JP5740828B2 - 化粧シート及びこれを用いた化粧板 - Google Patents
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Description
2.カプロラクトン系ウレタンアクリレートが、カプロラクトンジオール系ウレタンアクリレートである上記1に記載の化粧シート。
3.カプロラクトンジオール系ウレタンアクリレートが、ポリカプロラクトン系ポリオールと有機ポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応で合成して得られ、該カプロラクトン系ポリオールがポリカプロラクトン及びジエチレングリコールであり、該有機ポリイソシアネートがイソホロンジイソシアネートであり、ヒドロキシ(メタ)アクリレートが2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである請求項2に記載の化粧シート。
4.カプロラクトン系ウレタンアクリレートの数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の数平均分子量)が、1000〜10000である上記1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
5、反応性官能基Aが、エチレン性二重結合を有する官能基である上記1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
6.エチレン性二重結合を有する官能基が、(メタ)アクリロイル基である上記5に記載の化粧シート。
7.コーティング剤組成物が、さらにカプロラクトン系ウレタンアクリレートと反応性を有する反応性官能基Bを有するシリケート化合物を含むものである上記1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
8.反応性官能基Bが、エチレン性二重結合を有する官能基、又は水酸基である上記7に記載の化粧シート。
9.反応性官能基Bが、(メタ)アクリロイル基である上記8に記載の化粧シート。
10.上記1〜9のいずれかに記載の化粧シートの表面保護層が最表面層となるように、当該化粧シートが被着材に積層されてなる化粧板。
11.被着材が、鋼板である上記10に記載の化粧板。
本発明の化粧シートは、基材、柄印刷層及び表面保護層からなり、該表面保護層が伸び率25%以上のカプロラクトン系ウレタンアクリレート、トリアジン系紫外線吸収剤、及び反応性官能基Aを有するヒンダードアミン系光安定剤を含むコーティング剤組成物を架橋硬化してなるものである。
本発明で用いられる基材2は、通常化粧シート用として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、各種繊維の織布や不織布、プラスチックフィルム、プラスチックシート、金属箔、金属シート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材などを用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体など、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。これらのうち、加工性などを考慮すると、プラスチックフィルム、プラスチックシートが好ましく、なかでもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーなどのポリオレフィン系樹脂の基材が好ましく、加工性を考慮するとポリプロピレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
また、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントにアイソタクチックポリプロピレン、ソフトセグメントにアタクチックポリプロピレンを質量比80:20で混合したものが好ましい。
基材2の厚さについては特に制限はないが、加工性、柔軟性、強度などの観点から、50〜150μmの範囲であることが好ましく、50〜120μmの範囲であることがさらに好ましい。
図1に示される柄印刷層3は、本発明の化粧シートに装飾性を付与するものであり、好ましくは絵柄層3a及び着色層3bからなる層である。なお、後に詳述するように、基材2の色彩などをそのまま利用し、隠蔽する必要がないような場合には、絵柄層3aのみを施してもよいし、一方、柄を必要としない場合には、着色層3bのみを施してもよい。
柄印刷層の形成は、通常はインキを用い、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インキジェットプリントなどの公知の印刷法などで形成できる。
バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などの公知のバインダーの中から、要求される物性、印刷適性などに応じて適宜選択すれば良い。例えば、セルロース系樹脂、アクリル樹脂のほか、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などの単体又はこれらを含む混合物を用いることができる。
これらの樹脂は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
着色層3bに用いるインキとしては、絵柄層3aで用いたのと同様のものを用いることができる。
