JP2001123125A - 木質仕上材用塗料及び表面塗装木質仕上材 - Google Patents

木質仕上材用塗料及び表面塗装木質仕上材

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JP2001123125A
JP2001123125A JP30437699A JP30437699A JP2001123125A JP 2001123125 A JP2001123125 A JP 2001123125A JP 30437699 A JP30437699 A JP 30437699A JP 30437699 A JP30437699 A JP 30437699A JP 2001123125 A JP2001123125 A JP 2001123125A
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resin
wood
resins
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woody
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Yuichi Ishino
裕一 石野
Hideshi Yanagi
秀史 柳
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汚れ難くかつ傷の付き難い、耐久性に優れた
木質仕上材を安価に提供する。 【解決手段】 分子構造に二重結合を含み、紫外線硬化
又は電子線硬化可能な樹脂をベースポリマーとし、有機
珪素化合物を含む木質仕上材用塗料。この木質仕上材用
塗料を最表面に塗布してなる表面塗装木質仕上材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、床、壁、天井など
の表面仕上材、或いは柱や家具、システムキッチン及び
キャビネットなどの化粧材、自動車の内装材、更には各
種造作の表面材などとして使用される木質仕上げ材に、
耐久性、耐汚染性、耐傷付き性に優れた塗膜を形成する
ことができる木質仕上材用塗料、及び、このような木質
仕上材用塗料を最表面に塗布して耐久性、耐汚染性、耐
傷付き性を高めた表面塗装木質仕上材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、建築資材の高耐久化に伴い、住宅
の耐用年数も年々延びているが、床材などの木質の材料
は他の材料よりも傷みが早いために、他の材料が未だ傷
んでいないうちに使用不可能となる場合があった。ま
た、従来、建物の床材に使用される木質仕上材の表面塗
装にはポリエステル系のUV(紫外線)硬化樹脂や、ウ
レタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、アクリルメ
ラミン樹脂などの塗料が用いられていたが、表面に汚れ
が付着した場合、特にキッチンや子供部屋などの汚れの
激しい床の場合は、汚れが取れ難いため、修復できない
汚れとして残ってしまうケースが多々あった。更に、こ
のような場所に限らず、物を誤って落とすなどして床に
凹みを作った場合には、やはり修復不可能な傷が残って
しまうケースも多々あった。
【0003】このようなことから、木質仕上材、特に、
建物の床材に使用される木質仕上材については、より耐
久性に優れ、また、より汚れ難く、かつ傷が付き難いこ
とが要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の実
情に鑑みてなされたものであって、汚れ難くかつ傷の付
き難い、耐久性に優れた木質仕上材を安価に提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の木質仕上材用塗
料は、分子構造に二重結合を含み、紫外線硬化又は電子
線硬化可能な樹脂をベースポリマーとし、有機珪素化合
物を含有することを特徴とする。
【0006】本発明の木質仕上材用塗料は、分子構造に
二重結合を含み、紫外線硬化又は電子線硬化可能な樹脂
をベースポリマーとするため、常温で硬化が可能で、生
産性が高く、揮発成分も少なく工業的に有利である。ま
た、有機珪素化合物を含むため、有機珪素化合物による
撥水性が発現され、塗膜の耐汚染性、耐傷付き性、耐久
性に優れる。特に、ベースポリマーが二重結合を含むた
め、二重結合を含む有機珪素化合物との反応によりベー
スポリマーと有機珪素化合物が化学的に結合するため、
