JP4419422B2 - 活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物に関する。詳しくは本発明は、基材上に塗布されて親水性かつ高硬度の塗膜表面を形成しうる有機無機ハイブリッド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ガラス製品をはじめ、金属、セラミックス、樹脂製品等の基材の表面において、表面温度が露点温度以下になった場合、雰囲気中の湿分が表面に凝縮・結露して表面が曇る現象がしばしば経験される。特に凝縮水滴の粒径が可視光波長の1/2程度になると、水滴が光を散乱し、ガラスや透明フィルム、鏡等は見かけ上不透明になり、可視性が失われる。湿分の凝縮がさらに進行し、細かい凝縮水滴の融合により、さらに大きな離散水滴を形成するようになると、水滴と表面、水滴と空気界面における光の屈折により、表面のぼやけや斑状模様も生じるようになり、透明物品において、その透視像の歪み、曇りが起こり、可視性が失われる。
【0003】
これらの現象は、単に利用者にとっての不快にとどまる場合(洗面所鏡、浴室鏡等の曇り、建築物の窓の曇り、一般眼鏡の曇り等)から、製品の品質に影響を与える場合(例えば野菜や花等を栽培する温室やビニールハウス等の外装の透明フィルムや透明板の曇り等)、安全や人命にも影響を及ぼす場合(例えば自動車のウインドウ、オートバイ運転時のヘルメットのゴーグル、道路鏡、手術用内視鏡レンズの曇り等)等、非常に広い範囲で問題となる。
【0004】
このような問題を解消するために、以前から様々なアプローチでの防曇性付与及びその改良が精力的に検討されている。
まず、もっとも簡便な方法は、基材の表面にアニオン系、ノニオン系またはカチオン系の界面活性剤を塗布し、表面を親水化する方法である。しかしこの方法では、水の付着により界面活性剤が流れ落ちてしまうため、防曇性の発現は一時的なものにとどまる。
【0005】
そこで、効果の持続を期待し、合成樹脂基材自身や、合成樹脂を主成分とするコーティング剤に界面活性剤を配合したり、あるいは界面活性剤と類似構造を有する単量体や親水性単量体を共重合した合成樹脂基材やコーティング剤を用いて、防曇性能を付与する方法が種々検討されてきた。界面活性剤を配合した具体例としては、特定の界面活性剤を配合した層を含む防曇性被覆材の例(特許文献1参照)等を挙げることができる。また、後者の例としては、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)含有重合物等のヒドロキシル基を有する親水性化合物(特許文献2参照)、ポリエチレンオキシド(PEO)含有重合物等を用いる例(特許文献3参照)等を挙げることができる。
【0006】
これらの技術は、単に基材の表面に界面活性剤を塗布した場合と比較すれば、確かに性能の持続性は向上するものの、依然として耐久性は不足しており、かつ、界面活性剤のみを塗布する場合に比べて、初期の防曇性能が低下してしまうため、満足できるものではない。
【0007】
他方、有機系吸水性物質(たとえばポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩、ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、でんぷん誘導体等)を塗膜としたり、有機系吸水性物質を合成樹脂基材自身に配合したり、あるいは合成樹脂を主成分とするコーティング剤に配合したり、または吸水性単量体を共重合して、合成樹脂基材やコーティング剤を形成して防曇性能を付与する方法がある。例えば、フィルム表面に吸水性有機ポリマーを含有する親水層を形成した防曇フィルムの例(特許文献4参照)がある。このような方法は、アニオン系、ノニオン系、カチオン系等の界面活性剤系の有機親水性物質を使用する場合に比べると、防曇性の耐久性はやや向上するものの、防曇性の初期性能の低下(例えば接触角が当初は高く、最初に曇りが出る)があるため問題があった。そこで、両技術の併用も種々提案されている。例えば、界面活性剤とポリビニルアルコール等の吸水性高分子とを組み合わせる技術(特許文献5参照)がある。このような方法は、併用することで、初期性能・耐久性とも向上するものの、このままでは、表面の硬度・耐傷つき性が低く、使用中に表面に傷が入り、性能が損なわれてしまったり、本質的に水に対する親和性が高いため、使用中に徐々に水で洗い流されて性能が低下してしまうため、用途が制限され、満足なものとは言い難かった。
【0008】
また、基材表面を直接、酸、アルカリ、放電、活性エネルギー線等で処理し、表面にのみ、ヒドロキシル基等の親水性基を持たせる方法での防曇性付与も広く検討されている。基材表面に直接親水性基が化学的に結合しているため、耐久性は向上するが、基材の種類が制限されるうえ、プラスチック基材においては他の性能の悪化を起こすことが多く、かつ、硬度も低いままに留まり、実用上満足できるものとは言い難かった。
【0009】
さて、表面の硬度・耐傷つき性を向上させる方法として、一般に、いくつかのアプローチが知られている。例えば、熱や光で硬化させて、高度に架橋した有機化合物または有機高分子塗膜を形成する方法、無機粒子や無機高分子塗膜を形成する方法、あるいはこれらを組み合わせた有機無機ハイブリッド塗膜を形成する方法等がある。
【0010】
これらの技術を防曇性付与技術と組み合わせて、防曇性塗膜の硬度や耐傷つき性を向上させる方法について、近年いろいろなアプローチでの検討がなされている。まず、熱硬化により、高い硬度の有機防曇性塗膜を与える技術としては、例えば、熱硬化性の親水・疎水ブロック共重合体と界面活性剤とからなる組成物、その硬化被膜を有するフィルム等(特許文献6参照)がある。また、光硬化により、高い硬度の有機防曇性塗膜を与える技術としては、例えば、ポリエチレングリコール鎖を有する光硬化性樹脂成分を主成分とする技術(特許文献7参照)等がある。
【0011】
また、無機粒子塗膜、無機高分子塗膜や無機高分子・無機粒子ハイブリッド塗膜を形成し、高い硬度の防曇性塗膜を与える技術としては、例えば、リチウムシリケートをベースとする無機親水性膜に関する技術(特許文献8参照)や、シリケートとシリカゾル、アルミナゾル、および硬化触媒からなる無機親水塗料に関する技術(特許文献9参照)等がある。
【0012】
さらに、有機ポリマーや硬化性有機物と無機高分子や無機粒子とをハイブリッド化した塗膜を形成し、高い硬度の防曇性塗膜を与える技術としては、例えば、ポリビニルアルコール等の吸水性有機ポリマーとシリケートのような無機親水性化合物とを組み合わせる技術(特許文献10参照)や、あるいは、アクリロイル基を含有するシラン・アルミナハイブリッド物と親水性有機材料の複合化による防曇材料(特許文献11参照)等が提案されている。
【0013】
しかし、これらの技術においても、確かに硬度や耐傷つき性の向上は期待できるものの、そのレベルが不十分であったり、あるいは防曇性自体の性能は低下する傾向があり、満足できるものとは言えず、利用範囲には依然限定があった。
【0014】
ところで、コロイダルシリカに代表される無機微粒子を吸水性成分かつ高硬度付与成分として用いる防曇性の有機無機ハイブリッド材料について、近年、いろいろ検討されるようになってきた。例えば、塗布型の例として、一定範囲のガラス転移温度の疎水性水系エマルジョンとシリカに代表される無機質コロイドゾル組成物による防曇剤組成物(特許文献12参照)が知られている。また、UV硬化性材料の例として、コロイダルシリカおよび親水性や吸水性の光硬化性単量体に多官能(メタ)アクリレートを組みあわせた防曇性塗装剤(特許文献13参照)が知られている。また、ポリオキシアルキレン基含有ポリアクリレートとアクリロイル基含有アルコキシシランおよび微粉シリカを含む紫外線硬化性の親水性ハードコート組成物(特許文献14参照)が知られている。また、シリカゾル等の親水性無機コロイド、エポキシアクリレートオリゴマー等のUV硬化性樹脂、およびUV重合開始剤とからなる防曇性組成物(特許文献15参照)が知られている。また、ポリエチレングリコールジアクリレート、(メタ)アクリルアミド誘導体、水分散性シリカ等を含む被覆剤組成物(特許文献16参照)が知られている。さらに、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート、これらと共重合可能な親水性モノマーと、(メタ)アクリル官能性シランの加水分解物等で表面修飾されたコロイダルシリカ等を含む防曇性組成物(特許文献17参照)が知られている。これら以外にも熱硬化性を持たせた例を含め、多くの検討がなされている。
【0015】
しかし、これらの技術においては、防曇性、特にその耐久性を重視する場合には、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを主成分として用いる必要があり、結果として硬度を犠牲にする必要があり、防曇性ハードコート材料として満足できる材料は得られていなかった。
