JP6221288B2 - 化粧シート及びこれを用いた化粧板 - Google Patents

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本発明は、化粧シート及びこれを用いた化粧板に関する。
家具や台所製品のキャビネット、床タイルや壁パネル、あるいは台所のシンク周り等に用いられる化粧板には、建材用基板に、例えば木目調柄等を印刷した化粧シートを接着剤で貼り合わせたものが一般に用いられている。
このような化粧板に使用される化粧シートには、ラミネート加工、ラッピング加工、Vカット加工等の二次加工のために、柔軟性、切削性、耐破断性等の加工適性や、耐汚染性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐水性、耐薬品性、耐候性等の使用適性等の種々の特性が要求される。
こうした要求を満たすために、上記加工適性を十分に満足する基材を用い、該基材の表面に表面保護層を施すことが行われており、表面保護層としては、電離放射線硬化性樹脂が好ましく用いられている。
一方、近年の消費者の高級品指向により、床タイルや壁パネル、あるいは家具や台所製品のキャビネット等に対しても高級感が求められるようになり、これらに用いられる化粧板や化粧シートにおいても、高級感を与える外観を有するものが望まれている。
このような高級感を与える外観を有する化粧シートとして、特許文献1のような化粧シートが提案されている。
特許文献1の化粧シートは、基材の表面に塗膜層、模様層、電離放射線硬化性樹脂が架橋硬化した表面保護層を有しており、模様層が塗膜層に比較して、電離放射線硬化性樹脂の浸透性を高く構成してなるものである。特許文献1の化粧シートによれば、電離放射線硬化性樹脂が模様の存在する部分により浸透しやすいため、該部分に凹部が形成され、表面に凹凸のある化粧材が得られる。
しかしながら、特許文献1の化粧シートは、模様層に十分な吸収浸透性を付与すべく、多量の体質顔料や多孔質材料を添加する必要があり、模様層が脆弱化するため、凹部の耐擦傷性及び耐摩耗性が低下するという問題がある。
上記問題を解決するために、特許文献2では、表面保護層に焼成カオリン粒子を含有し、耐摩耗性や耐擦傷性に対処する方法を提案している。
しかし、特許文献2の化粧シートは、耐擦傷性及び耐摩耗性には優れるものの、製造過程で経時的に化粧シートにスジムラ等の欠陥が生じ、意匠性を損なうという問題があった。
特開2001−199028号公報 国際公開第2006/035880号パンフレット
本発明は、このような状況下で、表面に凹凸感を有し、耐擦傷性及び耐摩耗性に優れ、かつ製造過程で安定的な意匠性を付与できる化粧シート、及びこれを用いた化粧板を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、焼成カオリン粒子のような高硬度の粒子により耐擦傷性及び耐摩耗性を付与した場合、該高硬度粒子が塗工装置(グラビア印刷の場合、グラビア版胴やドクターブレード等)を摩耗することによって、化粧シートに欠陥が生じることを見出した。そして、さらに研究した結果、高硬度の焼成カオリン粒子を用いることなく、耐擦傷性及び耐摩耗性を満足できる構成を見出し、これを解決するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]基材上に、部分的に設けられた低艶絵柄インキ層と、該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、該低艶絵柄インキ層が形成された領域及び該低艶絵柄インキ層が形成されてない領域とを含む全面にわたって被覆する表面保護層を有してなり、
低艶絵柄インキ層が形成されていない部分の表面保護層の厚みをH、低艶絵柄インキ層上に存在する表面保護層の厚みをhとした際に、Hが7〜13μm、hが5〜11μmであり、かつH>hであり、
さらに、前記表面保護層が、樹脂成分及びシリカを含む表面保護層形成組成物から形成されてなり、該樹脂成分として電離放射線硬化性樹脂を含み、
前記シリカは、平均粒子径が8〜12μmでモース硬度が5〜7であり、含有量が前記樹脂成分100質量部に対して10〜25質量部である、化粧シート、
[2]前記電離放射線硬化性樹脂が、重合性モノマー及びウレタンアクリレートオリゴマーを含む、上記[1]に記載の化粧シート、
[3]前記低艶絵柄インキ層が、非架橋性ウレタン樹脂を含む、上記[1]又は[2]に記載の化粧シート、
[4]前記基材と前記低艶絵柄インキ層との間に絵柄層を有する、上記[1]〜[3]の何れかに記載の化粧シート、
