JP5585011B2 - 加飾シート、加飾樹脂成形品の製造方法及び加飾樹脂成形品 - Google Patents

加飾シート、加飾樹脂成形品の製造方法及び加飾樹脂成形品 Download PDF

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本発明は加飾シート、該加飾シートを用いた加飾樹脂成形品の製造方法並びに該製造方法により製造される加飾樹脂成形品に関する。
成形品の表面に加飾シートを積層することで加飾した加飾成形品が、車両内装部品等の各種用途で使用されている。このような加飾成形品の成形方法としては、加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形しておき、該成形シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化するインサート成形法がある(例えば、特許文献1参照)。
ところで、加飾成形品は表面の耐摩耗性や耐擦傷性を向上させる目的で表面保護層が設けられる。しかしながら、上述のインサート成形法では加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する過程で、加飾シートが真空圧空作用により、あるいは該成形シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する過程で、溶融樹脂の圧力、剪断応力による引っ張りなどによって、最低必要な量以上に伸ばされるため、成形品の曲面部の表面保護層にクラックが入るという問題があった。
上記問題点に対して、表面保護層の成形性を上げるために表面保護層として熱硬化性樹脂を用いることが行われてきた(例えば、特許文献2参照)。熱硬化性樹脂は成形性については良好な結果を示し、表面保護層にクラックは入りにくいが、加飾成形品の表面の耐摩耗性や耐擦傷性は満足いくものではなかった。
また、表面保護層として紫外線硬化性樹脂などの電離放射線硬化性樹脂を用い、加飾シートの表面保護層を形成する樹脂の架橋密度を高めることにより、加飾成形品の表面の耐摩耗性や耐擦傷性を向上させる試みがなされたが、成形の際に成形品曲面部にクラックが生じるという問題があった。
さらには、表面保護層として紫外線硬化性樹脂などの電離放射線硬化性樹脂を用い、加飾シートの段階では半硬化状態とし、加飾成形された後に完全硬化させる方法が試みられたが(特許文献2参照)、未硬化樹脂成分を含む表面保護層は傷つきやすく、取り扱いが困難であり、また、未硬化樹脂成分が金型に付着することによる金型汚染の問題があった。この問題点を解決するために半硬化状態の表面保護層上に保護フィルムを設ける方法があるが、製造が煩雑になるとともに、コストアップの要因ともなる。また、三次元形状の成形品に紫外線を照射する必要があるため、別途三次元形状の成形品に紫外線照射可能な設備が必要である。
特開2004−322501号公報 特開平6−134859号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、高い耐摩耗性や耐擦傷性を有し、成形性が良好でクラック等が入らない表面保護層を有し、かつ、意匠性の高い、加飾成形品の成形に用いる加飾シート、該加飾シートを用いた加飾樹脂成形品の製造方法並びに該製造方法により製造される加飾樹脂成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、従来インサート成形法においてバッカー層として用いられる支持体上に表面保護層を積層してなるインサート成形用加飾シートであって、特定の支持体を用い、表面保護層として電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、かつ、表面の静摩擦係数を制御することで、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
(1)ABS樹脂からなる支持体上に少なくとも表面保護層を積層してなるインサート成形用加飾シートであって、該支持体の曲げ弾性率が1500〜3000MPaであり、該支持体の厚さが100〜500μmであり、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化したものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物中の樹脂成分が電離放射線硬化性樹脂であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物の下記方法により測定した引張弾性率が100MPa超〜1000MPa未満であり、かつ、表面の静摩擦係数が1.0以下であることを特徴とするインサート成形用加飾シート、
(引張弾性率の測定方法)
表面保護層を形成するための樹脂組成物を2軸延伸ポリエステルフィルム上に、硬化後の厚さが20μmとなるように塗工し、電離放射線を照射して硬化させた塗膜をポリエステルフィルムから剥離してサンプルを作製する。該サンプルについて、引張試験機を用いて引張速度50mm/分で測定する。
(2)上記(1)に記載のインサート成形用加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、余分な部分をトリミングして成形シートを得る工程、該成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する工程を有する加飾樹脂成形品の製造方法、及び
(3)上記(2)に記載の製造方法により製造した加飾樹脂成形品、
を提供するものである。
本発明のインサート成形用加飾シートは、優れた耐摩耗性、耐擦傷性及び耐傷付き性を有し、成形時に表面保護層にクラック等が入らないため成形性が良好であり、かつ低コストのインサート成形用加飾シートを提供することができる。
本発明の加飾シートの断面を示す模式図である。 本発明の加飾シートの他の態様の断面を示す模式図である。
本発明のインサート成形用加飾シートは、支持体上に少なくとも表面保護層を積層してなるインサート成形用加飾シートである。以下、本発明のインサート成形用加飾シートの構成について図1及び図2を用いて詳細に説明する。
