JP5682367B2 - 抗アレルゲン性を有する化粧シートの製造方法 - Google Patents
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Description
工程(1)基材シート上に、主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層用2液硬化型樹脂組成物を塗布する工程
工程(2)該プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の赤外線分光分析法のATRスペクトルにおける2800〜3000cm-1で検出されるC−H伸縮振動によるピーク強度と2200〜2400cm-1で検出されるN=C=O伸縮振動によるピーク強度とのピーク強度比を1.5〜35の範囲に調整する工程
工程(3)該プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の塗布面上に、硬化性樹脂及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物を塗布し、硬化させる工程
本発明の抗アレルゲン性を有する化粧シートの製造方法は、工程(1)基材シート上に、主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層用2液硬化型樹脂組成物を塗布する工程、工程(2)該プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の赤外線分光分析法のATRスペクトルにおける2800〜3000cm-1で検出されるC−H伸縮振動によるピーク強度と2200〜2400cm-1で検出されるN=C=O伸縮振動によるピーク強度とのピーク強度比を1.5〜35の範囲に調整する工程、及び工程(3)該プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の塗布面上に、硬化性樹脂及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物を塗布し、硬化させる工程を順に有することを特徴とする。
工程(1)は、基材シート上に、主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層用2液硬化型樹脂組成物を塗布する工程である。
本発明の製造方法で用いられる基材シートとしては、熱可塑性樹脂からなる樹脂シートが好ましく挙げられ、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂のようなポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂のほか、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などが好ましく挙げられる。本発明の製造方法で得られる化粧シートを用いて床材を作製する場合には、これらの基材シートのうち、コスト及びシート柔軟性の点でポリオレフィン系樹脂が好ましく、耐傷つき性といったシートとしての強度が求められる場合には、ポリエステル系樹脂が好ましく、求められる用途に応じて使い分けられる。
また、本発明の製造方法で製造した化粧シートを木質基板に貼り付けて化粧板とする際の、化粧シートと木質基板との接着性向上のため、基材シートの木質基板との接着面に、厚さ1〜5μm程度のプライマー層(裏面プライマー層)を設けてもよい。プライマー層の形成に用いられる材料としては特に限定されず、アクリル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂などが挙げられる。なお、裏面プライマー層に用いられる材料は被着材によって、適宜選択される。
本発明の製造方法で用いられるプライマー層用2液硬化型樹脂組成物は、主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むものである。
プライマー層用2液硬化型樹脂組成物に含まれる主剤としては、イソシアネート系硬化剤の存在により硬化するものであれば特に制限はない。主剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基を有するモノマーとの付加重合によって得られるアクリルポリオールや、公知のジオール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類とアジピン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸などの二塩基酸、これらの酸エステルなどから選ばれる少なくとも一種との重縮合反応によって得られるポリエステルポリオール、あるいは、前記のジオール類とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどとの付加重合によって得られるポリエーテルポリオールなど、官能基として水酸基を有するポリオールが好ましく挙げられる。これらは単独又は複数種を混合して使用できる。なかでも、アクリルポリオールが、プライマー層と抗アレルゲン機能層との層間密着性の観点から、特に好適である。
イソシアネート系硬化剤としては、例えば、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(ないしは脂環式)ポリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物が好ましく挙げられる。
ここで、アダクト変性体とは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物と、前記各種のポリイソシアネート化合物との反応物である。
また、弾性変性ポリイソシアネートとは、前記のポリイソシアネート化合物をモノマーとして用い、これに弾性を有する活性水素含有化合物をウレタン反応させることで、NCO末端のプレポリマーとしたものである。