他方、コロイダルシリカを用いることで、表面に微細凹凸を形成し、フラクタル表面類似の表面を与え、親水性の性能を強調するような材料設計も知られている。例えば、特定範囲の間隔・深さの凹凸を有する防曇性被膜(特許文献18参照)がある。さらに、これらと光触媒機能を有する無機粒子とを組み合わせ、光触媒・親水化による防曇性性能と併用する技術(特許文献19参照)も、種々検討されている。しかし、依然として、防曇性、その耐久性、及び硬度の少なくともいずれかが不十分であった。
【0016】
その他、酸化チタン等の光触媒性無機酸化物を主成分とした防曇性組成物についても、ここ数年非常に多くの検討がなされ、自動車のサイドミラーやウインドウ用の防曇性フィルムとして実用化されつつあるが、暗所では光触媒効果が徐々に失われてしまうこと、基材やコーティング剤の有機成分を分解してしまうこと等の問題が依然残り、適用範囲には制約があった。
【0017】
さて、鎖状等の細長い形状を有するコロイダルシリカは、例えば、密着性や造膜性等を向上させること(特許文献20参照)が知られている。このような点に注目し、鎖状シリカゾルを吸水性無機粒子として用いることで、密着性や造膜性等を向上させるアプローチが近年いくつか検討されている。例えば、熱可塑性合成樹脂水系エマルジョンと鎖状コロイダルシリカとを含む防曇性塗膜層を設けたことを特徴とする保存安定性の良い防曇性農業用被覆材(特許文献21参照)が知られている。また、鎖状シリカ微粒子を主成分とする組成物の層を含む、表面に微細凹凸を有する防曇物品(特許文献22,23,24参照)が知られている。また、鎖状を含む種々の形状を有する無機酸化物のみを親水化成分として含むコーティング組成物(特許文献25参照)が知られている。さらに、鎖状のシリカゾルと特定範囲のHLBのノニオン系界面活性剤を含む防曇性組成物およびそれを用いた特定物品(特許文献26,27参照)が知られている。
【0018】
このような鎖状のコロイダルシリカはその特異な形状のため、3次元的な絡み合いにより、密着性や造膜性等の機械物性の向上が期待されるうえ、表面からの抜け落ちが抑制されるため、従来の球状のコロイダルシリカを用いた場合に比べ、防曇性の耐久性や硬度の向上が図られている。しかしながら、特にハイブリッド系防曇性組成物で用いた場合、マトリックス成分との相溶性が低いため、成形物(成型品、塗膜)の表面に鎖状コロイダルシリカが分離してしまい、透明性や硬度が低下したり、あるいはマトリックス成分に比べ比重が重いため、成形物の表面部分における鎖状コロイダルシリカの濃度が低く、防曇性が低下したりする。
【0019】
また、従来技術では、マトリックスや他の防曇性物質と鎖状コロイダルシリカとを単に配合しているだけであり、成形品表面からの鎖状コロイダルシリカの抜け落ちを完全に防げているわけではなく、結果として防曇性の持続性についても限界があった。
【特許文献1】
特開平10−114035号公報
【特許文献2】
特公昭53−18347号公報
【特許文献3】
特公昭53−18348号公報
【特許文献4】
特開2000−309068号公報
【特許文献5】
特開昭52−101680号公報
【特許文献6】
特開平5−310972号公報
【特許文献7】
特開平6−136165号公報
【特許文献8】
特開平10−139483号公報
【特許文献9】
特開2001−226635号公報
【特許文献10】
特開平12−309068号公報
【特許文献11】
特開2000−256658号公報
【特許文献12】
特公平6−4768号公報
【特許文献13】
特許第2503949号公報
【特許文献14】
特開平10−60309号公報
【特許文献15】
特開2000−154373号公報
【特許文献16】
特開2001−19874号公報
【特許文献17】
特開2001−131445号公報
【特許文献18】
特開平12−135755号公報
【特許文献19】
特開平12−289134号公報
【特許文献20】
特許第2803134号公報
【特許文献21】
特開平7−327522号公報
【特許文献22】
特開平11−100234号公報
【特許文献23】
特開2000−28913号公報
【特許文献24】
特開2001−19494号公報
【特許文献25】
特開2000−26756号公報
【特許文献26】
特開2000−336347号公報
【特許文献27】
特開2001−19047号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決すべき課題は、基材上に塗布されて親水性および高い硬度を有する塗膜を形成することが可能で、かつ、透明性等の外観も良好であり、しかも、防曇性能を長期において発現し続ける表面を形成しうる組成物を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み、吸水性かつ高硬度付与性の無機微粒子であるコロイダルシリカの表面集中・高濃度化、表面固定化、および有機成分との親和性向上を図るため、鋭意検討を重ねたところ、コロイダルシリカとして鎖状構造のコロイダルシリカを選択し、これと活性エネルギー線硬化基を有する有機化合物とを組み合わせ、かつ光重合開始剤を配合した有機・無機ハイブリッド樹脂組成物の塗膜において、コロイダルシリカの表面集中・高濃度化と、有機成分との親和性向上による透明性保持が達成され、この塗膜に活性エネルギー線を照射し、硬化させることで、鎖状コロイダルシリカが表面に高濃度で固定化され、結果として、高い親水性、防曇性と高い硬度・耐傷つき性、並びにそれらの性能の耐久性を実現しうることを見出した。しかもこの塗膜は、各種基材に対する密着性にも優れ、結果として、物品の表面に、親水性・防曇性、高い硬度・耐傷つき性、透明性、そしてこれらの性能の耐久性を有する塗膜を形成してなる防曇性物品が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0022】
即ち本発明の要旨は、少なくとも(A)鎖状構造のシリカ微粒子、(B)(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリルアミド基を有する有機化合物、及び(C)光重合開始剤を含有してなる活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物において、該(A)鎖状構造のシリカ微粒子が、その表面に、アルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン化合物を、該アルコキシシリル基を加水分解して生成させたシラノール基と該(A)鎖状構造のシリカ微粒子表面のヒドロキシル基との縮合反応によって、化学的に結合したものであることを特徴とする活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物に存する。
また、本発明の他の要旨は、少なくとも(A)鎖状構造のシリカ微粒子、(B)(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリルアミド基を有する有機化合物、及び(C)光重合開始剤を含有してなる活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物において、該(A)鎖状構造のシリカ微粒子が、その表面に、ポリオキシアルキレン基を含有するシリケート化合物を、該シリケート化合物のシラノール基と該(A)鎖状構造のシリカ微粒子表面のヒドロキシル基との縮合反応によって、化学的に結合したものであることを特徴とする活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物に存する。
また、本発明の他の要旨は、少なくとも(A)鎖状構造のシリカ微粒子、(B)(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリルアミド基を有する有機化合物、及び(C)光重合開始剤を含有してなる活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物において、該(A)鎖状構造のシリカ微粒子が、その表面に、炭素数1〜4のアルキル基を有するシリケートオリゴマーを、加水分解条件下に縮合反応させてシラノール基を化学的に結合したものであることを特徴とする活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物に存する。
また、本発明の他の要旨は、前記の活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物を、基材の表面に塗布し、活性エネルギー線で硬化させて、硬化皮膜を形成させてなる防曇性物品に存する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
(A)鎖状構造のシリカ微粒子
本発明で使用する鎖状構造のシリカ微粒子とは、シリカの微細粒子が鎖状に結合して細長い形状を形成したシリカ微粒子であり、より好ましくはシリカの微細粒子が鎖状に結合して一平面内のみで伸長した細長い形状を有するシリカ微粒子である。
【0024】
鎖状構造のシリカ微粒子の平均長さは通常10〜500nm、好ましくは30〜300nmである。平均長さが10nmより短いと上記のような効果は低く、また平均長さが500nmより長いと塗膜の透明性が失われる傾向がある。
