JP6036046B2 - 積層シート - Google Patents

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Description

本発明は、抗アレルゲン機能を備える積層シート及び該積層シートを発泡させた発泡積層シートに関する。
近年の省エネルギー志向の向上に伴い、外断熱工法等により住宅の気密性を高くした冷暖房効率に優れる高気密性の住宅が求められている。
しかしながら、気密性を高めると室内の通気性が低下するため、臭いやハウスダストといわれる塵が室内にこもりやすく、各種菌、カビ、ダニ(虫体、死骸、抜け殻、糞)等がたまりやすい傾向となる。これらが、アレルギーを引き起こす原因であるアレルゲンとなり、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎等のアレルギー疾患の症状を引き起す一因になるといわれている。
このようなアレルゲンへの対策としては、室内へのアレルゲンの侵入を防ぐ方法や、侵入したアレルゲンを除去、不活性化する方法等を挙げることができる。具体的には、エアコンや空気清浄機等の消臭、脱臭、集塵機能により空気中のアレルゲンを捕集することが行われている。
しかしながら、これらの方法は、室内の空気中に浮遊するアレルギー疾患の原因物質には有効ではあるが、床表面や壁表面に付着した原因物質にまで効果が発揮されることはない。
そこで、このような床表面や壁表面に付着した原因物質に対しては、カーペットの基布上面にアレルゲン低減化物質を塗布し、カーペットに堆積した様々なアレルゲンを不活性化する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、消臭、抗菌効果を奏するカテキン等を壁紙のトップコート剤に混合して使用することにより、消臭、抗菌を行う技術が提案されている(特許文献2参照)。さらに、天然繊維からなる表面層に柿渋を塗布した抗アレルゲン壁紙が提案されている(特許文献3参照)。
特開2008−54898号公報 特開2003−13372号公報 特開2010−65344号公報
前述の特許文献1〜3で使用される抗アレルゲン剤は、ポリフェノールの1種(フェノール性化合物)であり、優れた抗アレルゲン性能を示すが、一般的な発泡壁紙に用いた場合には、発泡工程においてその性能が低下すると共に、変色により壁紙自体の意匠性が低下するという問題がある。
本発明は、上記従来の課題を鑑みてなされたものであって、発泡工程における抗アレルゲン性能の低下及び変色を抑制した積層シート、及びこの積層シートを発泡させた発泡積層シートを提供することを目的とする。
一方、室内空間には、タバコ、生ゴミ、ペット、建材等から、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アンモニア等の揮発性化合物が放散されることがある。本発明者らがこれまでに検討を重ねることにより得られた知見によれば、これらの揮発性化合物は、室内空間を不健全にするだけでなく、発泡壁紙に配合した前記フェノール性化合物と物理的又は化学的に吸着して、抗アレルゲン性能の劣化を引き起こすことも懸念される。
そこで、本発明の他のもう一つの目的は、発泡工程における抗アレルゲン性能の低下及び変色を抑制した前記積層シート及び発泡積層シートに対して、空間中に存在する揮発性化合物を、抗アレルゲン剤とは異なる成分によって抗アレルゲン剤よりも優先的に吸着させる作用をも備えさせることである。
本発明者らは、 前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、発泡時における抗アレルゲン性能の低下及び変色は特定のガスを発生する発泡剤が原因であること、より具体的には、発泡剤から発生するアンモニアガスが抗アレルゲン剤中のフェノール性水酸基と反応し、アレルゲン性能を失活させると共に変色を生じさせていることを知見した。即ち、基材シート、発泡剤含有樹脂層、並びに硬化性樹脂及びフェノール性化合物を含有する抗アレルゲン機能層をこの順に有する積層シートにおいて、該発泡剤含有樹脂層に含まれる発泡剤として、中性及び/又は酸性の気体を発生するものを採用することによって、発泡工程における抗アレルゲン性能の低下や変色を抑制できることを見出した。
更に、本発明者らは、更に検討を重ねることにより、前記発泡工程における抗アレルゲン性能の低下及び変色を抑制した前記積層シートにおいて、揮発性化合物を吸着可能な吸着剤を含有させることにより、抗アレルゲン剤以外の成分によって揮発性化合物の吸着機能をも備え得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。即ち、本発明は、下記に掲げる態様の積層シート及び発泡積層シートを提供する。
項1. 基材シート、発泡剤含有樹脂層、及び抗アレルゲン機能層をこの順に有し、該発泡剤含有樹脂層が中性及び/又は酸性の気体を発生する発泡剤を含有し、該抗アレルゲン機能層が硬化性樹脂及びフェノール性化合物を含有する積層シート。
項2. 前記発泡剤がマイクロカプセルに封入されている、項1に記載の積層シート。
項3. 前記フェノール性化合物がポリフェノール化合物である、項1又は2に記載の積層シート。
項4. 基材シート上に積層されている少なくとも1つの層に、揮発性化合物を吸着する吸着剤が含まれている、項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
項5. 前記抗アレルゲン機能層が、前記吸着剤を含有している、項4に記載の化粧シート。
項6. 中間樹脂層及びプライマー層よりなる群から選択される少なくとも1種の併設層が、発泡剤含有樹脂層と抗アレルゲン機能層との間に設けられおり、
前記抗アレルゲン機能層と前記併設層の内、1又は2以上の層が、前記吸着剤を含有している、項4に記載の化粧シート。
項7. 前記吸着剤が、アルカリ性の気体を吸着する吸着剤である、項4〜6のいずれかに記載の化粧シート。
項8. 前記抗アレルゲン機能層の硬化性樹脂が電離放射線硬化性樹脂である、項1〜7のいずれかに記載の積層シート。
項9. 基材シートが繊維質シートである、項1〜8のいずれかに記載の積層シート。
項10. 項1〜9のいずれかに記載の積層シートの発泡剤含有樹脂層を発泡させた発泡積層シート。
本発明は、発泡剤を発泡させた後であっても優れた抗アレルゲン性能を有すると共に、発泡によって生じる変色が抑制され、意匠性に優れる発泡積層シート及びそれに用いる積層シートを提供することができる。
更に、本発明の積層シート及び発泡積層シートは、発泡工程における抗アレルゲン性能の低下及び変色を抑制できることに加え、更に揮発性化合物を吸着可能な吸着剤を含む場合には、当該吸着剤によって、アンモニアやホルムアルデヒド等の揮発性化合物を吸着して捕捉することもできる。
本発明の積層シートの一態様の断面を示す模式図である。 本発明の積層シートの一態様の断面を示す模式図である。 本発明の積層シートの一態様の断面を示す模式図である。
[積層シート]
本発明の積層シートは、基材シート、発泡剤含有樹脂層、及び抗アレルゲン機能層をこの順に有し、該発泡剤含有樹脂層が中性及び/又は酸性の気体を発生する発泡剤を含有し、抗アレルゲン機能層が硬化性樹脂及びフェノール性化合物を含有するものである。以下、本発明の積層シートについて、詳細に説明する。
(積層構造)
本発明の積層シート1は、基材シート2、発泡剤含有樹脂層3、及び抗アレルゲン機能層5がこの順に積層されている積層構造を有する。
本発明の積層シート1は、発泡剤含有樹脂層3と抗アレルゲン機能層5との間に、化粧シートの厚みを増したり、種々の機能を付与したりするために、必要に応じて併設層として中間樹脂層6が設けられていてもよい。
