JP7095249B2 - 化粧部材及びこれを用いた化粧材 - Google Patents

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Description

本発明は、化粧部材及びこれを用いた化粧材に関する。詳しくは、紫外線吸収剤のブリードアウトによる紫外線吸収剤の流出が低く、耐候性に優れた表面保護層を有する化粧部材及びこれを用いた化粧材に関する。
化粧シート等の化粧部材の表面には、耐傷付き性を付与するために、表面保護層を設けることが一般的に知られている。当該化粧部材の表面保護層は、さらに、紫外線による劣化防止のため、紫外線吸収剤を添加することにより、化粧部材の表面を保護することも一般的に知られている。特に、化粧部材が玄関ドアの建築外装部材、太陽光線の影響を受け易い箇所に用いられ建築内装部材、電車、車等の車両内装部材においては、化粧部材の表面は、紫外線の影響を受け易く、表面保護層に紫外線吸収剤を添加して紫外線による影響を少なくすることが、重要である。
紫外線吸収剤には、一般的に、有機系紫外線吸収剤と無機系外線吸収剤の2種類の紫外線吸収剤があり、そのうち、有機系紫外線吸収剤は、表面保護層に用いられる樹脂の透明性を保持することができるので、化粧部材の意匠性を維持できるという利点を有する。しかし、紫外線吸収能を高めるために有機系紫外線吸収剤の添加量を増すと、有機系紫外線吸収剤が表面保護層からブリードアウトし、想定していた紫外線吸収能を発揮できなかったり、表面保護層からブリードアウトした有機系紫外線吸収剤によりべたつきが生じる等
表面外観が著しく損なわれることがあった。また、有機系紫外線吸収剤のみを用いて長期間の紫外線吸収能を維持することも限界があった。
上記問題点に対して、紫外線による劣化の少ない無機系外線吸収剤を併用する手法が存在する。例えば、有機系紫外線吸収剤と無機系外線吸収剤を併用して用い、かつ、有機系紫外線吸収剤及び無機系外線吸収剤を一緒に単層膜で包み、ベシクル化して用いることが特許文献1で知られている。
特開2017-47687号公報
しかしながら、前記特許文献1の方法により有機系紫外線吸収剤と無機系外線吸収剤を併用して用いた場合、樹脂への分散性が向上し、長期耐候性の向上や透明性低下の防止ができるが、有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを防止することは充分ではなかった。また、無機系外線吸収剤は、有機系紫外線吸収剤に比べて紫外線の吸収能が低く、十分な効果を得るためには、樹脂への添加量が多くなり、その結果、表面保護層を構成している樹脂の架橋密度が低くなり、有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを助長してしまったり、透明性を低下させてしまう恐れもある。
本発明は、このような状況下になされたものであり、長期耐候性に優れ、有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを防止することのできる化粧部材、及びこれを用いた化粧材を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基材と、その少なくとも一部を被覆する表面保護層を有する化粧材であって、該表面保護層が、(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤、及び(C)無機系紫外線吸収剤を含む樹脂組成物の硬化物からなる化粧部材が、その目的に適合し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)基材と、その少なくとも一部を被覆する表面保護層を有する化粧材であって、該表面保護層が、(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤、及び(C)無機系紫外線吸収剤を含む樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする化粧部材、及び
(2)被着材と上記(1)に記載の化粧部材とを有し、被着材、基材、表面保護層を順に有する化粧材、
を提供するものである。
本発明によれば、長期耐候性に優れ、有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを防止することのできる化粧部材、及びこれを用いた化粧材を提供することができる。
本発明の化粧部材の一態様の断面を示す模式図である。 本発明の化粧部材の他の一態様の断面を示す模式図である。 本発明の化粧部材の他の一態様の断面を示す模式図である。 本発明の化粧部材の他の一態様の断面を示す模式図である。 本発明の化粧部材の他の一態様の断面を示す模式図である。 本発明の化粧材一態様の断面を示す模式図である。
[化粧部材]
発明の化粧部材は、基材と、その少なくとも一部を被覆する表面保護層を有し、該表面保護層が、(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤、及び(C)無機系紫外線吸収剤を含む樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とするものである。本発明においては、表面保護層に、紫外線吸収剤として、上記の紫外線吸収剤を併用して用いることで、長期耐候性に優れ、有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを防止することができる。
本発明の化粧部材の典型的な一例のいくつかを、図1~5に示す。図1には、基材11、及び該基材11の一部を被覆する表面保護層12を有する化粧部材が示されている。図2には、表面保護層12の態様についての他の一態様が示されている。本発明において、表面保護層は基材の少なくとも一部を被覆していることを要するが、例えば、図1、図2に示されるように、基材の一部を被覆するように複数の表面保護層が存在していてもよい。また、図3の他の一態様で示されるように、基材の全面を被覆するように表面保護層が存在していてもよい。本発明においては、用途に応じて、基材の所望の箇所に部分的に被覆するように複数の表面保護層を設ける、あるいは全面を被覆するように設けることも可能である。
