JP6123428B2 - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、該組成物による硬化膜、及び該硬化膜を有する積層体 - Google Patents
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Description
中でも、硬化性や作業効率の点から、予め活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて樹脂シートを作成し、表面加工処理などを施した後に、室温又は加熱条件下で3次元加工を施す方法が用いられているが、この場合には、活性エネルギー線硬化樹脂シートに3次元加工時の変形に追従する柔軟性と伸度が必要となる。
一方で、特許文献2では、ウレタンアクリレートからなる樹脂組成物の硬化物である建材用化粧シートが開示されており、表面保護性の樹脂シートに求められる特性である耐汚染性などに優れるとされている。
特許文献7には、ウレタン(メタ)アクリレートとイソボルニル(メタ)アクリレートと、その他の疎水性の(メタ)アクリレートの混合物を光重合開始剤で硬化させてなる光情報記録媒体の光透過層が開示されており、この光透過層が高硬度であり、ポリカーボネートに対する密着性や低吸湿特性に優れることが示されている。
特許文献3、4、5、6でも、加工性については切断面のバリ発生有無の言及に留まり、3次元加工の変形に追従できないという問題点がある。
また、特許文献7に記載される光透過層でも、加工性についての記述がなく、3次元加工の変形に追従できないという問題点がある。
本発明は上記課題を解決することを目的としたものであって、硬化して得られる硬化膜が3次元加工時の変形に追従可能な柔軟性、破断伸度、且つ優れた機械的強度、傷修復性、耐擦傷性、耐熱性、耐汚染性、耐ブロッキング性を同時に兼ね備えるものであるような活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
(1)少なくとも(a−1)ポリイソシアネート、(a−2)ポリカーボネートポリオール、(a−3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)
アクリレート系オリゴマー(A)を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、前記(a−2)ポリカーボネートポリオールのジオール構成単位が、1,4−ブタンジオー
ルを含み、活性エネルギーを照射して硬化させた硬化膜の23℃における引張弾性率が100〜1000MPaであることを特徴とする、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(2)前記組成物における計算架橋点間分子量が1000〜15000である、(1)に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(3)前記(a−1)ポリイソシアネートが炭素数5〜15の脂環式構造を有するポリイソシアネートである、(1)または(2)に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。(4)前記(a−2)ポリカーボネートポリオールのジオール構成単位中に1,6−ヘキサンジオールの構成単位を含み、ジオール構成単位中の1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとの割合が、1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=
7/3〜10/0(質量比)である、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の活性エネル
ギー線硬化性樹脂組成物。
(5)前記(a−3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが(メタ)アクリロイル基と水酸基との間に炭素数2〜4のアルキレン基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(6)前記(a−3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応物、グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコールのモノ(メタ)アクリレート体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、(1)〜(5)に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の加飾フィルム向けトップコート層用活性エ
ネルギー線硬化性樹脂組成物。
(8)(1)〜(7)のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、活
性エネルギー線を照射してなる硬化膜。
(9)基材上に、(8)に記載の硬化膜からなる層を有する積層体。
(10)基材上に、(8)に記載の硬化膜からなる層をトップコート層として有する加飾フィルム。
なお、本明細書において(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレートとの総称であり、アクリレート及びメタクリレートの一方又は両方を意味する。(メタ)アクリロイル、(メタ)アクリルについても同様である。
また、本発明に係る(a−2)ポリカーボネートポリオール等のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの原料化合物の分子量又は数平均分子量の測定方法ないし算出方法は以下の通りである。
<GPCによる数平均分子量の算出>
GPC(東ソー社製「HLC−8120GPC」)を用いて、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)、標準サンプルとしてポリスチレン、カラムとしてTSK gel superH1000+H2000+H3000を使用して、送液速度0.5mL/分、カ
ラムオーブン温度40℃にて、数平均分子量を測定する。
<ポリオールの数平均分子量のOH価による算出>