なお、鎖状構造のシリカ微粒子は、上記の基本構造に加えて部分的に、枝分かれ構造、環状構造、架橋構造、球状構造、棒状構造、扁平構造及び鱗片状構造からなる群から選ばれた少なくとも1種の微細構造を有していてもよい。
本発明にいう「鎖状構造のシリカ微粒子」とは、単位長さ50nm以下、好ましくは20nm以下のシリカ微粒子単位が3〜100個、好ましくは5〜50個程度鎖を形成するごとく線状又は細長い形状に結合したものを意味する。個々のシリカ微粒子単位の形状は球状でも、棒状でも差し支えないが、重要なことは単位長さが小さいことである。単位長さが50nmを超えるものは、透明性の低下、溶解性の低下等の問題が起きることがあり、好ましくない。また、シリカ微粒子の結合数が3個未満のものは、鎖状構造が十分に発達しておらず、鎖状構造を形成することによる効果が不充分となる傾向となる。また、シリカ微粒子単位の結合が線状ではなく、全体として塊状や架橋構造を形成しているものも透明性の低下や粘度の上昇等を起こすことがあり好ましくない。なお、シリカ微粒子の単位長さは、BET法、動的光散乱法、電子顕微鏡観察等により測定することができる。
【0025】
鎖状構造のシリカ微粒子としては、例えば日産化学工業社がスノーテックスUPの商品名で販売しているコロイダルシリカを挙げることができる。より具体的には、スノーテックスUP、スノーテックスOUP、IPA−ST−UP、PGM−ST−UP等を挙げることができる。必要に応じ、溶媒置換したものを用いる方が好ましい場合がある。市販品の分散媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが知られているが、これら分散媒は硬化特性、硬化後の膨れ等を考慮して、適宜他の成分に変更して使用することができる。
【0026】
鎖状構造のシリカ微粒子は、通常、そのシリカ表面自体にシラノール基やそのアルカリ金属塩等の親水性基が存在するのでこのまま用いることも可能であるが、場合によっては、有機成分との親和性が十分とは言えないので、以下に述べるような方法で、さらに親水性基を導入することが好ましい。
即ち、鎖状構造のシリカ微粒子(コロイダルシリカ)の表面に、ポリアルキレンオキシド基のような有機親水性基、或いはヒドロキシル基を高濃度で有するシリケート等の半有機・半無機親水性基を化学的に結合させ、表面を保護することで活性エネルギー線硬化性の有機成分や有機溶媒との親和性を高め、同時に塗膜形成時、コロイダルシリカ成分の表面高濃度化をより容易にし、結果として、塗膜形成時、ポリアルキレンオキシド基やヒドロキシル基等の親水性基濃度と、シリカ自身の有するシラノール基、そのアルカリ金属塩等の親水性基濃度を高めるとともに、シリカの吸水性・湿分保持機能を表面に集めることができる。さらに場合によってはカルボン酸基や燐酸基、スルホン酸基あるいはこれらのアルカリ金属塩基を同時に導入することもできる。
親水性基を導入するには、シリカ微粒子の表面に親水性基含有化合物を化学的に結合する。
【0027】
鎖状構造のシリカ微粒子に導入するのが好ましい親水性基としては、ヒドロキシル基、そのアルカリ金属塩、シラノール基、そのアルカリ金属塩、カルボン酸基、そのアルカリ金属塩、スルホン酸基、そのアルカリ金属塩、燐酸基、そのアルカリ金属塩の他、ポリアルキレンオキシド基、そのアルカリ金属化合物との付加・包接物、四級アンモニウム塩基、四級ホスホニウム塩基等を挙げることができる。
これらの中でも、特にポリアルキレンオキシド基、及びヒドロキシル基またはシラノール基を高濃度で有するシリケート基が好ましく、これらの親水性基を、適切な官能基を介してシリカ表面に化学的に結合させて導入する必要がある。
【0028】
(1)アルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン化合物
このような構造を有する代表的な化合物としては、
▲1▼アルコキシシリル基を有するイソシアネートとヒドロキシル基を有するポリオキシアル キレン化合物との反応により得られる化合物、
▲2▼アルコキシシリル基を有するメルカプタンと(メタ)アクリロイル基を有するポリオキ シアルキレン化合物との反応により得られる化合物、
▲3▼アルコキシシリル基を有するエポキシドとヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレ ン化合物との反応により得られる化合物、等があるが、これらに限定はされない。
【0029】
上記アルコキシシリル基を有するイソシアネートとしては、例えばトリエトキシシリルプロピルイソシアネート(信越化学社よりKBE9007の商品名で入手可能)、トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、あるいはトリメトキシシリルプロピルメルカプタン(例えば信越化学社よりKBM803の商品名で、東レダウコーニングシリコン社よりSH6062の商品名で入手可能)等のトリアルコキシシリルアルキルメルカプタンとジイソシアネート(例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、MDI、TDI等)の一方のNCO基とをチオウレタン結合で結合した化合物等を例示することができる。
【0030】
上記ヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレン化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールのモノアルキルエーテル(例えばポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル等)、ポリエチレングリコールのモノアルキルフェニルエーテル(例えばポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル等)等のエーテル型ポリアルキレングリコール、ポリエチレングリコールのモノカルボン酸エステル(例えばポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等)、ポリアルキレングリコールブロックコポリマーのモノアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールランダムコポリマーのモノアルキルエーテル等、またはα,ω−ヒドロキシ末端ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル化合物、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレン/テトラメチレン)グリコールモノ(メタ)アクリレート、等を例示することができる。好ましくは、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルまたはポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートである。
【0031】
ヒドロキシル基とイソシアネート基との反応によるウレタン結合の生成反応は、例えば各化合物を、NCO基/OH基≦1、の割合で配合し、通常60〜100℃で1〜20時間混合攪拌することにより行われる。本反応においては、反応中のアクリロイル基による重合等を防止するために、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、p−t−ブチルカテコール、フェノチアジンなどの重合禁止剤を使用するのが好ましく、その量は反応混合物に対して、通常0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%である。また反応を促進するために、例えばジラウリン酸ジ−n−ブチル錫、ジアザビシクロオクタン(DABCO)のような公知の反応触媒を添加してもよい。さらに本反応は、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル系溶媒、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒等の、イソシアネート基と反応しうる基を含まない溶媒中で、または、同時に、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリルアミド基を有する活性エネルギー線硬化性化合物の存在下で行うことができる。
上記メルカプト基を有するトリアルコキシシラン化合物としては、例えばトリメトキシシリルプロピルメルカプタン(例えば信越化学社よりKBM803の商品名で、東レダウコーニングシリコン社よりSH6062の商品名で入手可能)等を例示することができる。
【0032】
