JP7143054B2 - 化粧シート及びこれを用いた成型品 - Google Patents
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1.基材シート上に、少なくとも表面保護層を有する化粧シートであって、
(1)前記表面保護層の表面の20°グロスが40以上であり、
(2)前記表面保護層の表面のオレイン酸の接触角が15°以上であり、
(3)前記化粧シートの厚みが50~250μmであり
(4)前記化粧シートは、クラック発生伸度が15~300%である、
ことを特徴とする化粧シート。
2.前記表面保護層の厚みが4~25μmである、項1に記載の化粧シート。
3.2%モジュラスが5~25N/15mmである、項1又は2に記載の化粧シート。
4.前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂を含む、項1~3のいずれかに記載の化粧シート。
5.前記基材シートの裏面に、更に裏面プライマー層を有する、項1~4のいずれかに記載の化粧シート。
6.項1~5のいずれかに記載の化粧シートの表面にマスキングフィルムを有する、マスキングフィルム付き化粧シート。
7.被着材上に、項1~5のいずれかに記載の化粧シート、又は項6に記載のマスキングフィルム付き化粧シートを有する成型品。
本発明の化粧シートは、基材シート上に、少なくとも表面保護層を有し、(1)上記表面保護層の表面の20°グロスが40以上であり、(2)上記表面保護層の表面のオレイン酸の接触角が15°以上であり、(3)上記化粧シートの厚みが50~250μmであり(4)前記化粧シートは、クラック発生伸度が15~300%であることを特徴とする。上記構成備える本発明の化粧シートは、化粧シートの厚み及びクラック発生伸度が特定の範囲であるので、成型加工性に優れており、且つ、耐汚染性に優れている。また、本発明の化粧シートは、表面保護層の表面の接触角が15°以上であるので、化粧シートの成型加工性を付与するためにクラック発生伸度を上記範囲としても、耐指紋性に優れており、表面保護層の表面の20°グロスが40以上であり高い鏡面性を示していても、指紋が目立ち難い。
化粧シートを用いてJIS K7127に準拠した短冊型の試験片を作製し、該試験片を、室温環境下において、引張試験機を用いて引張速度200mm/分、チャック間距離100mmの条件で、任意伸度で引っ張った後、該試験片をホワイトボード用マーカーでチャック間内を着色し、該着色部を布でふき取り、クラックの発生によりふき取れなくなったときの伸度をクラック発生伸度とした。また、本発明の化粧シートは、表面保護層上にさらにマスキングフィルムを有するマスキングフィルム付き化粧シートの態様や、裏面側にさらに接着剤層を有する接着剤層付き化粧シートの態様で実施し得るが、クラック発生伸度は、後述するマスキングフィルムや接着剤層を有さない状態で測定した値である。
また、化粧シートのクラック発生伸度の調整は、表面保護層を形成する際の電離放射線の照射強度を調整することによっても行うことができる。電離放射線の照射強度を強くすると表面保護層が硬くなり、クラック発生伸度が小さくなる。一方、電離放射線の照射強度を弱くすると表面保護層が柔らかくなり、クラック発生伸度が大きくなる。
表面保護層は、本発明の化粧シートに耐汚染性、耐指紋性、耐傷性等の表面特性を付与し、かつ優れた鏡面性を付与する層である。
例えば、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートなどの重合性モノマーや、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーなどの重合性オリゴマー、ないしはプレポリマーの中から単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度を調整し、塗布適性を向上させる観点から、重合性オリゴマーと重合性モノマーとを組み合わせて使用することもできる。
また、光増感剤としては、例えばp-ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
基材シートの材質は、本発明の効果を妨げなければ特に限定されず、公知のプラスチック基材を用いることができる。プラスチック基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂シート;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂シート;アクリロニトリルブタジエンスチレン;ポリ塩化ビニル等の各種のプラスチックシート等が使用できる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂シートが好ましく、ポリプロピレン樹脂により構成されるオレフィン系樹脂シートがより好ましい。ポリプロピレン樹脂を採用することにより、基材シートを薄いものとしても糊(接着剤)の塗布むら、あるいは被着材の表面の凹凸などの、いわゆるダクを拾いにくく、優れた鏡面性が得られ、また優れた成型加工性が得られ、材料費や輸送費のコストアップを抑えることも可能となる。さらに、本発明の化粧シートに優れた耐候性、耐汚染性、耐傷性、耐溶剤性、及び耐熱性などの特性を付与することもできる。