三角フラスコにポリオール2gと0.5モル/Lの無水フタル酸ピリジン溶液を入れ、100℃で2時間反応させた後にアセトン150mLで希釈する。その後、0.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。また、三角フラスコにポリオールを入れなかった以外は、同様に滴定を行い、ブランクを求める。そして、以下の式によりOH価及び数平均分子量を算出する。
A:ポリオール含有溶液の滴定に要した水酸化ナトリウム水溶液の量
B:ポリオールを含有しないブランク溶液の滴定に要した水酸化ナトリウム水溶液の量
ポリオールの数平均分子量={(56.11×1000)/OH価}×官能基の数
なお、上記の式において、「官能基の数」とは、一分子のポリオールに含まれるOH基の数である。
<ポリイソシアネートの数平均分子量のNCO%による算出>
三角フラスコにポリイソシアネート1gと0.5モル/リットルのジブチルアミントルエン溶液を20mL入れ、アセトン100mLで希釈した後に25℃で30分反応させる。その後、0.5モル/リットルの塩酸水溶液で滴定する。また、三角フラスコにポリイソシアネートを入れなかった以外は、同様に滴定を行い、ブランクを求める。そして、以下の式によりNCO%及び数平均分子量を算出する。
A1:ポリイソシアネート含有溶液の滴定に要した塩酸水溶液の量(mL)
B1:ポリイソシアネートを含有しないブランク溶液の滴定に要した塩酸水溶液の量
(mL)
ポリイソシアネートの数平均分子量=(42.02/NCO%)×一分子のポリイソシアネートに含まれるNCO基の数
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)を含有する。
以下に、本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)の原料化合物について説明する。
(a−1)ポリイソシアネート
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)を製造するための原料化合物としての(a−1)ポリイソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基及びイソシアネート基を含む置換基の一方又は両方(「イソシアネート基類」とも言う)を有する化合物である。(a−1)ポリイソシアネートは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また1種のポリイソシアネートにおいて、イソシアネート基類は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
(a−1)ポリイソシアネートの数平均分子量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物としての強度と弾性率とのバランスの観点から、100以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましく、また、1,000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式構造を有するポリイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
ポリイソシアネートは、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の機械的強度、耐汚染性の点から、脂環式構造を有するポリイソシアネートを含むことが好ましい。
トが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートは、芳香族構造とそれに結合する二以上のイソシアネート基類とを有する化合物である。芳香族ポリイソシアネートにおける芳香族構造は、特に限定されないが、炭素数6〜13の二価の芳香族基であることが好ましい。このような芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の機械的強度を高める観点から好ましく、このような芳香族ポリイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
本発明に係る(a−2)ポリカーボネートポリオールは、そのジオール構成単位が、1,4−ブタンジオールを含むことを特徴としており、1,4−ブタンジオールを単独で用いるか、又は1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとを含むことが本発明の効果が良好であり、好ましい。
HO−[−R−O−COO−]n−R−OH (1)
(1)式中、Rは脂肪族炭化水素基又は脂環族炭化水素基であり、nは2以上の整数であり、複数あるRは同一であってもよく、異なるものであってもよい。
アルキレンカーボネートの例としては、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート等が挙げられる。
、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジ−n−アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等が挙げられる。
本発明で用いる(a−2)ポリカーボネートポリオールは、これらのアルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、及びジアルキルカーボネートからなる群から選ばれる1種又は2種以上のカーボネート化合物と、1,4−ブタンジオールとを必須成分とするジオール類とを反応させて得られるものであるが、1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール以外のジオール類及び/又はポリエーテルポリオール類を更に用いて反応させたものであってもよい。
なお、以下において、「(a−2)ポリカーボネートポリオール」を「(a−2)高分子量ポリカーボネートポリオール」と称す場合がある。