メルカプト基を有するトリアルコキシシリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有するポリオキシアルキレン化合物、例えば、α,ω−ヒドロキシ末端ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル化合物(例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレン/プロピレン)グリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレン/テトラメチレン)グリコールモノ(メタ)アクリレート等)との反応には、一般にマイケル付加反応として知られている反応の条件が適用される。この反応は室温、無触媒でも進行するが、触媒を加え、その反応を速やかに進行させることが実用上好ましい。その反応に用いることのできる触媒としては、金属アルコキシド、環状アミン、四級アンモニウム塩、3級ホスフィン類等を挙げることができる。これらの中で、触媒活性や取り扱い性の面から3級ホスフィン類が好ましく、特にトリフェニルホスフィンが好ましい。
【0033】
上記アルコキシシリル基を有するエポキシドとしては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(例えば信越化学社よりKBM403の商品名で入手可能)、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(例えば信越化学社よりKBE402の商品名で入手可能)、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(例えば信越化学社よりKBM303の商品名で入手可能)等を挙げることができる。
【0034】
エポキシ基を有するトリアルコキシシリル化合物と、ヒドロキシ基を有するポリオキシアルキレン化合物との反応は、エポキシ基とヒドロキシ基との反応において知られている公知の条件が適用される。
【0035】
(2)ポリオキシアルキレン基を含有するシリケート化合物
ポリオキシアルキレン基を有するシリケート化合物は、ヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレン化合物(特に片末端にヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレン化合物)と、炭素数1〜4のアルキル基を有するシリケートまたはそのオリゴマーとの脱アルコール・エステル交換反応により得られる。
【0036】
炭素数1〜4のアルキル基を有するシリケートとしては、メチルシリケート(テトラメトキシシラン)、そのオリゴマー(三菱化学社よりMS51、MS56等の商品名で入手可能)、エチルシリケート(テトラエトキシシラン)、またはそのオリゴマー、およびこれらと、テトラプロポキシシランやテトラブトキシシランとの共変性オリゴマー等を挙げることができる。特に、メチルシリケートオリゴマーあるいはメチルシリケートオリゴマーを主成分とし、炭素数2〜4のアルキル基を有するシリケート類で共変性したオリゴマーが反応性、性能から好ましい。
【0037】
ヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレン化合物(特に片末端にヒドロキシル基を有するポリオキシアルキレン化合物)と炭素数1〜4のアルキル基を有するシリケート(またはそのオリゴマー)との脱アルコール・エステル交換反応の触媒としては、例えば酸触媒として塩化水素溶液、燐酸溶液、硼酸等の無機酸、または燐酸メチルや硼酸メチル等の無機酸エステル類、クエン酸、マレイン酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸、アルカリ触媒としてアルコール性水酸化カリウム、アンモニア、トリアルキルアミン類、ジメチルアミノピリジン等の複素環含有アミン類、アルミニウムトリアセチルアセトナート等の金属アセチルアセトン錯体が有効である。
【0038】
上記反応は、通常、室温から100℃で1〜100時間、好ましくは室温で4時間以上反応させた後、室温〜70℃で1〜10時間加熱して、反応を進行させる。また反応を促進するため、副生するアルコールを系外に留去・除去してもよい。さらに溶媒で反応系を希釈してもよい。用いられる溶媒としては加水分解物であるシランアルコキシドや水、触媒との相溶性があるものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、THF、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のヒドロキシ基含有エーテル類等を挙げることができる。
【0039】
(3)ヒドロキシル基、シラノール基を高濃度で有するシリケート化合物
ヒドロキシル基、シラノール基を高濃度で有するシリケート化合物は、含フッ素アルコールと炭素数1〜4のアルキル基を有するシリケートまたはそのオリゴマーとの脱アルコール・エステル交換反応後、部分加水分解反応を行うことにより得られる。あるいはテトラメトキシシランまたはそのオリゴマーを主成分として含有するシリケート化合物を、多量の水で加水分解・縮合することにより得られる。
【0040】
炭素数1〜4のアルキル基を有するシリケートとしては、前項(2)で列挙したものと同様のものを用いることができる。
含フッ素アルコールとしては、他の親水性基との親和性、および揮発除去の容易さから、炭素数2〜5の含フッ素アルコールが好ましい。代表例としては、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブタノール、2,2,3,3,4,4,4−へプタフルオロブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンタノール等を示すことができる。
【0041】
含フッ素アルコールと炭素数1〜4のアルキル基を有するシリケート(またはそのオリゴマー)との脱アルコール・エステル交換反応の触媒としても上記同様、前項(2)で例示した酸触媒、アルカリ触媒等を同様に用いることができる。
上記反応についても、前項に記載したのと同様の条件、媒体中で行うことができる。
【0042】
加水分解反応は、(A)鎖状構造のシリカ微粒子との反応を行う前に予め行っておいてもよいが、(A)鎖状構造のシリカ微粒子との反応時に同時に含フッ素アルコキシ基が効率的にはずれ、ヒドロキシル基やシラノール基を高濃度で生成しうるので、その方が効率面からも望ましい。
テトラメトキシシランまたはそのオリゴマーを主成分として含有するシリケート化合物を、多量の水で加水分解・縮合する反応は、通常、全メトキシ基を分解するのに必要な化学量論量の1〜10倍量、好ましくは1.05〜5倍量の水を加えて行う(ただし全メトキシ基を分解するのに必要な化学量論量以上の水を使用した場合でもメトキシ基が全部分解されるのではなく、通常はメトキシ基が残存する)。
上記反応についても、前項(2)に記載したのと同様の条件、媒体中で行うことができる。
【0043】
(A)鎖状構造のシリカ微粒子と親水性基含有化合物との反応、結合については、この種の化合物生成において一般的に用いられる種々の方法で達成可能である。基本的にはアルコキシシリル基を加水分解し、シラノール基を生成させ、無機酸化物表面のアルコキシ基および/またはヒドロキシル基と縮合反応を行い、結合させる方法が一般的である。
【0044】
従って、通常、アルコキシシリル基を有する親水性基含有化合物を、加水分解条件下、(A)鎖状構造のシリカ微粒子の表面に縮合反応させることによって、表面に親水性基含有化合物を化学的に結合することができる。水は、塗膜の性能、コート液の安定性を損なわない範囲で用いられる。水の量は、アルコキシシリル基に対し1モル%以上、好ましくは30モル%以上である。1モル%より少ないと加水分解、縮合反応が起こりにくい。なお、他に加水分解されやすい官能基を含む場合、過剰量の水が存在すると、副反応が起こりやすいので、そのような場合には多くとも400モル%以下に水の量を抑える必要がある。また、使用される水は蒸留水、イオン交換水、工業用水、軟水等を挙げることができる。
【0045】
さらに、この加水分解、縮合反応を促進するため、酸またはアルカリ、またはその他の適切な化合物を触媒として添加することも可能である。これらについても塗膜の性能を損なわず、かつコート液の性能を損なわないものであれば種々のものを使用することが可能である。例えば、酸触媒としては塩化水素溶液、燐酸溶液、硼酸等の無機酸、クエン酸、マレイン酸、酢酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸、アルカリ触媒としてはアルコール性水酸化カリウム、アンモニア、トリアルキルアミン類、ジメチルアミノピリジン等の複素環含有アミン類等を挙げることができる。またその他の触媒としては、アセチルアセトンアルミニウムのようなアセチルアセトン金属錯体も有効である。
【0046】
(A)鎖状構造のシリカ微粒子と親水性基含有化合物との反応比は、(A)/親水性基含有化合物の重量比で95/5〜10/90、好ましくは85/15〜30/70である。(A)/親水性基含有化合物>95/5であると、無機酸化物の表面保護が不十分となりやすく、一方、(A)/親水性基含有化合物<10/90であると、アルコキシシラン自身の重合、架橋による分散状態の不安定化、著しい粘度上昇等を起こしやすい。
【0047】