図1は本発明のインサート成形用加飾シート(以下、単に「本発明の加飾シート」と記載する。)10の断面を示す模式図である。本発明の加飾シートは、支持体11上に絵柄層12、表面保護層14がこの順に積層された構造を有し、図1に示すように所望により、絵柄層12と表面保護層14との間に低艶絵柄インキ層13を配してもよい。また、支持体11と絵柄層12の間に隠蔽層を設けてもよいし、さらに絵柄層12と低艶絵柄インキ層13の間にプライマー層を設けてもよい。
また、図2は本発明のインサート成形用加飾シートの他の態様の断面を示す模式図である。図2に示す態様では、支持体11上に絵柄層12、表面保護層14がこの順に積層された構造を有し、絵柄層12と表面保護層14の間にプライマー層を設けてもよい。この態様においては、低艶絵柄インキ層13を有さず、後に詳述するように、高光沢で平滑性・鏡面性に優れる意匠を表現することができる。
本発明の加飾シート10における支持体11は従来のインサート成形用加飾シートにおいてはバッカー層と称される支持体である。従来のインサート成形用加飾シートでは、別途基材シートに絵柄層等を印刷しておき、これに射出成形樹脂と同一の樹脂又は射出成形樹脂と接着性の高い樹脂をバッカー層として基材に積層させておき、インサート成形を行う。本発明の加飾シートでは、支持体11上に絵柄層などを直接積層させる点に特徴があり、いわゆるバッカー層は用いられない。
本発明の加飾シート10に用いられる支持体11はABS樹脂からなる。ABS樹脂は成形体の表面のクラック、傷等を防止する点で好ましい樹脂である。
また、本発明の加飾シート10に用いられる支持体11は曲げ弾性率が1500〜3000MPaである。該曲げ弾性率が1500MPa以上であると成形性が良好であり、特に真空成形した後の形状保持性に優れる。また、鉛筆硬度試験に代表される表面硬度が向上し、いわゆるえぐれによる傷に対して強い加飾シートとすることができる。一方、該曲げ弾性率が3000MPa以下であると十分な成形性を確保することができる。以上の観点から、支持体11の曲げ弾性率は1700〜2600MPaの範囲がより好ましい。なお、曲げ弾性率はJIS K7171(ISO178)に準拠して測定したものである。
また、支持体11の厚さは100〜500μmの範囲である。100μm以上であると加飾シート10に十分な強度を付与することができ、真空成形の際には、形状に追従した後の膜厚が安定する。また、射出成形の際には、溶融樹脂の流動により加飾シートにしわが入ることがない。一方、500μm以下であると、真空成形時に微細な凹凸形状に十分追従させることができ、真空成形後のトリミングも容易である。以上の観点から、支持体11の厚さは、200〜400μmの範囲がさらに好ましい。
また、支持体11は、単層又は複数層のいずれでもよいが、複数層の場合としては、例えば、支持体11の表面にブロッキング防止処理、プライマー処理や酸処理がなされ、表面にブロッキング防止層、プライマー層又は酸変性層が形成された場合が挙げられる。
また、上記支持体11はその上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、支持体の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また該支持体はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
次に、図1に示される絵柄層12は樹脂成形品に装飾性を与えるものであり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層12に用いる絵柄インキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
支持体11と絵柄層12の間に所望により設けられる隠蔽層は、支持体11の表面の色の変化、ばらつきにより、加飾シートの柄の色に影響を及ぼさないようにする目的で設けられる。通常不透明色で形成することが多く、その厚さは1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
図1に示される加飾シート10では、好ましい態様のひとつとして低艶絵柄インキ層13を設けた例を示す。低艶絵柄インキ層13は樹脂成形品に装飾性を与えるものであり、上記絵柄層12と同調させることにより、樹脂成形品に艶消しや凹凸感などの質感を付与することができる。この低艶絵柄インキ層13は部分的に設けられ、後に詳述する表面保護層14と相互作用し、その直上部及びその近傍における表面保護層には低光沢領域15が形成される。表面保護層14側から本発明の加飾シート10を見ると、低光沢領域15は視覚的に凹部として認識されるため、全体として、この低光沢領域15によって視覚的に凹凸模様として認識される。なお、低光沢領域15は図中で点の集合により表現されている。
また、表面保護層14の最表面における、低光沢領域15の上部は、低艶絵柄インキ層13の形成に伴って隆起し、凸形状16を有していてもよい。
低艶絵柄インキ層13による艶差の発生は、低艶絵柄インキ層13の表面に、後に詳述する表面保護層14を形成するための電離放射線硬化性樹脂の未硬化物を塗工した際に、各材料の組合せ、塗工条件の適当な選択によって、低艶絵柄インキ層13の樹脂成分と表面保護層14が、一部溶出、分散、混合等の相互作用を発現することによるものと考えられる。
低艶絵柄インキ層13を形成する低艶絵柄インキは表面保護層14を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物との相互作用を起こす性質を有するものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物(未硬化物)との関連で適宜選定されるものである。具体的には、バインダー樹脂として非架橋性樹脂を有するインキであることが好ましく、例えば熱可塑性(非架橋型)ウレタン樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂などが好適である。また、必要に応じて、低光沢領域の発現の程度、低光沢領域とその周囲との艶差のコントラストを調整するため、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などを混合することができる。