耐熱性、耐久性が高く撥水性が長期に維持されるという
効果が奏される。
【0007】本発明において、ベースポリマーとして
は、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル化アルキド樹
脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ポリエーテルアク
リレート樹脂、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化ポ
リウレタン樹脂、アクリル樹脂及びアクリル化スピラン
樹脂よりなる群から選ばれる1種又は2種以上が好まし
い。
【0008】また、有機珪素化合物としては、ポリオル
ガノシロキサン、特に末端及び/又は側鎖にアクリル基
及び/又はメタクリル基を有するポリオルガノシロキサ
ン、とりわけ主鎖がポリジメチルシロキサンであるもの
が好ましい。
【0009】このような有機珪素化合物の含有量は、ベ
ースポリマーに対して0.01〜20重量%であること
が好ましい。
【0010】本発明の表面塗装木質仕上材は、このよう
な本発明の木質仕上材用塗料を最表面に塗布してなるも
のであり、この木質仕上材用塗料の塗膜を形成するのみ
で汚れが付き難く、また、汚れが付いた場合でも容易に
拭き取り易く、しかも傷の付き難い、耐久性に優れた木
質仕上材が安価に提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。
【0012】図1は、本発明の木質仕上材用塗料を木質
仕上材4の最表面に塗布して撥水性塗膜5を形成した、
本発明の表面塗装木質仕上材の実施の形態を示す断面図
である。
【0013】この木質仕上材4は、樹脂の含浸を可能と
するシート基材に熱硬化性樹脂を含浸させてなる樹脂含
浸シート2を台板1上に重ね合わせ、この樹脂含浸シー
ト2上に樹脂の含浸を可能とする化粧材3を重ね合わせ
て熱プレスして互いに接着したものである。
【0014】この木質仕上材4としては、特に、次の
〜の構成の1又は2以上を採用したものであることが
好ましい。 熱硬化性樹脂として半硬化(プリプレグ)状態にお
けるフロー率(フロー率については後述する。)が2〜
50%であるフェノール樹脂を用いたもの 熱硬化性樹脂として25℃の温度下において粘度
0.01〜5Pa・sであるフェノール樹脂を用いたも
の 樹脂含浸シートとして、熱硬化性樹脂をシート基材
に対し固形分5〜500g/mになるように含浸させ
た後に半硬化状態にしたものを用いたもの 半硬化状態の樹脂含浸シートの溶媒含有率が0〜1
5重量%であるもの 熱プレス温度を130〜180℃、プレス圧力を1
〜20×105Pa、プレス時間を2.5〜20分とし
たもの 樹脂含浸シートとして、ガラス繊維単独若しくは他
の繊維との混合繊維から構成されたガラス不織布に熱硬
化性樹脂を含浸させたものを用いたもの 含浸させる熱硬化性樹脂として水又は有機溶媒に溶
解又は分散させたフェノール樹脂を用いたもの 樹脂含浸シートの引張破断強度(JIS K 70
54)が、熱プレス後において10×105Pa以上で
あるもの 以下に、本発明の木質仕上材用塗料のベースポリマー及
び有機珪素化合物について説明する。
【0015】本発明の木質仕上材用塗料のベースポリマ
ーとしては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル化アル
キド樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、ポリエーテ
ルアクリレート樹脂、アクリル化エポキシ樹脂、アクリ
ル化ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂及びアクリル化ス
ピラン樹脂よりなる群から選ばれる1種又は2種以上が
挙げられ、これらのうち、特に、活性基としてアクリル
基を持つものが反応性が高く、安定な塗膜を形成するの
で好ましい。
【0016】このようなベースポリマーは、通常の場
合、開始剤と共に使用され、紫外線硬化の場合の開始剤
としては、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノ
ン、ジメチルアミノエチルメタクリレート等が用いられ
る。なお、電子線硬化の場合は、エネルギーが高いた
め、開始剤は用いられない。これらの開始剤はそれぞれ
1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いて
