JP5720235B2 - コーティングフィルム - Google Patents
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Description
また、耐候性に優れるものとして、フッ素系樹脂フィルムを基材とした農業用フィルムも知られている(例えば、特許文献5参照)。しかし、フッ素系樹脂フィルムを基材とした場合、硬質のため作業性の点で十分ではなく、また元来離型性を有する材質であるため、コーティングによる被膜形成性とその持続性の点で十分ではなく、植物に応じた機能性の付与に対応しきれないといった課題があった。
2.反応性官能基αが、(メタ)アクリロイル基である上記1に記載のコーティングフィルム。
3.基材フィルムとコーティング層との間にプライマー層を有する上記1又は2に記載のコーティングフィルム。
4.農業用途である上記1〜3のいずれかに記載のコーティングフィルム。
5.ビニルハウス用途であり、コーティング層を外側にして設ける上記1〜3のいずれかに記載のコーティングフィルム。
本発明のコーティングフィルムは、基材フィルムの一方の面に電離放射線硬化性樹脂、親水化剤及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなるコーティング層を有するものであり、該電離放射線硬化性樹脂がカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートであり、該親水化剤が反応性官能基αを有するシリケート化合物又はアルキルシリケートであり、かつ該紫外線吸収剤がトリアジン系紫外線吸収剤及び/又はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることを要するものである。図1は、本発明の両面コーティングフィルムの好ましい態様の断面を示す模式図である。図1に示す態様は、基材フィルム2の一方の面にプライマー層4、コーティング層3が順に積層したものである。
本発明のシートで基材フィルムとして用いられるものとしては、プラスチックフィルム、プラスチックシートが好ましく、ポリオレフィン樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂などからなるものが好ましく挙げられる。なかでも、可視光透過性や作業性などを考慮すると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーなどのポリオレフィン樹脂の基材フィルムが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンがより好ましい。
本発明で用いられる基材フィルムは、耐候性を向上させる目的で、紫外線吸収剤を好ましく含有する。紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、例えば、トリアジン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、安息香酸系、サリチル酸系、マロン酸エステル系、シュウ酸アニリド系、シュウ酸アミド系などが好ましく挙げられる。
基材フィルム中の紫外線吸収剤の含有量は、基材に用いられる樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量部である。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲であれば、本発明のシートに対して効率的に優れた耐候性を付与することができる。
本発明のシートに自浄性能及び可視光透過性を付与する観点から、基材フィルムは帯電防止剤を含有することが好ましい。帯電防止剤としては、ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミド、ポリエーテルアミドイミドなどのポリエーテル構造を含む高分子型帯電防止剤が好ましく挙げられ、これらを単独で又は複数種を組み合わせて使用することができる。なかでも、ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体及びポリエーテルエステルアミドがより好ましい。
基材フィルムは、該基材フィルムと二つのコーティング層との層間密着性の強化などのためのプライマー層を形成するなどの処理を施してもよい。特に、基材フィルムとコーティング層との間にプライマー層を設けることが好ましい。プライマー層の形成に用いられる材料としては特に限定されず、アクリル系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ウレタンアクリル系樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどが挙げられる。
ここで、ポリカーボネート系ウレタン/アクリル共重合樹脂は、ポリカーボネートジオールとジイソシアネートとを反応させて得られるポリカーボネート系ポリウレタン高分子を、ラジカル重合開始剤を使用してアクリルモノマーとラジカル重合させて得られる樹脂である。また、ポリエステル系ウレタン/アクリル共重合樹脂は、ポリエステルジオールとジイソシアネートを反応させて得られるポリエステル系ポリウレタン高分子を、ラジカル重合開始剤を使用してアクリルモノマーとラジカル重合させて得られる樹脂である。
基材フィルムの厚さについては特に制限はないが、優れた耐候性を確保し、かつ作業性や汎用性を考慮すると、通常20〜200μm程度、好ましくは30〜150μmの範囲である。
コーティング層は、所定の電離放射線硬化性樹脂、親水化剤及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなる層である。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他に、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