低艶絵柄インキ層13を形成する低艶絵柄インキは、着色剤を含有させ、それ自体でも絵柄模様を与えることができるが、必ずしも着色剤を添加して着色する必要はない。絵柄層12が表現しようとする模様のうち、艶を消して、視覚的に凹部を表現したい部分と低艶絵柄インキ層13を同調させることによって艶差による視覚的凹部を有する模様が得られる。例えば、絵柄層12によって木目模様を表現しようとする場合には、木目の導管部分に低艶絵柄インキ層13のインキ部分を同調させることにより、艶差により導管部分が視覚的に凹部となった模様が得られる。特に本発明の加飾シート10は、絵柄層12の上に、直接又は透明なプライマー層を介して、絵柄層の直ぐ上に低艶絵柄インキ層13を印刷等により設けることができるため、絵柄層12との同調が容易であり、優れた意匠表現を実現させることができる。
低艶絵柄インキ層13を形成する低艶絵柄インキの塗布量については、0.1〜10g/m2の範囲であることが好ましい。0.1g/m2以上であると、上述した低艶絵柄インキと電離放射線硬化性樹脂組成物との相互作用が起こり、低光沢領域が十分得られるため、加飾シート表面の十分な艶差が得られる。一方10g/m2以下であると、低艶絵柄インキの印刷に際して機械的制約がなく、また経済的にも有利である。以上の観点から、低艶絵柄インキの塗布量はさらに0.5〜5g/m2の範囲であることが好ましい。
また、低艶絵柄インキ層13を形成するための低艶絵柄インキ組成物中に体質顔料を含有させることが好ましい。体質顔料を含有させることによって、低艶絵柄インキ組成物にチキソ性を付与することができ、版を用いて低艶絵柄インキ層13を印刷する際に、低艶絵柄インキ組成物の形状が維持される。このことにより、凸部から凹部に移行する端部における凹凸の鮮映性(シャープネス)を強調することができ、メリハリのある意匠表現が可能となる。
本発明で用いる体質顔料としては特に限定されず、例えばシリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等から適宜選択される。これらのうち吸油度、粒径、細孔容積等の材料設計の自由度が高く、意匠性、白さ、インキとしての塗工安定性に優れた材料であるシリカが好ましく、特に微粉末のシリカが好ましい。シリカの粒径としては、0.1〜5μmの範囲が好ましい。0.1μm以上であるとインキに添加した際にインキのチキソ性が極端に高くならず、またインキの粘性が上がりすぎず印刷のコントロールがしやすい。また、導管模様部分の艶消しを表現しようとした場合、導管模様部分のインキの塗布厚みが通常5μm以下であり、シリカの粒径が塗布厚みよりも小さければ粒子の頭だしが比較的押えられ目立たないことから、視覚的な違和感がおこりにくい。
これらの体質顔料の低艶絵柄インキ組成物における含有量は、5〜15質量%の範囲であることが好ましい。5質量%以上であると低艶絵柄インキ組成物に十分なチキソ性を付与することができ、15質量%以下であると低艶を付与する効果の低下が全く見られず好ましい。
本発明の加飾シート10では、所望により、絵柄層12と低艶絵柄インキ層13の間にプライマー層を設けてもよい。プライマー層は、支持体11上にある絵柄層12等の表面をならし、低艶絵柄インキ層13及び表面保護層14との接着性を高める機能を有する。また、表面保護層14の延伸部に微細な割れや白化を生じにくくする効果を有する。
プライマー層を構成するプライマー組成物は、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル・ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が用いられる。
また、プライマー層の厚さは0.1〜10μm程度であることが好ましい。0.1μm以上であると、表面保護層の割れ、破断、白化等を防ぐ効果を十分に発揮させることができる。一方、プライマー層の厚さが10μm以下であれば、プライマー層を塗工した際、塗膜の乾燥、硬化が安定であるので成形性が変動することが無く好ましい。以上の点からプライマー層の厚さは1〜10μmであることがより好ましい。
プライマー層の形成方法としては、直接コーティング法によって形成することができ、また、転写法を用いることも可能である。直接コーティング法によってプライマー層を形成する場合には、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができる。また、転写コーティング法としては、一旦、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層の塗膜を形成し、しかる後基材の表面に被覆する方法であり、塗工組成物の塗膜を基材と共に立体物に接着するラミネート法や、一旦離型性支持体シート上に塗膜と必要に応じて接着材層を形成した転写シートを接着後、支持体シートのみ剥離する転写法などがある。
本発明の加飾シート10では、表面保護層14として電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化したものを用いる。
電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、他の類似するものも同様の意である。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
上記重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーのうち、加飾シートに成形性を付与するとの観点から、重量平均分子量Mw10,000以上のポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーを少なくとも一部に用いることが好ましく、特に2官能のポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましい。