表面保護層5は、伸び率が25%以上のカプロラクトン系ウレタンアクリレート、トリアジン系紫外線吸収剤、及び反応性官能基Aを有するヒンダードアミン系光安定剤を含むコーティング剤組成物を架橋硬化してなる層である。より具体的には、該コーティング剤組成物を塗工し、電離放射線などを照射することにより架橋硬化させて形成する層である。
コーティング剤組成物に含まれる伸び率が25%以上のカプロラクトン系ウレタンアクリレートは、電離放射線硬化性を有する樹脂であり、通常カプロラクトン系ポリオールと有機イソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応により得ることができるものである。
本発明で用いられるカプロラクトン系ウレタンアクリレートを含むコーティング剤組成物を、ガラス板にアプリケーターを用い膜厚が150μmとなるように塗装し、60℃に加熱した熱風乾燥機内で約10分間乾燥し有機溶剤を揮発させた後、酸素濃度200ppmの環境化において、加速電圧175KeV、5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して、厚さ約60μmの硬化フィルムを得る。得られた硬化フィルムをガラス板から剥がし、JIS K7113に準拠して、伸び率を算出する。具体的には、硬化フィルムを長さ12mm、幅25mmの短冊形に切り出し、テストスパンを80mmとし、テンシロン万能試験機(「RTC−1250A(型番)」,株式会社エー・アンド・デイ製)で、引っ張り速度50mm/分の速度で硬化フィルムが破断するまで引っ張り、破断時の伸び(mm)から下記の計算式により算出した値が伸び率(%)である。
伸び率(%)=[破断時の伸び(mm)/テストスパン(mm)]×100
コーティング剤組成物に含まれるトリアジン系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2'−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
コーティング剤組成物に含まれるヒンダードアミン系光安定剤において、反応性官能基Aは、カプロラクトン系ウレタンアクリレートと反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
本発明で用いられるコーティング剤組成物は、該組成物の被塗物に自浄性を付与するために、所望によりシリケート化合物を含有することができる。該シリケート化合物は、カプロラクトン系ウレタンアクリレートと反応性を有する反応性官能基Bを有するシリケート化合物であれば特に制限はない。反応性官能基Bとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
反応性官能基Bを有するシリケート化合物は、好ましくは下記一般式(1)で示される化合物である。
炭素数1〜10の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基、アラルキル基などが好ましく挙げられる。これらの基は置換されていても置換されていなくてもよく、また、アルキル基及びアルケニル基は直鎖状であっても、枝分かれ状であってもよい。これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
また、n1は1〜30が好ましく、1〜10がより好ましい。
また、n2は1〜30が好ましく、1〜10がより好ましい。
本発明で用いられるコーティング剤組成物は、その性能を阻害しない範囲で各種添加剤を含有することができる。各種添加剤としては、例えば重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
本発明の化粧シートの表面保護層5の形成は、以下のようにして行われる。
コーティング剤組成物の塗工は、硬化後の厚さが通常1〜20μm程度となるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより行う。また、優れた耐候性とその持続性、さらには透明性と防汚性とを得る観点から、好ましくは2〜20μmである。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
本発明の化粧シートにおいて、柄印刷層3と表面保護層5との間にプライマー層4が積層されることが好ましい。
プライマー層4は、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートやポリエステル系ウレタンアクリレート、あるいはポリカーボネート系ウレタンアクリレートとアクリルポリオールとからなる樹脂を用いて形成することが好ましい。これらの樹脂を用いることで、極めて高い耐候性を本発明の化粧シートに付与することができる。
ここで、ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系イソシアネートや、イソホロンジイソシアネート、水素転化キシリレンジイソシアネートなどの脂環式系イソシアネートが好ましく挙げられる。アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸やアルキル基の炭素数が1〜6程度の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、アクリルポリオールは、上記したアクリルモノマーにヒドロキシル基が導入されたものである。例えば、上記アクリルモノマーに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアクリレートを共重合させて合成することができる。これらのアクリルポリオールは、架橋剤としての機能を果たす。
