JP5302616B2 - 保護用粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は保護用粘着シートに関し、特に、塗膜等を保護するために使用される保護用粘着シートに関する。
自動車等が走行する際に、粉塵、小石等が車輪等により跳ね上げられてボディー塗装面に衝突することがあり、特に、道路状態の悪い路面では、この衝突が頻繁に起こりやすい。また、寒冷地で除雪等のために岩塩、砂、砂利等が散布された路面等を走行する場合には、岩塩、砂等の衝突により塗装面が傷みやすく、塗装面の損傷部分から錆が発生するという問題がある。自動車業界においては、自動車ボディーの塗装面の損傷防止のために無色透明な粘着テープ(チッピングテープ)が貼り付けられることがあり、この透明粘着テープの基材としてポリウレタン基材が使用されている(例えば、特開昭59−41376号公報、特開2005−272558号公報参照)。
ところが、ポリウレタンは光反応により、共役構造を示す着色物質や窒素含有の着色物質が生成することが知られている。したがって、ポリウレタンを含有するフィルムは、初期は無色透明であるが、フィルムを屋外に放置すると、紫外線に晒されて黄変し、また、光沢感が消失して美観が低下することがある。
特開昭59−41376号公報 特開2005−272558号公報
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明は、強度や耐チッピング性に優れており、しかも、屋外で長期間使用されても黄変したりせず、光沢感を維持することができるという、耐候性を備えた保護用粘着シートを提供することを目的とする。
本発明の保護用粘着シートは、基材と該基材の片面に粘着剤層とを有する保護用粘着テープにおいて、該基材が、アクリル系ポリマーとウレタンポリマーとを含む混合物から成る複合フィルムであり、前記アクリル系ポリマーが、アクリル酸系モノマー、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が273K以上である単官能アクリル系モノマー、および、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が273K未満である単官能アクリル系モノマーを含むアクリル成分を用いて成り、前記アクリル酸系モノマーの含有量が前記アクリル成分中、1重量%以上、30重量%以下であり、前記ウレタンポリマーがジオールとジイソシアネートとを用いて成り、前記ウレタンポリマーが、NCO/OH(当量比)=1.1〜2.0であり、かつ、前記複合フィルムがN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)可溶分を有することを特徴とする。
ここで、前記複合フィルムは、ゲル分率が50%以上、99.5%以下であることが好ましい。
本発明において、前記複合フィルムは、溶媒として前記アクリル成分を使用し、該溶媒中で、前記ジオールと前記ジイソシアネートを熱重合してウレタンポリマーを形成し、光重合開始剤を添加してシート化した後、紫外線照射して得られることができる。
また、本発明において前記複合フィルムは、吸水率が4%以下であることが好ましい。
本発明において、前記粘着剤層は、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸イソノニルからなる群から選ばれる少なくとも1種類と、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類とを主成分として含む接着剤から成ることが好ましい。
本発明において、前記基材は、前記複合フィルムの一方の面上にフッ素含有ポリマー層を有しており、該フッ素含有ポリマー層が、前記粘着剤層を設けた面とは反対側の面上に配置されていることができる。
本発明においては、前記保護用粘着シートが、自動車および航空機からなる群から選ばれる少なくとも1つの外装塗膜面に貼着して使用されることが好ましい。
本発明によれば、高強度および耐候性を備えている保護用粘着シートを提供することができ、例えば、屋外で長期間使用されても黄変したりせず、光沢感を維持することができる保護用粘着シートを提供することができる。
発明を実施するための形態
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の保護用粘着シートは、基材および粘着剤層を有し、この基材は複合フィルムを有する。すなわち、基材は、複合フィルムのみで構成されていても良いし、複合フィルムの他に他の層を有していても良い。
本発明に係る複合フィルムは、アクリル系ポリマーとウレタンポリマーとを含む混合物から成る。
このアクリル系ポリマーは、アクリル酸系モノマー、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が273K以上である単官能アクリル系モノマー、および、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が273K未満である単官能アクリル系モノマーを含むアクリル成分を用いて成る。
本発明においてアクリル酸系モノマーとしては、例えば、アクリル酸が好ましいが、メタクリル酸、または、アクリル酸とメタクリル酸との混合物であっても良い。本発明においては、酸性基を有するモノマーを混合してもよい。混合可能な酸性基を有するモノマーとしては、例えば、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有単量体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−ヒドロキシプロピルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有単量体等が挙げられる。
本発明において、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃以上の単官能アクリル系モノマー、または、ホモポリマーのガラス転移温度が0℃未満の単官能アクリル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのTgが0℃以上の単官能アクリル系モノマーおよびTgが0℃未満の単官能アクリル系モノマーは、それぞれ1種類以上が用いられる。
本発明においては、Tgが0℃以上の単官能アクリル系モノマーとして、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を使用することが好ましく、Tgが0℃未満の単官能アクリル系モノマーとして、n−ブチルアクリレート、プロピルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を使用することが好ましい。
上記アクリル酸系モノマーの含有量は、アクリル成分中、1重量%以上、30重量%以下であり、5重量%以上、20重量%以下であることが好ましい。アクリル酸系モノマーの含有量が1重量%未満では、反応に長時間を要し、フィルム化することが非常に困難であり、また、フィルムの強度が十分でない。アクリル酸系モノマーの含有量が30重量%を超えると、フィルムの吸水率が大きくなり、耐水性が低下する。本発明においてアクリル酸系モノマーはウレタン成分、アクリル成分との相溶性に大きく影響するものであり、極めて重要な機能を有する必須構成要素である。
