JP6136440B2 - 積層シート及び発泡積層シート - Google Patents

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Description

本発明は、積層シート及び発泡積層シートに関する。前記発泡積層シートは、発泡樹脂層を有しており、発泡壁紙、各種装飾材等として有用である。また、前記積層シートは、前記発泡積層シートの発泡前の状態であり、いわゆる未発泡原反を意味する。
近年、省エネルギー志向の向上に伴い、エネルギー効率を向上させた高気密性の住宅が求められている。例えば、外断熱工法を用いた住宅では、気密性が向上して夏冬の冷暖房効率が向上することが知られている。
これに対し、住宅の気密性が向上すると通気性が低下するため、臭いやハウスダストの原因となる各種菌、カビ、ダニ(虫体、死骸、抜け殻、糞)、花粉等がたまり易い傾向となる。そして、これらがアレルギーを引き起こす原因物質(いわゆるアレルゲン)となり、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎等のアレルギー疾患の症状を引き起こしていると言われている。
そこで、これらのアレルゲンを抑制させる目的で抗アレルゲン機能を持たせた建築用内装材のニーズが高まっており、抗アレルゲン剤としてはフェノール系化合物が幅広く用いられている。建築用内装材としては、壁材、天井材、床材等があるが、内装材として最も大きな面積を有する壁材に抗アレルゲン機能を持たせることがアレルゲンの効率的な抑制に有効と考えられており、抗アレルゲン機能を持たせた壁紙が提案されている。
ここで、フェノール系化合物を抗アレルゲン剤として用いた内装材としては、例えば、特許文献1には、フェノール系化合物(特にカテキン)を抗アレルゲン剤として含有するトップコート剤をベースシートに固着させたシート状内装材について開示されており、内装材の例示として壁紙が挙げられている(請求項1、[0001]等)。また、特許文献2(請求項1、[0024]等)には、壁紙ではないが、パイル糸と基布とバッキング層からなるカーペットにおいて、基布のパイル糸側表面にフェノール系のアレルゲン低減化剤(チロシン、カテキン等)が固着されている抗アレルゲンカーペットが開示されている。
しかしながら、抗アレルゲン剤としてフェノール系化合物を含有する壁紙(発泡積層シート)には次のような問題がある。つまり、発泡積層シートの発泡樹脂層を形成するために用いる発泡剤としてアンモニアを発生する発泡剤(アゾ化合物、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等)を用いる場合には、アンモニアがフェノール系化合物のフェノール性水酸基(-OH)と反応することによる変色や、抗アレルゲン機能が低下する問題がある。この課題を改善するために発泡剤の変更を提案できるが、前掲の発泡剤は安全性や発泡性の制御に優れることから、発泡剤を変更することなく上記課題を改善することが望ましい。また、変色や抗アレルゲン機能低下の課題を改善するために、抗アレルゲン剤として特許文献3に開示されるような粘土鉱物などの無機系材料を用いることも提案できるが、無機系材料は多量に使用しなければ十分な抗アレルゲン機能が発現せず、無機系材料の樹脂成分に対する配合割合が大きくなることで相対的に樹脂成分の量が減り、却って耐汚染性の低下を招くことが問題となる。
従って、基材上に発泡樹脂層及び抗アレルゲン機能層を順に形成した発泡積層シートであって、発泡樹脂層の形成にアンモニアを発生する発泡剤を用いた場合でも、抗アレルゲン機能層の変色や機能低下が防止され、しかも優れた耐汚染性を有する発泡積層シートの開発が望まれている。
特開2003-13372号公報 特開2008-54898号公報 特開2010-144295号公報
本発明は、基材上に、発泡樹脂層及び抗アレルゲン機能層を順に形成した発泡積層シートであって、発泡樹脂層の形成にアンモニアを発生する発泡剤を用いた場合でも、抗アレルゲン機能層の変色や機能低下が防止されており、しかも優れた耐汚染性を有する発泡積層シートを提供することを目的とする。
また、当該発泡積層シートの製造に有用な、積層シート(未発泡原反)を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、抗アレルゲン機能層に特定の抗アレルゲン剤を含有することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の積層シート及び発泡積層シートに関する。
1. 基材上に、少なくとも発泡剤含有樹脂層及び抗アレルゲン機能層が順に積層されている積層シートであって、
(1)前記発泡剤含有樹脂層は、発泡剤として発泡時に少なくともアンモニアを発生する発泡剤を含有し、
(2)前記抗アレルゲン機能層は、スチレンスルホン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含む重合体を含む抗アレルゲン剤を含有する、
ことを特徴とする積層シート。
2. 前記発泡剤は、アゾ化合物、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム及び亜硝酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種である、上記項1に記載の積層シート。
3. 前記抗アレルゲン機能層は、当該層を構成するマトリックス樹脂100質量部に対して前記抗アレルゲン剤を0.2〜7質量部含有する、上記項1又は2に記載の積層シート。
4. 前記抗アレルゲン剤は、スチレンスルホン酸塩の単独重合体、スチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸共重合体、スチレンスルホン酸塩−スチレン共重合体、スチレンスルホン酸−スチレン共重合体及びスチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸−スチレン三元共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
5. 前記発泡剤含有樹脂層は、電子線照射により樹脂架橋されている、上記項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
6. 前記発泡剤含有樹脂層は、その片面又は両面に非発泡樹脂層を有する、上記項1〜5のいずれかに記載の積層シート。
7. 前記発泡剤含有樹脂層を構成する樹脂成分は、塩化ビニル樹脂及び/又はオレフィン系樹脂である、上記項1〜6のいずれかに記載の積層シート。
8. 前記基材は、繊維質シートである、上記項1〜7のいずれかに記載の積層シート。
9. 上記項1〜8のいずれかに記載の積層シートの前記発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる発泡積層シート。
10. 最表面層の上からエンボス加工が施されている、上記項9に記載の発泡積層シート。
11. 基材上に、少なくとも発泡樹脂層及び抗アレルゲン機能層が順に積層されている発泡積層シートの製造方法であって、
(1)前記発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られ、
(2)前記発泡剤含有樹脂層は、発泡剤として発泡時に少なくともアンモニアを発生する発泡剤を含有し、
(3)前記抗アレルゲン機能層は、スチレンスルホン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含む重合体を含む抗アレルゲン剤を含有し、
(4)前記基材上に、少なくとも前記発泡剤含有樹脂層及び前記抗アレルゲン機能層が順に積層されている積層シートを形成後、前記発泡剤含有樹脂層を発泡させる、
ことを特徴とする発泡積層シートの製造方法。
以下、本発明の積層シート及び発泡積層シートについて詳細に説明する。
