JP3814194B2 - 複合フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複合フィルム(テープ、シート、フィルム等の形状を含む)に関し、特に、例えば、ウレタン−アクリル複合フィルム及びこのフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
粘着テープの基材として、塩化ビニル系フィルムは応力緩和性および強度等に優れ、加工性が良好であるため、様々な用途に使用されてきた。近年においては、環境保護の観点から、ポリオレフィン系フィルムが代替品として使用されているが、応力緩和性に関しては塩化ビニル系フィルムに及ばない。
塩化ビニル系フィルムに匹敵する応力緩和性を有する非塩化ビニル系フィルムとして、(メタ)アクリル系ポリマーからなる粘着フィルム基材が特開2000−290622号公報に開示されている。一方、ポリウレタンは、ポリオールやイソシアネートの種類などにより物性を大きく変化させることができるので、工業的に広く利用されている。このため、アクリル系ポリマーとポリウレタンの両ポリマーの特徴を生かした材料の開発が行われ、ウレタンアクリレート系オリゴマーと反応性希釈モノマーとを放射線硬化させて得られる粘着テープ用基材が、例えば特開平9−253964号公報に開示されている。
しかし、一般に用いられるUVランプ(高圧水銀ランプ)は高照度であり、得られた基材の強度は高くなるが、伸びや応力緩和性が低下し、曲面などへの追従性や加工性が低下したり、UVランプの高照度により生じる熱によって、フィルムの平面性を損なうという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明は、十分な破断伸度と100%モジュラスを持ち、応力緩和性の良好な基材及び該基材の製造方法と、該基材を用いた粘着テープとを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
発明の複合フィルムの製造方法は、ラジカル重合性モノマー中で、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンポリマーを形成し、該ウレタンポリマーと該ラジカル重合性モノマーとを含む混合物を、剥離ライナー上に塗布し、低圧水銀ランプにより紫外線照射して硬化させることを特徴とする。
ここで、ラジカル重合性モノマーにポリオールを添加し、次いで、ポリイソシアネートを反応させて粘度調整を行うことができる。
また、前記ラジカル重合性モノマーはアクリル系モノマーであることができる。
【0005】
本発明によれば、紫外線照射によりフィルムを形成することができるので、工程が簡易である。また、溶剤等を必要とせず、環境保護の観点からも優れている。また、乳化剤を使用することもないので、耐水性に優れている。さらにまた、本発明によれば、ポリオール、ポリイソシアネート、ラジカル重合性モノマーの種類や混合量を選択することにより、任意の物性値の複合フィルムが得られる。したがって、家庭用、医療用、農業用、工業用等の各種用途に適応しうるフィルム(テープ、シート、フィルム等の形状を含む)を提供することができる。
本発明の複合フィルムは、曲面追従性が良好であるので、例えば粘着シートとして使用した場合には、被着体が屈曲運動をしたとしても、剥がれ等を生じることがない。また、加工性が良好であるので、プレス加工等の二次加工を容易に行うことができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の複合フィルムは、ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとを主成分とする混合物に低圧水銀ランプによる紫外線を照射して得られる複合フィルムである。本発明の複合フィルムは、100%modが5N/mm2以上であることが好ましく、10N/mm2以上であることがさらに好ましい。また、応力緩和時間は好ましくは200秒以下、さらに好ましくは100秒以下であり、破断伸度は150%以上、さらに好ましくは200%以上である。
ここで、100%modとは、フィルムを100%伸張するのに必要な応力をいう。100%modが5N/mm2より小さいと、タックが生じたり、腰がなく柔らかくて扱い難いフィルムとなる。
また、応力緩和時間とは、100%伸張状態を維持するときに、応力が最初の値(100%伸張時の応力)の1/e(e=2.7183)に減少するのに要する時間である。応力緩和時間が短いほど応力緩和性が良い。
破断伸度とは、フィルムを破壊するのに必要な伸び率をいう。
【0007】
ウレタンポリマーは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られる。ポリオールの水酸基とポリイソシアネートとの反応には、触媒を用いても良い。例えば、ジブチルすずジラウレート、オクトエ酸すず、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン等の、ウレタン反応において一般的に使用される触媒を用いることができる。
【0008】
ポリオールとしては、1分子中に2個またはそれ以上の水酸基を有するものが望ましい。低分子のポリオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの2価のアルコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価または4価のアルコールなどが挙げられる。
