JP4240897B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の外装、内装、建具、家具、車両内装等の表面装飾等に用いられる化粧シートに関する。特に、塩化ビニル樹脂シートを使用しない非塩ビ系の化粧シートとして、エンボス加工による凹凸模様を有する上、表面の耐擦傷性、表面保護層の密着性も良好な化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、化粧シートの基材シートとしては、塩化ビニル樹脂シートが多用されてきたが、最近では地球環境への配慮から、該樹脂シートに替わってポリオレフィン系樹脂シート等の非塩ビ系の樹脂シートが使用される様になってきた。
例えば、特開平6−16832号公報では、ポリオレフィン系樹脂としてオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いた化粧シートが開示されており、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる基材シートに、絵柄層を印刷形成した後、更にオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる透明樹脂層を積層一体化すると同時にエンボス加工により凹凸模様を賦形し、更にその上からウレタン樹脂や電離放射線硬化性樹脂による表面保護層を形成した構成の化粧シート等が開示されている。
【0003】
この様に、基材シートやその上の透明樹脂層にオレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂を用いれば、確かに塩化ビニル樹脂シート使用時の場合の様な地球環境問題への懸念は解消する。しかも、透明樹脂層は熱可塑性樹脂であり、熱圧によるエンボス加工で凹凸模様を賦形するにも適した構成となる上、表面樹脂層によって耐擦傷性も向上するし、また表面保護層中にマット剤を添加しておけば、表面の艶調整もできる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、表面保護層として2液硬化型ウレタン樹脂を用いた場合には、確かに耐擦傷性は向上するのだが、化粧シートを木質板等の基材に貼着して化粧板としたものを多数枚積み重ねて運搬すると、化粧シート表面が擦られて傷が発生する問題があり、そこまでの耐擦傷性は得られない。
【0005】
この様な製品運搬時の表面傷付きの問題は、2液硬化型ウレタン樹脂等よりは、架橋密度を上げられる紫外線硬化型樹脂を表面保護層に採用すれば、解決する。しかし、紫外線硬化型樹脂は、架橋硬化の為の紫外線ランプの発熱によって化粧シートが加熱される問題がある。更に、紫外線で架橋硬化させる為に、化粧シートの耐候性向上の為に表面保護層中へ紫外線吸収剤を添加できないという別の問題も発生する。その上、紫外線硬化型樹脂は、硬化反応速度、温度、及び酸素濃度の硬化時間への関与が深く、加工速度の高速化が難しいといった問題もある。
【0006】
また、表面保護層の樹脂に電離放射線硬化性樹脂を用いると、2液硬化型ウレタン樹脂等に比べて表面保護層の密着性が悪く、その下の透明樹脂層がポリオレフィン系樹脂である場合には、該透明樹脂層表面をコロナ放電処理等の易接着処理を施して密着性を向上させた後に行うのが普通であるが、それでも十分で確実な密着性は得難い。
【0007】
そこで、本発明の課題は、エンボス加工による凹凸模様を有する上、表面の耐擦傷性、表面保護層の密着性及びそれを含めた耐候性も良好な化粧シートを提供する事である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の化粧シートでは、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート上に、絵柄層、2液硬化型ウレタン樹脂の硬化物からなる接着層、ポリオレフィン系樹脂からなる透明樹脂層、電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる表面保護層がこの順に積層され、該表面保護層の上から熱圧によるエンボス加工による凹凸模様が賦形されてなる化粧シートに於いて、透明樹脂層と表面保護層間に、アクリル−ウレタンブロック共重合体とイソシアネートとからなる2液硬化型ウレタン樹脂を硬化してなるプライマー層を有し、且つ前記アクリル−ウレタンブロック共重合体のウレタン部分に於けるイソシアネート成分が脂環式イソシアネートで該脂環式イソシアネートがイソホロンジイソシアネート及び水素添加MDIであり、且つ前記硬化剤のイソシアネートが脂肪族イソシアネートであるヘキサメチレンジイソシアネートであり、且つ前記表面保護層の電離放射線硬化性樹脂はウレタンアクリレート系の電子線硬化型樹脂である構成とした。
【0009】
この様な構成とすることで、製品運搬時の耐擦傷性も十分確保される上、その為の表面保護層の密着性と、その耐候性(耐候密着性)も良好な化粧シートとなる。それは、プライマー層の2液硬化型ウレタン樹脂の主剤がアクリル−ウレタンブロック共重合体で、表面保護層の樹脂がウレタンアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂である為に、これらの両層の密着性が良くなるからである。しかも、プライマー層のアクリル−ウレタンブロック共重合体はそのイソシアネート成分が脂肪族や脂環式であり、且つその硬化剤のイソシアネートも脂肪族や脂環式である為に、これらイソシアネートそのものが耐加水分解性、耐熱性等にも優れたものである等の為にプライマー層自体の耐候性が向上し、プライマー層による密着性の耐候性も良くなるからである。
