JP5830857B2 - シート - Google Patents
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Description
特許文献1〜3は、いずれも保護層に光安定剤や紫外線吸収剤などの添加剤を含有させることで、耐候性の向上を図っている。しかし、該保護層中の添加剤の含有量を向上させた場合、保護層を形成するバインダー樹脂との相溶性などに起因して、これらの添加剤がブリードアウトし、ベタ付きの原因となっていた。一方、ブリードアウトしない程度の添加剤の含有量では、これらの添加剤の十分な性能を得られず、耐候性の点で満足のいくものが得られないといった問題もあった。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
2.反応性官能基Aが、エチレン性二重結合を有する官能基である上記1に記載のコーティング剤組成物。
3.反応性官能基Aが、(メタ)アクリロイル基である上記2に記載のコーティング剤組成物。
4.カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)が、1000〜10000である上記1〜3のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
5.トリアジン系紫外線吸収剤の含有量が、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対して1〜10質量部である上記1〜4のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
6.光安定剤の含有量が、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対して1〜10質量部である上記1〜5のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
7.さらに、反応性官能基Bを有するシリケート化合物又はアルキルシリケートを含む上記1〜6のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
8.反応性官能基Bが、エチレン性二重結合を有する官能基、又は水酸基である上記7に記載のコーティング剤組成物。
9.反応性官能基Bが、(メタ)アクリロイル基である上記8に記載のコーティング剤組成物。
10.上記1〜9のいずれかに記載のコーティング剤組成物を架橋硬化してなる表面保護層を有するシート。
11.少なくとも基材と表面保護層とを有し、該表面保護層が最表面に設けられるものである上記10に記載のシート。
12.基材と表面保護層との間にプライマー層を有し、該プライマー層がポリカーボネート系ウレタンアクリレート、又はポリカーボネート系ウレタンアクリレート及びアクリルポリオールからなるバインダー樹脂を用いてなるものである上記11に記載のシート。
本発明のコーティング剤組成物は、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、トリアジン系紫外線吸収剤、及び反応性官能基Aを有するヒンダードアミン系光安定剤を含むコーティング剤組成物である。以下、各成分について説明する。
本発明で用いられるカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートは、電離放射線硬化性を有する樹脂であり、通常カプロラクトン系ポリオールと有機イソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応により得ることができるものである。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他に、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
有機ポリイソシアネートとしては、2個のイソシアネート基を有するジイソシアネートが好ましく、黄変を抑制する観点から、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが好ましく挙げられる。また、ヒドロキシアクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、カプロラクトン変性−2−ヒドロキシエチルアクリレートなどが好ましく挙げられる。
本発明で用いられるトリアジン系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。このような紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2'−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられるヒンダードアミン系光安定剤において、反応性官能基Aは、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートと反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
このような光安定剤としては、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)などが挙げられる。
本発明において、シリケート化合物は、本発明のコーティング剤組成物の被塗物に自浄性を付与するために、所望により用いられるものである。本発明で用いられるシリケート化合物は、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートと反応性を有する反応性官能基Bを有するシリケート化合物であれば特に制限はない。反応性官能基Bとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
