JP7405496B2 - 乗物加飾粘着シート用離型フィルム、乗物加飾粘着シート用積層フィルム及び乗物加飾粘着シート - Google Patents

乗物加飾粘着シート用離型フィルム、乗物加飾粘着シート用積層フィルム及び乗物加飾粘着シート Download PDF

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Description

本発明は、例えば自転車、オートバイ、自動車などの乗物へ意匠性を付与するために用いられる乗物加飾粘着シート用離型フィルム、乗物加飾粘着シート用積層フィルム、及びそれを用いた乗物加飾粘着シートに関する。
従来、工業用の粘着フィルム(テープ)、看板、自動車等へ意匠性を付与するために貼り付けされるステッカー、ラベル及びマーキングフィルム等の装飾用粘着フィルム(テープ)、化粧シート等には、着色性、加工性、耐傷付き性、耐候性等が優れるポリ塩化ビニル樹脂製フィルムやポリオレフィン系樹脂製フィルムが原反フィルムとして広く用いられていた。
ポリオレフィン系樹脂フィルムを基材に用いたマーキングフィルム等の粘着フィルムは公知であり、適度な柔軟性のあるフィルムの要求に対し、基材にエラストマー成分をブレンドし、更に基材にアクリル変性ウレタン塗膜を積層することにより、耐傷付き性及び耐久性を向上させた粘着フィルムは公知である( 特許文献1 ) 。
また、柔軟性に優れたポリオレフィン系樹脂を用い、さらに高光沢であり、耐傷付き性、曲面追従性、貼り付け作業性等が良好なマーキングフィルムをはじめとする各種用途に適した積層フィルムに関する提案もなされている(特許文献2、3)
上記特許文献1から3に記載のフィルムを用いると、三次元形状を有する成形品にも耐傷付き性、耐久性を付与することが可能となる。また、優れた光沢性を有することから、美麗な外観を有する成形品を得ることができ、自動車などの乗物の内外装用途にも好適に用いることが可能となる。
しかしながら、乗物の内外装に用いられる成形品には、外観の美麗さの要求の高まりに伴い、さらなる光沢性の向上、外観に優れたフィルムが求められる傾向にある。
特許文献2、3に記載のフィルムを用いる方法では、積層している離型フィルムの種類によっては十分な光沢が付与できない、離型層を積層する際に離型フィルムにシワや凹凸が発生し、得られるフィルムや成形品にも外観の不良や光沢性を不足させることがあった。
また、離型層の種類によっては離型層との剥離が不十分である、剥離した際に外観が悪化する等の問題がある。さらに、ロール・トゥ・ロール方式により積層フィルムを巻き取った際の離型フィルムのシワや凹凸、得られる積層フィルムへの外観の観点から改善の余地があった。
特開2004-2825号公報 特開2007-83530号公報 特開2007-297569号公報
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、乗物加飾粘着シートに用いた場合でもシワや凹凸が無く離型性に優れた離型フィルム、またその離型フィルムを用いた高光沢であり、耐傷付き性、曲面追従性、貼り付け作業性等が良好なマーキングフィルムをはじめとする各種用途に適した乗物加飾粘着シート用積層フィルム及び乗物加飾粘着シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、乗物加飾粘着シートに用いた場合でも粘着シートがシワや凹凸が無く離型性に優れた離型フィルム、またその離型フィルムを用いた積層フィルムを得る方法を鋭意検討した結果、特定の条件における伸度が一定の範囲内にある基材フィルムを離型フィルムに用いることにより、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 以下の条件で熱機械分析した際に、以下の範囲の伸度(i)を示す基材フィルムを含み、該基材フィルムの少なくとも片方の面に離型層を有することを特徴とする乗物加飾粘着シート用離型フィルム。
<条件>
試験片サイズ:幅4mm×長さ40mm
チャック間距離:8mm
測定雰囲気:窒素雰囲気下(窒素流量100ml/min)
昇温速度:10℃/min(開始温度:23℃、終了温度:240℃)
荷重:400mN
<伸度(i)>
125℃における基材フィルムの伸度の絶対値が40μm以下
[2] 前記離型層が、メラミン樹脂を含有する樹脂組成物からなる層である、[1]に記載の乗物加飾粘着シート用離型フィルム。
[3]前記基材フィルムがポリエステル系樹脂フィルムである、[1]又は[2]に記載の乗物加飾粘着シート用離型フィルム。
[4]前記ポリエステル系樹脂フィルムがポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムである、[3]に記載の乗物加飾粘着シート用離型フィルム。
[5]前記基材フィルムの表面粗さ(Rz)が1.20μm以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の乗物加飾粘着シート用離型フィルム。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の乗物加飾粘着シート用離型フィルムを含む乗物加飾シート用積層フィルム。
[7]原反フィルムの少なくとも片面上に、ポリウレタン系樹脂層(A層)、アクリル系樹脂層(B層)、[1]~[5]のいずれかに記載の乗物加飾粘着シート用離型フィルムを原反フィルム/A層/B層/乗物加飾粘着シート用離型フィルム(前記離型フィルムの離型層はB層側に配置される)の順に有する乗物加飾粘着シート用積層フィルム。
[8]前記ポリウレタン系樹脂層(A層)が、少なくともポリエステル骨格またはポリカーボネート骨格のいずれかを有するポリオールと、多官能の脂肪族イソシアネートとの反応硬化物からなる、[7]に記載の乗物加飾粘着シート用積層フィルム。
[9]前記アクリル系樹脂層(B層)が、アクリルポリオールとカプロラクトンポリオールとイソシアネート系架橋剤を含む組成物の硬化物からなる、[7]又は[8]に記載の乗物加飾粘着シート用積層フィルム。
[10]前記アクリルポリオールの水酸基価が50mgKOH/g以上である、[9]に記載の乗物加飾粘着シート用積層フィルム。
[11]前記カプロラクトンポリオールの重量平均分子量(Mw)が500未満である[9]又は[10]に記載の乗物加飾粘着シート用積層フィルム。
[12][7]~[11]のいずれかに記載の乗物加飾粘着シート用積層フィルムの原反フィルムのA層が配置されている面とは反対側の面に粘着剤層を有する、乗物加飾粘着シート。
本発明によれば、乗物加飾用途の積層フィルムや粘着シートに用いた場合に、フィルム全般に亘ってシワや凹凸が少なく外観が優れた乗物加飾粘着シート用積層フィルムや粘着シートを提供し得る、離型性に優れた離型フィルムを得ることができる。また、本発明の離型フィルムを用いることにより、高光沢であり、耐傷付き性、曲面追従性、貼り付け作業性等が良好な乗物加飾シート用積層フィルムと、該フィルムに粘着層を有する乗物加飾用粘着シートを提供することができる。
以下に本発明について詳述するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。尚、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
1.乗物加飾粘着シート用離型フィルム
本発明の乗物加飾粘着シート用離型フィルム(以下、「本発明の離型フィルム」ともいう。)は、以下の条件で熱機械分析した際に、以下の範囲の伸度(i)を示す基材フィルムを含み、該基材フィルムの少なくとも片面に離型層を有する。
本発明の離型フィルは、以下の範囲の伸度を有することにより、熱収縮の影響によって生じるシワや凹凸が少なく美麗な外観を有する乗物加飾粘着シート用積層フィルムを提供できることから、乗物加飾用途に好適に用いられる。