紫外線吸収剤としては、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、サリチレート系、アクリロニトリル系などが好ましく挙げることができる。なかでも、紫外線吸収能が高く、また紫外線などの高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系がより好ましい。
また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
接着剤層7は、柄印刷層3による凹凸をならし、基材2と表面保護層5との接着性を向上させるために、所望により設けられる層であり、透明の樹脂からなる層である。
接着剤層7の形成に用いられるインキとしては、バインダーに必要に応じて、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、紫外線吸収剤、光安定剤及び硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はないが、アクリル/ポリウレタン系共重合体が、柔軟性、強靭性及び弾性を兼ね備えており好ましい。なお、環境を考慮した場合には、塩素を含有する樹脂系は使用しないことが好ましい。
また、接着剤層7の厚さとしては、通常2〜25μmの範囲であり、3〜20μmの範囲が好ましい。
本発明の化粧板は、本発明の化粧シートの表面保護層が最表面層となるように、該シートが被着材に積層されてなるものである。
本発明の化粧シートが適用される被着材は、特に制限されるものではなく、公知の化粧板に用いられるものと同様のものを用いることができる。例えば、木質材、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラスなどが挙げられ、なかでも鋼板などの金属材料、木質材が好ましく挙げられる。鋼板としては、具体的には、溶融亜鉛メッキ鋼板などが挙げられ、木質材としては、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピーなどの各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パティクルボード、中密度繊維板(MDF)などが挙げられる。
なお、接着剤で本発明の化粧シートを各種被着材に接着するに際し、裏面プライマー層6を設けることが接着性を高めることができるので好ましい。
(評価方法)
(1)耐候性の評価(耐候性試験)
実施例及び比較例で得られた化粧シートを、ダイプラ・ウィンテス株式会社製メタルウェザーにセットし、ライト条件(照度:60mW/cm2、ブラックパネル温度63℃、層内湿度50%RH)で20時間、結露条件(照度:0mW/cm2、ブラックパネル温度30℃、層内湿度98%RH)で4時間、水噴霧条件(結露条件の前後10秒間)の条件で800時間放置する耐候性試験を行った。該試験後、25℃50%RHの条件下で2日間保持してから、シート表面にクラックや白化などの外観を下記の基準で評価した。
◎ :外観変化は全くなかった
○ :外観変化はほとんどなかった
△ :外観変化は若干あるが、実用上問題なかった
× :外観変化が著しかった
実施例及び比較例で得られた化粧シートを、鋼板に貼付して、90度の折り曲げ加工を行い、その際に割れや白化が生じないかを目視して、下記の基準で評価した。
○ :割れや白化はほとんど確認されなかった
△ :割れや白化が確認された
× :割れや白化が著しかった
各実施例及び比較例で得られた化粧シートの表面を、酢酸エチルを染み込ませたガーゼを輪ゴムで取り付けた300g/cm2の錘で横方向に50往復し、シートの表面を目視して、下記の基準で評価した。
○ :シート表面の変化は全くみられなかった
△ :シート表面の変化が若干みられたが、実用上問題なかった
× :シート表面の変化が著しかった
実施例及び比較例で得られた化粧シートを常温下で24時間保管した後、化粧シートの表面を指で触って、下記の基準で評価した。
○ :べたつきは全くなかった
△ :紫外線吸収剤などのブリードによるべたつきは若干あるが、実用上問題なかった
× :ブリードによるべたつきが著しかった
実施例及び比較例で得られた化粧シートにJIS K6902に規定された汚染物質を塗布し、時計皿で被覆して24時間後にエタノールでふき取ったときの汚染物の残存具合を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
○ :汚染物の残存は全くない
△ :汚染物の残存はあるものの軽微なもので実用上問題がない
× :汚染物の残存が著しい
上記耐候性試験を行ったシートについて、その表面にニチバン製セロテープ(登録商標)を貼付けて急激に剥離する操作を1回行った。このときの、基材上に設けた各層が剥離するかどうかを肉眼観察により確認し、下記の基準で評価した。
◎ :層の剥離は全くなかった
○ :層の剥離はほとんどなかった
△ :層の剥離は若干あるが、実用上問題なかった
× :層の剥離が著しかった
各実施例及び比較例で得られたシートを、屋外南向きに傾斜45°で設置して、3ヶ月放置する屋外曝露試験を行った。その後、表面の汚れの付着及び沈着状態を下記の基準で評価した。
○ :汚れの付着や沈着はほとんどなかった
△ :汚れの付着や沈着は若干あるが、実用上問題なかった
× :汚れの付着や沈着が著しかった
実施例及び比較例で得られたシートに赤色染料で着色したサラダ油を塗布した後、水で洗い流した。その後、表面の汚れの付着及び沈着状態を下記の基準で評価した。
○ :汚れの付着や沈着はほとんどなかった
△ :汚れの付着や沈着は若干あるが、実用上問題なかった
× :汚れの付着や沈着が著しかった
実施例及び比較例で得られたシートを、50℃の温水に浸漬し、2日間保持してから、シート表面の白化状態を下記の基準で評価した。