[5]前記基材と前記低艶絵柄インキ層との間にさらにプライマー層を有する、上記[1]〜[4]の何れかに記載の化粧シート、
[6]前記プライマー層が、架橋性ウレタン樹脂を含む、上記[5]に記載の化粧シート、
[7]上記[1]〜[6]の何れかに記載の化粧シートを基板に貼付した化粧板、
を提供するものである。
本発明によれば、表面に凹凸感を有し、耐擦傷性及び耐摩耗性に優れ、かつ製造過程で安定的な意匠性を付与できる化粧シート、及びこれを用いた化粧板を得ることができる。
本発明の化粧シートの一実施形態を示す断面図 本発明の化粧シートの他の実施形態を示す断面図
本発明の化粧シートは、基材上に、部分的に設けられた低艶絵柄インキ層と、該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、該低艶絵柄インキ層が形成された領域及び該低艶絵柄インキ層が形成されてない領域とを含む全面にわたって被覆する表面保護層を有してなり、
低艶絵柄インキ層が形成されていない部分の表面保護層の厚みをH、低艶絵柄インキ層上に存在する表面保護層の厚みをhとした際に、Hが7〜13μm、hが5〜11μmであり、かつH>hであり、
さらに、前記表面保護層が、樹脂成分及びシリカを含む表面保護層形成組成物から形成されてなり、該樹脂成分として電離放射線硬化性樹脂を含み、
前記シリカは、平均粒子径が8〜12μmでモース硬度が5〜7であり、含有量が前記樹脂成分100質量部に対して10〜25質量部であるものである。
図1及び2は本発明の化粧シート10の実施の形態を示す断面図である。
図1の化粧シート10は、基材1上に、低艶絵柄インキ層5、表面保護層6をこの順に有してなるものである。図2の化粧シート10は、基材1上に、着色層2、絵柄層3、プライマー層4、低艶絵柄インキ層5、表面保護層6をこの順に有してなり、絵柄層3のパターンと低艶絵柄インキ層5とのパターンとが同調しているものである。
なお、図1及び2ともに、低艶絵柄インキ層5の直上部及びその近傍における表面保護層6には、低艶絵柄インキ層5と表面保護層6とが一部混合することによる低光沢領域7を形成している。後述するように、化粧シート10において、低光沢領域7が凹部であるかの如く認知され、化粧シート10に擬似立体感を与えるものである。特に、図2のように絵柄層3のパターンと低艶絵柄インキ層5とのパターンが同調した構成のものは、絵柄層3の絵柄に擬似立体感が付与された化粧シートとすることができる。
[基材]
基材1としては、通常化粧シートの基材として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、金属箔、金属シート、金属板、木材等の木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
これらの基材には、基材上に設けられる層との密着性を向上させるために、片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、該基材はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
基材として用いられる各種の紙類としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙及び和紙、並びにこれら紙の紙間強化紙及び樹脂含浸紙等が挙げられる。これらの紙類の中でも、熱的安定性や強度の観点からは、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙といった紙で構成されるものが好適であり、防湿性の観点からは、ポリエチレンフィルムを2枚の紙で挟み込んだポリサンド紙と呼ばれる紙とプラスチックフィルムの複合体が好適である。
プラスチックフィルムとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらプラスチックフィルムの中では、熱的安定性や強度の観点からは、ポリエチレンテレフタレート樹脂を延伸処理したものが好適であり、防湿性の観点からは、ポリプロピレン樹脂を延伸処理したものが好適である。
金属箔、金属シート、又は金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、及び銅等が挙げられ、またこれらの金属をめっき処理したものも挙げられる。各種の木質系の板としては、木材の単板、合板、集成材、パーチクルボード及びMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板が挙げられる。窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板等の窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル等が挙げられる。
