JP2006142667A - ポリオレフィン系積層フィルム及び粘着フィルム - Google Patents
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Abstract
【構成】引張り弾性率が100〜1200MPaのポリオレフィン系樹脂フィルムの片面側に、水酸基含有ポリエステル系重合体、水酸基含有アクリル系重合体及びイソシアネート化合物を含有する組成物の硬化物からなる塗膜層が形成された引張り弾性率が100〜900MPaのポリオレフィン系積層フィルムであって、該硬化物がウレタン結合をイソシアネート基換算で5〜10重量%含有する該ポリオレフィン系積層フィルム。
【選択図】 なし
Description
ポリオレフィン系樹脂を基材に用いたマーキングフィルム等の粘着フィルムは公知であり、適度な柔軟性のあるフィルムの要求に対し、基材にエラストマー成分をブレンドし、更に基材にアクリル変性ウレタン塗膜を積層することにより、耐傷付き性及び耐久性を向上させた粘着フィルムは公知である(特許文献1)。
しかしながら、該粘着フィルムは表面の耐傷付き性が充分でなく、三次元曲面に粘着フィルムを貼り付けフィルム表面をスキージー等で擦った場合に傷が付き易く、三次元曲面
における耐傷付き性に劣り、特に高光沢のフィルムとしては満足できるものではなかった。
ポリオレフィン系基材の表面に電子線硬化型樹脂からなる保護層を設けた粘着シートも提案されているが(特許文献2)、該粘着シートは、粘着シート貼り付けの際に、シートを少し伸ばすと塗膜層の割れや剥離、艶引けが起こるという問題があった。
(1)引張り弾性率が100〜1200MPaのポリオレフィン系樹脂フィルムの片面側に、水酸基含有ポリエステル系重合体、水酸基含有アクリル系重合体及びイソシアネート化合物を含有する組成物の硬化物からなる塗膜層が形成された引張り弾性率が100〜900MPaのポリオレフィン系積層フィルムであって、該硬化物がウレタン結合をイソシアネート基換算で5〜10重量%含有する該ポリオレフィン系積層フィルム、
(2)塗膜層のヤング率が500〜2500MPaである上記(1)に記載のポリオレフィン系積層フィルム、
(3)組成物が、水酸基含有ポリエステル系重合体5〜70重量%、水酸基含有アクリル系重合体5〜80重量%及びイソシアネート化合物5〜70重量%を含有する上記(1)または(2)に記載のポリオレフィン系積層フィルム、
(4)組成物がポリエステル系重合体とアクリル系重合体との重合体を含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリオレフィン系積層フィルム、
(5)水酸基含有ポリエステル系重合体及び水酸基含有アクリル系重合体の水酸基価が50〜500KOHmg/gである上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリオレフィン系積層フィルム、
(6)イソシアネート化合物が、ヘキサメチレンジイソシアネートのポリグリセリン付加体を含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載のポリオレフィン系積層フィルム、
(7)ポリオレフィン系樹脂フィルムが、多段重合法により製造されたポリプロピレン系熱可塑性エラストマーを含有する上記(1)〜(6)のいずれかに記載のポリオレフィン系積層フィルム、
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載のポリオレフィン系積層フィルムのポリオレフィン系樹脂フィルム側の面に粘着剤層が形成されてなる粘着テープ
に存する。
本発明のポリオレフィン系積層フィルム(以下、「積層フィルム」という)は、引張り弾性率(以下、本発明でいう「引張り弾性率」とは、JIS K 7127に従って得られたものをいう)が100〜1200Mpaのポリオレフィン系樹脂フィルム(以下「基材フィルム」という)の片面側に、水酸基含有ポリエステル系重合体、水酸基含有アクリル系重合体及びイソシアネート化合物を含有する組成物の硬化物からなる塗膜層が形成された引張り弾性率が100〜900MPaのポリオレフィン系積層フィルムであって、該硬化物がウレタン結合をイソシアネート基換算で5〜10重量%含有するポリオレフィン系積層フィルムである。
基材フィルムの引張り弾性率が小さすぎると被着体への積層フィルムの貼付性や、被着体から積層フィルムを剥離する際、フィルムが伸びてしまって剥離が困難になる等取扱い性に劣る恐れがあり、更にフィルムがべたつき、ブロッキングし易くなる。また大きすぎると柔軟性に劣り曲面や折り曲げに対する施工性に劣る恐れがある。基材フィルムの引張り弾性率は150〜900MPaであるのが好ましく、更に150〜700Mpaがより好ましく、特に150〜400Mpaであるのが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンの共重合体、リアクター型のポリプロピレン系熱可塑性エラストマー及びこれらの混合物等が例示できる。また、本発明に用いるポリプロピレン系樹脂としては、曲げ弾性率(本発明でいう「曲げ弾性率」とはJIS K 7171に従って得られたものをいう)が50〜900MPa、特に100〜700MPaのものが好ましい。