<条件>
試験片サイズ:幅4mm×長さ40mm
チャック間距離:8mm
測定雰囲気:窒素雰囲気下(窒素流量100ml/分)
昇温速度:10℃/分(開始温度:23℃、終了温度:240℃)
荷重:400mN
熱機械分析は、日立ハイテクサイエンス社製の熱機械分析装置TMA7100を用いて測定することができる。
<伸度(i)>
125℃における基材フィルムの伸度の絶対値が40μm以下
[基材フィルム]
本発明の離型フィルムは、基材フィルムの125℃における伸度(i)の絶対値が40μm以下であることが必要である。
本発明者は、これまで様々な離型フィルムを用いて乗物加飾粘着シート用積層フィルムを作製してきたが、後述する離型層を基材フィルムに積層させる工程において、基材フィルムが熱による伸びや収縮によりしわや凹みを発生し、これに起因して得られる乗物加飾粘着シート用積層フィルム(以下、単に「積層フィルム」ともいう。)にもシワや凹みが転写されてしまうという因果関係を見出した。
本発明の離型フィルムが前記範囲の伸度を満たすことにより、後述する離型層を積層する加工の際にも、基材フィルムの熱による伸びや収縮で発生するシワや凹みの影響が少なくなり、得られる乗物加飾粘着シート用積層フィルムの外観を良好に保つことができる。かかる伸度の絶対値は好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下である。
また、得られる積層フィルムは離型フィルムの光沢がそのまま転写されるため、離型フィルムに用いられる基材フィルムの表面はできるだけ平滑であることが好ましい。そのため、本発明の離型フィルムの基材フィルム表面の平滑性を示す表面粗さ(Rz)は、1.20μm以下、好ましくは1.15μm以下、更に好ましくは1.10μm以下である。基材フィルムの表面粗さが1.20μm以下であれば高光沢な外観の積層フィルムが得られるため、より好ましい。
本発明で用いられる基材フィルムは、上記伸度(i)を満たすものであれば公知の物を用いることができる。例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
中でも、透明性や平滑性、入手のしやすさの観点から、ポリエステル系樹脂からなるフィルムを用いることが好ましい。ポリエステル系樹脂フィルムを構成するポリエステル系樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステル系樹脂であり、好ましくは結晶性の線状飽和ポリエステルである。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレートを挙げることができる。
ポリエステル系樹脂としては、構成する成分が他の成分に置換された共重合体であってもよく、他のポリマーが混合された混合物であってもよく、例えばポリアルキレングリコールとの混合物であってもよい。
ポリエステル系樹脂を用いた基材フィルムである場合は、二軸延伸されたフィルムであることが好ましい。二軸延伸は公知の方法で行うことができる。例えば、ポリエステルを乾燥後溶融し、ダイ(例えばT-ダイ、I-ダイ)から冷却ドラム上に押出し、急冷して未延伸フィルムを得る。続いて未延伸フィルムを縦方向に2~5倍の範囲で延伸し、次いで横方向に2~5倍の範囲で延伸を行ない、更に160~260℃で熱固定する。このようにして二軸延伸されたフィルムを製造することができる。
基材フィルムの厚さとしては、フィルムの取扱い性や経済性の観点から30μm以上125μm以下であることが好ましい。基材フィルムの厚さが30μm以上であれば後述する離型層を積層する加工の際の収縮を抑制することが可能となり、125μm以下であれば経済性やフィルムの取扱い性を良好に保つことが可能となる。
基材フィルムには、フィルムの滑り性、加工性を良好なものとするために滑剤が含有されていてもよい。滑剤としては、例えば炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、酸化チタンといった無機微粒子を例示することができる。また、基材フィルムには、他の添加剤、例えば安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤が含有されていてもよい。
なお、艶消し外観が要求される用途には、マット調のポリエステルフィルムを用い、好ましくは無機顔料を配合したポリエステルフィルムを用い、無機顔料として酸化チタン、シリカの如き顔料を例示することができる。
[離型層]
本発明では、上記基材フィルム上に離型層を設けることが必要である。本発明における離型層とは、上記基材フィルムと、乗物加飾粘着シートの転写箔となるアクリル系樹脂層(B層)との間に存在し、原反フィルム上のポリウレタン系樹脂層(A層)に、アクリル系樹脂層(B層)を転写した後に基材フィルムを容易に剥離することを目的とした層である。離型性を付与する材料としては特に制限はなく公知の離型剤を用いることができる。
公知の離型剤としては、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。中でも後述するアクリル系樹脂層(B層)との離型性や外観への影響の観点から、メラミン樹脂を用いることが好ましい。
メラミン樹脂としてはメラミンホルムアルデヒド樹脂やメチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂、ブチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂、エーテル化メラミンホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。離型層上へのB層形成時の塗液のハジキや、離型フィルム剥離時のブロッキングの点からメチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂が好ましい。離型層は基材フィルム上に塗布後、加熱乾燥させることで脱溶剤及び硬化反応により形成される。
離型層が主剤と硬化剤とからなる2液硬化型メラミン樹脂からなる場合、主剤と硬化剤との混合比は重量比で90:10~50:50の範囲にあることが好ましい。硬化剤の混合割合が10質量%未満もしくは50質量%以上のいずれの場合においても、離型フィルムの剥離時に離型層がB層から剥離できなくなることがある。
メラミン樹脂を加熱乾燥、硬化させる際の温度としては、120℃以上160℃以下に設定することが好ましい。120℃以上であればメラミン樹脂を十分に硬化させることが可能となり、160℃以下であれば基材フィルムの熱による収縮の影響を抑制することが可能となる。より好ましくは120℃以上150℃以下、さらに好ましくは120℃以上140℃以下である。
離型層の厚みは、0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.3μm以上であり、1μm以下、好ましくは0.9μm以下、更に好ましくは0.8μm以下である。薄すぎると、離型性が低下し、厚すぎると、離型層のムラが発生し、離型フィルムの外観が悪化する。
2.乗物加飾粘着シート用積層フィルム
[原反フィルム]
本発明の積層フィルムに用いられる原反フィルムは、公知の材料を用いることができる。材料としては特に制限はなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を適宜選択して用いることができる。樹脂の入手のし易さや取扱い性の観点から、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