また、上記重量平均分子量Mw10,000以上のポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーに加えて、付与したい物性に応じて、他の重合性モノマー、重合性オリゴマー及びプレポリマーを適宜併用することができる。具体的には、表面硬度、耐傷性を付与するには、2官能以上、好ましくは3官能以上のウレタンアクリレートをポリエステルアクリレート100質量部に対して10質量部以上配合していることが好ましい。単官能では硬化後の成形性は優れるが架橋密度が疎となり表面硬度に劣る場合がある。また、10質量部未満では、用途によっては、表面硬度、耐傷性の効果が十分得られない場合がある。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂として電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、かつ、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
上記電離放射線硬化性樹脂組成物中には、本発明の効果を奏する範囲で他の樹脂を含有させることができる。例えば、本発明の加飾シート10に柔軟性を付与したい場合には、熱可塑性樹脂を添加することができる。一方、溶剤への耐性が必要な場合には、熱可塑性樹脂を含有しないことが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール(ブチラール樹脂)、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン,ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリスチレン,α−メチルスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン等のアセタール樹脂、エチレン−4フッ化エチレン共重合体等のフッ素樹脂、ポリイミド、ポリ乳酸、ポリビニルアセタール樹脂、液晶性ポリエステル樹脂などが挙げられ、これらは1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上組み合わせる場合は、これらの樹脂を構成するモノマーの共重合体でもよいし、それぞれの樹脂を混合して用いてもよい。
上記熱可塑性樹脂のうち、本発明では(メタ)アクリル系樹脂を主成分とするものが好ましく、なかでもモノマー成分として少なくとも(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体を重合してなるものが好ましい。
より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が好ましい。
前記熱可塑性樹脂は、重量平均分子量が9万〜12万の範囲であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲であると、架橋硬化して表面保護層を形成した後の成形性及び表面の耐摩耗性、耐擦傷性のいずれも高いレベルで得ることができる。
なお、ここで重量平均分子量とは、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算のものである。ここで用いる溶媒としては通常用いられるものを適宜選択して行うことができ、例えば、テトラヒドロフラン(THF)又はN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)などが挙げられる。
また、前記熱可塑性樹脂の多分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1.1〜3.0の範囲であることが好ましい。多分散度がこの範囲内であると、やはり架橋硬化して表面保護層を形成した後の成形性及び表面の耐摩耗性、耐擦傷性のいずれも高いレベルで得ることができる。以上の点から、該(メタ)アクリル系樹脂の多分散度は、さらに1.5〜2.5の範囲であることが好ましい。
本発明における表面保護層を形成するための樹脂組成物は、以下に示す方法により得られる硬化物の引張弾性率が100MPa超〜1000MPa未満である。硬化物の引張弾性率が100MPa以下であると、十分な表面の耐摩耗性、耐擦傷性、耐溶剤性、耐汚染物性等が得られない。一方、該硬化物の引張弾性率が、1000MPa以上であると、塗膜の柔軟性が不足し、折り曲げ、衝撃に対し塗膜の割れが生じる。以上の観点から、該引張弾性率は500〜900MPaであることが好ましく、700〜800MPaであることがさらに好ましい。
[引張弾性率の測定方法]
表面保護層を形成するための樹脂組成物を2軸延伸ポリエステルフィルム上に、硬化後の厚さが20μmとなるように塗工し、電離放射線を照射して硬化させた塗膜をポリエステルフィルムから剥離してサンプルを作製する。該サンプルについて、引張試験機(例えば、(株)エー・アンド・デイ社製テンシロン万能試験機「RTC−1250A」)を用いて引張速度50mm/分で測定する。
また本発明における表面保護層を構成する樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。特に、表面の耐擦傷性等をさらに改善するために、滑剤を含有させることが好ましい。滑剤としては、合成ワックス、石油ワックス、動物由来のワックス、植物由来のワックス等のワックス類、反応性シリコーン、フッ素系滑剤などが挙げられる。
合成ワックスは、炭化水素系化合物を化学合成して作られるものであり、炭化水素系合成ワックスと、高級脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等の非炭化水素系合成ワックスとに大別される。
炭化水素系合成ワックスとしては、エチレンの重合やポリエチレンの熱分解により製造されるポリエチレンワックスと、一酸化炭素と水素を反応させて製造されるフィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)ワックスとがある。
石油ワックスとしては、パラフィンワックス[原油の減圧蒸留留出油部分から、結晶性の良い炭化水素を分離抽出したもので、直鎖状炭化水素(ノルマルパラフィン)が主成分であり、融点は大多数のものが40℃〜70℃程度である。]やマイクロクリスタリンワックス[主として原油の減圧蒸留残渣油部分から取り出されるワックスで、構成している炭化水素は分岐炭化水素(イソパラフィン)や飽和環状炭化水素(シクロパラフィン)が多い。このためパラフィンワックスに比較して結晶が小さい。また分子量も大きく、その為融点も60℃〜90℃程度と高くなる。]等が挙げられる。