更に、本発明の積層シート1には、発泡剤含有樹脂層3と抗アレルゲン機能層5との間、或いは中間樹脂層6を設ける場合には、発泡剤含有樹脂層3と中間樹脂層6の間、及び/又は中間樹脂層6と抗アレルゲン機能層5との間には、これらの密着性を高めるために、必要に応じてプライマー層7が併設層として設けられていてもよい。
また、発泡剤含有樹脂層3と抗アレルゲン機能層5との間、或いは中間樹脂層6を設ける場合には、発泡剤含有樹脂層3と中間樹脂層6の間、及び/又は中間樹脂層6と抗アレルゲン機能層5との間には、化粧シートの意匠性を向上させる目的で、必要に応じて絵柄模様層4が併設層として設けられていてもよい。また、プライマー層7と絵柄模様層4を隣接(接面)した状態で積層させる場合、これらの積層順については、特に制限されない。例えば、発泡剤含有樹脂層3と抗アレルゲン機能層5との間に、プライマー層7と絵柄模様層4を設ける場合、発泡剤含有樹脂層3/プライマー層7/絵柄模様層4/抗アレルゲン機能層5の順で積層されていてもよく、また発泡剤含有樹脂層3/絵柄模様層4/プライマー層7/抗アレルゲン機能層5の順で積層されていてもよい。
また、本発明の積層シート1は、基材シート2と発泡剤含有樹脂層3との接着力を向上させるため、これらの間に非発泡樹脂層A(接着層)8が併設層として設けていてもよい。更に、絵柄印刷層4に用いられるインキ組成物が発泡剤含有樹脂層3を経由して基材シート2中に浸透することを抑制する等の理由から、発泡剤含有樹脂層3と抗アレルゲン機能層5との間に非発泡樹脂層B9を併設層として設けてもよい。
図1〜3に、本発明の積層シートの態様の一例について、その断面構造の模式図を示す。図1に示す積層シート1は、基材シート2上に、発泡剤含有樹脂層3、絵柄印刷層4及び抗アレルゲン機能層5が順に積層された積層構造を有している。図2に示す積層シート1は、基材シート2上に、発泡剤含有樹脂層3、絵柄印刷層4、プライマー層7及び抗アレルゲン機能層5が順に積層された積層構造を有している。図3に示す積層シート1は、基材シート2上に、非発泡樹脂層A 8、発泡剤含有樹脂層3、非発泡樹脂層B9、絵柄印刷層4、プライマー層7及び抗アレルゲン機能層5が順に積層された積層構造を有している。
以下に、発泡剤含有樹脂層に含有される発泡剤、抗アレルゲン機能層に含有される抗アレルゲン剤、及び基材シート上に積層されている少なくとも1つの層に必要に応じて含有される吸着剤について、説明する。
(発泡剤)
本発明の積層シートは、発泡剤含有樹脂層が中性及び/又は酸性の気体を発生する発泡剤を含有する。
本発明のように、発泡剤として中性や酸性の気体を発生する発泡剤を使用した場合には、抗アレルゲン機能層に含まれるフェノール性化合物を失活させることがないため、高い抗アレルゲン性能を維持することができると共に、発泡後においても積層シートに変色が生じないため、極めて意匠性に優れる発泡積層シートを得ることができる。
なお、本明細書において、「中性及び/又は酸性の気体」とは、発泡剤から生じる1種又は2種以上の気体成分のそれぞれを、水に溶解させた際にその各気体の水溶液が中性又は酸性を示す気体を指す。また、前記気体成分が、水に殆ど溶解しない場合には、中性の気体に分類される。また、「積層シート」とは、発泡剤含有樹脂層中の発泡剤が未発泡の状態である未発泡原反を指す。
本発明において発泡剤含有樹脂層に含有させる発泡剤は、中性や酸性の気体を発生する発泡剤であれば特に制限はなく、例えば、二酸化炭素、水、水素、窒素、及び酸素等を発生するものを用いることができる。
なお、本発明においては、発泡時に1種の気体を生じる発泡剤を用いても、 2種以上の気体を生じる発泡剤を用いてもよい。
具体的な発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、及び重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤、N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミド、及びN,N' −ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、及びバリウムアゾジカルボキシレート等のアゾ化合物、カルシウムアジド、4,4'−ジフェニルジスルホニルアジド、及びp−トルエンスルホニルアジド等のアジド化合物、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、二塩化メチレン、トリクロロエチレン、及びフッ素原子を含む炭化水素化合物(フレオン)等の炭化水素系化合物等、を挙げることができる。
これらのうち、低コストであると共に水に安定であることから無機発泡剤が好ましい。なお、無機発泡剤の市販品としては、大塚化学(株)製の「ユニファイン」を挙げることができる。
本発明においては、発泡剤をマイクロカプセルに封入した熱膨張性マイクロカプセル型発泡剤を用いてもよい。なお、本明細書において、熱膨張性マイクロカプセル型発泡剤とは、熱可塑性樹脂で構成される微粒子中に発泡剤を封入したものであって、所定温度において熱可塑性樹脂が軟化し内部に封入された発泡剤の気化圧力により体積が増加する微粒子を指す。
マイクロカプセルに封入する発泡剤としては、気化性液体が好ましく、マイクロカプセルの製造の観点、製造コストの観点から低級炭化水素が好ましく、具体的には、プロパン、ブタン、イソブタン、イソペンタン等の低沸点(例えば、沸点が55〜205℃)の炭化水素、及びこれらと非水溶性石油エーテルの混合物等が好ましい。なお、本発明において使用することができる非水溶性石油エーテルは、具体的には、第4類第3石油類等の重油、クレオソート油、アニリン、ニトロベンゼン等である。
マイクロカプセルを構成する熱可塑性樹脂としては、50〜200℃の軟化点を有し、この温度で数倍から数十倍の大きさに膨張すると共に、ガスバリヤ性を有するものが好ましい。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリビニルアセテート、アクリロニトリル−メチル(メタ)アクリレート共重合体、アクリロニトリル−メタクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリロニトリル−メチル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリロニトリル共重合体等のホモポリマー又はこれらのコポリマー及びこれらの混合物を挙げることができる。
発泡前のマイクロカプセルの平均粒径は1〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましく、5〜30μmが更に好ましい。また、膨張温度は、取り扱い性の観点から、50〜200℃が好ましい。
このような熱膨張性マイクロカプセルの市販品としては、松本油脂製薬(株)製のマツモトマイクロスフェアーFシリーズ、及びFNシリーズを挙げることができる。
発泡剤の添加量としては、要求される意匠性により適宜決めればよいが、発泡剤含有樹脂層の熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましく、1〜80質量部がより好ましく、2〜70質量部が更に好ましい。
なお必要に応じ、発泡効果を向上させることを目的として、分解を促進する発泡助剤を用いることができる。発泡助剤としては使用する発泡剤の種類により異なるが、例えば酸化亜鉛、硫酸鉛、尿素、ステアリン酸亜鉛等を用いることができる。
(抗アレルゲン剤)