中でも入手のし易さや取扱い性、経済性の観点から、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂を用いることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂を用いる場合、ポリオレフィン系樹脂の含有量は50~100質量%であるのが曲面への追随性等の諸性能が良好となるので好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体( 低密度ポリエチレン(LDPE) 、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE) 、メタロセン系触媒を用いて重合して得られたエチレン-α-オレフィン共重合体(メタロセン系ポリエチレン) )及びこれらの2種以上の混合物等が例示できる。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンの共重合体、リアクター型のポリプロピレン系熱可塑性エラストマー及びこれらの2 種以上の混合物等が例示できる。また、本発明に用いるポリプロピレン系樹脂としては、引張弾性率が50~900MPa 、特に100~700MPaのものが好ましい。
前記プロピレンの共重合体としてはプロピレンとエチレンまたは他のα-オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)やブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ゴム成分を含むブロック共重合体あるいはグラフト共重合体等が挙げられる。前記プロピレンと共重合可能な他のα-オレフィンとしては、炭素原子数が4~12のものが好ましく、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、1-デセン等が挙げられ、その1種または2種以上の混合物が用いられる。
また、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を0~50質量%の範囲内で添加することも可能である。添加可能な樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、エチレン-メチルアクリレート共重合体やエチレン-メタクリル酸共重合体やエチレン-メチルメタクリレート共重合体等のアクリル系樹脂およびアイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、エチレン-ビニルアルコール共重合体、スチレン系エラストマー等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂との相溶性や得られるフィルムの機械特性の観点から、スチレン系エラストマーを用いることが好ましい。
スチレン系エラストマーとは、芳香族ビニル重合体ブロックと、ブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、ブタジエン/イソプレン共重合体ブロック、水添されたブタジエン重合体ブロック、水添されたイソプレン重合体ブロック、水添されたブタジエン/イソプレン共重合体ブロック、部分水添されたブタジエン重合体ブロック、部分水添されたイソプレン重合体ブロックおよび部分水添されたブタジエン/イソプレン共重合体ブロックの中から選ばれた少なくとも1種とのブロック共重合体である。
ポリ塩化ビニル系樹脂を用いる場合は、任意の平均重合度のポリ塩化ビニル系樹脂を用いることができる。好ましくは、ポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、600~3,000である。平均重合度が600以上であれば、十分な機械強度を得ることができる。一方、平均重合度が3,000を超えると、加工性(流動性)の低下が著しくなる割には機械的物性の向上がなく実用的でない。
よって、このような観点から、ポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、前述の範囲の中でも特に700以上が好ましく、2,900以下であることがより好ましく、その中でも800以上、2,800以下であることがさらに好ましい。
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニルの単独重合体(「ポリ塩化ビニル系単独重合体」と称する)のほか、ポリ塩化ビニルと共重合可能な単量体との共重合体(以下、「ポリ塩化ビニル系共重合体」とする)、このポリ塩化ビニル系共重合体以外の重合体に塩化ビニルをグラフト共重合させたグラフト共重合体(以下、ポリ塩化ビニル系グラフト共重合体)などを挙げることができる。
ポリ塩化ビニル系共重合体は、共重合体中の塩化ビニル単量体以外の構成単位の含有量が多くなると機械的特性が低下するため、ポリ塩化ビニル系共重合体中に占める塩化ビニル単量体の割合が60~99質量%であることが好ましい。ポリ塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、分子中に反応性二重結合を有するものであればよい。
ポリ塩化ビニル系単独重合体、および、ポリ塩化ビニル系共重合体は、任意の方法、例えば乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などで重合することができる。
また、ポリ塩化ビニル系樹脂には必要に応じて可塑剤を含有させることができる。可塑剤としては、例えば、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤;アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブトキシエチル、アジピン酸ビス(ブチルトリグリコール)等のアジピン酸エステルやアジピン酸ポリエステルに代表されるアジピン酸系可塑剤;エポキシ化アマニ油、液状エポキシ樹脂等のエポキシ系可塑剤;トリフェニルホスフェート、トリキシリルホスフェート、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;ジオクチルセバケート、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル、安息香酸エステル、ポリエステル系可塑剤等のその他の可塑剤を挙げることができる。
本発明で用いられる原反フィルムには、必要に応じて各種添加剤を添加することもできる。添加剤としては、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤及び着色剤等が挙げられる。
本発明で用いられる原反フィルムは、ポリウレタン系樹脂層(A層)等の塗膜層や粘着剤層、プライマー層等との密着性を高めるために、フィルムの表面に易接着処理を施すことができる。
易接着処理としては、公知のコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、火炎処理等の方法が挙げられる。
本発明で用いられる原反フィルムの厚みは、80μm以上、好ましくは85μm以上、更に好ましくは90μm以上であり、上限は特に制限はないが、好ましくは1mm以下、より好ましくは800μm以下、更に好ましくは700μm以下である。
薄すぎると、貼り合せた際の被着体の表面の凹凸を拾って外観不良を起こす可能性がある。フィルムのハンドリングの観点からは上記範囲内の原反フィルムを用いることが好ましい。
原反フィルムは単層でも多層でもよく、また複合フィルムであってもよい。
[ポリウレタン系樹脂層(A層)]
本発明の積層フィルムは、前記原反フィルムの少なくとも片面側に、ポリウレタン系樹脂層(A層)を有する。
ポリウレタン系樹脂層(A層)は、有機ジイソシアネート、高分子量ポリオール、及び鎖延長剤を反応させて得られるポリウレタン系樹脂を主成分とし、その他、光安定剤や紫外線吸収剤を含有する組成物の硬化物からなる塗布層である。