(a−3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)を製造するための原料化合物としての(a−3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、一個以上の水酸基と一個以上の(メタ)アクリロイル基と好ましくは炭素数1〜30の炭化水素基とを有する化合物である。(a−3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(a−3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの分子量は、40以上、更には80以上であるのが好ましく、また、得られる硬化膜の機械的強度の観点から800以下、更には400以下であるのが好ましい。なお、(a−3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが前記の付加反応体や重合体である場合には、前記分子量は数平均分子量である。
本発明におけるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)を製造するための原料化合物には、本発明の効果が得られる範囲において、他の成分をさらに含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば、(a−4)分子量500未満の低分子量ポリオール、(a−5)前記(a−2)高分子量ポリカーボネートポリオール以外の数平均分子量500以上の高分子ポリオール(以下、「(a−5)その他の高分子量ポリオール」と称す場合がある。)、及び(a−6)鎖延長剤が挙げられる。
このような低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族ジオール;シクロプロパンジオール、シクロプロパンジメタノール、シクロプロパンジエタノール、シクロプロパンジプロパノール、シクロプロパンジブタノール、シクロペンタンジオール、シクロペンタンジメタノール、シクロペンタンジエタノール、シクロペンタンジプロパノ
ール、シクロペンタンジブタノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、シクロヘキサンジプロパノール、シクロヘキサンジブタノール、シクロヘキセンジオール、シクロヘキセンジメタノール、シクロヘキセンジエタノール、シクロヘキセンジプロパノール、シクロヘキセンジブタノール、シクロヘキサジエンジオール、シクロヘキサジエンジメタノール、シクロヘキサジエンジエタノール、シクロヘキサジエンジプロパノール、シクロヘキサジエンジブタノール、水添ビスフェノールA、トリシクロデカンジオール、アダマンチルジオール等の脂環式ジオール;ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノール−A等の芳香族系ジオール;N−メチルジエタノールアミン等のジアルカノールアミン;ペンタエリスリトール;ソルビトール;マンニトール;グリセリン;及び、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
前記(a−5)その他の高分子量ポリオールは、数平均分子量が500以上の、2個以上の水酸基を有するポリカーボネートジオール以外の化合物である。高分子量ポリオールの数平均分子量の上限には特に制限はないが、通常10000以下である。前記(a−5)その他の高分子量ポリオールは、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記ポリエーテルジオールとしては、環状エーテルを開環重合して得られる化合物が挙げられ、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
ン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イソフタル酸、及びフタル酸が挙げられ、ジカルボン酸の無水物としては、例えばこれらの無水物が挙げられる。また、前記低分子量ジオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、及びビスヒドロキシエトキシベンゼンが挙げられる。
前記ポリオレフィンポリオールは、2個以上の水酸基を有するポレオレフィンであって、例えば、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、及びポリイソプレンポリオール等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
(a−6)鎖延長剤は、イソシアネート基と反応する二以上の活性水素を有する化合物である。鎖延長剤は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
次に、上述の原料化合物から得られる本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)及びその製造方法について説明する。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)は、前記(a−1)ポリイソシアネートに、前記(a−2)ポリカーボネートポリオールと前記(a−3)高分子量ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを付加反応させることにより製造することができる。その他の原料化合物である前記(a−4)低分子量ポリオール、(a−5)その他の高分子量ポリオール、及び(a−6)鎖延長剤等を併用する場合は、本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)は、前記(a−1)ポリイソシアネートに、更にこれらのその他の原料化合物も付加反応させることにより製造することができる。
これらの付加反応は、公知の何れの方法でも行うことができる。このような方法としては、例えば、以下の(a)〜(c)の方法が挙げられる。
(a) 前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート以外の成分を、イソシアネート基が過剰となるような条件下でポリイソシアネートと反応させたイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得て、次いで該イソシアネート末端ウレタンプレポリマーと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させるプレポリマー法。
(b) 全原料化合物を同時に一括添加して反応させるワンショット法。