本発明おいては、抗アレルゲン性能を発揮する抗アレルゲン剤としてフェノール性化合物を用いる。本明細書において、フェノール性化合物とはフェノール性水酸基を有する化合物である。このフェノール性化合物としては、フェノール性水酸基を有する非水溶性高分子が好ましい。該フェノール性水酸基が、アレルゲン性の物質を吸着すると共に不活性化するように機能するからである。このような抗アレルゲン剤としては、分子内に複数のフェノール性水酸基、すなわちベンゼン環やナフタレン環等の芳香環に結合した水酸基を有する有機化合物であるポリフェノール化合物で構成されるものを挙げることができる。 具体的には、ポリ(4−ビニルフェノール)やポリ(3,4,5−ヒドロキシ安息香酸ビニル)等のポリビニルフェノールや、ポリチロシン、ポリ(1−ビニル−5−ヒドロキシナフタレン)、ポリ(1−ビニル−6−ヒドロキシナフタレン)、ポリ(1−ビニル−5−ヒドロキシアントラセン)等の高分子量ポリフェノールを挙げることができる。
市販の抗アレルゲン剤としては、「マルカリンカーS−2P(商品名)」(丸善石油化学(株))等を使用することができ、この抗アレルゲン剤は、ダニや花粉等種々のアレルゲンに対して有効に作用するものである。
また、前記ポリフェノール化合物は、無機固体酸に担持されていることが好ましい。このような態様において用いられるポリフェノール化合物としては、例えば、エピカテキン、ガロタンニン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のカテキンと称される低分子量ポリフェノールや高分子量のタンニン酸等が、優れた抗アレルゲン性を有すると共に、工業的に容易に且つ安価に入手できる観点から好ましく挙げられる。ポリフェノール化合物は、上記したものを単独で、あるいは複数を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、タンニン酸が抗アレルゲン性の観点から好ましい。
無機固体酸は、無機物質であって、その表面に水素イオンを放出し、酸性を発現する酸点あるいは活性点を有するものである。例えば、H置換Y型ゼオライト、H置換ZSM−5型ゼオライト等のゼオライト類、リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウム、リン酸スズ、リン酸セリウム、リン酸チタニウム等のリン酸化合物類、アンチモン酸のほか、シリカアルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、チタニアアルミナ、チタニアジルコニア等の複合酸化物等が好ましく挙げられる。これらのなかでも、耐熱性に優れ、高い固体酸性を有する観点から、ゼオライト類、複合酸化物が好ましく、特に酸強度が強いリン酸ジルコニウムが好ましく、結晶系が層状構造を有する層状リン酸ジルコニウムが好ましい。
無機固体酸の形状は、粉末状、塊状、板状及び繊維状等が挙げられるが、取り扱いの点から粉末状であることが好ましい。粉末状の場合、その平均粒径は0.01〜50μmであることが好ましく、0.02〜20μmであることがより好ましい。平均粒径が上記範囲内であると、取り扱いが容易であり、優れた抗アレルゲン性を得る観点からも好ましい。
本発明において、ポリフェノール化合物が無機固体酸に担持されたものを抗アレルゲン剤として用いる場合、ポリフェノール化合物と無機固体酸との重量比率は、10:90〜95:5が好ましく、より好ましくは20:80〜80:20であり、さらに好ましくは20:80〜40:60である。重量比率が上記範囲内であると、ポリフェノール化合物と無機固体酸との相乗効果により、とりわけ優れた抗アレルゲン性が得られる。このような抗アレルゲン剤は、市販品として入手も可能であり、例えば、ポリフェノール化合物とジルコニウム化合物とを組み合わせた「アレリムーブ(商品名)」(東亞合成(株))等が市販品として挙げられる。
抗アレルゲン剤の添加量は、例えば、硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜30質量部であり、好ましくは0.3〜15質量部である。本発明では、このような少ない配合量であっても、硬化性樹脂として好ましく用いられる上記の2〜10官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと組み合わせることにより、優れた抗アレルゲン性が得られると共に、優れた耐候性や耐汚染性も得られる。
(吸着剤)
本発明の積層シートは、基材シート上に積層されている少なくとも1つの層に、揮発性化合物を吸着する吸着剤が含まれていてもよい。アンモニアやホルムアルデヒド等の揮発性化合物は、フェノール性化合物の抗アレルゲン作用を阻害する作用があるが、前記吸着剤を含むことにより、抗アレルゲン作用を阻害する恐れがある揮発性化合物を除去することが可能になる。
前記吸着剤が含有される層は、基材シート上に積層されている少なくとも1つの層であればよく、例えば、発泡剤含有樹脂層及び/又は抗アレルゲン機能層であってもよく、また、非発泡樹脂層A、非発泡樹脂層B、中間樹脂層、プライマー層、絵柄印刷層等の必要に応じて形成される併設層であってもよい。前記吸着剤が含有される層は、抗アレルゲン層又はこれに接面した状態で設けられている層であることが好ましく、具体的には、抗アレルゲン機能層、中間樹脂層、及び/又は発泡剤含有樹脂層と抗アレルゲン機能層との間に設けられるプライマー層が好ましく、抗アレルゲン機能層、及び/又は中間樹脂層が更に好ましい。
前記吸着剤は、アンモニア、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の揮発性化合物を吸着する物質であればよいが、好ましくはアンモニア等のアルカリ性の気体を吸着できる物質が挙げられる。前記吸着剤は、有機化合物、無機化合物の別を問わず、また、その揮発性化合物吸着機構も、化学的吸着、物理的吸着のいずれであってもよい。ここで、「化学的吸着」とは、化学結合により揮発性化合物を吸着することであり、「物理的吸着」とは、ファンデルワールス力により揮発性化合物を吸着することである。以下、本明細書において、化学的吸着により揮発性化合物を吸着できる吸着剤を「化学的吸着剤」と表記し、物理的吸着により揮発性化合物を吸着できる吸着剤を「物理的吸着剤」と表記することもある。
化学的吸着剤としては、例えば、アミン類、尿素類、アミド類、イミド類、ヒドラジド類、アゾール類、アジン類等の含窒素化合物が挙げられる。
前記アミン類としては、ヒドロキシルアミン、エタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、プロリン、ヒドロキシプロリン、ジシアノジアミド、エチレンイミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、1,2−ジアミノプロパン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、テトラメチレンジアミン、炭酸グアニジン、グリシン、アラニン、ザルコシン、グルタミン酸、ヘキサメチレンジアミン、メラミン、モルホリン、2−アミノ−4,5−ジシアノイミダゾール、3−アザヘキサン−1,6−ジアミン、アミノ安息香酸ナトリウム、H2N−(CH2CH2−NH)n−CH2CH2NH2(nは0以上3以下の整数)で表されるアミン化合物、アニリン等が挙げられる。
前記尿素類としては、尿素、チオ尿素、メチル尿素、エチレン尿素、アセチル尿素、アゾジカルボンアミド等が挙げられる。
前記アミド類としては、ホルムアミド、アセトアミド、コハク酸アミド、ジシアンジアミド等が挙げられる。
前記イミド類としては、スクシンイミド、ヒダントイン、イソシアヌル酸等が挙げられる。
ヒドラジド類としては、ラウリル酸ヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、p−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、ナフトエ酸ヒドラジド、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン−2酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、ダイマー酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド等が挙げられる。
