JP3738477B2 - 変性ウレタン樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は変性ウレタン樹脂に関するもので、さらに詳しくは非極性素材に対する接着性に優れ、溶液性状が良好で、かつ得られる塗膜の性状が良好なウレタン樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ウレタン樹脂は可撓性、耐摩耗性、耐油性、耐薬品性、接着性等が良好で、一方、アクリル系樹脂は耐候性、耐熱性、耐加水分解性、耐薬品性等が優れていることから、どちらも塗料、インキ、接着剤、その他のコーティング剤用途に広く用いられている。しかし、ウレタン樹脂は耐熱性、耐候性、耐加水分解性が低く、幅広い密着性は有するもののポリスチレン(PS)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリプロピレン(PP)等の非極性素材に対しては十分な密着性がなかった。
【0003】
また、アクリル系樹脂は柔軟性、耐摩耗性に乏しく用途が制限されていた。そこで、両者の欠点を補完しあい、より広い用途に対応するためグラフト、ブロック、ブレンド等によるウレタン樹脂とアクリル系樹脂との複合化が種々検討されてきた。
しかしながら、ウレタン樹脂とアクリル系樹脂とは本質的に相溶性を持たないためブレンドによっては安定な樹脂溶液は得られなかった。また、ブロック化、グラフト化によっても通常の条件では性状の良好な樹脂溶液を得ることは困難であった。
【0004】
例えば、特公平5−55528では、ウレタン樹脂マクロマーとアクリルモノマーとの共重合によって複合化を試みている。ウレタン樹脂マクロマーとするためラジカル重合性二重結合をポリウレタン鎖の片末端に導入しようとしても両末端のイソシアネート基の反応性が等価であれば必ず統計的に両末端にラジカル重合性二重結合を有する2官能性ウレタン樹脂が生成する。その量が約1%を越えるとアクリルモノマーとの共重合時に容易に3次元化し、有機溶媒に可溶の樹脂は得られにくい。したがって、インキ、塗料、コーティング用途に適するとは言えなかった。さらに、片末端にラジカル重合性二重結合を導入したウレタン樹脂マクロマーとラジカル重合性モノマーとを共重合した場合、主鎖はラジカル重合性モノマーの重合鎖でグラフト鎖がウレタン樹脂となるためウレタン樹脂本来の性質が出にくかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は各種プラスチック素材に対する幅広い密着性を有し、耐候性、耐摩耗性、耐薬品性、可撓性、耐油性、耐加水分解性の高い塗膜を形成し、かつ、有機溶媒に可溶で良好な溶液性状のインキ、塗料、その他のコーティング用途に好適な変性ウレタン樹脂及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、有機ジイソシアネート、高分子量ポリオール、2個以上の活性水素と1個のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有する二重結合含有化合物、鎖延長剤としての低分子量ジアミンを反応することによって得られ、ラジカル重合性二重結合を1〜200μeq/g含有し、重量平均分子量が10000〜200000である、ラジカル重合性二重結合を含有するウレタン樹脂95〜30重量%存在下にラジカル重合性モノマー5〜70重量%を重合して得られる、有機溶媒に可溶である変性ウレタン樹脂が各種プラスチック素材に対する幅広い密着性を有し、耐候性、耐摩耗性、耐薬品性、可撓性、耐油性、耐加水分解性の高い塗膜を形成し、かつ、有機溶媒に可溶で良好な溶液性状の樹脂溶液を与えることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のラジカル重合性二重結合を含有するウレタン樹脂は有機ジイソシアネートと高分子量ポリオールと2個以上の活性水素と1個のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有するラジカル重合性二重結合含有化合物と必要に応じて鎖延長剤とから得られる。
【0008】
有機のジイソシアネートとしてはヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、ω,ω′−ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。中でも、好ましいのは無黄変型としてはIPDI、H12MDI、黄変型ではTDI、MDIである。
【0009】
高分子量ポリオールとしてはポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリエーテルエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール、シリコンポリオール等が挙げられる。ポリエーテルグリコールとしては環状エーテルを開環重合して得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ポリエステルグリコールとしてはジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸等)又はその無水物と低分子量ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等)との重縮合によって得られるもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリブチレンセバケート等、低分子量ジオールへのラクトンの開環重合によって得られるもの、例えばポリカプロラクトン、ポリメチルバレロラクトン等が挙げられる。ポリエーテルエステルグリコールとしてはポリエステルグリコールに環状エーテルを開環重合したもの、ポリエーテルグリコールとジカルボン酸とを重縮合したもの、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート等が挙げられる。
