JP2013139535A - 水生生物付着防止粘着テープ - Google Patents

水生生物付着防止粘着テープ Download PDF

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Abstract

【課題】耐衝撃性に優れ、衝突物による防汚層の破損や欠落を防止できる、水生生物付着防止粘着テープを提供する。
【解決手段】防汚層2と基材層3と粘着層4をこの順に含む粘着テープ100であって、基材層3の衝撃吸収率が10%以上であり、基材層3が、ウレタン系エラストマーおよびスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種のエラストマー樹脂を含み、防汚層がシリコーン樹脂を含む水生生物付着防止粘着テープ。
【選択図】図1

Description

本発明は、水生生物付着防止粘着テープに関する。詳細には、本発明は、水中構造物(船舶、ブイ、港湾設備、海上油田設備、発電所冷却水用の水路、工場冷却水用の水路、水上浮遊通路など)に水中生物が付着して繁殖することを防止するための、水生生物付着防止粘着テープに関する。
船舶などの水中構造物は、海水に接触する部分において、フジツボ、カキ、ムラサキイガイ、ヒドラ、セルプラ、ホヤ、コケムシ、アオサ、アオノリ、付着珪藻などの海洋生物が付着して繁殖し、流体抵抗の増加や熱伝導性の低下といった設備機械性能の低下や、付着した海洋生物の海外への拡散など、好ましくない状態を引き起こしている。また、付着した海洋生物を除去する作業には大きな労力と膨大な時間が必要であり、経済的な損失を被っている。
上記のような被害を防止するため、従来、防汚塗料が水中構造物に塗装されている。防汚塗料には、古くは有機スズ化合物や現在では亜酸化銅などの毒性防汚剤が含まれている。防汚塗料の毒性によって海洋生物の付着成長はほぼ抑制できるが、有機スズ化合物や亜酸化銅などの毒性防汚剤は人体や環境に少なからず悪影響を与えるため、長期的にみれば深刻な問題となる。また、防汚塗料を塗装後に乾燥させる際には、30重量%程度の有機溶剤(VOC)が揮発し、作業環境や周辺の環境に悪影響を与えている。スプレー式塗装では、VOCの大気中への排出の他に、塗料の10〜20重量%は風により周囲に飛散していると言われている。一方で、長年使用した防汚塗料を塗り替える際には、古くなった防汚塗料をサンドブラストや金属研磨機で剥離するが、その際に、有機スズ化合物や亜酸化銅などの毒性防汚剤を含んだ大量の塗膜片が周囲に飛散して作業者や環境に悪影響を与えると共に、剥離した防汚塗料は産業廃棄物として処理されるため、大きな問題となっている。
防汚塗料を用いることなく防汚効果を有する防汚テープとして、基材上に下塗り剤を介してシリコーンエラストマーを設け、基材の逆側には粘着層を設けたシート状テープが提案されている(特許文献1参照)。しかし、防汚層は機械的強度に劣るため、例えば、流体中での使用条件下において水中構造物に施工した防汚テープに物体が衝突すると、防汚層が破損したり欠落したりする問題がある。
特開2002−69246号公報
本発明の課題は、耐衝撃性に優れ、衝突物による防汚層の破損や欠落を防止できる、水生生物付着防止粘着テープを提供することにある。
本発明の水生生物付着防止粘着テープは、
防汚層と基材層と粘着層をこの順に含む粘着テープであって、
基材層の衝撃吸収率が10%以上である。
好ましい実施形態においては、上記基材層がエラストマー樹脂を含む。
好ましい実施形態においては、上記エラストマー樹脂が、ウレタン系エラストマーおよびスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種である。
好ましい実施形態においては、上記防汚層がシリコーン樹脂を含む。
本発明によれば、耐衝撃性に優れ、衝突物による防汚層の破損や欠落を防止できる、水生生物付着防止粘着テープを提供することができる。
本発明の水生生物付着防止粘着テープの一例の概略断面図である。 実施例1で得られた粘着テープ(1)の鉄球落下試験後の状態を示す写真図である。 実施例4で得られた粘着テープ(4)の鉄球落下試験後の状態を示す写真図である。 比較例1で得られた粘着テープ(C1)の鉄球落下試験後の状態を示す写真図である。 比較例2で得られた粘着テープ(C2)の鉄球落下試験後の状態を示す写真図である。 衝撃力の測定に用いる装置を示す概略図である。
本発明の水生生物付着防止粘着テープは、防汚層と基材層と粘着層をこの順に含む。本発明の水生生物付着防止粘着テープは、防汚層と基材層と粘着層をこの順に含んでいれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を有していても良い。本発明の水生生物付着防止粘着テープの厚みは、それに含まれる各層の厚みによって、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な厚みに設定される。本発明の水生生物付着防止粘着テープの厚みは、好ましくは50〜300μmである。
図1に、本発明の水生生物付着防止粘着テープの一例の概略断面図を示す。本発明の水生生物付着防止粘着テープ100は、防汚層2と基材層3と粘着層4をこの順に含む。図1に示すように、防汚層2の表面や、粘着層4の表面には、剥離フィルム1が設けられていても良い。
基材層は、その衝撃吸収率が10%以上であり、好ましくは15%以上であり、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは25%以上であり、特に好ましくは30%以上であり、最も好ましくは35%以上である。基材層の衝撃吸収率が上記範囲内に収まれば、耐衝撃性に優れ、衝突物による防汚層の破損や欠落を防止できる、水生生物付着防止粘着テープを提供することができる。
基材層は、その衝撃吸収率が10%以上であれば、任意の適切な材料からなる基材層を採用し得る。このような基材層としては、好ましくは、エラストマー樹脂を含む。エラストマー樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なエラストマー樹脂を採用し得る。このようなエラストマー樹脂としては、例えば、加硫ゴム、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマーなどが挙げられる。基材層がエラストマー樹脂を含む場合、基材層中のエラストマー樹脂の含有割合は、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは60〜100重量%であり、さらに好ましくは70〜99重量%であり、特に好ましくは80〜98重量%であり、最も好ましくは90〜97重量%である。
基材層がエラストマー樹脂を含む場合、基材層中のエラストマー樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。基材層がエラストマー樹脂を含むことにより、より耐衝撃性に優れ、衝突物による防汚層の破損や欠落を防止できる、水生生物付着防止粘着テープを提供することができる。