基材の厚さについては特に制限はないが、プラスチックフィルムを用いる場合には、通常20〜150μm程度、好ましくは30〜100μmの範囲であり、紙基材を用いる場合には、坪量は、通常20〜150g/m2程度、好ましくは30〜100g/m2の範囲である。
[着色層]
着色層2は、本発明の化粧シートの意匠性を高める目的で必要に応じて設けられる。着色層は、化粧シートの面方向の全部に形成することが好ましい。
着色層は、基材上の表面の色を整えることで、基材自身が着色していたり、色ムラがあるときに形成して、基材の表面に意図した色彩を与えるものである。着色層は隠蔽性を持たせるように形成することが多いが、透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。それに加えて、後述する低艶絵柄インキ層及び表面保護層を形成する成分が基材に浸透することを抑制できる。さらに後述する絵柄層の浸透も抑制でき、且つ浸透を抑制することで絵柄の滲みが少ない高い意匠性を得ることができる。前記の浸透抑制効果は、基材が紙や不織布等の浸透性基材である場合に特に有効である。
着色層の形成に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。
バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でもウレタン樹脂が好適である。
ウレタン樹脂としては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールと、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等の脂肪族ないしは脂環式イソシアネート等のイソシアネートとを反応させてなるウレタン樹脂が挙げられる。通常ポリオール1分子中の水酸基数及びイソシアネート1分子中のイソシアネート基はそれぞれ平均2である。またウレタン樹脂の数平均分子量は10000〜50000程度であり、ガラス転移温度(Tg)は−70〜60℃程度のものが耐油性、耐スクラッチ性のために好ましい。
着色層の厚さは通常1〜20μm程度である。
[絵柄層]
化粧シートは、基材自体が持つ意匠感や、後述する低艶絵柄インキ層と表面保護層とのグロスマット表現等によって、化粧シートとしての目的とする意匠感を表現できれば、絵柄層は設ける必要はない。しかし、通常は印刷等で絵柄を表現して高意匠とすべく、この絵柄層3を設ける(図2参照)。
絵柄層は、図2のように化粧シートの面方向の一部にパターン状に形成してもよいし、化粧シートの面方向の全部にパターン状に設けてもよい。
絵柄層の模様(絵柄パターン)としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。
これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層に用いる絵柄インキとしては、着色層に用いるインキと同様のものを用いることができる。
後述するように、絵柄層の模様(絵柄パターン)と、低艶絵柄インキ層のパターンとを同調させることにより、擬似立体感の付与により意匠を高級化することができる。
絵柄層の厚さは通常1〜20μm程度である。
[プライマー層]
プライマー層4は、所望により設けられる層であって、主として各層の密着性を高める役割を有する。プライマー層4の位置としては、基材と低艶絵柄インキ層との間であれば特に制限されることはない。化粧シートが着色層及び絵柄層を有する場合には、プライマー層4の位置は、絵柄層3と低艶絵柄インキ層5との間(図2)、基材1と着色層2との間、着色層2と絵柄層3との間が挙げられる。化粧シートが着色層及び絵柄層を有する場合の好ましいプライマー層の位置は、低艶絵柄インキ層及び表面保護層の密着性を高める観点から、絵柄層と低艶絵柄インキ層との間である。なお、プライマー層4の位置は2箇所以上であってもよい。
プライマー層は、主として樹脂成分を含むプライマー層形成組成物から形成することができ、該樹脂成分としては、着色層のバインダー成分と同様の樹脂を用いることができる。
