピング加工とは、エンボス加工で設けた凹部にドクターブレードで表面をかきながら着色インキ組成物を充填する加工をいう。
着色インキ組成物は、好ましくは公知の着色剤(染料又は顔料)を、バインダー樹脂である、ポリカーボネート系ウレタンアクリレート、あるいはポリカーボネート系ウレタンアクリレートとアクリルポリオールからなる樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる。着色インキ組成物に含まれる着色剤、溶媒などは、柄印刷層で上述した着色剤、溶媒などと同様のものが使用できる。バインダー樹脂としては、特開2008−105372号公報(段落0042〜0050)に記載される着色インキ組成物が好ましく挙げられる。
この場合、ポリカーボネート系ウレタンアクリレート中のアクリル成分とウレタン成分との質量比は、特に制限されないが、耐候性、耐溶剤性の点で、ウレタン成分:アクリル成分の質量比を80:20〜20:80の範囲とすることが好ましく、70:30〜30:70の範囲とすることがより好ましい。なお、アクリル及びウレタン成分の含有量が上記の範囲内であると過度に硬い塗膜となることがなく、十分な加工適性が得られ、折り曲げ加工時に樹脂表面上に白い筋(白化)が生じるといった問題が生じない。
前記ポリカーボネート系ウレタンアクリレートとアクリルポリオールとの質量比は、ポリカーボネート系ウレタンアクリレート単独の100:0から10:90の範囲が好ましく、80:20〜20:80の範囲が好ましく、70:30〜30:70の範囲がより好ましい。この範囲であると、イソシアネートとの2液架橋により硬くなり、耐溶剤性が向上する上、十分な柔軟性が得られる。また、優れた耐候性も得られる。なお、アクリルポリオールのみであるとすると耐候性が低下するだけでなく、これがイソシアネートと反応を起こすため、掲示で電離放射線硬化性樹脂との密着性が変化し、安定した性能が発現しない場合がある。
着色樹脂層9は、上述のように透明樹脂層4の凹部にインキ組成物を導入することで形成される。このような凹部に形成される着色樹脂層9と前記柄印刷層3との相乗効果によって、意匠効果が向上する。特に、木目導管溝凹凸の凹部に着色樹脂層を形成させることによって、より実際の木目に近い意匠を表現することができ、これにより、商品価値を高めることができる。また、上述のようにワイピング加工に用いられるインキ組成物中に紫外線吸収剤(UVA)や光安定剤(HALS)を含有させることによって、着色樹脂層9に耐候性を付与することができる。
〈接着層8〉
接着剤層8は柄印刷層3による凹凸をならし、基材2と透明樹脂層4の接着性を向上させる機能があり、透明の樹脂層からなる。
接着剤層8の形成に用いられるインキとしては、バインダーに必要に応じて、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、紫外線吸収剤、光安定剤及び硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなくいが、アクリル/ポリウレタン系共重合体が、柔軟性、強靭性及び弾性を兼ね備えており好ましい。なお、環境を考慮した場合には、塩素を含有する樹脂系は使用しないことが好ましい。
また、接着剤層8の塗布量は、2〜25g/m2の範囲であることが好ましい。2g/m2以上であれば、基材2と透明樹脂層4の十分な接着性が得られ、25g/m2以下であると経済的に好ましい。以上の点から、該インキの塗布量は、基材4の種類にもよるが、通常、3〜20g/m2の範囲がさらに好ましい。
また、接着剤層8の厚さとしては、通常2〜25μmの範囲であり、3〜20μmの範囲が好ましい。
〈プライマー層5〉
本発明のシートIIは、好ましくは透明樹脂層4の上にプライマー層5が積層される。
プライマー層5は上記した着色樹脂層9を形成するインキ組成物で使用するバインダー樹脂から適宜選ばれるものを用いることが好ましい。すなわち、ポリカーボネート系ウレタンアクリレート、あるいはポリカーボネート系ウレタンアクリレートとアクリルポリオールからなる樹脂を用いることが好ましい。これらの樹脂を用いることで、極めて高い耐候性を本発明のシートIIに付与することができる。
上記プライマー層5には、耐候性をさらに向上させるため、透明樹脂層4で用いたのと同様の、耐候性改善剤を含有することが好ましく、紫外線吸収剤(UVA)や光安定剤(HALS)を含有させることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量は、プライマー層5を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜25質量部、より好ましくは1〜25質量部、さらに好ましくは3〜20質量部であり、特に好ましくは5〜20質量部である。また、光安定剤の含有量は、プライマー層5を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.05〜7質量部、より好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは1〜5質量部であり、特に好ましくは2〜5質量部である。
プライマー層5の厚さについては、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、十分な耐候性を得るとの観点から、0.5〜10μmの範囲が好ましく、さらには1〜5μmの範囲が好ましい。