また、高分子のポリオールとしてはポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、カーボネートポリオール、カプロラクトンポリオールなどがある。これらの中では、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、カーボネートポリオールが好ましい。ポリエ−テルポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては上記の2価のアルコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの2塩基酸との重縮合物が挙げられる。その他、ポリカプロラクトンなどのラクトン系開環重合体ポリオールポリカーボネートジオールなどがある。アクリルポリオールとしてはヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有するモノマーの共重合体の他、水酸基含有物とアクリル系モノマーとの共重合体などが挙げられる。エポキシポリオールとしてはアミン変性エポキシ樹脂などがある。
これらのポリオール類は単独あるいは併用して使用することができる。強度を必要とする場合には、トリオールによる架橋構造を導入したり、低分子量ジオールによるウレタンハードセグメント量を増加させると効果的である。伸びを重視する場合には、分子量の大きなジオールを単独で使用することが好ましい。また、ポリエーテルポリオールは、一般的に、安価で耐水性が良好であり、ポリエステルポリオールは、強度が高い。本発明においては、用途や目的に応じて、ウレタン反応性、アクリルとの相溶性などの観点から、ポリオールの種類、分子量や使用量を適宜選択することができる。
【0009】
ポリイソシアネートとしては芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート、これらのジイソシアネートの二量体、三量体などが挙げられる。芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、これらの二量体、三量体や、ポリフェニルメタンポリイソシアネートが用いられる。三量体としては、イソシアヌレート型、ビューレット型、アロファネート型等が挙げられ、適宜、使用することができる。
これらのポリイソシアネート類は単独あるいは併用で使用することができる。ウレタン反応性、アクリルとの相溶性などの観点から、ポリイソシアネートの種類、組合せ等を適宜選択すればよい。ポリオールとの速やかな反応、および水との反応の抑制の観点からは、芳香族ジイソシアネートを使用することが好ましい。また、耐候性の観点からは、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートを使用することが好ましい。
【0010】
本発明において、ウレタンポリマーを形成するためのポリオール成分とポリイソシアネート成分の使用量は特に限定されるものではないが、例えば、ポリオール成分の使用量は、ポリイソシアネート成分に対し、NCO/OH(当量比)が0.8〜3.0であることが好ましく、1.0〜3.0であることがさらに好ましい。NCO/OHが0.8未満では、ウレタンポリマーの分子鎖長を充分に延ばすことができず、ウレタンの凝集性が低下しやすい。3.0より大きいと、フィルムの柔軟性が低下しやすい。
【0011】
ラジカル重合性モノマーとしては、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有するものが使用される。反応性の点からは、アクリル系モノマーが好ましい。
本発明に好ましく用いられるアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等を主体とし、アクリル系モノマー全体のガラス転移温度(Tg)が263K以上となるものが好ましい。これらに混合されるアクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられる。これらエステルと共に、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸のモノ又はジエステル、スチレン及びその誘導体、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピリメタクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、イミドアクリレート、N−ビニルピロリドン、オリゴエステルアクリレート、ε−カプロラクトンアクリレート等の単量体を用いても良い。
本発明においては、必要に応じて、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多官能モノマーを架橋剤として用いてもよい。これらのモノマーも、本発明に係るラジカル重合性モノマーに含まれる。
【0012】
これらのラジカル重合性モノマーは、ウレタンとの相溶性、放射線硬化時の重合性や、得られる高分子量体の特性を考慮して、種類、組合せ、使用量等が適宜決定される。
アクリル系モノマーは、ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーを主成分とする混合物中、5〜90%の範囲内で用いられることが好ましい。5%より少ないと得られる複合フィルムの引張弾性率や応力に問題が生じることがあり、90%より多いと伸び特性に問題が生じる場合がある。