(c) 前記ポリイソシアネートと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを先に反応させ、分子中に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを同時に有するウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを合成した後、得られたプレポリマーに、それら以外の原料化合物を反応させる方法。
すなわち、本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)を製造する際の前記(a−1)ポリイソシアネート、(a−2)高分子量ポリカーボネートポリオール、及び(a−3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びその他の原料化合物の使用量は、本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)における全イソシアネート基の量とそれと反応する全官能基の量とが当モル、又はイソシアネート基に対する当該全官能基のモル%で50〜200モル%になる量である。
る。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)の製造時において、粘度の調整を目的に溶剤を使用することができる。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。溶剤としては、本発明の効果が得られる範囲において公知の溶剤のいずれも使用することができる。好ましい溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等が挙げられる。溶剤は、通常、反応系内の固形分100質量部に対して300質量部未満で使用可能である。
合物の総含有量に対して、上限が通常1000ppm以下、好ましくは500ppm以下であり、下限が通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上で用いられる。
また、本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)の製造時に、反応系に(メタ)アクリロイル基を含む場合には、重合禁止剤を併用することができる。このような重合禁止剤としては、本発明の効果が得られる範囲から選ぶことができ、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエン等のフェノール類、フェノチアジン、ジフェニルアミン等のアミン類、ジブチルジチオカルバミン酸銅等の銅塩、酢酸マンガン等のマンガン塩、ニトロ化合物、ニトロソ化合物等が挙げられる。重合禁止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。重合禁止剤は、これらのうち、フェノール類が好ましい。
本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)の製造時において、反応温度は通常20℃以上であり、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。反応温度が20℃以上であると、反応速度が高くなり、製造効率が向上する傾向にあるために好ましい。また、反応温度は通常120℃以下であり、100℃以下であることが好ましい。反応温度が120℃以下であると、アロハナート化反応等の副反応が起きにくくなるために好ましい。また、反応系に溶剤を含む場合には、反応温度はその溶剤の沸点以下であることが好ましく、(メタ)アクリレートが入っている場合には(メタ)アクリロイル基の反応防止の観点から70℃以下であることが好ましい。反応時間は通常5〜20時間程度である。
なお、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーのウレタン結合量は、後述の実施例の項に記載する方法で求められることができる。
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物]
以下に、上述のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)を含有する本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物について説明する。
本明細書において、組成物の計算網目架橋点間分子量は、全組成物中の網目構造を形成する活性エネルギー線反応基(以下、「架橋点」と称する場合がある)の間の分子量の平均値を表す。この計算網目架橋点間分子量は、網目構造形成時の網目面積と相関があり、計算網目架橋点間分子量が大きいほど架橋密度が小さくなる。活性エネルギー線硬化による反応では、活性エネルギー線反応基を1個のみ有する化合物(以下、「単官能化合物」と称する場合がある)が反応した場合には線状高分子になり、一方で活性エネルギー線反応基を2個以上有する化合物(以下、「多官能化合物」と称する場合がある)が反応した場合に網目構造を形成する。
複数種の多官能化合物が反応するような多官能化合物混合系組成物では、組成物中に含まれる全活性エネルギー線反応基数に対する上記単一系の各々の計算網目架橋点間分子量の平均値が組成物の計算網目架橋点間分子量となる。例えば、分子量1,000の2官能性化合物4モルと分子量300の3官能性化合物4モルとの混合物からなる組成物では、組成物中の全活性エネルギー線反応基数は2×4+3×4=20個となり、組成物の計算網目架橋点間分子量は{(1000/2)×8+(300/3)×12}×2/20=520となる。
計算網目架橋点間分子量を調節する方法としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量を低くしたり、多官能アクリレートを添加することにより、低くできる。
反応性成分に加えて他の成分を含む全成分の総量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。なお、本発明のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー(A)の含有量の上限値は100質量%であり、この含有量はそれ以下であることが好ましい。
