JP2018016782A - ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー - Google Patents

ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー Download PDF

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Abstract

【課題】ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、これを用いた硬化性組成物、積層体及び硬化フィルム。【解決手段】式(1)及び式(2)で表わされる構造を有する、アクリートオリゴマー。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化後の耐傷付性、弾性率、耐候性、耐薬品性等に優れ、また、3次元加工の変形に追従するための硬化後の延伸性にも優れたウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びこれを用いた硬化性組成物に関する。また、本発明は、このウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び硬化性組成物を用いた硬化物、積層体、及び硬化フィルムに関する。
ラジカル重合型の硬化性組成物は、活性エネルギー線の照射によって短時間で硬化し、耐薬品性、耐汚染性、耐傷付性、耐摩耗性、耐候性、耐熱性等に優れた皮膜や、成形品を提供することができることから、各種表面加工分野及び注型成形品用途に広く用いられている。このような硬化性組成物の中でも、硬化性や作業効率の点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む硬化性組成物を予め活性エネルギー線により硬化させた硬化物を製造し、その硬化物に表面加工処理等を施した後に、室温又は加熱条件下で3次元加工を施す方法が用いられており、この場合は硬化物に3次元加工時の変形に追従するための硬化後の延伸性が必要となる。
特許文献1には透明性、低硬化収縮率、光線透過率、記録膜保護性能に優れ、低粘度であるものとして、ジイソシアネート化合物、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類、ポリカーボネートジオール類から選ばれる少なくとも1種のジオール化合物、エポキシジ(メタ)アクリレート化合物、及びヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類の反応物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化性組成物が開示されている。
特許文献2には表面硬度と成型性に優れたものとして、ジイソシアネート化合物、分子内に2個の水酸基を有し、分子量が50〜500である化合物、及び分子内に環状骨格を有するジエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸誘導体とから合成された、分子内に2個の水酸基を有するエポキシ(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化性組成物が開示されている。
特許文献3には硬化性、硬化膜の柔軟性、伸びに優れたものとして、ポリイソシアネート、ポリカーボネートジオール、及び分子内に2個の水酸基と2個のエチレン性不飽和基とを含有する2官能エポキシ(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化性組成物が開示されている。
特許文献4には延伸性を有し、塗膜外観、耐擦傷性、耐汚染性、耐摩耗性に優れたものとして、脂環式構造を有するポリイソシアネート、炭素数8〜16の鎖状脂肪族ジオール、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化性組成物が開示されている。
特許文献5には、グリシジル(メタ)アクリレート系重合体にα,β−不飽和モノカルボン酸を付加反応させてなる反応生成物であるポリマーと、多官能イソシアネート及び紫外線吸収剤を有効成分として含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の熱架橋反応生成物からなる硬化性樹脂組成物が開示されているが、この硬化性組成物では、UV硬化と熱硬化が必須となる。また、UV硬化樹脂と熱硬化する樹脂が独立して存在しているため、工程が煩雑になるという問題がある。さらに、特許文献5は、UV硬化による硬化膜のクラックを改良して耐候性を改良しているのみである。また、特許文献5は、紫外線吸収ユニットに対して、エステル結合を有することを必須としている。エステル結合は、汎用性樹脂との溶解性を向上させるために導入されたユニットであるが、耐薬品性、耐光性を低下させる要因となる。
特開2004−35715号公報 特開2010−275339号公報 特開2008−127475号公報 特開2014−214270号公報 特開2000−109652号公報
本発明者らの詳細な検討によれば、前記特許文献1〜5に記載されている硬化性組成物においては、耐傷付性、弾性率、耐候性、耐薬品性、3次元加工の変形に追従するための硬化後の延伸性のいずれかが不十分であるという問題点が見出された。即ち、本発明の課題は、耐傷付性、弾性率、耐候性、耐薬品性等に優れ、また、3次元加工の変形に追従するための硬化後の延伸性にも優れたウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、並びにこれを用いた硬化性組成物、硬化物、積層体及び硬化フィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、特定の原料を用いて得られた、特定の化学構造を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、及びこれと有機溶剤とを含む硬化性組成物が、前記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。ここで、本発明は、紫外線吸収のユニットをウレタン(メタ)アクリレート化して紫外線硬化性を持たせることで工程を簡略化することに成功した。また、上記の特許文献5は、本発明のように3次元追従性を改良しようとするものではない。また、本発明では、ウレタン(メタ)アクリレート化しているので、特許文献5のように紫外線吸収ユニットに対してエステル結合を必須としていない。つまり、エステル結合を有さない本発明で用いる化合物を含有する硬化性組成物は、耐薬品性、耐光性がさらに向上しているものである。
即ち、本発明の要旨は以下の[1]〜[12]に存する。
[1] 下記式(1)で表される化学構造及び下記式(2)で表される化学構造を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
Figure 2018016782
(式(1)中、Xは分子量500以下の脂肪族構造であり、nは2〜8の整数である。)
[2] 重量平均分子量(Mw)が1,500〜30,000である、[1]に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
[3] 下記式(3)で表される化合物(C)に由来する構造単位をウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に由来する構造単位に対し、0.05〜50重量%含有する、[1]または[2]に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
Figure 2018016782
[4] 下記化合物(A)、下記化合物(B)、及び下記化合物(C)を反応させてウレタンプレポリマーを得た後、これに下記化合物(D)を反応させるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
化合物(A):ポリイソシアネート
化合物(B):分子量500以下の脂肪族ポリオール
化合物(C):前記式(3)で表されるポリオール
Figure 2018016782
化合物(D):水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物
[5] 前記化合物(C)を、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に対し、0.05〜50重量%用いる、[4]に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
[6] [1]乃至[3]のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと有機溶剤とを含む硬化性組成物。
[7] 前記有機溶剤の溶解度パラメーターが8.0〜11.5である、[6]に記載の硬化性組成物。
[8] 固形分濃度が5〜90重量%である、[6]又は[7]に記載の硬化性組成物。
[9] [6]乃至[8]のいずれかに記載の硬化性組成物が硬化した硬化物。
[10] 基材上に[6]乃至[8]のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物を有する積層体。
[11] [9]に記載の硬化物を延伸してなる硬化フィルム。
[12] [1]乃至[3]のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー又は[6]乃至[8]のいずれかに記載の硬化性組成物を基材上に塗布する工程、該硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化物を得る工程、該硬化物を延伸する工程を経る、硬化フィルムの製造方法。
本発明によれば、硬化後の耐候性、塗膜外観、耐汚染性、耐傷付性、耐摩耗性、耐薬品性等、特に耐傷付性、弾性率、耐候性、耐薬品性等に優れ、また、3次元加工の変形に追従するための硬化後の延伸性にも優れたウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びこれを用いた硬化性組成物が提供される。また、本発明によれば、このウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー又はこの硬化性組成物を用いた硬化物、積層体、及び硬化フィルムが提供される。
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とはアクリレートとメタクリレートとの総称であり、アクリレート及びメタクリレートの一方又は両方を意味するものであり、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」についても同様である。また、本発明において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
〔ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー〕
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、下記式(1)で表される化学構造及び下記式(2)で表される化学構造を有するものである。
Figure 2018016782
(式(1)中、Xは分子量500以下の脂肪族構造であり、nは2〜8の整数である。)
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び後述する本発明の硬化性組成物は、硬化後の塗膜外観、耐候性、耐汚染性、耐傷付性、耐摩耗性、耐薬品性等、特に耐傷付性、弾性率、耐候性、耐薬品性に優れ、また、3次元加工の変形に追従するための硬化後の延伸性にも優れたものである。特に、耐候性、耐摩耗性、耐汚染性、弾性率、耐傷付性、耐薬品性のバランスにおいては前記特許文献1〜5に記載されている硬化性組成物と比較して顕著に優れたものである。
本発明の硬化性組成物が上記のような優れた効果を奏する理由は定かではないが、耐汚染性、耐摩耗性及び弾性率については次の理由によるものと考えられる。即ち、本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、前記式(1)中のXの化学構造を有することにより、分子内でのウレタン結合間距離が短くなり、分子間においてウレタン結合由来の強固な水素結合が形成され、硬化膜の硬さ、剛性が得られることによるものと考えられる。前記特許文献1〜3に記載されているウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーでは鎖長の長い高分子ジオールを用いているため、水素結合が形成されるもののウレタン結合量が低い分、得られる硬化膜の硬さ、剛性が不足し、耐汚染性、耐摩耗性が不足するものと推定される。
