JPWO2008026751A1 - キャスト成形フィルム用組成物及びそれを用いてなるフィルム - Google Patents
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Abstract
(A)ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを重合してなるアクリル−ウレタン共重合体100質量部、(B)ポリイソシアネート化合物8〜15質量部及び(C)有機溶剤を含むキャスト成形フィルム用組成物、並びに、前記キャスト成形フィルム用組成物をキャスト法により成形してなるフィルム。前記組成物は高機能フィルムに好適な製法であるキャスト法により適度なポットライフを有して作業性よく成形できると共に、これを使用することにより、印刷性や形状追随性などの意匠性に優れ、耐候性に富む上、特に耐溶剤性にも優れる非塩化ビニル樹脂フィルムを得ることができる。
Description
発明は、キャスト成形フィルム用組成物及びそれを用いてなるフィルムに関し、さらに詳しくは、装飾性、印刷性、形状追随性に優れる上、特に耐溶剤性にも優れ、車両や二輪車、コンテナ、広告板、看板、交通標識などの外面に貼付される、非塩化ビニル樹脂を素材とするフィルムを与えるキャスト成形フィルム用組成物、及びこの組成物をキャスト成形により製膜してなる前記性状を有するフィルムに関する。
列車や自動車、コンテナなどの車体の外面や各種看板に意匠を施すために印刷や着色したフィルムが貼付されて使用される。この目的のフィルムとして、従来から塩化ビニル樹脂フィルムが使用されてきているが、焼却処理して廃棄する際に塩化水素ガスやダイオキシンが発生する可能性がある。そこで、簡単な焼却設備で処理したとしても、塩化水素ガスやダイオキシンが発生するという問題が生じない低環境負荷型のフィルムが求められている。
塩化ビニル樹脂フィルムに替わるフィルムとして、例えば、ポリオレフィンフィルム、ポリウレタンフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、フッ素樹脂フィルム等がある。しかしながら、ポリオレフィンフィルムやフッ素樹脂フィルムは印刷性に劣るという問題があり、ポリエステルフィルムやアクリル樹脂フィルムは車体などの三次元形状やビスなどの突起への形状追随性に欠けるという問題があり、ポリウレタンフィルムは耐候性に劣るという問題がある。
塩化ビニル樹脂フィルムに替わるフィルムとして、例えば、ポリオレフィンフィルム、ポリウレタンフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、フッ素樹脂フィルム等がある。しかしながら、ポリオレフィンフィルムやフッ素樹脂フィルムは印刷性に劣るという問題があり、ポリエステルフィルムやアクリル樹脂フィルムは車体などの三次元形状やビスなどの突起への形状追随性に欠けるという問題があり、ポリウレタンフィルムは耐候性に劣るという問題がある。
ところで、アクリル−ウレタン共重合体を外装用フィルムに応用した例として、ポリウレタンポリ尿素樹脂とアクリル共重合体、アミノプラストを含有する架橋された樹脂材料が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この樹脂材料においては、ホルムアルデヒドを発生する可能性のあるアミノプラストを使用するという環境上の問題があると共に、アミノプラストの反応性が高いためにキャスト成形時における原料液のポットライフが短く貯蔵安定性が悪いという問題がある。また、フィルムの柔軟性に劣るため、ポリウレタンフィルムを積層することが必要であり、経済性に問題がある。なお、ポリウレタンフィルムのみでは、車体などに貼付する際に、フィルム表面のほこりや汚れを除去するためにアルコールなどの溶剤を含浸した布などでフィルム表面を拭き清掃すると、フィルムの表面に傷が付き易く、耐溶剤性に問題がある。
また、ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを重合してなるアクリル−ウレタン共重合体、ポリイソシアネート化合物及び有機溶剤からなることを特徴とするキャスト成形フィルム用組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
この組成物は、装飾性、印刷性、形状追随性に優れ、良好な耐溶剤注を有するなど、好ましい性質をもつフィルムを与えるが、耐溶剤性については、必ずしも十分に満足し得るとはいえなかった。
特開2003−62938号公報
特開2005−314488号公報
この組成物は、装飾性、印刷性、形状追随性に優れ、良好な耐溶剤注を有するなど、好ましい性質をもつフィルムを与えるが、耐溶剤性については、必ずしも十分に満足し得るとはいえなかった。
本発明は、このような事情のもとで、高機能フィルムに好適な製法であるキャスト法により適度なポットライフを有して作業性よく成形できると共に、印刷性や形状追随性などの意匠注に優れ、耐候性に富む上、特に耐溶剤性にも優れる非塩化ビニル樹脂フィルム用組成物と、それをキャスト成形してなるフィルムを提供することを課題とする。
本発明者は、これらの課題を解決するために種々の検討を進めた結果、特定の方法で得られたアクリル−ウレタン共重合体と、該共重合体に対して特定の量のポリイソシアネート化合物と、有機溶剤を含むキャスト成形フィルム用樹脂組成物により、前記課題を解決し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(A)ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを重合してなるアクリル−ウレタン共重合体100質量部、(B)ポリイソシアネート化合物8〜15質量部及び(C)有機溶剤を含むキャスト成形フィルム用組成物、
(2)(A)アクリル−ウレタン共重合体が、ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを、質量比29:71〜67:33の割合で重合してなるものである(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(3)(A)アクリル−ウレタン共重合体が、ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを、質量比33:67〜59:41の割合で重合してなるものである(1)項又は(2)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(4)前記ビニル基含有ウレタンポリマーが、アジピン酸とブタンジオールからなるポリエステルジオールと、イソホロンジイソシアネートと、の混合物を主成分とするものから合成されるものである、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(5)前記(メタ)アクリルモノマーが、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートを主成分とするものである、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(6)更に有機錫化合物を含むものである、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(7)前記有機錫化合物がジブチル錫ジラウレートである、(6)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(8)更に、室温での反応遅延剤を含むものである、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(9)前記室温での反応遅延剤がアセチルアセトンである、(8)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
(10)更にヒンダードアミン系光安定剤を含むものである、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(11)更に紫外線吸収剤を含むものである、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(12)(C)有機溶剤が、ケトン溶剤である、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(13)前記ケトン溶剤がメチルエチルケトンである、(12)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(14)固形分濃度が5〜80質量%である、(1)項〜(13)項のいずれか1項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(15)固形分濃度が10〜60質量%である、(14)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(16)固形分濃度が20〜50質量%である、(14)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(17)25℃における粘度が800〜10,000mPa・sである、(1)項〜(16)項のいずれか1項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(18)(1)項〜(17)項のいずれか1項に記載のキャスト成形フィルム用組成物をキャスト法により成形してなるフィルム、及び