前記アゾール類及びアジン類としては、3−メチル−5−ピラゾロン、1,3−ジメチル−5−ピラゾロン、3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン、3−フェニル−6−ピラゾロン、3−メチル−1−(3−スルホフェニル)−5−ピラゾロン等のピラゾロン類、ピラゾール、3−メチルピラゾール、1,4−ジメチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3,5−ジメチル−1−フェニルピラゾール、3−アミノピラゾール、5−アミノ−3−メチルピラゾール、3−メチルピラゾール−5−カルボン酸、3−メチルピラゾール−5−カルボン酸メチルエステル、3−メチルピラゾール−5−カルボン酸エチルエステル、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−n−ブチル,5−ジメチル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジ−n−ブチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール−3−オン、ウラゾール(3,5−ジオキシ−1,2,4−トリアゾール)、1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、5−ヒドロキシ−7−メチル−1,3,8−トリアザインドリジン、1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、6−メチル−8−ヒドロキシトリアゾロピリダジン、4,5−ジクロロ−3−ピリダジン、マレイン酸ヒドラジド、6−メチル−3−ピリダゾン等が挙げられる。
また、化学的吸着剤は、前記含窒素化合物を多孔質材料に担持させたものであってもよい。前記含窒素化合物の担持に使用される多孔質材料としては、例えば、二酸化ケイ素、活性炭、セピオライト、雲母等が挙げられる。これらの多孔質材料の中でも、優れた揮発性化合物の吸着性能を付与するという観点から、好ましくは二酸化ケイ素が挙げられる。このように、前記含窒素化合物が多孔質材料に担持された吸着剤としては、例えば商品名「ケスモンNS-231」、「ケスモンNS‐10」(東亞合成株式会社)等が市販されており、これらの市販品を使用することもできる。
また、物理的吸着剤としては、例えば、ゼオライト(モルデナイト型、Y型、ZSM−5型等)、リン酸アルミニウム、ハイドロキシアパタイト等の無機化合物が挙げられる。このような物理的吸着剤としては、例えば商品名「HSZ800シリーズ890HOAタイプ」(東ソー株式会社)等が市販されており、これらの市販品を使用することもできる。
これらの吸着剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの吸着剤の中でも、フェノール性化合物に比べて揮発性化合物の吸着能が高く、揮発性化合物を優先的に吸着できるものが好ましく、より具体的には化学的吸着剤、更に好ましくは、前記含窒素化合物が多孔質材料に担持されてなる化学的吸着剤が更に好ましい。また、抗アレルゲン性能の増強の観点から、前記吸着剤の内、含窒素化合物が多孔質材料に担持されてなる化学的吸着剤、及び無機化合物からなる物理的吸着剤は、抗アレルゲン剤によって発揮される抗アレルゲン性能を相乗的に向上させ得るため、好適に使用される。
前記吸着剤の平均粒径については、特に制限されないが、例えば、0.1〜10μm、好ましくは0.5〜6μmが挙げられる。
本発明の積層シートにおいて、前記吸着剤の添加量については、吸着剤の種類、添加対象となる層の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば、本発明の積層シート1m2当たりの前記吸着剤の含有量が、0.01〜3g、好ましくは0.05〜2gが挙げられる。
以下、本発明の積層シートの各層の構成について詳細に説明する。
<基材シート>
基材シートとしては、通常の壁紙等に用いられるものであれば特に限定されず、例えば裏打紙、難燃紙等の紙質基材、織布、不織布、編布等の布質基材、合成樹脂シート、その他の繊維質シート等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよく、紙同士の複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。また、これらの基材シートには、必要に応じて難燃剤、無機質剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色剤、サイズ剤、定着剤等を適宜添加してもよい。
基材の厚さは、特に制限はないが、坪量が50〜300g/m2程度、好ましくは55〜160g/m2の範囲である。特に、壁紙施工時の下地の凹凸を拾う、いわゆる不陸を目立たなくするには、60〜160g/m2の範囲が好ましい。
本発明においては、スルファニル酸グアナジンやリン酸グアナジン等の水溶性難燃剤を含浸させたパルプ主体の難燃紙や、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機質剤を混抄した無機質紙等の通常壁紙用裏打紙といわれるものが好ましい。
また、カール防止の観点より、その水中伸度は2%以下であることが好ましく、より好ましくは1.8%以下である。ここで、水中伸度はJAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.27:2000に準拠して測定された値である。
<発泡剤含有樹脂層>
本発明における発泡剤含有樹脂層においては、樹脂組成物に対して、前述の発泡剤の他、可塑剤、及び無機充填剤等を含有させることが好ましい。
発泡剤含有樹脂層に用いることができる樹脂としては、好ましくは熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のポリオレフィンの単体及び各種共重合体;エチレンと炭素数が4以上のα−オレフィンの共重合体(線状低密度ポリエチレン)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のエチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物ないしアイオノマー、又はこれらの混合樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、ナイロン、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の熱可塑性樹脂の単体及び共重合体;これらの混合樹脂等を挙げることができる。成膜性、柔軟性、低温での加工性を付与し、また比較的低コストとすることができ、また汎用性の観点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂が好ましく、環境保護の観点からポリオレフィン系樹脂がより好ましい。
可塑剤としては、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル化合物;ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジイソノニルフタレート(DINP)等のフタル酸エステル化合物等が好ましく挙げられる。これらの可塑剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、低コストであると共に汎用性の高いジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート (DOP)、ジイソノニルフタレート (DINP)等のフタル酸エステル化合物が好ましい。