また、プライマー層の樹脂成分は、熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。熱硬化性樹脂を含むことにより、密着性を向上させつつ、耐擦傷性及び耐摩耗性を良好にでき、さらに、低艶絵柄インキ層及び表面保護層を形成する成分が基材に浸透することを抑制できる。前記の浸透抑制効果は、基材が紙や不織布等の浸透性基材である場合に特に有効である。
また、熱硬化性樹脂としては、耐擦傷性及び耐摩耗性の観点から、架橋性ウレタン樹脂が特に好適である。
[低艶絵柄インキ層]
本発明の化粧シートに設けられる低艶絵柄インキ層5は、化粧シートの面方向において部分的に存在し、図1に示すように基材1に直接積層されるか、または図2に示すように、必要に応じて設けられた着色層2、絵柄層3、プライマー層4等の上に積層されるものである。そして、該低艶絵柄インキ層5の直上部及びその近傍における表面保護層6には、低光沢領域7が形成される。
本発明の化粧シートを表面保護層側から見ると、低光沢領域は艶が低く、その周辺の艶との差によって視覚的に凹部として認識されるため、全体として、この低光沢領域によって視覚的に凹凸模様として認識される。
表面保護層6中に形成される低光沢領域7の広がりの程度については、本発明の効果を奏する範囲内であれば特に限定されず、図1及び図2に示すように、低艶絵柄インキ層5の表面から表面保護層6の厚み方向の途中で留まっていてもよく、表面保護層6の最表面に達するものであってもよい。
低光沢領域とその周辺とにおける艶差の発生機構やその広がりの程度の強弱の発生機構については、十分解明されるには至っていないが、艶差の発生機構については、各種実験と観察、測定の結果から、低艶絵柄インキ層の表面に表面保護層を形成するための電離放射線硬化性樹脂の未硬化物を塗工した際に、各材料の組合せ、塗工条件の適当な選択によって、低艶絵柄インキ層の樹脂成分と表面保護層が、一部溶出、分散、混合等の相互作用を発現することによるものと推測される。この際、低艶絵柄インキ層のインキと電離放射線硬化性樹脂の未硬化物におけるそれぞれの樹脂成分は、短時間には完全相溶状態にならずに懸濁状態となって、低艶絵柄インキ層の直上部及びその近傍に存在し、該懸濁状態となった部分が光を散乱して低光沢領域をなすものと考えられる。この懸濁状態を有したまま、表面保護層を架橋硬化させることにより、かかる状態が固定されると、表面保護層中に低光沢領域が部分的に形成され、目の錯覚により、その部分が凹部であるかのように認知されるものと推測される。
本発明の化粧シートにおいては、この低艶絵柄インキ層の特徴をいかして、好ましく設けられる絵柄層との組合せにより、絵柄層が表現しようとする模様のうち、艶を消して視覚的に凹部を表現したい部分と低艶絵柄インキ層とを同調させることによって、艶差による視覚的凹部を有する模様が得られる。例えば、絵柄層によって木目模様を表現しようとする場合には、木目の導管部分に低艶絵柄インキ層のインキ部分を同調させることにより、艶差により導管部分が視覚的に凹部となった模様が得られる。また、絵柄層によってタイル貼模様を表現しようとする場合には、タイル貼の目地溝部分に低艶絵柄インキ層のインキ部分を同調させることにより、艶差によって、目地溝部分が視覚的に凹部となった模様が得られる。
低艶絵柄インキ層を形成する組成物は、表面保護層形成組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂との間で溶出、分散、混合等の相互作用を発現し得る性質を有するものであり、該電離放射線硬化性樹脂(未硬化物)との関連で適宜選定されるものである。
このような低艶絵柄インキ層形成組成物は少なくともバインダー樹脂を含む。また、バインダー樹脂として非架橋性樹脂を含むことが好ましい。
非架橋性樹脂としては、ポリエステルウレタン樹脂等の熱可塑性(非架橋性)ウレタン樹脂や、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、なかでもポリエステルウレタン樹脂等の熱可塑性(非架橋性)ウレタン樹脂が好ましい。
また、必要に応じて、低光沢領域の発現の程度、低光沢領域とその周囲との艶差のコントラストを調整するため、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を混合することができる。
る。
低艶絵柄インキ層形成組成物は、着色剤を含有することができ、それ自体でも絵柄模様を与えることができる。なお、図2に示すような着色層2や絵柄層3を有する場合には、必ずしも着色剤を添加して着色する必要はない。