なお、本発明において「フィルム」という場合には、シートを含み、「シート」という場合には、フィルムを含む概念とする。
本発明において、(メタ)アクリレートや(メタ)アクリル酸のように、「(メタ)アクリル」と表示した場合には、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。また、本発明において同様の表現が使用される場合には、特にことわりがない限り、上記と同様の意味を有するものとする。更にまた、単に「アクリル」と表示した場合でも、特にことわりがなく、一般常識上問題がなければ、メタクリルも含む意味に解するものとする。
ホモポリマーのTgが0℃以上の単官能アクリル系モノマーの含有量は、アクリル成分中、20重量%以上、99重量%以下であることが好ましく、30重量%以上、98重量%以下であることが更に好ましい。この単官能アクリル系モノマーの含有量が20重量%未満では、フィルムの強度が十分でないという問題が生じることがあり、99重量%を超えると、フィルムの剛性が上がりすぎて脆くなる場合がある。
ホモポリマーのTgが0℃未満の単官能アクリル系モノマーの含有量は、アクリル成分中、5重量%以上、50重量%以下であることが好ましく、10重量%以上、45重量%以下であることが更に好ましい。この単官能アクリル系モノマーの含有量が5重量%以上、50重量%以下であれば、十分な耐チッピング性が得られる。
上記Tgが0℃以上の単官能アクリル系モノマーおよびTgが0℃未満の単官能アクリル系モノマーは、それぞれ、ウレタンとの相溶性、放射線等の光硬化時の重合性や、得られる高分子量体の特性等を考慮して、種類、組合せ、使用量等が適宜決定される。
本発明においては、上記ホモポリマーのTgが0℃以上の単官能アクリル系モノマーおよび上記ホモポリマーのTgが0℃未満の単官能アクリル系モノマーとともに、下記のモノマーを共重合することができる。このようなモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有モノマー、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、N−ビニル−3,5−モルホリンジオン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−アクリロイルピロリジン、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素モノマー、あるいは、酢酸ビニル、スチレン等が挙げられる。
なお、これらのモノマーの種類や使用量は、複合フィルムの特性等を考慮して適宜決定される。
また、特性を損なわない範囲内で他の多官能モノマーを添加することもできる。多官能モノマーとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリプロピレンジオールジアクリレート、テトラエチレンジオールジアクリレート、ネオペンチルジオールジアクリレート、ネオペンチルジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等を挙げることができる。これらの中では、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能モノマーを、Tgが0℃以上の単官能アクリル系モノマーおよびTgが0℃未満の単官能アクリル系モノマーの合計量が100重量部に対して、1重量部以上、20重量部以下添加することができる。多官能モノマーの含有量が1重量部以上であれば、複合フィルムの強度は十分であり、20重量部以下であれば、弾性率が高くなりすぎることがなく、被着体表面の凹凸に追従することができる。
ウレタンポリマーは、ジオールとジイソシアネートとを反応させて得られる。
本発明に用いられるジオールとしては、例えば、エチレンジオール、1,4−ブチレンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレンジオール、ポリ(オキシプロピレン)ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)ジオール、脂肪族系のポリエステルポリオール(脂肪族ジオールと脂肪族二塩基酸の縮合物;例えば、脂肪族ジオールとしては、エチレンジオール、1,4−ブチレンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレンジオール、また、脂肪族二塩基酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸)、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール(脂肪族ジオールとエチレンカーボネートの付加物、脂肪族ジオールとジメチルカーボネートの縮合物、脂肪族ジオールとジエチルカーボネートの縮合物;例えば、脂肪族ジオールとしては、エチレンジオール、1,4−ブチレンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレンジオール)等が挙げられる。これらのジオールは、単独で、あるいは、2種類以上を併用することができる。これらの中では、例えば、ポリ(オキシテトラメチレン)ジオール(以下「PTMG」と略称表記することもある)等が好ましく使用される。なお、用途や目的に応じて、また、イソシアネートとの反応性、アクリルとの相溶性等の観点から、ジオールの種類や量を自由に選択することができる。
本発明において、ウレタンポリマーは架橋構造を含まない。ウレタンポリマーの形成に使用されるジオールは、線状(リニア)のジオールであることが好ましい。但し、ウレタンポリマーに架橋構造を形成させないという条件を満たす限りにおいて、ジオールは側鎖状のジオールまたは分岐構造を含むジオールであっても良い。
本発明に用いられるジイソシアネートとしては、例えば、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。これらのジイソシアネートを単独で、あるいは2種類以上を用いることができる。ベンゼン環を含む芳香族系のジイソシアネートを使用すると、光反応によって共役構造を有する着色物質が生成しやすいため好ましくない。本発明においては、ベンゼン環を含まない、難黄変型、無黄変型の脂肪族、脂環族系のジイソシアネートが好適に使用される。本発明においては、水添キシリレンジイソシアネートを用いることが好ましい。
また、単官能アクリル系モノマーへの溶解性、水酸基との反応性等の観点から、ジイソシアネートの種類、組合せ等を適宜選択することができる。
本発明において、ウレタンポリマーを形成するためのジオール成分とジイソシアネート成分の使用量は、NCO/OH(当量比)が1.1以上、2.0以下であることが好ましく、1.12以上、1.60以下であることがさらに好ましく、1.15以上、1.35以下であることが特に好ましい。NCO/OH(当量比)が1.1未満では、ウレタンポリマーの分子量が大きくなりすぎて、複合フィルム前駆体(シロップ溶液)の粘度が大きくなり、後続のシート化工程で作業が困難になることがあり、また、得られる基材の強度が低下し易い。また、NCO/OH(当量比)が2.0以下であれば、得られる基材の伸び及び柔軟性を十分に確保することができる。
