JP4725017B2 - 化粧材 - Google Patents

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本発明は表面に模様が形成され、模様に応じた艶差を有することにより視覚的凹凸感を有し、かつ模様を含めた表面の耐久性に優れた化粧材に関する。
家具や台所製品のキャビネットなどの表面化粧板としては、一般に木質系材料、無機系材料、合成樹脂系材料、鋼板などの金属系材料などに、例えば木目調柄などを印刷した化粧シートを接着剤で貼り合わせた構造のものが用いられている。
このような表面化粧板に使用される化粧シートには、ラミネート加工、ラッピング加工、Vカット加工などの二次加工のための適度な柔軟性、切削性、耐破断性などの加工適性、使用状態における耐候性、耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤性、表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性など、種々の特性が要求される。
こうした要求を満たすために、上記加工適性を十分に満足する基材を用い、該基材の表面に表面保護層を施すことが行われており、表面保護層としては電離放射線硬化性樹脂組成物が好ましく用いられている。
ところで、近年の消費者の高級品指向により、床タイルや壁パネル、あるいは家具や台所製品のキャビネットなどに対しても高級感が求められるようになり、これらに用いられる化粧板や化粧シートにおいても、高級感を与える外観を有するものが望まれている。そのため、各基材シートの表面に各種の印刷をしたり、絵柄層を有するフィルムを設けたりすることに加えて、質感の付与も重要となってきており、模様の特定の部分にあわせて艶消しや凹凸を付与する方法が種々提案されている。
例えば、基材上に模様状に設けた塗装面によって電子線硬化型塗料又は光硬化型塗料に対する濡れ易さが基材表面と異なった区域を形成させた後に、基材上に電子線硬化型塗料又は光硬化型塗料を塗布して、該塗料に対して濡れ易い区域で塗料表面を陥没させ、濡れ難い区域で塗料表面を隆起させる方法が提案されている(例えば特許文献1、特許請求の範囲参照)。しかしながら、この方法では凹部、すなわち濡れ易い区域が細い場合には、凹凸がきれいにでないという問題がある。また、ある程度の太さの凹部がある場合には、基材表面に凹凸模様は得られるものの、陥没部と隆起部の境界領域において、塗料の表面張力等によって、凸部から凹部に移行する端部が丸味を帯びて凹凸の鮮映性(シャープネス)に欠けるとともに、隆起部の高さ以上の凸部が生じ、例えば木目模様の場合にはリアル感がなく、外観及び手触り感がよくないという問題がある。
また、無溶剤型塗料の樹脂硬化を遅延させる硬化遅延剤を内添したインキと、それを含まないインキとによって多色模様を印刷したフィルムを、基板上にあらかじめ塗布されている無溶剤型塗料の樹脂塗膜上に被覆させ、硬化雰囲気にて樹脂を硬化させた後にフィルムを剥離して転写する方法が提案されている(特許文献2、特許請求の範囲参照)。この方法によれば硬化遅延剤を内添したインキで印刷した色模様部分のみを凹ませて転写することができる。しかしながら、この方法では特殊なインキが必要であるとともに、無溶剤型塗料の樹脂塗膜の硬化反応が不安定であるという問題点がある。
さらに、基材上に、通常インキからなる模様層及び電子線硬化性組成物からなる凸状模様層の2種の模様層を順次に設け、その上に透明樹脂層を被覆し、被覆後、前記透明樹脂層を介して電子線を照射して凸状模様を硬化した化粧材が提案されている(特許文献3、特許請求の範囲参照)。しかしながら、こうした化粧材は物理的に比較的大きな凹凸があるため、凸部が傷つきやすく、特に凸部の面積が大きい場合にはそれが顕著となり問題となる。またこの手法は例えば木目調などの艶の強弱を出したい場合、すなわち、木目導管溝のように大部分が凸部で極めて狭い幅の凹状部が存在するような場合には、透明樹脂層を構成する塗料の流動によって該凹状部が埋まってしまい、しかもその埋まり方の程度がばらつきを生じるため不適当であり、さらには物理的に凹凸があるため、手触り感がよくないという問題がある。
また、薄紙に艶消剤を含有する紫外線硬化性印刷インキで木下地色をベタ刷し、これに活性光線を照射した後、この上に光沢の高い紫外線硬化性印刷インキで木目模様を印刷し、これに活性光線を照射した木目模様を有する化粧紙が提案されている(特許文献4、特許請求の範囲参照)。この化粧紙によれば、光沢の高いインキを用いた部分については見かけ上凸部に見え、艶消剤を含有するインキの部分については見かけ上凹部に見え、木質感が得られる。しかしながら、ここで提案される化粧紙は、保護塗膜としての上塗透明塗膜が施されていないため、木目模様を印刷するためのいわゆる導管インキの部分について、耐候性、耐水性、耐摩耗性、耐擦傷性などが低下せざるを得ず、耐久性に劣るものとなる。