可塑剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、10〜80質量部がより好ましく、30〜70質量部がさらに好ましい。可塑剤の添加量が上記範囲内であると、優れた柔軟性と耐候性が得られる。
無機充填剤としては、特に制限はなく、様々なものを用いることができるが、例えば、シリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム 酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、マイカ等を挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、分解温度が低く、吸熱量が大きく、低コストであることから炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムが好適である。
これらの無機充填剤は、難燃性を付与する効果を有し、多量に配合することで、その効果は一層増大する。壁紙の難燃性を十分得るには、無機充填剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0〜100質量部程度が好ましく、20〜100質量部程度がより好ましい。
本発明において用いられる無機充填剤の平均粒径は、5〜25μmが好ましく、5〜15μmがさらに好ましい。
これらの無機充填剤は、そのまま配合してもよいが、無機充填剤をあらかじめシラン系、チタネート系、アルミネート系、ジルコアルミニウム系等のカップリング剤、リン酸系、脂肪酸系等の界面活性剤、油脂、ワックス、ステアリン酸、シランカップリング剤等により処理してから配合してもよい。
その他、発泡剤含有樹脂層には、要求される物性に応じて各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えばセル調整剤、光安定剤、防カビ剤、防虫剤、防腐剤、抗菌剤、希釈剤、消臭剤等が挙げられる。
また、架橋させる場合には、架橋助剤を配合することが好ましい。架橋助剤としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルイソシアネート等の3官能の架橋助剤のほか、NKエステル等の単官能の架橋助剤等が好ましく挙げられる。これらの架橋助剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。架橋助剤の配合量は発泡剤含有樹脂層に用いられる樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度が好ましい。
また、発泡剤含有樹脂層に前記吸着剤を含有させる場合、その添加量については、使用する吸着剤の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば、発泡剤含有樹脂層の熱可塑性樹脂100質量部に対して、1〜100質量部、好ましくは5〜50質量部、更に好ましくは10〜30質量部が挙げられる。
発泡剤含有樹脂層の厚みは、40〜100μmが好ましい。発泡剤を発泡させた後の発泡樹脂層の厚みは、特に制限はないが、エンボス加工性を良好なものにする観点から200〜1000μmが好ましく、300〜700μmがより好ましい。
<抗アレルゲン機能層>
抗アレルゲン機能層は、前述の抗アレルゲン剤の他、硬化性樹脂を含有するものであり、優れた抗アレルゲン性とその持続性を付与するだけでなく、使用する硬化性樹脂の種類によっては耐汚染性、耐セロファンテープ性、耐擦傷性、耐薬品性等の表面特性を付与しうる層である。
抗アレルゲン機能層で用いられる硬化性樹脂は、熱又は電離放射線の照射により硬化する樹脂であることが好ましく、電離放射線の照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂組成物で構成されたものがより好ましい。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。
熱で硬化する樹脂としては、フェノール樹脂、フェノール−ホルマリン樹脂、尿素樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が好ましく挙げられる。
なお、本発明においては、水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレン−アクリル酸樹脂、水溶性スチレン−マレイン酸樹脂等の水溶性樹脂や、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン等の水分散型樹脂を硬化性樹脂として用いてもよい。
また、本発明においては硬化性樹脂として2液硬化性樹脂を用いることもできる。2液硬化性樹脂としては、公知の2液硬化性ウレタン樹脂や、ウレタン−アクリル共重合体樹脂、2液硬化性アクリルポリオール系樹脂、2液硬化性エポキシ樹脂等を挙げることができる。
電離放射線硬化性樹脂は、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであればよく、特に制限はない。これらの多官能性(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等のオリゴマーが挙げられる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、 芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
重合性オリゴマーとしては、上記した中でもウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができ、ラジカル重合性不飽和基を有するものである。本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、このラジカル重合性不飽和基を2〜10個有するものが好ましく、2〜8個有するものがより好ましい。すなわち、本発明においては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして、2〜10官能のものが好ましく、2〜8官能のものがより好ましい。官能基数が上記範囲内であると、優れた耐候性、耐汚染性が得られると同時に、Vカットをはじめとする各種加工に対応できる優れた加工性が得られ、また優れた抗アレルゲン性も得られる。
このウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、600〜5000のものが好ましく、600〜3000のものがより好ましく、600〜2200のものが更に好ましい。このようなウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを後述する抗アレルゲン剤と共に用いることにより、抗アレルゲン性と共に耐候性、耐汚染性に優れたものが得られる。また、抗アレルゲン機能層用組成物が適度なチクソ性を有するので、抗アレルゲン機能層の形成が容易となる。
本発明においては、上記した多官能性ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー等と共に、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性あるいは多官能性ウレタン(メタ)アクリレートモノマーを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