ここで、ガラス転移点(Tg)は、JIS K7121-1987に準拠して測定される値である。具体的には、基材シートを試験片として、該試験片を室温から20℃/分の割合で昇温させ、示差走査熱量計(DSC)にて発熱量を測定し、吸熱曲線図又は発熱曲線図を作成し、変曲点前後の直線部分にそれぞれ延長線を引き、2本の延長線間の1/2直線と吸熱曲線又は発熱曲線との交点をTgとする。
ここで、融点(Tm)は、JIS K7121-1987に準拠して測定される値である。具体的には、基材シートを試験片として、該試験片を室温から10℃/分の割合で昇温させて融解ピーク終了時より30℃高い温度まで加熱し、10分間保った後、10℃/分で40℃まで冷却し、再度同様の加熱及び冷却を繰返して得られたDSC曲線において、融解ピークの頂点の温度を融点(Tm)とした。なお、DSC曲線に複数の吸熱ピークがある場合には、最大面積の吸熱ピークの頂点温度を採用する。
着色剤の使用量は、基材シートを押出し成形して得る際の製膜性や、機械的強度を低下させない範囲であれば特に制限はない。
上記添加剤のうち、優れた加工特性を得る観点から、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルクなどの無機充填剤を含有することが好ましい。これらの無機充填剤の含有量は、基材2に対して1~60質量%の範囲が好ましい。
プライマー層は、基材シートと表面保護層との間に設けられ、これらの層の密着性や加工性を向上させるために好ましく設けられる層である。
プライマー層は、例えばバインダー樹脂を含む樹脂組成物により構成される。バインダー樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ウレタン/アクリル共重合体、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂などが好ましく挙げられる。また、優れた密着性が得られる観点から2液硬化性樹脂が好ましい。
2液硬化性樹脂としては、主剤に硬化剤を添加して硬化する樹脂であれば特に制限はなく、主剤がポリオール(多価アルコール)であり、硬化剤がイソシアネート硬化剤である、2液硬化性ウレタン樹脂が好ましい。
2液硬化性樹脂として、主剤(ポリカーボネートジオール)と硬化剤(ジイソシアネート)とを反応させて得られるポリカーボネート系ポリウレタンを、ラジカル重合開始剤を使用し、アクリルモノマーをラジカル重合させることにより得られるポリカーボネート系ウレタン/アクリル共重合体を使用することが好ましい。
裏面プライマー層は、基材シートと各種の被着材との接着性を向上させる目的で好ましく設けられる層であり、基材シートの表面保護層を設ける側の面とは反対側の面に設けられる。
本発明の化粧シートは、基材シート又は後述する着色隠蔽層の上に、必要に応じて絵柄模様層を形成してもよい。
基材シート上には、必要に応じて着色隠蔽層を形成してもよい。着色隠蔽層は、基材シート上に全面ベタ印刷層として形成される。
マスキングフィルムは、化粧シートの基板などの被着材への加工時をはじめとし、加工により得られた化粧板の運搬時や施工時の傷付き防止のために、化粧シートの表面保護層の上に好ましく設けられるフィルムである。
マスキングフィルム用基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどが好ましく挙げられる。
また、粘着剤層の厚さは、5~40μmが好ましく、10~30μmがより好ましい。厚さが上記範囲内であると、保管時に剥離しにくく、使用時に剥離しやすく、また粘着剤残りがしにくくなる。
本発明の化粧シートの製造方法としては特に限定されず、例えば、(1)基材シートを形成する工程1、(2)該基材シートにプライマー層及び/又は裏面プライマー層を形成する工程2、(3)該基材シート又はプライマー層上に、電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、架橋硬化させて表面保護層を形成する工程3を順に経ることにより製造することができる。
電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70~300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5~300kGy(0.5~30Mrad)、好ましくは10~100kGy(1~10Mrad)、さらに好ましくは30~70kGy(3~7Mrad)の範囲で選定される。
また、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
本発明の成型品は、被着材上に、本発明の化粧シートを有する。このような成型品としては、被着材、接着剤層、及び本発明の化粧シートを順に有する成型品が挙げられる。
接着剤層の厚さは特に制限はないが、通常、1~100μmの範囲である。この範囲とすることで、被着材と、化粧シートとの接着性をより向上させることができる。
着色ポリプロピレン樹脂シート(「アートプライ(商品名)」、三菱樹脂株式会社製、厚み:110μm)を基材シートとして用意し、その一方の面にウレタンアクリル共重合の樹脂組成物(二液熱硬化型樹脂タイプ)を塗布してプライマー層(厚み:2μm)を形成し、他方の面にポリエステル-ウレタン樹脂組成物を塗布して裏面プライマー層(厚み:2μm)を形成した。