また、表面保護層を形成後に表面保護層上からエンボス加工で凹凸模様を賦形時に、表面保護層が剥離する様な密着性不足も起きない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の化粧シートについて、図面を参照しながら実施の形態を説明する。
【0011】
〔概要〕
先ず、図1は本発明の化粧シートの一形態を示す断面図である。図1に示す化粧シートSは、基本的には、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート1の上に、絵柄層2、2液硬化型ウレタン樹脂の硬化物からなる接着層3、ポリオレフィン系樹脂からなる透明樹脂層4、電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる表面保護層5が、順次積層され、該表面保護層5の上から、エンボス加工による凹凸模様6が賦形された構成であるが、更に、上記透明樹脂層5と表面保護層6との間にはプライマー層7を設けた構成である。
しかもこの上記プライマー層7は、アクリル−ウレタンブロック共重合体の主剤とイソシアネートの硬化剤とからなる2液硬化型ウレタン樹脂を硬化してなる層として構成する。さらにまた、前記主剤であるアクリル−ウレタンブロック共重合体は、そのウレタン部分に於けるイソシアネート成分を、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、或いはこれら両イソシアネートとする。一方、前記硬化剤であるイソシアネートにも、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート、或いはこれら両イソシアネートを用いる。そして、前記前記表面保護層の電離放射線硬化性樹脂には、ウレタンアクリレート系の電子線硬化型樹脂を用いた構成としてある。
以上の如き構成によって、表面保護層表面からのエンボス加工による凹凸模様を有する化粧シートにて、表面の耐擦傷性、表面保護層の密着性及びそれを含めた耐候性が良好な化粧シートとなる。
【0012】
〔基材シート〕
基材シート1はポリオレフィン系樹脂で構成する。基材シートは用途に応じて、隠蔽性又は透明とする。一般的には、基材シート1は着色隠蔽性としたポリオレフィン系樹脂で構成することが多い。基材シートを着色隠蔽性とするのは、被着体色を隠蔽し化粧シートの意匠表現の邪魔にならない様にしたり、絵柄層に対する基調色を演出したりする為である。もちろん、被着体色の隠蔽が不要ならば、基材シートは透明でも良い。基材シートを透明とする場合としては、例えば木質の被着体の板目等を活かす等、被着体の(表面模様を含む)色を下地として活かす場合等である。なお、透明とは無着色透明の他に、着色透明、半透明等である。
なお、着色や隠蔽性とする為の着色剤としては、公知の着色剤を使用できる。例えば、チタン白、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナクリドン、イソインドリノン、フタロシアニンブルー等の有機顔料等の着色剤を用いる。これら着色剤は1種又は2種以上混合して用いられる。
【0013】
基材シートに用いるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(低密度、中密度、又は高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂、或いは各種のオレフィン系熱可塑性エラストマーが用いられる。オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば下記のものが使用できる。
【0014】
(1)特公平6−23278号公報記載の、(A)ソフトセグメントとして、数平均分子量Mnが25,000以上、且つ、質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリプロピレン10〜90質量%と、(B)ハードセグメントとして、メルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10質量%、との混合物からなる軟質ポリプロピレン。
【0015】
この種のオレフィン系熱可塑性エラストマーの中でも、所謂「ネッキング」を生じ難く、加熱、加圧により各種形状に成形したりエンボス加工する際に適性良好なものとしては、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンとの混合割合が、アタクチックポリプロピレンの質量比で5質量%以上50質量%以下のものである。
アタクチックポリプロピレンの質量比を5質量%以上とすることにより、エンボス加工したり、三次元形状、乃至凹凸形状の物品表面形状に成形する際のネッキングによる不均一なシートの変形、及びその結果としての皺、絵柄の歪み等の欠点を解消する事ができる。特にアタクチックポリプロピレンの質量比が20質量%以上の場合が良好である。一方、アタクチックポリプロピレンの質量比が増加し過ぎると、シート自体が変形し易くなり、シートを印刷機に通したときにシートが変形し、絵柄が歪んだり、多色刷りの場合に見当が合わなくなる等の不良が発生し易くなる。また、成形時にも破れ易くなる為に好ましくない。アタクチックポリプロピレンの質量比の上限としては、輪転グラビア印刷等の通常の輪転印刷機を用いて絵柄層を印刷し、また、シートのエンボス加工、真空成形、Vカット加工、射出成形同時ラミネート等を採用する場合は50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