【0010】
ポリカーボネートグリコールとしては低分子量ジオールとアルキレンカーボネート又はジアルキルカーボネートとから脱グリコール又は脱アルコールによって得られるポリブチレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。ポリオレフィンポリオールとしてはポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。シリコンポリオールとしてはポリジメチルシロキサンポリオール等が挙げられる。また、これらの2種類以上の混合物が挙げられる。高分子量ポリオールの分子量は200〜10000、好ましくは500〜6000である。分子量200以下では柔軟性が乏しく、10000以上では耐摩耗性が低下していずれも好ましくない。
【0011】
ジイソシアネートと高分子量ポリオール反応仕込量はNCO/OHモル比で1.01〜10、好ましくは1.5〜5である。仕込量が1.01以下ではハードセグメント量が少なく耐摩耗性が低い。一方、10以上では溶解性が乏しく、また粘度も高くなりいずれも好ましくない。
【0012】
2個以上の活性水素と1個のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有するラジカル重合性二重結合含有化合物としてはグリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、これらの2種類以上の混合物でもよい。2個以上の活性水素と1個のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有する化合物を用いることにより、ウレタン樹脂主鎖中にペンダント状のラジカル重合性二重結合を導入することができ、ポリウレタン鎖にポリマーがペンダント状にグラフト鎖として導入することが可能となり、ウレタン樹脂本来の性質を生かして欠点を他のポリマーで補うのに有効である。
【0013】
ラジカル重合性二重結合のウレタン樹脂中における含有量は1〜200μeq/g、好ましくは10〜150μeq/g、さらに好ましくは20〜100μeq/gである。二重結合の含有量が1μeq/g以下、すなわち分子量1000000当たりに1個以下、では相溶性が不十分で溶液性状、塗膜性状が不良となる。また、二重結合の含有量が200μeq/g以上、すなわち分子量5000当たりに1個以上、では反応上2官能の比率が高く、ラジカル重合時に3次元化しやすいため好ましくない。
【0014】
鎖延長剤としては低分子量ジオール又は低分子量ジアミンが用いられる。ジオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノール−A等の芳香族系ジオール、N−メチルジエタノールアミン等のジアルカノールアミン等が挙げられる。ジアミンとしてはエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヒドラジン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、ピペラジン、シクロヘキサンジアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂環族ジアミン等及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。また、トリメチロールプロパン、グリセリン等のポリオール類も一部併用することができる。さらに、一部をモノアミンやモノアルコールに置換することも可能である。モノアミンとしてはメチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等が挙げられる。
【0015】
本発明のウレタン樹脂の製造は公知の方法に従い、ワンショット法、プレポリマー化法等によって行われる。ウレタン樹脂を製造する際の溶媒としては、通常、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール類、塩化メチレン、ジクロルエタン等の塩化物類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒類等及びこれらの2種類以上の混合物が用いられる。
【0016】
ウレタン樹脂を製造する際の触媒としては通常のウレタン化反応触媒が用いられる。例えばジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の三級アミン系等が挙げられる。
【0017】
また、ウレタン化反応時、ラジカル重合性二重結合の熱重合を防止するため重合禁止剤を用いることもできる。重合禁止剤としてはメチルハイドロキノン、t−ブチルカテコール、クロラニル等のフェノール系化合物、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン等のアミン類、塩化第2鉄、塩化第2銅等の高原子価金属塩等が挙げられる。
【0018】
本発明のラジカル重合性二重結合を含有するウレタン樹脂の重量平均分子量としては10000〜200000の範囲である。好ましくは15000〜150000、さらに好ましくは20000〜100000である。重量平均分子量10000以下では柔軟性が低く、耐摩耗性に劣る。また、重量平均分子量200000以上ではアクリル成分との相溶性が乏しく溶液性状が低下したり、溶液粘度が極めて高いため塗装作業性が劣り好ましくない。
【0019】