【0013】
本発明の複合フィルムは、ラジカル重合性モノマー中でポリオールとイソシアネートの反応を行い、ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとの混合物を剥離処理した基材(剥離ライナー)上に塗布し、紫外線や電子線等の放射線を照射することにより、放射線硬化して得られる。
この際、酸素による重合阻害を避けるために、剥離ライナー上に塗布したウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとの混合物の上に、剥離処理したシートをのせて、酸素を遮断してもよいし、不活性ガスを充填した容器内に剥離ライナーを入れて、酸素濃度を下げてもよい。
【0014】
例えば、本発明の複合フィルムは、以下のようにして得られる。
(a)ポリオールとポリイソシアネートを反応させ、これをアクリルモノマーに溶解させて粘度調整を行い、例えば剥離ライナー上にこれを塗工する。次に、低圧水銀ランプを用いて硬化することにより複合フィルムが得られる。
または、(b)ポリオールをアクリルモノマーに溶解させた後、ポリイソシアネートを反応させて粘度調整を行い、例えば剥離ライナー上にこれを塗工する。次に、低圧水銀ランプを用いて硬化することにより複合フィルムが得られる。この際、アクリル系モノマーはウレタン合成中に一括で加えてもよいし、ウレタン合成中に適宜の量を数回に分けて添加してもよい。
(a)の方法では、ポリオールとジイソシアネートの反応によって生成したポリウレタンの分子量が高くなり過ぎるとアクリル系モノマーに溶解させることが出来なくなる。したがって、生成されるポリウレタンの分子量には上限が設定されることになる。一方、(b)の方法では、(a)の方法のような問題は発生せず、ポリウレタンの分子量を大きく変化できるため、最終的に得られ複合フィルムの設計が容易となる。
【0015】
本発明において用いられる低圧水銀ランプとしては、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト、殺菌ランプ等が挙げられる。低圧水銀ランプは、波長300〜400nmにおける最大照度が0.1〜20mW/cm2であることが望ましい。最大照度が0.1mW/cm2未満では、モノマーの重合が効率よく進行しないことがあり、20mW/cm2より大きいと、得られたフィルム等に十分な伸びや応力緩和が得られない場合がある。 紫外線の照射量は、要求されるフィルムの特性に応じて、任意に設定することができる。一般的には、100〜5,000mJ/cm2、好ましくは1,000〜4,000mJ/cm2、更に好ましくは2,000〜3,000mJ/cm2である。紫外線の照射量が100mJ/cm2より少ないと、十分な重合率が得られないことがあり、5,000mJ/cm2より多いと、劣化の原因となることがある。
【0016】
ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとを主成分とする混合物には、光重合開始剤が含まれる。光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル、アニソールメチルエーテル等の置換ベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1オン等の置換アセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等の置換アルファーケトール、2−ナフタレンスルフォニルクロライド等の芳香族スルフェニルクロライド、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどの光活性オキシムが好ましく用いられる。
【0017】
本発明の複合フィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、目的や用途に応じて、適宜設定することができるが、一般的には、5〜500μm、好ましくは10〜200μm程度である。
【0018】
本発明の複合フィルムは、そのままでも使用することができるが、片面または両面に粘着剤層を形成して粘着シートとすることもできる。粘着剤組成としては特に限定されず、アクリル系、ゴム系等、一般的なものを使用することができる。粘着剤層の形成方法も特に限定されるものではなく、複合フィルムに、溶剤系、エマルジョン系の粘着剤を直接塗布し、乾燥する方法、これらの粘着剤を剥離紙に塗布して、予め粘着剤層を形成しておき、この粘着剤層を複合フィルムに貼り合わせる方法等を適用することができる。放射線硬化型粘着剤を複合フィルムに塗布し、粘着剤層と、フィルムの両方に放射線を照射することにより、複合フィルムと粘着剤層を同時に硬化させて、形成する方法も適用することができる。なお、この場合には、粘着剤層と複合フィルム層は、多層構成となるように塗布することもできる。
【0019】
【実施例】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部は重量部を意味する。
(実施例1)
