JP6221288B2 - 化粧シート及びこれを用いた化粧板 - Google Patents
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Description
このような化粧板に使用される化粧シートには、ラミネート加工、ラッピング加工、Vカット加工等の二次加工のために、柔軟性、切削性、耐破断性等の加工適性や、耐汚染性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐水性、耐薬品性、耐候性等の使用適性等の種々の特性が要求される。
こうした要求を満たすために、上記加工適性を十分に満足する基材を用い、該基材の表面に表面保護層を施すことが行われており、表面保護層としては、電離放射線硬化性樹脂が好ましく用いられている。
このような高級感を与える外観を有する化粧シートとして、特許文献1のような化粧シートが提案されている。
しかしながら、特許文献1の化粧シートは、模様層に十分な吸収浸透性を付与すべく、多量の体質顔料や多孔質材料を添加する必要があり、模様層が脆弱化するため、凹部の耐擦傷性及び耐摩耗性が低下するという問題がある。
しかし、特許文献2の化粧シートは、耐擦傷性及び耐摩耗性には優れるものの、製造過程で経時的に化粧シートにスジムラ等の欠陥が生じ、意匠性を損なうという問題があった。
[1]基材上に、部分的に設けられた低艶絵柄インキ層と、該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、該低艶絵柄インキ層が形成された領域及び該低艶絵柄インキ層が形成されてない領域とを含む全面にわたって被覆する表面保護層を有してなり、
低艶絵柄インキ層が形成されていない部分の表面保護層の厚みをH、低艶絵柄インキ層上に存在する表面保護層の厚みをhとした際に、Hが7〜13μm、hが5〜11μmであり、かつH>hであり、
さらに、前記表面保護層が、樹脂成分及びシリカを含む表面保護層形成組成物から形成されてなり、該樹脂成分として電離放射線硬化性樹脂を含み、
前記シリカは、平均粒子径が8〜12μmでモース硬度が5〜7であり、含有量が前記樹脂成分100質量部に対して10〜25質量部である、化粧シート、
[2]前記電離放射線硬化性樹脂が、重合性モノマー及びウレタンアクリレートオリゴマーを含む、上記[1]に記載の化粧シート、
[3]前記低艶絵柄インキ層が、非架橋性ウレタン樹脂を含む、上記[1]又は[2]に記載の化粧シート、
[4]前記基材と前記低艶絵柄インキ層との間に絵柄層を有する、上記[1]〜[3]の何れかに記載の化粧シート、
[5]前記基材と前記低艶絵柄インキ層との間にさらにプライマー層を有する、上記[1]〜[4]の何れかに記載の化粧シート、
[6]前記プライマー層が、架橋性ウレタン樹脂を含む、上記[5]に記載の化粧シート、
[7]上記[1]〜[6]の何れかに記載の化粧シートを基板に貼付した化粧板、
を提供するものである。
低艶絵柄インキ層が形成されていない部分の表面保護層の厚みをH、低艶絵柄インキ層上に存在する表面保護層の厚みをhとした際に、Hが7〜13μm、hが5〜11μmであり、かつH>hであり、
さらに、前記表面保護層が、樹脂成分及びシリカを含む表面保護層形成組成物から形成されてなり、該樹脂成分として電離放射線硬化性樹脂を含み、
前記シリカは、平均粒子径が8〜12μmでモース硬度が5〜7であり、含有量が前記樹脂成分100質量部に対して10〜25質量部であるものである。
図1の化粧シート10は、基材1上に、低艶絵柄インキ層5、表面保護層6をこの順に有してなるものである。図2の化粧シート10は、基材1上に、着色層2、絵柄層3、プライマー層4、低艶絵柄インキ層5、表面保護層6をこの順に有してなり、絵柄層3のパターンと低艶絵柄インキ層5とのパターンとが同調しているものである。
なお、図1及び2ともに、低艶絵柄インキ層5の直上部及びその近傍における表面保護層6には、低艶絵柄インキ層5と表面保護層6とが一部混合することによる低光沢領域7を形成している。後述するように、化粧シート10において、低光沢領域7が凹部であるかの如く認知され、化粧シート10に擬似立体感を与えるものである。特に、図2のように絵柄層3のパターンと低艶絵柄インキ層5とのパターンが同調した構成のものは、絵柄層3の絵柄に擬似立体感が付与された化粧シートとすることができる。