化粧シートの総厚み、クラック発生伸度、及び2%モジュラス、並びに、表面保護層の厚み、及びオレイン酸の接触角、20°グロスを表1のように変更した以外は実施例1と同様にして、化粧シートを製造した。
JIS Z-8741に準拠した方法により、光沢度測定器(BYKガードナー社製マイクログロス)を用いて、角度20°の条件により測定した。測定は、表面保護層の任意の5箇所について行い、平均値を測定値とした。
化粧シートの表面保護層の表面にオレイン酸を2μL滴下し、協和界面科学株式会社製CA-X型接触角計改良を用いて、液滴法にて測定温度23℃の条件で測定した。
化粧シートを用いてJIS K7127に準拠した短冊型の試験片を作製し、該試験片を、室温環境下において、引張試験機を用いて引張速度200mm/分、チャック間距離100mmの条件で、任意伸度で引っ張った後、該試験片をホワイトボード用マーカーでチャック間内を着色し、該着色部を布でふき取り、クラックの発生によりふき取れなくなったときの伸度をクラック発生伸度とした。
JIS K7127に準拠した測定方法により、15mm×140mmの短冊型の試験片を用いて、室温環境下で引張速度200mm/min、チャック間距離100mmで、伸度2%の条件で荷重の値(N/15mm)を測定した。
化粧シートを屋外に6ヶ月間放置する実曝試験により、化粧シートの表面保護層を汚染し、汚れの状態を目視により観察して、下記評価基準に従って評価した。
◎:汚れが全く目立たない
○:汚れが殆ど目立たない
○△:汚れが多少目立つ
△:汚れが目立つ
×:汚れが非常に目立つ
化粧シートの表面保護層に人差し指を3秒間押し付けた後離し、付着した指紋の視認性を三波長蛍光灯下で、塗膜の斜め45°上から目視で観察して、下記評価基準に従って評価した。
◎:指紋が全く目立たない
○:指紋が殆ど目立たない
○△:指紋が多少目立つ
△:指紋が目立つ
×:指紋が非常に目立つ
化粧シートの表面保護層に人差し指を3秒間押し付けた後離し、表面保護層の表面を布で拭き取った。残った指紋の視認性を三波長蛍光灯下で、塗膜の斜め45°上から目視で観察して、下記評価基準に従って評価した。
◎:指紋が全く目立たない
○:指紋が殆ど目立たない
○△:指紋が多少目立つ
△:指紋が目立つ
×:指紋が非常に目立つ
実施例及び比較例で得られた化粧シートの裏面に接着剤(アクリル系感圧接着剤、三洋化成工業株式会社製、ポリシック470-S)を20g/m2の厚みで塗布し、1.0Rの曲率を有する凸部に貼付し、蛍光灯(直管型)の下で化粧シートの外観を目視により観察し、下記の基準で評価した。
◎:外観に全く変化なし(白化、クラック、化粧シートの浮きのいずれも全く確認されない)
○:外観に殆ど変化なし(白化、クラック、又は化粧シートの浮きが極わずかに発生しているが、外観上殆ど分からない)
○△:外観に軽微な変化あり(白化、クラック、又は化粧シートの浮きがわずかに発生し、外観上軽微な変化が見られる)
△:外観に変化あり(白化、クラック、又は化粧シートの浮きが発生し、外観上変化が見られるが、実使用上問題ない程度である)
×:外観に著しい変化あり(白化、クラック、化粧シートの浮き、又はスプリングバックの発生が顕著に認められる)
※2:クラックが発生し、外観上変化しているが、実使用上問題ない程度であった。
※3:スプリングバックの発生が顕著に認められ、外観に著しい変化があった。
※4:クラックの発生が顕著に認められ、外観に著しい変化があった。
2.表面保護層
3.着色隠蔽層
4.絵柄模様層
5.プライマー層
6.マスキングフィルム
7.裏面プライマー層
Claims (4)
- 基材シート上に、少なくとも表面保護層を有する化粧シートであって、
(1)前記表面保護層の表面の20°グロスが40以上90以下であり、
(2)前記表面保護層の表面のオレイン酸の接触角が15°以上75°以下であり、
(3)前記化粧シートの厚みが120~240μmであり
(4)前記化粧シートは、クラック発生伸度が20~200%であり、
(5)前記化粧シートは、2%モジュラスが9~15N/15mmであり、
(6)前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂を含み、且つ、フッ素化合物を含まず、
(7)前記電離放射線硬化型樹脂は、官能基数が2以上の多官能重合性オリゴマーであり、前記多官能重合性オリゴマーは、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、及び、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群より選択される少なくとも1種であり、
(8)前記表面保護層の厚みが6~15μmである、
ことを特徴とする化粧シート。 - 前記基材シートの裏面に、更に裏面プライマー層を有する、請求項1に記載の化粧シート。
- 請求項1又は2に記載の化粧シートの表面にマスキングフィルムを有する、マスキングフィルム付き化粧シート。
- 被着材上に、請求項1又は2に記載の化粧シート、又は請求項3に記載のマスキングフィルム付き化粧シートを有する成型品。
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