(19)厚みが20〜250μmである、(18)項に記載のフィルム、
を提供するものである。
(1)(A)ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを重合してなるアクリル−ウレタン共重合体100質量部、(B)ポリイソシアネート化合物8〜15質量部及び(C)有機溶剤を含むキャスト成形フィルム用組成物、
(2)(A)アクリル−ウレタン共重合体が、ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを、質量比29:71〜67:33の割合で重合してなるものである(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(3)(A)アクリル−ウレタン共重合体が、ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを、質量比33:67〜59:41の割合で重合してなるものである(1)項又は(2)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(4)前記ビニル基含有ウレタンポリマーが、アジピン酸とブタンジオールからなるポリエステルジオールと、イソホロンジイソシアネートと、の混合物を主成分とするものから合成されるものである、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(5)前記(メタ)アクリルモノマーが、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートを主成分とするものである、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(6)更に有機錫化合物を含むものである、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(7)前記有機錫化合物がジブチル錫ジラウレートである、(6)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(8)更に、室温での反応遅延剤を含むものである、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(9)前記室温での反応遅延剤がアセチルアセトンである、(8)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
(10)更にヒンダードアミン系光安定剤を含むものである、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(11)更に紫外線吸収剤を含むものである、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(12)(C)有機溶剤が、ケトン溶剤である、(1)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(13)前記ケトン溶剤がメチルエチルケトンである、(12)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(14)固形分濃度が5〜80質量%である、(1)項〜(13)項のいずれか1項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(15)固形分濃度が10〜60質量%である、(14)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(16)固形分濃度が20〜50質量%である、(14)項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(17)25℃における粘度が800〜10,000mPa・sである、(1)項〜(16)項のいずれか1項に記載のキャスト成形フィルム用組成物、
(18)(1)項〜(17)項のいずれか1項に記載のキャスト成形フィルム用組成物をキャスト法により成形してなるフィルム、及び
(19)厚みが20〜250μmである、(18)項に記載のフィルム、
を提供するものである。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物(以下、単に組成物と称することがある。)は、(A)ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを重合してなるアクリル−ウレタン共重合体、(B)ポリイソシアネート化合物及び(C)有機溶剤を含有する。
本発明においては、前記(A)成分のアクリル−ウレタン共重合体は、ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを重合させることにより得られる。
[ビニル基含有ウレタンポリマー]
前記アクリル−ウレタン共重合体の原料の一成分であるビニル基含有ウレタンポリマーは、例えば有機ジイソシアネート化合物、高分子量ポリオール、1個以上の活性水素と1個以上のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有するビニル化合物、必要に応じて鎖延長剤を反応させることによって得ることができる。
このビニル基含有ウレタンポリマーは、ラジカル重合性二重結合を1〜200当量/1000kg含有していることが好ましく、10〜100当量/1000kg含有していることが更に好ましい。二重結合の含有量が少なすぎる場合、(メタ)アクリルモノマーの共重合量が少なくなりウレタンポリマーと(メタ)アクリルポリマーの相溶性が低下し、キャスト成形フィルム用組成物の安定性が悪くなり、塗膜性状が不良となる。また、二重結合の含有量が多すぎると、反応上二官能性のウレタンポリマーの比率が高くなり、ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合時に三次元化しやすいという傾向がある。ビニル基含有ウレタンポリマーの重量平均分子量は、通常、1万〜20万程度である。
本発明においては、前記(A)成分のアクリル−ウレタン共重合体は、ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを重合させることにより得られる。
[ビニル基含有ウレタンポリマー]
前記アクリル−ウレタン共重合体の原料の一成分であるビニル基含有ウレタンポリマーは、例えば有機ジイソシアネート化合物、高分子量ポリオール、1個以上の活性水素と1個以上のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有するビニル化合物、必要に応じて鎖延長剤を反応させることによって得ることができる。
このビニル基含有ウレタンポリマーは、ラジカル重合性二重結合を1〜200当量/1000kg含有していることが好ましく、10〜100当量/1000kg含有していることが更に好ましい。二重結合の含有量が少なすぎる場合、(メタ)アクリルモノマーの共重合量が少なくなりウレタンポリマーと(メタ)アクリルポリマーの相溶性が低下し、キャスト成形フィルム用組成物の安定性が悪くなり、塗膜性状が不良となる。また、二重結合の含有量が多すぎると、反応上二官能性のウレタンポリマーの比率が高くなり、ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーのラジカル重合時に三次元化しやすいという傾向がある。ビニル基含有ウレタンポリマーの重量平均分子量は、通常、1万〜20万程度である。