動物由来のワックスとしては、蜜蝋(Bees Wax)、ウールワックス、鯨蝋(Spermaceti Wax)、シェラック蝋(Shellac Wax)、いぼた蝋(Chinese Wax)等が挙げられる。
また、植物由来のワックスとしては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、木蝋、ライスワックス(米ぬか蝋)とが挙げられる。
上述の各種ワックスの内、合成ワックスが好ましく、ポリエチレンワックスが特に好ましい。ポリエチレンワックスは摩擦係数が極めて低く、しかも強靭性を合わせ持っているので、表面保護層の表面を保護し、指紋が付着しても拭き取り易くする効果が高い。
ワックスの融点としては、90〜140℃が好ましい。また、ワックスの平均粒径としては、特に限定されないが、表面保護層の膜厚に応じて適宜設定することが好ましい。本用途では1〜30μmが好ましく、1〜20μmが特に好ましい。
また、本発明においては、反応性シリコーンを滑剤として用いることも好ましい態様である。ここで反応性シリコーンとは、側鎖及び/又は末端に有機基を導入した変性シリコーンオイルであって、有機基が反応性を有するものをいう。この反応性シリコーンは電離放射線硬化性樹脂組成物が硬化する際に、該樹脂と反応し、結合して一体化するため、表面にブリードアウトすることなく、本発明の加飾シートの表面に滑性を付与し、耐擦傷性等を向上させるため、特に好ましい。
また、反応性シリコーンは前段のワックスと異なり、配合しても表層の平滑性、光沢に影響を及ぼさないため、特に鏡面性、高光沢な意匠を表現する際に適している。
反応性シリコーンの種類としては、変性シリコーンオイルの側鎖型、変性シリコーンオイルの両末端型、変性シリコーンオイルの側鎖両末端型があり、導入する有機基により、アミノ変性、エポキシ変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、フェノール変性、メタクリル変性、異種官能基変性などがある。
反応性シリコーンの含有量としては、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜50質量部の範囲が好ましい。0.1質量部以上であると表面に十分な滑性を付与することができ、50質量部以下であると、塗工の際にはじきが発生せず、塗膜面が荒れることがなく、しかも塗料安定性を向上させることができる。以上の観点から、該含有量は0.5〜10質量部の範囲がさらに好ましい。
また、フッ素系滑剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン二元共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン三元共重合体などが挙げられる。
また本発明における表面保護層を構成する樹脂組成物には、艶消し剤の配合量を調整することで、意匠性の表現を高光沢から低光沢まで自在に調整することができ、より意匠性の向上が可能である。具体的には、低艶絵柄インキ層を設ける場合においては、表面保護層に艶消し剤を配合することによって、低艶絵柄インキ層の艶消し効果と相俟って、さらなる低光沢を表現することができる(図1参照)。一方、低艶絵柄インキ層を設けない場合においては、表面保護層に艶消し剤を配合しない、又は配合量を少なくすることで、高光沢で平滑性・鏡面性に優れる意匠を表現することができる(図2参照)。
艶消し剤としては、例えばシリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等から適宜選択される。これらのうち吸油度、粒径、細孔容積等の材料設計の自由度が高く、意匠性、白さ、インキとしての塗工安定性に優れた材料であるシリカが好ましく、特に微粉末のシリカが好ましい。
艶消し剤の粒径としては、0.1〜20μm、好ましくは1〜10μmが好ましい。
これらの艶消し剤の表面保護層を構成する樹脂組成物における含有量は、1〜80質量%の範囲であることが好ましい。
その他の添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チキソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、トリアジン系、シアノアクリレート系等が挙げられ、例えば、ベンゾトリアゾール系として、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜200%程度とすることが好ましい。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
表面保護層14の形成は上述の表面保護層形成用樹脂組成物を含有する塗工液を調製し、これを塗布し、架橋硬化することで得ることができる。なお、塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、調製された塗工液を、支持体11の表面に、硬化後の厚さが1〜30μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。
本発明においては、上記のようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、支持体11として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、支持体11への余分な電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜100kGy(1〜10Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
本発明においては、表面保護層14の硬化後の厚さが1〜30μmであることが好ましい。表面保護層14の硬化後の厚さが1μm以上であると耐汚染性、耐擦傷性、耐候性などの保護層としての十分な物性が得られ、かつ支持体、絵柄層、プライマー層の凹凸が表層に表出することがない。したがって、表面の平滑性が確保され、高光沢感及び十分な鏡面性が得られる。一方、30μm以下であると低艶インキ層の効果が十分に発揮されるとともに、成形性が良好となる。より良好な成形性を確保し、十分な耐擦傷性及び耐候性を得るとの観点から、表面保護層14の硬化後の厚さは2〜20μmの範囲がさらに好ましく、3〜10μmの範囲が特に好ましい。
