JP7095249B2 - 化粧部材及びこれを用いた化粧材 - Google Patents
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Description
紫外線吸収剤には、一般的に、有機系紫外線吸収剤と無機系外線吸収剤の2種類の紫外線吸収剤があり、そのうち、有機系紫外線吸収剤は、表面保護層に用いられる樹脂の透明性を保持することができるので、化粧部材の意匠性を維持できるという利点を有する。しかし、紫外線吸収能を高めるために有機系紫外線吸収剤の添加量を増すと、有機系紫外線吸収剤が表面保護層からブリードアウトし、想定していた紫外線吸収能を発揮できなかったり、表面保護層からブリードアウトした有機系紫外線吸収剤によりべたつきが生じる等
表面外観が著しく損なわれることがあった。また、有機系紫外線吸収剤のみを用いて長期間の紫外線吸収能を維持することも限界があった。
本発明は、このような状況下になされたものであり、長期耐候性に優れ、有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを防止することのできる化粧部材、及びこれを用いた化粧材を提供することを目的とするものである。
(1)基材と、その少なくとも一部を被覆する表面保護層を有する化粧材であって、該表面保護層が、(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤、及び(C)無機系紫外線吸収剤を含む樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする化粧部材、及び
(2)被着材と上記(1)に記載の化粧部材とを有し、被着材、基材、表面保護層を順に有する化粧材、
を提供するものである。
発明の化粧部材は、基材と、その少なくとも一部を被覆する表面保護層を有し、該表面保護層が、(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤、及び(C)無機系紫外線吸収剤を含む樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とするものである。本発明においては、表面保護層に、紫外線吸収剤として、上記の紫外線吸収剤を併用して用いることで、長期耐候性に優れ、有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを防止することができる。
図4には、シート状の基材11の一方の面の全面を被覆する表面保護層12を有する化粧部材が示されている。また、図5には、シート状の化粧部材のより好ましい態様の一例として、シート状の基材11、装飾層13、接着層14、透明樹脂層15、プライマー層16及び表面保護層12を順に有する化粧部材が示されている。
以下、これらの図面を参考に、本発明の化粧部材の詳細について更に説明する。
本発明の化粧部材は、表面保護層を有する。該表面保護層は、(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤、及び(C)無機系紫外線吸収剤を含む樹脂組成物の硬化物からなるものである。
以下、表面保護層を構成する樹脂組成物について説明する。
表面保護層に用いられる(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂[以下、「(A)成分」と称することもある。]としては、分子中にエチレン性不飽和基[以下、反応性官能基と称することもある。]を有する樹脂であれば特に限定されるものではない。化粧部材の表面保護層は、化粧材として用いた際に、耐候性、耐汚染性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性などの表面保護特性を付与することが求められる。これらの表面保護特性を付与する観点から、分子中にエチレン性不飽和基を有する電離放射線硬化性樹脂を用いることが好ましい。ここで、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基を例示することができる。
前記電離放射線硬化性樹脂としては、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
加工特性と耐擦傷性及び耐光性を向上させる観点から、2つ以上の反応性官能基を持つ(メタ)アクリレートモノマーの反応性官能基数は2以上8以下が好ましく、2以上6以下がより好ましく、2以上4以下がさらに好ましく、2以上3以下がよりさらに好ましい。これらの個以上の反応性官能基を持つ(メタ)アクリレートは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
これら重合性モノマーとしては、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
とにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くのエチレン性不飽和基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等も用いるこてができる。
また、これらの重合性オリゴマーの重量平均分子量は、加工特性と耐擦傷性及び耐光性を向上させる観点から、2,500以上7,500以下が好ましく、3,000以上7,000以下がより好ましく、3,500以上6,000以下がさらに好ましい。ここで、重量平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
表面保護層12に用いられる(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤[以下、「(B)成分」と称することもある。]としては、分子中にエチレン性不飽和基[以下、反応性官能基と称することもある。]を有する有機系紫外線吸収剤であれば特に限定されるものではない。当該(B)成分は、化粧部材の表面保護層の耐候性を向上させる目的で用いられる。当該(B)成分が反応性官能基を有することにより、表面保護層に用いられる(A)成分と反応することにより共重合したり、それ自体が重合して高分子量化したりして、(B)成分が表面保護層からブリードアウトすることが防止され、耐候性の低下を防ぐことができる。(B)成分が有する反応性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などの官能基を例示することができる。有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系などを用いることができる。ベンゾトリアゾール系としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3-[3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられ、これらの化合物に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などの官能基を有するものを用いることができる。