も良い。
【0017】一方、有機珪素化合物としては、ポリオル
ガノシロキサン、特に末端及び/又は側鎖に下記構造式
で示されるアクリル基及び/又はメタクリル基を有する
ポリオルガノシロキサン、より好ましくは次の(1)又は
(2)が挙げられる。
【0018】
【化1】
【0019】(1) 下記構造式[I]で示されるよう
な、片末端がアクリル基及び/又はメタクリル基であ
り、主鎖がポリジメチルシロキサンである変性シリコー
ンオイル (2) 下記構造式[II]で示されるような、側鎖にアク
リル基及び/又はメタクリル基を持ち、主鎖がポリジメ
チルシロキサンである変性シリコーンオイル
【0020】
【化2】
【0021】このような変性シリコーンオイル等の有機
珪素化合物の分子量が過度に大きいと粘度が高く塗工性
が悪くなり、分子量が過度に小さいと揮発性物質が多く
なることから、数平均分子量500〜50000程度で
あることが好ましい。
【0022】これらの有機珪素化合物は1種を単独で用
いても2種以上を併用して用いても良い。
【0023】本発明の木質仕上材用塗料には、ベースポ
リマーとしての紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹脂と、
その開始剤と、有機珪素化合物と、更に必要に応じて、
顔料、その他の添加剤が適宜配合され、これらが溶剤に
溶解されて使用される。
【0024】配合される顔料としては、酸化チタン、ベ
ンガラ、黄鉛、亜鉛華、カーボンブラック、フタロシア
ニンブルー等の有機又は無機系の着色顔料、鉛丹、鉛酸
カルシウム、クロム酸亜鉛、塩基性クロム酸鉛、モリブ
デン酸亜鉛等の防錆顔料、シリカ、パライト、炭酸カル
シウム、クレー、タルク、マイカ等の体質顔料等を挙げ
ることができる。その他の添加剤としては、各種の平滑
剤、吸湿剤、抗菌剤、防かび剤、シラン又はチタン系カ
ップリング剤等を挙げることができる。
【0025】また、溶剤としては、一般にトルエン、キ
シレン、酢酸ブチル等の有機溶剤が用いられ、或いは水
溶性の樹脂であれば水などが用いられる。
【0026】本発明の木質仕上材用塗料は、通常の場
合、次のような配合で調製される。なお、ここで反応性
モノマーとはスチレンや各種アクリルモノマーである。
【0027】 ベースポリマー: 100重量部 有機珪素化合物: 0.01〜20重量部 開始剤 : 0.5〜10重量部 反応性モノマー: 1〜15重量部 溶剤 : 15〜55重量部 ここで、塗料中のベースポリマーに対する有機珪素化合
物が0.01重量%未満では、形成される塗膜に十分な
撥水性を付与することができず、20重量%を超える
と、下地との接着が悪化することから、有機珪素化合物
はベースポリマーに対して0.01〜20重量%とする
のが好ましい。
【0028】このような本発明の木質仕上材用塗料で木
質仕上材に塗膜を形成する方法としては、特に制限はな
く、ローラー塗膜、刷毛塗り、エアスプレー、エアレス
スプレー等により塗料を塗布した後、樹脂の硬化方法に
より紫外線又は電子線を照射して硬化させれば良い。
【0029】このようにして形成される塗膜の厚さは、
乾燥後の厚さで1〜100μm程度であることが好まし
い。この厚さが1μm未満では、十分な撥水性が得られ
ず、100μmを超えるとロービング等の外観不良が発
生する。
【0030】なお、この撥水性塗膜の形成に先立って、
下塗り用の塗料で木質仕上材表面に下地膜を形成しても
良い。また、形成した下地膜を更に研磨して粗面化処理
を行っても良い。このような下地処理を行うことによ
り、撥水性塗膜の密着強度を高めることができる。この
場合、下塗り用の塗料としては、ウレタン、エポキシ、
ポリエステル、不飽和ポリエステル等を用いることがで
きる。
【0031】次に、図1に示される木質仕上材4の構成
を詳細に説明する。
【0032】木質仕上材4の台板1としては、樹脂の含
浸を可能とする材質、例えば合板、木質系繊維ボード、
パーティクルボード、ウエハーボード、或いはこれらの
複合板が好適に使用される。
【0033】樹脂含浸シート2は、紙、織布、不織布等
からなるシート基材に、熱硬化性樹脂を含浸させたもの
であり、シート基材としての紙としては、石膏ボード
紙、クラフト紙、レーヨン紙等が好適に使用できる。織
布としては、有機繊維の織物、ガラス繊維、炭素繊維、
無機ウィスカー、ロックファイバー、ロックウール等の
無機繊維の織物、アモルファス金属繊維等の織物が好適
に使用できる。不織布としては、ガラス繊維、綿、レー