また、本発明の加飾シートは、表面の静摩擦係数(μs)が1.0以下であることを必須とする。静摩擦係数(μs)が1.0以下であると表面の耐擦傷性及び耐傷付き性に優れた加飾シートが得られる。以上の観点から、静摩擦係数(μs)は0.5以下であることがさらに好ましい。静摩擦係数(μs)を1.0以下、さらには0.5以下にする方法としては、表面保護層形成用樹脂組成物中に、前述の反応性シリコーンアクリレート、ワックス、フッ素系滑剤などの滑剤を添加する方法などがある。
なお、静摩擦係数(μs)は東洋精機(株)製「摩擦測定機AN」を用い、傾斜速度1度/秒にて測定したものである。
さらに、本発明の加飾シートは、JIS K 7127に準拠した引張試験における引張伸度が50%以上であることが好ましい。引張伸度は高いほど成形性は良好となるが、引張伸度が50%以上であれば、通常用いられる真空成形型での真空成形時に表面保護層にクラックが発生しない。また、引張伸度は150%以上であることがさらに好ましい。引張伸度が150%以上であると複雑な形状や変形の大きい形状に対しても追従し、表面保護層にクラックが発生しない。
引張試験の測定条件としては、幅25mm、長さ120mmの試験片を用い、引張速度1000mm/分、チャック間距離80mm、標線間距離50mm、温度160℃の条件であり、表面保護層にクラックが入る際の引張伸度で評価するものである。
本発明の加飾シートは、インサート成形法に用いられる。インサート成形法では、真空成形工程において、本発明の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させ、加飾樹脂成形品を製造する。
射出樹脂は用途に応じた樹脂が使用され、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂が代表的である。また、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等も用途に応じ用いることができる。
以上のようにして製造された加飾樹脂成形体は、その表面保護層に成形過程でクラックが入ることがなく、その表面は高い耐摩耗性や耐擦傷性を有する。また、従来表面保護層として用いられていたアクリルフィルムに対して、耐溶剤性及び耐薬品性が高い。さらに本発明の製造方法では、加飾シートの製造段階で表面保護層が完全硬化されるので、加飾樹脂成形体を製造した後に表面保護層を架橋硬化する工程が不要である。
本発明の加飾樹脂成形体は、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材、幅木、回縁等の造作部材、窓枠、扉枠等の建具、壁、床、天井等の建築物の内装材、テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体、容器などの用途に適している。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
評価方法
(1)静摩擦係数(tanθ)
各実施例及び比較例で得た加飾シート及び加飾樹脂成形品について、東洋精機(株)製「摩擦測定機AN」を用い、傾斜速度1度/秒にて、表面の静摩擦係数を測定した。
(2)引張弾性率
明細書本文中に記載の方法により測定した。
(3)引張伸度
明細書本文中に記載の方法により測定した。
(4)成形性A(塗膜の形状追従性)
各実施例及び比較例で得た加飾シートについて以下に示す方法で真空成形を行い、成形後の外観にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
○;表面保護層に塗膜割れや白化が見られず、良好に型の形状に追従した。
×;型の形状に追従できずに表面保護層に塗膜割れや白化が見られた。
<真空成形>
加飾シートを赤外線ヒーターで160℃に加熱し、軟化させる。次いで、真空成形型を用いて真空成形を行い(最大延伸倍率150倍)、型の内部形状に成形する。型より加飾シートを離型し、不要部分をトリミングして成形シートを得る。
(5)成形性B(真空成形後の形状保持性)
上記方法にて真空成形したシートを24時間放置し、成形直後のシートと形状を比較した。評価基準は以下のとおりである。
○;成形直後と24時間放置後の形状が一致した。
×;成形直後と24時間放置後の形状が不一致であった。
(6)耐擦傷性
各実施例及び比較例で製造した加飾シートについて、テスター産業(株)製「学振型摩擦堅牢度試験機」を用い、摩擦用白綿布としてカナキン3号を用い荷重500gfで2000往復後の試験片で評価した。評価基準は以下のとおりである。
○;外観上著しい傷付きなし
△;表面に軽微な傷あり
×;表面に著しい傷あり
(7)鉛筆硬度試験
各実施例及び比較例で製造した加飾シートを用いてインサート成形を行い、得られた成形品について、(株)安田精機製作所製「電動鉛筆引っかき硬度試験機」を用い、三菱鉛筆(株)製「uni鉛筆」を使用して、荷重750gf、試験速度1mm/sの条件で測定した。
(8)意匠性
各実施例及び比較例で製造した加飾シートを用いてインサート成形を行い、得られた成形品について、表面の意匠性を目視にて評価した。評価基準については、低光沢な意匠性を有するもの(実施例1〜5、参考例2及び全比較例)と、高光沢な意匠性を有するもの(実施例7及び8)に分けて、それぞれ以下のような基準で評価した。
低光沢な意匠性を有するもの
◎;導管部が凹部として認識され、さらには木目の絵柄と導管部が同調しているため、より木目としての質感も得られ、意匠性が極めて高かった。
△;導管部が凹部として認識されたが、木目の絵柄と導管部が同調した、木目の質感までは得られなかった。
×;意匠が平面的で、意匠性に劣るものであった。
高光沢な意匠性を有するもの
◎;平滑性、鏡面性に優れ、意匠性が極めて高かった。
×;平滑性、鏡面性に乏しく、意匠性に劣るものであった。
実施例1
2官能のウレタンアクリレート(EB−1、重量平均分子量;2000)60質量%と2官能のポリエステルアクリレート(EB−2、重量平均分子量;10000)40質量%からなる電子線硬化性樹脂(以下「EB樹脂」という)100質量部に対して、反応性シリコーン2質量部、艶消し剤として平均粒径3.0μmのシリカ10質量部を添加して、表面保護層形成用電子線硬化性樹脂組成物を得た。なお、EB樹脂の引張弾性率は750MPaであった。