≪積層シート≫
本発明の積層シートは、基材上に、少なくとも発泡剤含有樹脂層及び抗アレルゲン機能層が順に積層されている積層シートであって、
(1)前記発泡剤含有樹脂層は、発泡剤として発泡時に少なくともアンモニアを発生する発泡剤を含有し、
(2)前記抗アレルゲン機能層は、スチレンスルホン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含む重合体を含む抗アレルゲン剤を含有する、
ことを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の積層シートは、スチレンスルホン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含む重合体を含む抗アレルゲン剤(以下、「スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤」とも言う)を抗アレルゲン機能層に含有することにより、発泡剤含有樹脂層が発泡時に少なくともアンモニアを発生する発泡剤を含有する場合でも、発泡時の抗アレルゲン機能層の変色や機能低下が抑制されている。また、スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤は、少ない添加量で即効性の抗アレルゲン性を発揮できるため、樹脂成分の相対量が減少することに起因する発泡積層シートの耐汚染性の低下が抑制されている。
以下、本発明の積層シート及び発泡積層シートの層構成について説明するが、以下では、基材から見て抗アレルゲン機能層が積層されている方向を「上」又は「おもて面」と称し、基材から見て反対の方向を「下」又は「裏面」と称する。
基材
基材としては限定されず、公知の繊維質シート(裏打紙)などが利用できる。
具体的には、壁紙用一般紙(パルプ主体のシートを既知のサイズ剤でサイズ処理したもの);難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙などが挙げられる。なお、本発明に使用される繊維質シートには、分類上、不織布に該当しているものも包含される。
基材の坪量は限定的ではないが、50〜300g/m2程度が好ましく、50〜120 g/m2程度がより好ましい。
発泡剤含有樹脂層
本発明で用いる発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分としては、従来から壁装材に用いられている塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂等が広く採用できるが、塩化ビニル樹脂は可塑剤が経時的にブリードするおそれがあることから、積層シートの耐久性を高める観点では塩化ビニル樹脂よりもオレフィン系樹脂が好ましい。また、エンボス賦型が容易である点からも、塩化ビニル樹脂よりもオレフィン系樹脂が好ましく、特にエチレン系樹脂を含有することが好ましい。
エチレン系樹脂としては、特に1)ポリエチレン及び2)エチレンとエチレン以外の成分とをモノマーとするエチレン共重合体(以下、「エチレン共重合体」と略記する)の少なくとも1種を含有することが好ましい。
ポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が広く使用できるが、この中でも低密度ポリエチレンが好ましい。
エチレン共重合体は融点及びMFRの観点で押出し製膜に適している。エチレン共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。
これらのエチレン共重合体は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらのエチレン共重合体の中でも特にエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体の少なくとも1種が好ましく、これらと他の樹脂とを併用する場合には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体の少なくとも1種の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
また、エチレン共重合体は、エチレン以外のモノマーの含有量としては、5〜25質量%が好ましく、9〜20質量%がより好ましい。このような共重合比率を採用することにより、押出し製膜性がより高まる。具体例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの共重合比率(VA量)としては9〜25質量%が好ましく、9〜20質量%がより好ましい。エチレン−メチルメタクリレート共重合体は、メチルメタクリレートの共重合比率(MMA量)としては5〜25質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。また、エチレン−メタクリル酸共重合体は、メタクリル酸の共重合比率(MAA量)としては2〜15質量%が好ましく、5〜11質量%がより好ましい。
発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分は、JIS K 6922に記載の190℃、荷重21.18Nの条件で測定したMFR(メルトフローレート)が10〜25g/10分であることが好ましい。MFRが上記範囲内の場合には、発泡剤含有樹脂層を押出し製膜により形成する際の温度上昇が少なく、非発泡状態で製膜できるため、後に絵柄模様層を形成する場合に平滑な面に印刷処理することができて柄抜け等が少ない。MFRが大きすぎる場合は、樹脂が軟らかすぎることにより、形成される発泡樹脂層の耐傷性が不十分となるおそれがある。
発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物としては、例えば、上記樹脂成分、無機充填剤、顔料、熱分解型発泡剤、発泡助剤、架橋助剤等を含む樹脂組成物を好適に使用できる。その他にも、安定剤、滑剤等を添加剤として使用できる。
本発明では、熱分解型発泡剤として、発泡時に少なくともアンモニアを発生する発泡剤を用いる。発泡時に発生するガスはアンモニアだけでなく、二酸化炭素、水蒸気、窒素、亜酸化窒素等が含まれていてもよい。本発明では、詳細は後述するが、特定の抗アレルゲン機能層を採用することにより、アンモニアを発生する発泡剤を用いる条件下でも、発泡時の抗アレルゲン機能層の変色や機能低下が抑制されている。
このような発泡剤としては、窒素を含有する発泡剤があり、例えば、アゾ化合物、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム及び亜硝酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。この中でも、アゾ化合物としては、特にアゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド等が挙げられる。
熱分解型発泡剤の含有量は、発泡剤の種類、発泡倍率等に応じて適宜設定できる。発泡倍率の観点からは、7倍以上、好ましくは7〜10倍程度であり、熱分解型発泡剤は、樹脂成分100質量部に対して、1〜20質量部程度とすることが好ましい。
発泡助剤は、金属酸化物及び/又は脂肪酸金属塩が好ましく、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等を使用することができる。これらの発泡助剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、0.3〜10質量部程度が好ましく、1〜5質量部程度がより好ましい。