基材1としては、通常化粧シートの基材として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、金属箔、金属シート、金属板、木材等の木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、該基材はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
これらプラスチックフィルムの中では、熱的安定性や強度の観点からは、ポリエチレンテレフタレート樹脂を延伸処理したものが好適であり、防湿性の観点からは、ポリプロピレン樹脂を延伸処理したものが好適である。
着色層2は、本発明の化粧シートの意匠性を高める目的で必要に応じて設けられる。着色層は、化粧シートの面方向の全部に形成することが好ましい。
着色層は、基材上の表面の色を整えることで、基材自身が着色していたり、色ムラがあるときに形成して、基材の表面に意図した色彩を与えるものである。着色層は隠蔽性を持たせるように形成することが多いが、透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。それに加えて、後述する低艶絵柄インキ層及び表面保護層を形成する成分が基材に浸透することを抑制できる。さらに後述する絵柄層の浸透も抑制でき、且つ浸透を抑制することで絵柄の滲みが少ない高い意匠性を得ることができる。前記の浸透抑制効果は、基材が紙や不織布等の浸透性基材である場合に特に有効である。
バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂等の1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でもウレタン樹脂が好適である。
着色層の厚さは通常1〜20μm程度である。
化粧シートは、基材自体が持つ意匠感や、後述する低艶絵柄インキ層と表面保護層とのグロスマット表現等によって、化粧シートとしての目的とする意匠感を表現できれば、絵柄層は設ける必要はない。しかし、通常は印刷等で絵柄を表現して高意匠とすべく、この絵柄層3を設ける(図2参照)。
絵柄層は、図2のように化粧シートの面方向の一部にパターン状に形成してもよいし、化粧シートの面方向の全部にパターン状に設けてもよい。
絵柄層の模様(絵柄パターン)としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。
これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層に用いる絵柄インキとしては、着色層に用いるインキと同様のものを用いることができる。
絵柄層の厚さは通常1〜20μm程度である。
プライマー層4は、所望により設けられる層であって、主として各層の密着性を高める役割を有する。プライマー層4の位置としては、基材と低艶絵柄インキ層との間であれば特に制限されることはない。化粧シートが着色層及び絵柄層を有する場合には、プライマー層4の位置は、絵柄層3と低艶絵柄インキ層5との間(図2)、基材1と着色層2との間、着色層2と絵柄層3との間が挙げられる。化粧シートが着色層及び絵柄層を有する場合の好ましいプライマー層の位置は、低艶絵柄インキ層及び表面保護層の密着性を高める観点から、絵柄層と低艶絵柄インキ層との間である。なお、プライマー層4の位置は2箇所以上であってもよい。
また、プライマー層の樹脂成分は、熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。熱硬化性樹脂を含むことにより、密着性を向上させつつ、耐擦傷性及び耐摩耗性を良好にでき、さらに、低艶絵柄インキ層及び表面保護層を形成する成分が基材に浸透することを抑制できる。前記の浸透抑制効果は、基材が紙や不織布等の浸透性基材である場合に特に有効である。
また、熱硬化性樹脂としては、耐擦傷性及び耐摩耗性の観点から、架橋性ウレタン樹脂が特に好適である。
本発明の化粧シートに設けられる低艶絵柄インキ層5は、化粧シートの面方向において部分的に存在し、図1に示すように基材1に直接積層されるか、または図2に示すように、必要に応じて設けられた着色層2、絵柄層3、プライマー層4等の上に積層されるものである。そして、該低艶絵柄インキ層5の直上部及びその近傍における表面保護層6には、低光沢領域7が形成される。
本発明の化粧シートを表面保護層側から見ると、低光沢領域は艶が低く、その周辺の艶との差によって視覚的に凹部として認識されるため、全体として、この低光沢領域によって視覚的に凹凸模様として認識される。