ビニル基含有ウレタンポリマーを得るために用いられる1個以上の活性水素と1個以上のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有するビニル化合物としては、水酸基、メルカプト基、イミノ基、またはアミノ基を1個以上有するビニル化合物を用いることができる。具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン付加物(例えば、ダイセル化学工業社製の「FA−1、FA−2、FA−3」等)、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、などの活性水素基含有アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチルメタクリレートや2−アミノエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのカプロラクトン付加物(例えば、ダイセル化学工業社製の「プラクセルFM−1、FM−2D」等)やメチルバレロラクトン付加物、エチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物、などの活性水素基含有メタクリル酸エステル;アリルアルコールやグリセリンモノアリルエーテル、水酸化液状ポリブタジエン(例えば、出光石油化学社製のもの)などの脂肪族アルコール;アリルアミンやアミノ化液状ポリブタジエンなどの脂肪族アミン;メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のラジカル重合性不飽和結合とイソシアネート基とを同一分子内に有するモノマーとグリセリンあるいはチオグリコールの付加物、チオグリコール酸などのメルカプトカルボン酸のアリルエステル;などを用いることができる。また、これらは2種類以上の混合物として用いることもできる。
中でも、2個以上の活性水素と1個以上のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有する化合物を用いることが好ましく、これにより、ウレタン樹脂主鎖中にペンダント状のラジカル重合性二重結合を導入することができ、ポリウレタン鎖にポリマーがペンダント状にグラフト鎖として導入することが可能となり、ウレタン樹脂本来の性質を生かして欠点をアクリル樹脂で補うことができる。
中でも、2個以上の活性水素と1個以上のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有する化合物を用いることが好ましく、これにより、ウレタン樹脂主鎖中にペンダント状のラジカル重合性二重結合を導入することができ、ポリウレタン鎖にポリマーがペンダント状にグラフト鎖として導入することが可能となり、ウレタン樹脂本来の性質を生かして欠点をアクリル樹脂で補うことができる。
前記ビニル基含有ウレタンポリマーを得るために用いられる有機ジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、ω,ω’−ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;p−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;等を用いることができる。また、これらは2種類以上の混合物として用いることもできる。中でも、耐候性を要求される用途で好ましいのは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)である。
前記ビニル基含有ウレタンポリマーを得るために用いられる高分子量ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル・エステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、シリコンポリオール等を用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、環状エーテルを開環重合して得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を用いることができる。
ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸等)またはその無水物と低分子量ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等)との重縮合によって得られるもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリブチレンセバケート等を用いることができ、また、低分子量ジオールへのラクトンの開環重合によって得られるもの、例えばポリカプロラクトン、ポリメチルバレロラクトン等を用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、環状エーテルを開環重合して得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を用いることができる。
ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸等)またはその無水物と低分子量ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等)との重縮合によって得られるもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリブチレンセバケート等を用いることができ、また、低分子量ジオールへのラクトンの開環重合によって得られるもの、例えばポリカプロラクトン、ポリメチルバレロラクトン等を用いることができる。
ポリエーテル・エステルポリオールとしてはポリエステルグリコールに環状エーテルを開環重合したもの、ポリエーテルグリコールとジカルボン酸とを重縮合したもの、例えば、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート等を用いることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、低分子量ジオールとアルキレンカーボネートまたはジアルキルカーボネートとから脱グリコールまたは脱アルコールによって得られるポリブチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等を用いることができる。
ポリオレフィンポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等を用いることができ、シリコンポリオールとしては、ポリジメチルシロキサンポリオール等を用いることができる。
ポリアクリルポリオールとしては、メチルメタクリレートやブチルアクリレートのような(メタ)アクリル酸エステルと2−ヒドロキシエチルメタクリレートのような水酸基含有(メタ)アクリレートとの共重合体等がある。例えば、日立化成工業社製「ヒタロイド3001」や大日本インキ社製「ラストラゾールA−801」等を用いることができる。
本発明においては、これらの高分子量ポリオールは、上記の2種類以上の混合物として用いることもできる。高分子量ポリオールの重量平均分子量は、通常、200〜10000程度、好ましくは500〜6000である。分子量が小さすぎると柔軟性が乏しく、また大きすぎると機械的強度が低下する傾向がある。
また、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール等も、一般にポリウレタン工業において公知のもので活性水素基を2個以上含有するものであれば、高分子量ポリオールに代えて、または高分子量ポリオールと共に、使用することができる。
有機ジイソシアネートと高分子量ポリオールの反応仕込量は、NCO/OH当量比で、通常、0.8〜10程度、好ましくは0.9〜3である。この比が小さすぎるとハードセグメント量が少なく機械的強度が低くなる傾向がある。一方、大きすぎると溶解性が乏しく、また粘度も高くなる傾向がある。
ポリカーボネートポリオールとしては、低分子量ジオールとアルキレンカーボネートまたはジアルキルカーボネートとから脱グリコールまたは脱アルコールによって得られるポリブチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等を用いることができる。
ポリオレフィンポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等を用いることができ、シリコンポリオールとしては、ポリジメチルシロキサンポリオール等を用いることができる。
ポリアクリルポリオールとしては、メチルメタクリレートやブチルアクリレートのような(メタ)アクリル酸エステルと2−ヒドロキシエチルメタクリレートのような水酸基含有(メタ)アクリレートとの共重合体等がある。例えば、日立化成工業社製「ヒタロイド3001」や大日本インキ社製「ラストラゾールA−801」等を用いることができる。
本発明においては、これらの高分子量ポリオールは、上記の2種類以上の混合物として用いることもできる。高分子量ポリオールの重量平均分子量は、通常、200〜10000程度、好ましくは500〜6000である。分子量が小さすぎると柔軟性が乏しく、また大きすぎると機械的強度が低下する傾向がある。