また、耐候性については、式(2)で表される紫外線吸収能を有する化学構造に由来し、この化学構造が分子鎖中に組み込まれることで長期間、耐候性を維持することができるものと推定される。前記特許文献1〜4には式(2)で表される化学構造を有さないため、本発明のウレタン(メタ)アクリレートと比較して耐候性に劣るものと推定される。
さらに、耐薬品性については、前記特許文献5で記載されている化合物は、紫外線吸収ユニットに対してエステル結合を必須としている。そのため、この構造が、耐薬品性に対し、何らかの影響を与えていると推察されるが、本発明のウレタン(メタ)アクリレートはこのような構造を有さず、耐薬品性に優れる。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートにおいて、式(1)で表される化学構造(以下、「化学構造(1)」と称す場合がある。)は以下に説明するように通常、化合物(A)のポリイソシアネートと化合物(B)の分子量500以下の脂肪族ポリオールとの反応により形成されるものである。また、本発明のウレタン(メタ)アクリレートにおいて、式(2)で表される化学構造(以下、「化学構造(2)」と称す場合がある。)は、通常、上記の化合物(A)と化合物(B)との反応により得られた生成物と式(3)で示されるポリオールとが反応して形成されるものである。更に、得られた反応物に対して化合物(D)の水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させることにより、末端に(メタ)アクリロイル基が導入され、本発明のウレタン(メタ)アクリレートを得ることができる。
つまり、本発明のウレタン(メタ)アクリレートの化学構造は、主鎖の末端から順番に(メタ)アクリロイル基に由来する化学構造、それより内部の構造は、式(1)で表される化学構造、式(2)で表される化学構造を少なくとも有し、これらがランダムな順番で結合した構造を有する化合物である。
式(1)において、Xは、分子量500以下の脂肪族構造であれば、特に制限されないが、好ましくは分子量400以下の脂肪族構造であり、より好ましくは分子量300以下の脂肪族構造である。一方、Xは、好ましくは分子量14以上の脂肪族構造であり、より好ましくは28以上の脂肪族構造である。Xは、後述の化合物(B)の脂肪族構造に結合する水酸基を取った残基に相当し、直鎖状脂肪族構造であっても、分岐鎖状脂肪族構造であっても、脂環族構造であってもよい。
式(1)において、nは2〜8の整数であるが、nは、好ましくは2〜6であり、より好ましくは2〜4である。具体的には、このnの値が2である場合、式(1)で表される化学構造は下記式(1−1)となり、また、nの値が3である場合、式(1)で表される化学構造は下記式(1−2)となる。
Figure 2018016782
(式(1−1),(1−2)中、Xは式(1)におけると同義である。)
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、化学構造(1)と化学構造(2)とを有するものであればよく、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、化学構造(1)及び化学構造(2)以外の化学構造を有していてもよい。他の化学構造としては、後述のその他の原料化合物に由来する化学構造が挙げられる。
化学構造(1)に基づく、高いウレタン結合量に由来する硬化膜の硬さ、剛性を確実に得る上で、本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、化学構造(1)をウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー中に5重量%以上含有することが好ましく、特に10重量%以上含有することが好ましい。
また、化学構造(2)に基づく優れた耐候性を確実に得る上で、化学構造(2)をウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー中に0.1重量%以上、特に0.5重量%以上含有することが好ましい。
化学構造(1)による効果と化学構造(2)による効果をバランスよく得る上で、本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー中に化学構造(1)を10〜50重量%、化学構造(2)を0.5〜30重量%含有することが好ましい。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、化学構造(1)に該当する化学構造を1種のみ有するものであってもよく、Xやnが異なる化学構造(1)の2種以上を有するものであってもよい。
[重量平均分子量(Mw)]
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は1,500以上であることが好ましく、3,000以上であることがより好ましく、一方、30,000以下であることが好ましく、25,000以下であることがより好ましく、20,000以下であることが更に好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量が上記下限値以上であると、得られる硬化膜の3次元加工適性が良好となる傾向にある。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量が上記上限値以下であると、硬化性組成物から得られる硬化膜の耐汚染性が良好となる傾向にある。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの網目構造における架橋点間の距離、更にはこれを用いて得られる硬化膜の3次元加工適性と耐汚染性に関係があり、重量平均分子量が小さいほど架橋点間の距離は短く、また、重量平均分子量が大きいほど架橋点間の距離は長くなる傾向にある。重量平均分子量が3次元加工適性及び耐汚染性に影響する理由は架橋点間距離が長くなると弾性率は低くなり、柔軟で伸びやすい構造となり3次元加工適性がより良好となり、一方、この距離が短くなると網目構造が強固な構造となり弾性率は高まる他、耐擦傷性、耐汚染性、耐摩耗性がより良好となるものと推定される。なお、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量はゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー測定(GPC測定)により、求めることができ、より詳細な測定方法を後掲の実施例において示す。
[化合物(A)]
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造に用いる化合物(A)は、ポリイソシアネートである。ポリイソシアネートは、イソシアネート基及び/又はイソシアネート基を含む置換基を1分子中に合計2個以上有する化合物である。化合物(A)は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。なお、本発明において、イソシアネート基及びイソシアネート基を含む置換基を総称して「イソシアネート基類」と称することがある。また、化合物(A)において、2個以上のイソシアネート基類は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
イソシアネート基を含む置換基としては、例えば1個以上のイソシアネート基を含む、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルケニル基又は炭素数1〜5のアルコキシル基が挙げられる。これらの中でも1個以上のイソシアネート基を含む炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、特に1個以上のイソシアネート基を含む炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
ポリイソシアネートとしては、その種類は特に制限されないが、鎖状脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられ、これらのうちの1種を用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも化合物(A)としては、得られる硬化物の耐候性と硬度を高める観点から脂環式ポリイソシアネートを含むことが好ましい。
鎖状脂肪族ポリイソシアネートは、鎖状脂肪族構造とそれに結合する2個以上のイソシアネート基類とを有する化合物である。鎖状脂肪族ポリイソシアネートは、硬化性組成物を硬化して得られる硬化膜の耐候性を高め、かつ延伸性を付与する観点から好ましい。鎖状脂肪族ポリイソシアネートにおける鎖状脂肪族構造は、特に限定されないが、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキレン基であることが好ましい。このような鎖状脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、及び、トリス(イソシアネートヘキシル)イソシアヌレート等の脂肪族トリイソシアネートが挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ポリイソシアネートは、芳香族構造とそれに結合する2個以上のイソシアネート基類とを有する化合物である。芳香族ポリイソシアネートにおける芳香族構造は、特に限定されないが、炭素数6〜13の芳香族構造であることが好ましい。このような芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートは、硬化性組成物を硬化して得られる硬化膜の機械的強度を高める観点から好ましく、このような芳香族ポリイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環式ポリイソシアネートは、脂環式構造と2個以上のイソシアネート基類とを有する化合物である。脂環式ポリイソシアネートにおける脂環式構造は、特に限定されないが、炭素数5〜15であることが好ましく、炭素数6以上であることがさらに好ましい。また、炭素数14以下であることがさらに好ましく、炭素数13以下であることが特に好ましい。さらに、脂環式構造としては、シクロアルキレン基であることが好ましい。脂環式構造を有するポリイソシアネートとしては、例えば、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等の脂環式構造を有するジイソシアネート及びトリス(イソシアネートイソホロン)イソシアヌレート等の脂環式構造を有するトリイソシアネートが挙げられる。これらの中でもイソホロンジイソシアネートを含むことが好ましい。
[化合物(B)]
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造に用いる化合物(B)は分子量500以下の脂肪族ポリオールである。脂肪族ポリオールは、脂肪族構造とそれに結合する2個以上の水酸基とを有する化合物である。脂肪族構造は、直鎖状脂肪族構造であっても、分岐鎖状脂肪族構造であっても、また、脂環族構造であってもよい。化合物(B)は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
化合物(B)としては例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール,1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール等の直鎖状脂肪族構造を有するジオール;プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−ノナンジオール等の分岐鎖状脂肪族構造を有するジオール;トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール等の分岐鎖状脂肪族構造とそれに結合する3個以上の水酸基とを有する化合物;シクロプロパンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、トリシクロデカンジオール、アダマンチルジオール等の脂環族構造を有するジオール等が挙げられる。これらの中でも、直鎖状脂肪族構造を有するものが好ましく、特にエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,12−ドデカンジオールから選ばれる少なくとも1つを用いることが硬化後の耐傷付性、耐摩耗性、耐汚染性に優れた硬化性組成物を得ることができるために好ましく、これらの中でも耐汚染性の点ではエチレングリコールが最も好ましく、耐傷付性、耐摩耗性の点では1,12−ドデカンジオールを含むことが最も好ましい。また、耐汚染性、耐傷付性及び耐摩耗性のバランスに優れた硬化膜を得られる点では、1,4−ブタンジオールが好ましい。なお、硬化後の耐候性をより向上させるためには、化合物(C)をウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー中により多く導入する必要がある。そのためには、化合物(B)は、分岐鎖状脂肪族構造を有するジオールを含むことが好ましい。分岐鎖状脂肪族構造を有するジオールの中でも、溶液透明性の点から、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等がより好ましく、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が特に好ましい。