ポリイソシアネート化合物を弾性変性するために用いられる弾性を有する活性水素含有化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、動植物系ポリオール又はこれらのコポリオールなどが挙げられる。
本発明においては、上記イソシアネート系硬化剤を1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
工程(2)は、上記工程(1)で塗布したプライマー層用2液硬化型樹脂組成物の赤外線分光分析法のATRスペクトルにおける2800〜3000cm-1で検出されるC−H伸縮振動によるピーク強度と2200〜2400cm-1で検出されるN=C=O伸縮振動によるピーク強度とのピーク強度比を1.5〜35の範囲に調整する工程である。本発明におけるピーク強度は、赤外線分光分析法のATRスペクトルにおけるピーク強度であり、積算回数32回、分解能4cm-1として測定したものである。
養生する際の温度条件は、ピーク強度比の調整の容易さ、及び養生時間の長短に影響するが、双方のバランスを考慮すると、通常常温〜80℃程度であり、好ましくは40〜60℃である。
また、養生時間は、温度条件によるが、通常20時間〜100日間程度であり、好ましくは40時間〜40日、より好ましくは40時間〜30日である。養生する期間を短くするには、上記温度条件のうち高い温度域、例えば60〜80℃程度で行えばよく、その一方でピーク強度比が大きくなって所定の範囲外とならないように留意する必要が生じる。また、ピーク強度比を安定して、かつ容易に所定範囲内とするには、上記温度条件のうち低い温度域、例えば常温〜40℃程度で行えばよく、その一方でピーク強度比を所定の範囲内とするには通常50日以上程度、好ましくは50〜125日程度、より好ましくは50〜80日という長い養生期間を要することになる。本発明においては、化粧シートを作製する状況に応じて、養生の条件を適宜選択すればよい。
工程(3)は、上記工程(2)で塗布したプライマー層用2液硬化型樹脂組成物の塗膜面上に、硬化性樹脂及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物を塗布し、硬化させる工程であり、本工程により抗アレルゲン機能層が形成される。該抗アレルゲン機能層は、化粧シートに抗アレルゲン性を付与し、かつ耐候性や耐汚染性に優れた耐久性を付与する層である。
本発明で用いられる硬化性樹脂は、熱あるいは電離放射線の照射により架橋、硬化する樹脂であれば特に制限はない。本発明においては、電離放射線の照射により架橋、硬化する樹脂、すなわち電離放射線硬化性樹脂であることが好ましい。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含むものである。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フェノール/ホルマリン樹脂、尿素樹脂、尿素/ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、メラミン/ホルマリン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、汎用の2液硬化型アクリル樹脂(アクリルポリオール硬化物)などが好ましく挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂は、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテルなどの分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
本発明で用いられる抗アレルゲン剤は、フェノール性水酸基を有するもの、すなわちフェノール性水酸基を有する非水溶性高分子のものであり、該フェノール性水酸基が、アレルゲン性の物質を吸着するとともに不活性化するように機能するものであれば特に制限されない。このような抗アレルゲン剤としては、分子内に複数のフェノール性水酸基、すなわちベンゼン環やナフタレン環などの芳香環に結合した水酸基を有する有機化合物であるポリフェノール化合物で構成されるもの、例えば、ポリ(4−ビニルフェノール)やポリ(3,4,5−ヒドロキシ安息香酸ビニル)などのポリフェノール系の高分子が好ましく挙げられる。市販の抗アレルゲン剤としては、「マルカリンカー S‐2P(商品名)」(丸善石油化学株式会社)などを使用することができ、この抗アレルゲン剤は、ダニや花粉など種々のアレルゲンに対して有効に作用するものである。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物には、本発明の化粧シートを適用するものに対して要求される特性を満たすために、さらに、紫外線吸収剤、光安定化剤、抗菌剤、耐摩耗剤、及び艶消し剤、あるいは沈降防止剤などの添加剤を含有させることができる。
紫外線吸収剤の含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
このような光安定剤の含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部である。
また、有機物の充填剤では、架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜100%程度とすることが透明性保持の観点から好ましい。配合量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜20重量部程度の割合であることが好ましい。
艶消し剤の配合量としては、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、4〜30質量部であり、10〜20質量部であることがより好ましい。