反応性官能基Bを有するシリケート化合物は、好ましくは下記一般式(1)で示される化合物である。
炭素数1〜10の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが好ましく挙げられる。これらの基は置換されていても置換されていなくてもよく、また、アルキル基及びアルケニル基は直鎖状であっても、枝分かれ状であってもよい。これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
また、n2は上記のn1と同じである。
本発明において、アルキルシリケートは、本発明のコーティング剤組成物の被塗物に自浄性を付与するために、所望により用いられるものである。アルキルシリケートは、Si原子と結合するアルコキシル基を少なくとも一つ有するものであればよく、好ましくは下記一般式(3)で示されるテトラアルキルシリケートである。
また、重量平均分子量は、150〜4000が好ましく、1000〜3000がより好ましく、さらに1000〜2000が好ましい。
本発明のコーティング剤は、その性能を阻害しない範囲で各種添加剤を含有することができる。各種添加剤としては、例えば重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
本発明のシートは、本発明のコーティング剤組成物を架橋硬化してなる表面保護層を有する態様を有すれば特に制限はない。本発明のシートは、該表面保護層を単独でシートとすることも可能であるが、基材上にコーティング剤組成物を架橋硬化してなる表面保護層を形成することが好ましい。本発明のシートの好ましい用途としては、透明性を必要とする用途、化粧シートへの用途などが挙げられ、以下用途別に本発明のシートを説明する。
まず、本発明のシートが窓ガラスの保護シートやビニールハウスなどといった透明性を必要とする用途に用いられる場合について説明する。
透明性を必要とする用途に用いられる本発明のシート(以下、シートIと称することがある。)において、用いられる基材としては、プラスチックフィルム、プラスチックシートが好ましく、ポリオレフィン樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂などからなるものが好ましく挙げられる。
該基材は、基材と表面保護層との層間密着性や、各種の被着材との接着性の強化などのためのプライマー層や、裏面プライマー層を形成するなどの処理を施してもよい。プライマー層の形成に用いられる材料としては特に限定されず、アクリル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。なお、裏面プライマー層7に用いられる材料は被着材によって、適宜選択される。
また、透明性を阻害しない範囲内であれば、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
表面保護層は、本発明のコーティング剤組成物を架橋硬化してなる層である。より具体的には、上記した基材上にコーティング剤組成物を塗工し、電離放射線などを照射することにより架橋硬化させて形成する層である。
コーティング組成物の塗工は、硬化後の厚さが通常1〜20μm程度となるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより行う。また、優れた耐候性とその持続性、さらには透明性と防汚性とを得る観点から、好ましくは2〜20μmである。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
本発明のシートは、化粧シートとしても好適に用いられる。例えば、上記した透明性を必要とする用途に用いられるシートI、あるいはこれに絵柄を施したシートIも化粧シートとして採用することができるが、以下、化粧シートとしてより好ましい態様について図1〜3を用いて説明する。
本発明で用いられる基材2は、通常化粧シート用として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、各種繊維の織布や不織布、プラスチックフィルム、プラスチックシート、金属箔、金属シート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材などを用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体など、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。これらのうち、加工性などを考慮すると、プラスチックフィルム、プラスチックシートが好ましく、なかでもポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーなどのポリオレフィン系樹脂の基材が好ましく、加工性を考慮するとポリプロピレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントにアイソタクチックポリプロピレン、ソフトセグメントにアタクチックポリプロピレンを質量比80:20で混合したものが好ましい。
基材2の厚さについては特に制限はないが、加工性、柔軟性、強度などの観点から、50〜150μmの範囲であることが好ましく、50〜120μmの範囲であることがさらに好ましい。
図1及び2に示される柄印刷層3は、本発明の化粧シートに装飾性を付与するものであり、好ましくは絵柄層3a及び着色層3bからなる。なお、後に詳述するように、基材2の色彩などをそのまま利用し、隠蔽する必要がないような場合には、絵柄層3aのみを施してもよいし、一方、柄を必要としない場合には、着色層3bのみを施してもよい。