基材層がエラストマー樹脂を含む場合、該エラストマー樹脂としては、好ましくは、ウレタン系エラストマーおよびスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種である。ウレタン系エラストマーとしては、例えば、エステル系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタン、ポリウレタンアクリル樹脂などが挙げられる。スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体(SB)、スチレン・イソプレン共重合体(SI)、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体(SEB)、スチレン・エチレン−プロピレン共重合体(SEP)などのA−B型ジブロックポリマー;スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SIS)、スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・スチレンの共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン−プロピレン共重合体・スチレン(SEPS)などのA−B−A型トリブロックまたはA−B−A−B型テトラブロック以上のマルチブロックポリマー;スチレン・ブタジエンラバー共重合体(SBR)などのスチレン系ランダム共重合体;スチレン・エチレン−ブチレン共重合体・オレフィン結晶(SEBC)などのA−B−C型のスチレン・オレフィン結晶系ブロックポリマー;などが挙げられる。エラストマー樹脂としてウレタン系エラストマーおよびスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種を採用することにより、より一層耐衝撃性に優れ、衝突物による防汚層の破損や欠落を防止できる、水生生物付着防止粘着テープを提供することができる。
ポリウレタンアクリル樹脂は、アクリル成分とウレタン成分を有する。ポリウレタンアクリル樹脂は、より具体的には、(メタ)アクリル系ポリマーとウレタンポリマーを含有する複合ポリマーである。ポリウレタンアクリル樹脂中における(メタ)アクリル系ポリマーとウレタンポリマーとの重量比率は、好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマー/ウレタンポリマー=1/99〜80/20である。(メタ)アクリル系ポリマー/ウレタンポリマーが1/99未満では、前駆体混合物の粘度が高くなり、作業性が悪化するおそれがあり、80/20を超えると、ポリウレタンアクリル樹脂としての柔軟性や強度が得られないおそれがある。
なお、本発明において「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸系モノマーと単官能(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマー成分を用いて得られるポリマーであることが好ましい。ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマーは、特に、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマー成分を用いて得られるポリマーであることが好ましい。ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマーは、上記ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーに加えて、さらに、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーを含むモノマー成分を用いて得られるポリマーであることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸系モノマーとは、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられる。本発明の効果を一層発現できる点で、(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、好ましくは、アクリル酸が挙げられる。
ポリウレタンアクリル樹脂の原料となるモノマー成分中の(メタ)アクリル酸系モノマーの含有割合は、好ましくは1〜15重量%であり、より好ましくは2〜10重量%である。ポリウレタンアクリル樹脂の原料となるモノマー成分中の(メタ)アクリル酸系モノマーの含有割合が1重量%未満では、ポリウレタンアクリル樹脂の合成反応に長時間を要するおそれや、ポリウレタンアクリル樹脂が十分な強度を有しないおそれがある。ポリウレタンアクリル樹脂の原料となるモノマー成分中の(メタ)アクリル酸系モノマーの含有割合が15重量%を超える場合には、ポリウレタンアクリル樹脂の吸水率が大きくなり、耐水性に問題が生じるおそれがある。(メタ)アクリル酸系モノマーは、ポリウレタンアクリル樹脂中のウレタン成分とアクリル成分との相溶性に大きく影響するものである。
Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、t−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート等が挙げられる。Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、本発明の効果を一層発現できる点で、好ましくは、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、イソボルニルアクリレートが挙げられる。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー中の、Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、好ましくは20〜99重量%であり、より好ましくは30〜98重量%である。ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー中の、Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有割合が、20重量%未満では、ポリウレタンアクリル樹脂が十分な強度を有しないおそれがある。ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー中の、Tgが0℃以上の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有割合が、99重量%を超えると、ポリウレタンアクリル樹脂の剛性が上がりすぎて脆くなるおそれがある。
Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソブチル、2−メトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルオロフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート等が挙げられる。Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、本発明の効果を一層発現できる点で、好ましくは、アクリル酸n−ブチルが挙げられる。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー中の、Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは45重量%以下である。ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマー中の、Tgが0℃未満の単官能(メタ)アクリル系モノマーの含有割合が、50重量%を超える場合には、ポリウレタンアクリル樹脂が十分な強度を有しないおそれがある。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマーの原料モノマーに含まれる、(メタ)アクリル酸系モノマーや単官能(メタ)アクリル系モノマーなどの(メタ)アクリル系モノマーは、ウレタンとの相溶性、放射線等の光硬化時の重合性や、得られる高分子量体の特性を考慮して、種類、組合せ、使用量等が適宜決定される。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマーの原料モノマーには、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他のモノマーが含まれていても良い。このような他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、その誘導体、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、イミドアクリレート、N−ビニルピロリドン、オリゴエステルアクリレート、ε−カプロラクトンアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロドデカトリエンアクリレート、メトキシエチルアクリレート等が挙げられる。他のモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。他のモノマーの種類や使用量は、目的に応じて、適宜選択し得る。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマーの原料モノマーには、本発明の効果を損なわない範囲で、他の多官能モノマーが含まれていても良い。このような多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。本発明の効果を一層発現できる点で、このような多官能モノマーとしては、好ましくは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリウレタンアクリル樹脂中の(メタ)アクリル系ポリマーの原料モノマーに他の多官能モノマーが含まれている場合、その含有割合は、原料モノマー中の(メタ)アクリル系モノマーに対して、好ましくは1〜20重量%である。上記含有割合が1重量%以上であれば、ポリウレタンアクリル樹脂の凝集力を十分に高く維持することができ、上記含有割合が20重量%以下であれば、ポリウレタンアクリル樹脂の弾性率が高くなりすぎることがなく、耐衝撃性に優れ、被着体表面の凹凸に良好に追従することができる。
ポリウレタンアクリル樹脂中のウレタンポリマーは、好ましくは、ジオールとジイソシアネートとを反応させて得られる。ジオールの水酸基とイソシアネートとの反応には、触媒を用いても良い。
低分子量のジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の2価のアルコールが挙げられる。
高分子量のジオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を付加重合して得られるポリエーテルポリオール;上述の2価のアルコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の2価の塩基酸との重縮合物からなるポリエステルポリオール;アクリルポリオール;カーボネートポリオール;エポキシポリオール;カプロラクトンポリオール;等が挙げられる。本発明の効果を一層発現できる点で、高分子量のジオールとしては、これらの中でも、好ましくは、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリアルキレンカーボネートジオール(PCD)が挙げられる。
アクリルポリオールとしては、水酸基を有するモノマーの共重合体の他、水酸基含有物と(メタ)アクリル系モノマーとの共重合体等が挙げられる。
エポキシポリオールとしては、アミン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
ポリウレタンアクリル樹脂中のウレタンポリマーを製造する際には、上記ジオールを、(メタ)アクリル系モノマーへの溶解性、イソシアネートとの反応性等を考慮して、1種のみを用いても良いし、2種以上を用いても良い。ポリウレタンアクリル樹脂の強度を向上させる場合には、低分子量ジオールによるウレタンハードセグメント量を増加させると効果的である。ポリウレタンアクリル樹脂の伸びを重視する場合には、分子量の大きなジオールを単独で使用すると効果的である。ポリエーテルポリオールは、一般的に、安価で耐水性が良好である。ポリエステルポリオールは、ポリウレタンアクリル樹脂の強度を向上させることができる。
ジイソシアネートとしては、芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート;これらのジイソシアネートの二量体、三量体;ポリフェニルメタンジイソシアネート;などが挙げられる。ジイソシアネートは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートの三量体としては、例えば、イソシアヌレート型、ビューレット型、アロファネート型等が挙げられる。
本発明の効果を一層発現できる点で、ジイソシアネートとしては、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水添トリレンジイソシアネート(HTDI)、水添4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添キシレンジイソシアネート(HXDI)が挙げられる。
ウレタンポリマーを形成するためのジオール成分とジイソシアネート成分の使用割合は、NCO/OH(当量比)が、好ましくは1.1〜2.0であり、より好ましくは1.15〜1.35である。NCO/OH(当量比)が1.1未満の場合、ポリウレタンアクリル樹脂の強度が低下するおそれがある。NCO/OH(当量比)が2.0を超えると、ポリウレタンアクリル樹脂の伸びと柔軟性を十分に確保することができないおそれがある。