ジオールの水酸基とイソシアネートとの反応には、一般的には触媒が用いられるが、本発明によれば、ジブチルチンジラウレート、オクトエ酸錫のような環境負荷が生じる触媒を用いなくても反応を促進させることができる。
本発明における基材を構成する複合フィルムは、まず、アクリル酸系モノマー、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上の単官能アクリル系モノマーおよびホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃未満の単官能アクリル系モノマーを用い、ジオールとジイソシアネートとを反応させ、熱重合によりウレタンポリマーを形成してウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合液(シロップ)を作製する。その後、光重合開始剤、紫外線吸収剤および光安定剤を添加し、紫外線等を照射して複合フィルムを作製する。
上記ジオールとジイソシアネートとの反応においては、反応温度および反応時間等は適宜設定することができるが、例えば、内浴温度は、20℃以上、90℃以下であることが好ましく、更に好ましくは40℃以上、80℃以下であり、特に好ましくは50℃以上、75℃以下である。また、反応時間は、1時間以上、48時間以下であることが好ましく、更に好ましくは3時間以上、24時間以下であり、特に好ましくは5時間以上、15時間以下である。
ここで使用される光重合開始剤としては、各種の光重合開始剤を使用することができるが、例えば、ケタール系光重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤、α−アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、ベゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤等を用いることができる。
ケタール系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「イルガキュア651」等)等が挙げられる。
α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「イルガキュア184」等)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「ダロキュア1173」等)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「イルガキュア2959」等)等が挙げられる。
α−アミノケトン系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商業的に入手可能なものとしては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「イルガキュア907」等)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商業的に入手可能なものとしては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「イルガキュア369」等)等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(商業的に入手可能なものとしては、BASF社製の「ルシリンTPO」等)等が挙げられる。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノン等が挙げられる。
芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられ、光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等が挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン等が挙げられ、ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が挙げられる。
本発明に用いられる紫外線吸収剤(UVA)としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(商業的に入手可能なものとしては、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN PS」等)、ベンゼンプロパン酸と3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ(C〜Cの側鎖および直鎖アルキル)とのエステル化合物(商業的に入手可能なものとしては、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 384−2」等)、オクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートとの混合物(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 109」等)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 900」等)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 928」等)、メチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 1130」等)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN P」等)、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 326」等)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 328」等)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 329」等)、2−2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 360」等)、メチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300との反応生成物(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 213」等)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 571」等)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(商業的に入手可能なものとして、住友化学社製の「Sumisorb 250」等)、2,2’−メチレンビス[6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール](商業的に入手可能なものとして、ADEKA製の「ADKSTAB LA31」等)、ヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系お呼びベンゾトリアゾール(BTZ)系紫外線吸収剤(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 5236」等)、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 234等が挙げられる。