その他、抗アレルゲン機能層用組成物には、用途に応じた様々な要求に対応するため、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、耐摩耗剤、及び艶消し剤、あるいは沈降防止剤等の添加剤を含有させることができる。
また、抗アレルゲン性能を阻害しない範囲で各種添加剤を含有することができる。各種添加剤としては、例えば重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤等が挙げられる。
なお、硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましく、光重合用開始剤としては、従来慣用されているもののなかから適宜選択することができる。
抗アレルゲン機能層の厚さは、特に制限されないが、例えば、0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μmが挙げられる。
また、抗アレルゲン機能層に前記吸着剤を含有させる場合、その添加量については、使用する吸着剤の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば、抗アレルゲン機能層中の硬化性樹脂100質量部に対して、1〜100質量部、好ましくは3〜30質量部が挙げられる。
<中間樹脂層>
中間樹脂層は、発泡剤含有樹脂層と抗アレルゲン機能層の間に、化粧シートの柔軟性を維持しつつ、化粧シートの厚みを増したり、種々の機能を付与したりするために、必要に応じて形成される併設層である
中間樹脂層の材質としては、特に制限されず、公知の樹脂を使用できるが、好ましくは熱可塑性樹脂から形成されているものが挙げられる。中間樹脂層に使用される熱可塑性樹脂の種類については、特に制限されないが、具体的には、前記発泡剤含有樹脂層で使用されるものと同様のものが例示される。
また、中間樹脂層には、備えさせるべき所望の物性に応じて、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤、艶調整剤、抗菌剤、防カビ剤、耐汚染性付与剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
中間樹脂層の厚さについては、特に制限されないが、例えば、0.1〜20μm、好ましくは0.5〜10μmが挙げられる。
中間樹脂層に前記吸着剤を含有させる場合、その添加量については、使用する吸着剤の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば、中間樹脂層中の熱可塑性樹脂100質量部質量部に対して、1〜120質量部、好ましくは10〜100質量部、更に好ましくは30〜80質量部が挙げられる。
<非発泡樹脂層A、非発泡樹脂層B>
非発泡樹脂層A(接着層)は、発泡剤含有樹脂層と基材シートとの接着力を向上させるため、発泡剤含有樹脂層と基材シートの間に必要に応じて設けられる併設層である。また、非発泡樹脂層Bは、絵柄印刷層に用いられるインキ組成物が発泡剤含有樹脂層を経由して基材シート中に浸透することを抑制する等の理由から、発泡剤含有樹脂層と抗アレルゲン機能層との間に必要に応じて設けられる併設層である。
非発泡樹脂層A又はBを構成する樹脂成分としては、特に制限はないが、ポリオレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられ、その中でもポリオレフィン系樹脂が好ましい。 発泡剤含有樹脂層に用いるポリオレフィン系樹脂と、非発泡樹脂層用のポリオレフィン系樹脂とは同じでも異なっていてもよい。また、各非発泡樹脂層の厚さに制限はないが5〜50μm程度が好ましい。
また、非発泡樹脂層A及び/又はBに前記吸着剤を含有させる場合、その添加量については、使用する吸着剤の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば、非発泡樹脂層A及び/又はB中の樹脂100質量部に対して、1〜100質量部、好ましくは3〜60質量部、更に好ましくは5〜30質量部が挙げられる。
<絵柄印刷層>
絵柄印刷層は、積層シート及び発泡積層シートに装飾性を与えるために必要に応じて設けられる併設層であり、種々の模様を、インキ組成物と印刷機とを使用して印刷することにより形成される。一般的にはグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等、周知の印刷方法によりインキにて形成することができる。模様としては、木目模様、大理石模様 (例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う多色印刷等によっても形成される。
絵柄印刷層の形成に用いられるインキ組成物としては、バインダー樹脂に顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。バインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂等が好ましく、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。 これらの中ではポリウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等の1種を単独で又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
着色剤としては、カーボンブラック (墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール顔料等が用いられる。これらの着色剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
絵柄印刷層は、厚さ1〜20μm程度であることが好ましい。
また、絵柄印刷層に前記吸着剤を含有させる場合、その添加量については、使用する吸着剤の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば、絵柄印刷層中のバインダー樹脂100質量部に対して、1〜100質量部、好ましくは3〜50質量部、更に好ましくは5〜30質量部が挙げられる。
<プライマー層>
プライマー層は、発泡剤含有樹脂層と抗アレルゲン機能層との間、或いは中間樹脂層を設ける場合には、発泡剤含有樹脂層と中間樹脂層の間、及び/又は中間樹脂層7と抗アレルゲン機能層との間に、これらの密着性を高めるために、必要に応じて形成される併設層である。
プライマー層に含有される樹脂としては、例えば、アクリル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等を使用することができるが、特にアクリル、塩素化ポリプロピレン等が望ましい。
プライマー層の厚さに特に制限はないが、0.1〜10μm程度が好ましく、0.1〜5μm程度がより好ましい。
なお、抗アレルゲン機能層と隣接(接面)する層にプライマー層を設ける場合には、抗アレルゲン剤の機能を低下させないような材料を選択することが好ましい。本発明においては、水性アクリル系エマルジョン樹脂の水性プライマーを使用することが好ましい。
また、プライマー層に前記吸着剤を含有させる場合、その添加量については、使用する吸着剤の種類等に応じて適宜設定されるが、例えば、プライマー層中の樹脂100質量部に対して、1〜120質量部、好ましくは10〜100質量部、更に好ましくは30〜80質量部が挙げられる。
[発泡積層シート]
本発明の発泡積層シートは、前記本発明の積層シートを発泡させることにより得られる。発泡時の加熱条件は、熱分解型発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されない。加熱温度は160〜260℃程度が好ましく、加熱時間は20〜80秒程度が好ましい。