上記反応は、通常、室温から100℃で1〜100時間、好ましくは0〜30℃で4時間以上反応させた後、20〜70℃で1〜30時間継続し、反応を進行させる。また副反応を抑えるため、反応系を溶媒で希釈してもよい。用いられる溶媒としては加水分解物であるシランアルコキシドや水、触媒との相溶性があるものが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、THF、ジオキサン等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のヒドロキシ基含有エーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のカルボン酸エステル等を挙げることができる。
【0048】
(4) 以上(1)(2)(3)で述べた親水性基含有化合物を(A)に反応させる方法とは別に、予めメルカプト基を有するトリアルコキシシラン化合物を(A)に反応させ、その後、(メタ)アクリロイル基を有するポリアルキレンオキシドのアクリロイル基にメルカプト基を付加させ、同様の親水性基を導入する方法もある。
(5) その他、メルカプト基を有するトリアルコキシシランを(A)に反応させ、その後、メルカプト基を、ジイソシアネート化合物と反応させ、一方のイソシアネート基を用いてチオウレタン結合で結合し、残りのイソシアネート基にヒドロキシル基を有するポリアルキレンオキシド化合物を作用させ、ウレタン結合で結合させる方法で、同様の親水性基を導入する方法もある。
【0049】
(B)(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリルアミド基を有する有機化合物
本発明の有機無機ハイブリッド樹脂組成物の(B)成分は、アクリロイル基またはメタクリロイル基、アクリルアミド基またはメタクリルアミド基を有する化合物(ただしアミド基は置換基を有していてもよい)である。これらの化合物は、活性エネルギー線で硬化可能なものであり、本発明の組成物を活性エネルギー線硬化性とするものである。該化合物としては、例えば、(1)1分子中に1個または2個の(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリルアミド基を有する化合物、(2)1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリルアミド基を有する化合物が挙げられる。上記のうち、硬度の観点からは(2)を主成分として用いることが望ましい。またこれらの化合物は、更にポリアルキレンオキシド基が結合していてもよい。ポリアルキレンオキシド基が結合していると、より防曇性(親水性)の耐久性が向上する場合がある。
【0050】
上記(1)の1分子中に1個または2個の(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリルアミド基を有する化合物の例を挙げると、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアルキレンオキシ基を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
【0051】
また、上記(2)の1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリルアミド基を有する化合物の例を挙げると、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリイソシアネートと分子内に水酸基および3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、テトラカルボン酸二無水物と分子内に水酸基および3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとを反応させて得られるカルボキシル基含有多官能(メタ)アクリレート、1,3,5−トリ(メタ)アクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン等の多官能(メタ)アクリルアミド類、およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。
【0052】
本発明の有機無機ハイブリッド樹脂組成物中の(A)と(B)との比は、(A)/(B)重量比で、通常、10/90〜90/10、好ましくは30/70〜70/30の範囲である。(A)/(B)<10/90では、防曇性が低く、一方、(A)/(B)>90/10では、硬度や耐傷つき性が低下しやすい。また(A)への(B)の配合方法であるが、(A)、(B)をそれぞれ準備しておき、混合配合してもよいし、(B)の存在下で(A)を製造することにより、組成物を調製してもよい。
【0053】
(C)光重合開始剤
本発明の有機無機ハイブリッド樹脂組成物の一成分である光重合開始剤は、特に限定されないが、例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾインフェニルホスフィンオキシド、2−メチル−[4−メチルチオフェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は2種以上を適宜に併用することもできる。
光重合開始剤(C)は、通常、(A)成分と(B)成分との合計の10重量%以下、好ましくは1〜5重量%用いられる。
【0054】
本発明の有機無機ハイブリッド樹脂組成物に、塗膜物性や透明性等を改良する目的で、さらに、鎖状構造以外のシリカ微粒子を加えてもよい。例えば、球状構造のシリカゾル、環状構造のシリカゾル、枝分かれ構造のシリカゾル、架橋構造のシリカゾル、鱗片状構造のシリカ微粒子等を例示することができる。またこれら鎖状構造以外のシリカ微粒子に、先に述べた親水性基含有化合物を反応させてもよい。これら鎖状構造以外のシリカ微粒子の使用量は、(A)成分に対して50重量%以下、好ましくは30重量%以下に抑えることが好ましい。
球状構造のシリカゾルが多くなると親水性が低下する傾向にあり、環状構造、枝分かれ構造、架橋構造等のシリカゾル並びに鱗片状構造のシリカ微粒子等は塗膜強度の向上に効果があるが、多すぎると透明性が悪化する傾向にある。一方、鎖状構造のシリカ微粒子の市販品も鎖状構造が100%ではなく、鎖状構造を主体とするものである。即ち、先に述べたように部分的に鎖状構造以外の構造を含むものが通常である。鎖状構造100%のものを選択的に製造又は分離することは通常必要とはされない。
【0055】
本発明の有機無機ハイブリッド樹脂組成物には、紫外線吸収剤(例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系紫外線吸収剤)、酸化防止剤(例えばヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系酸化防止剤)、光安定剤(例えばヒンダードアミン系光安定剤)、ブロッキング防止剤、スリップ剤、レベリング剤などの、この種の組成物中に配合される種々の添加剤を添加することができる。これらの添加剤は、通常、組成物中にそれぞれ0.01〜2重量%配合することができる。
【0056】
さらに、被覆組成物の粘度調整のために、組成物の製造の際に用いた溶剤と同一の溶剤を使用することができる。
加えて、必要に応じ、他の各種重合体、ラジカル重合性モノマー、オリゴマー等を本発明で実現しうるような塗膜の物性を損なわない範囲で添加することができる。
【0057】
本発明の有機無機ハイブリッド樹脂組成物中には、(D)親水性付与剤を添加することができる。このような親水性付与剤としては、例えば、(1)ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等の界面活性剤、(2)セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン誘導体、ポリアクリル酸誘導体等の親水性または吸水性有機高分子、(3)アルミナ、リチウムシリケート等の親水性無機化合物(親水性シリカ微粒子を除く)、(4)ポリヒドロキシシロキサン等の親水性無機高分子等が挙げられる。
【0058】
上記のように、必要に応じて、(D)親水性付与剤を併用することで、塗膜表面の親水性・吸水性・湿分保持性をさらに高め、しかもこの状態で活性エネルギー線で塗膜全体を硬化させることで、このような表面が塗膜の透明性を失うことなく固定化される。従って、高い親水性・吸水性・湿分保持機能の耐久性と、シリカ・有機成分ハイブリッド塗膜由来の非常に高いレベルでの硬度と耐傷つき性を両立することが可能となる。(D)親水性付与剤の使用量が余りに多くなると透明性の悪化、硬度の低下等を起こすので、通常は(A)成分に対して100重量%以下、好ましくは50重量%以下の範囲で使用される。
【0059】
本発明の有機無機ハイブリッド樹脂組成物中には、(E)分散剤又は溶剤を添加することができる。(E)分散剤又は溶剤は、本発明の組成物の加工性等を高める作用がある。(A)、(B)、(C)の各成分を全て溶かしうる溶媒、または均一分散しうる分散媒等が適切である。具体的には、水や、アセトン、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の有機溶媒、またはこれらの混合物等を挙げることができる。