次に、支持体として、ABS樹脂からなるシート(ABS−1、曲げ弾性率;2000MPa、厚さ;400μm)を用い、該シートの表面に、2液硬化型ウレタンインキを用い、グラビア印刷により木目柄の絵柄層を形成した。次いで、絵柄層上にアクリル/ウレタンブロック共重合体を主剤とし、硬化剤としてイソシアネートを添加した2液硬化型ウレタン系樹脂を塗工して、厚さ2μmの透明プライマー層を形成した。該プライマー層の上に、数平均分子量3,000、ガラス転移温度(Tg)−62.8℃のポリエステルウレタン系印刷インキ100質量部に、平均粒径3.0μmのシリカを10質量部配合して得たインキを用い、グラビア印刷にて、上記絵柄層の木目柄の導管部と同調するように塗工し、厚さ1.0μmの低艶絵柄インキ層を得た。
該低艶絵柄インキ層上に、上記表面保護層形成用電子線硬化性樹脂組成物を硬化後の厚さが6μmとなるように塗工した。この未硬化樹脂層に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させ加飾シートを得た。
該加飾シートについて上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1において、反応性シリコーンの含有量をEB樹脂100質量部に対して1質量部としたこと以外は実施例1と同様にして、加飾シートを得た。EB樹脂の引張弾性率は750MPaだった。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
実施例3
実施例1において、EB樹脂中のEB−1とEB−2の含有量をそれぞれ35質量%及び65質量%としたこと以外は実施例1と同様にして、加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。なお、EB樹脂の引張弾性率は630MPaであった。
実施例4
実施例1において、EB樹脂として、2官能のウレタンアクリレート(EB−3、重量平均分子量;10000)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。なお、EB樹脂の引張弾性率は450MPaであった。
実施例5
実施例1において、EB樹脂として、2官能のウレタンアクリレート(EB−1、重量平均分子量;2000)40質量%と2官能のウレタンアクリレート(EB−3、重量平均分子量;10000)60質量%からなるものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。なお、EB樹脂の引張弾性率は520MPaであった。
参考例2
実施例1において、表面保護層形成用電子線硬化性樹脂組成物として、4官能のウレタンアクリレート(EB−4、重量平均分子量;4000)40質量%と熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル(PMMA、重量平均分子量;68000)60質量%からなる樹脂組成物100質量部に対して、反応性シリコーン2質量部、艶消し剤として平均粒径3.0μmのシリカ10質量部を添加したものを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。なお、該樹脂組成物の引張弾性率は700MPaであった。
実施例7
実施例1において、低艶絵柄インキ層を設けず、透明プライマー層上に、表面保護層形成用電子線硬化性樹脂組成物を塗工したこと、及び表面保護層形成用電子線硬化性樹脂組成物中に艶消し剤を含有しないこと以外は、実施例1と同様にして加飾シートを得た。なお、EB樹脂の引張弾性率は750MPaであった。
該加飾シートについて上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
実施例8
実施例3において、低艶絵柄インキ層を設けず、透明プライマー層上に、表面保護層形成用電子線硬化性樹脂組成物を塗工したこと、及び表面保護層形成用電子線硬化性樹脂組成物中に艶消し剤を含有しないこと以外は、実施例3と同様にして加飾シートを得た。なお、EB樹脂の引張弾性率は630MPaであった。
該加飾シートについて上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において、反応性シリコーンを加えなかったこと以外は実施例1と同様にして、加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
比較例2
実施例1において、支持体として、ABS樹脂からなるシート(ABS−2、曲げ弾性率;1200MPa、厚さ;400μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
比較例3
実施例2において、支持体として、ABS樹脂からなるシート(ABS−2、曲げ弾性率;1200MPa、厚さ;400μm)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
比較例4
実施例1において、反応性シリコーンを加えず、かつ、支持体として、ABS樹脂からなるシート(ABS−2、曲げ弾性率;1200MPa、厚さ;400μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
比較例5
実施例3において、反応性シリコーンを加えなかったこと以外は実施例3と同様にして、加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
比較例6
実施例3において、支持体として、ABS樹脂からなるシート(ABS−2、曲げ弾性率;1200MPa、厚さ;400μm)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
比較例7
実施例3において、反応性シリコーンを加えず、かつ、支持体として、ABS樹脂からなるシート(ABS−2、曲げ弾性率;1200MPa、厚さ;400μm)を用いたこと以外は実施例3と同様にして、加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
比較例8
実施例1において、EB樹脂としてEB−2のみを用いたこと以外は実施例1と同様にして、加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。なお、EB樹脂の引張弾性率は100MPaであった。