また、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール等も、一般にポリウレタン工業において公知のもので活性水素基を2個以上含有するものであれば、高分子量ポリオールに代えて、または高分子量ポリオールと共に、使用することができる。
有機ジイソシアネートと高分子量ポリオールの反応仕込量は、NCO/OH当量比で、通常、0.8〜10程度、好ましくは0.9〜3である。この比が小さすぎるとハードセグメント量が少なく機械的強度が低くなる傾向がある。一方、大きすぎると溶解性が乏しく、また粘度も高くなる傾向がある。
ビニル基含有ウレタンポリマーを得るために、必要に応じて用いられる鎖延長剤としては、代表的には、低分子量ジオールまたは低分子量ジアミンを用いることができる。
低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノール−A等の芳香族ジオール;N−メチルジエタノールアミン等のジアルカノールアミン;等を用いることができる。
低分子量ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヒドラジン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;ピペラジン、シクロヘキサンジアミン、メンテンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂環族ジアミン;等を用いることができる。
これらの鎖延長剤は、2種類以上の混合物として用いることもできる。また、トリメチロールプロパン、グリセリン等のポリオール類も、鎖延長剤として併用することができる。
更に、分子量を制御するために、上記鎖延長剤の一部をモノアミンやモノアルコールに置換することが可能である。モノアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン等が挙げられる。モノアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等が挙げられる。
低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノール−A等の芳香族ジオール;N−メチルジエタノールアミン等のジアルカノールアミン;等を用いることができる。
低分子量ジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヒドラジン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;ピペラジン、シクロヘキサンジアミン、メンテンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂環族ジアミン;等を用いることができる。
これらの鎖延長剤は、2種類以上の混合物として用いることもできる。また、トリメチロールプロパン、グリセリン等のポリオール類も、鎖延長剤として併用することができる。
更に、分子量を制御するために、上記鎖延長剤の一部をモノアミンやモノアルコールに置換することが可能である。モノアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン等が挙げられる。モノアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等が挙げられる。
当該ビニル基含有ウレタンポリマーを得る反応において、ラジカル重合性二重結合の熱重合を防止するため重合禁止剤を用いることができる。重合禁止剤としては、メチルヒドロキノン、t−ブチルカテコール、クロラニル等のフェノール系化合物;ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン等のアミン類;塩化第2鉄、塩化第2銅等の多価金属塩;等が挙げられる。
ビニル基含有ウレタンポリマーの製造は、公知の方法に従い、ワンショット法、プレポリマー化法等によって行うことができる。溶融状態、バルク状態、または必要に応じて、ポリウレタンの当該工業界において常用の不活性溶剤(例えばトルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤;ジアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶剤;ジメチルホルムアミド;ジメチルアセトアミド;N−メチルピロリドン;フルフラール等の極性溶剤;の1種または2種以上)を使用して、好ましくは100℃以下で、上記の配合条件範囲で各成分を均一に混合して行うことができる。
反応装置としては、上記の均一反応が達成できればいかなる装置でも良く、例えば撹拌装置の付いた反応釜やニーダー、一軸または多軸押出反応機等の混合混練装置を用いることができる。反応を促進するための触媒として、ポリウレタンの製造において常用される触媒を用いることができる。例えば、ジブチル錫ジラウレート等の金属触媒や鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄含有触媒、トリエチルアミン等の三級アミン触媒、ナトリウムメチラートなどの塩基触媒を用いることができる。
このようにして得られたビニル基含有ウレタンポリマーは、2種類以上の混合物として用いることもできる。
ビニル基含有ウレタンポリマーの製造は、公知の方法に従い、ワンショット法、プレポリマー化法等によって行うことができる。溶融状態、バルク状態、または必要に応じて、ポリウレタンの当該工業界において常用の不活性溶剤(例えばトルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤;ジアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶剤;ジメチルホルムアミド;ジメチルアセトアミド;N−メチルピロリドン;フルフラール等の極性溶剤;の1種または2種以上)を使用して、好ましくは100℃以下で、上記の配合条件範囲で各成分を均一に混合して行うことができる。
反応装置としては、上記の均一反応が達成できればいかなる装置でも良く、例えば撹拌装置の付いた反応釜やニーダー、一軸または多軸押出反応機等の混合混練装置を用いることができる。反応を促進するための触媒として、ポリウレタンの製造において常用される触媒を用いることができる。例えば、ジブチル錫ジラウレート等の金属触媒や鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄含有触媒、トリエチルアミン等の三級アミン触媒、ナトリウムメチラートなどの塩基触媒を用いることができる。
このようにして得られたビニル基含有ウレタンポリマーは、2種類以上の混合物として用いることもできる。
[(メタ)アクリルモノマー]
(A)成分であるアクリル−ウレタン共重合体の原料のもう一方の成分である(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−またはイソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリル酸エステル;アクリル酸;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−またはイソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどのメタアクリル酸エステル;メタクリル酸;等を用いることができる。この(メタ)アクリルモノマーは、2種類以上の混合物として用いることもできる。
また、必要に応じて、上記(メタ)アクリルモノマーに他のビニル基含有化合物を併用することができる。他のビニル基含有化合物としては、スチレン、メチルスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、等を用いることができる。
本発明においては、(A)成分のアクリル−ウレタン共重合体に水酸基やイミノ基、アミノ基、カルボキシル基などのイソシアネート基と反応しうる活性水素基を持たせると、更に耐溶剤性や耐候性の向上が図れる。そのような活性水素基を含有させるために、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン付加体、2−ヒドロキシメタクリレートのカプロラクトン付加体などを、上記(メタ)アクリルモノマーと併用することが好ましい。
(A)成分であるアクリル−ウレタン共重合体の原料のもう一方の成分である(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−またはイソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートなどのアクリル酸エステル;アクリル酸;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−またはイソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどのメタアクリル酸エステル;メタクリル酸;等を用いることができる。この(メタ)アクリルモノマーは、2種類以上の混合物として用いることもできる。