なお、これらの発泡助剤とEMAAとADCA発泡剤とを組み合わせて用いる場合には、EMAAのカルボキシル基と発泡助剤が反応することにより本来の発泡助剤の効果が損なわれるという問題がある。そのため、EMAAとADCA発泡剤とを組み合わせて用いる場合には、特開2009-197219号公報に説明されている通り、発泡助剤としてカルボン酸ヒドラジド化合物を用いることが好ましい。このとき、カルボン酸ヒドラジド化合物はADCA発泡剤1質量部に対して0.2〜1質量部程度用いることが好ましい。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物等が挙げられる。無機充填剤を含むことにより、目透き抑制効果、表面特性向上効果等が得られる。無機充填剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して0〜100質量部程度が好ましく、20〜70質量部程度がより好ましい。
顔料については、無機顔料として、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等が挙げられる。また、有機顔料として、例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等が挙げられる。顔料の含有量は、樹脂成分100質量部に対して10〜50質量部程度が好ましく、15〜30質量部程度がより好ましい。
本発明では、発泡剤含有樹脂層は電子線照射により樹脂架橋されていてもよい。発泡剤含有樹脂層に電子線を照射する方法及び発泡させる方法としては、後記の製造方法に記載された方法に従って実施すればよい。なお、発泡剤含有樹脂層の厚さは40〜100μm程度が好ましく、発泡後の発泡樹脂層の厚さは300〜700μm程度が好ましい。
非発泡樹脂層A及びB
発泡剤含有樹脂層は、その片面又は両面に非発泡樹脂層を有していてもよい。
例えば、発泡剤含有樹脂層の裏面(基材が積層される面)には、基材との接着力を向上させる目的で非発泡樹脂層B(接着樹脂層)を有してもよい。
接着樹脂層の樹脂成分としては、特に限定はないが、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。EVAは公知又は市販のものを使用することができる。特に、酢酸ビニル成分(VA成分)が10〜46質量%であるものが好ましく、15〜41質量%であるものがより好ましい。
接着樹脂層の厚さは限定的ではないが、5〜50μm程度が好ましい。
発泡剤含有樹脂層の上面には、絵柄模様層を形成する際の絵柄模様を鮮明にしたり発泡樹脂層の耐傷性を向上させたりする目的で非発泡樹脂層Aを有してもよい。
非発泡樹脂層Aの樹脂成分としては、ポリオレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられ、その中でもポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の樹脂単体、エチレンと炭素数が4以上のαオレフィンの共重合体(線状低密度ポリエチレン)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体等のエチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、アイオノマー等の少なくとも1種が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味し、他の類似する部分についても同様である。
非発泡樹脂層Aの厚さは限定的ではないが、3〜50μm程度が好ましく、5〜20μm程度がより好ましい。
本発明では、後記製造上の観点からも、基材上に非発泡樹脂層B、発泡剤含有樹脂層及非泡樹脂層Aが順に形成された態様が好ましい。
抗アレルゲン機能層
発泡剤含有樹脂層上(又は非発泡樹脂層A上)には抗アレルゲン機能層が形成されている。この抗アレルゲン機能層は、臭いやハウスダストの原因となる各種菌、カビ、ダニ(虫体、死骸、抜け殻、糞)、花粉等に由来のアレルゲンを抑制させる作用を有しており、通常最表面層へ設ける。
本発明では、抗アレルゲン機能層は、スチレンスルホン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含む重合体を含む抗アレルゲン剤(スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤)を含有する。
スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤の単量体成分の1種であるスチレンスルホン酸の塩の種類については、特に制限されないが、例えば、ナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、マグネシウム塩等が挙げられる。これらの塩の中でも、好ましくはナトリウム塩が挙げられる。
また、スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤の単量体成分であるスチレンスルホン酸及び/又はその塩において、ベンゼン環に結合しているスルホン酸及び/又はその塩の数については、特に制限されないが、1〜3個が好ましく、1又は2個がより好ましく、1個が最も好ましい。
スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤は、スチレンスルホン酸及び/又はその塩を単量体成分として含む限り、単独重合体又は共重合体のいずれであってもよい。スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤として、スチレンスルホン酸及び/又はその塩以外の単量体成分を含む共重合体を使用する場合、当該共重合体におけるスチレンスルホン酸及び/又はその塩以外の単量体成分の含有量については、特に制限されないが、より優れた抗アレルゲン性能を備えさせるという観点から、好ましくは0.1〜90モル%、更に好ましくは50〜80モル%が挙げられる。
スチレンスルホン酸及び/又はその塩と共重合可能な単量体としては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルアルキルエーテル、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、ジイソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、2−ビニルナフタレン、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルトルエン、キシレンスルホン酸、ビニルピリジン、ビニルスルホン酸、ビニルアルコール、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ヒドロキシエチル、ジビニルベンゼン等が挙げられる。これらの単量体の中でも、共重合体の非水溶性を向上させるという観点から、好ましくはスチレン、2−ビニルナフタレン、ジビニルベンゼンが挙げられ、更に好ましくはスチレンが挙げられる。これらの単量体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、スチレンスルホン酸及び/又はその塩と共重合可能な単量体として、ジビニルベンゼンを用いる場合、ジビニルベンゼンは単独で用いてもよいが、その他の単量体と併用することが好ましい。スチレンスルホン酸及び/又はその塩と、ジビニルベンゼンとを含む共重合体において、ジビニルベンゼンの含有量は、0.01〜20モル%が好ましく、0.05〜10モル%がより好ましい。
スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤は、スチレンスルホン酸及び/又はその塩を単量体成分として含む単独重合体及び共重合体の中から、1種の重合体を単独で使用してもよく、また2種以上の重合体を組み合わせて使用してもよい。
スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤の好適な例としては、スチレンスルホン酸塩単独重合体、スチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸共重合体、スチレンスルホン酸塩−スチレン共重合体、スチレンスルホン酸−スチレン共重合体、スチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸−スチレン三元共重合体等が挙げられる。
前記スチレンスルホン酸塩単独重合体としては、特に制限されないが、具体的には、スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体、スチレンスルホン酸カルシウム単独重合体、スチレンスルホン酸アンモニウム単独重合体、スチレンスルホン酸マグネシウム単独重合体等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体、更に好ましくはp−スチレンスルホン酸ナトリウム単独重合体が挙げられる。これらのスチレンスルホン酸塩単独重合体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、前記スチレンスルホン酸塩単独重合体において、1分子当たりのスチレンスルホン酸塩のユニット数については、特に制限されないが、優れた抗アレルゲン性能を備えさせるという観点から、50以上が好ましく、80以上がより好ましく、150以上が最も好ましい。ここで、スチレンスルホン酸塩のユニット数は、下記式に基づいて算出される。
・スチレンスルホン酸塩のユニット数=スチレンスルホン酸塩単独重合体の分子量/スチレンスルホン酸塩の分子量
前記スチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸共重合体としては、特に制限されないが、例えば、スチレンスルホン酸ナトリウム−スチレンスルホン酸共重合体、スチレンスルホン酸カルシウム−スチレンスルホン酸共重合体、スチレンスルホン酸アンモニウム−スチレンスルホン酸共重合体、スチレンスルホン酸マグネシウム−スチレンスルホン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはスチレンスルホン酸ナトリウム−スチレンスルホン酸共重合体、更に好ましくはp−スチレンスルホン酸ナトリウム−スチレンスルホン酸共重合体が挙げられる。これらのスチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸共重合体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、スチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸共重合体中におけるスチレンスルホン酸塩成分の含有量については、特に制限されないが、優れた抗アレルゲン性能、耐水性、樹脂組成物の安定性の観点から、10〜99.9モル%が好ましく、50〜90モル%がより好ましい。
また、前記スチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸共重合体において、1分子当たりのスチレンスルホン酸塩及びスチレンスルホン酸のユニット数の総数については、特に制限されないが、優れた抗アレルゲン性能を備えさせるという観点から、50以上が好ましく、80以上がより好ましく、150以上が最も好ましい。ここで、スチレンスルホン酸塩及びスチレンスルホン酸のユニット数の総数は、下記式に基づいて算出される。
・スチレンスルホン酸塩及びスチレンスルホン酸のユニット数の総数=[スチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸共重合体の分子量/(スチレンスルホン酸塩の含有モル%×スチレンスルホン酸塩の分子量+スチレンスルホン酸の含有モル%×スチレンスルホン酸の分子量)]
前記スチレンスルホン酸塩−スチレン共重合体としては、特に制限されないが、具体的には、スチレンスルホン酸ナトリウム−スチレン共重合体、スチレンスルホン酸カルシウム−スチレン共重合体、スチレンスルホン酸アンモニウム−スチレン共重合体、スチレンスルホン酸マグネシウム−スチレン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはスチレンスルホン酸ナトリウム−スチレン共重合体、更に好ましくはp−スチレンスルホン酸ナトリウム−スチレン共重合体が挙げられる。これらのスチレンスルホン酸塩−スチレン共重合体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、スチレンスルホン酸塩−スチレン共重合体中におけるスチレンスルホン酸塩成分の含有量については、特に制限されないが、優れた抗アレルゲン性能と耐水性を備えさせるという観点から、例えば、10〜99.9モル%、好ましくは20〜50モル%が挙げられる。
また、前記スチレンスルホン酸塩−スチレン共重合体において、スチレンスルホン酸塩のユニット数については、特に制限されないが、優れた抗アレルゲン性能を備えさせるという観点から、50以上が好ましく、80以上がより好ましく、150以上が最も好ましい。また、スチレンスルホン酸塩−スチレン共重合体において、スチレンのユニット数については、特に制限されないが、150以上が好ましく、200以上が好ましく、250以上が最も好ましい。ここで、スチレンスルホン酸塩及びスチレンのユニット数は、下記式に基づいて算出される。
・スチレンスルホン酸塩のユニット数=[スチレンスルホン酸塩−スチレン共重合体の分子量/(スチレンスルホン酸塩の含有モル%×スチレンスルホン酸塩の分子量+スチレンの含有モル%×スチレンの分子量)]×スチレンスルホン酸塩の含有モル%
・スチレンのユニット数=[スチレンスルホン酸塩−スチレン共重合体の分子量/(スチレンスルホン酸塩の含有モル%×スチレンスルホン酸塩の分子量+スチレンの含有モル%×スチレンの分子量)]×スチレンの含有モル%
前記スチレンスルホン酸−スチレン共重合体としては、特に制限されないが、例えば、スチレンスルホン酸ナトリウム−スチレン共重合体、スチレンスルホン酸カルシウム−スチレン共重合体、スチレンスルホン酸アンモニウム−スチレン共重合体、スチレンスルホン酸マグネシウム−スチレン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはスチレンスルホン酸ナトリウム−スチレン共重合体、更に好ましくはp−スチレンスルホン酸ナトリウム−スチレン共重合体が挙げられる。これらのスチレンスルホン酸塩−スチレン共重合体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、スチレンスルホン酸塩−スチレン共重合体中におけるスチレンスルホン酸塩成分の含有量については、特に制限されないが、優れた抗アレルゲン性能と耐水性を備えさせるという観点から、10〜99.9モル%が好ましく、20〜50モル%がより好ましい。
また、前記スチレンスルホン酸−スチレン共重合体において、スチレンスルホン酸のユニット数については、特に制限されないが、優れた抗アレルゲン性能を備えさせるという観点から、50以上が好ましく、80以上がより好ましく、150以上が最も好ましい。また、スチレンスルホン酸−スチレン共重合体において、スチレンのユニット数については、特に制限されないが、優れた抗アレルゲン性能を備えさせるという観点から、150以上が好ましく、200以上が好ましく、250以上が最も好ましい。ここで、スチレンスルホン酸及びスチレンのユニット数は、下記式に基づいて算出される。
・スチレンスルホン酸のユニット数=[スチレンスルホン酸−スチレン共重合体の分子量/(スチレンの含有モル%×スチレンの分子量+スチレンスルホン酸の含有モル%×スチレンスルホン酸の分子量)]×スチレンスルホン酸の含有モル%