また、商業入手可能なヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルと[(C10〜C16、主としてC12〜C13のアルキルオキシ)メチル]オキシランとの反応生成物(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 400」等)、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルとの反応性生物(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 405」等)、2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 460」等)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 1577」等)、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(商業的に入手可能なものとして、チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 479」等)等が挙げられる。
商業的に入手可能なベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、例えば、チバ・ジャパン社製の「CHIMASSORB 81」等が挙げられる。また、ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジ−tert―ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートとしてチバ・ジャパン社製の「TINIVIN 120」等が挙げられる。
本発明においては、上記紫外線吸収剤を単独で、あるいは、2種類以上を併用して用いることができる。
本発明に用いられる光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)であることが好ましい。
商業的に入手可能なヒンダードアミン光安定剤としては、例えば、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物である光安定剤として、「TINUVIN 622」(チバ・ジャパン社製)、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物とN,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンとの1対1の反応生成物である光安定剤として「TINUVIN 119」(チバ・ジャパン社製)、ジブチルアミン・1,3−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物である光安定剤として「TINUVIN 2020」(チバ・ジャパン社製)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]ヘキサメチレン{(2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ})である光安定剤として、「TINUVIN 944」(チバ・ジャパン社製)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートとの混合物である光安定剤として「TINUVIN 765」(チバ・ジャパン社製)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートである光安定剤として「TINUVIN 770」(チバ・ジャパン社製)、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル(1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシド)とオクタンとの反応生成物である光安定剤として「TINUVIN 123」(チバ・ジャパン社製)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートである光安定剤として「TINUVIN 144」(チバ・ジャパン社製)、シクロヘキサンと過酸化N−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの反応生成物と2−アミノエタノールとの反応生成物である光安定剤として「TINUVIN 152」(チバ・ジャパン社製)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートとの混合物である光安定剤として「TINUVIN 292」(チバ・ジャパン社製)、「TINUVIN 5100」(チバ・ジャパン社製)、高分子量タイプのヒンダードアミン系光安定剤として、「CHIMASSORB 119FL」(チバ・ジャパン社製)、「CHIMASSORB 2020FDL」(チバ・ジャパン社製)、「CHIMASSORB 944FDL」(チバ・ジャパン社製)、「TINUVIN 622LD」(チバ・ジャパン社製)、ブレンドタイプのヒンダードアミン系光安定剤として、「TINUVIN 111FDL」(チバ・ジャパン社製)、「TINUVIN 783FDL」(チバ・ジャパン社製)、「TINUVIN 791FB」(チバ・ジャパン社製)、紫外線吸収剤と光安定剤とのブレンドタイプとして、「TINUVIN 5050」(チバ・ジャパン社製)、「TINUVIN 5060」(チバ・ジャパン社製)、「TINUVIN 5151」(チバ・ジャパン社製)等が挙げられる。
本発明においては、上記ヒンダードアミン光安定剤を単独で、あるいは、2種類以上を併用することができる。
複合フィルムには、必要に応じて、通常使用される添加剤、例えば老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤、難燃剤、帯電防止剤などを本発明の効果を阻害しない範囲内で添加することができる。これらの添加剤は、その種類に応じて通常の量で用いられる。これらの添加剤は、ジイソシアネートとジオールとの重合反応前に、あらかじめ加えておいてもよいし、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーとをそれぞれ重合させる前に添加してもよい。
本発明においては、塗工の粘度調整のため少量の溶剤を加えてもよい。溶剤としては、通常使用される溶剤の中から適宜選択することができるが、例えば、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