前記プロピレンの共重合体としてはプロピレンとエチレンまたは他のα−オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、またはブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ゴム成分を含むブロック共重合体あるいはグラフト共重合体等が挙げられる。前記プロピレンと共重合可能な他のα−オレフィンとしては、炭素原子数が4〜12のものが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン等が挙げられ、その1種または2種以上の混合物が用いられる。通常、α−オレフィンの混合割合はプロピレンに対して1〜10重量%程度である。
なお、結晶融解熱(ΔH)とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、樹脂を一度融解点以上にして溶融した後、10℃/分の速度で冷却した時のDSCチャート上の結晶ピーク面積より計算した値のことである。
これらエラストマー成分等他の合成樹脂は、ポリエチレン系樹脂及び/またはポリプロピレン系樹脂100〜40重量部に対し0〜60重量部配合することができる。
なお、基材フィルムは、内層と中間層の間及び外層と中間層の間に、少なくとも1つの別の層を有していてもよい。この場合、該別の層は、ポリオレフィン系樹脂を含有していてもよいが、それ以外の樹脂、例えば、内層(及び/又は外層)と中間層との接着性を高めるような樹脂、を含有していてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えばサリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系及びトリアジン系等の紫外線吸収剤が挙げられる。その中でも特に、トリアジン系紫外線吸収剤、分子量が400以上のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等の2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホンベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等が挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−エチル−ヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等が挙げられる。
中でも、経時後基材フィルム表面へ吹き出しにくいという点で、ベンゾトリアゾール系またはトリアジン系の紫外線吸収剤でかつ、分子量が300以上であるものが好ましい。 紫外線吸収剤の配合量は、特に制限されるものではなく基材フィルムから吹き出さない範疇であれば良く、基材フィルム中の樹脂成分100重量部に対して通常0.01〜10重量部程度、好ましくは0.05〜5重量部である。
酸化防止剤としては、フェノール系、サルファイド系、リン系、イソシアヌレート系酸化防止剤等が挙げられる。中でも、フェノール系酸化防止剤が酸化防止効果に優れるので好ましく、更にフェノール系とリン系酸化防止剤を併用すると熱安定性が良好となるので特に好ましい。
リン系酸化防止剤としては、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスフォナイト、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフェスフェピン6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,810−テトラキス(1,1ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフェスフェピン−6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン等が挙げられる。
イソシアヌレート系酸化防止剤としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等が挙げられる。
着色剤としては、一般的な有機及び無機顔料が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂の通常の成形温度である300℃前後の温度で耐熱性を有するものであればその目的に応じて適宜選択可能であり、例えば、(ポリ)アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系、キナクリドン系、ジオキサジン系等の各種有機顔料、酸化チタン等の酸化物系、クロム酸モリブデン酸系、硫化物・セレン化物系、フェロシアン化物系、炭酸カルシウム、カーボンブラック等の各種無機顔料が挙げられる。配合量は基材フィルム中の樹脂成分100重量部に対して通常1〜30重量部程度である。
無機系充填材の含有量は通常基材フィルム中の樹脂成分100重量部当たり1〜100重量部である。
滑剤の添加量は通常基材フィルム中の樹脂成分100重量部当たり0.01〜10重量部である。
アンチブロッキング剤の添加量は通常基材フィルム中の樹脂成分100重量部当たり0.01〜10重量部である。
基材フィルムが内層、中間層及び外層を有する等、多層フィルムである場合、各層を積層する方法として、成形した個々のフィルム(層)をラミネーターで貼り合わせる方法やフィルム成形と同時に圧着ラミネートする方法を用いることが出来るが、多層Tダイ押出法によって成形と同時に積層フィルムを作成する方法が工程数も減らすことができて好ましい。