5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸−1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(n=3〜16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1−メチルブチレングリコール)(n=5〜20)、ジ(メタ)アクリル酸−1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸ジシクロペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエポキシジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;が挙げられる。
)アクリレート系オリゴマー、及びアクリル(メタ)アクリレート系オリゴマーが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物において、前記活性エネルギー線反応性オリゴマーの含有量は、得られる硬化物の硬度、伸度等の物性調整の観点から、該組成物全量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることがさらに一層好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物におけるこれらの重合開始剤の含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。光重合開始剤の含有量が10質量部以下であると、開始剤分解物による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
前記エポキシ化合物は、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて形成した硬化膜を有する積層体を製造した際、この硬化膜に隣接する層に塩素系成分が含まれていると、この塩素系成分が硬化膜に移行することにより硬化膜が劣化(黄変)するため、この塩素成分を捕捉して、硬化膜の耐熱性、耐候性を向上させるために、必要に応じて配合される。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物がエポキシ化合物を含有する場合、その含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることが特に好ましい。エポキシ化合物の含有量が、多過ぎると架橋密度低下及び官能基導入による機械的強度、傷修復性、硬度、耐汚染性等の他性能への悪影響が大きい為に好ましくない。
前記溶剤は、例えば本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の塗膜を形成するためのコーティング方式に応じて、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度の調整を目的に使用することができる。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。溶剤としては、本発明の効果が得られる範囲において公知の溶剤のいず
れも使用することができる。好ましい溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール、イソブタノール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等が挙げられる。溶剤は、通常、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の固形分100質量部に対して200質量部未満で使用可能である。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて、以下の方法で製膜された硬化膜について、以下の方法で測定された引張弾性率が100〜1000MPaであることを特徴としている。この引張弾性率が100〜1000MPa以下であると良好な自己修復性を得ることができる。引張弾性率が100MPa未満では柔らかすぎて硬化膜表面がベタつき、摩擦係数が上昇することから、硬化膜表面への荷重が大きくなり、傷を修復することができない場合がある。また、1000MPaを超えると硬化膜が硬過ぎるため、弾性によって荷重を分散させることができなくなり、傷を修復することが出来ない。この引張弾性率はより好ましくは120〜500MPa、さらに好ましくは140〜400MPa、特に好ましくは150〜350MPaである。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターで塗工して塗膜を形成した後、60℃で1分間乾燥させ、電子線照射装置(CB175、アイグラフィック社製)を用いて、加速電圧165kV、照射線量5Mradの条件で電子線を乾燥塗膜に照射し、更に23℃で1日養生して硬化膜を形成した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから硬化膜を剥離して膜厚約20μmの硬化膜を得る。
上記硬化膜を10mm幅に切断し、テンシロン引張試験機(オリエンテック社製「RTC−1210A」)を用いて、温度23℃、湿度55%RH、引張速度50mm/分、チャック間距離50mmの条件で引張試験を行って引張弾性率を測定する。
より具体的には、上記の条件で引張試験を行って得られた応力−ひずみ曲線(SSカーブ)の0%伸び時と0.5%伸び時の応力とを結んだ直線を延長し、100%伸び時に換算した応力を引張弾性率とした。
例えば、(a−4)低分子量ポリオールの使用で弾性率を高めることができる。この弾性率の調整において、(a−2)高分子量ポリカーボネートポリオールと(a−4)低分子量ポリオールは(a−4)低分子量ポリオール/(a−2)高分子量ポリカーボネートポリオール50/50〜0/100
(質量比)の範囲で用いることが好ましい。また、(a−5)その他の高分子量ポリオールであるポリエーテルポリオールの使用及び/又は活性エネルギー線反応性モノマーであるポリエーテル(メタ)アクリレート類の併用で弾性率を下げることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、これに活性エネルギー線を照射することにより硬化膜とすることができる。