上記有機ジイソシアネート、高分子量ポリオール、鎖延長剤を反応させて得られるポリウレタン系樹脂の製造において用いられる有機ジイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、ω,ω’-ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
これらの中でも、塗膜層の機械強度を重視する場合には、多官能の芳香族ジイソシアネート、耐候性を重視する場合には多官能の脂肪族ジイソシアネート、特にイソホロンジイソシアネートが好ましい。
高分子量ポリオールとしては、ポリカーボネート骨格を有するポリカーボネートグリコール(ジオール)、ポリエーテルグリコール、ポリエーテルエステルグリコール、ポリエステルグリコール等のポリエステル骨格を有するポリオール、ポリオレフィングリコール等のポリオレフィンポリオール、シリコンポリオール等が挙げられ、中でもポリカーボネートグリコールが好ましい。ポリカーボネートグリコールとしては低分子量ジオールとアルキレンカーボネートまたはジアルキルカーボネートとから脱グリコールまたは脱アルコールによって得られるポリブチレンカーボネートグリコール、ポリヘキサメチレンカーボネートグリコール、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネートグリコール等が挙げられる。ポリエーテルグリコールとしては環状エーテルを開環重合して得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ポリエーテルエステルグリコールとしてはポリエステルグリコールに環状エーテルを開環重合したもの、ポリエーテルグリコールとジカルボン酸とを重縮合したもの、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート等が挙げられる。ポリエステルグリコールとしてはジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸等)またはその無水物と低分子量ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサングリコール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等)との重縮合によって得られるもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリブチレンセバケート等、低分子量ジオールへのラクトンの開環重合によって
得られるもの、例えばポリカプロラクトン、ポリメチルバレロラクトン等が挙げられる。ポリオレフィンポリオールとしてはポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。シリコンポリオールとしてはポリジメチルシロキサンポリオール等が挙げられる。高分子量ポリオールは上記したものを2種類以上混合して用いてもよい。
高分子量ポリオールの重量平均分子量は通常200~10,000、好ましくは500~6,000、より好ましくは1,000~3,000である。分子量が小さすぎると塗膜層の柔軟性が乏しく、分子量が大きすぎると密着性が低下する傾向にある。
有機ジイソシアネートと高分子量ポリオールの反応仕込み量はNCO/OH(モル比)で1.0~10、好ましくは1.5~5である。この比が小さすぎるとハードセグメント量が少なくなり塗膜層の耐傷付き性が低下する傾向となる。一方、大きすぎると溶解性が乏しく、粘度も高くなりすぎる傾向にあるので好ましくない。
鎖延長剤としては、ポリエステルポリオールの原料として用いられる通常分子量500未満の低分子ジオール化合物、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサングリコール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノールA等の芳香族系ジオール、N-メチルジエタノールアミン等のジアルカノールアミン等が挙げられる。更に、2,4-もしくは2,6-トリレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4'-ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、1,2-プロピレンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,2,4-もしくは2,4,4-トリメチルヘキサンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、イソホロンジアミン等の脂肪族ジアミン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(IPDA)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン(水添MDA)、イソプロピリデンシクロヘキシル-4,4’-ジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリシクロデカンジアミン等の脂環式ジアミン等の低分子ジアミン化合物が挙げられる。これら鎖延長剤は2種類以上の混合物として用いることも可能である。また、トリメチロールプロパン、グリセリン等のポリオール類も一部併用することができる。
また、ウレタン系樹脂の製造においては必要により末端停止剤を使用してもよい。該末端停止剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のモノアルコール、モノエチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン等のモノアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられる。
原反フィルムへのA層の形成方法は、上記各成分を公知の有機溶剤に溶解し、更に必要に応じ希釈剤等を用いて適当な濃度に調製し、バーコート、ナイフコート、ロールコート、ダイコートまたはグラビアロールコート等の公知の方法で塗工し、次いで熱風乾燥機等を用いて、通常50~200℃で数秒間~数分間加熱して乾燥及び硬化させることにより行うことができる。硬化速度が遅い場合、塗工乾燥後、例えば40~50℃の室温下にて数日間硬化反応を促進させることが好ましい。
このようにして形成されたA層の厚さは、0.2μm、好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上であり、上限は10μm、好ましくは7μm以下、更に好ましくは5μmである。厚さが薄すぎると十分な密着性が得られなくなるため好ましくない。また、厚すぎても積層フィルムのカール発生や、塗膜層のクラックの発生を生じるため好ましくない。
[アクリル系樹脂層(B層)]
本発明の積層フィルムは、原反フィルム上に、ポリウレタン系樹脂層(A層)、次いでアクリル系樹脂層(B層)、及び本発明の離型フィルムをこの順序、即ち、原反フィルム/A層/B層/本発明の離型フィルム(前記離型フィルムの離型層はB層側に配置される)の順に積層したフィルムである。アクリル系樹脂層(B層)は、アクリルポリオールとカプロラクトンポリオールとイソシアネート系架橋剤を含む組成物の硬化物からなる。
アクリルポリオールは、(メタ)アクリル酸誘導体モノマーを重合させて得られる高分子化合物、又は(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとその他のモノマーとを共重合させて得られる高分子化合物などのうち、末端にヒドロキシル基を有するもので、イソシアネート系化合物のイソシアネート基と反応するものである。