図4及び図5には、シート状の化粧部材の典型的な一例が示されている。本発明の化粧部材は、図1~3に示されるように、立体形状の基材に表面保護層を被覆した立体形状を呈するものであってもよいし、図4及び5に示されるように、シート状の基材に表面保護層を被覆したシート状のものであってもよい。
図4には、シート状の基材11の一方の面の全面を被覆する表面保護層12を有する化粧部材が示されている。また、図5には、シート状の化粧部材のより好ましい態様の一例として、シート状の基材11、装飾層13、接着層14、透明樹脂層15、プライマー層16及び表面保護層12を順に有する化粧部材が示されている。
以下、これらの図面を参考に、本発明の化粧部材の詳細について更に説明する。
(表面保護層)
本発明の化粧部材は、表面保護層を有する。該表面保護層は、(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤、及び(C)無機系紫外線吸収剤を含む樹脂組成物の硬化物からなるものである。
以下、表面保護層を構成する樹脂組成物について説明する。
<(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂>
表面保護層に用いられる(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂[以下、「(A)成分」と称することもある。]としては、分子中にエチレン性不飽和基[以下、反応性官能基と称することもある。]を有する樹脂であれば特に限定されるものではない。化粧部材の表面保護層は、化粧材として用いた際に、耐候性、耐汚染性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性などの表面保護特性を付与することが求められる。これらの表面保護特性を付与する観点から、分子中にエチレン性不飽和基を有する電離放射線硬化性樹脂を用いることが好ましい。ここで、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基を例示することができる。
前記電離放射線硬化性樹脂としては、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記重合性モノマーとしては、分子中にエチレン性不飽和基(反応性官能基)を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、中でも分子中に2つ以上の反応性官能基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
加工特性と耐擦傷性及び耐光性を向上させる観点から、2つ以上の反応性官能基を持つ(メタ)アクリレートモノマーの反応性官能基数は2以上8以下が好ましく、2以上6以下がより好ましく、2以上4以下がさらに好ましく、2以上3以下がよりさらに好ましい。これらの個以上の反応性官能基を持つ(メタ)アクリレートは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
これら重合性モノマーとしては、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
重合性オリゴマーとしては、例えば、分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有し、かつ該不飽和基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。前記ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーなどであってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化するこ
とにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くのエチレン性不飽和基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等も用いるこてができる。
これらの重合性オリゴマーは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。加工特性と耐擦傷性及び耐光性を向上させる観点から、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、がより好ましく、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマーが更に好ましい。
これらの重合性オリゴマーの反応性官能基は、加工特性と耐擦傷性及び耐光性を向上させる観点から、2以上8以下のものが好ましく、上限としては、6以下がより好ましく、4以下がさらに好ましく、3以下がよりさらに好ましい。
また、これらの重合性オリゴマーの重量平均分子量は、加工特性と耐擦傷性及び耐光性を向上させる観点から、2,500以上7,500以下が好ましく、3,000以上7,000以下がより好ましく、3,500以上6,000以下がさらに好ましい。ここで、重量平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
<(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤>