【0016】
(2)エチレン−プロピレン−ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマー。ここで、そのブテンとして、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合体としては、ランダム共重合体で、非晶質の部分を一部含む上記エチレン−プロピレン−ブテン共重合体の好ましい具体例としては次の(i)〜(iii)が挙げられる。
(i) 特開平9−111055号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン及びブテンの三元共重合体によるランダム共重合体である。単量体成分の質量比はプロピレンが90質量%以上とする。メルトフローレートは、230℃、2.16kgで1〜50g/10分のものが好適である。そして、このような三元ランダム共重合体100質量部に対して、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50質量部、炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3質量部を熔融混練してなるものである。
(ii)特開平5−77371号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体であって、プロピレン成分含有率が50質量%以上の非晶質重合体20〜100質量%に、結晶質ポリプロピレンを80〜0質量%添加してなるものである。
(iii) 特開平7−316358号公報記載のもの。これは、エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体であって、プロピレン及び/又は1−ブテンの含有率が50質量%以上の低結晶質重合体20〜100質量%に対して、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶質ポリオレフィン80〜0質量%を混合した組成物に対して、N−アシルアミノ酸アミン塩、N−アシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤を0.5質量%添加してなるものである。
【0017】
なお、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体樹脂は、単独で用いても良いし、上記(i) 〜(iii) に必要に応じ更に他のポリオレフィン系樹脂を混合して用いても良い。
【0018】
(3)特公昭53−21021号公報記載の如き、(A) ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン重合体(結晶性高分子)をハードセグメントとし、これに(B) 部分架橋したエチレン−プロピレン共重合体ゴム、不飽和エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重合体ゴムをソフトセグメントとし、これらを均一に配合し混合してなるオレフィン系エラストマー。なお、モノオレフィンゴム/オレフィン重合体=50/50〜90/10(質量比)の割合で混合する。
【0019】
(4)特公昭53−34210号公報等に記載の如き、(B) 未架橋モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)と、(A) オレフィン系共重合体(結晶性、ハードセグメント)と硬化剤とを混合し、加熱し剪断応力を加えつつ動的に部分架橋させてなるオレフィン系エラストマー。なお、(B) モノオレフィンゴム/(A) オレフィン系共重合体=60/40〜80/20(質量比)である。
【0020】
(5)特公昭56−15741号公報等に記載の如き、(A) アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等のペルオキシドと混合・加熱すると分子量を減じ、流動性を増すペルオキシド分解型オレフィン重合体(ハードセグメント)と、(B) エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のペルオキシドと混合・加熱することにより、架橋して流動性が減じるペルオキシド架橋型モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)、(C) ポリイソブチレン、ブチルゴム等のペルオキシドと混合・加熱しても架橋せず、流動性が不変の、ペルオキシド非架橋型炭化水素ゴム(ソフトセグメント兼流動性改質成分)、及び(D) パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油系軟化剤、とを混合し、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理してなるオレフィン系エラストマー。なお、(A) が90〜40質量部、(B) が10〜60質量部で、(A) +(B) =100質量部として、これに、(C) 及び/又は(D) が5〜100質量部の配合比となる。
【0021】
(6)特開平2−139232号公報に記載の如き、エチレン−スチレン−ブチレン共重合体からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー。
【0022】