低艶絵柄インキに用いられる着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の各種顔料が用いられる。これら顔料の中ではシリカが好適である。
顔料の平均粒子径は、0.1〜5μmの範囲が好ましい。また、低艶絵柄インキ層形成組成物における顔料の含有量は、5〜15質量%の範囲であることが好ましい。
低艶絵柄インキ層の厚みは、後述する表面保護層の厚みとのバランスもあるため一概にはいえないが、0.5〜8μmであることが好ましい。0.5μm以上とすることにより、化粧シート表面の十分な艶差を出しやすくなり、8μm以下とすることにより、低艶絵柄インキの印刷に際して機械的制約がなく、また経済的にも有利である。
[表面保護層]
表面保護層6は、樹脂成分及び特定のシリカを含む表面保護層形成組成物から形成されてなるものである。また、樹脂成分としては電離放射線硬化性樹脂を必須成分として含む。
ここで、電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線等を照射することにより、架橋、硬化する樹脂成分を指す。
電離放射線硬化性樹脂は、従来電離放射線硬化性の樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができるが、良好な硬化特性を得る観点から、ブリードアウトしにくく、固形分基準として95〜100%程度としても塗工性を有し、かつ硬化する際に硬化収縮を生じにくいものが好ましい。そのような電離放射線硬化性樹脂の代表例を以下に記載する。なお、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート単量体が好適であり、なかでも分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有するような多官能性(メタ)アクリレートが好ましく、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いて用いればよい。官能基数としては、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、3〜4がさらに好ましい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を調整する等の目的で、メチル(メタ)アクリレート等の単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマー等が好ましく挙げられる。これらのオリゴマーのうち、多官能性の重合性オリゴマーが好ましく、官能基数としては、2〜16が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。これらの重合性オリゴマーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、耐擦傷性及び耐摩耗性の観点から、電離放射線硬化性樹脂として、重合性モノマー及び重合性オリゴマーを含むことが好ましい。該組み合わせの場合、重合性オリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマーが好適である。
[重合性モノマー/重合性オリゴマー]の質量比は、オリゴマー成分を添加することにより表面保護層を硬質化すること、及びオリゴマー成分が過剰になることにより表面保護層形成組成物が高粘度化することを防止する観点から、1.0〜5.0であることが好ましく、2.0〜3.0であることがより好ましい。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を紫外線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されない。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂として電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。これは、表面保護層形成組成物に紫外線吸収剤が含まれる場合は、紫外線硬化性樹脂を用いると紫外線照射量の不足を防ぐために照射する紫外線の波長や照射量の調製を要することがあるが、電子線硬化性樹脂を用いるとそのような調製は不要であり、安定した硬化特性が効率的に得られるからである。
また、表面保護層形成組成物の樹脂成分としては、物性調整等の為に更に必要に応じ適宜、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂を混合使用しても良い。