表面保護層12に用いられる(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤[以下、「(B)成分」と称することもある。]としては、分子中にエチレン性不飽和基[以下、反応性官能基と称することもある。]を有する有機系紫外線吸収剤であれば特に限定されるものではない。当該(B)成分は、化粧部材の表面保護層の耐候性を向上させる目的で用いられる。当該(B)成分が反応性官能基を有することにより、表面保護層に用いられる(A)成分と反応することにより共重合したり、それ自体が重合して高分子量化したりして、(B)成分が表面保護層からブリードアウトすることが防止され、耐候性の低下を防ぐことができる。(B)成分が有する反応性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などの官能基を例示することができる。有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系などを用いることができる。ベンゾトリアゾール系としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3-[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられ、これらの化合物に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などの官能基を有するものを用いることができる。
トリアジン系としては、例えば2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2'-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,
4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどが好ましく挙げられ、ベンゾフェノン系としては、例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられ、これらの化合物に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などの官能基を有するものを用いることができる。
当該(B)成分の含有量は、表面保護層12を形成する樹脂組成物の硬化物において、硬化前の樹脂組成物中の固形分換算で、(A)成分100質量部に対して、0.1~30質量部、好ましくは、0.5~25質量部、より好ましくは、1~20質量部である。当該(B)成分が上記範囲内であれば、優れた耐候性を維持することができ、表面保護層12から(B)成分がブリードアウトすることもない。
<(C)無機系紫外線吸収剤>
本発明の化粧部材の表面保護層には、(C)無機系紫外線吸収剤が用いられる。(C)成分は、(B)成分に比べて紫外線による劣化が生じにくいため、(C)成分を使用することで長期耐候性が向上する。従って、(C)成分は、前述したとおり、前記(B)成分のみの使用では、限界のある長期耐候性をより向上させるために用いられる。(C)成分としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどを用いることができる。(C)成分の平均粒径は1~200nm範囲内のものを用いることが好ましい。なお、(C)成分の平均粒径は、レーザー回折散乱法に基づいて測定された粒径で表わされる。当該(C)成分の含有量は、表面保護層を形成する樹脂組成物の硬化物において、硬化前の樹脂組成物中の固形分換算で、(A)成分100質量部に対して、0.1~30質量部、好ましくは、0.5~25質量部、より好ましくは、1~20質量部である。当該(C)成分が上記範囲内であれば、高い透明性とともに、優れた長期耐候性を維持することができる。
前記(B)成分と(C)成分の合計量の含有量は、表面保護層12を形成する樹脂組成物の硬化物において、硬化前の樹脂組成物中の固形分換算で、(A)成分100質量部に対して、0.5~50質量部、好ましくは、2~45質量部、より好ましくは、5~40質量部であることが望ましい。また、(C)成分に対する(B)成分の質量比は、1/10~5、好ましくは、1/7~3、より好ましくは、1/5~2とすることが望ましい。(B)成分と(C)成分の合計量の含有量及び(C)成分に対する(B)成分の質量比を上記範囲内とすることにより、長期耐候性に優れ、有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを防止することのできる化粧部材が得られる。(B)成分と(C)成分を用いるに際して、(A)成分に別々に添加してもよいし、(B)成分と(C)成分の混合し、その混合物を添加してもよい。
本発明の化粧部材の表面保護層には、前記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分以外に、本発明の目的が損なわれない範囲で各種添加剤を含有させることができる。各種添加剤としては、例えば、光安定剤、耐摩耗性向上剤、重合促進剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、溶剤、着色剤などが挙げられ、より優れた長期耐候性を得るため、光安定剤等の耐候剤を用いることが好ましい。
光安定剤としては、例えば、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2’-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレートなどのヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。これらの光安定剤として、分子中にエチレン性不飽和基を有する化合物も使用することができる。分子中にエチレン性不飽和基を有する光安定剤を用いることにより、前記(A)成分、又は(B)成分と反応させることができる、光安定剤のブリードアウトを防止することができる。エチレン性不飽和基としては、前記(A)成分及び(B)成分と同様に、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基を例示することができる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα-アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素などの粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形などが挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30~200%程度とする。これらの中でも球状のα-アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p-ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t-ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物などが用いられる。