ヨン等の原料繊維を接着もしくは絡み合わせ或いはその
双方を用いて機械的・化学的・加熱的もしくは溶媒を用
いる方法、或いはそれらの組み合わせによって作られた
シート状のものが使用できる。不織布としては、特に3
〜50mmにカットされた繊維を湿式抄紙若しくは乾式
不織布製造法によりマット化したものをバインダー樹脂
で結合したものが使用に好適である。ここで繊維原料と
しては、ガラス繊維単独、若しくはガラス繊維と他の繊
維、例えば、アルミナ繊維、アルミナシリカ繊維、炭素
繊維、金属繊維等の無機系繊維や、アラミド繊維、レー
ヨン繊維、ビニロン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル
繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等の有機
系繊維等の単独もしくは複数種を混合して用いることが
できる。
【0034】シート基材としての不織布の強度や樹脂の
含浸性等を考慮した場合、繊維原料としてはガラス繊維
を用いるのが好適である。
【0035】更に、含浸性、脱泡性、シート基材強度、
ハンドリング、成形品の耐傷付き性の点から、不織布の
坪量は10〜1000g/mであることが好ましく、
より好ましい坪量は50〜250g/mである。坪量
が10g/mより少ないと、耐傷付き性が発現し難
く、1000g/mより多いと含浸が困難となる。こ
れらの繊維は3mm以下の短繊維では補強効果が低く、
一方50mmを超える長繊維では均一シート化が困難で
あり、結果として優れた補強効果が得られない。また、
3〜15mmの短繊維が全繊維中20〜100%である
ことが、強度(補強性)、不織布の均一性の観点からは
好ましい。短繊維の割合が20%より少ないと均一な不
織布が得られない。これら繊維材料の他に短繊維のセル
ロースパルプ等を混合することは差し支えない。また、
ガラス繊維を用いる場合は、繊維表面をシランカップリ
ング剤でコートしておくことにより、補強効果を高める
ことができる。
【0036】シート基材に含浸させる熱硬化性樹脂とし
ては、好ましくはフェノール類とアルデヒド類との反応
により得られるフェノール樹脂、末端に反応性のエポキ
シ基を持つオリゴマーに硬化剤を添加して得られるエポ
キシ樹脂、熱硬化エチレン酢酸ビニル共重合体、不飽和
ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタ
ン樹脂、尿素樹脂、DAP(ジアリールフタレート)樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂等が例示できる。これらの
樹脂は単独で或いは複数種混合されて主として含浸によ
りシート基材と複合化される。
【0037】含浸に用いる樹脂液は、水溶液、溶剤ワニ
ス、エマルジョン等のいずれでも良く、固形樹脂粉末を
散布する方法でも良い。この中でもコスト、安全性の点
から水、アルコール等に溶解もしくは分散させたものを
用いることが好ましい。アルコールを用いる場合、沸点
が低く乾燥し易いことから、メタノールが好適である。
【0038】含浸用の樹脂液には、更に、各種の充填
剤、例えばステアリン酸鉛、ジブチル錫ジラウレート、
カーボンブラック、炭酸カルシウム、チタンホワイト、
雲母、ガラス球、水酸化アルミニウム、酸化アンチモ
ン、トリ(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、
脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール酸エステル等、熱
安定剤、強化剤、難燃剤、帯電防止剤等を配合して用い
ても良い。
【0039】また、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂
を用いた場合、フェノール樹脂製造用の触媒としては、
アルキルアミン、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸
化バリウム等を用いるのが好ましい。特に、アルキルア
ミン、アンモニアについては他のものに比べ分子量も大
きく、分子構造上、水和性が低いので貼り合わせ後の耐
水性が飛躍的に向上する利点がある。
【0040】特に、フェノール樹脂は、固形分20〜8
0重量%となるように水又は有機溶媒などの溶媒に溶解
もしくは分散して用いることが含浸の容易さの点から好
ましい。固形分が20重量%未満であると必要量含浸す