また、必要に応じて、上記(メタ)アクリルモノマーに他のビニル基含有化合物を併用することができる。他のビニル基含有化合物としては、スチレン、メチルスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、等を用いることができる。
本発明においては、(A)成分のアクリル−ウレタン共重合体に水酸基やイミノ基、アミノ基、カルボキシル基などのイソシアネート基と反応しうる活性水素基を持たせると、更に耐溶剤性や耐候性の向上が図れる。そのような活性水素基を含有させるために、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン付加体、2−ヒドロキシメタクリレートのカプロラクトン付加体などを、上記(メタ)アクリルモノマーと併用することが好ましい。
[アクリル−ウレタン共重合体の製造]
本発明においては、前記ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーを重合させて、アクリル−ウレタン共重合体を製造するが、その際のビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーの使用割合は、質量比で29:71〜67:33が好ましく、33:67〜59:41がさらに好ましい。
ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとの重合は、通常の溶液重合法により、窒素等の不活性ガス気流下、有機溶剤中、重合開始剤を添加し、加熱して行われる。有機溶剤は、前述のビニル基含有ウレタンポリマーの製造において、必要に応じて用いられる不活性溶剤と同じものを用いることができる。また、有機溶剤は新たに追加することもでき、前記必要に応じて用いられる不活性溶剤と同じ溶剤、または異なる溶剤を追加することができる。異なる有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類;等を用いることができ、これらは2種類以上の混合物としても用いることができる。
重合時の樹脂固形分(ビニル基含有ウレタンポリマー量)は、通常5〜95質量%程度、好ましくは10〜80質量%である。
本発明においては、前記ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーを重合させて、アクリル−ウレタン共重合体を製造するが、その際のビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーの使用割合は、質量比で29:71〜67:33が好ましく、33:67〜59:41がさらに好ましい。
ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとの重合は、通常の溶液重合法により、窒素等の不活性ガス気流下、有機溶剤中、重合開始剤を添加し、加熱して行われる。有機溶剤は、前述のビニル基含有ウレタンポリマーの製造において、必要に応じて用いられる不活性溶剤と同じものを用いることができる。また、有機溶剤は新たに追加することもでき、前記必要に応じて用いられる不活性溶剤と同じ溶剤、または異なる溶剤を追加することができる。異なる有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類;等を用いることができ、これらは2種類以上の混合物としても用いることができる。
重合時の樹脂固形分(ビニル基含有ウレタンポリマー量)は、通常5〜95質量%程度、好ましくは10〜80質量%である。
重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ジt−ブチル、クメンハイドロパーオキサイドなどの過酸化物;等を用いることができる。ここで用いられる重合開始剤の量は、アクリル−ウレタン共重合体の重量平均分子量が2万〜50万程度、好ましくは3万〜20万となるように適宜選択されるが、通常、(メタ)アクリルモノマー(100質量部)に対して0.1〜5質量部程度である。アクリル−ウレタン共重合体の分子量が低すぎると、耐候性や引張強度に劣り、他方、高すぎると、溶液の粘度が高くなりすぎ成形加工性に劣る。重合温度は、通常10〜140℃程度、好ましくは30〜120℃である。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物においては、得られるフィルムに耐溶剤性などを付与するために、架橋剤が配合される。
架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、エポキシ化合物、シラン化合物、金属キレート化合物等が挙げられるが、本発明では、液のポットライフを長くする観点から、ポリイソシアネート化合物[(B)成分]を用いることが必須である。
架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、エポキシ化合物、シラン化合物、金属キレート化合物等が挙げられるが、本発明では、液のポットライフを長くする観点から、ポリイソシアネート化合物[(B)成分]を用いることが必須である。
[ポリイソシアネート化合物]
このポリイソシアネート化合物としては、例えばp−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等、およびこれらの3量体、水付加物、またはこれらの低分子量ポリオール付加物等を用いることができる。中でも、イソシアネートの平均官能基数が2.5〜4.0のものが好ましく、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のトリメチロールプロパン付加物(アダクト体)、ビウレット体、イソシアヌレート体またはその混合物若しくはその縮合物が、耐候性に優れる点で好ましい。
かかるポリイソシアネート化合物は、室温でのイソシアネートの反応性を抑制するために、エタノールやイソプロピルアルコール、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、ε−カプロラクタムなどとイソシアネートを予め反応させたいわゆるブロック型イソシアネートとして用いることもできる。
このポリイソシアネート化合物は、2種類以上混合して用いることもできる。
本発明においては、この(B)成分のポリイソシアネート化合物の配合量は、前記(A)成分のアクリル−ウレタン共重合体100質量部に対して、8〜15質量部の範囲で選定される。この(B)成分の配合量が8質量部未満では得られるフィルムの耐溶剤性が不充分となり、一方15質量部を超えると得られるフィルムの破断伸びなどの他の物性が低下する。(B)成分の好ましい配合量は9〜12質量部である。
このポリイソシアネート化合物としては、例えばp−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等、およびこれらの3量体、水付加物、またはこれらの低分子量ポリオール付加物等を用いることができる。中でも、イソシアネートの平均官能基数が2.5〜4.0のものが好ましく、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のトリメチロールプロパン付加物(アダクト体)、ビウレット体、イソシアヌレート体またはその混合物若しくはその縮合物が、耐候性に優れる点で好ましい。
かかるポリイソシアネート化合物は、室温でのイソシアネートの反応性を抑制するために、エタノールやイソプロピルアルコール、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、ε−カプロラクタムなどとイソシアネートを予め反応させたいわゆるブロック型イソシアネートとして用いることもできる。
このポリイソシアネート化合物は、2種類以上混合して用いることもできる。
本発明においては、この(B)成分のポリイソシアネート化合物の配合量は、前記(A)成分のアクリル−ウレタン共重合体100質量部に対して、8〜15質量部の範囲で選定される。この(B)成分の配合量が8質量部未満では得られるフィルムの耐溶剤性が不充分となり、一方15質量部を超えると得られるフィルムの破断伸びなどの他の物性が低下する。(B)成分の好ましい配合量は9〜12質量部である。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物には、高温での架橋反応を促進するために、通常用いられる公知の触媒を添加してもよい。具体的には、トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテルなどの3級アミン;ジブチル錫ジラウレートなどの有機錫化合物;酢酸カリウムやオクチル酸カリウムなどの塩基;トリエチレンジアミンベースの酸でブロックした酸ブロック触媒;等を添加することができる。