本発明の発泡積層シートは、最表面層の上からエンボス加工が施されていてもよい。エンボス模様としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。また、表面に抗アレルゲン機能層を有することから抗アレルゲン性能に優れており、抗アレルゲン性壁紙、各種装飾材等として有用である。
<発泡積層シートの製造方法>
発泡積層シートは、基材シート上に、発泡剤含有樹脂層と抗アレルゲン機能層を形成して積層シートとし、次に熱処理して発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層にすることにより製造できる。また、必要に応じて設けられる併設層を形成する場合には、設ける併設層の種類と積層順に応じて、当該併設層を形成すればよい。例えば、図1に示す積層構造の積層シートを製造するには、基材上に発泡剤含有樹脂層及び絵柄模様層を形成後、更に抗アレルゲン機能層を形成すればよく、当該積層シートから発泡積層シートを得るには、熱処理して発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層に変換すればよい。
発泡剤含有樹脂層は、発泡剤含有樹脂層用組成物を基材シート上にコンマコーター法等のコーティング方法により積層する方法や、Tダイによる押出製膜法、カレンダー製膜法等の成膜法により形成することができる。また、発泡剤含有樹脂層を製膜後は、電子線照射を行ってもよい。これにより樹脂成分を架橋して発泡樹脂層の表面強度、発泡特性等を調整することができる。電子線のエネルギーは、 150〜250kV程度が好ましく、175〜200kV程度がより好ましい。照射量は、10〜100kGy程度が好ましく、10〜50kGy程度がより好ましい。電子線源としては、公知の電子線照射装置が使用できる。
また、絵柄印刷層、抗アレルゲン機能層、プライマー層、中間樹脂層等はグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等、周知の印刷方法により設けることができる。
抗アレルゲン機能層や中間樹脂層に含まれる電離放射線硬化性樹脂層を架橋硬化する電離放射線の照射条件については、例えば、電子線を用いる場合のエネルギーは、50〜300kV程度が好ましく、150〜250kV程度がより好ましい。照射量は、5〜300kGy程度が好ましく、10〜100kGy程度がより好ましい。また、紫外線を用いる場合には波長190〜380nmの紫外線を含むものを照射する。なお、耐汚染性、耐傷性の観点から、抗アレルゲン機能層の硬化後の厚さは、0.5〜30μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。
次いで、発泡剤含有樹脂層を加熱することにより発泡樹脂層を形成する。加熱条件は、熱分解型発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されない。加熱温度は160〜260℃程度が好ましく、加熱時間は20〜80秒程度が好ましい。また、発泡剤含有樹脂層の形成にあたっての発泡倍率は、特に制限されないが、通常は3〜7倍程度であればよい。 発泡倍率が上記範囲内であれば、良好な表面強度、加工性等を得ることができる。
次に、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、本実施例及び比較例において使用した材料は以下のとおりである。
壁紙用裏打紙(基材シート):「WK−FKKD」(株)興人製
水性インキ:「ハイドリック」大日精化工業(株)製、(ポリウレタン、水、 IPA、有機・無機顔料の混合物)
抗アレルゲン剤:「アレリムーブ」東亞合成(株)製
エチレン−酢酸ビニル系共重合体:「エバテートCV5053」住友化学(株)製
炭酸カルシウム:「ホワイトンH」白石工業(株)製
重炭酸ナトリウム:「セルマイク266」三協化成(株)製
マイクロカプセル:「マツモトマイクロスフェアーF−190D」松本油脂製薬(株)、マイクロカプセルの組成:アクリル系熱可塑性樹脂、封入発泡剤:液体炭化水素、粒径:30〜40μm
希釈剤:「シェルゾールS」昭和シェル石油(株)製
艶消し剤(不定形シリカ:「サイシリア445」富士シリシア化学(株)製
塩ビレジン:「R−720」東ソー製
二酸化チタン(顔料):「タイピュアR−108」デュポン(株)製
光安定剤:「OF−101」(株)ADEKA製
架橋剤:「オブスターJVA−702」 JSR(株)製
アゾジカルボンアミド:「ビニホールAC♯3C-K2」永和化成工業(株)製
(実施例1)
坪量が60g/m2である壁紙用裏打紙を基材シートとして用い、この基材シート上に下記組成の発泡剤含有樹脂層をコンマコート法により約130g/m2(厚み80μm)となるようにコーティングし、約90℃で乾燥させて発泡剤含有樹脂層を形成した。次いで、この発泡剤含有樹脂層上にグラビア印刷により水性インキを布目模様(絵柄印刷層)に印刷し、厚さ約1μmの絵柄模様層を積層させた。さらに、この絵柄印刷層の上に、アクリル系樹脂100質量部に対して抗アレルゲン剤を10質量部含むアクリル系樹脂の水性インキを乾燥後の膜厚が約1μmとなるようにグラビア印刷して抗アレルゲン機能層を積層させて積層シートを得た。
その後、積層シートを加熱発泡炉を用いて170℃で発泡させた後、エンボス型が形成された冷却ロールと加圧ロールの間を通し、表面に凹凸模様を有する発泡積層シート(厚み600μm)を得た。
<実施例1において使用した発泡剤含有樹脂層の組成>
エチレン−酢酸ビニル系共重合体:100質量部
炭酸カルシウム(無機充填剤) :100質量部
マイクロカプセル(発泡剤) : 10質量部
光安定剤 : 5質量部
希釈剤 : 20質量部
(実施例2)
発泡剤として重炭酸ナトリウムを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行って発泡積層シートを得た。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で基材シート、発泡剤含有樹脂層、及び絵柄印刷層を作製し、絵柄印刷層の上に2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量680)100質量部、抗アレルゲン剤10質量部、及び艶消し剤16質量部を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布(3g/m2)した。前記電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布した後、加速電圧165kV、照射線量30kGy(3Mrad)の電子線を照射し、電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させて抗アレルゲン機能層を有する積層シートを得た。これを実施例1と同様の方法で発泡させた後、エンボス加工を施し、表面に凹凸模様を有する発泡積層シートを得た。
(実施例4)
発泡剤含有樹脂層の組成を以下のとおり変更したこと以外は実施例1と同様に発泡積層シートを製造した。
<実施例4において使用した発泡剤含有樹脂層の組成>
塩ビレジン :100質量部
マイクロカプセル(発泡剤) : 10質量部
炭酸カルシウム(無機充填剤) : 30質量部
二酸化チタン : 20質量部
光安定剤 : 1質量部
架橋剤 : 1質量部
(実施例5)
実施例1と同様の方法で基材シート、発泡剤含有樹脂層、及び絵柄印刷層を作製し、絵柄印刷層の上に、ウレタン-アクリル樹脂100質量部に有機・無機複合吸着剤(ケスモンNS‐10、東亞合成製)50質量部を添加した樹脂組成物を塗布(約1g/m2)し、吸着