【0060】
本発明の有機無機ハイブリッド樹脂組成物は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、PMMA、またはMMA共重合体(例えばMS樹脂)、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ABS樹脂、PVC樹脂、PP樹脂、PE樹脂等のプラスチック基材、またはガラス基材、セラミックス基材、各種金属類基材に塗布される。基材の形状は特に限定されるものではなく、樹脂製フィルム、樹脂製シート、樹脂製成形品等用途に応じて適宜の形状が選択される。
塗布に際しては、デイップコート、フローコート、スピンコート、スプレーコート、バーコート、グラビアコート、ロールコート、ブレードコート、エアナイフコート等の塗工方法で塗布し、活性エネルギー線を照射することにより硬化させて、プラスチック基材表面に通常、1〜50μm、好ましくは3〜20μmのコート層(硬化皮膜)を形成させる。
【0061】
活性エネルギー線の照射法としては、キセノンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ等の光源から発せられる紫外線、または通常20〜2000kVの粒子加速器から取り出される電子線、α線、β線、γ線等の活性エネルギー線を照射し、硬化させて皮膜(硬化皮膜)を形成させる。
【0062】
このような活性エネルギー線で硬化した皮膜は生産性・物性のバランスに優れている。具体的には、水に対する接触角が20度以下、好ましくは15度以下、より好ましくは10度以下、の接触角を有しており、親水性に優れているうえ、表面の硬度が高く、耐傷つき性等にも優れている。
【0063】
本発明の有機無機ハイブリッド樹脂組成物は、プラスチック、金属、ガラス、セラミックス等に塗布し、硬化した場合にも、その基材との密着性が極めて良好であり、結果として広範な用途に適用可能な種々の防曇性物品を得ることができる。
【0064】
本発明の有機無機ハイブリッド樹脂組成物より形成された親水性の有機無機ハイブリッド被膜は、親水性、防曇性、その耐久性、耐傷つき性、硬度等に優れているため、特に高いレベルの防曇性の要求されるニーズに対応しうる防曇性物品を得ることができる。
いくつかの例を挙げると、浴室・洗面室まわり、台所まわりの曇り止めフィルム、ビルや家の窓に貼る曇り止めフィルム、自転車やバイクのミラーやウィンドウに貼る曇り止めフィルム、道路鏡、眼鏡コーティング、カメラレンズコーティング、ゴーグルやヘルメット(フェイスシールド部)の内側コーティング、農業用ビニールハウスのビニール曇り止め、無滴性付与、冷蔵庫・冷蔵ショーケース、血液保管庫、薬品保管庫、の曇り止めフィルム等を挙げることができる。
特に低温温度表面での防曇性が必要な用途する場合はフィルムまたはシート基材として比較的高い吸水率(23℃/24時間の吸水率が1〜20%程度、好ましくは2.5〜10%程度)のフィルムを用いることが好ましく、具体的にはトリアセチルセルロース(TAC)またはその部分表面ケン化体、二軸延伸のEVOHフィルム、ビニルアルコール単位の量を制御したポリビニルアルコールフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、透明ナイロンフィルム、透明ウレタンフィルム、透明アクリルフィルム等で、吸水率が上記範囲にあるような材料を用いることが好ましい。中でも、光学特性や入手容易さ等を考慮すると、トリアセチルセルロース系フィルムが特に好ましい。
この範囲より吸水率が低いフィルムを用いると、初期に曇りを生じてしまう傾向があり、一方、この範囲より吸水率が高いフィルムを用いると、過剰の水分の影響のため、塗膜の透明性が損なわれる等の問題を生じる。
【0065】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明の具体的態様を更に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお例中の部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を表す。
【0066】
[製造例1]ポリエチレングリコール鎖を有するシランカップリング剤の調製(S1)
平均分子量350の片末端がメトキシ基末端ポリエチレングリコール350gとトリエトキシシリルプロピルイソシアネート(信越化学社製、KBE9007)247gを、メチルエチルケトン597gで希釈し、縮合触媒としてジブチルスズジラウレート0.2gを加え、室温〜80℃で5時間反応し、ポリエチレングリコール鎖を有するシランカップリング剤(S1)を得た(固形分50%)。
【0067】
[製造例2]ポリエチレングリコール鎖を有するシランカップリング剤の調製(S2)
平均分子量400の片末端アクリル酸エステルのポリエチレングリコール(日本油脂社製、ブレンマーAE−400)400gとトリエトキシシリルプロピルイソシアネート(信越化学社製、KBE9007)247gを、メチルエチルケトン650gで希釈し、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.4g、縮合触媒としてジブチルスズジラウレート0.2gを加え、室温〜80℃で5時間反応し、ポリエチレングリコール鎖を有するシランカップリング剤(S2)を得た(固形分50%)。
【0068】
[製造例3]ポリエチレングリコール鎖を有するシリケートの調製(S3)
テトラメトキシシランオリゴマー(三菱化学社製;MKCシリケートMS51)152gと平均分子量350のポリエチレングリコールモノメチルエーテル350gを520gのメチルエチルケトンに溶解し、アルミニウムトリアセチルアセトナート1g、硼酸トリブチル0.3gを加え、メタノールを除去しながら20〜70℃で8時間反応し、ポリエチレングリコール鎖を有するシリケート(S3)を得た(固形分50%)。
【0069】
[製造例4]ポリエチレングリコール鎖を有するシリケートの調製(S4)
テトラメトキシシランオリゴマー(三菱化学社製;MKCシリケートMS51)152gと平均分子量400のポリエチレングリコールモノアクリレート(日本油脂社製、ブレンマーAE−400)400gを570gのメチルエチルケトンに溶解し、アルミニウムトリアセチルアセトナート1g、硼酸トリブチル0.3g、重合禁止剤としてのp−メトキシフェノール0.2gを加え、メタノールを除去しながら20〜70℃で8時間反応し、ポリエチレングリコール鎖を有するシリケート(S4)を得た(固形分50%)。
【0070】
[製造例5]ポリエチレングリコール鎖を有するシリケートの調製(S5)
テトラメトキシシランオリゴマー(三菱化学社製;MKCシリケートMS51)152gと平均分子量1100のポリエチレングリコールモノラウリルエーテル1100gを1300gのメチルエチルケトンに溶解し、アルミニウムトリアセチルアセトナート1g、硼酸トリブチル0.3gを加え、メタノールを除去しながら20〜70℃で8時間反応し、ポリエチレングリコール鎖を有するシリケート(S5)を得た(固形分50%)。
【0071】
[製造例6]シラノール基を高濃度で有するシリケートの調製(S6)
テトラメトキシシランオリゴマー(三菱化学社製;MKCシリケートMS51)152gとトリフルオロエタノール100gを250gのメチルエチルケトンに溶解し、アルミニウムトリアセチルアセトナート1g、硼酸トリブチル0.3gを加え、メタノールを除去しながら20〜70℃で8時間反応し、トリフルオロエトキシ基を有するシリケートを得た。次に、このシリケート溶液に1.5gの水を加え、トリフルオロエタノールを除去しながら20〜70℃で8時間反応し、シラノール基を高濃度で有するシリケート(S6)を得た(固形分50%)。
【0072】
[製造例7]シラノール基を高濃度で有するシリケートの調製(S7)
テトラメトキシシランオリゴマー(三菱化学社製;MKCシリケートMS51)100gを105gのエタノールに溶解し、アルミニウムトリアセチルアセトナート1g、水20gを加え、20〜30℃で4時間反応し、シラノール基を高濃度で有する、シリケートの部分加水分解縮合物(S7)を得た(固形分50%)。
【0073】
[製造例8]親水性基を有する鎖状構造のシリカ微粒子の製造例(A−01)
鎖状コロイダルシリカ(日産化学社製、スノーテックスOUP、固形分15%)100gをプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)で溶媒置換し、水を除いた後、PGMで濃度15%に調整し、100gのPGMを添加した後、シランカップリング剤(S1)10g、アルミニウムトリアセチルアセトナート0.2g、水0.4gを加え、20〜30℃で24時間反応し、親水性基としてメトキシ末端ポリエチレンオキシド基を有する鎖状構造のシリカ微粒子(A−01)を得た(固形分10%)。
【0074】
[製造例9]親水性基を有する鎖状構造のシリカ微粒子の製造例(A−02)