○ :外観変化は全くなかった
△ :外観変化は若干あるが、実用上問題なかった
× :外観変化が著しかった
各実施例及び比較例で得られたシートについて、スチールウールを用いて、300g/cm2の荷重をかけて5往復擦り、外観を目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
○ :外観にほとんど変化なかった
△ :外観に若干の傷つきや艶変化があった
× :外観に傷つきがあり、艶変化があった
耐水性試験は、化粧シートの試験片を、25℃中の水道水中に30日間浸漬させ、取り出した後、室内環境中に2日間放置し、該化粧シートの表面に長さ50mmのセロハン粘着テープ(ニチバン株式会社、商品名「セロテープ(登録商標)」、産業用24mm幅)を貼り、室温(25℃)にて布でこすり圧着した。温度上昇したテープ表面を室温(25℃)にまで冷却し、手で一気にセロハン粘着テープを剥離し、セロハン粘着テープへの付着の有無を目視で確認し、下記の基準で評価した。
○ :化粧シートを構成する層の付着は全く確認されなかった
△ :化粧シートを構成する層の付着は若干確認されたものの、実用上問題ない
× :化粧シートを構成する層の付着が著しかった
基材2として、着色ポリプロピレン樹脂(厚さ80μm)からなる樹脂シートを準備した。この表面及び裏面にコロナ放電処理を施した後、表面に木目柄をグラビア印刷により形成し、柄印刷層3を形成し、該柄印刷層3の上に、下記組成のプライマー層形成用組成物を2.5g/m2で塗工し、プライマー層4(厚さ:2μm)を形成した。一方、裏面には、ウレタン系樹脂をバインダーとした裏面プライマー層7(厚さ2μm)をグラビア印刷により形成した。
次に、下記組成の電離放射線硬化性樹脂組成物を、グラビアコートにより塗工し、塗膜を形成した後、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させることにより、表面保護層(10g/m2)を形成させて化粧シートを得た。なお、表面保護層の厚さは10μmであった。得られた化粧シートについて上記評価を行った結果を第1表に示す。
以下の樹脂組成物と硬化剤とを100:5(質量比)の割合で混合して得られる組成物である。
樹脂組成物:
ポリカーボネート系ウレタンアクリレート(ポリカーボネート系ウレタンアクリレートにおけるウレタン成分とアクリル成分の質量比:70/30):100質量部
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン400(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製):15質量部
ヒンダードアミン系光安定剤(「チヌビン123(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製):3質量部
硬化剤:
ヘキサンメチレンジイソシアネート
カプロラクトンジオール系ウレタンアクリレート(2官能,分子量:約1000,伸び率:40%):100質量部
トリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン479(商品名)」,2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン,チバ・ジャパン株式会社製):2質量部
反応性官能基を有する光安定剤(商品名「サノールLS−3410」,1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート,チバ・ジャパン株式会社製):6質量部
実施例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物にさらに反応性官能基を有するシリケート化合物(「MKCシリケート MS56S(商品名)」,テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物,三菱化学株式会社製)を10質量部加えたものを電離放射線硬化性樹脂組成物とした以外は、実施例1と同様にして化粧シートを作製した。得られた化粧シートについて上記評価を行った結果を第1表に示す。
実施例2において、表面保護層5の厚さを20μmとした以外は、実施例2と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて上記評価を行った結果を第1表に示す。
実施例2において、電離放射線硬化性樹脂組成物のカプロラクトンジオール系ウレタンアクリレートをカプロラクトン系ウレタンアクリレート(3官能,分子量:約1200,伸び率:17%)とした以外は、実施例2と同様にして化粧シートを作製した。得られた化粧シートについて上記評価を行った結果を第1表に示す。
比較例1において、表面保護層5の厚さを20μmとした以外は、比較例1と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて上記評価を行った結果を第1表に示す。
比較例1において、表面保護層5の厚さを5μmとした以外は、比較例1と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて上記評価を行った結果を第1表に示す。
実施例2において、カプロラクトンジオール系ウレタンアクリレートのかわりにポリエーテル系ウレタンアクリレート(2官能,分子量:約3000)を用いた以外は、実施例2と同様にして化粧シートを作製した。得られた化粧シートについて上記評価を行った結果を第1表に示す。
基材として、着色ポリプロピレン樹脂(厚さ80μm)からなる樹脂シートを準備した。この表面及び裏面にコロナ放電処理を施した後、表面に木目柄をグラビア印刷により形成し、柄印刷層を得た。