本発明において、化合物(B)はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に対し、3重量%以上で用いられることが、硬化後の耐汚染性、耐傷付性、耐摩耗性を向上させる観点から好ましい。また、この効果をより高めるため、化合物(B)は5重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることが更に好ましく、20重量%以上であることが特に好ましく、30重量%以上であることが最も好ましく、一方、化学構造(2)の含有量を確保する観点から99.95重量%以下であることが好ましく、90重量%以下であることがより好ましく、80重量%以下であることが特に好ましい。この中でも、特に、硬化後の耐汚染性、耐傷付性、耐摩耗性のバランスが要求される場合には、化合物(B)は3重量%以上であることが好ましく、4重量%以上であることがより好ましく、5重量%以上であることが特に好ましい。また、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、8重量%以下であることが特に好ましく、6重量%以下であることが最も好ましい。また、特に、硬化後の耐候性がより要求される場合には、溶液透明性確保の観点から、化合物(B)はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に対し、3重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましく、10重量%以上であることが特に好ましい。さらに、化合物(C)をウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー中により多く導入した際に良好な耐候性が得られるため、化合物(B)はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に対し、50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることが特に好ましい。
[化合物(C)]
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造に用いる化合物(C)は、下記式(3)で表されるポリオールである。
Figure 2018016782
本発明において、化合物(C)はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に対し、0.05重量%以上で用いられることが、硬化後の耐候性を向上させる観点好ましい。また、この効果をより高めるため、化合物(C)は0.1重量%以上であることがより好ましく、0.2重量%以上であることが更に好ましく、0.5重量%以上であることが特に好ましく、一方、化学構造(1)の含有量を確保する観点から50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることが特に好ましい。さらに、この中でも、特に、硬化後の耐汚染性、耐傷付性、耐摩耗性のバランスが要求される場合には、0.1重量%以上であることがより好ましく、0.2重量%以上であることが更に好ましく、0.5重量%以上であることが特に好ましい。また、化学構造(1)の含有量を確保し、硬化後の弾性率や延伸性を確保する観点から、化合物(C)はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に対し、8重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることがより好ましく、3重量%以下であることが特に好ましい。また、用途によっては、より厳しい条件で硬化後の耐候性を評価し、硬化後の耐候性をより向上させた材料を提供する必要がある。その場合には、化合物(C)はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に対し、10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、20重量%以上であることが特に好ましい。また、化学構造(1)の含有量を確保する観点から50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることが特に好ましい。
即ち、本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、化合物(C)に由来する構造単位を、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に由来する構造単位に対して、0.05〜50重量%、特に0.1〜40重量%、とりわけ0.2〜30重量%、更には0.5重量%以上含むことが好ましい。
[化合物(D)]
化合物(D)は水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば特に制限されない。化合物(D)は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
化合物(D)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、グリコールのモノ(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート体等が挙げられる。これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基と水酸基との間に炭素数が2〜4のアルキレン基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等、鎖状脂肪族構造、或いは環状脂肪族構造、及び芳香族構造を有するエポキシ化合物より選ばれるエポキシ化合物と、(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物(本発明においては(メタ)アクリル酸を含むものとする。)を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基と水酸基との間に炭素数が2〜4のアルキレン基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエポキシ(メタ)アクリレートが、得られる硬化膜の機械的強度の観点から特に好ましく、特に炭素数2〜12の鎖状脂肪族構造を有するエポキシ化合物と、(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートが、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化性を良好なものとすることができる点で好ましい。尚、鎖状脂肪族構造は、直鎖状脂肪族構造であっても、分岐鎖状脂肪族構造であってもよい。
化合物(D)の炭素数2〜12の鎖状脂肪族構造を有するエポキシ(メタ)アクリレートを得るのに用いるエポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,5−ペンタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,7−ヘプタンジオールジグリシジルエーテル、1,8−オクタンジオールジグリシジルエーテル、1,9−ノナンジオールジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテル、1,11−ウンデカンジオールジグリシジルエーテル、1,12−ドデカンジオールジグリシジルエーテル等の直鎖状脂肪族構造を有するエポキシ化合物;プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の分岐鎖状脂肪族構造を有するエポキシ化合物等が挙げられる。
これらの中でも、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,5−ペンタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の炭素数が4〜6の鎖状脂肪族構造を有するエポキシ化合物が、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化性の観点から好ましい。
化合物(D)の原料として用いられる(メタ)アクリロイル基及びカルボキシル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸;カルボキシメチル(メタ)アクリレート、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、カルボキシプロピル(メタ)アクリレート等のカルボキシアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等の無水カルボン酸との反応物等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、アクリロイル基を有する化合物が得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化性の観点から好ましく、アクリル酸が特に好ましい。
化合物(D)のエポキシ(メタ)アクリレートは市販品として入手することができる。該当する市販品としては、例えば、カヤラッド(登録商標)R−167(日本化薬社製)、NKオリゴEA−5520、EA−5321(新中村化学社製)等が挙げられる。
本発明において、化合物(D)はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に対し、2重量%以上で用いられることが、硬化後の耐汚染性、耐傷付性、耐摩耗性を向上させる観点から好ましい。また、この効果をより高めるため、化合物(D)は4重量%以上であることがより好ましく、6重量%以上であることが更に好ましく、8重量%以上であることが特に好ましい。一方、硬化後の良好な延伸性を得る観点から、化合物(D)はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に対し、4重量%以上であることがより好ましく、6重量%以上であることが更に好ましく、8重量%以上であることが特に好ましい。また、20重量%以下であることが好ましく、18重量%以下であることがより好ましく、16重量%以下であることがさらに好ましく、14重量%以下であることが特に好ましい。さらに、硬化後の耐候性をより向上させるために、化合物(C)をウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー中により多く導入した際に良好な耐候性を得る観点から、化合物(D)はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に対し、4重量%以上であることがより好ましく、6重量%以上であることが更に好ましく、8重量%以上であることが特に好ましい。また、20重量%以下であることが好ましく、18重量%以下であることがより好ましく、16重量%以下であることがさらに好ましく、14重量%以下であることが特に好ましい。
[その他の原料化合物]
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料化合物において、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、前記化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)、及び化合物(D)以外のその他の原料化合物を用いてもよい。このようなその他の原料化合物としては、例えば、分子量500以下の芳香族構造を有するポリオール、分子量が500を超える高分子量ポリオール(以下、これらのポリオールを「その他のポリオール」と称す場合がある。)、鎖延長剤等が挙げられる。