本発明において使用される電離放射線硬化性樹脂は、カプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートであり、該オリゴマーを採用することにより、優れた自浄性能のほか、耐候性や可視光透過性の点でも好ましい。このカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートは、通常カプロラクトン系ポリオールと有機イソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応により得ることができるものである。
有機ポリイソシアネートとしては、2個のイソシアネート基を有するジイソシアネートが好ましく、黄変を抑制する観点から、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどが好ましく挙げられる。また、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート単量体が好適であり、なかでも分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有するような多官能性(メタ)アクリレートが好ましく、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いて用いればよい。官能基数としては、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、3〜4がさらに好ましい。
コーティング層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物は、優れた自浄性能及び可視光透過性を得るために、親水化剤を含有する。本発明で用いられる親水化剤は、反応性官能基αを有するシリケート化合物又はアルキルシリケートである。
本発明において用いられるシリケート化合物は、電離放射線硬化性樹脂、とりわけカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートとの反応性を有する反応性官能基αを有するシリケート化合物であれば特に制限はない。反応性官能基αとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
反応性官能基αを有するシリケート化合物は、好ましくは下記一般式(1)で示される化合物である。
炭素数1〜10の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが好ましく挙げられる。これらの基は置換されていても置換されていなくてもよく、また、アルキル基及びアルケニル基は直鎖状であっても、枝分かれ状であってもよい。これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
また、n2は上記のn1と同じである。
コーティング層は、適度な親水性を有することになるため、水の濡れ性が高まり、優れた自浄性能を有することができる。すなわち、内外装材や建造物、とりわけ農業用シートは、厳しい風雨に晒されるが、該シートのコーティング層が親水性を有することで雨水が該コーティング層上に薄膜を形成しやすくなるため、汚染物自体の付着が抑制され、あるいは付着した汚染物が除去されやすくなる。
親水化剤としては、アルキルシリケートも好ましく挙げられる。本発明において好ましく用いられるアルキルシリケートは、Si原子と結合するアルコキシル基を少なくとも一つ有するものであればよく、好ましくは下記一般式(3)で示されるテトラアルキルシリケートである。
また、重量分子量は、150〜4000が好ましく、1000〜3000がより好ましく、さらに1000〜2000が好ましい。
コーティング層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物は、耐候性、紫外線遮断性能、及び耐候保持性を向上させる目的で、トリアジン系紫外線吸収剤及び/又はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含む。本発明においては、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を各々単独で用いることができ、優れた耐候性、紫外線遮断性能、及び耐候保持性を得る観点からは、トリアジン系紫外線吸収剤、及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を併用することが好ましい。その配合質量比は、10:90〜90:10が好ましく、30:70〜70:30がより好ましい。トリアジン系及びベンゾトリアゾール系を併用すると、耐候性はもちろんのこと、害虫活動の抑制や、農業用途で長期伸展しても引張り強度が良好であるといった耐候性保持性の点で極めて優れた効果が得られる。
本発明で用いられるトリアジン系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。このような紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2'−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどが好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネート、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−〔5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル〕−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、及び2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、さらにヒンダードアミン系光安定剤を含むことが好ましい。本発明において、光安定剤はヒンダードアミン系であれば制限はないが、反応性官能基βを有するヒンダードアミン系光安定剤であることが好ましい。