末端にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプチル(メタ)アクリレートなどがある。
末端にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレートなどの末端にアルキル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマー、(メタ)アクリル酸などの末端にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマー、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレートなどの末端に芳香環や環状構造を有する(メタ)アクリル酸誘導体モノマーがある。(メタ)アクリル酸誘導体モノマー以外では、スチレンモノマー、シクロへキシルマレイミドモノマー、フェニルマレイミドモノマーなどがある。上記のその他のモノマーは、それ自身が末端にヒドロキシル基を有していてもよい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を指し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方を指す。
アクリルポリオールのヒドロキシ基は、イソシアネート系化合物のイソシアネートと反応し、より分子量の大きい硬化膜を形成することで、高い層間密着力と、水蒸気バリア性又は酸素バリア性とを発現する。アクリルポリオールの水酸基価は50mgKOH/g以上であることが好ましく、60mgKOH/g以上がより好ましく、80mgKOH/g以上が更に好ましい。またアクリルポリオールの水酸基価の上限は300mgKOH/g以下であり、270mgKOH/g以下がより好ましく、250mgKOH/g以下が更に好ましい。水酸基価が50mgKOH/gよりも小さいと、イソシアネート系化合物との反応量が少なく、PVC系フィルムへの密着力が十分発現しない。一方、水酸基価が300mgKOH/gよりも大きいと、イソシアネート系化合物との反応量が多くなり過ぎてアクリル系樹脂層(B層)の膜収縮が大きくなりポリウレタン系樹脂層(A層)がきれいに積層されず、十分なバリア性を示さない。尚、水酸基価(mgKOH/g)とは、アクリルポリオール中の水酸基量の指標であり、アクリルポリオール1g中の水酸基をアセチル化するために必要な水酸化カリウムのmg数を示す。
アクリルポリオールの分子量は特に規定しないが、具体的には、3000以上200000以下、好ましくは5000以上100000以下がよい。
カプロラクトンポリオールとしては、下記一般式(1)のような2官能ポリカプロラクトンジオール類や、下記一般式(2)のような3官能ポリカプロラクトントリオール類、その他4官能ポリカプロラクトンポリオール等を使用することができる。
Figure 0007405496000001
Figure 0007405496000002
本発明の積層フィルムのB層におけるポリカプロラクトンポリオールは、多官能であり、かつ重量平均分子量Mwが500未満、好ましくは470以下、更に好ましくは450以下のものを好適に用いることができる。また、ポリカプロラクトンポリオールの水酸基価は500mgKOH/g以下、好ましくは、450mgKOH/g以下、更に好ましくは400mgKOH/g以下である。カプロラクトンポリオールが多官能であり、かつ、上記のような重量平均分子量と水酸基価を有することにより、架橋密度が高く、かつ硬化物の硬度や強靭性が高くなるという効果が得られる。
本発明の積層フィルムにおけるB層において、アクリルポリオールとポリカプロラクトンポリオールに更にイソシアネート系架橋剤を加えて反応させることにより、B層の耐傷付き性等を更に向上することができる。イソシアネート系架橋剤としては、A層で記載したものが挙げられる。例えば、モノマー系イソシアネートとして、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などの芳香族系イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン(H6XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)などの脂肪族系イソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などの芳香脂肪族系イソシアネートなどがある。また、これらのモノマー系イソシアネートの重合体あるいは誘導体も使用可能である。例えば、3量体のヌレート型、1,1,1-トリメチロールプロパンなどと反応させたアダクト型、ビウレットと反応させたビウレット型などがある。
イソシアネート系化合物は、上記のイソシアネート系化合物あるいはその重合体、誘導体から任意に選択してよく、1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
B層を構成する樹脂組成物において、アクリルポリオールとポリカプロラクトンポリオールの質量比は95/5~50/50、好ましくは90/10~70/30、更に好ましくは85/15~75/25である。ポリカプロラクトンポリオールの量が少ないと、B層の耐傷付き性が低下し、またポリカプロラクトンポリオールの量が多いと耐汚染性が低下する傾向となり、実用上好ましくない。
イソシアネート系架橋剤の量はアクリル系共重合体及びポリカプロラクトンポリオールの水酸基価により異なるが、通常OH基とイソシアネート系架橋剤中のNCO基の比(NCO/OH)がモル比で1.01~10、更に1.5~5であることが好ましい。
更に、B層には、耐汚染性などの性能を付与する目的で、ポリシロキサンを混合することもできる。ポリシロキサンとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するシラン化合物の部分加水分解物、有機溶媒中に無水ケイ酸の微粒子を安定に分散させたオルガノシリカゾル及び該オルガノシリカゾルにラジカル重合性を有する上記シラン化合物を付加させたもの等から選ばれる少なくとも1種以上を使用することができる。
本発明の積層フィルムのA層上にB層を形成する場合、原反フィルム上にA層を形成するのと同様に、上記B層を構成する組成物を公知の有機溶剤に溶解し、更に必要に応じ希釈剤等を用いて適当な濃度に調製し、バーコート、ナイフコート、ロールコート、ダイコートまたはグラビアロールコート等の公知の方法で塗工し、次いで熱風乾燥機等を用いて、通常50~200℃で数秒間~数分加熱して乾燥及び硬化させることにより行う。硬化速度が遅い場合は、例えば本発明の離型性フィルムの離型層上にB層を形成し、予めA層を形成した原反フィルムのA層の面とラミネートすることでB層をA層上に形成することもできる。塗工乾燥等した後、更に例えば40~50℃の室温下にて数日間硬化反応を促進させることが好ましい。
このようにして形成されたB層の厚さは、0.2~50μmであるのが好ましい。B層の厚さが0.2μm以上であれば、原反フィルムや被着体を十分に保護することができる。一方、B層の厚さが50μm以下であれば厚み斑による外観不良を抑えることができる。
また本発明の積層フィルムは、その性能を損なわない範囲で、2次加工性等を考慮してA層及びB層の少なくとも一方の層中に帯電防止剤を添加、或いは、PVC系フィルムとA層の間、もしくはA層とB層の間に帯電防止層を設けてもよい。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン系帯電防止剤;アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート等のアニオン系帯電防止剤;第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウムサルフェート、第4級アンモニウムナイトレート等のカチオン系帯電防止剤;アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型、アルキルアラニン型等の両性系帯電防止剤およびポリビニルベンジル型カチオン、ポリアクリル酸型カチオン等の導電性樹脂が用いられる。