4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンなどが好ましく挙げられ、ベンゾフェノン系としては、例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられ、これらの化合物に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などの官能基を有するものを用いることができる。
本発明の化粧部材の表面保護層には、(C)無機系紫外線吸収剤が用いられる。(C)成分は、(B)成分に比べて紫外線による劣化が生じにくいため、(C)成分を使用することで長期耐候性が向上する。従って、(C)成分は、前述したとおり、前記(B)成分のみの使用では、限界のある長期耐候性をより向上させるために用いられる。(C)成分としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウムなどを用いることができる。(C)成分の平均粒径は1~200nm範囲内のものを用いることが好ましい。なお、(C)成分の平均粒径は、レーザー回折散乱法に基づいて測定された粒径で表わされる。当該(C)成分の含有量は、表面保護層を形成する樹脂組成物の硬化物において、硬化前の樹脂組成物中の固形分換算で、(A)成分100質量部に対して、0.1~30質量部、好ましくは、0.5~25質量部、より好ましくは、1~20質量部である。当該(C)成分が上記範囲内であれば、高い透明性とともに、優れた長期耐候性を維持することができる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物などが用いられる。
本発明の化粧部材は基材を有する。
基材の形状としては、所望に応じて適宜選択すればよく、例えば図1~3に示されるような直方体等の立体形状、図4及び5に示されるシート状のいずれであってもよい。基材が立体形状、すなわち化粧部材が立体形状を呈する場合は、該化粧部材をそのまま外装用部材等の各種部材として利用することが可能である。また、基材がシート状、すなわち化粧部材がシート状を呈する場合は、該化粧部材を被着材に貼着したものを、外装用部材等として利用することが可能である。
例えば、それほど高い意匠性が求められず、低コストが求められるような場合は、基材として立体形状のものを選択し、これに表面保護層を設けた立体形状の化粧部材とすればよい。一方、より高い意匠性が求められる場合、装飾層等の形成しやすさを考慮すると、基材としてシート状のものを選択し、シート状の化粧部材とすればよい。このように、本発明においては、所望に応じて、また要求性能、コスト等を総合的に考慮して、化粧部材の最適な形態を選択すればよい。
これらの材料は、単独で使用してもよいが、例えば、紙同士の複合体等のように、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
基材は、必要に応じて難燃剤、無機質剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、着色剤、サイズ剤、定着剤等の添加剤を適宜添加したものであってもよい。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また当該基材は色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていても良い。
装飾層は、化粧材に装飾性を与えるものであり、均一に着色が施された着色層(ベタ印刷層)でもよいし、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される模様層であってもよい。
模様層を構成する模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様などがあり、これらを複合した寄木、パッチワークなどの模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷などによっても形成される。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが用いられる。
本発明の本発明の化粧部材は、隠蔽層を設けても良い。隠蔽層を設ける場合、基材と装飾層との間に設けることが好ましい。隠蔽層は、基材表面の色の変化、ばらつきにより、化粧部材の柄の色に影響を及ぼさないようにする目的で設けられる。隠蔽層は、通常不透明色で形成することが多く、その厚さは1~20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
本発明の本発明の化粧部材は、透明樹脂層を設けても良い。透明樹脂層を装飾層の上に設けることにより耐傷付き性や耐汚染性等の諸性能を良好なものとすることができる。透明樹脂層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。透明樹脂層を形成する樹脂成分としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等が挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。より好ましくは、立体規則性を有するポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂を用いる場合は、溶融ポリオレフィン系樹脂を押し出し法により透明樹脂層を形成することが望ましい。
透明樹脂層には、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えばゴム)等の各種の添加剤が含まれていても良い。