(基材)
本発明の化粧部材は基材を有する。
基材の形状としては、所望に応じて適宜選択すればよく、例えば図1~3に示されるような直方体等の立体形状、図4及び5に示されるシート状のいずれであってもよい。基材が立体形状、すなわち化粧部材が立体形状を呈する場合は、該化粧部材をそのまま外装用部材等の各種部材として利用することが可能である。また、基材がシート状、すなわち化粧部材がシート状を呈する場合は、該化粧部材を被着材に貼着したものを、外装用部材等として利用することが可能である。
例えば、それほど高い意匠性が求められず、低コストが求められるような場合は、基材として立体形状のものを選択し、これに表面保護層を設けた立体形状の化粧部材とすればよい。一方、より高い意匠性が求められる場合、装飾層等の形成しやすさを考慮すると、基材としてシート状のものを選択し、シート状の化粧部材とすればよい。このように、本発明においては、所望に応じて、また要求性能、コスト等を総合的に考慮して、化粧部材の最適な形態を選択すればよい。
基材が、図1~3に示されるような立体形状を有する場合、基材としては、例えば、各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品等が挙げられる。例えば、杉、檜、松、ラワン等の各種木材からなる木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる木質部材;鉄、アルミニウム等の板材や鋼板、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる金属部材;ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯業部材;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品等として用いられる樹脂部材等が挙げられる。これらの部材は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
また、基材が図4及び5に示されるようなシート状である場合、基材としては、例えば、クラフト紙、チタン紙、紙間強化紙、樹脂含浸紙、裏打紙、難燃紙等の紙基材;ポリオレフィン樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂基材;ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維等の織布、不織布、編布等の繊維基材等が挙げられ、これらを用途に応じて適宜選択することができる。
これらの材料は、単独で使用してもよいが、例えば、紙同士の複合体等のように、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
基材は、必要に応じて難燃剤、無機質剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色剤、サイズ剤、定着剤等の添加剤を適宜添加したものであってもよい。
基材のサイズについては特に制限はないが、シート状の基材の厚さとしては、紙基材を用いる場合には、坪量は、通常20~150g/m程度、好ましくは30~100g/mの範囲であり、紙基材以外の基材を用いる場合は、通常20~150μm程度、好ましくは25~120μm、より好ましくは30~100μmの範囲である。
本発明の化粧部材は、基材の少なくとも一部を被覆するように表面保護層が設けられるが、例えば、基材がシート状であった場合、当該基材の一方の面の全面にわたって、表面保護層を設けることにより、シート状の化粧部材を得ることができる。このようなシート状の化粧部材を用いることにより、化粧材を製造する際に効率よく製造することができる。
当該基材はその上に設けられる表面保護層、また必要に応じて基材と表面保護層との間に設けられる他の層(例えば、隠蔽層、装飾層、接着剤層、透明樹脂層、プライマー層等)との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また当該基材は色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていても良い。
本発明の化粧部材を構成する基材と表面保護層との間には、前述したとおり、必要に応じて装飾層、隠蔽層、接着剤層、透明樹脂層、プライマー層等を設けることができる。以下これらの各層について説明する。
<装飾層>
装飾層は、化粧材に装飾性を与えるものであり、均一に着色が施された着色層(ベタ印刷層)でもよいし、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される模様層であってもよい。
模様層を構成する模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様などがあり、これらを複合した寄木、パッチワークなどの模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷などによっても形成される。
装飾層に用いるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられるが、これらの中で特にポリウレタン系樹脂が好適である。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが用いられる。
<隠蔽層>
本発明の本発明の化粧部材は、隠蔽層を設けても良い。隠蔽層を設ける場合、基材と装飾層との間に設けることが好ましい。隠蔽層は、基材表面の色の変化、ばらつきにより、化粧部材の柄の色に影響を及ぼさないようにする目的で設けられる。隠蔽層は、通常不透明色で形成することが多く、その厚さは1~20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