また、帯電防止層としては、酸化錫系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系等の導電性フィラーを有機化合物からなるバインダーに分散させたものや、電荷移動型ボロンポリマー系樹脂等からなる層が挙げられる。
また、A層及びB層の少なくとも一方には、屋外での長期及び過酷な条件下での耐候性を付与する目的で紫外線吸収剤及び/またはヒンダードアミン系光安定剤等を配合するのが好ましい。
紫外線吸収剤またはヒンダードアミン系光安定剤の配合量は、各々単独または併用した場合でも、A層又はB層中の樹脂成分100質量部に対し1~70質量部添加することができ、層中1~30質量%であるのが好ましい。紫外線吸収剤と光安定剤を併用した場合、その添加割合は特に限定するものではないが、通常、紫外線吸収剤/ヒンダードアミン系光安定剤=1/3~3/1(重量比)程度である。
紫外線吸収剤及び/またはヒンダードアミン系光安定剤の配合量が少ないと、耐候性が劣る恐れがある。一方、配合量が多すぎると耐溶剤性、耐傷付き性能が低下するので好ましくない。
更にA層及びB層の少なくとも一方の層には、架橋反応を促進することを目的として、硬化触媒を加えることもできる。該硬化触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2-エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、モノブチル錫トリオクテート、2-エチルヘキサン酸鉛、オクチル酸亜鉛などの有機金属化合物及びこれらの混合物を挙げることできる。硬化触媒の使用量は、特に制限されるものではないが、通常、層中の固形分中の、0.005~5質量%、特に0.01~3質量%であるのが適している。
その他、A層及びB層の少なくとも一方の層にはその性能を損なわない範囲で酸化防止剤、有機系及び無機系粉末の少なくともいずれかを添加してもよい。
3.乗物加飾粘着シート
本発明の積層フィルムは、原反フィルムのA層とは反対側の面(A層を形成させていない面)に粘着剤層を形成させることにより、乗物加飾粘着シート(以下、単に「粘着シート」という。)とすることができる。
本発明の粘着シートを被着体に貼着させることで、被着体に光沢感、耐候性を付与することが可能となる。
粘着剤層に用いられる粘着剤としてはアクリル系、ゴム系の粘着剤いずれでもよいが、屋外で使用する場合は耐候性の高いアクリル系粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤を構成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーが挙げられ、該(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては炭素原子数2~12のアルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、好ましくは炭素原子数4~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが用いられ、具体的には、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。これらは、単独、または組み合わせて用いることができる。粘着性と凝集性のバランス等から、通常ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が-50℃以下である(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、(メタ)アクリル酸エチル等の低級アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを併用するのが好ましい。
また、これらのビニルモノマー以外にこれらと共重合可能なモノマーが共重合されても構わない。このような共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーまたはその無水物や、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー等が挙げられる。
粘着剤は、溶媒中で重合した溶剤型アクリル系粘着剤であっても、水中で重合したエマルジョン系粘着剤であっても、また、モノマー混合物に紫外線照射した塊状重合型粘着剤であってもよい。
粘着剤層の厚さは、粘着剤の組成により異なり、特に限定されるものではないが、通常10~50μmである。
本発明の粘着シートにおける積層フィルムへの粘着剤層の形成方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、上記の粘着剤等を公知の有機溶剤に溶解し、更に必要に応じ希釈剤等を用いて適当な濃度に調製し、セパレータ(例えばシリコン塗布を施した剥離紙等の剥離材)にバーコート、ナイフコート、ロールコート、ダイコートまたはグラビアロールコート等の公知の方法で原反フィルムのA層が形成される面とは反対側の面に塗工し、 次いで熱風乾燥機等を用いて乾燥させる等の方法により粘着剤層の形成を行うことができる。
また、 本発明の粘着シートは、原反フィルムと粘着剤層の間に、密着性を向上させるためにアクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するプライマー層を設けてもよい。
本発明の粘着シートは、剥離フィルムを剥離した後のB層の光沢値が80以上、好ましくは85以上、更に好ましくは90以上である。特に離型層がメラミン樹脂を含有する樹脂組成物を用いた場合、光沢値が良好である。
[本発明の用途]
本発明の離型フィルム、積層フィルム及び粘着シートは、自動車等の乗物へ意匠性を付与するための加飾粘着ラベルに用いられる。本発明でいう乗物とは、自転車、オートバイ、三輪車、自動車、トラックのほか、航空機、船舶などを含む。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例で使用した材料、評価した特性の測定方法等は、次の通りである。
[使用材料]
<ポリオレフィン系樹脂>
樹脂A:プライムポリマー社製「F327」(ランダムポリプロピレン、Tm:140℃)
樹脂B:日本ポリプロ社製「ノバテックFY6HA」(ホモポリプロピレン、Tm:168℃)
樹脂C:旭化成ケミカルズ社製「タフテックH1221」(水添スチレン系エラストマー)
<ポリ塩化ビニル系樹脂>
樹脂D:大洋塩ビ社製「TH-1000」(平均重合度:1000)
<添加剤等>
・ポリエステル系可塑剤:ジェイ・プラス社製「D643」(Mw:1800)
・着色剤(α):東洋インキ社製のカーボンブラック20質量%を含有するPO系マスターバッチ
・着色剤(β):大日精化工業社製「DA MKV 994 ブラック」(カーボンブラック)
・光安定剤:BASF社製「Chimassorb944」(ヒンダードアミン系光安定剤)
・熱安定剤:(ADEKA社製「アデカズタブ(登録商標) SP―2005」(マグネシウム亜鉛系熱安定剤)
・紫外線吸収剤:BASF社製「Chimassorb81」(ベンゾフェノン系紫外線吸収剤)
<ポリウレタン系樹脂層(A層)用樹脂組成物>
ポリカーボネート系ウレタン樹脂:三菱ケミカル社製「マイテック(登録商標)AE870」
<アクリル系樹脂層(B層)用樹脂組成物>
以下の配合比の混合物を使用した。
アクリルポリオール系樹脂:日立化成社製「ヒタロイド(登録商標)D1002」(水酸基価200mgKOH/g) 60質量%