プライマー層の形成は、上記樹脂組成物をそのままで又は溶媒に溶解若しくは分散させた状態で用い、公知の印刷方法、塗布方法などによって行うことができる。また、プライマー層5は、図2に示すように凹凸を有するような態様としてもよいし、均一で凹凸を有しないような態様であってもよい。意匠性の向上の観点からは、凹凸を有するような態様であることが好ましい。
〈表面保護層6〉
本発明のシートIIは最表面に表面保護層6を有する。該表面保護層6は、上記した本発明のシートIの表面保護層と同じである。また、表面保護層6は、意匠性向上の観点から、凹部を有することが好ましい。表面保護層6に凹部を施す方法についても、シートIの表面保護層と同じである。
また、表面保護層6は、図2に示すように凹凸を有するような態様としてもよいし、均一で凹凸を有しないような態様であってもよい。意匠性の向上の観点からは、凹凸を有するような態様であることが好ましい。また、図3に示すように、均一で凹凸を有しない表面保護層に、凹部を設けてもよい。この場合の該凹部を形成する方法としては、エンボス加工など、透明樹脂層4に凹部を設けるのと同様の方法を用いることができる
[化粧板]
本発明の化粧板は、本発明のシートの表面保護層が最表面層となるように、該シートが被着材に積層されてなるものである。化粧板には、上記したシートI及びシートIIを採用することができるが、意匠性の観点からは、シートIIを積層することが好ましい。
本発明のシートが適用される被着材は、特に制限されるものではなく、公知の化粧シートと同様のものを用いることができる。例えば、木質材、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラスなどが挙げられる。特に、本発明のシートは、鋼板などの金属材料、木質材に好適に使用することができる。鋼板としては、具体的には、溶融亜鉛メッキ鋼板などが挙げられ、木質材としては、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピーなどの各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パティクルボード、中密度繊維板(MDF)などが挙げられる。
本発明のシートの各種被着材への積層方法としては特に限定されるものではなく、例えば接着剤によりシートを被着材に貼着する方法などを採用することができる。接着剤は、被着材の種類などに応じて公知の接着剤から適宜選択すれば良い。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのほか、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴムなどが挙げられる。
なお、接着剤で本発明のシートを各種被着材に接着するに際し、裏面プライマー層7を設けることが接着性を高めることができるので好ましい。
このようにして製造された化粧板は、例えば、壁、天井、床などの建築物の内装材、窓枠、扉、手すりなどの建具の表面化粧板、家具又は弱電、OA機器などのキャビネットの表面化粧板、玄関ドアなどの外装材として好ましく用いることができる。特に、本発明の化粧板は耐候性に優れ、加工適性が高いため、鋼板などに貼付され、玄関などの外装材として用いることが好適である。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)自浄性の評価
実施例及び比較例で得られたシートを、屋外南向きに傾斜45°で設置して、3ヶ月放置する屋外曝露試験を行った。その後、表面の汚れの付着及び沈着状態を下記の基準で評価した。
○ :汚れの付着や沈着はほとんどなかった
△ :汚れの付着や沈着は若干あるが、実用上問題なかった
× :汚れの付着や沈着が著しかった
(2)自浄性の持続性の評価
実施例及び比較例で得られたシートを、赤色染料で着色したサラダ油を塗布した後、水で洗い流した。その後、表面の汚れの付着及び沈着状態を下記の基準で評価した。
◎ :全く変化がなかった
○ :汚れの付着や沈着はほとんどなかった
△ :汚れの付着や沈着は若干あるが、実用上問題なかった
× :汚れの付着や沈着が著しかった
(3)耐温水白化性
実施例及び比較例で得られたシートを、50℃の温水に浸漬し、2日間保持してから、シート表面の白化状態を下記の基準で評価した。
○ :外観変化は全くなかった
△ :外観変化は若干あるが、実用上問題なかった
× :外観変化が著しかった
(4)表面抵抗測定
実施例及び比較例で得られたシートの表面抵抗値率を、デジタル絶縁計(東亜電波工業製)を用いて測定した。
(5)帯電減衰率半減時間
実施例及び比較例で得られたシートの帯電減衰率半減時間を、オネストメータ(シンド静電気製)を用いて測定した。
(6)耐候性の評価(耐候性試験)
実施例及び比較例で得られたシートを、ダイプラ・ウィンテス株式会社製メタルウェザーにセットし、ライト条件(照度:60mW/cm2、ブラックパネル温度63℃、層内湿度50%RH)で20時間、結露条件(照度:0mW/cm2、ブラックパネル温度30℃、層内湿度98%RH)で4時間、水噴霧条件(結露条件の前後10秒間)の条件で800時間放置する耐候性試験を行った。該試験後、25℃50%RHの条件下で2日間保持してから、シート表面にクラックや白化などの外観を下記の基準で評価した。
◎ :外観変化は全くなかった
○ :外観変化はほとんどなかった
△ :外観変化は若干あるが、実用上問題なかった
× :外観変化が著しかった
(7)耐候密着性の評価
上記耐候性試験を行ったシートについて、その表面にニチバン製セロテープ(登録商標)を貼付けて急激に剥離する操作を1回行った。このときの、基材上に設けた各層が剥離するかどうかを肉眼観察により確認し、下記の基準で評価した。
○ :層の剥離は全くなかった
△ :層の剥離は若干あるが、実用上問題なかった