透明樹脂層の形成方法としては、上記樹脂成分等を含む樹脂組成物を、例えば、カレン
ダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等により装飾層(又は接着剤層)の上に
ラミネートする方法が挙げられる。
透明樹脂層の厚みは特に限定されないが、一般的には20~250μm、特に50~2
00μm程度とすることが好ましい。
透明樹脂層の表面であって、表面保護層を形成する面には、必要に応じて、コロナ放電
処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施し
てもよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
本発明の本発明の化粧部材は、接着剤層を設けても良い。特に、本発明の本発明の化粧部材が装飾層と透明樹脂層が設けられる場合、装飾層と透明樹脂層を接着させるために、接着剤層を設けることが好ましい。接着剤層を構成する接着剤としては特に制限はなく、ウレタン樹脂系接着剤、ビニル樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ポリエステル樹脂系接着剤、セルロース樹脂系接着剤などが挙げられる。
接着層の厚さは、十分な接着性が得られる観点から、0.1~30μmが好ましく、1~15μmがより好ましく、2~10μm以下が更に好ましい。
本発明の化粧部材は、プライマー層を設けても良い。プライマー層を設ける場合、装飾層と表面保護層との間に設けることが好ましい。特に、装飾層及び透明樹脂層が設けられ場合、透明樹脂層と表面保護層との間に設けることが好ましい。プライマー層を設けることにより、装飾層と表面保護層の密着性又は透明樹脂層と表面保護層の密着性を高めることができ、かつ、表面保護層に対する応力が緩和され、表面保護層の耐候劣化による割れを抑制することが可能となり、耐久性を著しく向上させることができる。
プライマー層の厚さは、密着性を向上させる観点から、0.1~10μmが好ましく、0.5μm~8μmがより好ましく、1~6μmが更に好ましい。
本発明の化粧部材の製造方法について、説明する。
まず、表面保護層を形成するための(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤、及び(C)無機系紫外線吸収剤を含む樹脂組成物を前述した配合割合で混合し、調製する。得られた樹脂組成物を基材の表面に塗布することにより、表面保護層となる層を形成させる。基材の表面に当該樹脂組成物を塗布する方法としては、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、ダイコートなどの公知の方式、好ましくはダイコートにより行うことが望ましい。当該樹脂組成物を塗布は、硬化後の厚さが、好ましくは1~20μm、より好ましくは1~10μmとなるように、塗布することが好ましい。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデ
グラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高
周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
本発明の化粧材は、被着材と上記の本発明の化粧部材とを有してなるものであり、具体的には、化粧部材の基材側の面と被着材とを対向させて積層したものである。図6に、本発明の化粧材の好ましい態様の一例の断面を示す模式図を示す。図6に示される本発明の化粧材20は、被着材17、及び本発明の化粧部材10を有しており、被着材17、基材11、装飾層13、接着層14、透明樹脂層15、プライマー層16及び表面保護層12を順に有している。
被着材としては、上記の基材が立体形状の場合に用い得るものとして例示した、各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品等が好ましく挙げられる。また、基材がシート状の場合に用い得るものとして例示した各種基材を形成する各種素材からなるものを用いることもできる。
被着材は、上記の中から用途に応じて適宜選択すればよく、壁、天井、床等の建築物の内装材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具又は造作部材を用途とする場合は、木質部材、金属部材及び樹脂部材から選ばれる少なくとも一種の部材からなるものが好ましく、玄関ドア等の外装用部材、窓枠、扉等の建具を用途とする場合は、金属部材及び樹脂部材から選ばれる少なくとも一種の部材からなるものが好ましい。
被着材と化粧部材を貼り合わせる際に用いられる接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤を使用することができ、例えば、感熱接着剤、感圧接着剤等の接着剤が好ましく挙げられる。この接着剤層を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネート化合物等を硬化剤とする2液硬化型のポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤も適用し得る。
また、接着剤を用いるにあたり、粘着剤を併用して用いることもできる。粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。
接着剤層の厚さは特に制限はないが、優れた接着性を得る観点から、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が更に好ましい。
化粧材は、化粧部材と被着材とを積層する工程を経て製造することができる。
本工程は、被着材と、本発明の化粧部材とを積層する工程であり、被着材の化粧を要する面と、化粧部材の基材側の面とを対向させて積層する。被着材と化粧部材とを積層する方法としては、例えば、前記接着剤層を介して化粧部材を被着材に加圧ローラー等で加圧して積層するラミネート方法等が挙げられる。化粧部材がシート状であれば、被着材に加圧ローラー等で加圧して積層することにより、化粧材を効率よく製造することができる。
なお、各例で得られた化粧部材の諸特性を下記要領に従って評価した。
(1)温水試験
作製した化粧部材を純水に浸漬し、60℃のオーブンに投入し、200時間後の化粧部材表面外観の変化を目視にて観察した。評価基準は以下の通りである。