本発明において複合フィルムは、例えば、アクリル系モノマーを希釈剤として、このアクリル系モノマー中でジオールとジイソシアネートとの反応を行ってウレタンポリマーを形成し、アクリル系モノマーとウレタンポリマーとを主成分として含む混合物を支持体(必要に応じて剥離処理されている)等の上に塗布し、光重合開始剤の種類等に応じて、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線や紫外線等の放射線、可視光等を照射して硬化させ、その後、支持体等を剥離除去することにより、複合フィルムを形成することができる。あるいは、支持体等を剥離除去せずに、支持体等の上に複合フィルムが積層された形態で得ることもできる。
具体的には、ジオールをアクリル系モノマーに溶解させた後、ジイソシアネート等を添加してジオールと反応させて粘度調整を行い、これを支持体等に、あるいは、必要に応じて支持体等の剥離処理面に塗工した後、低圧水銀ランプ等を用いて硬化させることにより、複合フィルムを得ることができる。この方法では、アクリル系モノマーをウレタン合成中に一度に添加してもよいし、何回かに分割して添加してもよい。また、ジイソシアネートをアクリル系モノマーに溶解させた後、ジオールを反応させてもよい。この方法によれば、分子量が限定されるということはなく、高分子量のポリウレタンを生成することもできるので、最終的に得られるウレタンの分子量を任意の大きさに設計することができる。
この際、酸素による重合阻害を避けるために、基板シート等の上に塗布した混合物の上に、剥離処理したシート(セパレータ等)をのせて酸素を遮断してもよいし、不活性ガスを充填した容器内に基材を入れて、酸素濃度を下げてもよい。
本発明において、放射線等の種類や照射に使用されるランプの種類等は適宜選択することができ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト、殺菌ランプ等の低圧ランプや、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等の高圧ランプ等を用いることができる。
紫外線などの照射量は、要求されるフィルムの特性に応じて、任意に設定することができる。一般的には、紫外線の照射量は、100〜5,000mJ/cm、好ましくは1,000〜4,000mJ/cm、更に好ましくは2,000〜3,000mJ/cmである。紫外線の照射量が100mJ/cmより少ないと、十分な重合率が得られないことがあり、5,000mJ/cmより多いと、劣化の原因となることがある。
また、紫外線等を照射する際の温度については特に限定があるわけではなく任意に設定することができるが、温度が高すぎると重合熱による停止反応が起こり易くなり、特性低下の原因となりやすいので、通常は70℃以下であり、好ましくは50℃以下であり、更に好ましくは30℃以下である。
本発明に係る複合フィルムの厚みは、目的等に応じて、例えば被覆保護する対象物の種類や箇所等に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、50μm以上、1mm以下であることが好ましく、100μm以上、500μm以上であることが更に好ましく、150μm以上、400μm以下であることが特に好ましい。
本発明において、この複合フィルム中のアクリル系ポリマーとウレタンポリマーとの重量比率は、アクリル系ポリマー/ウレタンポリマー=1/99〜80/20の範囲内であることが好ましい。アクリル系ポリマーの含有比率が1/99未満では、複合フィルム形成用混合溶液(ウレタンポリマー−アクリル系モノマーのシロップ)の粘度が高くなり、作業性が悪化する場合があり、80/20を超えると、フィルムとしての柔軟性や強度が得られない場合がある。
本発明に係る複合フィルムは、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)可溶分を有する。ここで、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)可溶分を有するとは、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中に40℃で7日間浸漬することによって、溶解する成分を有することを言う。このDMF可溶分の程度はゲル分率で示すことができる。ゲル分率は、例えば、以下のようにして求めることができる。すなわち、複合フィルムから約0.1gを秤量してサンプルとし、このサンプルをステンレス製の200メッシュ金網で包み、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中に浸して40℃で7日間浸漬保存する。その後、金網をDMFから取り出してサンプルを金網から出した後、このサンプルを130℃で2時間乾燥し、冷却する。乾燥後のサンプルの重量を測定し、下記式に代入してゲル分率を求める。但し、DMF浸漬前のサンプルの重量は130℃で1時間乾燥した状態のサンプルの重量である。

ゲル分率(%)=(DMF浸漬後のサンプルの重量/DMF浸漬前のサンプルの重量)×100
本発明においては、複合フィルムのゲル分率が50%以上、99.5%以下であることが好ましく、更に好ましくは、60%以上、99.5%以下であることが好ましく、特に好ましくは、75%以上、99.5%以下である。ゲル分率が50%以上、99.5%以下であれば、透明性および耐溶剤性に優れ、かつ、高い強度を有することができる。
本発明においては、基材の吸水率は4%以下であることが好ましく、3.5%以下であることが更に好ましく、特に好ましくは3%以下である。基材の吸水率が4%を超えると、耐水性が低下しやすくなる。そのため、基材に水が含有されると、力学的な物性が低下し易く、基材が水で可塑化されて柔軟になり、耐チッピング性が低下し易くなる。
本発明の保護用粘着テープを構成する基材は、引張試験における上降伏点応力が1.0MPa以上、5.0MPa以下であることが好ましい。上降伏点応力が1.0MPa未満では、基材の力学的物性が低下し易く、基材が柔軟になって耐チッピング性が低下することがある。一方、上降伏点応力が5.0MPaを超えると、低温時に基材が剛直になる傾向にあるので、保護用粘着シートに小石等が衝突すると表面に傷が発生し易く、耐チッピング性が低下することがある。
なお、基材の引張試験は以下のようにして行った。すなわち、基材を40℃の温水中に24時間浸漬した後、基材を取り出して表面に紙ウェスを軽く押し当てることにより、基材表面に付着している水滴を取り除き、この基材について引張試験を行った。また、引張試験の条件は、試験片の幅が10mmであり、つかみ間隔距離が50mmであり、引張速度が200mm/minである。
本発明の保護用粘着シートを構成する基材は、引張試験における破断強度が10MPa以上、100MPa以下であることが好ましく、15MPa以上、80MPa以下であることが更に好ましく、特に、20MPa以上、60MPa以下であることが好ましい。但し、引張試験の条件は、試験片の幅が10mm、つかみ間隔距離が50mm、引張速度が200mm/minである。基材の破断強度が10MPa未満では、基材が柔軟になり易く、耐チッピング性が低下することがある。したがって、保護用粘着シートに小石等が衝突すると、シート表面に傷が発生して自動車等の塗膜の美観が損なわれ易い。一方、基材の破断強度が100MPaを超えると、基材が剛直になり過ぎる場合があり、貼付け時に自動車等の塗膜の曲面追従性が低下して浮きが発生し易くなる。