<透明樹脂層>
本発明の本発明の化粧部材は、透明樹脂層を設けても良い。透明樹脂層を装飾層の上に設けることにより耐傷付き性や耐汚染性等の諸性能を良好なものとすることができる。透明樹脂層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。透明樹脂層を形成する樹脂成分としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等が挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。より好ましくは、立体規則性を有するポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂を用いる場合は、溶融ポリオレフィン系樹脂を押し出し法により透明樹脂層を形成することが望ましい。
透明樹脂層には、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えばゴム)等の各種の添加剤が含まれていても良い。
透明樹脂層の形成方法としては、上記樹脂成分等を含む樹脂組成物を、例えば、カレン
ダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等により装飾層(又は接着剤層)の上に
ラミネートする方法が挙げられる。
透明樹脂層の厚みは特に限定されないが、一般的には20~250μm、特に50~2
00μm程度とすることが好ましい。
透明樹脂層の表面であって、表面保護層を形成する面には、必要に応じて、コロナ放電
処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施し
てもよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
<接着剤層>
本発明の本発明の化粧部材は、接着剤層を設けても良い。特に、本発明の本発明の化粧部材が装飾層と透明樹脂層が設けられる場合、装飾層と透明樹脂層を接着させるために、接着剤層を設けることが好ましい。接着剤層を構成する接着剤としては特に制限はなく、ウレタン樹脂系接着剤、ビニル樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ポリエステル樹脂系接着剤、セルロース樹脂系接着剤などが挙げられる。
接着層の厚さは、十分な接着性が得られる観点から、0.1~30μmが好ましく、1~15μmがより好ましく、2~10μm以下が更に好ましい。
<プライマー層>
本発明の化粧部材は、プライマー層を設けても良い。プライマー層を設ける場合、装飾層と表面保護層との間に設けることが好ましい。特に、装飾層及び透明樹脂層が設けられ場合、透明樹脂層と表面保護層との間に設けることが好ましい。プライマー層を設けることにより、装飾層と表面保護層の密着性又は透明樹脂層と表面保護層の密着性を高めることができ、かつ、表面保護層に対する応力が緩和され、表面保護層の耐候劣化による割れを抑制することが可能となり、耐久性を著しく向上させることができる。
プライマー層は、例えば、上記装飾層に用いるバインダーとして例示したバインダーに、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜混合した樹脂組成物により形成することができる。
プライマー層の厚さは、密着性を向上させる観点から、0.1~10μmが好ましく、0.5μm~8μmがより好ましく、1~6μmが更に好ましい。
[化粧部材の製造方法]
本発明の化粧部材の製造方法について、説明する。
まず、表面保護層を形成するための(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤、及び(C)無機系紫外線吸収剤を含む樹脂組成物を前述した配合割合で混合し、調製する。得られた樹脂組成物を基材の表面に塗布することにより、表面保護層となる層を形成させる。基材の表面に当該樹脂組成物を塗布する方法としては、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、ダイコートなどの公知の方式、好ましくはダイコートにより行うことが望ましい。当該樹脂組成物を塗布は、硬化後の厚さが、好ましくは1~20μm、より好ましくは1~10μmとなるように、塗布することが好ましい。
なお、基材と表面保護層との間に、必要に応じて、隠蔽層、装飾層、接着剤層、透明樹脂層、プライマー層等を設ける場合は、基材に必要に応じて設けられる隠蔽層、装飾層、接着剤層、透明樹脂層、プライマー層等を事前に設けておき、表面保護層となる樹脂組成物を塗布すればよい。次いで、表面保護層となる樹脂組成物の硬化物を形成させる方法としては、電離放射線を照射したり、加熱等を行うことにより、当該樹脂組成物中のエチレン性不飽和基を反応させ、硬化物を形成させることが好ましい。樹脂組成物中のエチレン性不飽和基を反応させることにより、(A)成分と(A)成分との反応、(A)成分と(B)成分との反応、及び(B)成分と(B)成分との反応により、硬化物を形成させることができる。硬化物中の(B)成分は、(A)成分と反応したり、(B)成分同士と反応したりして、高分子量化され、硬化物からブリードアウトしにくくなる。また、これらの反応により、(C)成分の保持性等も向上するため、(C)成分のブリードアウトもしにくくなる。
前記電離放射線を照射する場合、未硬化樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5~300kGy(0.5~30Mrad)、好ましくは10~100kGy(1~10Mrad)、さらに好ましくは30~70kGy(3~7Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデ
グラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高
周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190~380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