(7)極性基としてヒドロキシル基又は/及びカルボキシル基を持たせた、上記(1)から(6)のオレフィン系熱可塑性エラストマー。例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のグラフト重合でヒドロキシル基を、また、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の共重合体でカルボキシル基を導入したオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる。極性基がこの様に例えばヒドロキシル基とカルボキシル基の場合、どちらか一方、又は両方を併用してもよい。また、極性基としては、カルボニル基等でも良い。これら極性基は、絵柄層、接着層等の他の層と密着性を向上させる作用を持つ。
【0023】
なお、上記ポリオレフィン系樹脂は単独使用でも良いが、2種以上混合使用しても良い。また、異なるポリオレフィン系樹脂の層からなる2層、3層等の複層構成であっても良い。
また、基材シート中には、必要に応じ、充填剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、光安定剤(紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤)等の公知の各種の添加剤を添加する。
【0024】
基材シートは、通常、上記の如きポリオレフィン系樹脂を、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押出法等の公知の成膜方法によってシート(フィルム)化した樹脂シートとして用意される。なお、基材シートは、延伸シート、未延伸シートのいずれでも使用可能であるが、Vカット加工等の成形適性は未延伸シートの方が良好である。また、使用する基材シートの厚みは用途等によるが、20〜300μm程度である。
【0025】
また、基材シートと他層との接着面には、必要に応じ、従来公知の各種易接着処理を施しても良い。例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理、或いは、プライマー層形成等である。なお、プライマー層は、2液硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等からなる公知のプライマー剤を用途に応じて選択し、ロールコート等の公知の塗工法で形成すれば良い。
【0026】
〔絵柄層〕
絵柄層2は、絵柄による意匠表現の為のインキ層である。絵柄層2は基材シート1に対して形成すれば良い。絵柄層の形成は、印刷法或いは塗工法等の公知の形成方法で良く、例えば、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、静電印刷、インクジェット印刷、転写印刷等の公知の印刷法で形成できる。また、絵柄層の柄が全面ベタの場合には、ロールコート等の公知の塗工法で形成することもできる。
【0027】
なお、絵柄層の絵柄は、用途に応じて、例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、各種抽象模様、或いは全面ベタ等、或いはこれらの組合わせ等が用いられる。なお、絵柄層は、木目模様等の模様を表現する柄パターン層と、全面ベタ層との組み合わせでも使用される。全面ベタ層は、通常、隠蔽層、着色層、着色隠蔽層等として使用される。
【0028】
なお、絵柄層形成に用いるインキ(或いは)塗料としては、バインダーの樹脂として、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、或いは、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン樹脂等を、1種又2種以上混合して用いる。但し、非塩ビ系の化粧シートとしては、塩素化ポリオレフィン樹脂等のハロゲン含有樹脂は使用しない方が好ましい。
【0029】
これらのなかでも、好ましい樹脂の一つに、ウレタン樹脂が挙げられる。本発明の化粧シートでは、基材シートと透明樹脂層にポリオレフィン系樹脂を使用しているが、このポリオレフィン系樹脂への密着性を得やすいからである。上記ウレタン樹脂としては、熱可塑性ウレタン樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂等を使用できる。2液硬化型ウレタン樹脂としては、例えば、後述する接着剤で列記する如き樹脂等を使用できる。一方、熱可塑性樹脂ウレタン樹脂は、2価のポリオール(ジオール)と2価のポリイソシアネート(ジイソシアネート)を用いて、ウレタン結合を生成させて得られる線状高分子であり、ブタンジオール等の低分子ジオール、エチレンジアミン等のジアミン等の鎖伸長剤も適宜用いる。
【0030】
なお、前記インキの着色剤としては、公知の着色剤、例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノンイエロー、ハンザイエローA、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、アルミニウム、真鍮、等の金属粉末からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料、蛍光顔料等が、1種又は2種以上混合して用いられる。
【0031】
〔接着層〕
接着層3には、2液硬化型ウレタン樹脂を用いる。接着層3に、2液硬化型ウレタン樹脂を用いる事で透明樹脂層を密着良く積層できる。接着層3は、2液硬化型ウレタン樹脂の塗液を、基材シートに絵柄層を形成して得た印刷シートの、絵柄層側の面に対して塗工して形成することができる。この接着層3を形成後、接着層面上にポリオレフィン系樹脂の透明樹脂層を溶融押出塗工或いは樹脂シートのドライラミネーション法で接着・積層させる。そして、最終的に接着層は硬化させて、2液硬化型ウレタン樹脂の硬化物の層となる。