本発明の保護用粘着シートは、基材の一方の面に粘着剤層を有する。この粘着剤層を形成する粘着剤は、特に限定されず、アクリル系、ゴム系、シリコン系等、一般的なものを使用することができるが、低温での接着性や高温での保持性、コスト面等を考慮するとアクリル系の粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤としては、アクリル酸エステルを主体とするモノマー成分に、カルボキシル基やヒドロキシル基等の官能基を有するモノマー成分を共重合したアクリル系共重合体(2種類以上であっても良い)を含むアクリル系粘着剤を用いることができる。
アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのアルキル(メタ)アクリレートは1種または2種以上を用いることができる。
上記アルキル(メタ)アクリレートに下記モノマー成分を共重合することができる。共重合可能なモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を含有するモノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシへキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、N−ビニル−3,5−モルホリンジオン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−アクリロイルピロリジン、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素モノマー、スチレンやスチレンの誘導体、酢酸ビニル等のモノマー等が挙げられる。これらのモノマーを必要に応じて、1種又は2種以上を、(メタ)アクリル酸エステルに共重合させて使用することができる。
本発明に用いられる粘着剤は、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸イソノニルからなる群から選ばれる少なくとも1種類と、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類のカルボキシル基含有モノマーとを含むことが好ましい。すなわち、本発明に用いられる粘着剤は、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソノニル等を主モノマーとし、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーを共重合した共重合体を使用することができる。
本発明に用いられる粘着剤には、架橋剤として多官能の(メタ)アクリル系モノマーを使用することができる。ここに用いられる多官能の(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。
粘着剤層の厚みについては、特に限定があるわけではなく任意に設定することができるが、通常は10μm以上であることが好ましく、更に好ましくは20μm以上、特に好ましくは30μm以上である。また、粘着剤層の厚みは、300μm以下であることが好ましく、更に好ましくは200μm以下であり、特に好ましくは100μm以下である。
本発明において、粘着剤層は、例えば、基材に、溶剤系、エマルジョン系の粘着剤を直接塗布し、乾燥する方法、これらの粘着剤を剥離紙に塗布し、予め粘着剤層を形成しておき、この粘着剤層を複合フィルムに貼り合わせる方法等を適用することができる。塗布方法としては、カレンダーロール法等の圧延方式、ドクターブレード法やグラビアロールコータ法等の塗工方式を採用することができる。
本発明の保護用粘着シートは、基材の他方の面に、すなわち、粘着剤層を設けていない方の側の面に、フッ素含有ポリマー層(コート層)を有することができる。このフッ素含有ポリマー層は、例えば、二フッ化ビニリデン(PVDF)、フルオロエチレンビニルエーテル共重合体等を用いて形成される。商業的に入手可能なフルオロエチレンビニルエーテル共重合体としては、例えば、旭硝子株式会社製の「ルミフロン」等が挙げられる。
フッ素含有ポリマー層は、例えば、フッ素含有ポリマーを適当な溶媒に溶解した溶液を基材上に直接塗布し、乾燥させても良いし、剥離処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの剥離処理面に、該溶液を塗布し乾燥させた後、この上に基材層としてウレタンポリマーおよびアクリル系モノマーを含有する混合物を塗布し、紫外線等を照射して硬化させて形成することができる。
フッ素含有ポリマー層の厚みは、2〜50μmであることが好ましく、より好ましくは5〜40μmであり、更に好ましくは8〜30μmである。フッ素含有ポリマー層の厚みが2μm以上、50μm以下であれば、ピンホール等の欠陥部位が発生することがなく、またコート層の特性を充分に発揮することができる。
本発明の保護用粘着シートは、被着体の塗装面の色等をそのまま外観に反映させるためには透明であることが要求されるが、顔料等を使用して塗装面の色と同じ色で着色したり、別の色に着色したりして、塗装代替粘着シートとして使用してもよい。
本発明の保護用粘着シートは、塗膜保護用粘着シートの貼り付け作業を向上させるために、例えば貼付位置決め等のために、アプリケーションシートを使用することができる。
本発明の保護用粘着シートの製造方法について以下に述べる。例えば、まず、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(仮支持体1)の剥離処理面に複合フィルム用の塗布液を塗布し、その上に透明のセパレータ等をのせて、その上から紫外線等を照射して複合フィルムを形成しつつ架橋点も形成し、その後、セパレータを除去する。別途、剥離処理されたポリエステルフィルム(仮支持体2)の剥離処理面に粘着剤層用の塗布液を塗布して粘着剤層を形成する。その後、この粘着剤層を、複合フィルム面に重ねて、保護用粘着シートを得ることができる。なお、ここでは、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(仮支持体1)/複合フィルム/粘着剤層/剥離処理されたポリエステルフィルム(仮支持体2)の層構成となっているが、この仮支持体1および仮支持体2は、使用時に、すなわち粘着シートが貼付適用される際に剥離除去されるものであるので、本発明の塗膜保護用粘着シートの構成には特に含めてはいない。ただし、これらの仮支持体1、仮支持体2等を、必要に応じて適宜設けることは可能であるし、これらの構成は本発明の技術的範囲に属するものである。
本発明の保護用粘着シートは、高強度等を有し、曲面に対する柔軟性に優れている。さらにまた、本発明の保護用粘着シートは、耐候性にも優れている。したがって、自動車、航空機等の塗装面を保護するための保護用粘着シート等に好適であり、例えば、自動車の塗装面や建造物等の被着体に良好に貼付することができ、しかも優れた耐チッピング性を発揮することができ、また、屋外で長期間使用しても黄変しにくい。