基材フィルムの厚さは、樹脂組成、隠蔽性及び曲面の追随性を考慮して適宜選択されるが、通常30〜500μm、好ましくは50〜300μmである。
易接着処理としては、公知のコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理等の方法が挙げられるが、処理条件は基材フィルムの組成及びヌレ指数(JIS K 6768)の減衰率を考慮し適宜選択することが必要で、塗膜層や粘着剤層、プライマー層等の形成時の基材フィルムの易接着処理面のヌレ指数を最低でも37mN/mに確保する様調整すれば良い。
ウレタン結合の含有量が5重量%より少ないと、塗膜層の耐傷付性や耐溶剤性が低下し、10重量%を超えると塗膜凝集力が向上し、粘着テープ等にした場合貼り付ける際に積層フィルムを伸ばした時の艶引けが発生したりするので好ましくない。なお、硬化物中のウレタン結合の含有量は、下記の(1)式により求めた値である。
(ただし、αはアクリル変性ポリエステルまたは鎖伸長剤等、組成物に任意に配合する成分であり、組成物中の水酸基含有ポリエステル系重合体、水酸基含有アクリル系重合体またはイソシアネート化合物等と反応して硬化物を形成する)
また、塗膜層のヤング率が500〜2500MPaであるのが好ましい。ここでいう塗膜層のヤング率は、(株)フィッシャー・インストルメンツ製ピコデンターにて、ISO14577に準拠して測定されるヤング率であり、ステンレス板に塗膜層を形成し、得られたフィルム(塗膜層)を使用して測定される、すなわち基材フィルムの弾性率の影響を受けない状態で測定された塗膜層そのもののヤング率のことである。
塗膜層のヤング率が小さすぎるとべた付きが大きくなり、基材フィルムに積層した場合にブロッキングを生じたり、また、耐傷付性や耐汚染性が低下する恐れがあるので好ましくない。大きすぎると基材フィルムへの追随性及び密着性に劣る傾向となる。塗膜層のヤング率は500〜2300MPaであるのがより好ましい。
組成物中の水酸基含有ポリエステル系重合体としては、例えば、ポリカルボン酸、その無水物もしくはそのエステルとポリオールとを直接エステル化反応させるかまたはエステル交換反応させることにより製造されたポリエステルポリオールや、ラクトンを開環重合することにより製造されたポリエステルポリオール等が挙げられる。
ポリカルボン酸としては、具体的には例えば、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、マロン酸、ドデカンジカルボン酸、水添ダイマー酸、フマル酸、マレイン酸もしくはダイマー酸等の飽和または不飽和の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはヘキサヒドロフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等を挙げることができる。
ポリカルボン酸等は、1種類のみを使用しても、複数種を組み合わせて使用してもよく、例えば、複数種のジカルボン酸を併用しても、またジカルボン酸とトリカルボン酸を併用してもよい。
水酸基含有ポリエステル系重合体の重量平均分子量は、一般に、5000〜500000、好ましくは10000〜100000、更に好ましくは20000〜60000である。
水酸基含有アクリル系重合体の重量平均分子量としては、一般に、500〜100000、好ましくは1000〜50000、更に好ましくは1000〜20000である。
そのようなブロック化イソシアネート化合物の製造に用いられるブロック剤としては、例えば、フェノール類、オキシム類、ラクタム類、アルコール類、メルカプタン類またはマロン酸ジエチル等の活性メチレン含有化合物が挙げられる。
上記の非ブロック化イソシアネート化合物及びブロック化イソシアネート化合物はそれぞれ単独で使用することができるが、両成分を併用してもよい。
またイソシアネート化合物は、組成物中で5〜70重量%であることが好ましい。イソシアネート化合物の量は、イソシアネート化合物のイソシアネート基含有率、水酸基含有ポリエステル系重合体の水酸基価と配合量及び水酸基含有アクリル系重合体の水酸基価と配合量によって決定されるもので、イソシアネート基(NCO)数と水酸基(OH)数の比率(NCO/OH)が、0.5〜2の範囲になるように選択するのが好ましい。
更に組成物には、組成物の架橋反応を促進することを目的として、硬化触媒を加えることもできる。該硬化触媒としては、例えばオクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、モノブチル錫トリオクテート、2−エチルヘキサン酸鉛またはオクチル酸亜鉛等の有機金属化合物を挙げることできる。硬化触媒の使用量は特に制限されるものではないが、一般には組成物中0.005〜5重量%、特に0.01〜3重量%が適している。
紫外線吸収剤及び/またはヒンダードアミン系光安定剤の配合量が少ないと、耐候性が劣る恐れがあり好ましくない。一方、配合量が多すぎると耐溶剤性及び耐傷付き性が低下するので好ましくない。
その他、塗膜層にはその性能を損なわない範囲で酸化防止剤、帯電防止剤、有機系及び/または無機系粉末等が配合されていてもよい。
塗膜層の厚さは、0.5〜30μmであるのが好ましい。厚さが薄すぎると、耐傷付き性が劣るため好ましくない。また、厚すぎても積層フィルムのカール発生や、塗膜層のクラックの発生を生じるため好ましくない。より好ましくは1〜20μmである。