上記組成物を硬化させる際に使用する活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等が使用可能である。装置コストや生産性の観点から電子線又は紫外線を利用することが好ましく、光源としては、電子線照射装置、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、太陽光等が適している。
本発明の積層体は、本発明の硬化膜からなる層を有していれば特に限定されず、基材及び本発明の硬化膜以外の層を基材と本発明の硬化膜との間に有していてもよいし、その外側に有していても良い。また、前記積層体は、基材や本発明の硬化膜を複数層有していてもよい。
本発明の硬化膜は、インキ、エタノール等の一般家庭汚染物に対する耐汚染性及び硬度に優れる膜とすることが可能であり、本発明の硬化膜を各種基材への被膜として用いた本発明の積層体は、意匠性及び表面保護性に優れたものとすることができる。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、1層塗布により簡便に薄膜状の樹脂シートを製造することが可能となることが期待される。
特に、本発明の硬化膜は、これをトップコート層とする加飾フィルムとして有用である。
本発明が効果を奏する理由としては、いまだ明らかではないが以下のとおり推察される。
傷修復性は、硬化膜の塑性変形で応力を分散させることによる結合破断の阻止、及び経時での最小エネルギー状態への復元で発現している。塑性変形しやすい樹脂は、応力への抵抗が低いことと同義であり、弾性率が低いと表現できる。すなわち、弾性率が低い樹脂の方が傷修復性に優れることとなる。但し、弾性率が低くなり過ぎると、耐汚染性、耐ブロッキング性、耐候性等の硬化膜に求められる他の特性が損なわれることになる。
れることになる。
[各種物性値・特性値の測定・評価方法]
<ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量の算出方法>
各実施例及び比較例のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリイソシアネート、ポリカーボネートジオール、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの三種の成分を構成単位として含んでいる。これらの構成単位は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーにおいて、各成分の分子量が保たれたまま形成されていることから、本実施例及び比較例では、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを生成するまでの各成分のモル比(ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは2で計算)と各成分の分子量との積の合計によってウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量(算出値)を算出した。
GPC(東ソー社製「HLC−8120GPC」)で、溶媒にTHF、標準サンプルにポリスチレン、カラムにTSKgel superH1000+H2000+H3000を使用して、送液速度0.5mL/分、カラムオーブン温度40℃にて、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの数平均分子量(GPC測定値)を測定した。
各実施例及び比較例におけるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの計算網目架橋点間分子量は、ウレタンアクリレート系オリゴマーのプレポリマーにおけるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに対する反応基がプレポリマーの両末端のイソシアネート基であり、プレポリマーの両末端にウレタン結合で結合したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがラジカル重合で付加することから、組成物中のウレタンアクリレート系オリゴマーの架橋点は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの両末端に位置する(メタ)アクリロイル基となり、よって以下の実施例及び比較例では活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、前述した2官能(多官能)化合物単一系組成物となることから、下記の式から求めた。
各実施例及び比較例のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリイソシアネート、ポリカーボネートジオール、及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの三種の成分を構成単位として含んでいる。これらの構成単位は、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーにおいて、各成分の分子量が保たれたまま形成されていることから、本実施例及び比較例では、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの構成成分の総量(各成分のモル比と各成分の分子量との積の合計)におけるウレタン結合の総量(ポリイソシアネートの総モル数とウレタン結合の分子量(59)との積)の割合によってウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーのウレタン結合量を算出した。
(製膜方法I)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターで塗工して塗膜を形成した後、60℃で1分間乾燥させ、電子線照射装置(CB175、アイグラフィック社製)を用いて、加速電圧165kV、照射線量5Mradの条件で電子線を乾燥塗膜に照射し、更に23℃で1日養生して硬化膜を形成した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから硬化膜を剥離して膜厚約20μmの硬化膜を得た。