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりがない限り、部は重量部を意味し、%は重量%を意味する。また、以下の実施例において使用された測定方法および評価方法を下記に示す。
(測定方法および評価方法)
(1)吸水率の測定
基材(仮支持体1付)から3cm×3cmの大きさの試験片を切り出す。試験片から仮支持体1を除去し、130℃で2時間乾燥した後、基材の重量(初期の基材重量)を測定した。次に、これを40℃の温水に24時間浸漬した後、基材の重量(浸漬後の基材重量)を測定した。測定した数値を下記式に代入して吸水率を求めた。

吸水率(%)=
{(温水浸漬後の基材重量−初期の基材重量)/初期の基材重量}×100
(2)上降伏点温度および破断強度
基材(仮支持体1付)を40℃の温水に24時間浸漬した。その後、基材を取り出し、表面に紙ウェスを軽く押し当てて表面に付着した水滴を除去してから、幅1cm×長さ13cmの大きさに切断し(サンプル)、仮支持体1を除去して引張試験を行った。すなわち、空気温度(23℃)、相対湿度(50%)の雰囲気下で、引張速度が200mm/min、チャック間距離が50mmで引張試験を行った。得られた応力−歪み曲線から上降伏点応力を求めた。
また、同様にして得られたサンプルを空気温度(23℃)、相対湿度(50%)の雰囲気下で24時間放置した後、仮支持体1を除去して、引張速度が200mm/min、チャック間距離が50mmで引張試験を行い、基材が破断したときの力を求めた。
(3)耐チッピング性の評価
保護用粘着シートから6cm×13cmの大きさを切り出し、仮支持体1及び仮支持体2を除去して、7cm×15cmの大きさの白色塗装板(日本テストパネル社製、ダル鋼板「JIS−G3141」の白色アクリル焼付け)に、2kgのローラーを1往復させて圧着して貼り付けた。これを空気温度が23℃、相対湿度が50%の雰囲気下で24時間放置した後、耐チッピング性の評価を行った。すなわち、飛び石試験機を用いて、−10℃の雰囲気下で、玄武岩6号(500g)を、距離30cm、射出圧力0.45MPaで衝突させて、塗装板表面の傷の有無を目視観察した。塗装板表面に傷が認められなかった場合を記号「○」で表示し、傷が認められた場合を記号「×」で表示した。
(4)耐候性(耐黄変性)の評価
保護用粘着シートから4cm×4cmの大きさを切り出し、仮支持体1及び仮支持体2を除去して、7cm×15cmの大きさの白色塗装板(日本テストパネル社製、ダル鋼板「JIS−G3141」の白色アクリル焼付け)に、2kgのローラーを1往復させて圧着して貼り付け、23℃で24時間放置した後、サンシャイン・カーボン・ウェザー試験機(スガ試験機株式会社製)にて、JIS−D2050に基づいて1,000時間照射した。これを空気温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下で、色差計(エックスライト社製の多角度分光測色計 MA68II)により、受光角度が15°、観察条件がD6510表色系で測定した。すなわち、耐候性促進前のb(前)と耐候性促進後のb(後)を測定し、耐候性促進前と後における変化値としてΔb(=b(後)−b(前))を求めた。bの数値が大きいほど黄色であり、Δbの数値が大きいほど、耐候性促進後に黄色に変色したことを示す。
(実施例1)
《複合フィルム用塗布液の作製》
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸系モノマーとして、アクリル酸(AA)を1部、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上の単官能アクリル系モノマーとして、イソボルニルアクリレート(IBXA)(Tg=94℃)を79部、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃未満の単官能アクリル系モノマーとして、アクリル酸n−ブチル(BA)(Tg=−54℃)を20部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)(数平均分子量650、三菱化学(株)製)を72.8部とを投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の27.2部を滴下し、65℃で10時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。
その後、架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレート6部、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−フォスフィンオキシド(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の「IRGACURE 819」)を0.3部、紫外線吸収剤として、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルとオキシラン[(C10〜C16、主としてC12〜C13のアルキルオキシ)メチルオキシラン]との反応生成物と、1−メトキシ−2−プロパノールとからなる紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の「TINUVIN 400」)を2.5部、および光安定剤として、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製の「TINUVIN 123」)を2.5部添加して、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物(複合フィルム用塗布液)を得た。但し、ポリイソシアネート成分およびポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
《基材の作製》
作製したウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物(複合フィルム用塗布液)を、仮支持体1として剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ75μm)上に、硬化後の厚みが300μmとなるように塗布した。この上にセパレータとして剥離処理したPETフィルムを重ね、このPETフィルム面に、メタルハライドランプを用いて紫外線(照度290mW/cm、光量4,600mJ/cm)を照射して硬化させて、仮支持体1の上に複合フィルムを形成した。その後、被覆したPETフィルム(セパレータ)を除去し、140℃で3分間乾燥して、未反応の残存アクリル系モノマーを除去して基材(仮支持体1付)を得た。
《粘着剤層の作製》
モノマー成分として、2−エチルヘキシルアクリレート90部およびアクリル酸10部を混合した混合物に、光重合開始剤として、商品名「イルガキュア 651」(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を0.05部と、商品名「イルガキュア 184」(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を0.05部とを配合した後、粘度が約15Pa・s(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)になるまで紫外線を照射して、一部が重合したアクリル組成物(UVシロップ)を作製した。