また、積層フィルムの厚さは60〜200μmであるのが好ましい。
粘着剤としてはアクリル系、ゴム系の粘着剤いずれでもよいが、積層フィルムを屋外で使用する場合は耐候性の高いアクリル系粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体の重合体等アクリル系重合体からなるものが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、炭素数2〜12のアルキル基を有する、好ましくは炭素数4〜12のアルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソノニルまたは(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。粘着性と凝集性のバランス等から、通常ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が−50℃以下である(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、(メタ)アクリル酸エチル等の低級アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを併用するのが好ましい。
また、上記アクリル系粘着剤のアクリル系重合体としては、上記のビニル単量体以外にこれらと共重合可能な単量体が共重合されても構わない。このような共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸もしくはイタコン酸等のカルボキシル基含有単量体またはその無水物や、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレートまたはカプロラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体等が挙げられる。
粘着剤層の厚さは、粘着剤の組成により異なり、特に限定されるものではないが、通常20〜50μmである。
基材フィルムへの粘着剤層の形成は、例えば、上記記載の粘着剤及び必要に応じその他の各成分を混合した組成物を有機溶剤に溶解し、更に必要に応じ希釈剤等を用いて適当な濃度に調製し、剥離材(例えばシリコン塗布を施した剥離紙)にバーコート、ナイフコート、ロールコート、ダイコートまたはグラビアロールコート等の公知の方法で塗工し、次いで熱風乾燥機等を用いて乾燥させた後、片面側に塗膜層が形成された基材フィルムの反対面に粘着剤層を積層することにより製造される。
プライマ−層に用いられるアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アルキルの重合体や(メタ)アクリル酸アルキルと共重合性単量体との共重合体またはこれらの混合物が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基またはオクチル基等が挙げられる。また共重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル(例えば、ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシブチルエステルまたはヒドロキシヘキシルエステル等)、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレートまたはt −ブチルアミノエチルメタクリレート等)、酢酸ビニル、スチレンまたはアクリロニトリル等が挙げられる。
プライマ−層に用いられるアクリル変性ウレタン系樹脂としては、上述のウレタン系樹脂と、ラジカル重合性不飽和単量体及び/またはその重合体からなるアクリル成分とを共重合して得られる樹脂が挙げられ、該アクリル変性ウレタン系樹脂が水酸基を有している場合には、更にイソシアネート化合物で架橋させることもできる。
プライマー層の形成は、上述の塗膜層や粘着剤層の形成に準じて行えばよい。
(1)基材フィルムの製造
(A) プロピレンランダム共重合体(グランドポリマー(株)製、グランドポリプロF327)100重量部及びヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)0.1重量部よりなる混合物を用いて、三菱重工業(株)製押出成型機により、厚さ0.1mmのポリオレフィン系樹脂フィルムを作成した。得られたフィルムの引張り弾性率は、600MPaであった。次にフィルムの両面に、ヌレ指数が45mN/mになるようにコロナ処理を施し、基材フィルムとした。
(C) プロピレンランダム共重合体(グランドポリマー(株)製、グランドポリプロF327)50重量部、多段重合法により製造されたポリプロピレン系熱可塑性エラストマー(サンアロマー(株)製、キャタロイC200F)50重量部及びヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、キマソーブ944)0.1重量部よりなる混合物を用いて、三菱重工業(株)製押出成型機により、厚さ0.1mmのポリオレフィン系樹脂フィルムを作成した。得られたフィルムの引張り弾性率は、350MPaであった。次にフィルムの両面に、ヌレ指数が45mN/mになるようにコロナ処理を施し、基材フィルムとした。