冷却管、温度計、攪拌装置を備えた反応容器に、ラジカル重合性モノマーとしてイミドアクリレート87.5部、アクリル酸112.5部、光重合開始剤として、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.15部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量650、三菱化学(株)製)73.4部と、ウレタン反応触媒として、ジブチルすずジラウレート0.5部とを投入し、攪拌しながら、キシリレンジイソシアネート26.6部を滴下し、65℃で2時間反応させて、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物を得た。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物を、剥離処理したポリエステルフィルム(38μm厚)上に、硬化後の厚みが70μmになるように塗布した。これに、低圧水銀ランプを用いて紫外線を照射(照度6.4mW/cm2、光量2290mJ/cm2)して硬化させることにより、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製した。
【0020】
(実施例2)
冷却管、温度計、攪拌装置を備えた反応容器に、ラジカル重合性モノマーとしてジメチルアミドアクリレート112.5部、アクリル酸38部、光重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.15部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量650、三菱化学(株)製)73.4部と、ウレタン反応触媒として、ジブチルすずジラウレート0.05部とを投入し、攪拌しながら、キシリレンジイソシアネート26.6部を滴下し、65℃で2時間反応させて、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物を得た。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物を、剥離処理したポリエステルフィルム(38μm厚)上に、硬化後の厚みが70μmになるように塗布した。これに、低圧水銀ランプを用いて紫外線を照射(照度6.4mW/cm2、光量2290mJ/cm2)して硬化させることにより、ウレタン−アクリル複合フィルムを作製した。
【0021】
(比較例1)
実施例1において、紫外線の照射条件を高圧放電ランプを用いて照射(照度76mW/cm2、光量2700mJ/cm2)し、硬化させた以外は実施例1と同様にしてウレタン−アクリル複合フィルムを作製した。
【0022】
(比較例2)
実施例2において、紫外線の照射条件を高圧放電ランプを用いて照射(照度76mW/cm2、光量2700mJ/cm2)し、硬化させた以外は実施例2と同様にしてウレタン−アクリル複合フィルムを作製した。
【0023】
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られたフィルムについて、下記に示すようにして評価試験を行った。その結果を表1に示す。
(評価試験)
▲1▼ 100%mod、破断伸度
20mm幅に切断したフィルムを、引張試験機として「オートグラフAGS−50D型」(島津製作所製)を用い、試験サンプルを、チャック間10mm、300mm/分の引張り速度で引張試験を行い、応力−歪み曲線を求めた。フィルムの100%伸張時における単位面積当りの応力を100%modとし、破断時の歪み量を破断伸度として得た。
▲2▼ 応力緩和時間
上記と同様のサンプルを、同じ装置を用いて、チャック間10mm、300mm/分の引張り速度で引っ張り、100%伸張時点で、引張試験機を止め、その後の応力の変化を読み、100%伸張時点の応力に対して1/e(e=2.7183)の応力に減少するまでに要する時間を応力緩和時間とした。
【0024】
【表1】
Figure 0003814194
【0025】
表1から明らかなように、本発明の実施例1、2のウレタン−アクリル複合フィルムは、低圧水銀ランプを用いて照射を行い硬化を行ったので、熱による重合停止反応が起こりにくく、高分子量となり、応力緩和時間及び破断伸度に優れ、かつ、100%modにも優れたフィルムが得られる。一方、高圧水銀ランプを用いて照射を行い硬化した比較例1,2の複合フィルムは、応力緩和時間が300秒以上であり、破断伸度が150%以下である。
すなわち、低圧水銀ランプを用いて照射し、硬化した場合には、他のUVランプを用いて照射し、硬化した場合に比べて、応力緩和時間が短く、かつ破断伸度にも優れており、平面性が高いフィルムが得られる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、十分な破断伸度と100%モジュラスを持ち、応力緩和性の良好な基材および基材の製造方法と、基材を用いた粘着テープを提供することができる。

Claims (3)

  1. ラジカル重合性モノマー中で、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンポリマーを形成し、該ウレタンポリマーと該ラジカル重合性モノマーとを含む混合物を、剥離ライナー上に塗布し、低圧水銀ランプにより紫外線照射して硬化させることを特徴とする複合フィルムの製造方法。
  2. ラジカル重合性モノマーにポリオールを添加し、次いで、ポリイソシアネートを反応させて粘度調整を行うことを特徴とする請求項記載の複合フィルムの製造方法。
  3. 前記ラジカル重合性モノマーがアクリル系モノマーであることを特徴とする請求項2又は3記載の複合フィルムの製造方法。
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