反応性官能基βは、電離放射線硬化性樹脂と反応性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。なかでも(メタ)アクリロイル基が好ましい。
本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、その性能を阻害しない範囲で各種添加剤を含有することができる。各種添加剤としては、例えば重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
本発明のコーティングフィルムは、上記コーティング層を設けた基材フィルム面の反対側の面に、裏面コーティング層を設けることができる。本発明のコーティングフィルムの用途に応じた性能を、裏面コーティング層に付与することができ、上記コーティング層と同じ層を設けることもできるし、該コーティング層とは別の機能を有する層を設けることもできる。
本発明のコーティングフィルムを農業用フィルムとして用いる場合は、裏面コーティング層は防滴剤を含有する層であることが好ましい。
本発明で用いられる防滴剤としては、一般に用いられる防滴剤を制限なく用いることができ、例えば非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両面界面活性剤などの界面活性剤のほか、シリカ、アルミナおよび酸化チタンなどの無機化合物の粒子などが好ましく挙げられ、防滴性とりわけ防滴性の持続性の観点からは無機化合物の防滴剤を使用することが好ましい。
アニオン界面活性剤としては、硫酸エステル塩のポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、スルホン酸塩のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、リン酸エステル塩のアルキルリン酸カリウムなどが挙げられ、カチオン界面活性剤としては、第1〜3級のアミン塩や第4級アンモニウム塩などが挙げられ、両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
裏面コーティング層は、通常防滴剤とバインダー樹脂とを含むコーティング剤を塗工し、硬化させて得る。バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などの公知のバインダーの中から、適宜選択すればよく、例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロース系樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸ブチル/(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体などのアクリル樹脂;その他、ウレタン樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などの単体又はこれらを含む混合物などが好ましく挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
裏面コーティング層に用いられる電離放射線硬化性樹脂として採用されるウレタン(メタ)アクリレートの官能基数は、2〜16が好ましく、2〜10がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。官能基数が上記範囲内であると、優れた防滴性、特にその持続性が優れたものとなり、かつ優れた加工性も得られる。
裏面コーティング層を形成するコーティング剤は、裏面コーティング層の好ましい重要な性能である防滴性を阻害しない範囲で各種添加剤を含有することができる。各種添加剤としては、例えばコーティング層に含まれる紫外線吸収剤のほか、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
本発明のコーティングフィルムは、例えば以下の方法により製造することができる。基材フィルムの一方の面に、好ましく設けられるプライマー層形成用の樹脂組成物を塗工し、次いでコーティング層を形成する電離放射線硬化性樹脂、親水化剤、紫外線吸収剤及び必要に応じて添加する光安定剤、その他の各種添加剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を塗工する。ここで、プライマー層形成用の樹脂組成物及び電離放射線硬化性樹脂組成物の塗工は、各々硬化後の厚さが上記範囲内となるようにグラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより行う。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
本発明のコーティングフィルムをビニルハウスなどの農業用途に用いる場合、コーティング層を外側(ビニルハウスの外側)にして設けることが好ましい。コーティング層の特徴を有効に活用することが可能となり、農業用フィルムとして優れた機能を有するものとなる。
(評価方法)
(1)自浄性能(初期性能)とその持続性の評価
実施例及び比較例で得られたフィルムを、屋外南向きに傾斜45°で設置した。その後、表面の汚れの付着及び沈着状態を下記の基準で評価したものを初期性能の評価とした。また、実施例及び比較例で得られたフィルムを、屋外南向きに傾斜45°で設置した後、3ヶ月放置する屋外曝露試験を行った。その後、表面の汚れの付着及び沈着状態を下記の基準で評価したものを持続性の評価とした。
◎ :汚れの付着や沈着は全く確認されなかった
○ :汚れの付着や沈着はほとんどなかった
△ :汚れの付着や沈着は若干あるが、実用上問題なかった
× :汚れの付着や沈着が著しかった
実施例及び比較例で得られたフィルムについて、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)に準拠して可視光透過率を測定し、可視光透過率(初期性能)として下記の基準で評価した。また、実施例及び比較例で得られたフィルムを、屋外で南向きに45°に傾斜させて設置し、3ヶ月放置する屋外曝露試験を行った後のシートについて、上記と同様にして評価したものを可視光透過率の持続性の評価とした。