× :層の剥離が著しかった
(8)べたつき(ブリードアウトの評価)
実施例及び比較例で得られたシートを80℃の条件下で24時間保管した後、化粧シートの表面を指で触って、下記の基準で評価した。
○ :べたつきは全くなかった
△ :紫外線吸収剤などのブリードによるべたつきは若干あるが、実用上問題なかった
× :ブリードによるべたつきが著しかった
(9)耐溶剤性の評価
300g/cm2の錘に、ガーゼを輪ゴムで取り付け、酢酸エチルを染み込ませる。各実施例及び比較例で得られたシートの表面を横方向に50往復し、シートの表面を目視して、下記の基準で評価した。
○ :シート表面の変化は全くみられなかった
△ :シート表面の変化が若干みられたが、実用上問題なかった
× :シート表面の変化が著しかった
(10)黄変の評価
各実施例及び比較例において、電子線照射した直後のシート表面の色合いについて、下記の基準で評価した。
○ :黄変は全くみられなかった
△ :黄変が若干みられたが、実用上問題なかった
× :黄変が著しかった
(11)耐傷性の評価
各実施例及び比較例で得られたシートについて、スチールウールを用いて、300g/cm2の荷重をかけて5往復擦り、外観を目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
○ :外観にほとんど変化なかった
△ :外観に若干の傷つきや艶変化があった
× :外観に傷つきがあり、艶変化があった
(12)透明性の評価
各実施例及び比較例で得られたシートについて、表面の状態を下記の基準で評価した。
○ :ヘイズ感(曇った感じ)は全くなかった
△ :ヘイズ感が若干あるが、実用上問題なかった
× :ヘイズ感があった
実施例1
基材2として、透明ポリプロピレン樹脂(厚さ:80μm)からなる樹脂シートを準備した。この表面及び裏面にコロナ放電処理を施した後、該表面に下記組成のプライマー層形成用組成物を塗工(2.5g/m2)し、プライマー層(厚さ:2μm)を形成した。次に、下記組成の反応性官能基を有するシリケート化合物を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、グラビアコート法にて塗膜を形成し、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させることにより、表面保護層(5g/m2)を形成させてシートを得た。なお、表面保護層の厚さは5μmであった。
得られたシートについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
プライマー層形成用組成物の組成
以下の樹脂組成物と硬化剤とを100:5(質量比)の割合で混合して得られる組成物である。
樹脂組成物:
ポリカーボネート系ウレタンアクリレート及びアクリルポリオール(ポリカーボネート系ウレタンアクリレートにおけるウレタン成分とアクリル成分の質量比:70/30,ウレタンアクリレートとアクリルポリオールとの質量比:50/50):100質量部
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン400(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製):15質量部
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン479(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製):4質量部
ヒンダードアミン系光安定剤(「チヌビン123(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製):3質量部
硬化剤:
ヘキサンメチレンジイソシアネート
電離放射線硬化性樹脂組成物の組成
ポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマー(3官能,分子量:2000):100質量部
下記化学式(4)で示される末端にビニル基を有するシリケート化合物:10質量部
トリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン479(商品名)」,2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン,チバ・ジャパン株式会社製):2質量部
反応性官能基を有する光安定剤(商品名「サノールLS−3410」,1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート,チバ・ジャパン株式会社製):6質量部
実施例2
実施例1において、電離放射線硬化性樹脂をカプロラクトン系ウレタンアクリレート(3官能,分子量:約1200)にかえて、紫外線吸収剤及び光安定剤の添加量を各々2質量部及び6質量部とした以外は、実施例1と同様にして、シートを作製した。
得られたシートについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例3
実施例2において、基材を高分子型帯電防止剤(「ペレスタット300(商品名)」,三洋化成工業株式会社製,ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体)を含む透明ポリプロピレン樹脂(厚さ:80μm,帯電防止剤含有量:12.5質量%)に代えた以外は、実施例2と同様にしてシートを作製した。
得られたシートについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例4