また、本発明のキャスト成形フィルム用組成物のポットライフを伸ばすために、室温での反応遅延剤を併用することができる。反応遅延剤としては、シュウ酸や塩化ベンゾイル、安息香酸、アセチルアセトンなどが挙げられる。
また、ポリイソシアネート化合物以外の架橋剤を併用することもできる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のごときエポキシ化合物;アセトキシシラン、アルコキシシラン、ケトキシムシラン、アミノシラン、アミノキシシラン等のシラン化合物;チタン(Ti)やジルコニウム(Zr)やアルミニウム(Al)等の多価金属のアルコキシド、アセチルアセトナート、アシレート等の金属キレート化合物;等を併用することができる。
また、本発明のキャスト成形フィルム用組成物のポットライフを伸ばすために、室温での反応遅延剤を併用することができる。反応遅延剤としては、シュウ酸や塩化ベンゾイル、安息香酸、アセチルアセトンなどが挙げられる。
また、ポリイソシアネート化合物以外の架橋剤を併用することもできる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のごときエポキシ化合物;アセトキシシラン、アルコキシシラン、ケトキシムシラン、アミノシラン、アミノキシシラン等のシラン化合物;チタン(Ti)やジルコニウム(Zr)やアルミニウム(Al)等の多価金属のアルコキシド、アセチルアセトナート、アシレート等の金属キレート化合物;等を併用することができる。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物には、必要に応じて他の樹脂を配合して、成形フィルムを得ることができる。併用される他の樹脂は前記アクリル−ウレタン共重合体に対してある程度の相溶性を有するものであれば公知の樹脂でよい。かかる他の樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂とアクリル−ウレタン共重合体とのブレンド比率は、他の樹脂/アクリル−ウレタン共重合体の質量比で50/50〜0/100の範囲が好ましい。他の樹脂の割合が大きくなりすぎると、アクリル−ウレタン共重合体組成物による効果が乏しくなる。
また、必要に応じ、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)などの光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの安定剤を配合することができる。これらの安定剤を配合することにより、得られるフィルムの耐候性を大幅に改善することができる。
また、必要に応じ、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)などの光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの安定剤を配合することができる。これらの安定剤を配合することにより、得られるフィルムの耐候性を大幅に改善することができる。
さらに、本発明のキャスト成形フィルム用組成物には、必要に応じて充填剤、補強剤、可塑剤、難燃剤、離型剤、防黴剤等の添加剤を配合することができる。充填剤や補強剤の例としては、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、ガラス、骨粉、木粉、繊維フレーク等を挙げることができる。可塑剤の例としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等を挙げることができる。難燃剤の例としては、クロロアルキルホスフェート、ジメチルホスホネート、アンモニウムポリホスフェート、有機臭素化合物等を挙げることができる。離型剤の例としては、ワックス、石鹸、シリコンオイル等を挙げることができる。防黴剤の例としては、ペンタクロロフェノール、ペンタクロロフェノールラウレート、ビス(トリ−n−ブチル錫)オキシド等を挙げることができる。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物には、(C)成分として有機溶剤が配合され、該組成物は、通常室温において液状を示す。この有機溶剤としては、前記の(A)成分、(B)成分及び必要に応じて用いられる各種添加成分を溶解又は分散し、該組成物に良好なキャスト成形性を付与し得るものであればよく、特に制限はない。このような有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤;ジアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、フルフラール等の極性溶剤;を用いることができる。この有機溶剤は、2種類以上を混合して用いることもできる。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物においては、キャスト成形性の観点から、固形分濃度は、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜50質量%であり、粘度は、25℃にて好ましくは800〜10,000mPa・s、より好ましくは1,000〜5,000mPa・sである。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物においては、キャスト成形性の観点から、固形分濃度は、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは20〜50質量%であり、粘度は、25℃にて好ましくは800〜10,000mPa・s、より好ましくは1,000〜5,000mPa・sである。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物は、キャスト法によりフィルムに成形される。すなわち、上記の架橋剤であるポリイソシアネート化合物を配合した液状の、本発明のキャスト成形フィルム用組成物を、ポリエステル基材などからなる離型性のある工程紙である支持体上に塗布した後、通常、50〜200℃程度で数秒〜数十分間程度加熱して、溶剤を蒸発させると共に架橋反応を進行させることにより、フィルムに成形される。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物を離型性のある工程紙に塗布する場合、その塗布方法は、特に限定されないが、例えば、グラビアコーター、コンマコーター、リバースコーター、ナイフコーター、スプレーガン等の装置を用いて離型性のある工程紙に塗布する方法が挙げられる。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物を離型性のある工程紙に塗布する場合、その塗布方法は、特に限定されないが、例えば、グラビアコーター、コンマコーター、リバースコーター、ナイフコーター、スプレーガン等の装置を用いて離型性のある工程紙に塗布する方法が挙げられる。
本発明はまた、本発明のキャスト成形フィルム用組成物をキャスト法にて成形してなるフィルムをも提供する。
本発明のフィルムの構成としては、本発明の組成物のみからなる単層でも使用できるが、他のフィルム、例えば、アクリル樹脂フィルムやポリウレタンフィルムと積層して用いることもできる。積層フィルムを作製する場合における積層方法においては、上記塗布方法と同様の方法で行うことができる。
本発明のフィルムの厚み(積層フィルムとした場合は、全体の厚み)は、特に限定されないが、20〜250μmであることが好ましい。厚みが小さすぎる場合は、シートの腰(硬さ)が低くなり作業性が低下し、厚みが大きすぎる場合は、三次元面への追随性が悪くなる傾向がある。
本発明のフィルムの構成としては、本発明の組成物のみからなる単層でも使用できるが、他のフィルム、例えば、アクリル樹脂フィルムやポリウレタンフィルムと積層して用いることもできる。積層フィルムを作製する場合における積層方法においては、上記塗布方法と同様の方法で行うことができる。
本発明のフィルムの厚み(積層フィルムとした場合は、全体の厚み)は、特に限定されないが、20〜250μmであることが好ましい。厚みが小さすぎる場合は、シートの腰(硬さ)が低くなり作業性が低下し、厚みが大きすぎる場合は、三次元面への追随性が悪くなる傾向がある。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物は下記の効果を奏する。
(1)塩素化合物を含有しないアクリル−ウレタン共重合体を主成分としているので、低環境負荷型のフィルムを形成することができる。