表面保護層6中に形成される低光沢領域7の広がりの程度については、本発明の効果を奏する範囲内であれば特に限定されず、図1及び図2に示すように、低艶絵柄インキ層5の表面から表面保護層6の厚み方向の途中で留まっていてもよく、表面保護層6の最表面に達するものであってもよい。
このような低艶絵柄インキ層形成組成物は少なくともバインダー樹脂を含む。また、バインダー樹脂として非架橋性樹脂を含むことが好ましい。
また、必要に応じて、低光沢領域の発現の程度、低光沢領域とその周囲との艶差のコントラストを調整するため、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を混合することができる。
る。
低艶絵柄インキに用いられる着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の各種顔料が用いられる。これら顔料の中ではシリカが好適である。
顔料の平均粒子径は、0.1〜5μmの範囲が好ましい。また、低艶絵柄インキ層形成組成物における顔料の含有量は、5〜15質量%の範囲であることが好ましい。
表面保護層6は、樹脂成分及び特定のシリカを含む表面保護層形成組成物から形成されてなるものである。また、樹脂成分としては電離放射線硬化性樹脂を必須成分として含む。
ここで、電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線等を照射することにより、架橋、硬化する樹脂成分を指す。
[重合性モノマー/重合性オリゴマー]の質量比は、オリゴマー成分を添加することにより表面保護層を硬質化すること、及びオリゴマー成分が過剰になることにより表面保護層形成組成物が高粘度化することを防止する観点から、1.0〜5.0であることが好ましく、2.0〜3.0であることがより好ましい。
本発明においては、低艶絵柄インキ層5が形成されていない部分の表面保護層6の厚みをH、低艶絵柄インキ層5上に存在する表面保護層6の厚みをhとした際に、Hが7〜13μm、hが5〜11μmであり、かつH>hであることを要する(図1、図2)。
Hが7μm未満であると、耐擦傷性及び耐摩耗性を満足することができず、Hが13μmを超えると、下方に位置する意匠の視認性が低下して、化粧シートの凹凸感が損なわれてしまう。また、hが5μm未満であると、低光沢領域の耐擦傷性及び耐摩耗性が劣り、hが11μmを超えると、低艶絵柄インキ層の直上部及びその近傍における表面保護層を十分に低光沢とすることができず、また、絵柄層を有する場合には絵柄層の視認性が低下することにより、化粧シートの意匠性が低下してしまう。
前記Hは8〜12μmであることが好ましい。また、前記hは6〜11μmであることが好ましい。
また、[前記H−前記h]は、0.5μm以上であることが好ましく、1.0〜2.5μmであることがより好ましい。
表面保護層形成組成物は、モース硬度が5〜7のシリカを含む。
シリカのモース硬度が5未満であると、耐擦傷性及び耐摩耗性が不十分となり、シリカのモース硬度が7を超えると、塗工装置(グラビア印刷の場合、グラビア版胴やドクターブレード等)が摩耗することにより、化粧シートに欠陥が生じる。シリカのモース硬度は、6〜7であることが好ましい。
また、該シリカの平均粒子径は、8〜12μmのものを用いる。平均粒子径が8μm未満であると、表面保護層の表面からシリカが露出しづらくなり、表面保護層の耐擦傷性及び耐摩耗性が不十分となる。また、シリカの平均粒子径が12μmを超えると、表面保護層の表面からシリカが露出し過ぎてシリカのバインド力が低下し、表面保護層の耐擦傷性及び耐摩耗性が不十分となるとともに、光散乱性が高まり意匠の視認性が低下して、化粧シートの凹凸感が損なわれてしまう。シリカの平均粒子径は、9〜11μmであることが好ましい。
なお、本発明における平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定したものである。
上記シリカの含有量は、表面保護層形成組成物の樹脂成分100質量部に対して13〜18質量部であることが好ましい。
表面保護層形成組成物には、耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等の添加剤を含有させてもよい。耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。また、表面保護層形成組成物中には、低艶絵柄インキ層に添加するような艶消剤(シリカ等)を少量添加してもよい。