ウレタンポリマーに対して水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーを添加しても良い。ウレタンポリマーに対して水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーを添加することにより、ウレタンプレポリマーの分子末端に(メタ)アクリロイル基を導入することができ、(メタ)アクリル系モノマーとの共重合性が付与され、ウレタン成分とアクリル成分との相溶性が高まり、破断強度などのS−S特性の向上を図ることができる。本発明の効果を一層発現できる点で、水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーの使用量は、ウレタンポリマーに対して、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは1〜5重量%である。
水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリウレタンアクリル樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマーとウレタンポリマーとがグラフト構造や架橋構造により相互に結合したヘテロジニアスネットワーク構造を有する。(メタ)アクリル系ポリマーとウレタンポリマーとが、それぞれ独自に架橋構造をとるIPN構造(相互侵入高分子網目層)や、(メタ)アクリル系ポリマーとウレタンポリマーの一方が架橋構造を有し、他の一方がリニア構造の高分子鎖を有していて該架橋構造の中に侵入しているようなsemi−IPN構造の場合は、ポリウレタンアクリル樹脂の伸張時の応力が発現しにくい場合がある。
基材層中に、エラストマー樹脂としてポリウレタンアクリル樹脂が含まれる場合、該基材層は、例えば、(メタ)アクリル系モノマーを希釈剤として、この(メタ)アクリル系モノマー中でジオールとジイソシアネートとの反応を行ってウレタンポリマーを形成し、(メタ)アクリル系モノマーとウレタンポリマーとを主成分として含む混合物を基材(必要に応じて剥離処理されている)等の上に塗布し、光重合開始剤の種類等に応じて、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線や紫外線等の放射線、可視光等を照射して硬化させ、その後、基材等を剥離除去することにより、基材層を形成することができる。あるいは、基材等を剥離除去せずに、基材等の上に基材層が積層された形態で得ることもできる。
基材層中に、エラストマー樹脂としてポリウレタンアクリル樹脂が含まれる場合、該基材層は、より具体的には、例えば、ジオールを(メタ)アクリル系モノマーに溶解させた後、ジイソシアネート等を添加してジオールと反応させて粘度調整を行い、これを支持体等に、あるいは、必要に応じて支持体等の剥離処理面に塗工した後、低圧水銀ランプ等を用いて硬化させることによって得ることができる。この方法では、(メタ)アクリル系モノマーをウレタン合成中に一度に添加してもよいし、何回かに分割して添加してもよい。また、ジイソシアネートを(メタ)アクリル系モノマーに溶解させた後、ジオールを反応させてもよい。この方法によれば、分子量が限定されるということはなく、高分子量のポリウレタンを生成することもできるので、最終的に得られるウレタンの分子量を任意の大きさに設計することができる。酸素による重合阻害を避けるために、支持体等上に塗布した混合物の上に、剥離処理したシート(セパレータ等)をのせて酸素を遮断してもよいし、不活性ガスを充填した容器内に基材を入れて、酸素濃度を下げてもよい。
放射線等の種類や照射に使用されるランプの種類等は適宜選択することができる。このようなランプとしては、例えば、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト、殺菌ランプ等の低圧ランプ;メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等の高圧ランプ;等が挙げられる。
紫外線などの照射量は、基材層の特性に応じて、任意に設定することができる。一般的には、紫外線の照射量は、好ましくは100〜5000mJ/cmであり、より好ましくは1000〜4000mJ/cmであり、さらに好ましくは2000〜3000mJ/cmである。紫外線の照射量が100mJ/cmより少ないと、十分な重合率が得られないおそれがあり、5000mJ/cmより大きいと、劣化の原因となるおそれがある。紫外線等を照射する際の温度は、目的に応じて、任意の適切な温度に設定することができる。紫外線等を照射する際の温度が高すぎると、重合熱による停止反応が起こり易くなり、特性低下の原因となりやすい。このため、紫外線等を照射する際の温度は、好ましくは70℃以下であり、より好ましくは50℃以下であり、さらに好ましくは30℃以下である。
ポリウレタンアクリル樹脂を調製するにあたり、少なくともウレタンポリマーを含む混合物(例えば、(メタ)アクリル系モノマーとウレタンポリマーとを主成分とする混合物)には、好ましくは光重合開始剤が含まれる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル;アニソールメチルエーテル等の置換ベンゾインエーテル;2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等の置換アセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル フェニル ケトン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン等の置換アルファーケトール;2−ナフタレンスルフォニルクロライド等の芳香族スルフォニルクロライド;1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等の光活性オキシム;などが挙げられる。
基材層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、シリコーン系ポリマー、液状アクリル系共重合体、粘着付与剤、老化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、ポリエチレンイミン、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、リン酸エステル、滑剤、界面活性剤、充填剤や顔料(例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボンブラックなど)などが挙げられる。
基材層は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。基材層が紫外線吸収剤を含むことにより、本発明の水生生物付着防止粘着テープの耐候性が向上する。基材層が紫外線吸収剤を含んでいない場合、野外での使用において太陽光によって基材が劣化しやすくなり、当初の基材強度を維持することが難しくなるおそれがある。そして、基材が劣化してしまうと、使用済みの本発明の水生生物付着防止粘着テープを被着体から剥がす際に、基材層が頻繁に切断してしまい、作業効率が著しく悪くなるおそれがある。