(2)当該組成物を成形してなるフィルムは、アクリルポリマーの耐候性とウレタンポリマーの柔軟性との両方の優れた点を保持し、三次曲面やリベット面などへの形状追随性や印刷性、装飾性に優れている。
(3)架橋剤としてポリイソシアネート化合物を配合することにより、その組成物をキャスト法により成形してなるフィルムは、溶剤不溶の架橋構造からなり、優れた耐溶剤性を有すると共に、耐久性にも優れている。
(4)キャスト法においては、当該組成物は層分離することがなく、また架橋剤を配合しても長時間のポットライフを保持することができ、成形作業性に優れているため、気泡やスジなどのない外観のよいフィルムを成形することができる。
(1)塩素化合物を含有しないアクリル−ウレタン共重合体を主成分としているので、低環境負荷型のフィルムを形成することができる。
(2)当該組成物を成形してなるフィルムは、アクリルポリマーの耐候性とウレタンポリマーの柔軟性との両方の優れた点を保持し、三次曲面やリベット面などへの形状追随性や印刷性、装飾性に優れている。
(3)架橋剤としてポリイソシアネート化合物を配合することにより、その組成物をキャスト法により成形してなるフィルムは、溶剤不溶の架橋構造からなり、優れた耐溶剤性を有すると共に、耐久性にも優れている。
(4)キャスト法においては、当該組成物は層分離することがなく、また架橋剤を配合しても長時間のポットライフを保持することができ、成形作業性に優れているため、気泡やスジなどのない外観のよいフィルムを成形することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
<アクリル−ウレタン共重合体の作製>
合成例1
(1)ビニル基含有ウレタンポリマーの合成
撹拌機と窒素ガス導入口、温度計、冷却機を備えた4口の反応容器に、アジピン酸とブタンジオールのポリエステルジオール[分子量600、大日本インキ化学工業社製、商品名「ODX−2045」]を67質量部、1,6−ヘキサメチレングリコールを3質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを0.5質量部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を29質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を1質量部、触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.02質量部、反応溶剤としてメチルエチルケトンを100質量部仕込み、窒素雰囲気下、80℃でイソシアネート基がなくなるまで反応させ、ビニル基含有ウレタンポリマー溶液200.5質量部を得た。固形分含有率は50質量%で、粘度は15000mPa・s/25℃であった。結果を第1表に示す。
(2)アクリル−ウレタン共重合体の合成
前記(1)において得られたビニル基含有ウレタンポリマー溶液200.5質量部に、メチルメタクリレートを110質量部、ブチルアクリレートを20質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2質量部、メチルエチルケトンを140質量部加え混合した後、アゾビスイソブチロニトリルを1質量部加え、80℃で3時間反応した後、更にアゾビスイソブチロニトリルを0.3質量部加え、80℃で2時間反応し、アクリル−ウレタン共重合体溶液を得た。この共重合体溶液の固形分含有率は49質量%であり、粘度は7000mPa・s/25℃であった。ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーの質量比は、100:131であった。結果を第1表に示す。
<アクリル−ウレタン共重合体の作製>
合成例1
(1)ビニル基含有ウレタンポリマーの合成
撹拌機と窒素ガス導入口、温度計、冷却機を備えた4口の反応容器に、アジピン酸とブタンジオールのポリエステルジオール[分子量600、大日本インキ化学工業社製、商品名「ODX−2045」]を67質量部、1,6−ヘキサメチレングリコールを3質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを0.5質量部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を29質量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を1質量部、触媒としてジブチル錫ジラウレートを0.02質量部、反応溶剤としてメチルエチルケトンを100質量部仕込み、窒素雰囲気下、80℃でイソシアネート基がなくなるまで反応させ、ビニル基含有ウレタンポリマー溶液200.5質量部を得た。固形分含有率は50質量%で、粘度は15000mPa・s/25℃であった。結果を第1表に示す。
(2)アクリル−ウレタン共重合体の合成
前記(1)において得られたビニル基含有ウレタンポリマー溶液200.5質量部に、メチルメタクリレートを110質量部、ブチルアクリレートを20質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2質量部、メチルエチルケトンを140質量部加え混合した後、アゾビスイソブチロニトリルを1質量部加え、80℃で3時間反応した後、更にアゾビスイソブチロニトリルを0.3質量部加え、80℃で2時間反応し、アクリル−ウレタン共重合体溶液を得た。この共重合体溶液の固形分含有率は49質量%であり、粘度は7000mPa・s/25℃であった。ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーの質量比は、100:131であった。結果を第1表に示す。
合成例2
合成例1(2)において、第1表に示す組成に変えた以外は、合成例1と同様にしてアクリル−ウレタン共重合体溶液を得た。結果を第1表に示す。
合成例1(2)において、第1表に示す組成に変えた以外は、合成例1と同様にしてアクリル−ウレタン共重合体溶液を得た。結果を第1表に示す。
<評価方法>
(1)キャスト成形フィルム用組成物の粘度
B型回転粘度計[東京計器製]により、温度25℃にて測定した。
(2)フィルムの特性
(a)100%モジュラス、破断強度、破断伸びの測定
JIS K 6251に準じてダンベル3号形状の試料を作製し、引張試験機[上島製作所製]を用いて、温度23℃(65%RH)、引張速度を500mm/minの一定速度にして測定した。ここで、100%モジュラスとは、100%伸びた時の応力をいい、破断強度とは、フィルムが破断した時の応力をいい、破断伸びとは、チャック間長さ(40mm)に対して、破断した時の試料の伸びた長さの比(%)をいう[{(「破断時長さ」−「元の長さ」)/(「元の長さ」)}×100(%)]。
(b)耐溶剤性
染色物摩擦堅牢度試験機[(株)大栄科学精器製作所]を用いる。イソプロピルアルコールに含浸させた綿布を磨耗子に取り付け、荷重1.96N、速度3m/minでフィルム表面約10cmの距離を200往復擦った時におけるフィルム表面の傷つく程度を観察し、下記の判定基準に従って耐溶剤性を評価した。
◎:全く傷がない。
○:僅かに傷がある。
△:やや傷が認められる。
×:傷が顕著に認められる。
(c)リベット形状追随性
フィルムを高さ5mm、直径15mmの形状の金属リベットに貼りつけた後、1昼夜室温で放置してフィルムに浮きが発生するかを観察し、下記の判定基準に従って、リベット形状追随性を評価した
◎:浮きがなく非常に良好。
○:ほぼ浮きがなく良好。
△:少し浮きがある。
×:明らかに浮きがある。
(1)キャスト成形フィルム用組成物の粘度
B型回転粘度計[東京計器製]により、温度25℃にて測定した。
(2)フィルムの特性
(a)100%モジュラス、破断強度、破断伸びの測定
JIS K 6251に準じてダンベル3号形状の試料を作製し、引張試験機[上島製作所製]を用いて、温度23℃(65%RH)、引張速度を500mm/minの一定速度にして測定した。ここで、100%モジュラスとは、100%伸びた時の応力をいい、破断強度とは、フィルムが破断した時の応力をいい、破断伸びとは、チャック間長さ(40mm)に対して、破断した時の試料の伸びた長さの比(%)をいう[{(「破断時長さ」−「元の長さ」)/(「元の長さ」)}×100(%)]。
(b)耐溶剤性
染色物摩擦堅牢度試験機[(株)大栄科学精器製作所]を用いる。イソプロピルアルコールに含浸させた綿布を磨耗子に取り付け、荷重1.96N、速度3m/minでフィルム表面約10cmの距離を200往復擦った時におけるフィルム表面の傷つく程度を観察し、下記の判定基準に従って耐溶剤性を評価した。
◎:全く傷がない。
○:僅かに傷がある。
△:やや傷が認められる。
×:傷が顕著に認められる。
(c)リベット形状追随性