[化粧材]
本発明の化粧材は、被着材と上記の本発明の化粧部材とを有してなるものであり、具体的には、化粧部材の基材側の面と被着材とを対向させて積層したものである。図6に、本発明の化粧材の好ましい態様の一例の断面を示す模式図を示す。図6に示される本発明の化粧材20は、被着材17、及び本発明の化粧部材10を有しており、被着材17、基材11、装飾層13、接着層14、透明樹脂層15、プライマー層16及び表面保護層12を順に有している。
<被着材>
被着材としては、上記の基材が立体形状の場合に用い得るものとして例示した、各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品等が好ましく挙げられる。また、基材がシート状の場合に用い得るものとして例示した各種基材を形成する各種素材からなるものを用いることもできる。
被着材は、上記の中から用途に応じて適宜選択すればよく、壁、天井、床等の建築物の内装材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具又は造作部材を用途とする場合は、木質部材、金属部材及び樹脂部材から選ばれる少なくとも一種の部材からなるものが好ましく、玄関ドア等の外装用部材、窓枠、扉等の建具を用途とする場合は、金属部材及び樹脂部材から選ばれる少なくとも一種の部材からなるものが好ましい。
被着材の厚さは、用途及び材料に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、0.1mm以上10mm以下が好ましく、0.3mm以上5mmがより好ましく、0.5mm以上3mm以下が更に好ましい。
被着材と化粧部材は、優れた接着性を得るため、接着剤を用いて貼り合わせることが好ましい。
被着材と化粧部材を貼り合わせる際に用いられる接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤を使用することができ、例えば、感熱接着剤、感圧接着剤等の接着剤が好ましく挙げられる。この接着剤層を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネート化合物等を硬化剤とする2液硬化型のポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤も適用し得る。
また、接着剤を用いるにあたり、粘着剤を併用して用いることもできる。粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。
接着剤層の厚さは特に制限はないが、優れた接着性を得る観点から、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が更に好ましい。
<化粧材の製造方法>
化粧材は、化粧部材と被着材とを積層する工程を経て製造することができる。
本工程は、被着材と、本発明の化粧部材とを積層する工程であり、被着材の化粧を要する面と、化粧部材の基材側の面とを対向させて積層する。被着材と化粧部材とを積層する方法としては、例えば、前記接着剤層を介して化粧部材を被着材に加圧ローラー等で加圧して積層するラミネート方法等が挙げられる。化粧部材がシート状であれば、被着材に加圧ローラー等で加圧して積層することにより、化粧材を効率よく製造することができる。
前記接着剤としてホットメルト接着剤(感熱接着剤)を用いる場合、接着剤を構成する樹脂の種類にもよるが、加温温度は160℃以上200℃以下が好ましく、反応性ホットメルト接着剤では100℃以上130℃以下が好ましい。また、真空成形加工の場合は加熱しながら行うことが一般的であり、80℃以上130℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以上120℃以下である。
以上のようにして得られる化粧材は、任意切断し、表面や木口部にルーター、カッター等の切削加工機を用いて溝加工、面取加工等の任意加飾を施すことができる。そして種々の用途、例えば、壁、天井、床等の建築物の内外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の他、キッチン、家具又は家電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装、外装等に用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた化粧部材の諸特性を下記要領に従って評価した。
<化粧部材の諸特性の評価>
(1)温水試験
作製した化粧部材を純水に浸漬し、60℃のオーブンに投入し、200時間後の化粧部材表面外観の変化を目視にて観察した。評価基準は以下の通りである。
++:化粧部材表面にブリードアウトが生じていないことが確認された。
+:化粧部材表面に多少のブリードアウトが確認された。
-:化粧部材表面に著しいブリードアウトが確認された。
(2)耐候試験
UVランプ(商品名「M04-L21WB/SUV」岩崎電気(株)製)、ランプジャケット(商品名「WJ50-SUV」岩崎電気(株)製)及び照度計(商品名「UVD-365PD」岩崎電機(株)製)を備えた超促進耐候性試験装置(商品名「アイ スーパー UVテスター SUV-W131」岩崎電気(株)製)を使用した。作製した化粧部材に対して、ブラックパネル温度63℃、照度60mW/cm、20時間照射・4時間結露を繰り返し、1200時間後の外観を目視にて観察した。
評価基準は以下の通りである。
+:化粧部材表面に大きな外観変化は確認できなかった。
-:化粧部材の表面保護層とインキ層の白化、色調変化が確認された。
(3)外観評価
作製した化粧部材の意匠性(表面保護層の透明性)を目視にて観察した。
+:化粧部材の意匠性が十分に保持されていることが確認された。
-:化粧部材の意匠性が損なわれていることが確認された。
実施例1
基材として厚さ60μmのポリプロピレンシートを準備し、該基材の両面にコロナ放電処理を施した後、基材の表面(一方の面)に、アクリル-ウレタン樹脂からなる印刷インキを用いてグラビア印刷し、装飾層を形成した。また、基材の裏面にプライマー層を形成した。