上記製膜方法Iで得られた硬化膜を10mm幅に切断し、テンシロン引張試験機(ORIENTEC社製「RTC−1210A」)を用いて、温度23℃、相対湿度55%RH、引張速度50mm/分、チャック間距離50mmの条件で引張試験を行って、破断伸度、破断強度、引張弾性率を測定した。引張弾性率については、得られた応力−ひずみ曲線(SSカーブ)の0%伸び時と0.5%伸び時の応力とを結んだ直線(SSカーブの原点における接線)を延長し、100%伸び時に換算した応力を引張弾性率とした。
(製膜方法II)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターで塗工して塗膜を形成した後、60℃で1分間乾燥させ、高圧水銀ランプにて、波長254nm、照射強度1.0J/cm2の条件で紫外線を乾燥塗膜に照射し、更に23℃で1日養生して、ポリエチレンテレフタレート上に積層された膜厚約10μmの硬化膜を得た。
23℃、55%RHの雰囲気下、アズワン(株)製真鍮ブラシスタンダード型4行(B−3014)で、上記製膜方法IIでポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜面を強く30回擦り、入った傷が消失するか否か及び傷が消失する時間を測定し、下記基準で評価した。
○:傷付き無し
○−:傷が5分で回復
△:傷が30分で回復
△−:傷が2時間で回復
×:傷が回復しない
上記製膜方法IIでポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜について耐スチールウール摩耗試験前に測定したヘイズ値をH1とする。一方、23℃、55%RHの雰囲気下、日本スチールウール(株)製スチールウール(#0000)に1000gf(面積4cm2あたり)の錘を載せ、上記製膜方法IIでポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜についてポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜面を15往復擦り、直後に測定したヘイズ値をH2とした。
なお、上記において、ヘイズ値は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所(株)社製「HAZE METER HM−65W」)を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。なお、ヘイズ値は小さいほど透明性が高い。
上記の評価は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に滑り剤を添加せずに行った場合(滑り剤無し)、と、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に滑り剤(JNC社製「サイラプレーンFM−7711」)を1質量%(固形分換算)添加した場合(滑り剤有り)とで、各々の組成物を用いて得られた、ポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜を用
いて行った。
硬化膜に10質量%HCl水溶液、又は10質量%NaOH水溶液(以下、総称して汚染物という)0.03gを滴下して接触させ、室温(23℃)にて、24時間各々静置した後、水を含んだ脱脂綿で汚染物を拭き取った後の汚染度を目視により評価した。評価基準は以下の通りである。
○:汚染物を完全に拭き取ることができる
△:汚染物がわずかに残る
×:汚染物の残りが著しい
上記製膜方法IIでポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜について、耐熱性試験前に分光光度計(ミノルタ製「SPECTROPHOTOMETER CM−3500d」)を用いて測定したb値をb1とする。一方、上記製膜方法IIでポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜を140℃のオーブンに入れ、昇温速度10℃/分で200℃まで加温し20分放置した。その後、降温速度5℃/分で140℃まで冷却し、オーブンから取り出した後に同様に測定したb値をb2とした。なお、b値は低いほど良い。
b2とb1との差:Δb(Δb=b2−b1)を求め、下記基準で評価した。
○:0<Δb≦1
△:1<Δb≦3
×:3<Δb
上記製膜方法IIでポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜について、塗膜表面にポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面を重ね合わせ、錘により150g/cm2の荷重を一時間かけることで、活性エネルギー線硬化性組成物の塗膜とポリエチレンテレフタレートフィルムとの裏面とをブロッキングさせた。除荷後、ブロッキング部位を手で剥がした後の外観を目視により評価した。評価基準は以下の通りである。
○:痕残り無し
△:剥離直後に痕が観察されるが、5分以内に消失
×:剥離5分以降も、痕が観察される
<(a−1)ポリイソシアネート>
IPDI:エボニック デグサ ジャパン社製 イソホロンジイソシアネート「VESTANAT IPDI」
<(a−2)高分子量ポリカーボネートポリオール>
T4691:旭化成社製 ポリカーボネートポリオール「デュラノール T4691」
1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=9/1(質量比)
数平均分子量=1000
水酸基価:119.4mg−KOH/g
T4671:旭化成社製 ポリカーボネートポリオール「デュラノール T4671」
1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=7/3(質量比)
数平均分子量=1000
水酸基価:111.3mg−KOH/g
T6001:旭化成社製 ポリカーボネートポリオール「デュラノール T6001」
1,6−ヘキサンジオール単独
数平均分子量=1000
水酸基価:115.3mg−KOH/g
C−1090:クラレ社製 ポリカーボネートポリオール
「クラレポリオール C−1090」
3−メチルペンタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=9/1(質量比)
数平均分子量=1000
水酸基価:115.2mg−KOH/g
HEA:大阪有機工業社製 2−ヒドロキシエチルアクリレート