柄印刷層の形成は、通常はインキを用い、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インキジェットプリントなどの公知の印刷法などで形成できる。
バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などの公知のバインダーの中から、要求される物性、印刷適性などに応じて適宜選択すれば良い。例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロース系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸ブチル/(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体などのアクリル樹脂のほか、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などの単体又はこれらを含む混合物を用いることができる。
これらの樹脂は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
着色層3bに用いるインキとしては、絵柄層3aで用いたのと同様のものを用いることができる。
図2に示される透明樹脂層4は、本発明のシートにおいて、柄印刷層3を保護し、かつ、本発明のシートに耐候性を付与するものである。本発明の透明樹脂層4は、透明性のものであれば限定されず、無色透明、着色透明、及び半透明のいずれも含む。
また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
透明樹脂層4における光安定剤の含有量は、透明樹脂層4を形成する樹脂100質量部に対して、通常0.05〜0.8質量部の範囲であり、好ましくは0.1〜0.5質量部の範囲である。0.05質量部以上であると本発明の化粧シートに十分な耐候性を付与することができ、0.8質量部以下であると、ブリードアウトすることがない。
本発明では、溶融押出により透明樹脂層4を形成することが好ましく、透明樹脂層4は、ポリオレフィン系樹脂を溶融押出によって塗工することが望ましい。具体的には、柄印刷層3上に予め接着剤層8を形成し、当該接着剤層8上にポリプロピレン系熱可塑性エラストマーを溶融押出して塗工することにより透明樹脂層4を好適に形成することができる。溶融押出の方法は、例えばTダイなどを用いる公知の方法に従って実施すればよい。
なお、透明樹脂層4の厚みは、最終製品の用途、使用方法などにより適宜設定できるが、一般的には20〜250μm、特に50〜200μm程度とすることが好ましい。
透明樹脂層4は、図1に示すように凹部を有していてもよい。透明樹脂層に凹部を施す方法については特に制限はなく、例えばエンボス加工により施される。エンボス加工は、公知の枚葉又は輪転式のエンボス機を使用する通常の方法のほか、柄印刷層3上に透明樹脂層4を積層する工程で同時にエンボス加工を行う方法(いわゆるダブリングエンボス法)を用いて行ってもよい。
上記の透明樹脂層4に設けられた凹部には、ワイピング加工を施して着色樹脂層9を形成することが意匠性及び耐候性を向上させる点で好ましい。ワイピング加工とは、エンボス加工で設けた凹部にドクターブレードで表面をかきながら着色インキ組成物を充填する加工をいう。
ここで、ジイソシアネートとしては、芳香族系イソシアネート、脂肪族系イソシアネート、脂環式系イソシアネート、あるいはこれらの付加体、多量体などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族系イソシアネートや、イソホロンジイソシアネート、水素転化キシリレンジイソシアネートなどの脂環式系イソシアネートが好ましい。
アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸やアルキル基の炭素数が1〜6程度の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
接着剤層8は柄印刷層3による凹凸をならし、基材2と透明樹脂層4の接着性を向上させる機能があり、透明の樹脂層からなる。
接着剤層8の形成に用いられるインキとしては、バインダーに必要に応じて、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、紫外線吸収剤、光安定剤及び硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなくいが、アクリル/ポリウレタン系共重合体が、柔軟性、強靭性及び弾性を兼ね備えており好ましい。なお、環境を考慮した場合には、塩素を含有する樹脂系は使用しないことが好ましい。
また、接着剤層8の厚さとしては、通常2〜25μmの範囲であり、3〜20μmの範囲が好ましい。
本発明のシートIIは、好ましくは透明樹脂層4の上にプライマー層5が積層される。
プライマー層5は上記した着色樹脂層9を形成するインキ組成物で使用するバインダー樹脂から適宜選ばれるものを用いることが好ましい。すなわち、ポリカーボネート系ウレタンアクリレートやポリエステル系ウレタンアクリレート、あるいはポリカーボネート系ウレタンアクリレートとアクリルポリオールとからなる樹脂を用いることが好ましい。これらの樹脂を用いることで、極めて高い耐候性を本発明のシートIIに付与することができる。
本発明のシートIIは最表面に表面保護層6を有する。該表面保護層6は、上記した本発明のシートIの表面保護層と同じである。また、表面保護層6は、意匠性向上の観点から、凹部を有することが好ましい。表面保護層6に凹部を施す方法についても、シートIの表面保護層と同じである。