(表面保護層の厚み)
本発明においては、低艶絵柄インキ層5が形成されていない部分の表面保護層6の厚みをH、低艶絵柄インキ層5上に存在する表面保護層6の厚みをhとした際に、Hが7〜13μm、hが5〜11μmであり、かつH>hであることを要する(図1、図2)。
Hが7μm未満であると、耐擦傷性及び耐摩耗性を満足することができず、Hが13μmを超えると、下方に位置する意匠の視認性が低下して、化粧シートの凹凸感が損なわれてしまう。また、hが5μm未満であると、低光沢領域の耐擦傷性及び耐摩耗性が劣り、hが11μmを超えると、低艶絵柄インキ層の直上部及びその近傍における表面保護層を十分に低光沢とすることができず、また、絵柄層を有する場合には絵柄層の視認性が低下することにより、化粧シートの意匠性が低下してしまう。
前記Hは8〜12μmであることが好ましい。また、前記hは6〜11μmであることが好ましい。
また、[前記H−前記h]は、0.5μm以上であることが好ましく、1.0〜2.5μmであることがより好ましい。
(シリカ)
表面保護層形成組成物は、モース硬度が5〜7のシリカを含む。
シリカのモース硬度が5未満であると、耐擦傷性及び耐摩耗性が不十分となり、シリカのモース硬度が7を超えると、塗工装置(グラビア印刷の場合、グラビア版胴やドクターブレード等)が摩耗することにより、化粧シートに欠陥が生じる。シリカのモース硬度は、6〜7であることが好ましい。
また、該シリカの平均粒子径は、8〜12μmのものを用いる。平均粒子径が8μm未満であると、表面保護層の表面からシリカが露出しづらくなり、表面保護層の耐擦傷性及び耐摩耗性が不十分となる。また、シリカの平均粒子径が12μmを超えると、表面保護層の表面からシリカが露出し過ぎてシリカのバインド力が低下し、表面保護層の耐擦傷性及び耐摩耗性が不十分となるとともに、光散乱性が高まり意匠の視認性が低下して、化粧シートの凹凸感が損なわれてしまう。シリカの平均粒子径は、9〜11μmであることが好ましい。
なお、本発明における平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定したものである。
また、上記シリカの含有量は、表面保護層形成組成物の樹脂成分100質量部に対して10〜25質量部である。10質量部未満となると、表面保護層の耐擦傷性及び耐摩耗性が不十分となり、25質量部を超えると、シリカのバインド力が低下して表面保護層の耐擦傷性及び耐摩耗性が低下する傾向となるとともに、化粧シートの意匠性が低下して、化粧シートの凹凸感が損なわれてしまう。
上記シリカの含有量は、表面保護層形成組成物の樹脂成分100質量部に対して13〜18質量部であることが好ましい。
(添加剤)
表面保護層形成組成物には、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等の添加剤を含有させてもよい。耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。また、表面保護層形成組成物中には、低艶絵柄インキ層に添加するような艶消剤(シリカ等)を少量添加してもよい。
(表面保護層の形成方法)
表面保護層は、重合性モノマーや重合性オリゴマー等の電離放射線硬化性樹脂、上述した特定のシリカ、及び必要に応じて添加される添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合して、表面保護層形成組成物を調製し、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式により、塗布し、必要に応じて乾燥し、電離放射線を照射することにより形成することができる。
電離放射線の線源としては、紫外線源としては、超高圧水銀燈、メタルハライドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長としては通常190〜380nmの波長域が主として用いられる。電子線源としては、コッククロフトワルトン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000keVのエネルギーをもつ電子を照射するもの等が使用できる。電子線の照射線量は、通常20〜150kGy程度である。
<化粧板>
本発明の化粧シートは、各種基板に貼付して化粧板として使用することができる。