・スチレンのユニット数=[スチレンスルホン酸−スチレン共重合体の分子量/(スチレンの含有モル%×スチレンの分子量+スチレンスルホン酸の含有モル%×スチレンスルホン酸の分子量)]×スチレンの含有モル%
前記スチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸−スチレン三元共重合体としては、特に制限されないが、例えば、スチレンスルホン酸ナトリウム−スチレンスルホン酸−スチレン三元共重合体、スチレンスルホン酸カルシウム−スチレンスルホン酸−スチレン三元共重合体、スチレンスルホン酸アンモニウム−スチレンスルホン酸−スチレン三元共重合体、スチレンスルホン酸マグネシウム−スチレンスルホン酸−スチレン三元共重合体等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはスチレンスルホン酸ナトリウム−スチレンスルホン酸−スチレン三元共重合体、更に好ましくはp−スチレンスルホン酸ナトリウム−スチレンスルホン酸−スチレン三元共重合体が挙げられる。これらのスチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸−スチレン三元共重合体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、スチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸−スチレン三元共重合体に含まれる各単量体の含有量については、特に制限されないが、優れた抗アレルゲン性能、耐水性、樹脂組成物の安定性等の観点から、次のように設定することが好ましい。つまり、スチレンスルホン酸塩の含有量は、9.9〜99.8モル%が好ましく、19.9〜49.9モル%がより好ましい。スチレンスルホン酸の含有量は、0.1〜30モル%が好ましく、0.1〜20モル%がより好ましい。スチレンの含有量は、0.1〜90モル%が好ましく、50〜80モル%がより好ましい。
また、前記スチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸−スチレン三元共重合体において、スチレンスルホン酸塩及びスチレンスルホン酸のユニット数の総数については、特に制限されないが、優れた抗アレルゲン性能を備えさせるという観点から、50以上が好ましく、80以上がより好ましく、150以上が最も好ましい。また、当該三元共重合体において、スチレンのユニット数については、特に制限されないが、優れた抗アレルゲン性能を備えさせるという観点から、150以上が好ましく、200以上が好ましく、250以上が最も好ましい。ここで、スチレンスルホン酸塩及びスチレンスルホン酸のユニット数の総数、並びにスチレンのユニット数は、下記式に基づいて算出される。
・スチレンスルホン酸塩及びスチレンスルホン酸のユニット数の総数={[前記三元共重合体の分子量/(スチレンスルホン酸塩の含有モル%×スチレンスルホン酸塩の分子量+スチレンの含有モル%×スチレンの分子量+スチレンスルホン酸の含有モル%×スチレンスルホン酸の分子量)]×スチレンスルホン酸塩の含有モル%}+{[前記三元共重合体の分子量/(スチレンスルホン酸塩の含有モル%×スチレンスルホン酸塩の分子量+スチレンの含有モル%×スチレンの分子量+スチレンスルホン酸の含有モル%×スチレンスルホン酸の分子量)]×スチレンスルホン酸の含有モル%}
・スチレンのユニット数=[前記三元共重合体の分子量/(スチレンスルホン酸塩の含有モル%×スチレンスルホン酸塩の分子量+スチレンの含有モル%×スチレンの分子量+スチレンスルホン酸の含有モル%×スチレンスルホン酸の分子量)]×スチレンの含有モル%
スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤の分子量については、使用する単量体の種類等に応じて適宜設定すればよいが、2万〜500万が好ましく、5万〜500万がより好ましく、10万〜500万が最も好ましい。とりわけ、スチレンスルホン酸及び/又はその塩の含有量が40〜50モル%である共重合体の場合であれば、良好な取扱性を備えさせるという観点から、10万〜500万が好ましく、15万〜500万がより好ましい。
なお、本発明においてスチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーでポリスチレンスルホン酸ナトリウムを標準物質として測定して得られたチャートにおける最も高いピークに対応する分子量であり、下記の条件にて測定される値である。
・カラム:(昭和電工社製 Asahipak GF-7M HQ 7.5mmI.D.×30cm 1本)
・溶離液:(0.05M硫酸ナトリウム水溶液:THF=1:1)
・流速:0.6ミリリットル/分
・温度:40℃
・検出:UV(254nm)
・標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:(scientific polymer products社製、重量平均分子量:1,530、5,180、7,540、34,700、126,700、262,600及び587,600の7種類の標準品を使用)
スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤の平均粒子径については、特に制限されないが、0.01〜30μmが好ましく、0.05〜15μmがより好ましい。なお、当該平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置にて測定される値であり、具体的には、商品名「LA-950V2」(HORIBA製作所製)を用いて測定することができる。
スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤は、特開2012-36363号公報、特開2012-36362号公報等に記載されているような公知の製法によって取得してもよく、また市販品を使用してもよい。
抗アレルゲン機能層を構成する樹脂成分(特に上記スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤以外のマトリックス樹脂:以下「マトリックス樹脂」とも言う)について説明する。
マトリックス樹脂としては、抗アレルゲン剤の分散性(混練性)が良好であり、且つ、抗アレルゲン機能層を塗工により形成できる造膜性樹脂成分であれば限定されず、熱硬化性樹脂(常温硬化型樹脂、2液反応硬化型樹脂を含む)、電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂であってもよく、また熱可塑性樹脂であってもよい。これらの中でも、好ましくは硬化性樹脂が挙げられる。
マトリックス樹脂として、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂;分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合したものが挙げられる。これらの樹脂は単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの樹脂をマトリックス樹脂成分とすることにより、抗アレルゲン機能層の耐汚染性、密着性等をより高めることができる。
マトリックス樹脂としては、上記の樹脂の中でもアクリル系樹脂を用いることが特に好ましい。アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなる樹脂が挙げられる。
抗アレルゲン機能層中のマトリックス樹脂の含有量は限定的ではないが、50〜99質量%が好ましく、60〜90質量%がより好ましい。