本発明の化粧板は、本発明のシートの表面保護層が最表面層となるように、該シートが被着材に積層されてなるものである。化粧板には、上記したシートI及びシートIIを採用することができるが、意匠性の観点からは、シートIIを積層することが好ましい。
なお、接着剤で本発明のシートを各種被着材に接着するに際し、裏面プライマー層7を設けることが接着性を高めることができるので好ましい。
(評価方法)
(1)耐候性の評価(耐候性試験)
実施例及び比較例で得られたシートを、ダイプラ・ウィンテス株式会社製メタルウェザーにセットし、ライト条件(照度:60mW/cm2、ブラックパネル温度63℃、層内湿度50%RH)で20時間、結露条件(照度:0mW/cm2、ブラックパネル温度30℃、層内湿度98%RH)で4時間、水噴霧条件(結露条件の前後10秒間)の条件で800時間放置する耐候性試験を行った。該試験後、25℃50%RHの条件下で2日間保持してから、シート表面にクラックや白化などの外観を下記の基準で評価した。
◎ :外観変化は全くなかった
○ :外観変化はほとんどなかった
△ :外観変化は若干あるが、実用上問題なかった
× :外観変化が著しかった
上記耐候性試験を行ったシートについて、その表面にニチバン製セロテープ(登録商標)を貼付けて急激に剥離する操作を1回行った。このときの、基材上に設けた各層が剥離するかどうかを肉眼観察により確認し、下記の基準で評価した。
○ :層の剥離は全くなかった
△ :層の剥離は若干あるが、実用上問題なかった
× :層の剥離が著しかった
実施例及び比較例で得られたシートを80℃の条件下で24時間保管した後、化粧シートの表面を指で触って、下記の基準で評価した。
○ :べたつきは全くなかった
△ :紫外線吸収剤などのブリードによるべたつきは若干あるが、実用上問題なかった
× :ブリードによるべたつきが著しかった
300g/cm2の錘に、ガーゼを輪ゴムで取り付け、酢酸エチルを染み込ませる。各実施例及び比較例で得られたシートの表面を横方向に50往復し、シートの表面を目視して、下記の基準で評価した。
○ :シート表面の変化は全くみられなかった
△ :シート表面の変化が若干みられたが、実用上問題なかった
× :シート表面の変化が著しかった
各実施例及び比較例において、電子線照射した直後のシート表面の色合いについて、下記の基準で評価した。
○ :黄変は全くみられなかった
△ :黄変が若干みられたが、実用上問題なかった
× :黄変が著しかった
各実施例及び比較例で得られたシートについて、スチールウールを用いて、300g/cm2の荷重をかけて5往復擦り、外観を目視で評価した。評価基準は以下のとおりである。
○ :外観にほとんど変化なかった
△ :外観に若干の傷つきや艶変化があった
× :外観に傷つきがあり、艶変化があった
各実施例及び比較例で得られたシートについて、表面の状態を下記の基準で評価した。
○ :ヘイズ感(曇った感じ)は全くなかった
△ :ヘイズ感が若干あるが、実用上問題なかった
× :ヘイズ感があった
実施例及び比較例で得られたシートを、屋外南向きに傾斜45°で設置した。その後、表面の汚れの付着及び沈着状態を下記の基準で評価したものを初期性能の評価とした。また、実施例及び比較例で得られたシートを、屋外南向きに傾斜45°で設置した後、3ヶ月放置する屋外曝露試験を行った。その後、表面の汚れの付着及び沈着状態を下記の基準で評価したものを持続性の評価とした。
◎ :汚れの付着や沈着は全く確認されなかった
○ :汚れの付着や沈着はほとんどなかった
△ :汚れの付着や沈着は若干あるが、実用上問題なかった
× :汚れの付着や沈着が著しかった
基材2として、透明ポリプロピレン樹脂(厚さ:80μm)からなる樹脂シートを準備した。この表面及び裏面にコロナ放電処理を施した後、該表面に下記組成のプライマー層形成用組成物を塗工(2.5g/m2)し、プライマー層(厚さ:2μm)を形成した。次に、下記組成の電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、グラビアコート法にて塗膜を形成し、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させることにより、表面保護層(5g/m2)を形成させてシートを得た。なお、表面保護層の厚さは5μmであった。
得られたシートについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
以下の樹脂組成物と硬化剤とを100:5(質量比)の割合で混合して得られる組成物である。
樹脂組成物:
ポリカーボネート系ウレタンアクリレート(ポリカーボネート系ウレタンアクリレートにおけるウレタン成分とアクリル成分の質量比:70/30):100質量部
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン400(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製):15質量部
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン479(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製):5質量部
ヒンダードアミン系光安定剤(「チヌビン123(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製):6質量部
硬化剤:
ヘキサンメチレンジイソシアネート