変性ウレタン樹脂の製造は前記ラジカル重合性二重結合含有ウレタン樹脂存在下、ラジカル重合性モノマーを重合して得られる。ラジカル重合性モノマーとラジカル重合性二重結合含有ウレタン樹脂との比率は重量比で5/95〜70/30、好ましくは10/90〜60/40である。重量比が5/95以下ではウレタン樹脂の改質効果が小さく、70/30以上ではウレタン樹脂本来の特性が損なわれて好ましくない。
【0020】
本発明で用いられるラジカル重合性モノマーとしてはスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロルスチレン等のスチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル系モノマー等及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。
ラジカル重合性モノマーの選択は用いられる素材の種類に合わせて行う。接着性を高めるためには溶解性パラメーターの差ができるだけ小さくなるようにする必要がある。
【0021】
上記変性ウレタン樹脂の重量平均分子量として15000〜300000である。好ましくは15000〜100000、さらに好ましくは20000〜60000である。重量平均分子量が15000以下では得られる塗膜の強度、耐摩耗性が低く、300000以上では溶液粘度が著しく高まるため作業性が低下していずれも好ましくない。
【0022】
重合は通常の溶液重合法により、窒素等の不活性ガス気流下、有機溶媒中、重合開始剤を添加し加熱して行われる。用いられる有機溶媒としてはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、ブタノール、ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のアルコール類、塩化メチレン、ジクロルエタン等の塩化物類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒類等及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。
【0023】
重合時の樹脂固形分は5〜95重量%、好ましくは10〜80重量%である。重合開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジt−ブチル、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。重合開始剤の添加量はラジカル重合性モノマーに対して0.001〜10重量%である。また、重合温度は10〜160℃、好ましくは30〜140℃である。
【0024】
本発明の変性ウレタン樹脂には強度、耐摩耗性等を向上させるために各種架橋剤及び必要に応じて他の樹脂を配合して架橋塗膜を得ることができる。
架橋剤としてはポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、エポキシ化合物、シラン化合物、金属キレート化合物等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としてはp−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等、及びこれらの3量体、水付加物、又はこれらの低分子量ポリオール付加物等が挙げられる。
【0025】
アミノ樹脂としてはメラミン、ベンゾグアナミン、尿素等を用いることができる。また、エポキシ化合物としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。さらに、シラン化合物としてはアセトキシシラン、アルコキシシラン、ケトキシムシラン、アミノシラン、アミノキシシラン等が挙げられる。金属キレート化合物としてはTi、Zr、Al等のアルコキシド、アセチルアセトナート、アシレート等が挙げられる。
【0026】
併用される他の樹脂は前記変性ウレタン樹脂に対してある程度の相溶性を有するものであれば通常塗料用に用いられる公知の樹脂でよい。かかるポリマーとしてはアクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。該樹脂と変性ウレタン樹脂とのブレンド比率は他の樹脂/変性ウレタン樹脂重量比で90/10〜0/100の範囲が好ましい。ブレンド比率90/10以上では変性ウレタン樹脂による効果が乏しい。
【0027】
架橋剤の添加量は変性ウレタン樹脂中に含有する水酸基量に対して架橋剤中の反応性官能基量が1〜2倍程度になることが好ましい。また、架橋塗膜の形成は架橋剤を配合した混合物を塗布し50〜200℃で数時間〜数秒間加熱することによって行われる。この際、架橋反応を促進するために系内に各反応系に合った触媒を添加してもよい。用いられる触媒としては通常用いられる公知のものでよい。例えば、ポリイソシアネート化合物を用いた場合には3級アミン、有機錫化合物等、エポキシ化合物を用いた場合3級アミン、フェノール等、シラン化合物では有機酸、有機錫化合物等が挙げられる。
【0028】
本発明の変性ウレタン樹脂には必要に応じて充填剤、補強剤、可塑剤、安定剤、難燃剤、離型剤、防黴剤等の添加剤を配合することができる。充填剤や補強剤の例としてはカーボンブラック、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、ガラス、骨粉、木粉、繊維フレーク等、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等、安定剤としては酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤等、難燃剤としてはクロロアルキルホスフェート、ジメチルメチルホスホネートアンモニウムポリホスフェート有機臭素化合物等、離型剤としてはワックス、石鹸類、シリコンオイル等、防黴剤としてはペンタクロロフェノール、ペンタクロロフェノールラウレート、ビス(トリ−n−ブチルチン)オキシド等が挙げられる。