基材層の厚みは、目的に応じて、任意の適切な厚みを採用し得る。基材層の厚みは、好ましくは1〜1000μmであり、より好ましくは10〜800μmであり、さらに好ましくは20〜500μmである。基材層の厚みを上記範囲内に収めることにより、本発明の水生生物付着防止粘着テープは、曲面や鋭角面など、平面以外の部位にも容易に作業性良く貼着でき、貼着後の表面にしわや浮きなどの外観不良が生じ難い。
基材層には、防汚層との密着性を向上させるために、プライマーをあらかじめ塗工しておいても良いし、シランカップリング剤をあらかじめ添加しておいても良い。防汚層がシリコーン樹脂を含む場合、シリコーン樹脂の特性である低表面エネルギーが原因で、基材層への密着性が低い場合がある。防汚層と基材層の密着性が低いと、防汚効果を発揮する防汚層が、使用中の衝撃や物理的ダメージによって基材層から剥離してしまい、本来の防汚効果が持続できないおそれがある。そのため、基材層の表面にプライマーをあらかじめ塗工して防汚層との密着性を高めたり、シリコーン樹脂と反応するシラノール基やアルコキシシラン基をシランカップリング剤によって基材層中に導入し、縮合型シリコーン樹脂の塗工時に基材層上の反応基と縮合反応させて密着性を向上させたりすることができる。
シランカップリング剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。市販されている具体的なシランカップリング剤としては、例えば、信越化学工業(株)製のKBM5103、KBM1003、KBM903、KBM403、KBM802などが挙げられる。
基材層にシランカップリング剤が含まれる場合、基材層中のシランカップリング剤の含有割合は、好ましくは0.01〜10重量%である。基材層中のシランカップリング剤の含有割合が10重量%を超える場合、シランカップリング剤が架橋点となって基材層が硬くなってしまうおそれがある。基材層中のシランカップリング剤の含有割合が0.01重量%未満の場合、基材層と防汚層との間に十分な密着性が発現できないおそれがある。
防汚層としては、防汚効果を発現できる層であれば、任意の適切な層を採用し得る。
防汚層としては、好ましくは、防汚塗料を用いることなく防汚効果を発現できる層であり、例えば、防汚効果を有する任意の適切な樹脂を材料とする。このような樹脂としては、好ましくは、シリコーン樹脂が挙げられる。
防汚層がシリコーン樹脂を含む場合、防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合は、防汚剤などの他の成分の含有割合によって、任意の適切な含有割合を採用し得る。防汚層がシリコーン樹脂を含む場合、防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合は、好ましくは30〜98重量%、より好ましくは40〜97重量%、さらに好ましくは45〜96重量%、特に好ましくは50〜95重量%である。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合が30重量%未満の場合、防汚層の機械的特性が低下するおそれがある。防汚層中のシリコーン樹脂の含有割合が98重量%を超える場合、防汚層の防汚効果が十分に発現できないおそれがある。
シリコーン樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーン樹脂を採用し得る。シリコーン樹脂は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。このようなシリコーン樹脂としては、常温で液状のシリコーン樹脂であっても良いし、常温で固体状のシリコーン樹脂であっても良い。また、このようなシリコーン樹脂としては、単独で乾燥させる1液型のシリコーン樹脂であっても良いし、硬化剤を配合する2液型のシリコーン樹脂であっても良い。本発明においては、これらの中でも、1液型の室温硬化性(RTV)樹脂、2液型の室温硬化性(RTV)樹脂が好ましい。1液型のRTV樹脂としては、例えば、信越化学工業(株)製のKE−3475、KE−45S、KE−445、KE−44、KE−441、KE−3497、KE−4896などが挙げられる。2液型のRTV樹脂としては、例えば、信越化学工業(株)製のKE−66、KE−1031、KE−1800などが挙げられる。
本発明の水生生物付着防止粘着テープにおける水生生物の易除去性を向上させるために、シリコーン樹脂としては、水洗除去時の水圧などによって樹脂表面が弾性変形することにより付着物の剥離が容易になるような物性を有するシリコーン樹脂が好ましい。このようなシリコーン樹脂は、該シリコーン樹脂の100%モジュラス(引張応力)が、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは0.1〜6MPaである。また、このようなシリコーン樹脂は、有機溶剤に可溶であるものが好ましい。
防汚層は、防汚剤を含んでいても良い。防汚剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。防汚層が防汚剤を含む場合、該防汚剤は、マトリックスであるシリコーン樹脂の表面に移行し、表面を防汚物質で覆うことによって、水生生物のシリコーン樹脂表面への付着を抑制し、さらに非加水分解性であることから、高い防汚効果を長期間維持する作用を発現することができる。
防汚層が防汚剤を含む場合、防汚層中、シリコーン樹脂に対する防汚剤の含有割合は、好ましくは2重量%以上、より好ましくは2〜200重量%、さらに好ましくは3〜150重量%、特に好ましくは4〜120重量%、最も好ましくは5〜100重量%である。シリコーン樹脂に対する防汚剤の含有割合が2重量%未満の場合、防汚層の防汚効果が十分に発現できないおそれがある。シリコーン樹脂に対する防汚剤の含有割合が200重量%を超える場合、最終成形品や被膜の外観が不良となるおそれがあり、また、防汚層の強度が低下して防汚性を持続できなくなるおそれがある。
防汚剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な防汚剤を採用し得る。このような防汚剤としては、例えば、シリコーンオイル、流動パラフィン、界面活性剤、ワックス、ペトロラタム、動物脂類、脂肪酸などが挙げられる。本発明においては、防汚剤としては、好ましくは、シリコーンオイル、流動パラフィン、界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である。
シリコーンオイルとしては、シリコーン樹脂との反応性や自己縮合性を有さないものが好ましい。このようなシリコーンオイルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーンオイルを採用し得る。このようなシリコーンオイルとしては、シリコーン樹脂に含まれるオルガノポリシロキサンとある程度不相溶であるものが好ましく、長期間にわたって防汚効果を持続できる点で、例えば、一般式(I)で表されるシリコーンオイルが好ましい。