表面保護層は、重合性モノマーや重合性オリゴマー等の電離放射線硬化性樹脂、上述した特定のシリカ、及び必要に応じて添加される添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合して、表面保護層形成組成物を調製し、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式により、塗布し、必要に応じて乾燥し、電離放射線を照射することにより形成することができる。
電離放射線の線源としては、紫外線源としては、超高圧水銀燈、メタルハライドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長としては通常190〜380nmの波長域が主として用いられる。電子線源としては、コッククロフトワルトン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000keVのエネルギーをもつ電子を照射するもの等が使用できる。電子線の照射線量は、通常20〜150kGy程度である。
本発明の化粧シートは、各種基板に貼付して化粧板として使用することができる。
被着体となる基板は、プラスチックシート、金属板、木材等の木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。化粧シートと基板とは接着剤を介して貼り合わせることができる。貼り合わせ時には必要に応じて、密着性を向上するために、化粧シート若しくは基板側に、物理的処理や化学的処理を行ってもよい。
化粧板は、壁、天井、床等の建築物の内装または外装材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の表面化粧板、キッチン、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装、外装等に用いることができる。
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、以下の方法で評価した。
(1)意匠性
化粧シートの外観を下記基準で目視評価した。
A;艶消部分が明確に凹として認識できる。
B;艶消部分がある程度凹として認識できる。
C;艶消部分が全く凹として認識できない。
JAS合板B試験に準拠して、化粧シートに対して、テーバー摩耗機で50回摩耗試験を行った。摩耗紙はS−42を使用し、荷重は500gとした。摩耗試験後の化粧シートの外観を下記基準で目視評価した。
AA+;基材の露出が無く、絵柄パターンが取られていない。
AA ;基材の露出が無く、絵柄パターンが10%取られている。
A ;基材の軽微な露出があり、絵柄パターンが25%取られている。
B ;基材の軽微な露出があり、絵柄パターンが35%取られている。
C ;基材の軽微な露出があり、絵柄パターンが45%取られている。
C− ;基材の露出があり、絵柄パターンが50%以上取られている。
D ;基材の著しい露出があり、絵柄パターンが全て(100%)取られている。
29.4kPa(300g/cm2)の荷重となるように調整された重りに、スチールウール(♯0000)を取り付けて、化粧シートの表面を50回擦り、該表面の艶の変化を下記基準で目視評価した。
A+;全く艶変化がない。
A ;軽微な艶変化がある。
B ;艶変化がある。
C ;大きな艶変化がある。
D ;著しい艶変化がある。
円周1240mmのグラビア版を用い、ラインスピード100m/minの印刷速度で30000m2の基材へのグラビア印刷を想定して、次のように試験を行った。
円周1240mmのグラビア版を持つグラビア輪転機にドクターブレードを設置し、表面保護層形成組成物をインキパンに入れ、グラビア版を80.6rpmで5時間空回しした。5時間空回しした後の表面保護層形成組成物を1時間放置し、該組成物に当初から含まれる物を除く沈殿物を下記基準で目視評価した。
A ;沈殿物が全く確認できない。
B ;沈殿物がわずかに確認できる。
C ;沈殿物が多く確認できる。