また、抗アレルゲン機能層は、マトリックス樹脂100質量部に対して抗アレルゲン剤を0.2〜7質量部含有することが好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。抗アレルゲン剤の含有量を0.2質量部以上とすることにより、十分な抗アレルゲン性能を得ることができ、7質量部以下とすることによって抗アレルゲン機能層と隣接する層との密着性を良好にすることができる。
更に、本発明では、消臭機能の付与を目的として、抗アレルゲン機能層にリン酸カルシウムを含有してもよい。リン酸カルシウムは、Ca2+とPO4 3-の静電気的な作用でアルデヒド類等の悪臭の原因物質を吸着し、これらの物質の除去を促進させることができる。リン酸カルシウムは、上記担体として使用できるリン酸カルシウムと同じものを用いてもよい。
抗アレルゲン機能層の厚さは限定的ではないが、0.1〜10μm程度が好ましく、0.5〜5μm程度がより好ましい。また、塗布量(乾燥重量)に換算すると、0.3〜5g/m2の範囲が好ましい。
絵柄模様層
発泡剤含有樹脂層(又は非発泡樹脂層A)と抗アレルゲン機能層との間には、必要に応じて絵柄模様層を形成してもよい。
絵柄模様層は、発泡積層シートに意匠性を付与する。絵柄模様としては、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。絵柄模様は、目的に応じて選択できる。
絵柄模様層は、例えば、絵柄模様を印刷することで形成できる。印刷手法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、結着材樹脂、溶剤を含む印刷インキが使用できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用してもよい。
着色剤としては、例えば、前記の発泡剤含有樹脂層で使用されるような顔料を適宜使用することができる。
結着材樹脂は、基材シートの種類に応じて設定できる。例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水などが挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は混合物の状態で使用できる。
絵柄模様層の厚みは、絵柄模様の種類より異なるが、一般には0.1〜10μm程度とすることが好ましい。
中間層
発泡剤含有樹脂層(又は非発泡樹脂層A)と抗アレルゲン機能層との間には、必要に応じて中間層(プライマー層、フィルム層等)を形成してもよい。中間層を形成する位置は限定的ではないが、抗アレルゲン機能層の下面であることが好ましい。なお、絵柄模様層を形成する場合には、絵柄模様層の上面に形成することが好ましい。中間層を設けることにより、発泡剤含有樹脂層(発泡樹脂層)及び絵柄模様層を保護することができ、積層シートの表面物性を更に向上させることができる。また各層間の密着性を向上させることができる。
中間層としてのプライマー層に使用できる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂等が挙げられるが、特にアクリル系樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂等が望ましい。なお、アクリル系樹脂としては、抗アレルゲン機能層のマトリックス樹脂として説明した樹脂を用いることができる。
プライマー層の厚さは限定的ではないが、0.1〜10μm程度が好ましく、0.1〜5μm程度がより好ましい。
中間層としてのフィルム層(透明性樹脂層)に使用できる樹脂としては、透明であれば着色されていてもよい。透明性樹脂層を絵柄模様層のおもて面に形成する場合は、絵柄模様層が視認できる範囲内で半透明であってもよい。
透明性樹脂層は、ポリエチレン及び/又はエチレン共重合体を含有する層であることが好ましい。ポリエチレン及び/又はエチレン共重合体としてはエチレンと炭素数が4以上のαオレフィンの共重合体(線状低密度ポリエチレン)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、エチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体樹脂、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体樹脂等のエチレン(メタ)アクリル酸系共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂ケン化物、アイオノマー等が挙げられるが、本発明では、特にエチレン−ビニルアルコール共重合体を使用することが好ましい。
透明性樹脂層の厚みは特に限定されないが、一般的には3〜30μm程度が好ましく、5〜20μm程度がより好ましい。
吸着剤の添加
大気中の人間の生活活動(タバコ、生ごみ、ペット、建築材など)に由来するホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の揮発性化合物を吸着させる目的で、抗アレルゲン機能層及び/又はその近傍の層へ吸着剤を添加してもよい。近傍の層としては、例えば、上記中間層(プライマー層、フィルム層等)が挙げられる。また、吸着剤としては、下記有機吸着剤、有機無機複合吸着剤、無機吸着剤等が挙げられる。
有機吸着剤としては、例えば、イオン交換樹脂にCOOH、NH2等の官能基を付与したスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等の合成高分子吸着剤が挙げられる。
有機無機複合吸着剤としては、例えば、無機材料に水酸基、アミン類、尿素類、アミド類、イミド類、ヒドラジド類、アゾール類、アジン類等の有機化合物を担持したものが挙げられる。担体として使用できる無機材料としては、耐熱性の点から、二酸化ケイ素、活性炭、セピオライト、雲母等が挙げられる。具体的には、第1級アミノ基を有するアミン類を上記無機材料に担持したものが好ましい。有機無機複合吸着剤は、特にホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒドの吸着に効果的であり、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の「ケスモンNS-231」がある。
有機無機複合吸着剤の平均粒径は限定的ではないが、1〜12μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。ここで、本明細書における平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定した値である。また、有機無機複合吸着剤の比表面積は限定的ではないが、400〜900m2/gが好ましく、500〜900m2/gがより好ましい。ここで、本明細書における比表面積は、BET法により測定した値である。
無機吸着剤としては、例えば、ゼオライト、シリカゲル(二酸化珪素)、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム(好ましくはハイドロキシアパタイト)、活性炭、雲母等が挙げられる。無機吸着剤は、特に酢酸等のVOCの吸着に効果的である。無機吸着剤の平均粒径は限定的ではないが、1〜7μmが好ましく、2〜5μmがより好ましい。また、無機吸着剤の比表面積は限定的ではないが、100〜800m2/gが好ましく、200〜800m2/gがより好ましい。
吸着剤としては、ガス吸着後の再放出の可能性が低い化学吸着剤が好ましい。これらの化学吸着剤は、化学結合によりガスを吸着する。代表的な化学吸着剤としては、上記した有機吸着剤及び有機無機複合吸着剤が挙げられる。
吸着剤を抗アレルゲン機能層に添加する場合には、他の層を設ける必要がない点で簡易な層構成にできるが、抗アレルゲン剤と吸着剤が同一層に含まれることとなるため、マトリックス樹脂に対する機能性添加剤(抗アレルゲン剤及び吸着剤)の含有量が過剰とならないように留意する必要がある。