フィルムを高さ5mm、直径15mmの形状の金属リベットに貼りつけた後、1昼夜室温で放置してフィルムに浮きが発生するかを観察し、下記の判定基準に従って、リベット形状追随性を評価した
◎:浮きがなく非常に良好。
○:ほぼ浮きがなく良好。
△:少し浮きがある。
×:明らかに浮きがある。
実施例1
合成例1で得られたアクリル−ウレタン共重合体溶液(固形分含有率49質量%)204質量部(アクリル−ウレタン共重合体100質量部)を用いて、ポリイソシアネート化合物として広野化学工業(株)製、商品名「PU−330」を10.2質量部、ヒンダードアミン系光安定剤[チバガイギー社製、商品名「チヌビン622」]を0.2質量部、紫外線吸収剤[チバガイギー社製、商品名「チヌビン327」]を0.2部、高温反応促進触媒のジブチル錫ジラウレートを0.05質量部、室温での反応遅延剤のアセチルアセトンを5質量部、溶剤としてメチルエチルケトンを20質量部加え、混合し、キャスト成形フィルム用組成物を得て、1時間後に粘度を測定した。更に、1夜静置した後にバーコーターを用いて離型性のある工程紙上に、上記のキャスト成形フィルム用組成物を塗布し、150℃で4分間乾燥硬化させて透明な厚さ40μmのフィルムを得た。
前記フィルムについて、100%モジュラス、破断強度、破断伸び、耐溶剤性、リベット形状追随比を測定した。これらの結果を、第2表に示す。
合成例1で得られたアクリル−ウレタン共重合体溶液(固形分含有率49質量%)204質量部(アクリル−ウレタン共重合体100質量部)を用いて、ポリイソシアネート化合物として広野化学工業(株)製、商品名「PU−330」を10.2質量部、ヒンダードアミン系光安定剤[チバガイギー社製、商品名「チヌビン622」]を0.2質量部、紫外線吸収剤[チバガイギー社製、商品名「チヌビン327」]を0.2部、高温反応促進触媒のジブチル錫ジラウレートを0.05質量部、室温での反応遅延剤のアセチルアセトンを5質量部、溶剤としてメチルエチルケトンを20質量部加え、混合し、キャスト成形フィルム用組成物を得て、1時間後に粘度を測定した。更に、1夜静置した後にバーコーターを用いて離型性のある工程紙上に、上記のキャスト成形フィルム用組成物を塗布し、150℃で4分間乾燥硬化させて透明な厚さ40μmのフィルムを得た。
前記フィルムについて、100%モジュラス、破断強度、破断伸び、耐溶剤性、リベット形状追随比を測定した。これらの結果を、第2表に示す。
実施例2
実施例1において、合成例1で得られたアクリル−ウレタン共重合体溶液の代わりに、合成例2で得られたアクリル−ウレタン共重合体溶液(固形分含有率49質量%)を用い、かつメチルエチルケトンの量を30質量部に変えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、キャスト成形フィルム用組成物を調製し、さらにフィルムを作製した。結果を第2表に示す。
実施例3及び比較例1、2
実施例1において、ポリイソシアネート化合物の量を第2表に示すように変えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、キャスト成形フィルム用組成物を調製し、さらにフィルムを作製した。結果を、それぞれ第2表に示す。
実施例1において、合成例1で得られたアクリル−ウレタン共重合体溶液の代わりに、合成例2で得られたアクリル−ウレタン共重合体溶液(固形分含有率49質量%)を用い、かつメチルエチルケトンの量を30質量部に変えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、キャスト成形フィルム用組成物を調製し、さらにフィルムを作製した。結果を第2表に示す。
実施例3及び比較例1、2
実施例1において、ポリイソシアネート化合物の量を第2表に示すように変えた以外は、実施例1と同様な操作を行い、キャスト成形フィルム用組成物を調製し、さらにフィルムを作製した。結果を、それぞれ第2表に示す。
第2表から分かるように、フィルムの特性において、100%モジュラス、破断強度、耐溶剤性及びリベット形状追随性については、いずれも実施例のフィルムは、比較例のフィルムに比べて優れている。特に耐溶剤性では、比較例1及び2のフィルムでは、いずれも傷が顕著に認められるが、実施例のフィルムでは、全く傷が認められないか、認められても僅かである。破断伸びについては、実施例のフィルムは、比較例のフィルムに比べて若干劣るが、実用上問題はなく、合格である。
本発明のキャスト成形フィルム用組成物は、装飾性、印刷性、形状追随性に優れる上、特に耐溶剤囲にも優れ、車両や二輪車、コンテナ、広告板、看板、交通標識などの外面に貼付される、非塩化ビニル樹脂を素材とするフィルムを、キャスト成形法にて提供することができる。
Claims (19)
- (A)ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを重合してなるアクリル−ウレタン共重合体100質量部、(B)ポリイソシアネート化合物8〜15質量部及び(C)有機溶剤を含むキャスト成形フィルム用組成物。
- (A)アクリル−ウレタン共重合体が、ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを、質量比29:71〜67:33の割合で重合してなるものである請求の範囲1に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- (A)アクリル−ウレタン共重合体が、ビニル基含有ウレタンポリマーと(メタ)アクリルモノマーとを、質量比33:67〜59:41の割合で重合してなるものである請求の範囲1又は2に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 前記ビニル基含有ウレタンポリマーが、アジピン酸とブタンジオールからなるポリエステルジオールと、イソホロンジイソシアネートと、の混合物を主成分とするものから合成されるものである、請求の範囲1に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 前記(メタ)アクリルモノマーが、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートを主成分とするものである、請求の範囲1に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 更に有機錫化合物を含むものである、請求の範囲1に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 前記有機錫化合物がジブチル錫ジラウレートである、請求の範囲6に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 更に、室温での反応遅延剤を含むものである、請求の範囲1に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 前記室温での反応遅延剤がアセチルアセトンである、請求の範囲8に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 更にヒンダードアミン系光安定剤を含むものである、請求の範囲1に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 更に紫外線吸収剤を含むものである、請求の範囲1に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- (C)有機溶剤が、ケトン溶剤である、請求の範囲1に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 前記ケトン溶剤がメチルエチルケトンである、請求の範囲12に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 固形分濃度が5〜80質量%である、請求の範囲1〜13のいずれか1項に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 固形分濃度が10〜60質量%である、請求の範囲14に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 固形分濃度が20〜50質量%である、請求の範囲14に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 25℃における粘度が800〜10,000mPa・sである、請求の範囲1〜16のいずれか1項に記載のキャスト成形フィルム用組成物。
- 請求の範囲1〜17のいずれか1項に記載のキャスト成形フィルム用組成物をキャスト法により成形してなるフィルム。
- 厚みが20〜250μmである、請求の範囲18に記載のフィルム。
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