【0029】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の実施例によってその範囲を制約されるものではない。
<評価項目と測定方法>
(1)水酸基価、酸価
JIS K 1557に準じて測定した。
(2)粘度
E型粘度計EHD−R型((株)東京計器製)を用いて測定した。測定温度は25℃、サンプル量は1.5ml、標準ローター(1°34′)を使用した。
(3)分子量
樹脂分0.2%のTHF溶液を調製し、GPC装置HLC−8020(東ソー(株)製、カラム:G3000HXL、G4000HXL、G6000HXL)を用いて測定し、標準ポリスチレンに換算した重量平均分子量を算出した。
【0030】
(4)密着性
架橋剤としてマイテック(登録商標)NY215A(IPDIのTMP付加物、樹脂固形分75%、酢酸エチル溶液、NCO10.2%、三菱化学(株)製)をアクリル変性ウレタン樹脂固形分100部に対して10部配合し、PMMA、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、PS、ポリ塩化ビニル成形板(厚さ2mm)に乾燥膜厚が約50μmになる様に塗布し、80℃で10時間硬化した塗膜について1mm幅縦横10本のクロスカットをして、セロテープを貼り90°で勢い良く剥離して残った試験片の数で評価した。
◎:残った試験片の数が100
○:残った試験片の数が80〜100
△:残った試験片の数が50〜80
×:残った試験片の数が50以下
【0031】
(5)耐エタノール性
学振式摩耗試験器を用い密着性試験用塗膜(PVC)について不織布に99.5%エタノールを含浸して500gの荷重をのせ100往復後の塗膜表面の状態を目視で評価した。
◎:変化なし
○:表面に傷が付く
△:塗膜が一部分溶解
×:塗膜剥離
【0032】
(6)耐スクラッチ性
密着性試験用塗膜(PVC)について爪による傷付きやすさを目視で評価した。
◎:変化なし
○:表面に傷が付く
△:塗膜が一部分脱落
×:塗膜剥離
【0033】
<実施例1>
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、温度計を取り付けた4ツ口フラスコ中にイソホロンジイソシアネート100部を仕込み、90℃に加熱し、攪拌しながら溶融したポリカプロラクトンジオール(プラクセルPLC208、水酸基価137.0KOHmg/g、ダイセル化学工業(株)製)245.6部、グリセリンモノメタクリレート(ブレンマーGLM、日本油脂(株)製)0.48部、メチルハイドロキノン0.017部を約1時間で滴下した。内温を90℃に保ち4時間反応させた後、MEK115.4部、トルエン115.4部を添加し60℃で1時間攪拌して希釈した。次に攪拌下イソホロンジアミン12.3部、イソプロパノール136.8部の溶液を約1時間で滴下した。さらにモノエタノールアミン9.2部を添加して末端を封鎖した。続いてスチレン32.0部を仕込み窒素気流下、70℃に加熱してAIBN1.6部を3分割して1時間間隔で添加し、さらに10時間反応した。得られた変性ウレタン樹脂は樹脂固形分50%、粘度3500mPa・s、重量平均分子量14000であった。製造結果、及び評価結果を表1、表2に示した。
【0034】
<実施例2〜5、比較例1、4>
実施例1と同じ反応装置、反応条件、表1に示す原料及び仕込量で変性ウレタン樹脂を得た。結果を表2に示した。
<比較例2>
実施例1と同じ反応装置、反応条件、表1に示す原料及び仕込量で反応したところ樹脂溶液は2層に分離した。結果を表2に示した。
<比較例3>
実施例1と同じ反応装置、反応条件、表1に示す原料及び仕込量で反応したところアクリル重合中にゲル化した。結果を表2に示した。
【0035】
【発明の効果】
本発明の変性ウレタン樹脂はラジカル重合性二重結合を一定量導入したウレタン樹脂にラジカル重合性モノマーをグラフトおよび/またはブロック重合した変性ウレタン樹脂で従来品と比較して各種プラスチック素材に対する接着性に優れ、良好な溶液性状及び塗膜性状に優れた効果が認められるものである。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
Claims (4)
- 有機ジイソシアネート、高分子量ポリオール、2個以上の活性水素と1個のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有する二重結合含有化合物、及び鎖延長剤としての低分子量ジアミンを反応することによって得られ、ラジカル重合性二重結合を1〜200μeq/g含有し、重量平均分子量が10000〜200000である、ラジカル重合性二重結合を含有するウレタン樹脂95〜30重量%存在下にラジカル重合性モノマー5〜70重量%を重合して得られる、有機溶媒に可溶であることを特徴とする変性ウレタン樹脂。
- 有機ジイソシアネートが、脂肪族ジイソシアネート又は/及び脂環族ジイソシアネートである請求項1に記載の変性ウレタン樹脂。
- 有機ジイソシアネート、高分子量ポリオール、2個以上の活性水素と1個のラジカル重合性二重結合とを同一分子内に有する二重結合含有化合物、及び鎖延長剤としての低分子量ジアミンを反応せしめて、ラジカル重合性二重結合を1〜200μeq/g含有し、重量平均分子量が10000〜200000の、ラジカル重合性二重結合を含有するウレタン樹脂とし、該ウレタン樹脂95〜30重量%存在下にラジカル重合性モノマー5〜70重量%を重合することにより、有機溶媒に可溶の変性ウレタン樹脂を製造することを特徴とする変性ウレタン樹脂の製造方法。
- 有機ジイソシアネートが、脂肪族ジイソシアネート又は/及び脂環族ジイソシアネートである請求項3に記載の変性ウレタン樹脂の製造方法。
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