剤を含むプライマー層(厚さ約1μm)を形成した。さらに、この中間樹脂層の上に抗アレルゲン剤の配合量が10質量%であるアクリル系樹脂の水性インキを乾燥後の膜厚が約1μmとなるようにグラビア印刷して抗アレルゲン機能層を積層させて積層シートを得た。これを実施例1と同様の方法で発泡させた後、エンボス加工を施し、表面に凹凸模様を有する発泡積層シートを得た。即ち、本実施例5で得られた発泡積層シートでは、基材シート、発泡樹脂層、絵柄印刷層、吸着剤を含む中間樹脂層、及び抗アレルゲン機能層が順に積層した構造になっている。
(実施例6)
抗アレルゲン機能層の形成において、アクリル系樹脂100質量部に対して有機無機複合吸着剤(ケスモンNS‐10、東亞合成製)80質量部を更に添加したものを使用したこと以外は、実施例1と同様にして発泡積層シートを作成した。即ち、本実施例6で得られた発泡積層シートでは、基材シート、発泡樹脂層、絵柄印刷層、及び吸着剤を含む抗アレルゲン機能層が順に積層した構造になっている。
(実施例7)
抗アレルゲン機能層の形成において、アクリル系樹脂100質量部に対して有機・無機複合吸着剤(ケスモンNS‐10、東亞合成製)80質量部を更に添加したものを使用したこと以外は、実施例5と同様にして発泡積層シートを作成した。即ち、本実施例7で得られた発泡積層シートでは、基材シート、発泡樹脂層、絵柄印刷層、吸着剤を含むプライマー層、及び吸着剤を含む抗アレルゲン機能層が順に積層した構造になっている。
(実施例8)
抗アレルゲン機能層の形成において、アクリル系樹脂100質量部に対して、有機・無機複合吸着剤(ケスモンNS-231、東亞合成製)を5質量部、抗アレルゲン剤を0.5質量部、無機吸着剤(HSZ800シリーズ890HOAタイプ、東ソー製)を3質量部添加した以外は実施例1と同様にして発泡積層シートを作製した。即ち、本実施例8で得られた発泡積層シートでは、基材シート、発泡樹脂層、絵柄印刷層、並びに有機・無機複合吸着剤及び無機吸着剤を含む抗アレルゲン機能層が順に積層した構造になっている。
(実施例9)
抗アレルゲン機能層の形成において、アクリル系樹脂100質量部に対して、無機吸着剤(HSZ800シリーズ890HOAタイプ、東ソー製)を3質量部、抗アレルゲン剤を0.5質量部添加した以外は実施例1と同様にして発泡積層シートを作製した。即ち、本実施例9で得られた発泡積層シートでは、基材シート、発泡樹脂層、絵柄印刷層、及び無機吸着剤を含む抗アレルゲン機能層が順に積層した構造になっている。
(比較例1)
発泡剤として、アゾジカルボンアミドを3質量部用いたこと、及び発泡温度を230℃に変更したこと以外は、実施例1と同様に積層シート及び発泡積層シートを作成した。
(比較例2)
発泡剤にアゾジカルボンアミドを3質量部用いたこと、及び発泡温度を230℃に変更したこと以外は実施例3と同様に積層シート及び発泡積層シートを作成した。
<評価>
抗アレルゲン性能の評価
実施例及び比較例において作製した各発泡積層シートに対してダニアレルゲン(「Der f2」アサヒビール(株)製)を含む水溶液(ダニアレルゲンの初期濃度:25ng/ml)400μl滴下して、ガラス板で覆って24時間放置した後、該積層シート上のダニアレルゲンを回収し、回収されたダニアレルゲン量をサンドイッチELISA法にて測定を行った。ダニアレルゲン量は、濃度既知の標準品を用いて作成した標準曲線から求めてアレルゲン低減化率を算出し、下記の4段階での判定基準で抗アレルゲン性能を評価した。
<抗アレルゲン性能の判定基準>
[1] アレルゲン低減化率80%以上
[2] アレルゲン低減化率60%以上80%未満
[3] アレルゲン低減化率40%以上60%未満
[4] アレルゲン低減化率40%未満
アンモニア消臭性能の評価
前記実施例及び比較例で得られた発泡積層シート(10cm×10cm)を、内容量5リットル(L)のテドラーバッグ内に挿入した。テドラーバッグ内に、1Lの合成空気〔(窒素:酸素)容積比:4/1、50%RH〕を送り込み、次いで、アンモニア水を用いてアンモニアガスを調製し、テドラーバック内の空気中のアンモニア濃度が300ppmとなるようにアンモニアガスをテドラーバック内に送り込んだ。3時間後にテドラーバッグ内の空気中のアンモニア濃度をガスクロマトグラフィーにより測定し、以下に示す判定基準に従って、アンモニア消臭性能を評価した。
<アンモニア消臭性能の判定基準>
[1] アンモニア濃度が0ppm以上100ppm未満
[2] アンモニア濃度が100ppm以上150ppm未満
[3] アンモニア濃度が150ppm以上200ppm未満
[4] アンモニア濃度が200ppm以上
得られた結果を表1に示す。表1から明らかなように、実施例1〜7の発泡積層シートは、抗アレルゲン性能の評価が1であったことから、極めて優れた抗アレルゲン性能を備えていることがわかる。また、実施例8及び9の発泡積層シートは、抗アレルゲン機能層における抗アレルゲン剤の含有量が少ないにも拘らず、抗アレルゲン性能の評価が2であり、優れた抗アレルゲン性能を有していた。一方、比較例1、2の発泡積層シートは、発泡剤より生じる塩基性ガスにより抗アレルゲン剤が失活したため、抗アレルゲン性能の評価が4となった。さらに比較例1、2の発泡積層シートにおいては抗アレルゲン機能層に黄変が生じていた。また、吸着剤を添加した実施例5−9の発泡積層シートでは、アンモニア消臭性能の評価が1又は2であり、優れたアンモニア消臭性能を備えており、更に吸着剤の添加によって抗アレルゲン性能の低減も認められなかった。
以上の結果より、本発明によれば発泡工程における抗アレルゲン性能の低下及び変色を抑制した積層シートを得ることができることが明らかとなった。
また、本発明によれば、所定の発泡剤を用いることにより、種々の特性を備える抗アレルゲン剤を組み合わせて用いることができる。更に、基材シート上の層の少なくとも1つの層に、アンモニア等の揮発性化合物を吸着できる吸着剤を添加することにより、揮発性化合物を除去する作用を備えることもできることが明らかとなった。
1 積層シート
2 基材シート
3 発泡剤含有樹層
4 絵柄印刷層
5 抗アレルゲン機能層
7 プライマー層
8 非発泡樹脂層A
9 非発泡樹脂層B

Claims (9)

  1. 基材シート、発泡剤含有樹脂層、及び抗アレルゲン機能層をこの順に有し、該発泡剤含有樹脂層が中性及び/又は酸性の気体を発生する発泡剤を含有し、
    該抗アレルゲン機能層が硬化性樹脂及びフェノール性化合物を含有し、
    前記基材シート上に積層されている少なくとも1つの層に、揮発性化合物を吸着する、前記フェノール性化合物とは異なる吸着剤が含まれている積層シート。
  2. 前記発泡剤がマイクロカプセルに封入されている、請求項1に記載の積層シート。
  3. 前記フェノール性化合物がポリフェノール化合物である、請求項1又は2に記載の積層シート。
  4. 前記抗アレルゲン機能層が、前記吸着剤を含有している、請求項に記載の化粧シート。
  5. 中間樹脂層及びプライマー層よりなる群から選択される少なくとも1種の併設層が、発泡剤含有樹脂層と抗アレルゲン機能層との間に設けられおり、
    前記抗アレルゲン機能層と前記併設層の内、1又は2以上の層が、前記吸着剤を含有している、請求項に記載の化粧シート。
  6. 前記吸着剤が、アルカリ性の気体を吸着する吸着剤である、請求項のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 前記抗アレルゲン機能層の硬化性樹脂が電離放射線硬化性樹脂である、請求項1〜のいずれかに記載の積層シート。
  8. 基材シートが繊維質シートである、請求項1〜のいずれかに記載の積層シート。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の積層シートの発泡剤含有樹脂層を発泡させた発泡積層シート。
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