カプロラクトン系ウレタンアクリレートオリゴマー(3官能,重量平均分子量:約1200):100質量部
トリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン479(商品名)」,2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン,チバ・ジャパン株式会社製):2質量部
反応性官能基を有する光安定剤(商品名「サノールLS−3410」,1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート,チバ・ジャパン株式会社製):6質量部
参考例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物中のトリアジン系紫外線吸収剤の含有量を6質量部とした以外は、参考例1と同様にして、シートを作製した。
得られたシートについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
参考例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物に、さらに下記化学式(4)で示される末端にビニル基を有するシリケート化合物10質量部を加えた以外は、参考例1と同様にしてシートを作製した。
得られたシートについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
参考例1において、プライマー層のポリカーボネート系ウレタンアクリレートの代わりに、ポリカーボネート系ウレタンアクリレート及びアクリルポリオール(ポリカーボネート系ウレタンアクリレートにおけるウレタン成分とアクリル成分の質量比:70/30,ウレタンアクリレートとアクリルポリオールとの質量比:50/50)の混合系樹脂を用いた以外は、参考例1と同様にしてシートを作製した。
得られたシートについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
基材2として、着色ポリプロピレン樹脂(厚さ80μm)からなる樹脂シートを準備した。この表面及び裏面にコロナ放電処理を施した後、表面に木目柄をグラビア印刷により形成し、柄印刷層3を得た。一方、裏面には、ウレタン系樹脂をバインダーとした裏面プライマー層7(厚さ2μm)をグラビア印刷により形成した。
ポリプロピレン系熱可塑性エラストマーをTダイで溶融して得た透明樹脂層4(厚さ80μm)を形成し、透明樹脂層4をドライラミネート法により積層させた。透明樹脂層4の表面を赤外線非接触方式のヒーターで加熱し、透明樹脂層4の表面を柔らかくし、直ちに基材2と反対側の透明樹脂層4の表面に対し熱圧によるエンボス加工を行い、木目導管溝模様の凹凸模様を賦形した。
次いで、透明樹脂層4の表面にコロナ放電処理を施した後、ワイピング加工を実施した。ワイピング加工に用いるインキ組成物は、参考例1で用いたプライマー層形成用組成物に、着色剤(カーボンブラック、イソインドリノン及びキナクリドンを含む。)を5質量%、シリカ粒子(未処理シリカ「市販品」平均粒径3μm)15質量%となるように加えたものを、インキ組成物とした。
このインキ組成物を上記透明樹脂層4に塗布してワイピング加工することにより、上記透明樹脂層4の凹部に着色樹脂層9を形成した。なお、塗布量は1.5g/m2であった。次に、上記着色樹脂層9の形成に用いたインキ組成物を塗工し、プライマー層5(2.5g/m2)を形成した。
次に、参考例1で用いた電離放射線硬化性樹脂組成物に、該組成物中のカプロラクトン系ウレタンアクリレート100質量部に対して、平均粒径5μmのシリカ10質量部(吸油量:200〜300ml/100g、見かけ比重:0.08〜0.16g/cm3)、平均粒径4μmのシリカ5質量部(吸油量0〜50ml/100g、見かけ比重:0.45〜0.85g/cm3)、ワックス5質量部(脂肪族系ワックス、融点110〜200℃)の量を添加した組成物を用いて、グラビアコートにて塗膜を形成した。その後、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させることにより、表面保護層(5g/m2)を形成させてシートを得た。なお、表面保護層の厚さは5μmであった。
参考例1において、プライマー層を形成する樹脂としてアクリルポリオールを単独で用いた以外は、参考例1と同様にしてシートを作製した。得られたシートについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
参考例1において、プライマー層を形成する樹脂としてポリエステル系ウレタンアクリレートを用いた以外は、参考例1と同様にしてシートを作製した。得られたシートについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
参考例2において、シリケート化合物をアルキルシリケート1(「MS−56(商品名)」,三菱化学株式会社製,上記一般式(3)におけるR12〜R15が全てメチル基のアルキルシリケートの平均10量体(10〜12量体の混合物),重量平均分子量:1100〜1300)とした以外は、参考例2と同様にしてシートを作製した。得られたシートについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
参考例2において、シリケート化合物をアルキルシリケート2(「MS−56S(商品名)」,三菱化学株式会社製,上記一般式(3)におけるR12〜R15が全てメチル基のアルキルシリケートの平均16量体(14〜18量体の混合物),重量平均分子量:1500〜1900)とした以外は、参考例2と同様にしてシートを作製した。得られたシートについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