【0032】
上記2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオールを主剤としイソシアネートを硬化剤(硬化剤)とするウレタン樹脂であるが、ポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が用いられる。また、イソシアネートは、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネートが用いられる。或いはまた、イソシアネートとしては、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等も用いられる。なお、耐候性の点では、イソシアネートには、脂肪族乃至は脂環式イソシアネートが好ましい。
【0033】
〔透明樹脂層〕
透明樹脂層4は、透明なポリオレフィン系樹脂で構成する。透明性は、下側の絵柄層を表側から透視可能とする為である。従って、透明とは無着色透明の他に、着色透明、半透明でも良い。なお、透明着色とするには、前述絵柄層で述べた如き公知の着色剤を使用することができる。また、この透明樹脂層4に用いるポリオレフィン系樹脂としては、前述基材シートで列記した如き各種ポリオレフィン系樹脂を使用することができる。従って、ポリオレフィン系樹脂に関する更なる説明は省略する。
化粧シート表面の表面保護層は電離放射線硬化性樹脂の硬化物層とするが、その下側の透明樹脂層をポリオレフィン系樹脂という熱可塑性樹脂で構成することで、(また表面保護層の樹脂も後述する如く特定樹脂で構成することで)表面保護層の上からのエンボス加工によって透明樹脂層がエンボスで変形を受けて、化粧シート表面に形状的に良好な凹凸模様を賦形する事が可能となる。
【0034】
なお、透明樹脂層には、必要に応じ、着色剤の他、充填剤、難燃剤、滑剤、酸化防剤、光安定剤(紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤)等の各種の添加剤を添加することができる。特に耐候性を良くする為には、光安定剤の添加が好ましい。
【0035】
なお、上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系等の有機物の紫外線吸収剤の他に、粒径0.2μm以下の微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン等の無機物を用いることができる。また上記ラジカル捕捉剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等のラジカル捕捉剤を用いることができる。
【0036】
なお、透明樹脂層の形成は、予めカレンダー法、インフレーション法、Tダイ押出法等の公知の成膜方法によって、シート(フィルム)化した樹脂シートを、基材シートに絵柄層を形成して得た印刷シートに対して、ドライラミネーション、或いは熱融着によって積層する事で形成できる。或いは、透明樹脂層とする樹脂を、基材シートに絵柄層を形成した得た印刷シートに対して、溶融押出塗工法(EC法)によって成膜と同時に形成しても良い。
また、透明樹脂層の厚みは、用途等によるが、通常は20〜300μm程度である。
【0037】
なお、透明樹脂層として樹脂シートを用いる場合、その樹脂シートは、延伸シート、未延伸シートのいずれでも使用可能であるが、Vカット加工等の成形適性は未延伸シートの方が良好である。また、樹脂シートとして用いる場合、その他層との接着面には、必要に応じ、従来公知の各種易接着処理を施しても良い。例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理等である。
【0038】
〔プライマー層〕
プライマー層7は、電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる表面保護層5を透明樹脂層4に密着良く積層する為の層である。本発明では、このプライマー層7に2液硬化型ウレタン樹脂を用いるが、その樹脂として特定の樹脂を用いることで、表面保護層と透明樹脂層との密着性が良く、しかもその密着性の耐候性も良く経時的に低下しない強固な密着性が得られる。また、これと同時に、表面保護層を形成した後でその表面保護層の上からエンボス加工を行っても、表面保護層が剥離する様な密着性不足も起きない。
【0039】
プライマー層7に用いる2液硬化型ウレタン樹脂として、本発明では、アクリル−ウレタンブロック共重合体を主剤とし、イソシアネートを硬化剤とする2液硬化型ウレタン樹脂を用いる。しかも、上記主剤とするアクリル−ウレタンブロック共重合体については、そのウレタン部分に於けるイソシアネート成分が脂肪族イソシアネート及び/又は脂環式イソシアネートである重合体を用いる。また、上記硬化剤とするイソシアネートも、脂肪族イソシアネート及び/又は脂環式イソシアネートを用いる。
【0040】
主剤にアクリル−ウレタンブロック共重合体という、アクリル部分とウレタン部分との両ブロックを含む重合体を用いることで、ウレタンアクリレート系の電子線硬化型の電離放射線硬化性樹脂の硬化物による表面保護層とプライマー層との密着性が良くなるのである。また、そのウレタン部分に使用されるイソシアネート成分については、脂肪族や脂環式のイソシアネートを用い、なお且つ主剤に対する硬化剤のイソシアネートについても脂肪族や脂環式のイソシアネートを用いることで、これらイソシアネートそのものが耐加水分解性、耐熱性等にも優れたものである等の為にプライマー層自体の耐候性が向上し、プライマー層による透明樹脂層と表面保護層との密着性向上効果の耐候性も得られ、経時的な密着性の低下を防げる事になる。よって、表面保護層に、2液硬化型ウレタン樹脂等に比べて、より耐擦傷性が優れているが密着性確保が難しい電離放射線硬化性樹脂を用いていても、表面保護層の密着性を確保でき、しかもその耐候性も良好となるのである。