基材として、米秤量30g/m2の建材用一般紙を用い、その片面にアクリル樹脂と硝化綿をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて、塗工量5g/m2の(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施して着色層とした。その上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、木目模様の絵柄層をグラビア印刷にて形成した。
次いで、数平均分子量20,000、ガラス転移温度(Tg)−59.8℃のポリエステルウレタン樹脂とトリレンジイソシアネートからなるポリイソシアネートをバインダーとする塗料組成物を用いて、塗工量5g/m2で全面にグラビア印刷してプライマー層を形成した。
次いで、数平均分子量30,000、ガラス転移温度(Tg)−62.8℃の非架橋性ポリエステルウレタン樹脂をバインダーとし、平均粒子径1.5μmのシリカ微粒子をバインダー100質量部に対して10質量部配合した低艶絵柄インキを用いて木目模様の導管部分に位置同調するようにグラビア印刷にて、厚み1μmの低艶絵柄インキ層を形成した。
次いで、樹脂成分として、2官能アクリレートモノマーと6官能アクリレートオリゴマーとを70:30の質量割合で含む電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、硬質シリカ(モース硬度7、平均粒子径10μm)を16質量部、艶消剤(表面処理シリカ、平均粒子径7μm)を7質量部含む表面保護層形成組成物を、低艶絵柄インキ層が形成されていない部分の厚みが9μmとなるようにグラビアオフセットコータ法により塗工した。
塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGyの電子線を照射して、表面保護層形成組成物を硬化させて、表面保護層とした。
次いで、70℃で24時間の養生を行い、化粧シートを得た。
実施例1において、表面保護層形成組成物中の硬質シリカの添加量及び/又は種類を表1のものとして、H及び/又はhを表1の条件とした以外は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
比較例3の化粧シートは、表面保護層の厚みに対して硬質シリカの平均粒子径が小さいことから、表面保護層の耐擦傷性及び耐摩耗性に劣るものであった。比較例4の化粧シートは、表面保護層の厚みに対して硬質シリカの平均粒子径が大きすぎて、硬質シリカのバインド力が弱くなり、表面保護層の耐擦傷性及び耐摩耗性が不十分となるとともに、光散乱性が高まり意匠の視認性が低下して、化粧シートの凹凸感が損なわれるものであった。
比較例7の化粧シートは、Hが13μmを超えることから、下方に位置する意匠の視認性が低下して、化粧シートの凹凸感が損なわれるものであった。比較例8の化粧シートは、Hやhが薄いことから、耐擦傷性及び耐摩耗性に劣るものであった。
2:着色層
3:絵柄層
4:プライマー層
5:低艶絵柄インキ層
51:低艶粒子
6:表面保護層
7:低光沢領域
10:化粧シート
Claims (6)
- 紙基材またはプラスチックフィルムである基材上に、部分的に設けられた非架橋性ウレタン樹脂を含む低艶絵柄インキ層と、該低艶絵柄インキ層上に存在して該低艶絵柄インキ層と接触すると共に、該低艶絵柄インキ層が形成された領域及び該低艶絵柄インキ層が形成されてない領域とを含む全面にわたって被覆する表面保護層を有してなり、
低艶絵柄インキ層が形成されていない部分の表面保護層の厚みをH、低艶絵柄インキ層上に存在する表面保護層の厚みをhとした際に、Hが7〜13μm、hが5〜11μmであり、かつH>hであり、
さらに、前記表面保護層が、樹脂成分及びシリカを含む表面保護層形成組成物から形成されてなり、該樹脂成分として電離放射線硬化性樹脂を含み、
前記シリカは、平均粒子径が8〜12μmでモース硬度が5〜7であり、含有量が前記樹脂成分100質量部に対して10〜25質量部である、化粧シート。 - 前記電離放射線硬化性樹脂が、重合性モノマー及びウレタンアクリレートオリゴマーを含む、請求項1に記載の化粧シート。
- 前記基材と前記低艶絵柄インキ層との間に絵柄層を有する、請求項1又は2に記載の化粧シート。
- 前記基材と前記低艶絵柄インキ層との間にさらにプライマー層を有する、請求項1〜3の何れかに記載の化粧シート。
- 前記プライマー層が、架橋性ウレタン樹脂を含む、請求項4に記載の化粧シート。
- 請求項1〜5の何れかに記載の化粧シートを基板に貼付した化粧板。
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