参考例2において、シリケート化合物をアルキルシリケート3(「メチルシリケート51(商品名)」,コルコート株式会社製,上記一般式(3)におけるR12〜R15が全てメチル基のアルキルシリケートの平均7量体,重量平均分子量:789)とした以外は、参考例2と同様にしてシートを作製した。得られたシートについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
参考例2において、シリケート化合物をメトキシ基とエトキシ基とを有するアルキルシリケート4(「EMS−485(商品名)」,コルコート株式会社製,上記一般式(3)におけるR12及びR13がメチル基であり、R14及びR15がエチル基であるアルキルシリケートの平均10量体である。分子量:1300)とした以外は、参考例2と同様にしてシートを作製した。得られたシートについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
参考例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物中のカプロラクトン系ウレタンアクリレートのかわりにポリエーテル系ウレタンアクリレートオリゴマー(2官能,分子量:約3000)を用いた以外は、参考例1と同じ材料、製造方法を用いてシートを作製した。評価結果を第2表に示す。
参考例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物中のトリアジン系紫外線吸収剤のかわりに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(「チヌビン384−2(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)を2質量%加えた以外は、参考例1と同様にしてシートを作製した。評価結果を第2表に示す。
参考例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物中の反応性官能基を有する光安定剤のかわりに、反応性官能基を有しないヒンダードアミン系光安定剤(「チヌビン123(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)を6質量%加えた以外は、参考例1と同様にしてシートを作製した。評価結果を第2表に示す。
参考例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物中のトリアジン系紫外線吸収剤を6質量%加え、反応性官能基を有する光安定剤のかわりに、反応性官能基を有しないヒンダードアミン系光安定剤(「チヌビン123(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)を6質量%加えた以外は、参考例1と同様にしてシートを作製した。評価結果を第2表に示す。
参考例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物中の反応性官能基を有する光安定剤のかわりに、粉状のヒンダードアミン系光安定剤(「チヌビン144(商品名)」,チバ・ジャパン株式会社製)を6質量%加えた以外は、参考例1と同様にしてシートを作製した。評価結果を第2表に示す。
2.基材
3.柄印刷層
3a.絵柄層
3b.着色層
4.透明樹脂層
5.プライマー層
6.表面保護層
7.裏面プライマー層
8.接着剤層
9.着色樹脂層
Claims (8)
- 基材上に表面保護層を有し、さらに基材と表面保護層との間にプライマー層を有してなり、該プライマー層が、(i)ポリカーボネート系ウレタンアクリレート、又は(ii)ポリカーボネート系ウレタンアクリレート及びアクリルポリオール、からなるバインダー樹脂を用いてなるものであり、該表面保護層が、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、トリアジン系紫外線吸収剤、及びエチレン性二重結合を有する官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤を含み、トリアジン系紫外線吸収剤の含有量がカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対して3〜10質量部であるコーティング剤組成物を架橋硬化してなるものであるシート。
- ヒンダードアミン系光安定剤のエチレン性二重結合を有する官能基が、(メタ)アクリロイル基である請求項1に記載のシート。
- カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)が、1000〜10000である請求項1又は2に記載のシート。
- 光安定剤の含有量が、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート100質量部に対して1〜10質量部である請求項1〜3のいずれかに記載のシート。
- 表面保護層中に、さらに、エチレン性二重結合を有する官能基を有するシリケート化合物又はアルキルシリケートを含む請求項1〜4のいずれかに記載のシート。
- シリケート化合物又はアルキルシリケートのエチレン性二重結合を有する官能基が、(メタ)アクリロイル基である請求項5に記載のシート。
- 前記表面保護層を前記シートの最表面に有してなる請求項1〜6のいずれかに記載のシート。
- 前記基材と前記プライマー層とが接してなる請求項1〜7のいずれかに記載のシート。
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