柄印刷層3の上に、2液硬化型ウレタン樹脂からなる塗液を塗工して接着剤層(乾燥状態での厚さ15μm)を形成し、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマーをTダイで溶融して得た透明樹脂層(厚さ80μm)を形成し、透明樹脂層をドライラミネート法により積層させた。さらに、該透明樹脂層の上に、ウレタン系樹脂をバインダーとした樹脂組成物を塗工し、厚さ2.5μmのプライマー層を形成した。
次に、下記組成の電離放射線硬化性樹脂組成物を、グラビアコートにより塗工し、塗膜を形成した後、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させることにより、表面保護層(10g/m2)を形成させて化粧シートを得た。なお、表面保護層の厚さは10μmであった。得られた化粧シートについて上記評価を行った結果を第1表に示す。
カプロラクトン系ウレタンアクリレート(3官能,分子量:約1200,伸び率:17%):100質量部
シリカ微粒子(平均粒径:5μm,吸油量:200〜300ml/g,見かけ比重:0.08〜0.16g/cm3):10質量部
シリカ微粒子(平均粒径:4μm,吸油量:0〜50ml/g,見かけ比重:0.45〜0.85g/cm3):5質量部
ワックス(脂肪族系ワックス,融点110〜200℃):5質量部
トリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン479(商品名)」,2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン,チバ・ジャパン株式会社製):2質量部
反応性官能基を有する光安定剤(商品名「サノールLS−3410」,1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート,チバ・ジャパン株式会社製):6質量部
反応性官能基を有するシリケート化合物(「MKCシリケート MS56S(商品名)」,テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物,三菱化学株式会社製):10質量部
一方、伸び率が25%以下のカプロラクトン系ウレタンアクリレートを用いた比較例1〜3の化粧シートは、加工性の点で十分な性能を有しないことが、またコーティング剤にポリエーテル系を使用した比較例4の化粧シートは、べたつきや耐溶剤性及び耐汚染性の点で十分な性能を有しないことが確認された。透明樹脂層を有する比較例5及び6の化粧シートは、耐水試験後という極めて厳しい条件に晒された場合、その層間密着の評価の点で、十分な性能を有しなかった。
2.基材
3.柄印刷層
3a.絵柄層
3b.着色層
4.プライマー層
5.表面保護層
6.裏面プライマー層
7.接着剤層
Claims (11)
- 基材、柄印刷層及び表面保護層からなり、該表面保護層が伸び率25%以上のカプロラクトン系ウレタンアクリレート、トリアジン系紫外線吸収剤、及びカプロラクトン系ウレタンアクリレートと反応性を有する反応性官能基Aを有するヒンダードアミン系光安定剤を含み、電離放射線硬化性を有する樹脂として該カプロラクトン系ウレタンアクリレートのみを含むコーティング剤組成物を架橋硬化してなるものである化粧シート。
- カプロラクトン系ウレタンアクリレートが、カプロラクトンジオール系ウレタンアクリレートである請求項1に記載の化粧シート。
- カプロラクトンジオール系ウレタンアクリレートが、ポリカプロラクトン系ポリオールと有機ポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応で合成して得られ、該カプロラクトン系ポリオールがポリカプロラクトン及びジエチレングリコールであり、該有機ポリイソシアネートがイソホロンジイソシアネートであり、ヒドロキシ(メタ)アクリレートが2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである請求項2に記載の化粧シート。
- カプロラクトン系ウレタンアクリレートの数平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の数平均分子量)が、1000〜10000である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
- 反応性官能基Aが、エチレン性二重結合を有する官能基である請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
- エチレン性二重結合を有する官能基が、(メタ)アクリロイル基である請求項5に記載の化粧シート。
- コーティング剤組成物が、さらにカプロラクトン系ウレタンアクリレートと反応性を有する反応性官能基Bを有するシリケート化合物を含むものである請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
- 反応性官能基Bが、エチレン性二重結合を有する官能基、又は水酸基である請求項7に記載の化粧シート。
- 反応性官能基Bが、(メタ)アクリロイル基である請求項8に記載の化粧シート。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の化粧シートの表面保護層が最表面層となるように、当該化粧シートが被着材に積層されてなる化粧板。
- 被着材が、鋼板である請求項10に記載の化粧板。
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