ることが困難となり、80重量%より多いと粘度上昇に
より含浸が困難となる。
【0041】フェノール樹脂を溶解もしくは分解させる
有機溶媒としては、フェノール樹脂を溶解する能力が高
いことから、メタノール、エタノール等の低級アルコー
ル、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、トル
エン、キシレン等が挙げられ、これらの1種を単独で或
いは2種以上を混合して使用することができる。特に乾
燥の容易さを考慮して、沸点の低い低級アルコール類、
特にメタノールが好適に用いられる。
【0042】このフェノール樹脂としては、特に、プリ
プレグ状態におけるフロー率が2〜50%、とりわけ5
〜20%であるものが好ましい。フロー率が50%を超
えると、プレス時に脇から樹脂がはみ出してしまうため
十分な耐傷付き性を発現しない。フロー率が2%未満で
は、シート基材と樹脂との複合化が不十分となり、プレ
ス時の化粧材3表面への染み出しが少なくなるため十分
な耐傷付き性を発現しない。なお、プリプレグ状態にお
けるフェノール樹脂のフロー率は、直径5cmのプリプ
レグシートを10枚重ね、所定条件(圧力3900kP
a,温度150℃)でプレスしたときのはみ出した樹脂
の割合((はみ出した樹脂/全樹脂)×100)であ
る。
【0043】また、このフェノール樹脂の粘度は、25
℃の温度下において0.01〜5Pa・sであることが
好ましい。粘度が0.01Pa・s未満であると、耐傷
付き性発現に十分な量を含浸させることができず、また
プレス時に脇から樹脂がはみ出してしまうために十分な
耐傷付き性を発現できない。粘度が5Pa・sを超える
と、樹脂の均一な含浸が困難となり、またプレス時の化
粧材3表面への染み出しが少なくなるため十分な耐傷付
き性を発現しない。
【0044】熱硬化性樹脂として使用するフェノール樹
脂は、シート基材に、固形分50〜500g/m、特
に150〜350g/mとなるように含浸させること
が好ましい。この含浸量が50g/m未満では十分な
耐傷付き性を発現し難く、500g/mを超えると硬
化に時間がかかり、端部からのはみ出し等外観上も問題
がある。
【0045】シート基材への樹脂の含浸は、例えば、ロ
ーラから送り出したシート基材をフェノール樹脂溶液中
へディッピングすることにより行うことができ、その後
一定条件下で乾燥させてプリプレグ状態の樹脂含浸シー
ト2とすれば良い。
【0046】なお、樹脂含浸シート2としては紙、織
布、不織布のいずれか1つをシート基材としてこれに熱
硬化性樹脂を含浸させたものを単独で用いたものに何ら
限定されず、例えばこれを複数枚用いたり、これに紙を
貼り合わせたものを用いても良い。例えば、未硬化のフ
ェノール樹脂をガラス不織布に含浸させ、これに紙を貼
り合わせたものを用いた場合には、全体の強度や寸法安
定性が飛躍的に向上する。
【0047】本発明において、シート基材に含浸させる
熱硬化性樹脂は含浸後半硬化状態、すなわちプリプレグ
状態であることが望ましく、このプリプレグ状態の樹脂
含浸シート2を台板1上に重ね、この樹脂含浸シート2
上に化粧材3を重ね合わせ、これらを熱プレスすれば、
これらを互いに強固に接着することができる。プリプレ
グは、繊維補強材と熱硬化性樹脂、その他必要に応じ熱
可塑性樹脂、着色剤、硬化触媒等を混和してなる強化プ
ラスチックの、接着性と成形性の能力を残した硬化終了
前の半硬化状態の成形素材であり、好ましいゲルタイム
は150℃の設定温度において30〜800秒である。
【0048】シート基材に含浸させた熱硬化性樹脂を、
含浸後半半硬化状態にするための乾燥条件として、樹脂
含浸シート2の乾燥後の溶媒含有率(樹脂含浸シート2
に対する樹脂含浸シート中の溶媒の割合)の下限を0重
量%、好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重
量%以上、上限を15重量%以下、より好ましくは10
重量%以下とする条件である。この溶媒含有率が15重
量%以下でない場合は、シート同士でブロッキングを起
こす。
【0049】なお、フェノール樹脂をメタノールに溶解
ないし分散させたものを含浸させた場合の乾燥時間と温
度との関係は表1に示す通りであり、また、フェノール
樹脂を水に溶解ないし分散させたものを含浸させた場合
の乾燥時間と温度との関係は表2に示す通りである。
【0050】表中、○はでき上がりのプリプレグシート
の状態が使用可能、△は使用するにあたりあまり好まし