◎ :可視光透過率が80%以上
○ :可視光透過率が70%以上80%未満
△ :可視光透過率が50%以上70%未満
× :可視光透過率が50%未満
実施例及び比較例で得られたフィルムについて、該シートをメタルウェザー(ダイプラ・ウィンテス株式会社製)にセットして、ライト条件(照度:60mW/cm2,ブラックパネル温度:63℃,層内湿度:50%RH)で20時間、結露条件(照度:0mW/cm2、ブラックパネル温度:30℃、層内湿度:98%RH)で4時間、次いで水噴霧条件(結露条件の前後10秒間)で800時間放置する耐候性試験を行った後、分光光度計(「U-4000(型番)」,株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、340nmにおける紫外線カット率を測定し、下記の基準で評価をしたものを紫外線遮断持続性の評価とした。
◎ :紫外線カット率95%以上
○ :紫外線カット率90%以上95%未満
△ :紫外線カット率70%以上90%未満
× :紫外線カット率70%未満
実施例及び比較例で得られたフィルムを用い、ビニールハウス内の害虫の動きを目視して、下記の基準で評価した。
◎ :害虫の動きがほとんどなかった
○ :害虫の動きがわずかにあった
× :害虫の動きが活発だった
実施例及び比較例で得られたフィルムを、メタルウェザー(ダイプラ・ウィンテス株式会社製)にセットし、ライト条件(照度:60mW/cm2、ブラックパネル温度:63℃、層内湿度:50%RH)で20時間、結露条件(照度:0mW/cm2、ブラックパネル温度:30℃、層内湿度:98%RH)で4時間、水噴霧条件(結露条件の前後10秒間)で800時間放置する耐候性試験を行った。該試験後、25℃50%RHの条件下で2日間保持してから、シート表面にクラックや白化などの外観を下記の基準で評価した。
◎ :外観変化は全くなかった
○ :外観変化はほとんどなかった
△ :外観変化は若干あるが、実用上問題なかった
× :外観変化が著しかった
実施例及び比較例で得られたフィルムを、アイスーパーUVテスター(岩崎電気株式会社製)にセットし、ライト条件(照度:60mW/cm2、ブラックパネル温度:63℃、層内湿度:50%RH)で20時間、結露条件(照度:0mW/cm2、ブラックパネル温度:30℃、層内湿度:98%RH)で4時間、水噴霧条件(結露条件の前後30秒間)で100時間放置する耐候試験を行った後のフィルムについて、テンシロン万能試験機(「RTC−1250A型」,株式会社オリエンテック製)を用いて、JIS K6732に準拠して測定した引張強度を測定し、該耐候試験の前と比較した引張強度の割合について、下記の基準で評価した。
◎ :80%以上
○ :60%以上80%未満
△ :30%以上60%未満
× :30%未満
実施例及び比較例で得られたフィルムについて、コーティング層Bの面を合わせて160℃、2.0kgf/cm2の条件で1分間プレス(熱融着)を行った後、テンシロン万能試験機(「RTC−1250A型」,株式会社オリエンテック製)を用いて、JIS K6854−3に準拠してT型剥離強度行い、下記の基準で評価した。
◎ :20N以上
○ :10N以上20N未満
△ :3N以上10N未満
× :3N未満
実施例及び比較例で得られたフィルムを用い、水との接触角を接触角計(「CA−X型(型番)」,協和界面科学株式会社製)を用いて測定し、下記の基準で評価した。また、実施例及び比較例で得られたフィルムを40℃温水に1ヶ月間浸漬させた後、25℃で24時間自然乾燥させたフィルムについて、上記と同様にして評価したものを防滴性の持続性の評価とした。
◎ :接触角が50°未満
○ :接触角が50°以上60°未満
△ :接触角が60°以上75°未満
× :接触角が75°以上
基材フィルムとして、透明ポリプロピレン樹脂(厚さ:100μm)からなる樹脂フィルムを準備した。この表面及び裏面にコロナ放電処理を施した後、一方の面に下記組成のプライマー層形成用組成物を塗工(2.5g/m2)し、プライマー層(厚さ:2μm)を形成した。次いで、反応性官能基を有するシリケート化合物、紫外線吸収剤及び光安定剤を含む下記組成の電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、グラビアコート法にて塗膜を形成し、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させることにより、コーティング層(10g/m2)を形成した。
得られたフィルムについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
以下の樹脂組成物と硬化剤とを100:5(質量比)の割合で混合して得られる組成物である。
樹脂組成物:
ポリカーボネート系ウレタン/アクリル共重合樹脂:100質量部
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン400(商品名)」,BASFジャパン株式会社製):20質量部
ヒンダードアミン系光安定剤(「チヌビン123(商品名)」,BASFジャパン株式会社製):15質量部
シリカ(平均粒径:5μ):10質量部
硬化剤:
ヘキサンメチレンジイソシアネート
カプロラクトン系ウレタンアクリレートオリゴマー(3官能,重量平均分子量:1200):100質量部
下記化学式(4)で示される末端にビニル基を有するシリケート化合物:5質量部
トリアジン系紫外線吸収剤(「チヌビン479(商品名)」,2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン,BASFジャパン株式会社製):6質量部
反応性官能基を有する光安定剤(商品名「サノールLS−3410」,1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート,BASFジャパン株式会社製):6質量部