分子量500以下の芳香族構造を有するジオールとしては、例えば、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノールA等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分子量が500を超える高分子量ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、及びシリコンポリオール等が挙げられる。これらは1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記高分子ポリオールを用いる場合、ポリカーボネートポリオールが好ましい。このポリカーボネートポリオールは、例えば、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、及びジアルキルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1つのカーボネート化合物とジオール類及び/又はポリエーテルポリオール類を反応させて得られる。ポリカーボネートポリオールの原料としてのジオール類としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,12−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリブタジエンジオール等が挙げられる。これらの中でも、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1つを含むことが耐傷付性、耐摩耗性の観点から好ましい。ポリカーボネートポリオールは市販品として入手することができる。該当する市販品としては、例えば、デュラノール(登録商標)T4671、T4691、5651、6001(旭化成社製)等が挙げられる。
鎖延長剤は、イソシアネート基と反応する2つ以上の活性水素を有する化合物である。鎖延長剤としては、数平均分子量500以下の低分子量ジアミン化合物等が挙げられ、例えば、2,4−もしくは2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン;エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン等の脂肪族ジアミン;及び、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソプロピリデンシクロヘキシル−4,4’−ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリシクロデカンジアミン等の脂環式ジアミン等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法]
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法は特に制限されないが、通常、前記化合物(A)に、前記化合物(B)と化合物(C)、必要に応じて用いられるその他のポリオールをウレタン化反応させ、得られた生成物と前記化合物(D)とを反応させることにより製造することができる。また、その際の各原料化合物の仕込み比は通常、目的とするウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの組成と実質的に同等、又は同一とする。
より具体的には、通常、前記化合物(A)と化合物(B)及び化合物(C)、必要に応じて用いられるその他のポリオールとを、イソシアネート基が過剰となるような条件下で反応させてイソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーを得て、次いで該イソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーと前記化合物(D)とを反応させる方法により製造することができる。
上記の製造方法によれば、化合物(A)と化合物(B)及び化合物(C)、必要に応じて用いられるその他のポリオールとをウレタン化反応させることによりイソシアネート末端を有するウレタンプレポリマーが得られる。目的とするウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、この末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと化合物(D)とを反応させて得ることができる。この製造方法によれば、分子量の制御が容易であり、また、主鎖骨格中に前記式(2)で表される化学構造を導入することができるために硬化膜を容易に得ることができるために好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーにおける全イソシアネート基の量とヒドロキシル基及びアミノ基等のイソシアネート基と反応する全官能基の量は、通常、理論的に当モルである。但し、化合物(D)が2つ以上の水酸基を有する場合においては、高分子量化に伴う高粘度化によりハンドリング性が低下することを避けるため、過剰量の化合物(D)を使用することが好ましい。このため、原料として用いる化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)及び化合物(D)及びその他の原料化合物の使用量は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーにおける全イソシアネート基の量とそれと反応する全官能基の量とが等当量又はイソシアネート基に対する当該全官能基の当量%で50〜300当量%になる量である。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを製造する際は、化合物(D)の使用量を、化合物(D)及びその他の原料におけるイソシアネート基と反応する官能基を含む化合物の総使用量に対して、2モル%以上とすることが好ましく、4モル%以上とすることがより好ましく、5モル%以上とすることが更に好ましく、6モル%以上とすることが特に好ましく、10モル%以上とすることが最も好ましい。一方、70モル%以下とすることが好ましく、50モル%以下とすることがより好ましく、40モル%以下とすることが更に好ましく、30モル%以下とすることが特に好ましい。化合物(D)の使用量を上記範囲内とすることにより、得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの分子量を制御することができる。化合物(D)の割合が多いと、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの分子量は小さくなる傾向となり、割合が少ないと分子量は大きくなる傾向となる。
更に、鎖延長剤を用いる場合には、化合物(B)、化合物(C)、及びその他のポリオール成分と鎖延長剤とを合わせた化合物の総使用量に対して全ポリオールの使用量を、70モル%以上とすることが好ましく、80モル%以上とすることがより好ましく、90モル%以上とすることが更に好ましく、95モル%以上とすることが特に好ましい。
なお、上記の使用原料割合は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを製造する際の目安となるものである。実際には、所望の物性により、原料配合割合を上記の範囲において微調整することが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造において、粘度の調整を目的に有機溶媒を使用することができる。有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。有機溶媒としては、本発明の効果が得られる範囲において公知の有機溶媒のいずれも使用することができる。好ましい有機溶媒としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。有機溶媒は、通常、反応系内の固形分100重量部に対して300重量部以下で使用することができる。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造において、生成するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びその原料化合物の総含有量は、反応系の総量に対して20重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましい。なお、この総含有量の上限は通常、100重量%である。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びその原料化合物の総含有量が上記下限値以上であると、反応速度が高くなり、製造効率が向上する傾向にあるために好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造に際しては触媒を用いることができる。この触媒としては、本発明の効果が得られる範囲から選ぶことができ、例えばジブチルスズラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジオクチルスズジラウレート、及びジオクチルスズジオクテート等のスズ系触媒;ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)等のビスマス系触媒等が挙げられる。触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。触媒は、これらのうち、ジオクチルスズジラウレート、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)であることが、環境適応性及び触媒活性、保存安定性等の観点から好ましい。触媒の使用量は、原料化合物の総含有量に対して、上限が通常2,000ppm以下、好ましくは1,000ppm以下であり、下限が通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上である。なお、前記の方法により製造する場合、特に、前記化合物(A)と化合物(B)とを反応させてウレタンプレポリマーを得る反応、ウレタンプレポリマーに対して前記化合物(C)を反応させる際、及びウレタンプレポリマーに対して前記化合物(D)を反応させる際のいずれの反応においても上記触媒を用いることが好ましい。
また、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造時に、反応系に化合物(D)のような(メタ)アクリロイル基を含む化合物を用いる場合には、重合禁止剤を併用することが好ましい。このような重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエン等のフェノール類、フェノチアジン、ジフェニルアミン等のアミン類、ジブチルジチオカルバミン酸銅等の銅塩、酢酸マンガン等のマンガン塩、ニトロ化合物、ニトロソ化合物等が挙げられる。重合禁止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。重合禁止剤は、これらのうち、フェノール類が好ましい。重合禁止剤の使用量は、その原料化合物の総含有量に対して、上限が通常3,000ppm以下、好ましくは1,000ppm以下であり、特に好ましくは500ppm以下であり、一方、下限が通常50ppm以上、好ましくは100ppm以上である。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造において、反応温度は20℃以上であることが好ましく、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。反応温度が上記下限値以上であると、反応速度が高くなり、製造効率が向上する傾向にあるために好ましい。また、反応温度は120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。反応温度が上記上限値以下であると、アロファネート化反応等の副反応が起きにくくなるために好ましい。また、反応系に有機溶媒を含む場合には、反応温度はその有機溶媒の沸点以下であることが好ましく、化合物(D)等の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が含まれる場合には(メタ)アクリロイル基が過剰に反応することを防ぐ観点から70℃以下であることが好ましい。反応時間は通常5〜20時間である。
〔硬化性組成物〕
本発明の硬化性組成物は、少なくとも前述の本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと有機溶剤とを含むものである。
[有機溶剤]