くない、×は使用不可能を示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】上記表1,2からもわかるように、メタノ
ール等の有機溶媒や水に溶解又は分散させたフェノール
樹脂液を使用した場合、80〜120℃の温度、乾燥時
間3〜30分で好ましい半硬化状態のシートを得ること
ができる。
【0054】この樹脂含浸シート2の引張強度として
は、十分な耐傷付き性発現のためには、破断強度10×
105Pa以上であることが好ましい。この強度が10
×105Pa未満では十分な耐傷付き性が発現しない。
この破断強度は、JIS K 7054に準じ、プリプ
レグ状態の樹脂含浸シート2を2枚の離型紙間に挟み、
熱プレス条件(例えば150℃、5分、10×105
aの条件)下で熱プレスして樹脂を硬化させた後のもの
について測定した値である。
【0055】化粧材3としては化粧張り用の木の薄板や
予め模様等が印刷されたり、凹凸加工が施された紙等が
好適に使用でき、厚みは1mm以下が好ましい。化粧材
3の材質も樹脂の含浸を可能とするものが選ばれる。
【0056】図1に示される木質仕上材4は、上述のよ
うな台板1と化粧材3との間に樹脂含浸シート2を介し
て積層したものを熱プレスすることにより製造される。
【0057】台板1、樹脂含浸シート2、化粧材3のプ
レス条件としては、温度130〜180℃が好ましく、
特に140〜160℃が好ましい。プレス温度が130
℃より低いと樹脂の硬化が十分でなく、耐傷付き性が発
現できず、180℃より高いと樹脂の硬化が速すぎて台
板1や化粧材3との接着が不十分となり、また台板1の
反りも大きくなってしまい、好ましくない。また、圧力
としては、1〜20×105Paが好ましく、特に5〜
15×105Paが好ましい。プレス圧力が1×105
aより低いと樹脂の化粧材3への浸み出しが十分でない
ために耐傷付き性が低くなり、20×105Paより大
きいと台板の反りが大きくなる等の不都合が生ずる。ま
た、プレス時間としては、2.5〜20分間が好まし
く、特に3〜12.5分が好ましい。プレス時間が2.
5分より短いと樹脂の硬化が十分ではなく、耐傷付き性
が低下し、20分より長いと樹脂の劣化が生じて耐傷付
き性も低下し、また、台板1の反りも大きくなる。
【0058】なお、本発明において、木質仕上材用塗料
を塗布する木質仕上材としては、図1に示す木質仕上材
4に何ら限定されるものではなく、その他、WPC(木
材プラスチック複合材料)加工したフロア材やナラ単板
を表面材とした天然木化粧合板等にも好適に適用するこ
とができ、木質仕上材用塗料の良好な撥水性により、著
しく優れた耐汚染性、耐傷付き性、耐久性の改善効果を
得ることができる。
【0059】このような本発明の表面塗装木質仕上材
は、床、壁、天井などの表面仕上材、或いは柱や家具、
システムキッチン及びキャビネットなどの化粧材、自動
車の内装材、更には各種造作の表面材などとして使用さ
れる木質仕上げ材等、各種の木質仕上材に適用可能であ
るが、特に、汚れや傷が付き難く、しかも耐久性の向上
が要求されている建物の床材用木質仕上材として有効で
ある。
【0060】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明する。
【0061】なお、以下の実施例及び比較例において、
木質仕上材としては、次のようにして製造したものを用
いた。 〔木質仕上材〕台板1として12mm厚さの合板を用
い、化粧材3として0.3mm厚さのナラ単板を用い、
これらの間に、樹脂含浸シート2を介して積層し、プレ
ス温度150℃、圧力6.8×105Pa、プレス時間
5分で加熱圧着して木質仕上材を製造した。
【0062】なお、用いた樹脂含浸シート2は、繊維径
10μmのガラス短繊維とからなる坪量105g/m
のガラス不織布に、固形分40重量%の水分散系フェノ
ール樹脂(25℃の粘度2Pa・s)を含浸させて樹脂
固形分180g/mのものを得、含浸後105℃で1
0分間乾燥させて半硬化のシート2としたものである。
このときのフロー率は17%であり、水分含有量は7重
量%であった。また、このシート2について、JIS
K 7054に準じて測定した引張破断強度は10.5
×107Paであった。
【0063】実施例1,2、比較例1,2 まず、木質仕上材の表面に下塗り用の塗料(ウレタン樹
脂)をスプレー塗布し、16時間乾燥させて厚さ40μ
mの下地膜を形成した。次に、この表面を#320の研
磨紙で研磨した後、表3に示す配合の塗料を塗布し、各