吸着剤の添加量は限定的ではないが、吸着剤を添加する層の樹脂100質量部に対して1〜120質量部程度が好ましく、3〜80質量部程度がより好ましい。
抗菌剤の添加
抗アレルゲン機能層への抗菌性の付与を目的とし、抗菌剤を添加してもよい。抗菌剤の添加量としては、マトリックス樹脂100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましく、塗布膜安定性の観点から5〜20質量部がより好ましい。
抗菌剤としては、有機系及び/又は無機系の抗菌剤を使用することができる。有機系の抗菌剤としては、例えば、有機合成したイミダゾール誘導体、スルホン誘導体、フェノール誘導体系等の有機合成系抗菌剤や、茶、タケ、ヒノキ、ワサビ等から採集したエキスで構成される天然系抗菌剤が挙げられる。無機系抗菌剤としては、例えば、銅系、銀系、亜鉛系、酸化チタン系等の抗菌剤が挙げられる。
≪発泡積層シート≫
本発明の発泡積層シートは、上記積層シートの発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる。発泡時の加熱条件は、熱分解型発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されない。加熱温度は210〜240℃程度が好ましく、加熱時間は20〜80秒程度が好ましい。
本発明の発泡積層シートは、最表面層の上からエンボス加工が施されていてもよい。エンボス模様としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
≪発泡積層シートの製造方法≫
本発明の発泡積層シートの製造方法は、基材上に、少なくとも発泡樹脂層及び抗アレルゲン機能層が順に積層されている発泡積層シートの製造方法であって、
(1)前記発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られ、
(2)前記発泡剤含有樹脂層は、発泡剤として発泡時に少なくともアンモニアを発生する発泡剤を含有し、
(3)前記抗アレルゲン機能層は、スチレンスルホン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含む重合体を含む抗アレルゲン剤を含有し、
(4)前記基材上に、少なくとも前記発泡剤含有樹脂層及び前記抗アレルゲン機能層が順に積層されている積層シートを形成後、前記発泡剤含有樹脂層を発泡させる、
ことを特徴とする。
より具体的には、例えば、基材及び発泡剤含有樹脂層上に絵柄模様層を形成後、更に抗アレルゲン機能層を形成して積層シートとし、次に熱処理して発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層にすることにより製造できる。
発泡剤含有樹脂層がその片面又は両面に非発泡樹脂層を有する場合には、Tダイ押出し機による同時押出し製膜が好適である。例えば、両面に非発泡樹脂層を有する場合には、3つの層に対応する溶融樹脂を同時に押出すことにより3層の同時成膜が可能なマルチマニホールドタイプのTダイを用いることができる。
なお、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に無機充填剤が含まれる場合であって、発泡剤含有樹脂層を押出し製膜により形成する場合には、押出し機の押出し口(いわゆるダイス)に無機充填剤の残渣(いわゆる目やに)が発生し易く、これが発泡剤含有樹脂層表面の異物となり易い。そのため、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に無機充填剤が含まれる場合には、上記のように3層同時押出し製膜することが好ましい。即ち、発泡剤含有樹脂層を非発泡樹脂層によって挟み込んだ態様で同時押出し製膜することにより、前記目やにの発生を抑制することができる。
発泡剤含有樹脂層を製膜後は、電子線照射を行ってもよい。これにより樹脂成分を架橋して発泡樹脂層の表面強度、発泡特性等を調整することができる。電子線のエネルギーは、150〜250kV程度が好ましく、175〜200kV程度がより好ましい。照射量は、10〜100kGy程度が好ましく、10〜50kGy程度がより好ましい。電子線源としては、公知の電子線照射装置が使用できる。
発泡剤含有樹脂層上には、必要に応じて、絵柄模様層及び中間層を任意の順序で形成した後、抗アレルゲン機能層を形成する。これらの各層は、印刷、塗布などのコーティング、押出し製膜等を組み合わせることにより積層することができる。印刷、塗布等のコーティングは常法に従って行うことができる。
次いで、発泡剤含有樹脂層を加熱することにより発泡樹脂層を形成するとともに抗アレルゲン機能層のマトリックス樹脂を硬化させる。加熱条件は、熱分解型発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されない。加熱温度は210〜240℃程度が好ましく、加熱時間は20〜80秒程度が好ましい。また、抗アレルゲン機能層を形成後、発泡剤含有樹脂層を発泡させる前に140℃前後の乾燥炉を通過させることにより、印刷により形成された層を乾燥させるととともにマトリックス樹脂を硬化させることもできる。
本発明の積層シートは、スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤を抗アレルゲン機能層に含有することにより、発泡剤含有樹脂層が発泡時に少なくともアンモニアを発生する発泡剤を含有する場合でも、発泡時の抗アレルゲン機能層の変色や機能低下が抑制されている。また、スチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤は、少ない添加量で即効性の抗アレルゲン性を発揮できるため、樹脂成分の相対量が減少することに起因する発泡積層シートの耐汚染性の低下が抑制されている。
本発明の積層シートの層構成の一例を示す模式図である。 本発明の積層シートの層構成の一例を示す模式図である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
公知のTダイ押出機を用いて、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に、各層の厚みが6μm/60μm/6μmになるように製膜して3層からなる積層体を得た。各層の形成に用いた樹脂又は樹脂組成物は以下の通りである。
(a)非発泡樹脂層Aに用いる樹脂:
・低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名:ペトロセン202)、100質量部
(b)非発泡樹脂層Bに用いた樹脂:
・エチレン−酢酸ビニル系共重合体(住友化学(株)製、商品名:エバテートCV5053)、100質量部
(c)発泡剤含有樹脂層に用いた樹脂組成物:
・低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、商品名:ペトロセン208)、100質量部
・発泡剤(永和化成工業(株)製、商品名:ADCA#3)、5質量部
・炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名:ホワイトンH)、30質量部
・二酸化チタン(顔料)(デュポン(株)製、商品名:タイピュアR-350)、20質量部
・発泡助剤((株)ADEKA製、商品名:アデカスタブOF-101)、5質量部
・架橋剤(JSR(株)製、商品名:オプスターJUA-702)、1質量部
前記3層からなる積層体の非発泡層樹脂Bに裏打紙(米秤量60g/m2、興人(株)製、WK-FKKD)を積層して積層シートを得た。また、非発泡樹脂層A面に加速電圧200kV、照射線量5Mradの電子線を照射した。次いで、グラビア印刷により、非発泡樹脂層A面に水性インキ(大日精化工業(株)製、商品名:ハイドリック)を用いて布目模様を印刷して絵柄層を形成した。