鎖状コロイダルシリカ(日産化学社製、スノーテックスOUP、固形分15%)100gをPGMで溶媒置換し、固形分を15%に調整した後、PGM100g、シランカップリング剤(S2)10g、p−メトキシフェノール0.2g、アルミニウムトリアセチルアセトナート0.2gを加え、水0.4gを加え、20〜30℃で24時間反応し、親水性基としてアクリレート末端ポリエチレンオキシド基を有する鎖状構造のシリカ微粒子(A−02)を得た(固形分10%)。
【0075】
[製造例10]親水性基を有する鎖状構造のシリカ微粒子の製造例(A−03)
鎖状コロイダルシリカ(日産化学社製、スノーテックスOUP、固形分15%)100gをPGMで溶媒置換し、固形分を15%に調整した後、PGM100g、シリケート(S3)10g、アルミニウムトリアセチルアセトナート0.2gを加え、水0.8gを加え、20〜50℃で24時間反応し、親水性基としてメトキシ末端ポリエチレンオキシド基含有シリケート基を有する鎖状構造のシリカ微粒子(A−03)を得た(固形分10%)。
【0076】
[製造例11]親水性基を有する鎖状構造のシリカ微粒子の製造例(A−04)
鎖状コロイダルシリカ(日産化学社製、スノーテックスOUP、固形分15%)100gをPGMで溶媒置換し、固形分を15%に調整した後、PGM100g、シリケート(S4)10g、p−メトキシフェノール0.2g、アルミニウムトリアセチルアセトナート0.2gを加え、20〜70℃で10時間反応し、親水性基としてアクリレート末端ポリエチレンオキシド基含有シリケート基を有する鎖状構造のシリカ微粒子(A−04)を得た(固形分10%)。
【0077】
[製造例12]親水性基を有する鎖状構造のシリカ微粒子の製造例(A−05)
鎖状コロイダルシリカ(日産化学社製、スノーテックスOUP、固形分15%)100gをPGMで溶媒置換し、固形分を15%に調整した後、PGM100g、シリケート(S5)10g、アルミニウムトリアセチルアセトナート0.2gを加え、20〜70℃で10時間反応し、親水性基としてラウリルエーテル末端ポリエチレンオキシド基含有シリケート基を有する鎖状構造のシリカ微粒子(A−05)を得た(固形分10%)。
【0078】
[製造例13]親水性基を有する鎖状構造のシリカ微粒子の製造例(A−06)
鎖状コロイダルシリカ(日産化学社製、スノーテックスOUP、固形分15%)100g、イソプロパノール100g、シリケート(S6)10g、アルミニウムトリアセチルアセトナート0.2gを加え、20〜70℃で10時間反応し、親水性基としてシラノール基を高濃度で有するシリケート基を有する鎖状構造のシリカ微粒子(A−06)を得た(固形分10%)。
【0079】
[製造例14]親水性基を有する鎖状構造のシリカ微粒子の製造例(A−07)
鎖状コロイダルシリカ(日産化学社製、スノーテックスOUP、固形分15%)100g、イソプロパノール100g、シリケート(S7)10g、アルミニウムトリアセチルアセトナート0.2gを加え、20〜70℃で10時間反応し、親水性基としてシラノール基を高濃度で有するシリケート基を有する鎖状構造のシリカ微粒子(A−07)を得た(固形分10%)。
【0080】
[実施例1](A)、(B)、(C)各成分を含む有機無機ハイブリッド樹脂組成物の調製と評価]
(A)成分として(A−01)溶液100g、(B)成分としてペンタエリトリトールトリアクリレートとペンタエリトリトールテトラアクリレートとの混合物(共栄社化学社製、ビスコート#300)10g、(C)成分として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカル社製、イルガキュア184)0.3gを加え、均一になるまで十分攪拌混合し、固形分18%のコート液を得た。配合組成を表1に示した。
【0081】
上記コート液を用いて、以下の方法で塗膜を作成し、評価した。塗膜は透明(ヘイズ値1.4%)な100μm厚の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製:T600E)に、バーコータを用いて、乾燥後の膜厚が約4μmになるように塗布し、80℃で2分間加熱乾燥して形成した。このものを出力密度120W/cmの高圧水銀灯を用い、光源下15cmの位置で300mJ/cm2の紫外線照射を行い、その塗膜について透明性、帯電防止性、耐摩耗性、鉛筆硬度、塗膜密着性、水に対する接触角、および呼気防曇性を評価した。評価結果は表3に示す。
【0082】
[実施例2〜10]
(A)、(B)、(C)各成分を含む有機無機ハイブリッド樹脂組成物の製造例において、 (A)成分のうちPGM以外の溶媒の溶液の場合には、PGMで溶媒置換した後、固形分10%に調整した。その後、(A)、(B)、(C)各成分をそれぞれ表1に示すような組成で配合し、均一になるまで十分に攪拌混合することにより、固形分18%のコート液を得た。このコート液を用いて、以下、実施例1と同様の方法で塗膜を作成し、評価した。
【0083】
なお、表1の実施例8の欄において、NKエステルA600とは、繰り返し単位数が約14であるポリエチレングリコールのジアクリレート(新中村化学社製)を示す。また、表1の実施例10の欄において、ST−OUPとは、鎖状コロイダルシリカ(日産化学社製、スノーテックスOUP)を示す。
【0084】
【表1】
【0085】
[比較例1〜10]
これらは、本発明の範囲外の親水性の有機系樹脂組成物または有機無機ハイブリッド樹脂組成物の製造例である。(A)成分の代わりに本発明の範囲外のコロイダルシリカを用いた場合(比較例1〜5)、コロイダルシリカの代わりに他の親水化剤や防曇性付与剤を用いた場合(比較例6〜8)、及び(A)、(B)両成分の何れかを欠く場合(比較例9〜10)について、それぞれ表2に示すような組成で配合し、均一になるまで十分攪拌混合し、必要に応じPGMで濃度調整することにより、固形分18%のコート液を得た。このコート液を用いて、以下実施例1と同様の方法で塗膜を作成し、評価した。
【0086】
塗膜の評価方法は次の通りである。
(1)透明性(ヘイズおよび光線透過率)
JIS K−7105に準拠した(単位;%)。
(2)帯電防止性
評価サンプルを23℃、相対湿度65%の恒温室に24時間放置した後、TR−8601型(アドバンテスト製)を用い、印加電圧100V、1分値で表面固有抵抗を測定し、評価した(単位;Ω/cm2)。
(3)耐摩耗性
Calibrase社製CS−10Fの摩耗輪を用い、荷重500gで100回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘイズ値とテーバー摩耗試験前のヘイズ値の差△H%で評価した。
(4)鉛筆硬度
太佑機材社製のJIS準拠鉛筆硬度計を用い、JIS K−5400の条件に基づき測定を行い、傷の入らないもっとも硬い鉛筆の番手で表示した。
(5)塗膜密着性
JIS K−5400記載の碁盤目法(1mm間隔で100個の碁盤目を入れ、セロテープ(登録商標)(ニチバン製)を使用)で試験した。ただし、同じ操作を5回繰り返し(セロテープ(登録商標)は常に新しいものを用い、下記の基準に従った。
○ :全く傷やはがれの生じないもの
△ :10%以下の碁盤目に傷やはがれの入るもの
× :10%を超える碁盤目に傷やはがれの入るもの
(6)水に対する接触角
塗膜に0.002mlの純水を滴下し、1分後の接触角を測定した。なお、接触角の測定には、P型接触角測定器(協和科学社製)を用いた(単位;度)。
(7)呼気防曇性
塗膜に15cmの距離から息を1秒吹きかけ、曇りの有無を評価した。
○ :全く曇りがないもの
△ :曇りが0.5秒以内で消えるもの
× :曇りが消えるまでに0.5秒を超えるもの
【0087】
【表2】
【0088】
なお、表2中、記号の意味は次の通りである。
ST−O:球状シリカゾル(水性)、日産化学社製
MEKST:球状シリカゾル(有機溶媒系)、日産化学社製
X−1〜X−3:後述の比較製造例1〜3を参照
X−4:S7(MKCシリケートMS51の加水分解縮合物)
X−5:リチウムシリケート45、日産化学社製
X−6:ポリビニルアルコール(平均重合度1700)、和光純薬社製
【0089】
[比較製造例1]
球状コロイダルシリカ(日産化学社製、スノーテックスO、固形分20%)75gをPGMで溶媒置換し、固形分を15%に調整した後、PGM100g、シランカップリング剤(S1)10g、アルミニウムトリアセチルアセトナート0.2gを加え、20〜30℃で24時間反応し、親水性基としてメトキシ末端ポリエチレンオキシド基含有基を有する球状のシリカ微粒子(X−1)を得た(固形分10%)。
【0090】
[比較製造例2]
球状コロイダルシリカ(日産化学社製、スノーテックスO、固形分20%)75gをPGMで溶媒置換し、固形分を15%に調整した後、PGM100g、シリケート(S3)10g、アルミニウムトリアセチルアセトナート0.2gを加え、20〜30℃で24時間反応し、親水性基としてメトキシ末端ポリエチレンオキシド基含有シリケート基を有する球状のシリカ微粒子(X−2)を得た(固形分10%)。
【0091】
[比較製造例3]