々の硬化方法で硬化させて、厚さ約25μmの撥水性塗
膜を形成した。
【0064】このようにして塗膜を形成した各試料につ
いて、表面の水の接触角を測定し、結果を表3に示し
た。水の接触角は協和界面科学製接触角測定装置によっ
て測定し、3回の測定結果の平均値を記した。また、油
性のマジックインクを表面に塗布、乾燥後、拭き取るマ
ジックインキ拭き取りテストを行い、結果を表3に併記
した。
【0065】
【表3】
【0066】表3より明らかなように、有機珪素化合物
を配合した塗料で形成された塗膜(実施例1,2)は、
表面の水の接触角が90゜以上となっており、十分な撥
水性を示しているため、マジックインキを簡単に拭き取
ることができ、また、傷も付き難い。これに対して有機
珪素化合物が配合されていない塗料で形成された塗膜
(比較例1,2)では、水の接触角は90゜未満であ
り、マジックインキを簡単に拭き取ることはできない。
【0067】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、汚
れが付き難く、また、汚れが付いた場合でも容易に拭き
取り易く、しかも傷の付き難い、耐久性に優れた木質仕
上材が安価に提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面塗装木質仕上材の実施の形態を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 台板 2 樹脂含浸シート 3 化粧材 4 木質仕上材 5 撥水性塗膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 QB12 QB14 QB16 QB20 QB22 QB24 QB25 RA03 SA21 SA51 TA03 TA07 UA01 UA03 WA02 4J027 AA01 AB02 AB03 AC06 AE01 AF05 AG01 AH03 AJ01 AJ08 BA01 BA05 CA12 CA14 CA18 CA25 CA34 CB10 CC05 CC06 CD08 4J038 DB371 DD181 DG211 DL032 DL102 FA221 FA231 FA242 FA251 FA261 FA271 FA281 JC30 PA17 PC06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子構造に二重結合を含み、紫外線硬化
    又は電子線硬化可能な樹脂をベースポリマーとし、有機
    珪素化合物を含有することを特徴とする木質仕上材用塗
    料。
  2. 【請求項2】 請求項1において、ベースポリマーが、
    不飽和ポリエステル樹脂、アクリル化アルキド樹脂、ポ
    リエステルアクリレート樹脂、ポリエーテルアクリレー
    ト樹脂、アクリル化エポキシ樹脂、アクリル化ポリウレ
    タン樹脂、アクリル樹脂及びアクリル化スピラン樹脂よ
    りなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特
    徴とする木質仕上材用塗料。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、該有機珪素化
    合物が、ポリオルガノシロキサンであることを特徴とす
    る木質仕上材用塗料。
  4. 【請求項4】 請求項3において、該ポリオルガノシロ
    キサンは末端及び/又は側鎖にアクリル基及び/又はメ
    タクリル基を有することを特徴とする木質仕上材用塗
    料。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4において、該ポリオルガ
    ノシロキサンの主鎖がポリジメチルシロキサンであるこ
    とを特徴とする木質仕上材用塗料。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項におい
    て、塗料中の有機珪素化合物の含有量がベースポリマー
    に対して0.01〜20重量%であることを特徴とする
    木質仕上材用塗料。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    の木質仕上材用塗料を最表面に塗布してなる表面塗装木
    質仕上材。
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