次いで、装飾層13の上に、ウレタン樹脂系接着剤を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布し、透明な接着剤層を形成した。
次いで、前記接着剤層の上に、ポリプロピレン系樹脂をTダイ押出し機により加熱溶融押出しし、厚み80μmとなるようにポリプロピレンからなる透明性樹脂層を形成した。
その後、透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体及びアクリルポリオールからなる樹脂成分を含む樹脂組成物を含む塗布液で、厚みが4g/mとなるように塗布し、プライマー層を形成した。なお、プライマー層に用いた樹脂組成物は、紫外線吸収剤としてヒドロキシフェニルトリアジン化合物(BASF社製、商品名「Tinuvin479」)3質量%、他のヒドロキシフェニルトリアジン化合物(BASF社製、商品名「Tinuvin400」)12質量%、及びヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製、商品名「Tinuvin123」)3質量%を含有させた。塗布液は、この樹脂組成物とヘキサンメチレンジイソシアネート(硬化剤)とを100対5の質量比割合で混合したものである。該塗布液を透明樹脂層上に塗布して形成されたプライマー層16の厚さは約4μmであった。
最後に、電離放射線硬化性樹脂組成物として、重量平均分子量約1000、2官能のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部に、紫外線吸収剤として反応性官能基を有するトリアジン化合物を4質量部、及び酸化亜鉛を20質量部含有させ、グラビアコート法にて塗膜を形成した。その後、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させることにより、表面保護層(5g/m)を形成させてシート状の化粧部材を得た。得られた化粧部材について、上記の評価を行った。その評価結果を第1表に示す。
比較例1~3
実施例1において用いた電離線硬化性樹脂組成物を下記第1表に示す電離線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして化粧部材を得た。得られた化粧部材の評価結果を第1表に示す。
Figure 0007095249000001
表1の評価結果から実施例1で得られた化粧部材は、温水試験において化粧部材表面からのブリードアウトが生じておらず、耐候試験において化粧部材表面に大きな外観変化もなく、かつ、化粧部材の意匠性が十分に保持されていることが示されている。これに対して、比較例1では、反応性トリアジン化合物に換えて、非反応性トリアジン化合物を使用したために、温水試験において化粧部材表面に著しいブリードアウトが確認されたことが示されている。また、反応性トリアジン化合物に換えて、非反応性トリアジン化合物を使用し、かつ、酸化亜鉛を使用しなかった比較例2では、比較例1と同様に、温水試験において化粧部材表面に著しいブリードアウトが確認されたことが示されている。さらに、酸化亜鉛のみを使用した比較例3では、表面保護層の透明性が低下し、化粧部材の意匠性が損なわれていることが示されている。
本発明の化粧部材は、長期耐候性に優れ、有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを防止することのできるので、外観上の美観を長期間保持することができ、特に外装用の化粧材として有用である。
[符号の説明]
10 化粧部材
11 基材
12 表面保護層
13 装飾層
14 接着剤層
15 透明樹脂層
16 プライマー層
17 被着材
20 化粧材

Claims (11)

  1. 基材と、その少なくとも一部を被覆する表面保護層及び装飾層を有する化粧部材であって、該表面保護層が、(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤、及び(C)無機系紫外線吸収剤を含む樹脂組成物の硬化物からなり、前記(A)成分100質量部に対して、前記(C)成分を0.1~30質量部含むことを特徴とする化粧部材。
  2. 前記(A)成分が、電離放射線硬化性樹脂である、請求項1に記載の化粧部材。
  3. 前記(B)成分が、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤から選ばれた少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の化粧部材。
  4. 前記(C)成分が、酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化セリウムから選ばれた少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧部材。
  5. 前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分を0.1~30質量部含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の化粧部材。
  6. 前記(A)成分中のエチレン性不飽和基が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、及びアリル基から選ばれた少なくとも1種である、請求項1~のいずれか1項に記載の化粧部材。
  7. シート状である、請求項1~のいずれか1項に記載の化粧部材。
  8. 基材の一方の面の全面にわたって表面保護層を有する、請求項に記載の化粧部材。
  9. 前記基材と前記表面保護層との間に装飾層を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の化粧部材。
  10. 前記(C)成分が、酸化亜鉛である、請求項1~のいずれか1項に記載の化粧部材。
  11. 被着材と請求項1~10のいずれか1項に記載の化粧部材とを有し、被着材、基材、表面保護層を順に有する化粧材。
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