基材2として、着色ポリプロピレン樹脂(厚さ:80μm)からなる樹脂シートを準備した。この表面及び裏面にコロナ放電処理を施した後、表面に木目柄をグラビア印刷により形成し、柄印刷層3を得た。一方、裏面には、ウレタン系樹脂をバインダーとした裏面プライマー層7(厚さ2μm)をグラビア印刷により形成した。
次いで、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマーをTダイで溶融して得た透明樹脂層4(厚さ80μm)を形成し、2液硬化型ウレタン樹脂からなる塗液を塗工して接着剤層8(乾燥状態での厚さ15μm)を形成した上に、透明樹脂層4をドライラミネート法により積層させた。
次に、透明樹脂層4の表面を赤外線非接触方式のヒーターで加熱し、透明樹脂層4の表面を柔らかくした。その後、直ちに基材2と反対側の透明樹脂層4の表面に対し熱圧によるエンボス加工を行い、木目導管溝模様の凹凸模様を賦形した。
次いで、透明樹脂層4の表面にコロナ放電処理を施した後、ワイピング加工を実施した。ワイピング加工に用いるインキ組成物は、実施例1で用いたプライマー層形成用組成物に、着色剤(カーボンブラック、イソインドリノン及びキナクリドンを含む。)を5質量%、シリカ粒子(未処理シリカ「市販品」平均粒径3μm)15質量%となるように加えたものを、インキ組成物とした。
このインキ組成物を上記透明樹脂層4に塗布してワイピング加工することにより、上記透明樹脂層4の凹部に着色樹脂層9を形成した。なお、塗布量は1.5g/m2であった。次に、上記着色樹脂層9の形成に用いたインキ組成物を塗工し、プライマー層5(2.5g/m2)を形成した。
次に、実施例2で用いた電離放射線硬化性樹脂組成物に、該組成物中のカプロラクトン系ウレタンアクリレート100質量部に対して、平均粒径5μmのシリカ10質量部(吸油量:200〜300ml/100g、見かけ比重:0.08〜0.16g/cm3)、平均粒径4μmのシリカ5質量部(吸油量0〜50ml/100g、見かけ比重:0.45〜0.85g/cm3)、ワックス5質量部(脂肪族系ワックス、融点110〜200℃)の量を添加した組成物を用いて、グラビアコートにて塗膜を形成した。その後、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させることにより、表面保護層(5g/m2)を形成させてシートを得た。なお、表面保護層の厚さは5μmであった。
比較例1
実施例2において、電離放射線硬化性樹脂組成物中のシリケート化合物をエチルシリケート(「エチルシリケート28(商品名)」,コルコート株式会社製,単量体)にかえた以外は、実施例2と同様にしてシートを作製した。
比較例2
実施例2において、電離放射線硬化性樹脂組成物中のシリケート化合物をエチルシリケート(「エチルシリケート48(商品名)」,コルコート株式会社製,10量体)にかえた以外は、実施例2と同様にしてシートを作製した。
比較例3
実施例2において、電離放射線硬化性樹脂組成物中のシリケート化合物を除いた以外は、実施例2と同様にしてシートを作製した。
本発明によれば、シートに優れた自浄性能とその持続性、耐候性、及び透明性を付与するコーティング剤組成物、該組成物により形成した保護層を有するシートを提供することができる。本発明のシートは、窓ガラスの保護シートやビニールハウスなどの透明性を必要とする用途や、一般住居の玄関ドアや外装材、公共施設の床材や外壁などの内外装、あるいは建造物や屋外に設置される構造物への用途として有効である。
1.化粧シート
2.基材
3.柄印刷層
3a.絵柄層
3b.着色層
4.透明樹脂層
5.プライマー層
6.表面保護層
7.裏面プライマー層
8.接着剤層
9.着色樹脂層

Claims (6)

  1. 電離放射線硬化性樹脂、及び反応性官能基Aを有するシリケート化合物を含み、該電離放射線硬化性樹脂がカプロラクトン系ウレタンアクリレートであり、該反応性官能基Aが(メタ)アクリロイル基であり、該シリケート化合物が下記一般式(1)で示されるものである、コーティング剤組成物。
    (一般式(1)中、R〜Rは、水素原子、又は置換又は無置換の炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基から選ばれる何れかを示し、複数のR及びRは、同じでも異なっていてもよい。また、Rは反応性官能基Aを含む官能基である。また、n は1〜30の整数である。
  2. シリケート化合物の含有量が、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜15質量部である請求項1に記載のコーティング剤組成物。
  3. カプロラクトン系ウレタンアクリレートの数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の数平均分子量)が、1000〜10000である請求項1又は2に記載のコーティング剤組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のコーティング剤組成物を架橋硬化してなる表面保護層を有するシート。
  5. 少なくとも基材と表面保護層とを有し、該表面保護層が最表面に設けられるものである請求項に記載のシート。
  6. 基材が、ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体及びポリエーテルエステルアミドから選ばれる少なくとも一種の帯電防止剤を含むものである請求項に記載のシート。
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