(2)塗膜層の形成
(2)−1 水酸基含有ポリエステル系重合体の製造
撹拌機、温度制御装置及びコンデンサー付脱水装置を備えたフラスコに、表−1に示した共重合成分とキシレン5重量部とを仕込み、撹拌しながら加熱し、2時間かけて230℃まで昇温し、7時間エステル化反応を行った。反応終了後、100℃まで冷却して酢酸ブチル15重量部を添加し、室温まで冷却しポリエステルポリオール(a)〜(c)を製造した。
上記と同様のフラスコに、ソルベントナフサ(溶媒)を100重量部仕込み、撹拌しながら加熱し、溶媒温度を100℃まで上げた。続いて表−2に記載の共重合成分をそれぞれ2時間かけて滴下し、その後4時間かけて重合させてアクリルポリオール(a’)〜(c’)を製造した。
次に(1)で得られた基材フィルムの片面に、前記の塗料をリバースロールコーターで塗工後、80℃の熱風乾燥機内で1分間加熱乾燥させた後、40℃オーブンにて3日間エージングさせて塗膜層を形成し、積層フィルムを得た。なお、乾燥後の塗膜層の厚さは、10μmであった。
(3)粘着剤層の形成
アクリル系粘着剤(綜研化学(株)製 SKダイン1502C)をセパレータ上にコンマコート法にて、乾燥後の粘着剤層の厚みが25μmになるように塗工し、80℃の熱風乾燥機にて5分間乾燥させた後、(2)で得られた積層フィルムの基材フィルム側の面とラミネートして粘着剤層を形成し、粘着テープを得た。
(4)塗膜層のヤング率の測定
表−3に記載の組成物よりなる塗膜層形成用塗料を、ステンレス板 SUS304の上にバーコーターを用いて厚さ10μmになるように塗工し、80℃の熱風乾燥機で5分間乾燥させた後、40℃オーブン内で3日間エージングさせてヤング率測定用サンプルを作成した。
(5)粘着テープの評価
(3)で得られた粘着テープについて以下の評価を実施し、結果を表−3に記載した。
粘着テープの塗膜層表面をスチールウール#0000番で100g荷重にて50往復研磨を行い、塗膜層表面の傷付き状態を目視で評価した。
◎ : 全く傷付きが見られない
○ : 極微小な傷付きが見られる
△ : 傷付きが見られる
× : 著しい傷付きが見られる
b)洗車ブラシ傷付き試験
(3)で得られた粘着テープのセパレータを剥離し、軽自動車の車体表面の三次元曲面に貼り付け、一般のガソリンスタンドの洗車機にて洗車を実施したのち、塗膜層表面の傷付き状態を目視で評価した。
◎ : 全く傷付きが見られない
○ : 極微小な傷付きが見られる
△ : 傷付きが見られる
× : 著しい傷付きが見られる
(3)で得られた粘着テープのセパレータをはがし、図1に示した金属製の三次曲面の表面に貼り付け、5分経過後、剥離作業を実施し、その際の塗膜層の状態を目視観察した。
○ : 塗膜層に変化が見られない
△ : 塗膜層に微小クラックが発生、もしくは光沢が若干低下する
× : 塗膜層が完全に割れ、光沢が著しく低下する
d)塗膜層と基材フィルムとの密着性
c)に記載の剥離作業を実施した後、塗膜層表面と市販の粘着テープの粘着面とをローラーを用いて密着させ、180°剥離したときの塗膜層の剥離状態を目視評価した。なお、剥離は手動で行い、瞬時の高速度で実施した。
◎ : 全く剥離しない
○ : 僅かに塗膜層の剥離が見られる
△ : 部分的に塗膜層の剥離が見られる
× : 塗膜層が完全に粘着テープ側に転写する
Claims (8)
- 引張り弾性率が100〜1200MPaのポリオレフィン系樹脂フィルムの片面側に、水酸基含有ポリエステル系重合体、水酸基含有アクリル系重合体及びイソシアネート化合物を含有する組成物の硬化物からなる塗膜層が形成された引張り弾性率が100〜900MPaのポリオレフィン系積層フィルムであって、該硬化物がウレタン結合をイソシアネート基換算で5〜10重量%含有する該ポリオレフィン系積層フィルム。
- 塗膜層のヤング率が500〜2500MPaである請求項1に記載のポリオレフィン系積層フィルム。
- 組成物が、水酸基含有ポリエステル系重合体5〜70重量%、水酸基含有アクリル系重合体5〜80重量%及びイソシアネート化合物5〜70重量%を含有する請求項1または2に記載のポリオレフィン系積層フィルム。
- 組成物がポリエステル系重合体とアクリル系重合体との重合体を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系積層フィルム。
- 水酸基含有ポリエステル系重合体及び水酸基含有アクリル系重合体の水酸基価が50〜500KOHmg/gである請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオレフィン系積層フィルム。
- イソシアネート化合物が、ヘキサメチレンジイソシアネートのポリグリセリン付加体を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系積層フィルム。
- ポリオレフィン系樹脂フィルムが、多段重合法により製造されたポリプロピレン系熱可塑性エラストマーを含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系積層フィルム。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリオレフィン系積層フィルムのポリオレフィン系樹脂フィルム側の面に粘着剤層が形成されてなる粘着テープ。
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