カプロラクトンポリオール:ダイセル社製「プラクセル(登録商標)FM1D」(分子量358) 10質量%
HDI:旭化成社製「デュラネート(登録商標)TPA100」 30質量%
<離型フィルム用基材フィルム>
基材フィルム(G):三菱ケミカル社製「ダイアホイル(登録商標)T600-50」(ポリエステル系樹脂フィルム、50μm)
基材フィルム(H):東洋紡社製「コスモシャイン(登録商標)E5001」(ポリエステル系樹脂フィルム、50μm)
基材フィルム(I):ユニチカ社製「エンブレット(登録商標)S50」(ポリエステル系樹脂フィルム、50μm)
基材フィルム(J):東レ社製「ルミラー(登録商標)T60♯100」(ポリエステル系樹脂フィルム、100μm、伸度(i)-6μm)
基材フィルム(K):東レ社製「ルミラー(登録商標)T60♯50」(ポリエステル系樹脂フィルム、50μm、伸度(i)45μm)
<離型層用樹脂組成物>
樹脂組成物(P):メチル化メラミン樹脂(佐々木塗料社製「RP-30」)100質量部に対し、硬化剤(佐々木塗料社製「CP触媒」)10質量部を混合したもの
樹脂組成物(Q):シリコン変性アクリル樹脂(佐々木塗料社製「AB002」)
樹脂組成物(R):ポリエステル系樹脂(高松油脂社製「HZ-523」)
(1)ポリオレフィン系樹脂フィルム(原反フィルム)の製膜
各樹脂を表1に記載する配合にてドライブレンドし、東芝機械製単軸押出機(50φmm、L/D=32)のホッパーに投入し、押出機温度を190℃~230℃の間で調整し、550mm幅Tダイ(温度設定:230℃、リップ開度0.8mm)から押出した。押出された溶融樹脂は、冷却ロールを備えた巻き取り機(冷却ロール700mm幅×φ350mm、ロール温度30℃)にて冷却固化し、厚さ100μmのポリオレフィン系樹脂フィルムを作製した。
(2)ポリウレタン系樹脂層(A層)の形成
(1)で得られたポリオレフィン系樹脂フィルム上に、ポリウレタン系樹脂層(A層)用樹脂組成物をリバースコート法により、乾燥後の塗工量が1μmとなるように塗工した。
(3)離型フィルムの形成
各種離型フィルム用基材フィルム上に各種の離型層用樹脂組成物をリバースコート法により、乾燥後の塗工量が0.3μmとなるように離型層を塗工し、離型フィルムを得た。塗工の際の乾燥温度は125℃であった。
(4)アクリル系樹脂層(B層)の形成と積層フィルムの形成
(3)で得られた離型フィルムの離型層上にアクリル系樹脂層(B層)用樹脂組成物をリバースコート法により、乾燥後の塗工量が15μmとなるようにアクリル系樹脂層(B層)を塗工した。それに(2)で得られたA層を貼りあわせ、架橋反応を促進させるため40℃の恒温庫に5日間保管した。恒温庫から取り出した後、積層フィルム(ポリオレフィン系樹脂/A層/B層/離型フィルム)を得た。
[引張弾性率の測定]
(1)で得られたポリオレフィン系樹脂フィルムより1号ダンベル試験片を採取し、JIS K 7127に準拠し、23℃及び10℃の雰囲気下、オートグラフ(島津製作所製AGS-X)を用いて、引張速度50mm/分にて引張弾性率を測定した。
[基材フィルムの伸度(i)の測定]
以下の測定装置および条件を用い、基材フィルムの伸度(i)を測定した。
<測定条件>
装置:熱機械分析装置TMA7100
(日立ハイテクサイエンス社製)
試験片サイズ:幅4mm×長さ40mm
チャック間距離:8mm
測定雰囲気:窒素雰囲気下(窒素流量100ml/min)
昇温速度:10℃/min(開始:23℃、終了:240℃)
荷重:400mN
[表面粗さ(Rz)の測定]
前記離型フィルム用基材フィルムの表面粗さ(Rz)は、東京精密社製SURFCOM FLEX-50Aを使用し、JIS B0601(2001)に準じて、半径2μm、角度60°の蝕針先端を用いて、測定力0.7mNで測定した。
[離型フィルムのロール外観]
離型フィルムを1000m巻き取った際のロール外観を以下の基準により目視にて判定した。
◎:ロールにシワ・凹凸の発生が認められない
〇:ロールにシワ・凹凸の発生がわずかに認められるが、使用上問題なし
×:ロールにシワ・凹凸の発生が認められ、使用不可
[アクリル系樹脂層(B層)積層時の塗工外観]
離型フィルムの離型層上にアクリル系樹脂層(B層)用樹脂組成物をリバースコート法により塗工した際の、B層の外観を目視にて判定した。
○:B層が均一に塗工されており、外観良好
×:B層が均一に塗工されておらず、ハジキ等の欠陥が認められる
[積層フィルムのロール外観]
得られた積層フィルムを1000m巻き取った際のロール外観を以下の基準により目視にて判定した。
◎:ロールにシワ・凹凸の発生が認められない
〇:ロールにシワ・凹凸の発生がわずかに認められるが、使用上問題なし
×:ロールにシワ・凹凸の発生が顕著に認められ、使用不可
[離型フィルムのブロッキング]
得られた積層フィルムから離型フィルムを剥離する際のブロッキングを以下の基準により判定した。
○:ブロッキングの発生がなく、容易に剥離可能
△:ブロッキングしているが、剥離可能
×:ブロッキングが顕著であり、剥離困難
[60°光沢値の測定]
積層フィルムから離型フィルムを除き、得られたポリオレフィン系塗工フィルムを使用し、JISK7105に準拠し、携帯用光沢計(村上色彩技術研究所社製光沢計GMX-203)を用いてB層の60°光沢値を測定した。
[実施例1]
ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、着色剤、安定剤を表1に記載の通り配合し、前述の(1)の条件にてポリオレフィン系樹脂フィルムを得た。得られた原反フィルムの引張弾性率は600MPaであった。
また、離型フィルムの基材フィルムとして前述の(G)に記載のポリエステル系樹脂フィルムを用いたところ、伸度(i)は25μm、表面粗さ(Rz)は0.92μmであった。
この基材フィルムは伸度(i)が所定の範囲内に入っており、加熱による寸法変化の影響が小さいことから、離型層を積層し、1000m巻き取った際の離型フィルムのロール外観にシワや凹凸は観察されなかった。
該離型フィルムにB層を塗工した際の外観については、ハジキ等は見られずB層が均一に塗工されていることを確認した。
さらに、ポリオレフィン系樹脂フィルム/A層/B層/離型フィルム(離型層がB層側)の順序で得た積層フィルムを1000m巻き取った際のロール外観にもシワや凹凸は観察されなかった。
この積層フィルムから離型フィルムを除き、得られたポリオレフィン系塗工フィルムのB層側の60°光沢値は91を示し、良好な高光沢外観であることが確認できた。結果を表1に示す。
[実施例2]
離型フィルムの基材フィルムとして前述の(H)に記載のポリエステル系樹脂フィルムを用いた以外は実施例1と同様に行った。
(H)に記載のポリエステル系樹脂フィルムの伸度(i)は12μm、表面粗さ(Rz)は0.88μmであった。
この基材フィルムは伸度(i)が所定の範囲内に入っており、加熱による寸法変化の影響が小さいことから、離型層を積層し、1000m巻き取った際の離型フィルムのロール外観にシワや凹凸は観察されなかった。
該離型フィルムにB層を塗工した際の外観については、ハジキ等は見られずB層が均一に塗工されていることを確認した。
さらに、ポリオレフィン系樹脂フィルム/A層/B層/離型フィルム(離型層がB層側)の順序で得た積層フィルムを1000m巻き取った際のロール外観にもシワや凹凸は観察されなかった。
この積層フィルムから離型フィルムを除き、得られたポリオレフィン系塗工フィルムのB層側の60°光沢値は92を示し、良好な高光沢外観であることが確認できた。結果を表1に示す。
[実施例3]
基材フィルムとして前述の(I)に記載のポリエステル系樹脂フィルムを用いた以外は実施例1と同様に行った。
(I)に記載のポリエステル系樹脂フィルムの伸度(i)は3μm、表面粗さ(Rz)は1.15μmであった。