V300:大阪有機工業社製 ペンタエリスリトールトリアクリレート「ビスコートV−300」
1,4−BD:三菱化学社製 1,4−ブタンジオール
1,12−DD:宇部興産社製 1,12−ドデカンジオール
CHDM:新日本理化社製 1,4−シクロヘキサンジメタノール
PCL210:ダイセル化学工業社製 ポリカプロクラトンポリオール「プラクセル210」
数平均分子量:1000
水酸基価:114.2mg−KOH/g
PTMG1000:三菱化学社製 ポリエーテルポリオール「PTMG1000」
数平均分子量:1000
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、ポリイソシアネートとしてIPDIを116gと、高分子量ポリカーボネートポリオールとしてT4691を240g入れ、低分子量ポリオールとして1,4−BDを17g入れ、更にメチルエチルケトン558g、ジオクチルスズジラウレート0.02gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら9時間反応させた。反応終了後60℃まで冷却した後、ジオクチルスズジラウレート0.1g、メチルハイドロキノン0.2g、メチルエチルケトン41gを加え、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしてHEA28gを滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの減少により反応の進行を確認し、消失により反応の終点を確認して、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー1を得た。このようにして得られたウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー1の溶液を活性エネルギー線硬化性樹脂組成物1とする。
得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物1の計算網目架橋点間分子量は4300であった。また、GPCにより求めたウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー1の数平均分子量は4300で、ウレタン結合量は10質量%であった。その他の分析結果は表1に示す通りであった。さらに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物1におけるウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー1の含有量は40質量%であった。
得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物1について、前記の評価を行い、結果を表
1に示した。
原料化合物の種類及びその使用量を変えて、表1に示すモル比のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー原料としたこと以外は、実施例1と同様にしてそれぞれウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー及び活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を製造し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
Claims (9)
- 少なくとも(a−1)ポリイソシアネート、(a−2)ポリカーボネートポリオール、(a−3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)アク
リレート系オリゴマー(A)を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、
前記(a−2)ポリカーボネートポリオールのジオール構成単位が、1,4−ブタンジオ
ールと1,6−ヘキサンジオールの構成単位を含み、
さらに、(a−4)分子量500未満の低分子量ポリオールを含み、
活性エネルギーを照射して硬化させた硬化膜の23℃における引張弾性率が100〜1000MPaであることを特徴とする、
加飾フィルム向けトップコート層用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。 - 前記組成物における計算架橋点間分子量が1000〜15000である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 前記(a−1)ポリイソシアネートが炭素数5〜15の脂環式構造を有するポリイソシアネートである、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、及びジアルキルカーボネートからなる群から選ばれる1種又は2種以上のカーボネート化合物と反応させるジオール類、或いはジオール類とポリエーテルポリオール類のうちの、50質量%以上が1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 前記(a−3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが(メタ)アクリロイル基と水酸基との間に炭素数2〜4のアルキレン基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 前記(a−3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとカプロ
ラクトンとの付加反応物、グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコールのモノ(メタ)アクリレート体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である、請求項1〜5に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、活性エネ
ルギー線を照射してなる硬化膜。 - 基材上に、請求項7に記載の硬化膜からなる層を有する積層体。
- 基材上に、請求項7に記載の硬化膜からなる層をトップコート層として有する加飾フィルム。
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