一般式(I)中、Rは、同一または異なって、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フルオロアルキル基、ポリエーテル基、または水酸基を表し、Rは、同一または異なって、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基、ポリエーテル基、フルオロアルキル基を表し、nは0〜150の整数を表す。
一般式(I)中のRとしては、好ましくは、メチル基、フェニル基、水酸基である。一般式(I)中のRとしては、好ましくは、メチル基、フェニル基、4−トリフルオロブチル基である。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルは、数平均分子量が、好ましくは180〜20000、より好ましくは1000〜10000である。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルは、粘度が、好ましくは10〜10000センチストークス、より好ましくは100〜5000センチストークスである。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルとしては、具体的には、例えば、両末端または片末端のRが水酸基である末端水酸基含有ジメチルシリコーンオイル、RおよびRの全てがメチル基であるジメチルシリコーンオイル、これらのジメチルシリコーンオイルのメチル基の一部がフェニル基に置換されたフェニルメチルシリコーンオイルなどが挙げられる。
一般式(I)で表されるシリコーンオイルの市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製のKF96L、KF96、KF69、KF99、KF50、KF54、KF410、KF412、KF414、FL、東レダウコーニング株式会社製のBY16−846、SF8416、SH203、SH230、SF8419、FS1265、SH510、SH550、SH710、FZ-2110、FZ-2203が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
防汚剤として、珪藻付着防止剤、農薬、医薬品(メデトミジンなど)、酵素活性阻害剤(アルキルフェノール、アルキルレゾルシノールなど)、生物忌避剤を用いても良い。これらの防汚剤を用いることにより、珪藻やフジツボなどの水生生物の付着防止効果がより一層向上する。
防汚層は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の添加剤を含んでいても良い。
防汚層の厚みは、本発明の水生生物付着防止粘着テープの用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。防汚層の厚みは、好ましくは5〜500μmである。防汚層の厚みが5μmより薄いと、防汚効果が有効に働く期間が短くなり、実用的ではなくなるおそれがある。防汚層の厚みが500μmより厚いと、本発明の水生生物付着防止粘着テープが分厚くなって重量が大きくなるため、ハンドリング性が悪くなり、テープのつなぎ目部分の凹凸が大きくなり、汚れが付きやすいおそれがある。
粘着層としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着層を採用し得る。このような粘着層の材料としては、例えば、アクリル樹脂系粘着剤、エポキシ樹脂系粘着剤、アミノ樹脂系粘着剤、ビニル樹脂(酢酸ビニル系重合体など)系粘着剤、硬化型アクリル樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤などが挙げられる。粘着層の材料は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着層の厚みは、本発明の水生生物付着防止粘着テープの用途や使用環境などによって、任意の適切な厚みを採用し得る。粘着層の厚みは、好ましくは10μm以上である。粘着層の厚みが10μmより薄いと、被着体の形状に十分に追従できなくなり、接着面積が減少してしまい、十分な粘着力が発現できないおそれがある。粘着層の厚みの上限は、取扱性の観点から、好ましくは300μm以下である。
本発明の水生生物付着防止粘着テープは、任意の適切な方法によって製造し得る。このような方法としては、例えば、別途準備した基材層と粘着層を貼付した後に防汚層形成材料を基材層上に塗布して防汚層を形成する方法、基材層の一方の面に粘着層形成材料を塗布して粘着層を形成し、基材層のもう一方の面に防汚層形成材料を塗布して防汚層を形成する方法、基材層形成材料と粘着層形成材料を共押出しして基材層/粘着層の積層体を形成させた後に防汚層形成材料を基材層上に塗布して防汚層を形成する方法、などが挙げられる。
防汚層形成材料を基材層上に塗布する方法としては、例えば、スプレー、ハケ塗り、ローラー、カーテンフロー、ロール、ディップなどが挙げられる。これらの方法で防汚層形成材料を基材層上に塗布して、例えば、室温から250℃までの温度(好ましくは、室温から180℃の温度)で乾燥させることにより、防汚層を形成することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
<衝撃吸収率の測定>
図6に示すような振り子試験機を用いて衝撃力を測定した。振り子試験機30は、直径19mm、重量28g重(0.27N)の鋼球からなる衝撃子31に長さ350mmの支持棒32を設けて作製した。34、35、36、37はそれぞれ、力センサー(東陽テクニカ社製)、アルミニウム板、電源、Multi−Purpose FTT Analyzer((株)小野測器製)である。実施例および比較例で作製した衝撃吸収シートを20mm角に切り取り試験片33とし、これを粘着面を用いてアルミニウム板35に貼り合わせ、鋼球31が衝突した際の衝撃力を力センサー34で感知して、Multi−Purpose FTT Analyzer((株)小野測器製)37にて測定した。なお、衝撃子31が衝撃吸収シート33に衝突する直前の速度をリニアモーションスピードメーターST−1210((株)小野測器製)、センサーFU−77G((株)キーエンス製)を用いて測定した。
FRP板に対する衝撃力を測定し、これをF(N)とした。
次に、基材とFRP板を粘着剤によって貼り合わせて衝撃力を測定し、これをF(N)とした。
衝撃吸収率を次式によって算出した。
衝撃吸収率(%)=[(F−F)/F]×100
<鉄球落下試験>
試験対象のテープを3cm×3cmサイズにサンプリングし、5cm×5cm×1cmのアクリル板に貼り付けて固定した。このアクリル板上のテープの防汚層側に、高さ1mから、100gの鉄球(直径3cm)を落下させ、防汚層の状態を観察した。
〔実施例1〕
(粘着層)