本発明の硬化性組成物は、有機溶剤を含む。有機溶剤を用いることにより、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを良好に溶解し、後述するようにウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーに活性エネルギー線を照射して硬化する際に、塗膜を形成するための粘度を調整し、均一な硬化膜を得ることができる。
有機溶剤は本発明の効果が得られる範囲において公知の有機溶剤のいずれも使用することができる。好ましくは溶解度パラメーター(以下、「SP値」と称する。)が、8.0〜11.5である有機溶剤である。SP値が8以上であるとウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの溶解性の観点で好ましく、一方、11.5以下であると溶液の透明性の観点で好ましい。上記範囲の有機溶剤としては、例えば、トルエン(SP値:9.1)、キシレン(SP値:9.1)、酢酸エチル(SP値:8.7)、酢酸ブチル(SP値:8.7)、シクロヘキサノン(SP値:9.8)、メチルエチルケトン(SP値:9.0)、メチルイソブチルケトン(SP値:8.7)、N−メチルピロリドン(SP値:11.2)、イソプロピルアルコール(SP値:11.5)等が挙げられる。なお、本発明において、SP値は、溶解度パラメーターを表し、その値はFedorsらが提案した方法によって計算されるものである。具体的には「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(147〜154頁)」を参照して求められる値である。また、SP値は、分子の疎水性基や親水性基の含有量により決まる物性値であり、混合溶媒を用いる場合は、混合物としての値を意味する。
有機溶剤は、通常、硬化性組成物の固形分濃度が5〜90重量%となるように使用可能であり、固形分濃度は、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは15重量%以上であり、一方、好ましくは80重量%以下であり、より好ましくは70重量部%以下であり、更に好ましくは60重量%以下である。なお、ここでいう「固形分」とはウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのみならず、有機溶剤を除いた全成分を意味し、固体状態のものだけではなく、半固形や粘稠な液状物をも含むものとする。
[その他の成分]
本発明の硬化性組成物は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲において、更に、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び前記有機溶剤以外の成分(本発明において、「その他の成分」と称することがある。)を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、活性エネルギー線反応性モノマー、活性エネルギー線硬化性オリゴマー(本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを除く。)、重合開始剤、光増感剤、エポキシ化合物及びその他の添加剤等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物において、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、前記活性エネルギー線反応性成分等、硬化性組成物中の有機溶剤を除く全成分(固形分)の総量(以下「組成物全量」と称す場合がある。)に対して40重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量が上記下限値以上であると、硬化性が良好となり、硬化膜とした際の機械的強度が高くなりすぎることなく、3次元加工適性が向上する傾向にあるため好ましい。なお、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量の上限値は100重量%である。
また、本発明の硬化性組成物において、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む前記活性エネルギー線反応性成分の総含有量は、組成物としての硬化速度及び表面硬化性に優れ、タックが残らない等の面から、該組成物全量に対して、60重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることがさらに好ましく、95重量%以上であることが特に好ましい。なお、この含有量の上限は100重量%である。
前記活性エネルギー線反応性モノマーとしては、本発明の効果が得られる範囲において、公知のいずれの活性エネルギー線反応性モノマーも用いることができる。これらの活性エネルギー線反応性モノマーは、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの親疎水性や、得られる組成物を硬化膜とした際の硬化膜の硬度、伸度等の物性を調整する目的等で使用される。活性エネルギー線反応性モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
このような活性エネルギー線反応性モノマーとしては、例えばビニルエーテル類、(メタ)アクリルアミド類、及び(メタ)アクリレート類が挙げられ、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ジアリルフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−i−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルフォリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸−2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル等の単官能(メタ)アクリレート;及び、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸−1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(n=3〜16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1−メチルブチレングリコール)(n=5〜20)、ジ(メタ)アクリル酸−1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸ジシクロペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエポキシジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;が挙げられる。
これらの中で、特に、本発明の組成物に塗布性を要求される用途では、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリルアミド等の、分子内に環構造を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましく、一方、得られる硬化膜の機械的強度が求められる用途では、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが好ましく、得られる硬化膜の延伸性が求められる用途では、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(n=3〜16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1−メチルブチレングリコール)(n=5〜20)等のポリエーテル(メタ)アクリレート類が好ましい。
本発明の硬化性組成物において、前記活性エネルギー線反応性モノマーの含有量は、組成物の粘度調整及び得られる硬化膜の硬度、伸度等の物性調整の観点から、該組成物全量に対して、50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることがさらに好ましく、10重量%以下であることが特に好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性オリゴマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、アクリル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレート(前記活性エネルギー線反応性モノマーに記載されているものを除く。)が挙げられる。活性エネルギー線硬化性オリゴマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の硬化性組成物において、前記活性エネルギー線反応性オリゴマーの含有量は、得られる硬化膜の硬度、伸度等の物性調整の観点から、該組成物全量に対して、50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることがさらに好ましく、10重量%以下であることが特に好ましい。
前記重合開始剤は、主に、紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射で進行する重合反応の開始効率を向上させる等の目的で用いられる。重合開始剤としては、光によりラジカルを発生する性質を有する化合物である光ラジカル重合開始剤が一般的であり、本発明の効果が得られる範囲で公知の何れの光ラジカル重合開始剤でも使用可能である。重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。更に、光ラジカル重合開始剤と光増感剤とを併用してもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、及び2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オン等が挙げられる。
これらの中で、硬化速度が速く架橋密度を十分に上昇できる点から、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、及び、2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及び2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンがより好ましい。
また、硬化性組成物に、ラジカル重合性基と共にエポキシ基等のカチオン重合性基を有する化合物が含まれる場合は、重合開始剤として、上記した光ラジカル重合開始剤と共に光カチオン重合開始剤が含まれていてもよい。光カチオン重合開始剤も、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で公知のいずれのものも使用することができる。
本発明の硬化性組成物におけるこれらの重合開始剤の含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましい。重合開始剤の含有量が上記上限値以下であると、開始剤分解物による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
前記光増感剤は、重合開始剤と同じ目的で用いることができる。光増感剤としては、本発明の効果が得られる範囲で公知の光増感剤のいずれをも使用することができる。このような光増感剤としては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、及び4−ジメチルアミノアセトフェノン等が挙げられる。光増感剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の硬化性組成物において、前記光増感剤の含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましい。光増感剤の含有量が上記上限値以下であると、架橋密度低下による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