【0041】
ところで、上記アクリル−ウレタンブロック共重合体とは、アクリル系単量体の重合反応によって得られる、アクリル単量体の連鎖部分(アクリル成分)(A)を有し、なお且つ、アクリル単量体の連鎖(或いは他の単量体との共重合による連鎖)を一部含んでいても良いが、少なくともアクリル単量体の連鎖(或いは他の単量体との共重合による連鎖)以外の連鎖部分を含むヒドロキシル基含有化合物(B)と、該ヒドロキシル基含有化合物とイソシアネート基含有化合物(C)との反応(ウレタン反応)で得られるウレタン結合含有部分(ウレタン成分)(D)も有する化合物である。
【0042】
前記ヒドロキシル基含有化合物(B)は、アクリル系単量体の重合反応を利用して得られる所謂アクリルポリオールでも良いのだが(例えば、ポリカーボネートポリオール等)のそれ以外のポリオールを利用することによって、物性調整の自由度が増し、より幅広い用途に適した重合体とすることができる。
【0043】
この様なアクリル−ウレタンブロック共重合体は、例えば、ポリカーボネートポリオール(B)とポリイソシアネート(C)とを反応させて得たポリカーボネートポリウレタン(D)と、アクリルポリオール(A)とを反応させたり、或いは、アクリルポリオール(A)とポリカーボネートポリオール(B)とポリイソシアネート(C)の3化合物を反応させて得られる。
【0044】
そして、該アクリル−ウレタンブロック共重合体のウレタン成分を構成するポリオール成分としては、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール等を用い、またこれに更にアクリルポリオールを併用しても良い。また、該ウレタン成分を構成するイソシアネート成分としては、耐候性を有するものが好ましい。耐候性を有するイソシアネートとしては、脂環式イソシアネート、脂肪族イソシアネートが好ましい。なお、脂環式イソシアネートと脂肪族イソシアネートとを併用しても良い。脂環式イソシアネートとしては、例えば、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、水素添加MDI(水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート)等を用いることができる。また、脂肪族イソシアネートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を用いることができる。なお、これらは、1種又は2種以上使用する。
【0045】
また、上記アクリル−ウレタンブロック共重合体のアクリル成分としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステルの単量体からなる重合体、或いはこれら単量体からなるプレポリマー等の1種又は2種以上からなるアクリル系単量体の連鎖部分である。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸の意味である。
【0046】
なお、プライマー層は、基材シート/絵柄層/接着層/透明樹脂層と積層した積層シートの透明樹脂層面に対して、ロールコート等の公知公知の塗工法で形成すれば良い。その際、プライマー層形成に先だって、形成面、つまり透明樹脂層表面に、必要に応じ適宜、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面易接着処理を行っても良い。
【0047】
〔表面保護層〕
表面保護層5は、電離放射線硬化性樹脂の硬化物で構成する。表面保護層の形成は、電離放射線硬化性樹脂からなる塗液を用いてグラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法で、上記プライマー層を形成した面上に塗布後、電離放射線を照射して該樹脂を硬化させて硬化物とする事で形成する。なお、表面保護層の厚さは通常1〜10μm程度である。なお、表面保護層は、下方の絵柄層が透視可能な様に、透明(無着色透明、着色透明、半透明)である。なお、表面保護層は、装飾処理の一つとして、艶調整、塗装感等の意匠性付与の為に利用する事もできる。
【0048】
上記電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線により硬化可能な組成物であり、具体的には、分子中にラジカル重合性不飽和結合、又はカチオン重合性官能基を有する、プレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適宜混合した電離放射線により硬化可能な組成物が好ましくは用いられる。これらプレポリマー又はモノマーは単体又は複数種を混合して用いる。なお、硬化反応は、通常、架橋硬化反応となる。
【0049】
上記プレポリマー又はモノマーは、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物からなる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましくは用いられる。なお、例えば(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子量としては、通常250〜100,000程度のものが用いられる。