この基材フィルムは伸度(i)が所定の範囲内に入っており、加熱による寸法変化の影響が小さいことから、離型層を積層し、1000m巻き取った際の離型フィルムのロール外観にシワや凹凸は観察されなかった。
該離型フィルムにB層を塗工した際の外観については、ハジキ等は見られずB層が均一に塗工されていることを確認した。
さらに、ポリオレフィン系樹脂フィルム/A層/B層/離型フィルム(離型層がB層側)の順序で得た積層フィルムを1000m巻き取った際のロール外観にもシワや凹凸は観察されなかった。
この積層フィルムから離型フィルムを除き、得られたポリオレフィン系塗工フィルムのB層側の60°光沢値は88を示し、良好な光沢外観であることが確認できた。結果を表1に示す。
[実施例4]
原反フィルムを表1に記載のものとした以外は実施例1と同様に行った。
離型フィルムおよび積層フィルムのいずれのロール外観にもシワや凹凸は観察されなかった。
この積層フィルムから離型フィルムを除き、得られたポリオレフィン系塗工フィルムのB層側の60°光沢値は91を示し、良好な高光沢外観であることが確認できた。結果を表1に示す。
[実施例5]
原反フィルムを表1に記載のものとし、離型フィルムに用いる基材フィルムを(J)に記載のものとした以外は実施例1と同様に行った。
(J)に記載のポリエステル系樹脂フィルムの伸度(i)は-6μm、表面粗さ(Rz)は0.92μmであった。
この基材フィルムは伸度(i)が所定の範囲内に入っており、加熱による寸法変化の影響が小さいことから、離型層を積層し、1000m巻き取った際の離型フィルムのロール外観にシワや凹凸は観察されなかった。
該離型フィルムにB層を塗工した際の外観については、ハジキ等は見られずB層が均一に塗工されていることを確認した。
さらに、ポリオレフィン系樹脂フィルム/A層/B層/離型フィルム(離型層がB層側)の順序で得た積層フィルムを1000m巻き取った際のロール外観にもシワや凹凸は観察されなかった。
この積層フィルムから離型フィルムを除き、得られたポリオレフィン系塗工フィルムのB層側の60°光沢値は92を示し、良好な光沢外観であることが確認できた。結果を表1に示す。
[実施例6]
原反フィルムを表1に記載のものとした以外は実施例1と同様に行った。
離型フィルムおよび積層フィルムのいずれのロール外観にもシワや凹凸は観察されなかった。
この積層フィルムから離型フィルムを除き、得られたポリ塩化ビニル系塗工フィルムのB層側の60°光沢値は92を示し、良好な高光沢外観であることが確認できた。結果を表1に示す。
[比較例1]
離型フィルムに用いる基材フィルムを(K)に記載のものとした以外は実施例1と同様に行った。
(K)に記載のポリエステル系樹脂フィルムの伸度(i)は45μm、表面粗さ(Rz)は0.98μmであった。
この基材フィルムは伸度(i)が所定の範囲の上限を超えており、加熱による寸法変化の影響が大きく、離型層を積層し、1000m巻き取った際の離型フィルムのロール外観にシワや凹凸の発生が確認された。
さらに、ポリオレフィン系樹脂フィルム/A層/B層/離型フィルム(離型層がB層側)の順序で得た積層フィルムを1000m巻き取った際のロール外観にもシワや凹凸は観察され、ポリオレフィン系塗工フィルムにもシワや凹凸の転写が確認された。
[参考例1]
離型層用樹脂組成物を表1に記載のものとした以外は実施例1と同様に行った。
得られた離型フィルムにはB層が均一に塗工されておらず、ハジキやムラが観察され、外観に劣るものであることを確認した。
ポリオレフィン系樹脂フィルム/A層/B層/離型フィルム(離型層がB層側)の順序で得た積層フィルムを1000m巻き取った際のロール外観にシワや凹凸は観察されなかったが、B層と離型フィルムとの間にブロッキングが確認され、離型性に劣るものであった。
[参考例2]
離型層用樹脂組成物を表1に記載のものとした以外は実施例1と同様に行った。
離型フィルムおよびポリオレフィン系樹脂フィルム/A層/B層/離型フィルム(離型層がB層側)の順序で得た積層フィルムを1000m巻き取った際のロール外観にシワや凹凸は観察されなかったが、B層と離型フィルムとの間に顕著なブロッキングが確認され、剥離が困難であった。
Figure 0007405496000003
[実施例7]
アクリル系粘着剤(綜研化学(株)製SKダイン1502C)をセパレータ上にコンマコート法にて、乾燥後の粘着剤層の厚みが25μmになるように塗工し、80℃の熱風乾燥機にて5分間乾燥させた後、粘着剤層を形成して、粘着剤層付セパレータを得た。
この粘着剤付セパレータの粘着剤層の面と実施例1から6の積層フィルムのA層とは反対側の面とを貼り合わせることで乗物加飾粘着シートを得た。
得られた粘着シートは、いずれも表面にシワや凹凸が観察されず、良好な外観を示した。
この様に、本発明の構成により、乗物加飾用途に用いた場合でもシワや凹凸が少ない離型性に優れた離型フィルム、またその離型フィルムを用いた高光沢であり、耐傷付き性、曲面追従性、貼り付け作業性等が良好なマーキングフィルムをはじめとする各種用途に適した積層フィルムを提供することが可能となる。
本発明の構成により、乗物加飾用途に用いた場合でもシワや凹凸が無く離型性に優れた離型フィルム、またその離型フィルムを用いた高光沢であり、耐傷付き性、曲面追従性、貼り付け作業性等が良好なマーキングフィルムをはじめとする各種用途に適した積層フィルムを提供することが可能となる。

Claims (7)

  1. 原反フィルム/ポリウレタン系樹脂層(A層)/アクリルポリオールとカプロラクトンポリオールとイソシアネート系架橋剤を含む組成物の硬化物からなる層(B層)/乗物加飾粘着シート用離型フィルム(前記離型フィルムの離型層はB層側に配置される)の順に有する乗物加飾粘着シート用積層フィルムであって、前記ポリウレタン系樹脂層(A層)が、少なくともポリエステル骨格またはポリカーボネート骨格のいずれかを有するポリオールと、多官能の脂肪族イソシアネートとの反応硬化物からなり、
    前記乗物加飾粘着シート用離型フィルムが、以下の条件で熱機械分析した際に、以下の範囲の伸度(i)を示す基材フィルムを含み、該基材フィルムの少なくとも片面にメラミン樹脂を含有する樹脂組成物からなる離型層を有する、該乗物加飾粘着シート用積層フィルム。
    <条件>
    試験片サイズ:幅4mm×長さ40mm
    チャック間距離:8mm
    測定雰囲気:窒素雰囲気下(窒素流量100ml/分)
    昇温速度:10℃/分(開始温度:23℃、終了温度:240℃)
    荷重:400mN
    <伸度(i)>
    125℃における基材フィルムの伸度の絶対値が40μm以下
  2. 前記基材フィルムが、ポリエステル系樹脂フィルムである、請求項1に記載の乗物加飾粘着シート用積層フィルム。
  3. 前記ポリエステル系樹脂フィルムが、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムである、請求項2に記載の乗物加飾粘着シート用積層フィルム。
  4. 前記基材フィルムの表面粗さ(Rz)が1.20μm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の乗物加飾粘着シート用積層フィルム。
  5. 前記アクリルポリオールの水酸基価が50mgKOH/g以上である、請求項に記載の乗物加飾粘着シート用積層フィルム。
  6. 前記カプロラクトンポリオールの重量平均分子量(Mw)が500未満である請求項1に記載の乗物加飾粘着シート用積層フィルム。
  7. 請求項1~のいずれかに記載の乗物加飾粘着シート用積層フィルムの原反フィルムのA層が配置されている面とは反対側の面に粘着剤層を有する、乗物加飾粘着シート。
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