++:化粧部材表面にブリードアウトが生じていないことが確認された。
+:化粧部材表面に多少のブリードアウトが確認された。
-:化粧部材表面に著しいブリードアウトが確認された。
(2)耐候試験
UVランプ(商品名「M04-L21WB/SUV」岩崎電気(株)製)、ランプジャケット(商品名「WJ50-SUV」岩崎電気(株)製)及び照度計(商品名「UVD-365PD」岩崎電機(株)製)を備えた超促進耐候性試験装置(商品名「アイ スーパー UVテスター SUV-W131」岩崎電気(株)製)を使用した。作製した化粧部材に対して、ブラックパネル温度63℃、照度60mW/cm2、20時間照射・4時間結露を繰り返し、1200時間後の外観を目視にて観察した。
評価基準は以下の通りである。
+:化粧部材表面に大きな外観変化は確認できなかった。
-:化粧部材の表面保護層とインキ層の白化、色調変化が確認された。
(3)外観評価
作製した化粧部材の意匠性(表面保護層の透明性)を目視にて観察した。
+:化粧部材の意匠性が十分に保持されていることが確認された。
-:化粧部材の意匠性が損なわれていることが確認された。
基材として厚さ60μmのポリプロピレンシートを準備し、該基材の両面にコロナ放電処理を施した後、基材の表面(一方の面)に、アクリル-ウレタン樹脂からなる印刷インキを用いてグラビア印刷し、装飾層を形成した。また、基材の裏面にプライマー層を形成した。
次いで、装飾層13の上に、ウレタン樹脂系接着剤を乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布し、透明な接着剤層を形成した。
次いで、前記接着剤層の上に、ポリプロピレン系樹脂をTダイ押出し機により加熱溶融押出しし、厚み80μmとなるようにポリプロピレンからなる透明性樹脂層を形成した。
その後、透明性樹脂層の表面にコロナ放電処理を施した後、ポリカーボネート系ウレタンアクリル共重合体及びアクリルポリオールからなる樹脂成分を含む樹脂組成物を含む塗布液で、厚みが4g/m2となるように塗布し、プライマー層を形成した。なお、プライマー層に用いた樹脂組成物は、紫外線吸収剤としてヒドロキシフェニルトリアジン化合物(BASF社製、商品名「Tinuvin479」)3質量%、他のヒドロキシフェニルトリアジン化合物(BASF社製、商品名「Tinuvin400」)12質量%、及びヒンダードアミン系光安定剤(BASF社製、商品名「Tinuvin123」)3質量%を含有させた。塗布液は、この樹脂組成物とヘキサンメチレンジイソシアネート(硬化剤)とを100対5の質量比割合で混合したものである。該塗布液を透明樹脂層上に塗布して形成されたプライマー層16の厚さは約4μmであった。
最後に、電離放射線硬化性樹脂組成物として、重量平均分子量約1000、2官能のウレタンアクリレートオリゴマー100質量部に、紫外線吸収剤として反応性官能基を有するトリアジン化合物を4質量部、及び酸化亜鉛を20質量部含有させ、グラビアコート法にて塗膜を形成した。その後、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させることにより、表面保護層(5g/m2)を形成させてシート状の化粧部材を得た。得られた化粧部材について、上記の評価を行った。その評価結果を第1表に示す。
実施例1において用いた電離線硬化性樹脂組成物を下記第1表に示す電離線硬化性樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして化粧部材を得た。得られた化粧部材の評価結果を第1表に示す。
[符号の説明]
11 基材
12 表面保護層
13 装飾層
14 接着剤層
15 透明樹脂層
16 プライマー層
17 被着材
20 化粧材
Claims (11)
- 基材と、その少なくとも一部を被覆する表面保護層及び装飾層を有する化粧部材であって、該表面保護層が、(A)分子中にエチレン性不飽和基を有する樹脂、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有する有機系紫外線吸収剤、及び(C)無機系紫外線吸収剤を含む樹脂組成物の硬化物からなり、前記(A)成分100質量部に対して、前記(C)成分を0.1~30質量部含むことを特徴とする化粧部材。
- 前記(A)成分が、電離放射線硬化性樹脂である、請求項1に記載の化粧部材。
- 前記(B)成分が、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤から選ばれた少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の化粧部材。
- 前記(C)成分が、酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化セリウムから選ばれた少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧部材。
- 前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分を0.1~30質量部含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の化粧部材。
- 前記(A)成分中のエチレン性不飽和基が、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、及びアリル基から選ばれた少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化粧部材。
- シート状である、請求項1~6のいずれか1項に記載の化粧部材。
- 基材の一方の面の全面にわたって表面保護層を有する、請求項7に記載の化粧部材。
- 前記基材と前記表面保護層との間に装飾層を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の化粧部材。
- 前記(C)成分が、酸化亜鉛である、請求項1~9のいずれか1項に記載の化粧部材。
- 被着材と請求項1~10のいずれか1項に記載の化粧部材とを有し、被着材、基材、表面保護層を順に有する化粧材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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