球状コロイダルシリカ(日産化学社製、スノーテックスO、固形分20%)75gをPGMで溶媒置換し、固形分を15%に調整した後、PGM100g、シリケート(S4)10g、アルミニウムトリアセチルアセトナート0.2gを加え、20〜30℃で24時間反応し、親水性基としてアクリレート末端ポリエチレンオキシド基含有シリケート基を有する球状のシリカ微粒子(X−3)を得た(固形分10%)。
【0092】
【表3】
【0093】
[防曇性塗膜の温水防曇性とその耐久性評価]
防曇性塗膜の耐久性試験を以下のような方法で実施した。
ビーカーに上端から1cmの位置まで水を満たして50℃に維持した。処理面を下にして、ビーカーの上にフィルムを置き、その上に厚さ2mmのガラスプレートを置き、フィルムがずれないようにした。この方法により、1分後の曇りの有無、1週間後の曇りの有無、および1週間後の接触角を測定した。曇りの有無の判定については、曇りが生じていないか、一面に濡れており、液滴が2つ以上に分かれていなければ○、わずかに細かい液滴を生じている程度であれば△、明確に細かい液滴を生じているか、あるいはそのために透明感が失われていれば×とした。本発明の範囲内の測定結果、本発明の範囲外の測定結果、および公知技術および市販防曇フィルムの測定結果を表4に示す。
なお、表4中、市販品1として、A社の浴室用防曇フィルム、市販品2として、B社のカーウィンドウ、ミラー用防曇フィルムを使用した。また、*は紫外線で表面活性化硬化直後の値、**は、光に関しては通常環境下(昼間は蛍光灯の光、夜間は消灯)での試験後の値を示す。
【0094】
【表4】
【0095】
[実施例11]
(A)成分として(A−04)50部、(B)成分としてビスコート#300を25部及び多官能アクリレート(新中村化学社製、NK−オリゴ U15HA)25部、(C)成分としてイルガキュア184を3部をそれぞれ均一混合し、固形分18%のコート液を得た。
該コート液をPETフイルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製:T600E)及びトリアセチルセルロースフイルム(富士フイルムビジネスサプライ社製、フジタック標準品、膜厚100μm)に実施例1と同様にして、硬化後の膜厚が3μmになるように塗布、乾燥、硬化して塗膜を形成した。
得られた塗膜について、下記の方法で低温防曇性を評価した。
【0096】
[防曇性塗膜の低温防曇性評価]
ガラス面に部分的に防曇性フィルム(試験用フィルム)を貼り付けた、側面ガラス製の冷蔵庫の内温を5℃に冷却した。この時のガラス外面の温度は10〜13℃であった。その冷蔵庫を23℃、相対湿度60%の環境に所定時間放置した。所定時間経過後、防曇性フィルムを貼り付けた場所において、曇りの状態を目視で経時観察し、下記基準で評価した。結果を表5に示す。なお、フィルム未貼付場所は水滴で全面が覆われ、曇った状態であった。
○: 塗布面に全く曇りなし
△ : 塗布面の50%以内に曇りあり
× : 塗布面の曇り50%を超える
なお、表5中、参考例は防曇剤を塗布しないPETフィルム、又はTACフィルムの評価を示すものである。
【0097】
【表5】
【0098】
塗布基材:PETは先に記載のとおりである。TACは富士フイルムビジネスサプライ製フジタック標準品(膜厚100μm)である。それぞれの23℃、24時間の吸水率はPETが0.3%、TACが3.7%である。
【0099】
上記結果の通り、本発明の組成物から作成した塗膜は、透明性、耐摩耗性、鉛筆硬度、密着性等の基本的物性に優れる上、優れた防曇性(低い接触角、優れた呼気防曇性、優れた耐温水(50℃)防曇性とその耐久性)を示す。
一方、比較例の組成物(本発明の範囲外の組成物)から作成した塗膜は、防曇性に劣るか、あるいは防曇性を有していても他の基本性能に劣り、実用的に望ましいレベルに到達していない。また、市販品1,2はいずれも優れた初期防曇性を示すものの、その耐久性に劣り、かつ、塗膜の強度も低く、実用性能としては本発明の組成物から作成した塗膜に比べて、著しく劣る。
【0100】
【発明の効果】
本発明によれば、親水性かつ高硬度の表面を形成しうる活性エネルギー線硬化性の有機無機ハイブリッド樹脂組成物が提供される。また、上記組成物を基材に塗布し、活性エネルギー線で硬化して得られる塗膜を表面に有する、優れた防曇性を有する防曇性物品も提供される。
Claims (13)
- 少なくとも(A)鎖状構造のシリカ微粒子、(B)(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリルアミド基を有する有機化合物、及び(C)光重合開始剤を含有してなる活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物において、該(A)鎖状構造のシリカ微粒子が、その表面に、アルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン化合物を、該アルコキシシリル基を加水分解して生成させたシラノール基と該(A)鎖状構造のシリカ微粒子表面のヒドロキシル基との縮合反応によって、化学的に結合したものであることを特徴とする活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物。
- 少なくとも(A)鎖状構造のシリカ微粒子、(B)(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリルアミド基を有する有機化合物、及び(C)光重合開始剤を含有してなる活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物において、該(A)鎖状構造のシリカ微粒子が、その表面に、ポリオキシアルキレン基を含有するシリケート化合物を、該シリケート化合物のシラノール基と該(A)鎖状構造のシリカ微粒子表面のヒドロキシル基との縮合反応によって、化学的に結合したものであることを特徴とする活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物。
- 少なくとも(A)鎖状構造のシリカ微粒子、(B)(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリルアミド基を有する有機化合物、及び(C)光重合開始剤を含有してなる活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物において、該(A)鎖状構造のシリカ微粒子が、その表面に、炭素数1〜4のアルキル基を有するシリケートオリゴマーを、加水分解条件下に縮合反応させてシラノール基を化学的に結合したものであることを特徴とする活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物。
- (A)鎖状構造のシリカ微粒子が、部分的に、枝分かれ構造、環状構造、架橋構造、球状構造、棒状構造、扁平構造及び鱗片状構造からなる群から選ばれた少なくとも1種の微細構造を有している請求項1〜3の何れか1項に記載の活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物。
- (B)(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリルアミド基を有する有機化合物が、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリルアミド基を有する有機化合物である請求項1〜4の何れか1項に記載の活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物。
- (B)(メタ)アクリロイル基又は(メタ)アクリルアミド基を有する有機化合物が、ポリアルキレンオキシド基を併せて有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物。
- (A)と(B)との重量比が10/90〜90/10の範囲である請求項1〜6の何れか1項に記載の活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物。
- (A)、(B)及び(C)の各成分に加えて、(E)分散剤または溶媒を含有する請求項1〜7の何れか1項に記載の活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物。
- 請求項1〜8の何れか1項に記載の活性エネルギー線硬化性有機無機ハイブリッド樹脂組成物を、基材の表面に塗布し、活性エネルギー線で硬化させて、硬化皮膜を形成させてなる防曇性物品。
- 硬化皮膜の表面の水に対する静止接触角が20度以下である請求項9に記載の防曇性物品。
- 基材が、金属、ガラス、セラミックス、樹脂、またはこれらの複合物で構成されてなる請求項9に記載の防曇性物品。
- 基材が吸水性のある透明フィルムまたはシートである請求項9に記載の防曇性物品。
- 吸水性のある透明フィルムまたはシートが、その23℃での24時間吸水率が、1〜20%である請求項12に記載の防曇性物品。
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