前記添加剤は、本発明の効果が得られる範囲において任意であり、同様の用途に用いられる組成物に添加される種々の材料を添加剤として用いることができる。添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。このような添加剤としては、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、雲母、酸化亜鉛、酸化チタン、タルク、カオリン、金属酸化物、金属繊維、鉄、鉛、金属粉等のフィラー類;炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料類(フィラー類、炭素材料類を総称して「無機成分」と称することがある);酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、耐指紋剤、表面親水化剤、帯電防止剤、滑り性付与剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤等の改質剤類;顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類;及び、モノマー及び/又はそのオリゴマー、又は無機成分の合成に必要な硬化剤、触媒、硬化促進剤類;等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物において、前記添加剤の含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、5重量部以下であることがより好ましい。添加剤の含有量が上記上限値以下であると、架橋密度低下による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
本発明の硬化性組成物に、前述の添加剤等の任意成分を含有させる方法としては、特に限定はなく、従来公知の混合、分散方法等が挙げられる。なお、前記任意成分をより確実に分散させるためには、分散機を用いて分散処理を行うことが好ましい。具体的には、例えば、二本ロール、三本ロール、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、遊星式攪拌機、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ニーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等で処理する方法が挙げられる。
[粘度]
本発明の硬化性組成物の粘度は、硬化性組成物の用途や使用態様等に応じて適宜調節し得るが、取り扱い性、塗工性、成形性、立体造形性等の観点から、E型粘度計(ローター1°34’×R24)における25℃での粘度が、5mPa・s以上であることが好ましく、10mPa・s以上であることがより好ましく、一方、50,000mPa・s以下であることが好ましく、10,000mPa・s以下であることがより好ましく、5,000mPa・s以下であることが更に好ましく、2,000mPa・s以下であることが特に好ましい。硬化性組成物の粘度は、例えば本発明にかかるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量や、前記の任意成分の種類や、その配合割合等によって調整することができる。
[塗工方法]
本発明の硬化性組成物の塗工方法としては、バーコーター法、アプリケーター法、カーテンフローコーター法、ロールコーター法、スプレー法、グラビアコーター法、コンマコーター法、リバースロールコーター法、リップコーター法、ダイコーター法、スロットダイコーター法、エアーナイフコーター法、ディップコーター法等の公知の方法を適用可能であるが、その中でもバーコーター法及びグラビアコーター法が好ましい。
〔硬化物・積層体〕
前述の本発明の硬化性組成物に通常、活性エネルギー線を照射することにより、硬化物を得ることができる(以下、「本発明の硬化物」と称することがある。)。硬化性組成物を硬化させる際に使用する活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等が挙げられる。装置コストや生産性の観点から電子線又は紫外線を利用することが好ましく、光源としては、電子線照射装置、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、太陽光等が好適である。
活性エネルギー線の照射量は、活性エネルギー線の種類に応じて適宜に選ぶことができる。例えば、電子線照射により硬化する場合には、その照射量は1〜15Mradであることが好ましい。また、紫外線照射により硬化する場合には、50〜1,500mJ/cmであることが好ましい。
硬化する際には、空気、窒素やアルゴン等の不活性ガスのいずれの雰囲気下であってもよい。また、フィルムやガラスと金属金型との間の密閉空間で照射してもよい。
本発明において硬化膜の厚さは、目的とされる用途に応じて適宜決められるが、下限は好ましくは1μm、更に好ましくは2μmである。また、上限は好ましくは100μm、更に好ましくは50μm、特に好ましくは20μmである。膜厚が上記下限値以上であると3次元加工後の意匠性や機能性の発現が良好となる傾向にあり、一方、膜厚が上記上限値以下であると内部硬化性、3次元加工適性が良好となる傾向にある。
また、本発明の硬化性組成物を基材上に硬化させることにより、積層体を得ることができる(以下、「本発明の積層体」と称することがある。)。本発明の積層体は、基材上に本発明の硬化物が形成されていれば特に限定されず、基材及び本発明の硬化物以外の層を基材と本発明の硬化物との間に有していてもよいし、その外側に有していてもよい。また、前記積層体は、基材や本発明の硬化物を複数層有していてもよい。
複数層の硬化物を有する積層体を得る方法としては、全ての層を未硬化の状態で積層した後に活性エネルギー線で硬化する方法、下層を活性エネルギー線にて硬化、あるいは半硬化させた後に上層を塗布し、再度活性エネルギー線で硬化する方法、それぞれの層を離型フィルムやベースフィルムに塗布した後、未硬化あるいは半硬化の状態で層同士を貼り合わせる方法等の公知の方法を適用可能であるが、層間の密着性を高める観点から、未硬化の状態で積層した後に活性エネルギー線で硬化する方法が好ましい。未硬化の状態で積層する方法としては、下層を塗布した後に上層を重ねて塗布する逐次塗布や、多重スリットから同時に2層以上の層を重ねて塗布する同時多層塗布等の公知の方法を適用可能であるが、この限りではない。
基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン;その他、ナイロン、ポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂等の種々のプラスチック、ガラス、金属等が挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。また、これらの基材の形状についてはフィルム状、シート状等の平坦なものであっても、また、種々の形状に成形されたものであってもよい。
本発明において、得られる硬化物は延伸性に優れるため、硬化物を延伸して硬化フィルムとすることが好ましく、特に、次のような方法により、硬化フィルムを製造することが好ましい。硬化フィルムの好ましい製造方法は、本発明の硬化性組成物を基材上に塗布する工程、該硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化物を得る工程、該硬化物を延伸する工程を経ることによるものである。本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、3次元加工時の変形に追従可能な硬化後の延伸性を有することから、上記の硬化物を延伸する工程において、良好な延伸性を示すものであり、得られる硬化フィルムの3次元加工時の変形に対しても特に良好な適性を有するものである。
本発明においては、上記の硬化フィルムを製造する方法において、硬化性組成物を基材上に塗布する工程と該硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化物を得る工程のそれぞれについては、前述の条件で行うことができる。また、この硬化フィルムの製造方法において、硬化物を延伸する工程は、通常、60〜200℃、好ましくは100〜180℃の条件で加熱して延伸することができる。この延伸方法としては、公知の方法を用いることが可能であり、例えば、インサート成形、インモールド成形、オーバーレイ成形、ブロー成形、真空成形等の方法をいずれも用いることができる。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、硬化性組成物を用いて得られる硬化物及び積層体は、塗装代替用フィルムとして好適に用いることができる。例えば内装・外装用の建装材や自動車、家電、情報電子材料等の各種部材等に有効に適用することが可能である。特に、本発明の硬化膜は、これをトップコート層とする加飾フィルムとして有用である。
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[物性・特性の測定方法]
以下の実施例及び比較例における、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及び硬化膜の物性、特性の測定・評価方法は以下の通りである。
<ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの物性>
1−1)ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
GPC(東ソー社製「HLC−8120GPC」)で、溶媒にテトラヒドロフラン(THF)、標準サンプルにポリスチレン、カラムにTSKgel superH1000+H2000+H3000を使用して、送液速度0.5mL/分、カラムオーブン温度40℃にて、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量、数平均分子量(GPC測定値)を測定した。
<硬化膜の物性>
2−1)塗膜外観の評価
後述する製膜方法I、IIIで得られたポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜の塗膜外観を、目視にて以下の基準で評価した。
○:均一な膜厚で、塗膜表面に異物、皺、ユズ肌等の異常が見られない
△:積層体の角度を変えたり、光を当てて凝視すると、塗膜表面に異物、皺、ユズ肌等の異常が見られる
×:塗膜表面に異物、皺、ユズ肌等の異常が見られる
2−2)耐傷付性の評価
後述する製膜方法I、IIIで得られたポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜について、耐擦傷試験前に測定したヘーズ値をHとした。一方、23℃、55%RHの雰囲気下、スチールウール#0000に200gf(面積4cmあたり)の錘を載せ、上記製膜方法Iで得られたポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜面を学振磨耗試験機(東洋精機製)で15往復擦り、直後に測定したヘーズ値をHとした。HとHとの差(ΔH(ΔH=H−H))を求めて、以下の基準で評価した。なお、上記において、ヘーズ値は、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所(株)社製「HAZE METER HM−65W」)を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。
○:ΔH≦2.0
×:2.0<ΔH
2−3)弾性率の評価
後述する製膜方法IIの硬化膜を10mm幅に切断し、テンシロン引張試験機(オリエンテック社製「RTC−1210A」)を用いて、温度23℃、湿度55%RH、引張速度50mm/分、チャック間距離50mmの条件で引張試験を行って引張弾性率を測定した。より具体的には、上記の条件で引張試験を行って得られた応力−ひずみ曲線(SSカーブ)の0%伸び時と0.5%伸び時の応力とを結んだ直線を延長し、100%伸び時に換算した応力を弾性率とした。弾性率は20%以上であることが好ましい。
2−4)延伸性の評価
後述する製膜方法IIの硬化膜を10mm幅に切断し、テンシロン引張試験機((株)イマダ製「MX2−500N」)を用いて、室温、引張速度50mm/分、チャック間距離50mmの条件で延伸して破断伸度を測定し、以下の基準で評価した。
◎:伸び200%以上
○:伸び100%以上200%未満
×:伸び100%未満
2−5)耐候性(※1)の評価
後述する製膜方法Iで得られたポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜について、分光測色計(コニカミノルタ(株)製、製品名「スペクトロフォトメーターCM−5」)を用い色調L、a、bを測定した。次に、キセノンウエザーメーター(スガ試験機(株)製、製品名「スーパーキセノンウエザーメーターSX2D−75」)を用い、照射状態で20時間(照度58mW/cm、温度40℃、湿度20%)、および暗黒状態で4時間(温度40℃、湿度20%)の計24時間を1サイクルとして、1008時間(42サイクル)の促進耐光性試験を行い、試験後の硬化膜について目視観察を行って下記基準で評価すると共に、色調L、a、bを測定した。その結果より、下記式で変化度ΔE値を算出し、以下の基準で評価した。
ΔE=√{(L−L+(a−a+(b−b