【0050】
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーの例としては、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等がある。また、多官能モノマーとして、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等もある。カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーがある。
チオールとしては、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールがある。また、ポリエンとしては、ジオールとジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したもの等がある。
【0051】
これらの電離放射線硬化性樹脂のなかでも、本発明では特にウレタンアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂を用いる。ウレタンアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、上記のうち、ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしてウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを用い、更に必要に応じて、ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとして、単官能モノマーや多官能モノマーを用いた組成物である。
【0052】
表面保護層に電離放射線硬化性樹脂を用いることで、架橋密度を高くできるので、2液硬化型ウレタン樹脂に比べてより優れた耐擦傷性が得られる。その結果、化粧シートを貼着して得た化粧板を積み重ねて運搬時でも、化粧シート表面に擦り傷が付き難くなる。しかも、電離放射線硬化性樹脂としてウレタンアクリレート系の樹脂を採用する事で、表面保護層硬化後に、その上から熱圧によるエンボス加工によって良好なる凹凸模様を賦形する事も可能となり、また、プライマー層との密着性も良好となる。
【0053】
なお、電離放射線としては、電離放射線硬化性樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常用いられるものは、紫外線又は電子線であるが、この他、可視光線、X線、イオン線等を用いる事も可能である。紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用される。紫外線の波長としては通常190〜380nmの波長域が主として用いられる。電子線源としては、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000keV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射するものが使用される。
【0054】
これら電離放射線のなかでも、電子線を用いて、電離放射線硬化性樹脂を電子線硬化型樹脂として使用するのが好ましい。それは、電子線は、紫外線に比べて、硬化反応速度と温度との関りが少なく、また、シート加熱の影響も少なく、高速硬化で加工速度の向上が容易であるからである。更に、耐候性向上の為には表面保護層中に、添加が有利又は不可欠である紫外線吸収剤を添加しても、硬化には影響せず、紫外線吸収剤を添加する事もできるという利点が得られるからである。従って、耐候性の点でも有利となる。
【0055】
なお、上記電離放射線硬化性樹脂には、更に必要に応じて適宜、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂を添加することもできる。
【0056】
また、上記電離放射線硬化性樹脂には、更に必要に応じ適宜、公知の各種添加剤を添加する事もできる。これらの添加剤としては、炭カルシウム、シリカ等の艶消し剤、アルミナ、シリカ等の減磨剤、シリコーン樹脂、ワックス等の滑剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤(HALS)等の光安定剤、着色剤等である。なお、紫外線吸収剤としては、前述透明樹脂層で列記様な化合物を用いることができる。
【0057】
〔凹凸模様〕
凹凸模様6は、熱圧を利用する公知のエンボス加工(加熱プレス)によって賦形すれば良い。該凹凸模様は、表面保護層を積層し該層が固化した後に賦形すると良い。それは、凹凸模様賦形後に表面保護層を形成すると、凹凸模様の凹凸が鈍るからである。また、凹凸模様賦形後に表面保護層を形成すると、表面保護層が薄膜の場合に、凹凸模様の凹部に表面保護層用の塗液を均一に塗工できず、化粧シートの耐汚染性等が低下する可能性も高くなる。エンボス加工は、熱プレス方式の枚葉又は輪転式エンボス機を用いて、表面保護層形成済みの加熱軟化させた積層シートの表面にエンボス版を押圧して賦形する。
なお、凹凸模様としては、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等である。
なお、凹凸模様の凹部内には、公知のワイピング法(特公昭58−14312号公報等参照)によって、着色インキを充填して着色部を形成しても良い。
【0058】
〔化粧シートの被着体〕