基材フィルムとして、透明ポリプロピレン樹脂(厚さ:100μm)からなる樹脂フィルムを準備した。この表面及び裏面にコロナ放電処理を施した後、一方の面に実施例1で用いたプライマー層形成用組成物を塗工(2.5g/m2)し、プライマー層(厚さ:2μm)を形成した。次いで、反応性官能基を有するシリケート化合物、紫外線吸収剤及び光安定剤を含む実施例1で用いた電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、グラビアコート法にて塗膜を形成し、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させることにより、コーティング層(10g/m2)を形成した。さらに、下記組成のシリカ粒子を含むコーティング剤を調製し、上記コーティング層とは反対の面に、該コーティング剤をグラビアコート法にて塗膜を形成し、175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して上記塗膜を架橋硬化させることにより、裏面コーティング層(1g/m2)を形成し、両面にコーティング層を有するコーティングフィルムを得た。
得られたフィルムについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
ウレタンアクリレート系オリゴマー(3官能,重量平均分子量:1200):10質量部
シリカゾル:100質量部(「IPA-ST(商品名)」,日産化学工業株式会社製,平均一次粒子径:5〜15nm,IPA分散,固形分:15%)
実施例1において、親水化剤を末端にビニル基を有するシリケート化合物から非反応性アルキルシリケート1(「MS−56S(商品名)」,三菱化学株式会社製,上記一般式(3)におけるR12〜R15が全てメチル基のアルキルシリケートの平均16量体(14〜18量体の混合物),重量平均分子量:1500〜1900)とした以外は、実施例1と同様にしてコーティングフィルムを得た。
得られたフィルムについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物にさらにベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(「チヌビン109(商品名)」,BASFジャパン株式会社製)を10質量部加えた以外は、実施例1と同様にしてコーティングフィルムを得た。
得られたフィルムについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例1において、親水化剤をアルキルシリケート2(「MS−56(商品名)」,三菱化学株式会社製,上記一般式(3)におけるR12〜R15が全てメチル基のアルキルシリケートの平均10量体(10〜12量体の混合物),重量平均分子量:1100〜1300)とした以外は、実施例1と同様にしてコーティングフィルムを得た。
得られたフィルムについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例1において、親水化剤をアルキルシリケート3(「メチルシリケート53A(商品名)」,コルコート株式会社製,上記一般式(3)におけるR12〜R15が全てメチル基のアルキルシリケートの平均7量体,重量平均分子量:789)とした以外は、実施例1と同様にしてコーティングフィルムを得た。
得られたフィルムについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例1において、親水化剤をメトキシ基とエトキシ基とを有するアルキルシリケート4(「EMS−485(商品名)」,コルコート株式会社製,上記一般式(3)におけるR12及びR13がメチル基であり、R14及びR15がエチル基であるアルキルシリケートの平均10量体である。重量平均分子量:1300)とした以外は、実施例1と同様にしてコーティングフィルムを得た。
得られたフィルムについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例1において、コーティング層を設けなかった以外は、実施例1と同様にしてコーティングフィルムを得た。
得られたフィルムについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例1において、電離放射線硬化性樹脂をカプロラクトン系ウレタンアクリレートからウレタンアクリレート系オリゴマー(6官能,重量平均分子量:2000)とした以外は、実施例1と同様にしてコーティングフィルムを得た。
得られたフィルムについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物から末端にビニル基を有するシリケート化合物を除いた樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてコーティングフィルムを得た。
得られたフィルムについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
2.基材
3.コーティング層
4.プライマー層
Claims (4)
- 基材フィルムの一方の面に電離放射線硬化性樹脂、親水化剤及び紫外線吸収剤を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなるコーティング層を有し、該電離放射線硬化性樹脂がカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートであり、該親水化剤が(メタ)アクリロイル基を有するシリケート化合物であり、かつ該紫外線吸収剤がトリアジン系紫外線吸収剤及び/又はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるコーティングフィルム。
- 基材フィルムとコーティング層との間にプライマー層を有する請求項1に記載のコーティングフィルム。
- 農業用途である請求項1又は2に記載のコーティングフィルム。
- ビニルハウス用途であり、コーティング層を外側にして設ける請求項1又は2に記載のコーティングフィルム。
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