絵柄層の上に、マトリックス樹脂100質量部に対してスチレンスルホン酸系抗アレルゲン剤(スチレンスルホン酸ナトリウム−スチレン共重合体)3質量部を含むインキ(アクリル樹脂系水性インキ)を乾燥後の膜厚が約1μmとなるようにグラビアダイレクトコーター法で塗布し、140℃の乾燥炉にて乾燥硬化させることで抗アレルゲン機能層を形成した。
その後、230℃の加熱発熱炉内で、発泡剤含有樹脂層を発泡させ発泡樹脂層を形成後、冷却ロールと加圧ロールの間を通し、エンボス賦型をしながら熱圧着させることにより、表面に凹凸模様を有する壁紙を得た。
実施例2
マトリックス樹脂100質量部に対する抗アレルゲン剤の添加量を0.2質量部とした以外は、実施例1と同様にして壁紙を得た。
実施例3
マトリックス樹脂100質量部に対する抗アレルゲン剤の添加量を5質量部とした以外は、実施例1と同様にして壁紙を得た。
比較例1
抗アレルゲン剤としてフェノール性水酸基を有する抗アレルゲン剤(積水化学工業製、商品名:アレルバスター(登録商標))を用意し、マトリックス樹脂100質量部に対する抗アレルゲン剤の添加量を5質量部とした以外は、実施例1と同様にして壁紙を得た。
比較例2
抗アレルゲン剤として無機化合物にフェノール性ポリマーが担持された抗アレルゲン剤(東亞合成製、商品名:アレリムーブ(登録商標))を用意し、マトリックス樹脂100質量部に対する抗アレルゲン剤の添加量を5質量部とした以外は、実施例1と同様にして壁紙を得た。
比較例3
抗アレルゲン剤として銀系抗アレルゲン剤(大原パラジウム製、商品名:パラファイン)を用意し、マトリックス樹脂100質量部に対する抗アレルゲン剤の添加量を5質量部とした以外は、実施例1と同様にして壁紙を得た。
試験例1
抗アレルゲン性能の評価
実施例及び比較例において作製した壁紙に対してダニアレルゲン(「ダニ(Df)粗抽出液」ITEA(株)製)を含む水溶液(ダニアレルゲンの初期濃度:5ng/ml)200μl滴下して、ガラス板で覆って3時間放置した後、該壁紙上のダニアレルゲンを回収し、回収されたダニアレルゲン量をサンドイッチELISA法にて測定を行った。ダニアレルゲン量は、濃度既知の標準品を用いて作成した標準曲線から求めてアレルゲン低減化率を算出し、下記の4段階での判定基準で抗アレルゲン性能を評価した。
<抗アレルゲン性能の判定基準>
A:アレルゲン低減化率80%以上
B:アレルゲン低減化率60%以上80%未満
C:アレルゲン低減化率40%以上60%未満
D:アレルゲン低減化率40%未満
耐変色性
発泡前サンプルの表面色について、加熱発泡処理(230℃・20秒)前後で肉眼観察し、変色の程度を評価した。
<耐変色性の判定基準>
A:変化のないもの
B:若干黄変しているものの、外観上問題ないもの
C:多少黄変しており、外観上問題があるもの
D:明らかに黄変しているもの
Figure 0006136440
(抗アレルゲン剤の種類)
I:スチレンスルホン酸ナトリウム−スチレン共重合体、
II:フェノール系高分子、
III:フェノール系高分子を無機材料に担持した複合材料及び
IV:無機化合物に銀を担持した材料。
(考察)
表1の結果から明らかなように、実施例1、3では、優れた抗アレルゲン性能が発現しており、添加量の少ない実施例2でも十分な抗アレルゲン性能が発現している。
フェノール系抗アレルゲン剤を用いた比較例1、2では、窒素系ガスとの反応により抗アレルゲン性能が消失し、加えて反応に伴い変色も生じた。
また、無機系抗アレルゲン剤を用いた比較例3においては、耐変色性は優れているものの、十分な抗アレルゲン性能が得られなかった。そのため、無機系抗アレルゲン剤によって十分な性能を得ようとすると、添加部数を大幅に増やさざるを得ず、抗アレルゲン機能層を形成する樹脂が相対的に減少するため耐汚染性が問題となることが予想された。
1. 基材
2. 非発泡樹脂層B
3. 発泡剤含有樹脂層
4. 非発泡樹脂層A
5. 絵柄模様層
6. 抗アレルゲン機能層
11. 基材
12. 非発泡樹脂層B
13. 発泡剤含有樹脂層
14. 非発泡樹脂層A
15. 絵柄模様層
16. 中間層
17. 抗アレルゲン機能層

Claims (11)

  1. 基材上に、少なくとも発泡剤含有樹脂層及び抗アレルゲン機能層が順に積層されている積層シートであって、
    (1)前記発泡剤含有樹脂層は、発泡剤として発泡時に少なくともアンモニアを発生する発泡剤を含有し、
    (2)前記抗アレルゲン機能層は、スチレンスルホン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含む重合体を含む抗アレルゲン剤を含有する、
    ことを特徴とする積層シート。
  2. 前記発泡剤は、アゾ化合物、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム及び亜硝酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の積層シート。
  3. 前記抗アレルゲン機能層は、当該層を構成するマトリックス樹脂100質量部に対して前記抗アレルゲン剤を0.2〜7質量部含有する、請求項1又は2に記載の積層シート。
  4. 前記抗アレルゲン剤は、スチレンスルホン酸塩の単独重合体、スチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸共重合体、スチレンスルホン酸塩−スチレン共重合体、スチレンスルホン酸−スチレン共重合体及びスチレンスルホン酸塩−スチレンスルホン酸−スチレン三元共重合体からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
  5. 前記発泡剤含有樹脂層は、電子線照射により樹脂架橋されている、請求項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
  6. 前記発泡剤含有樹脂層は、その片面又は両面に非発泡樹脂層を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の積層シート。
  7. 前記発泡剤含有樹脂層を構成する樹脂成分は、塩化ビニル樹脂及び/又はオレフィン系樹脂である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層シート。
  8. 前記基材は、繊維質シートである、請求項1〜7のいずれかに記載の積層シート。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の積層シートの前記発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる発泡積層シート。
  10. 最表面層の上からエンボス加工が施されている、請求項9に記載の発泡積層シート。
  11. 基材上に、少なくとも発泡樹脂層及び抗アレルゲン機能層が順に積層されている発泡積層シートの製造方法であって、
    (1)前記発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られ、
    (2)前記発泡剤含有樹脂層は、発泡剤として発泡時に少なくともアンモニアを発生する発泡剤を含有し、
    (3)前記抗アレルゲン機能層は、スチレンスルホン酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも1種の単量体成分を含む重合体を含む抗アレルゲン剤を含有し、
    (4)前記基材上に、少なくとも前記発泡剤含有樹脂層及び前記抗アレルゲン機能層が順に積層されている積層シートを形成後、前記発泡剤含有樹脂層を発泡させる、
    ことを特徴とする発泡積層シートの製造方法。
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