本発明において、抗アレルゲン機能層用樹脂組成物の塗布は、硬化して形成するアレルゲン機能層の厚さが通常5〜30μm程度となるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、フローコーター、吹きつけ法、エアレススプレー法、エアスプレー法、刷毛塗り、コテ塗り、浸漬法、引き上げ法、ノズル法、巻取り法、流し法、盛り付け法、パッチング法などの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより行う。また、耐汚染性、耐傷性の観点から、好ましくは10〜20μmである。なお、樹脂組成物が溶剤を含むような場合は、塗布後に、熱風乾燥機などにより塗布膜を予め加熱乾燥してから電離放射線を照射することが好ましい。
照射線量は、電離放射線硬化型樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
本発明の抗アレルゲン性を有する化粧シートは、本発明の製造方法により製造されるものであり、基材シート、プライマー層及び抗アレルゲン機能層を順に有するものである。
また、本発明の化粧シートは、化粧シートの意匠性を向上させる目的で、所望により印刷層2を有することができる。印刷層2は、通常基材シート1とプライマー層4との間に設けられる。また、基材シート1が上記した複層構成をとる場合、印刷層2は、通常基材シート間に設けられる。
印刷方法としては、通常の、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷などの輪転印刷、枚葉印刷のいずれをも適用できる。
接着剤層3は、上記したように基材シートが複層構成をとる場合、二つ以上の基材シートをラミネートする際に、必要に応じて設けられる層である。接着剤としては、ウレタン系、アクリル系、アクリル/ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリスチレン系、セルロース系などが好ましく挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で、あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
本発明の化粧シートは、床材や壁材などへの適用、あるいは意匠性を考慮すると、化粧シート表面に、エンボス加工によるエンボス模様(図示せず)を施すこともできる。エンボス加工は、抗アレルゲン機能層面から、エンボス板で加熱加圧することのほか、種々の方法により形成することができる。エンボス模様の形状としては、制限はないが、本発明の化粧シートが適用される建材の特性に応じて形成される。
本発明の化粧シートは、基材シートの裏面(抗アレルゲン機能層を設ける面の反対側面)に、粘着剤を介してセパレータを設けることもできる。こうした構成とすることにより、セパレータを剥がして露出した面を被貼着物に貼着することができる。
このようにして得られた化粧シートは、例えば、床材、壁材などの内装材に貼り付けて用いることができ、抗アレルゲン性に優れ、優れた耐候性と耐汚染性とを有した内装材ないし外装材を得ることができる。
本発明の化粧板は、上記の本発明の化粧シートを木質基板に貼り付けてなるものである。図3は、本発明の化粧板の好ましい態様の一例を示す模式図である。本発明の化粧板12は、化粧シート10と木質系基板11とを接着剤を用いて貼り付けて積層したものである。
木質基板としては、木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピーなどの各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)などの木質材などが挙げられる。これらは単独で、または積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
接着剤は、スプレー、スプレッダー、バーコーター等の塗布装置を用いて塗布すればよい。この接着剤は、一般に、接着剤は固形分を35〜80質量%とし、塗布量50〜300g/m2の範囲で基板表面に塗布される。
(1)抗アレルゲン性
各実施例及び比較例で作製された化粧シートについて、ダニアレルゲン(「Derf2(商品名)」,和光純薬工業株式会社製)の水溶液を化粧シート上に400μl滴下して、24時間放置した後、該化粧シート上のダニアレルゲンを回収し、ダニアレルゲンの量を酵素免疫測定法(ELISA法)に準じて下記の基準で抗アレルゲン性を評価した。
○ :抗アレルゲン性が認められるもの
× :抗アレルゲン性が認められないもの
(2)層間密着性
各実施例及び比較例で作製された化粧シートについて、JIS K5400に準拠して、テープ剥離試験を100回実施して、試験後の化粧シート表面の変化について、以下の基準で評価した。
○ :剥離が全く認められなかった
△ :面積比として1/100〜5/100の剥離が認められた
× :面積比として6/100以上の剥離が認められた
(3)耐候性
各実施例及び比較例で作製された化粧シートについて、超促進耐候性試験機(「アイスーパーUVテスター(商品名)」,岩崎電気株式会社製)を用いて、20時間のUV照射及び4時間の噴水による耐候性試験を実施した後の、化粧シート表面の変化について、以下の基準で評価した。
○ :化粧シートの表面が変化しなかった
△ :化粧シートの表面が若干黄変したものの、実用上問題なかった
× :化粧シートの表面が著しく黄変した
(4)耐汚染性
JIS−K−6902に準拠し、各実施例及び比較例で作製された化粧シート表面に、事務用インキ、ブルーブラックを滴下した後、24時間後に水ふきした際の表面変化について、以下の基準にて評価した。
○ :表面の変化が生じないもの
△ :表面が若干汚染されているものの、外観を損なう程度ではないもの
× :表面が著しく汚染されているもの
(5)Vカット適正(シート柔軟性に関する項目)
各実施例および比較例で作製された化粧シートの基材シート側を、接着剤を用いて厚さ10mmのMDFに接着して積層した後、化粧シート側とは反対側に、MDFと接着剤層との界面まで達する断面V字型の溝を切削し、溝を閉じるようにして合板をL字型(断面)に折り曲げて試験し、目視にて加工部を観察し、以下の基準にて評価した。なお、加工時の温度は常温で行った。