<ΔE>
○:ΔEが1.0未満
△:ΔEが1.0以上1.2未満
×:ΔEが1.2以上
<外観>
○:変化なし
×:変化あり
2−6)耐候性(※2)の評価
後述する製膜方法IIIで得られたポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜について、分光測色計(コニカミノルタ(株)製、製品名「スペクトロフォトメーターCM−5」)を用い色調bを測定した。次に、メタルウエザーメーター(ダイプラ・ウィンテス(株)製、製品名「ダイプラメタルウェザーKU−R4Ci−W」)を用い、照射強度80mW/cmの照射下、以下の(1)、(2)、(3)の条件を各4時間の計12時間を1サイクルとして、72時間(6サイクル)、168時間(14サイクル)、192時間(16サイクル)または672時間(56サイクル)の促進耐光性試験を行い、試験後の硬化膜について目視観察を行って下記基準で評価すると共に、色調bを測定した。その結果より、下記式で変化度Δb値を算出し、以下の基準で評価した。
(1) 温度63℃、湿度70%
(2) 温度70℃、湿度90%
(3) 温度30℃、湿度98%((3)の前後で10秒間のシャワー有り)
Δb=b−b
<Δb>
○:Δbが3.0未満
×:Δbが3.0以上
<外観>
○:変化なし
×:変化あり
2−7)耐薬品性の評価
後述する製膜方法I、IIIで得られたポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜について、23℃、55%RHの雰囲気下、荷重500gにて、エタノールを含浸させた金巾(S618−92:東洋紡STC社製)で学振摩耗試験機で摩耗し、塗膜が膨潤剥離し、基材表面が見えるに至った回数で評価した。
○:10回以上
×:10回未満
[原料・溶媒]
以下の実施例及び比較例において用いた原料及び溶媒とその略称は以下の通りである。
(化合物(A))
・IPDI:イソホロンジイソシアネート(エボニック デグサ ジャパン社製 商品名「VESTANAT IPDI」)
(化合物(B))
・1,4−BD:1,4−ブタンジオール
・3MPD:3−メチル−1,5−ペンタンジオール
(化合物(C))
・T−33:下記式(3)で示されるポリオール(大和化成(株)社製 商品名「ダインソーブT−33」)
Figure 2018016782
(化合物(D):水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物)
・R−167:1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(日本化薬社製 「カヤラッド(登録商標)R−167」)
・HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機社製 商品名「HEA」)
(その他のポリオール)
・T−35:下記式(4)で示されるポリオール(大和化成(株)社製 商品名「ダインソーブT−35」)
Figure 2018016782
・T4691:ポリカーボネートポリオール(旭化成社製 「デュラノール(登録商標)T4691」)
1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=9/1(重量比)
数平均分子量:1,000
水酸基価:119.4mgKOH/g
・PL208:ポリカプロラクトンポリオール(ダイセル化学社製 「プラクセル(登録商標)208」)
数平均分子量:800
水酸基価:132.3mgKOH/g
(有機溶剤)
・MEK:メチルエチルケトン(SP値:9.0)
(多官能アクリレート)
・V−300:ペンタエリスリトールトリアクリレート40〜45重量%を含み、それ以外の化合物としてペンタエリスリトールテトラアクリレート35〜40重量%を含む混合物(カタログ値)(大阪有機社製 「ビスコート(登録商標)300」)
(その他の活性エネルギー線反応性モノマー)
・GMA:グリシジルメタクリレート
・MMA:メチルメタクリレート
・AA:アクリル酸
(光ラジカル重合開始剤)
・Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF社製「イルガキュア(登録商標)184」)
[実施例1]
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを86.3g、1,4−BDを16.7g入れ、更にメチルエチルケトン258g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.02gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら2時間反応させた。ついでT4691を155g滴下し反応を5時間行った後、T−33を5.69g、メチルエチルケトンを5.69g添加し反応を5時間行った。ウレタン化反応の終了後60℃まで冷却した後、更にビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.06g、メチルハイドロキノン0.15gを加え、R−167を36.1g滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失によりウレタン化反応の終点を確認した後、メチルエチルケトン36.3gを加え、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物中のウレタンアクリレートオリゴマーについて、前記1−1)の方法にて重量平均分子量及び数平均分子量を測定した。得られた結果を表−1に示す。
[実施例2]
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを86.3g、1,4−BDを16.9g入れ、更にメチルエチルケトン261g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.03gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら2時間反応させた。ついでT4691を158g滴下し反応を5時間行った後、T−33を2.56g、メチルエチルケトンを2.56g添加し反応を5時間行った。ウレタン化反応の終了後60℃まで冷却した後、更にビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.08g、メチルハイドロキノン0.15gを加え、R−167を36.7g滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失によりウレタン化反応の終点を確認した後、メチルエチルケトン36.4gを加え、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物中のウレタンアクリレートオリゴマーについて、前記1−1)の方法にて重量平均分子量及び数平均分子量を測定した。得られた結果を表−1に示す。
[比較例4]
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを84.2g、1,4−BDを16.3g入れ、更にメチルエチルケトン252g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.02gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら2時間反応させた。ついでT4691を151g滴下し反応を5時間行った後、T−35を12.8g、メチルエチルケトンを12.8g添加し反応を5時間行った。ウレタン化反応の終了後60℃まで冷却した後、更にビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.06g、メチルハイドロキノン0.14gを加え、R−167を35.2g滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失によりウレタン化反応の終点を確認した後、メチルエチルケトン35.2gを加え、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物中のウレタンアクリレートオリゴマーについて、前記1−1)の方法にて重量平均分子量及び数平均分子量を測定した。得られた結果を表−1に示す。
[比較例5]
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを86.3g、1,4−BDを16.7g入れ、更にメチルエチルケトン261g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.03gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら2時間反応させた。ついでT4691を155g滴下し反応を5時間行った後、T−35を2.56g、メチルエチルケトンを2.56g添加し反応を5時間行った。ウレタン化反応の終了後60℃まで冷却した後、更にビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.08g、メチルハイドロキノン0.15gを加え、R−167を36.1g滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失によりウレタン化反応の終点を確認した後、メチルエチルケトン36.4gを加え、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物中のウレタンアクリレートオリゴマーについて、前記1−1)の方法にて重量平均分子量及び数平均分子量を測定した。得られた結果を表−1に示す。
[実施例3]
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを148.4g、3MPDを47.3g入れ、更にメチルエチルケトン195.7g、ジオクチルスズジラウレート0.06gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら2時間反応させた。その後、T−33を69.7g、メチルエチルケトンを69.8g、ジオクチルスズジラウレートを0.11g添加し反応を5時間行った。ウレタン化反応の終了後60℃まで冷却した後、更にジオクチルスズジラウレート0.24g、メチルハイドロキノン0.15gを加え、HEA34.1g、メチルエチルケトン34.5gを滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失によりウレタン化反応の終点を確認した後、Irg184を15g、メチルエチルケトンを15g加え、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物中のウレタンアクリレートオリゴマーについて、前記1−1)の方法にて重量平均分子量及び数平均分子量を測定した。得られた結果を表−2に示す。
[実施例4]
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを133.7g、3MPDを35.53g入れ、更にメチルエチルケトン169.3g、ジオクチルスズジラウレート0.05gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら2時間反応させた。T−33を104.7g、メチルエチルケトンを104.8g、ジオクチルスズジラウレートを0.09g添加し反応を5時間行った。ウレタン化反応の終了後60℃まで冷却した後、更にジオクチルスズジラウレート0.16g、メチルハイドロキノン0.15gを加え、HEA25.6g、メチルエチルケトン25.9gを滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失によりウレタン化反応の終点を確認した後、V−300を700g、Irg184を50g、メチルエチルケトンを750g加え、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物中のウレタンアクリレートオリゴマーについて、前記1−1)の方法にて重量平均分子量及び数平均分子量を測定した。得られた結果を表−2に示す。
[比較例1]