比較例9
実施例1において、EB樹脂としてEB−1のみを用いたこと以外は実施例1と同様にして、加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。なお、EB樹脂の引張弾性率は1000MPaであった。
参考例1
実施例1と同様にして、電子線硬化性樹脂組成物を得た。
次に、基材として、両面コロナ放電処理を施した厚さ60μmの透明ポリプロピレン系フィルムを用い、該フィルムの裏面に、2液硬化型ウレタンインキを用い、グラビア印刷により木目柄の絵柄層を形成した。次いで、絵柄層を施していない表面に、アクリル/ウレタンブロック共重合体を主剤とし、硬化剤としてイソシアネートを添加した2液硬化型ウレタン系樹脂を塗工して、厚さ2μmの透明プライマー層を形成した。該プライマー層の上に、数平均分子量3000、ガラス転移温度(Tg)−62.8℃のポリエステルウレタン系印刷インキ100質量部に、平均粒径3.0μmのシリカを10質量部配合して得たインキを用い、グラビア印刷にて、上記絵柄層の木目柄の導管部と同調するように塗工し、厚さ1.0μmの低艶絵柄インキ層を得た。
該低艶絵柄インキ層上に、上記表面保護層形成用電子線硬化性樹脂組成物を硬化後の厚さが3μmとなるように塗工した。この未硬化樹脂層に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させ、次に該シートの絵柄層側に膜厚10μmの2液硬化型ウレタン系樹脂接着剤を施し、バッカーフィルムである膜厚400μmの隠蔽着色ABS樹脂シートとラミネートして加飾シートを得た。実施例1と同様にして評価した結果を第1表に示す。
Figure 0005585011
本発明の表面保護層形成用樹脂組成物を用いて表面保護層を形成した加飾シートは、通常のインサート成形法において、160℃程度の加熱温度から金型に接触時の温度まで急激な温度低下と急激な伸張速度、高伸張度の条件であってもクラックや割れが発生することがない。しかも意匠性が高く、特に木目柄において、質感が付与されたものであった。
さらに、このように成形性が良好な上、製造された加飾樹脂成形品の表面は高い耐摩耗性及び耐擦傷性を有することが確認された。
本発明の加飾シートはその表面が、高い耐摩耗性及び耐擦傷性を有し、かつ、成形性が良好でクラック等が入らない。従って、本発明の加飾シートを用いて製造した加飾樹脂成形体は、その表面保護層に成形過程でクラックが入ることがなく、その表面は高い耐摩耗性や耐擦傷性を有する。また、本発明の製造方法によれば、加飾シートの製造段階で表面保護層が完全硬化されるので、加飾樹脂成形体を製造した後に表面保護層を架橋硬化する工程が不要である。さらに、絵柄層と同調させて、艶差及び凹凸を表現することができ、質感が付与されるなど、意匠性の高い加飾シートである。
10.加飾シート
11.支持体
12.絵柄層
13.低艶絵柄インキ層
14.表面保護層
15.低光沢領域
16.凸形状

Claims (11)

  1. ABS樹脂からなる支持体上に少なくとも表面保護層を積層してなるインサート成形用加飾シートであって、該支持体の曲げ弾性率が1500〜3000MPaであり、該支持体の厚さが100〜500μmであり、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化したものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物中の樹脂成分が電離放射線硬化性樹脂であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物の下記方法により測定した引張弾性率が100MPa超〜1000MPa未満であり、かつ、表面の静摩擦係数が1.0以下であることを特徴とするインサート成形用加飾シート。
    (引張弾性率の測定方法)
    表面保護層を形成するための樹脂組成物を2軸延伸ポリエステルフィルム上に、硬化後の厚さが20μmとなるように塗工し、電離放射線を照射して硬化させた塗膜をポリエステルフィルムから剥離してサンプルを作製する。該サンプルについて、引張試験機を用いて引張速度50mm/分で測定する。
  2. 表面保護層の厚さが1〜30μmである請求項1に記載のインサート成形用加飾シート。
  3. JIS K 7127に準拠した、以下の測定条件下での引張試験における引張伸度が50%以上である請求項1又は2に記載のインサート成形用加飾シート。
    (測定条件)幅25mm、長さ120mmの試験片を用い、引張速度1000mm/分、チャック間距離80mm、標線間距離50mm、温度160℃の条件で表面保護層にクラックが入る際の引張伸度を測定。
  4. 支持体と表面保護層の間に低艶絵柄インキ層を積層してなる請求項1〜3のいずれかに記載のインサート成形用加飾シート。
  5. 支持体と低艶絵柄インキ層の間に絵柄層を有する請求項に記載のインサート成形用加飾シート。
  6. 電離放射線硬化性樹脂が、2官能及び/又は3官能の電離放射線硬化性樹脂を含む請求項1〜5のいずれかに記載のインサート成形用加飾シート。
  7. 電離放射線硬化性樹脂が、ウレタンアクリレート及び/又はポリエステルアクリレートを含む請求項1〜6のいずれかに記載のインサート成形用加飾シート。
  8. 電離放射線硬化性樹脂が電子線硬化性樹脂である請求項1〜のいずれかに記載のインサート成形用加飾シート。
  9. 電離放射線硬化性樹脂組成物中に反応性シリコーンを含有する請求項1〜のいずれかに記載のインサート成形用加飾シート。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載のインサート成形用加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、余分な部分をトリミングして成形シートを得る工程、該成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する工程を有する加飾樹脂成形品の製造方法。
  11. 請求項10に記載の製造方法により製造した加飾樹脂成形品。
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