なお、本発明の化粧シートの用途は特に限定されず、各種被着体の表面に積層して表面を化粧する用途に用いる。被着体は各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)等である。例えば、木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる木質板素材、鉄、アルミニウム等の板材、立体形状物品或いはシート等として用いられる金属素材、ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯業系素材、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品或いはシート等として用いられる樹脂素材、或いは、専らシートとして用いられる上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、ガラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布または織布、或いは、これら2種以上の素材を複合した素材、例えば、板材や立体形状物品等として用いられる、木粉プラスチック、紙粉プラスチック、FRP(繊維強化プラスチック)等の複合(素)材が挙げられる。
【0059】
〔化粧シート及びその積層物の用途〕
本発明の化粧シートは各種被着体に積層し、必要に応じ所定の成形加工等を施して、各種用途に用いられる。例えば、壁、床、天井等の建築物の内装材、外壁、屋根、扉外面、窓枠等の建築物の外装材、箪笥、棚、机等の家具の表面材、回縁、幅木、扉枠等の造作部材、テレビ受像機等の電気機器の筐体(キャビネット)、冷蔵庫の扉等の家電製品の表面材、自動車、電車、船等の乗物内装材等である。
【0060】
【実施例】
以下、本発明の化粧シートを実施例により更に説明する。
【0061】
〔実施例1〕
図1に示す如き構成の化粧シートSを、次の様にして作製した。
先ず、基材シート1として、着色剤添加で着色隠蔽性とした茶褐色の厚み60μmのポリプロピレン系樹脂フィルムを用意した。そして、この基材シートの表裏面をコロナ放電処理を施した後、表側とする面に、2液硬化型ウレタン樹脂をバインダー樹脂とした用いた着色インキをグラビア印刷して、木目柄の絵柄層2を形成して印刷シートを作製した。
【0062】
次に、上記印刷シートの絵柄層2の上に、2液硬化型ウレタン樹脂からなる塗液を塗工して厚さ2μmの接着層3を形成した後、その上に更に、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体を用いベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤を添加したポリプロピレン系熱可塑性エラストマーを、Tダイで溶融押出塗工して、厚さ60μmの透明樹脂層4を形成した。
【0063】
次に、透明樹脂層4の上に更に、アクリル−ウレタンブロック共重合体の主剤とイソシアネートの硬化剤とからなる2液硬化型ウレタン樹脂の塗液を塗工して、厚さ2μmのプライマー層7を形成した後、ウレタンアクリレート系の電離放射線硬化性樹脂を厚さ5μmにグラビアコートで塗布した。次いで、電子線を175keV、50kGy(5Mrad)の条件で照射して、電離放射線硬化性樹脂の塗膜を架橋硬化させて厚さ5μmの表面保護層5を形成して積層シートとした。
なお、上記主剤のアクリル−ウレタンブロック共重合体は、ウレタン部分のイソシアネート成分がイソホロンジイソシアネートと水素添加MDIであり、その硬化剤のイソシアネートにはヘキサメチレンジイソシアネート系のものを用いた。
【0064】
次いで、上記積層シートの表面保護層面側を、赤外線非接触方式のヒータで加熱して透明樹脂層及び表面保護層を軟らかくした後、該表面保護層側の面から熱圧によるエンボス加工を行い、木目導管溝模様の凹凸模様6を賦形して、図1の如き所望の化粧シートSを得た。
得られた化粧シートは、耐擦傷性、表面保護層の密着性、その密着性も含めた耐候性は、それぞれ良好であった。
【0065】
【発明の効果】
本発明の化粧シートによれば、熱圧によるエンボス加工による凹凸模様を有する上、表面の耐擦傷性、表面保護層の密着性及びそれを含めた耐候性も良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの1形態を例示する断面図。
【符号の説明】
1 基材シート
2 絵柄層
3 接着層
4 透明樹脂層
5 表面保護層
6 凹凸模様
7 プライマー層
S 化粧シート

Claims (1)

  1. ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート上に、絵柄層、2液硬化型ウレタン樹脂の硬化物からなる接着層、ポリオレフィン系樹脂からなる透明樹脂層、電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる表面保護層がこの順に積層され、該表面保護層の上から熱圧によるエンボス加工による凹凸模様が賦形されてなる化粧シートに於いて、透明樹脂層と表面保護層間に、アクリル−ウレタンブロック共重合体の主剤とイソシアネートの硬化剤とからなる2液硬化型ウレタン樹脂を硬化してなるプライマー層を有し、且つ前記主剤のアクリル−ウレタンブロック共重合体のウレタン部分に於けるイソシアネート成分が脂環式イソシアネートで該脂環式イソシアネートがイソホロンジイソシアネート及び水素添加MDIであり、且つ前記硬化剤のイソシアネートが脂肪族イソシアネートであるヘキサメチレンジイソシアネートであり、且つ前記表面保護層の電離放射線硬化性樹脂がウレタンアクリレート系の電子線硬化型樹脂である、化粧シート。
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