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを67.3g、メチルエチルケトン179g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.03gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら2時間反応させた。ついでPL208を201g滴下し反応を5時間行った。ウレタン化反応の終了後60℃まで冷却した後、更にビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.06g、メチルハイドロキノン0.15gを加え、HEAを12.2g滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失によりウレタン化反応の終点を確認した後、メチルエチルケトン121gを加え、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物中のウレタンアクリレートオリゴマーについて、前記1−1)の方法にて重量平均分子量及び数平均分子量を測定した。得られた結果を表−3に示す。
[比較例2]
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを86.2g、1,4−BDを17.1g入れ、更にメチルエチルケトン263g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.03gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら2時間反応させた。ついでT4691を160g滴下し反応を5時間行った。ウレタン化反応の終了後60℃まで冷却した後、更にビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.06g、メチルハイドロキノン0.15gを加え、R−167を37.2g滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失によりウレタン化反応の終点を確認した後、T−35を13.4g、メチルエチルケトン37gを加え、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物中のウレタンアクリレートオリゴマーについて、前記1−1)の方法にて重量平均分子量及び数平均分子量を測定した。得られた結果を表−3に示す。
[比較例3]
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、IPDIを86.2g、1,4−BDを17.1g入れ、更にメチルエチルケトン263g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.03gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら2時間反応させた。ついでT4691を160g滴下し反応を5時間行った。ウレタン化反応の終了後60℃まで冷却した後、更にビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)0.06g、メチルハイドロキノン0.15gを加え、R−167を37.2g滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの消失によりウレタン化反応の終点を確認した後、メチルエチルケトン37gを加え、硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物中のウレタンアクリレートオリゴマーについて、前記1−1)の方法にて重量平均分子量及び数平均分子量を測定した。得られた結果を表−3に示す。
[比較例6]
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、GMAを175重量部、MMAを75重量部、ドデシルメルカプタン1.3重量部、酢酸ブチル1000重量部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNという)7.5重量部を仕込んだ後、窒素気流下に約1時間かけて系内温度が約90℃になるまで昇温し、1時間保温した。次いで、あらかじめGMA525重量部、MMA225重量部、ドデシルメルカプタン3.7重量部及びAIBN22.5重量部からなる混合液を仕込んだ滴下ロートより、窒素気流下に混合液を約2時間を要して系内に滴下し、3時間同温度に保温後、AIBN10重量部を仕込み、1時間保温した。その後、120℃に昇温し、2時間保温した。60℃まで冷却後、窒素導入管を空気導入管につけ替え、AA355重量部、メトキノン2.0重量部及びトリフェニルフォスフィン5.4重量部を仕込み混合した後、空気バブリング下にて、110℃まで昇温した。同温度にて8時間保温後、メトキノン1.4重量部を仕込み、冷却して、不揮発分が50%となるよう酢酸エチルを加え、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液中のポリマーについて、前記1−1)の方法にて重量平均分子量及び数平均分子量を測定した。得られた結果を表−3に示す。
(製膜方法I)
実施例1、2、比較例1〜5で得られた硬化性樹成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターで塗工して塗膜を形成した後、60℃で1分間乾燥させ、電子線照射装置(CB175、アイグラフィック社製)を用いて、加速電圧165kV、照射線量5Mradの条件で電子線を乾燥塗膜に照射し、更に23℃で1日養生して硬化膜を形成して膜厚約8μmの硬化膜がポリエチレンテレフタレート上に積層された積層体を得た。得られた積層体の硬化膜について、前記2−1)、2−2)、2−5)の物性評価を行った。これらの結果を表−1及び表−3に示す。
(製膜方法II)
実施例1、2、比較例1〜5で得られた硬化性組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターで塗工して塗膜を形成した後、23℃にて5分間予備乾燥を行った後、60℃で1分間乾燥させ、電子線照射装置(CB175、アイグラフィック社製)を用いて、加速電圧165kV、照射線量5Mradの条件で電子線を乾燥塗膜に照射し、更に23℃で1日養生して硬化膜を形成した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから硬化膜を剥離して膜厚約30μmの硬化膜を得た。得られた硬化膜について、前記2−3)、2−4)の物性評価を行った。これらの結果を表−1及び表−3に示す。
(製膜方法III)
実施例3,4で得られた硬化性樹成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターで塗工して塗膜を形成した後、60℃で1分間乾燥させた。紫外線照射装置(US5−X1802−X1202、岩崎電気社製)を用いて、160Wの高圧水銀ランプで積算照射量1000mJ/cm(波長315〜380nm)の紫外線を乾燥塗膜に照射し、更に23℃で1日養生して硬化膜を形成して膜厚約5μmの硬化膜がポリエチレンテレフタレート上に積層された積層体を得た。得られた積層体の硬化膜について、前記2−1)、2−2)、2−6)の物性評価を行った。これらの結果を表−2に示す。
(製膜方法IV)
比較例6で得られた硬化性樹成物200重量部(固形分100重量部)、T−35 10重量部、1,6−ヘキサンジイソシアネート3量体(商品名:コロネートHX、日本ポリウレタン工業(株)製)5重量部及び光重合開始剤(商品名:イルガキュアー184、BASF社製)5重量部を配合した硬化性組成物を、60℃で5分間加熱し、23℃にて24時間放置した後に150℃で30秒加熱した後、120w/cm、6灯、ランプ高さ10cm、コンベアスピード15m/minの条件で紫外線照射した以外は、それぞれ(製膜方法I)、(製膜方法II)及び(製膜方法III)と同様に硬化膜を得て、前記2−1)、2−2)、2−3)、2−4)、2−6)の物性評価を行った。ただし、弾性率と延伸性は、脆くて評価できなかった。これらの結果を表−1に示す。
なお、実施例3,4の2−6)の耐候性評価結果との対比のために、塗膜を形成していないポリエチレンテレフタレートフィルム(PET基材)について、前記2−6)の評価を行い、結果を参考例1として表−2に示した。
Figure 2018016782
Figure 2018016782
Figure 2018016782
比較例3は、化合物(C)を使用していない例であるが、実施例1および2と比較して耐候性が悪く、ΔE値上昇が大きかった。また、比較例2は化合物(C)を分子中に組み込むこと無く、反応終了後に混合したものであるが、比較例4と比較して耐候性が悪く、ΔE値上昇が大きかった。更に、比較例1は、化合物(B)を使用していない例であるが、弾性率が低く、耐傷付性が悪かった。また、比較例4,5は、化学構造(2)とは異なる化学構造を導入した例であるが、化学構造(1)と化学構造(2)を導入した実施例1および実施例2に対して、耐薬品性(耐エタノールラビング性)が悪かった。
また、比較例6は、背景技術で記載した特開2000−109652号公報に記載の技術に類似した例であり、つまり、従来の成膜方法で、従来の組成物を成膜しても本発明と同等の効果が得られないことを確認した例である。
これに対して、化合物(B)と化合物(C)を併用して化学構造(1)と化学構造(2)を導入した実施例1〜4のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、いずれの評価においても良好な結果が得られた。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、硬化性組成物を用いて得られる硬化物及び積層体は、塗装代替用フィルムとして好適に用いることができる。例えば内装・外装用の建装材や自動車、家電、情報電子材料等の各種部材等に有効に適用することが可能である。特に、本発明の硬化膜は、これをトップコート層とする加飾フィルムとして有用である。

Claims (12)

  1. 下記式(1)で表される化学構造及び下記式(2)で表される化学構造を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
    Figure 2018016782
    (式(1)中、Xは分子量500以下の脂肪族構造であり、nは2〜8の整数である。)
  2. 重量平均分子量(Mw)が1,500〜30,000である、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
  3. 下記式(3)で表される化合物(C)に由来する構造単位をウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に由来する構造単位に対し、0.05〜50重量%含有する、請求項1または2に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー。
    Figure 2018016782
  4. 下記化合物(A)、下記化合物(B)、及び下記化合物(C)を反応させてウレタンプレポリマーを得た後、これに下記化合物(D)を反応させるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
    化合物(A):ポリイソシアネート
    化合物(B):分子量500以下の脂肪族ポリオール
    化合物(C):前記式(3)で表されるポリオール
    Figure 2018016782
    化合物(D):水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物
  5. 前記化合物(C)を、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの原料として用いられる全ポリオール成分に対し、0.05〜50重量%用いる、請求項4に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの製造方法。
  6. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと有機溶剤とを含む硬化性組成物。
  7. 前記有機溶剤の溶解度パラメーターが8.0〜11.5である、請求項6に記載の硬化性組成物。
  8. 固形分濃度が5〜90重量%である、請求項6又は7に記載の硬化性組成物。
  9. 請求項6乃至8のいずれか1項に記載の硬化性組成物が硬化した硬化物。
  10. 基材上に請求項6乃至8のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化物を有する積層体。
  11. 請求項9に記載の硬化物を延伸してなる硬化フィルム。
  12. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー又は請求項6乃至8のいずれか1項に記載の硬化性組成物を基材上に塗布する工程、該硬化性組成物に活性エネルギー線を照射して硬化物を得る工程、該硬化物を延伸する工程を経る、硬化フィルムの製造方法。
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