被着体となる基板は、プラスチックシート、金属板、木材等の木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。化粧シートと基板とは接着剤を介して貼り合わせることができる。貼り合わせ時には必要に応じて、密着性を向上するために、化粧シート若しくは基板側に、物理的処理や化学的処理を行ってもよい。
化粧板は、壁、天井、床等の建築物の内装または外装材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の表面化粧板、キッチン、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装、外装等に用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、以下の方法で評価した。
(1)意匠性
化粧シートの外観を下記基準で目視評価した。
A;艶消部分が明確に凹として認識できる。
B;艶消部分がある程度凹として認識できる。
C;艶消部分が全く凹として認識できない。
(2)耐摩耗性
JAS合板B試験に準拠して、化粧シートに対して、テーバー摩耗機で50回摩耗試験を行った。摩耗紙はS−42を使用し、荷重は500gとした。摩耗試験後の化粧シートの外観を下記基準で目視評価した。
AA+;基材の露出が無く、絵柄パターンが取られていない。
AA ;基材の露出が無く、絵柄パターンが10%取られている。
A ;基材の軽微な露出があり、絵柄パターンが25%取られている。
B ;基材の軽微な露出があり、絵柄パターンが35%取られている。
C ;基材の軽微な露出があり、絵柄パターンが45%取られている。
C− ;基材の露出があり、絵柄パターンが50%以上取られている。
D ;基材の著しい露出があり、絵柄パターンが全て(100%)取られている。
(3)耐擦傷性
29.4kPa(300g/cm2)の荷重となるように調整された重りに、スチールウール(♯0000)を取り付けて、化粧シートの表面を50回擦り、該表面の艶の変化を下記基準で目視評価した。
A+;全く艶変化がない。
A ;軽微な艶変化がある。
B ;艶変化がある。
C ;大きな艶変化がある。
D ;著しい艶変化がある。
(4)塗布装置の摩耗性
円周1240mmのグラビア版を用い、ラインスピード100m/minの印刷速度で30000m2の基材へのグラビア印刷を想定して、次のように試験を行った。
円周1240mmのグラビア版を持つグラビア輪転機にドクターブレードを設置し、表面保護層形成組成物をインキパンに入れ、グラビア版を80.6rpmで5時間空回しした。5時間空回しした後の表面保護層形成組成物を1時間放置し、該組成物に当初から含まれる物を除く沈殿物を下記基準で目視評価した。
A ;沈殿物が全く確認できない。
B ;沈殿物がわずかに確認できる。
C ;沈殿物が多く確認できる。
[実施例1]
基材として、米秤量30g/m2の建材用一般紙を用い、その片面にアクリル樹脂と硝化綿をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて、塗工量5g/m2の(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施して着色層とした。その上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、木目模様の絵柄層をグラビア印刷にて形成した。
次いで、数平均分子量20,000、ガラス転移温度(Tg)−59.8℃のポリエステルウレタン樹脂とトリレンジイソシアネートからなるポリイソシアネートをバインダーとする塗料組成物を用いて、塗工量5g/m2で全面にグラビア印刷してプライマー層を形成した。
次いで、数平均分子量30,000、ガラス転移温度(Tg)−62.8℃の非架橋性ポリエステルウレタン樹脂をバインダーとし、平均粒子径1.5μmのシリカ微粒子をバインダー100質量部に対して10質量部配合した低艶絵柄インキを用いて木目模様の導管部分に位置同調するようにグラビア印刷にて、厚み1μmの低艶絵柄インキ層を形成した。
次いで、樹脂成分として、2官能アクリレートモノマーと6官能アクリレートオリゴマーとを70:30の質量割合で含む電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、硬質シリカ(モース硬度7、平均粒子径10μm)を16質量部、艶消剤(表面処理シリカ、平均粒子径7μm)を7質量部含む表面保護層形成組成物を、低艶絵柄インキ層が形成されていない部分の厚みが9μmとなるようにグラビアオフセットコータ法により塗工した。
塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGyの電子線を照射して、表面保護層形成組成物を硬化させて、表面保護層とした。
次いで、70℃で24時間の養生を行い、化粧シートを得た。
[実施例2〜5]及び[比較例1〜8]
実施例1において、表面保護層形成組成物中の硬質シリカの添加量及び/又は種類を表1のものとして、H及び/又はhを表1の条件とした以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
実施例1〜7の化粧シートは、表面の凹凸感がはっきりしており、意匠性が良好であった。また、表面保護層の耐擦傷性及び耐摩耗性に優れつつ、塗工装置の摩耗が生じるものではなく、塗工装置の摩耗を原因とする化粧シートの欠陥も生じないものであった。
比較例1の化粧シートは、硬質シリカのモース硬度が5未満であることから、表面保護層の耐擦傷性及び耐摩耗性に劣るものであった。比較例2の化粧シートは、硬質シリカのモース硬度が7を超えることから、塗工装置を摩耗してしまうものであった。なお、比較例2の化粧シートは、テーブルテストでは意匠性は良好であるが、連続生産する場合には塗工装置の摩耗に伴い、化粧シートに欠陥が生じ、安定した意匠性が得られないものであった。
比較例3の化粧シートは、表面保護層の厚みに対して硬質シリカの平均粒子径が小さいことから、表面保護層の耐擦傷性及び耐摩耗性に劣るものであった。比較例4の化粧シートは、表面保護層の厚みに対して硬質シリカの平均粒子径が大きすぎて、硬質シリカのバインド力が弱くなり、表面保護層の耐擦傷性及び耐摩耗性が不十分となるとともに、光散乱性が高まり意匠の視認性が低下して、化粧シートの凹凸感が損なわれるものであった。
比較例5の化粧シートは、硬質シリカの含有量が多すぎて、硬質シリカのバインド力が弱くなり、表面保護層の耐摩耗性に劣るとともに、意匠の視認性が低下して、化粧シートの凹凸感が損なわれるものであった。比較例6の化粧シートは、硬質シリカの含有量が少なすぎて、表面保護層の耐擦傷性及び耐摩耗性に劣るものであった。
比較例7の化粧シートは、Hが13μmを超えることから、下方に位置する意匠の視認性が低下して、化粧シートの凹凸感が損なわれるものであった。比較例8の化粧シートは、Hやhが薄いことから、耐擦傷性及び耐摩耗性に劣るものであった。
本発明の化粧シート及び化粧板は、表面に凹凸感を有し、耐擦傷性及び耐摩耗性に優れ、かつ製造過程で安定的な意匠性を付与できることから、建築物の内装または外装材、建具の表面化粧板、家具の表面化粧板、及び車両の内装、外装等に好適に用いられる。
1:基材
2:着色層
3:絵柄層
4:プライマー層
5:低艶絵柄インキ層
51:低艶粒子
6:表面保護層
7:低光沢領域
10:化粧シート

Claims (6)

  1. 紙基材またはプラスチックフィルムである基材上に、部分的に設けられた非架橋性ウレタン樹脂を含む低艶絵柄インキ層と、該低艶絵柄インキ層上に存在して該低艶絵柄インキ層と接触すると共に、該低艶絵柄インキ層が形成された領域及び該低艶絵柄インキ層が形成されてない領域とを含む全面にわたって被覆する表面保護層を有してなり、
    低艶絵柄インキ層が形成されていない部分の表面保護層の厚みをH、低艶絵柄インキ層上に存在する表面保護層の厚みをhとした際に、Hが7〜13μm、hが5〜11μmであり、かつH>hであり、
    さらに、前記表面保護層が、樹脂成分及びシリカを含む表面保護層形成組成物から形成されてなり、該樹脂成分として電離放射線硬化性樹脂を含み、
    前記シリカは、平均粒子径が8〜12μmでモース硬度が5〜7であり、含有量が前記樹脂成分100質量部に対して10〜25質量部である、化粧シート。
  2. 前記電離放射線硬化性樹脂が、重合性モノマー及びウレタンアクリレートオリゴマーを含む、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記基材と前記低艶絵柄インキ層との間に絵柄層を有する、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記基材と前記低艶絵柄インキ層との間にさらにプライマー層を有する、請求項1〜の何れかに記載の化粧シート。
  5. 前記プライマー層が、架橋性ウレタン樹脂を含む、請求項に記載の化粧シート。
  6. 請求項1〜の何れかに記載の化粧シートを基板に貼付した化粧板。
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