○ :シート加工部にクラックが発生しないもの
△ :シート加工部に微小なクラックが発生するが、外観上問題のないもの
× :シート加工部にクラックが発生し、シートの白化等の外観上の明確な変化が観察されるもの
基材シートとして、ポリオレフィン系樹脂シート(60μm透明ポリプロピレンに対し、80μmの厚みで着色ポリエチレンを押し出して形成)を用い、該基材シート上に、主剤として「EBRプライマー(商品名)」(アクリル/ウレタン共重合体,DICグラフィックス株式会社製)100質量部にイソシアネート系硬化剤として「FG−700(商品名)」(ヘキサメチレンジイソシアネート,DICグラフィックス株式会社製)5質量部添加したプライマー層用2液硬化型樹脂組成物を、1.5g/m2の塗布量で塗布した。これを常温(23℃)で75日間放置(養生)した後、FT−IR(「Nicolet Nexas 470(型番)」,Thermo Fisher Scientific社製)を用い、所定の測定条件(積算回数:32回,分解能:4cm-1)で赤外線分光分析法のATRスペクトルを測定し、プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の2800〜3000cm-1で検出されるC−H伸縮振動によるピーク強度と2200〜2400cm-1で検出されるN=C=O伸縮振動によるピーク強度とのピーク強度比が30であることを確認した。その後、プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の塗布面上に、2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:1000)100質量部に、ポリフェノール化合物がジルコニウム化合物に担持された抗アレルゲン剤(「アレリムーブ(商品名)」,東亞合成株式会社製,以降「ハイブリッドタイプ」と称する。)5質量部及び艶消し剤(不定形シリカ,粒径:5μm)16質量部を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物を塗布量15g/m2で塗布した。次いで、加速電圧165kV、照射量50kG(5Mrad)の電子線を照射し、抗アレルゲン機能層用樹脂組成物を硬化させて、抗アレルゲン機能を有する化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価方法に基づき評価して、評価結果を第1表に示した。また、一例として実施例1の赤外線分光分析法のATRスペクトルを図4に示す。
実施例1において、ピーク強度比、硬化剤添加量、硬化性樹脂の種類、ならびに抗アレルゲン剤の種類及び添加量を第1表に示される通りとした以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製し、上記の評価方法に基づき評価して、評価結果を第1表〜第9表に示した。
*2,単官能ウレタン系オリゴマー:単官能ウレタンアクリレートオリゴマー(官能基数:1,重量平均分子量:800)
*3,10官能ウレタン系オリゴマー:単官能ウレタンアクリレートオリゴマー(官能基数:10,重量平均分子量:1800)
*4,12官能ウレタン系オリゴマー:単官能ウレタンアクリレートオリゴマー(官能基数:12,重量平均分子量:2000)
*5,ポリフェノール化合物「マルカリンカー S‐2P(商品名)」,丸善石油化学株式会社製
2.印刷層
3.接着剤層
4.プライマー層
5.抗アレルゲン機能層
10.化粧シート
11.木質系基板
12.化粧板
Claims (7)
- 下記の工程を順に有する、基材シート、プライマー層、及び抗アレルゲン機能層を順に積層してなる抗アレルゲン性を有する化粧シートの製造方法。
工程(1)基材シート上に、主剤及びイソシアネート系硬化剤を含むプライマー層用2液硬化型樹脂組成物を塗布する工程
工程(2)該プライマー層用2液硬化型樹脂組成物を23〜80℃、20時間〜100日間の条件で養生して、該プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の赤外線分光分析法のATRスペクトルにおける2800〜3000cm−1で検出されるC−H伸縮振動によるピーク強度と2200〜2400cm−1で検出されるN=C=O伸縮振動によるピーク強度とのピーク強度比を1.5〜35の範囲に調整する工程
工程(3)該プライマー層用2液硬化型樹脂組成物の塗布面上に、硬化性樹脂及びフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤を含む抗アレルゲン機能層用樹脂組成物を塗布し、硬化させる工程 - 硬化性樹脂が、電離放射線硬化性樹脂である請求項1に記載の製造方法。
- 電離放射線硬化性樹脂が、官能基数2〜10のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである請求項2に記載の製造方法。
- 抗アレルゲン剤が、ポリフェノール化合物で構成されるものである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 該ポリフェノール化合物が、カテキン及びタンニン酸から選ばれる少なくとも一種であり、かつ無機固体酸に担持されている請求項4に記載の製造方法。
- 抗アレルゲン機能層用樹脂組成物中の抗アレルゲン剤の含有量が、硬化性樹脂100質量部に対して1〜30質量部である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 基材シートが、ポリオレフィン樹脂シートである請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
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JP2012171194A (ja) | 2012-09-10 |
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