得られたUVシロップの100部に対して、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを0.08部、ヒンダードフェノール型酸化防止剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の商品名「イルガノックス1010」)を1部添加して粘着剤組成物を作製した。
この粘着剤組成物を、仮支持体2として厚み38μmのポリエステルフィルムの剥離処理面に、最終製品としての厚みが50μmになるように塗布した。
この上に、セパレータとして剥離処理したPETフィルムを重ねて被覆し、次いで、PETフィルム面にメタルハライドランプを用いて紫外線(照度290mW/cm、光量4,600mJ/cm)を照射して硬化させて、仮支持体2の上に粘着剤層を形成した(層構成:仮支持体2/粘着剤層/セパレータ)。その後、140℃で3分間乾燥させて、未反応の残存アクリル系モノマーを乾燥させ、粘着剤層を作製した。
《粘着シートの作製》
セパレータを除去し、得られた基材面に粘着剤層が重なるように貼り合わせて保護用粘着シート(仮支持体1/複合フィルム/粘着剤層/仮支持体2の層構成)を作製した。
《測定および評価》
得られた粘着シートについて、上記に示す評価および測定方法に従い、吸水率の測定、上降伏点応力と破断強度の測定、耐チッピング性の評価、耐候性の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例2〜3、および、比較例1〜2)
ウレタンポリマー−アクリル系モノマーの混合物(複合フィルム用塗布液)の作製において、各成分(アクリル酸、IBXA、n−BA、PTMG、HXDI)の配合部数を表1に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして保護用粘着シートを作製した。
得られた粘着シートについて実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例3)
無黄変タイプのウレタンフィルム(厚さ:300μm)を市販品から入手した。このウレタンフィルムを複合フィルムの替わりに使用した以外は実施例1と同様にして保護用粘着シートを作製した。
得られた保護用粘着シートについて、実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0005302616
表1から明らかなように、実施例1〜3の保護用粘着シートは、浸漬後の上降伏点応力が1.0MPa〜5.0MPaの範囲内であり、破断強度が10MPa〜100MPaの範囲内であり、耐チッピング性の評価においても「○」であることが分かった。また、Δbの値も小さく、耐候性に優れていることが分かった。したがって、これらの保護用粘着シートは、長時間紫外線にさらされても黄変することがなく、屋外で長期間使用できるものである。なお、市販品のウレタンフィルムを使用した比較例3では、黄変が激しく、耐候性に劣っているが、本発明の構成要件を満たす実施例1〜3は、従来製品と比べて、格段に耐候性が改良されたことが分かった。
また、実施例1〜3は、ウレタンポリマーおよびアクリル系ポリマーを含む複合フィルムを備えているので、強度、柔軟性等にも優れており、被着体、例えば自動車のボディー曲面に十分に追従することができる。
一方、アクリル酸系モノマーを使用しない比較例1は、破断強度および耐チッピング性に劣っており、アクリル酸系モノマーの使用量が本発明の範囲を超えている比較例2は、吸水率が5%以上であり、上降伏点応力が低く、かつ、耐チッピング性に劣っているものであった。すなわち、本発明の構成を有していないものは、耐チッピング性および耐候性の少なくともいずれかは実用可能レベルを満たすことができないことが分かった。
本発明の保護用粘着シートは、曲面等への柔軟性が要求される粘着シートとして好適に使用することができる。また、本発明の保護用粘着シートは、耐候性に優れており、例えば、屋外で長期間使用されても、着色したり、光沢感がなくなったりすることがないので、屋外の天候にさらされる塗膜表面を保護するための粘着シートとして使用することができる。また、自動車の塗膜を保護するための粘着シートとしても好適である。

Claims (6)

  1. 基材と該基材の片面に粘着剤層とを有する保護用粘着シートにおいて、該基材が、アクリル系ポリマーとウレタンポリマーとを含む混合物から成る複合フィルムであり、前記アクリル系ポリマーが、アクリル酸系モノマー、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が273K以上である単官能アクリル系モノマー、および、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が273K未満である単官能アクリル系モノマーを含むアクリル成分を用いて成り、前記アクリル酸系モノマーの含有量が前記アクリル成分中、1重量%以上、30重量%以下であり、前記ウレタンポリマーがジオールとジイソシアネートとを用いて成り、前記ウレタンポリマーが、NCO/OH(当量比)=1.1〜2.0であり、また、前記複合フィルムは、溶媒として前記アクリル成分を使用し、該溶媒中で、前記ジオールと前記ジイソシアネートを熱重合してウレタンポリマーを形成し、光重合開始剤を添加してシート化した後、紫外線照射して得られ、かつ、前記複合フィルムがN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)可溶分を有することを特徴とする保護用粘着シート
  2. 前記複合フィルムは、ゲル分率が50%以上、99.5%以下であることを特徴とする請求項1に記載の保護用粘着シート
  3. 前記複合フィルムは、吸水率が4%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の保護用粘着シート
  4. 前記粘着剤層は、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸イソノニルからなる群から選ばれる少なくとも1種類と、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類とを主成分として含む接着剤から成ることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の保護用粘着シート
  5. 前記基材は、前記複合フィルムの一方の面上にフッ素含有ポリマー層を有しており、該フッ素含有ポリマー層が、前記粘着剤層を設けた面とは反対側の面上に配置されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の保護用粘着シート
  6. 前記保護用粘着シートが、自動車および航空機からなる群から選ばれる少なくとも1つの外装塗膜面に貼着して使用されることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の保護用粘着シート。
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