冷却管、窒素導入管、温度計、および攪拌機を備えた反応容器に、(メタ)アクリル系モノマーとして、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA、東亜合成(株)製):90重量部、アクリル酸(AA):10重量部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」、BASF(株)社製):0.1重量部を投入して分散させ、攪拌しながら窒素気流下にて上部よりUV照射することにより、一部のモノマーをポリマーに転化させて塗工可能な粘度に調整し、(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。この(メタ)アクリル系モノマー混合物に、架橋剤として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA):0.08重量部を添加し、これをセパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み50μm)の表面にアプリケーターにて塗布し、カバーセパレータ(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)をハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(BLタイプ)により紫外線を照射(紫外線照度:3.4mW/cm、積算照射量:2000mJ/cm)することにより、厚み50μmの粘着層(1−A)を得た。
(基材層)
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、(メタ)アクリル系モノマーとして、イソボルニルアクリレート(商品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製):71重量部、n−ブチルアクリレート(BA、東亜合成(株)製):19重量部、アクリル酸(AA):10重量部、ポリオールとして数平均分子量650のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG650、三菱化学(株)製):68.4重量部、触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(DBTL):0.01重量部を投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI、三井化学ポリウレタン(株)製):25.5重量部を滴下し、65℃で5時間反応させ、ウレタンポリマー−(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。その後、ヒドロキシエチルアクリレート(商品名「アクリックス HEA」、東亜合成(株)製):6.1重量部を投入し、65℃で1時間反応することで、アクリロイル基末端ウレタンポリマー−(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。
得られたアクリロイル基末端ウレタンポリマー−(メタ)アクリル系モノマー混合物に、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製):1重量部:トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA):5重量部、光重合開始剤としてジフェニル(2,4,6,−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(商品名「ルシリンTPO」、BASF(株)社製):0.25重量部、紫外線吸収剤(商品名「TINUVIN123」、BASF(株)社製):1.25重量部、酸化防止剤(商品名「TINUVIN400」、BASF(株)社製):0.6重量部を添加することにより、シロップを得た。
セパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)の表面に、得られたシロップをアプリケーターにて塗工し、厚み150μmのシロップ層を形成した。このシロップ層上にカバーセパレータ(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)をハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(BLタイプ)により紫外線を照射(紫外線照度:3.4mW/cm、積算照射量:2000mJ/cm)し、基材層(1−B)を得た。
基材層(1−B)の衝撃吸収率は25%であった。
(粘着テープ)
得られた粘着層(1−A)と基材層(1−B)をハンドローラーにて貼り合わせ、テープを得た。そして、このテープの基材層(1−B)上に、シリコーンエラストマー(バイオクリンDK、中国塗料(株)製)をアプリケーターにて塗工し、厚み150μmのシロップ層を形成した。これを150℃で10分間硬化させ、粘着テープ(1)を作成した。
粘着テープ(1)の構成は、防汚層(厚み=150μm)/基材層(厚み=150μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
また、粘着テープ(1)の鉄球落下試験後の状態を示す写真図を図2に示した。
〔実施例2〕
(粘着層)
実施例1と同様に行い、厚み50μmの粘着層(2−A)を得た。
(基材層)
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、(メタ)アクリル系モノマーとして、イソボルニルアクリレート(商品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製):80重量部、n−ブチルアクリレート(BA、東亜合成(株)製):20重量部、ポリオールとして数平均分子量650のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG650、三菱化学(株)製):68.4重量部、触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(DBTL):2重量部を投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI、三井化学ポリウレタン(株)製):25.5重量部を滴下し、65℃で5時間反応させ、ウレタンポリマー−(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。その後、ヒドロキシエチルアクリレート(商品名「アクリックス HEA」、東亜合成(株)製):6.1重量部を投入し、65℃で1時間反応することで、アクリロイル基末端ウレタンポリマー−(メタ)アクリル系モノマー混合物を得た。
得られたアクリロイル基末端ウレタンポリマー−(メタ)アクリル系モノマー混合物に、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製):1重量部、アクリル酸(AA):1重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA):5重量部、光重合開始剤としてジフェニル(2,4,6,−トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド(商品名「ルシリンTPO」、BASF(株)社製):0.25重量部、紫外線吸収剤(商品名「TINUVIN123」、BASF(株)社製):1.25重量部、酸化防止剤(商品名「TINUVIN400」、BASF(株)社製):0.6重量部を添加することにより、シロップを得た。
セパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)の表面に、得られたシロップをアプリケーターにて塗工し、厚み150μmのシロップ層を形成した。このシロップ層上にカバーセパレータ(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)をハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(BLタイプ)により紫外線を照射(紫外線照度:3.4mW/cm、積算照射量:2000mJ/cm)し、基材層(2−B)を得た。
基材層(2−B)の衝撃吸収率は15%であった。
(粘着テープ)
得られた粘着層(2−A)と基材層(2−B)をハンドローラーにて貼り合わせ、テープを得た。そして、このテープの基材層(2−B)上に、シリコーンエラストマー(バイオクリンDK、中国塗料(株)製)をアプリケーターにて塗工し、厚み150μmのシロップ層を形成した。これを150℃で10分間硬化させ、粘着テープ(2)を作成した。
粘着テープ(2)の構成は、防汚層(厚み=150μm)/基材層(厚み=150μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例3〕
(粘着層)
実施例1と同様に行い、厚み50μmの粘着層(3−A)を得た。
(基材層)
ペレット状の水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS、クレイトンポリマー社製、G1652)をトルエン溶液中に均一に溶解させシロップを得た。
セパレーター(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)の表面に、得られたシロップをアプリケーターにて塗工し、厚み250μmのシロップ層を形成した。その後、150℃×10minにてトルエン溶液を蒸発させ、厚み150μmの基材層(C3−B)を得た。
基材層(3−B)の衝撃吸収率は15%であった。
(粘着テープ)
得られた粘着層(3−A)と基材層(3−B)をハンドローラーにて貼り合わせ、テープを得た。そして、このテープの基材層(3−B)上に、シリコーンエラストマー(バイオクリンDK、中国塗料(株)製)をアプリケーターにて塗工し、厚み150μmのシロップ層を形成した。これを150℃で10分間硬化させ、粘着テープ(3)を作成した。
粘着テープ(3)の構成は、防汚層(厚み=150μm)/基材層(厚み=150μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
〔実施例4〕
(粘着層)
実施例1と同様に行い、厚み50μmの粘着層(4−A)を得た。
(基材層)
エーテルウレタン(製品名「EST−001」、厚み150μm、Fait Plast社製)を用いて、基材層(4−B)とした。
基材層(4−B)の衝撃吸収率は14%であった。
(粘着テープ)
得られた粘着層(4−A)と基材層(4−B)をハンドローラーにて貼り合わせ、テープを得た。そして、このテープの基材層(4−B)上に、シリコーンエラストマー(バイオクリンDK、中国塗料(株)製)をアプリケーターにて塗工し、厚み150μmのシロップ層を形成した。これを150℃で10分間硬化させ、粘着テープ(4)を作成した。
粘着テープ(4)の構成は、防汚層(厚み=150μm)/基材層(厚み=150μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
また、粘着テープ(4)の鉄球落下試験後の状態を示す写真図を図3に示した。
〔比較例1〕
(粘着層)
実施例1と同様に行い、厚み50μmの粘着層(C1−A)を得た。
(基材層)
真鍮板(厚み400μm)を用いて、基材層(C1−B)とした。
基材層(C1−B)の衝撃吸収率は8%であった。
(粘着テープ)
得られた粘着層(C1−A)と基材層(C1−B)をハンドローラーにて貼り合わせ、テープを得た。そして、このテープの基材層(C1−B)上に、シリコーンエラストマー(バイオクリンDK、中国塗料(株)製)をアプリケーターにて塗工し、厚み150μmのシロップ層を形成した。これを150℃で10分間硬化させ、粘着テープ(C1)を作成した。
粘着テープ(C1)の構成は、防汚層(厚み=150μm)/基材層(厚み=400μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
また、粘着テープ(C1)の鉄球落下試験後の状態を示す写真図を図4に示した。
〔比較例2〕
(粘着層)
実施例1と同様に行い、厚み50μmの粘着層(C2−A)を得た。
(基材層)
ポリエステル板(90790−G1773、厚み500μm、YAMAHA製)を用いて、基材層(C2−B)とした。
基材層(C2−B)の衝撃吸収率は5%であった。
(粘着テープ)
得られた粘着層(C2−A)と基材層(C2−B)をハンドローラーにて貼り合わせ、テープを得た。そして、このテープの基材層(C2−B)上に、シリコーンエラストマー(バイオクリンDK、中国塗料(株)製)をアプリケーターにて塗工し、厚み150μmのシロップ層を形成した。これを150℃で10分間硬化させ、粘着テープ(C2)を作成した。
粘着テープ(C2)の構成は、防汚層(厚み=150μm)/基材層(厚み=500μm)/粘着層(厚み=50μm)であった。
評価結果を表1に示した。
また、粘着テープ(C2)の鉄球落下試験後の状態を示す写真図を図5に示した。
本発明の水生生物付着防止粘着テープは、水中生物が付着して繁殖することを防止できるため、水中構造物(船舶、ブイ、港湾設備、海上油田設備、発電所冷却水用の水路、工場冷却水用の水路、水上浮遊通路など)に好適に利用できる。
1 剥離フィルム
2 防汚層
3 基材層
4 粘着層
100 水生生物付着防止粘着テープ

Claims (4)

  1. 防汚層と基材層と粘着層をこの順に含む粘着テープであって、
    基材層の衝撃吸収率が10%以上である、
    水生生物付着防止粘着テープ。
  2. 前記基材層がエラストマー樹脂を含む、請求項1に記載の水生生物付着防止粘着テープ。
  3. 前記エラストマー樹脂が、ウレタン系エラストマーおよびスチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも1種である、請求項2に記載の水生生物付着防止粘着テープ。
  4. 前記防汚層がシリコーン樹脂を含む、請求項1から3までのいずれかに記載の水生生物付着防止粘着テープ。


JP2012000935A 2012-01-06 2012-01-06 水生生物付着防止粘着テープ Pending JP2013139535A (ja)

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