さらに、表面が剥離性を有する電離放射線透過剥離基材の表裏いずれかの面に電離放射線遮蔽性材料で模様を設け、該剥離基材と、表面に電離放射線硬化樹脂の未硬化物の層を有する凹凸模様形成用基材とを重ね、剥離基材側より電離放射線を照射して、電離放射線遮蔽性材料で形成した模様のない部分に相当する電離放射線硬化樹脂のみを硬化させた後、剥離基材とともに電離放射線硬化樹脂層の未硬化部の樹脂を除去して、凹凸模様を形成する方法が提案されている(特許文献5、請求項8参照)。この発明によれば、電離放射線遮蔽性材料で形成した模様のある部分は、電離放射線硬化樹脂が硬化せずに、剥離基材に付着して、剥離基材と一緒に除去され、一方、電離放射線遮蔽性材料で形成した模様のない部分では電離放射線硬化樹脂が硬化して残ることから、絵柄と同調した凹凸模様が形成される。しかしながら、この方法では、剥離材料や電離放射線遮蔽性材料等の材料を必要とするという不利な点があり、また未硬化樹脂を剥離基材に付着除去する方法では、深く鮮映な凹部を形成できないという欠点がある。さらに、電離放射線硬化樹脂として電子線硬化樹脂を用いた場合には、電子線を遮蔽する材料の選定が困難であるという欠点がある。
また、プリント又は化粧紙を貼った基板に放射線重合を行う合成樹脂を塗布した後、放射線を照射して合成樹脂の半硬化状態のとき照射を中止し、凹凸模様を施したロールプレス等の冷加圧体にて加圧した後、合成樹脂を完全硬化する凹凸模様のある化粧板の製造方法が提案されている(例えば特許文献6、特許請求の範囲参照)。しかしながら、樹脂を安定的に一定の程度の半硬化状態にする際の条件を特定するのは容易ではなく、また半硬化状態の合成樹脂は不安定であるし、硬化を2段階に分けて行うのは煩雑であるという問題点がある。
そこで、基材の上に塗布装置を用いて電子線硬化性樹脂を塗布し、電子線照射機内で型ロールと接触させて型ロールの凹凸を賦形しながら電子線を照射して硬化させる連続的に凹凸を形成させる方法が提案されている(例えば特許文献7、特許請求の範囲、第1図参照)。しかしながら、この方法には特殊な型ロール装置が必要であり、通常の印刷装置では凹凸を賦形することができないという不都合があり、また型ロールによる賦形の速度には限界があって生産性が低いという欠点がある。
さらには、基材の表面に塗膜層、模様層、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面保護層を有しており、模様層が塗膜層に比較して、電離放射線硬化性樹脂組成物の浸透性を高く構成した化粧材が提案されている(例えば、特許文献8、特許請求の範囲、図1及び図2参照)。この化粧材によれば、電離放射線硬化性樹脂組成物が模様の存在する部分により浸透しやすいため、該部分に凹部が形成され、表面に凹凸のある化粧材が得られる。しかしながら、この化粧材は模様層に十分な吸収浸透性を付与すべく、多量の体質顔料や多孔質材料を添加する必要があるが、この場合には模様層が多孔質化及び脆弱化するため、凹部の耐久性、耐汚染性が低下する。一方、凹部の耐久性、耐汚染性を向上させるために模様層の多孔質化を抑制しようとすると、十分な深さ及び鮮映性を有する凹部を形成することができないという問題がある。また、この化粧材は物理的に凹凸があるため、手触り感がよくないという点でさらに改良の余地がある。
本発明者らは、先に特願2003−341789において、基材上に少なくとも、部分的に設けられた低艶絵柄インキ層と、該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触し、低艶絵柄インキ層が形成された領域及び低艶絵柄インキ層が形成されていない領域を含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する化粧材であって、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、かつ該表面保護層中には、該低艶絵柄インキ層の直上部及びその近傍に視覚的に凹部として認識される低光沢領域を有する低艶模様層が形成されてなる化粧材を開発し、上記問題点を解決した。すなわち、この発明の化粧材によって、模様の特定の部分にあわせて艶消しや視覚的凹凸感を付与することができ、質感を付与することが可能となった。
特公昭51−26937号公報 特公昭51−33454号公報 特公平1−41505号公報 特開昭51−84910号公報 特開平1−253449号公報 特公昭49−28264号公報 特公昭63−50066号公報 特開2001−199028号公報
本発明は、上記した特願2003−341789における化粧材をさらに改良するものであって、表面に形成された模様に応じて、より一層強調された艶差(光沢差)が付与され、該艶差が視覚的に凹部として認識されることから、表面により良好な凹凸感を有し、かつ耐溶剤性、耐摩耗性、あるいは層間強度の高い化粧材を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基材上に少なくとも、部分的に設けられた低艶絵柄インキ層と、該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、低艶絵柄インキ層が形成された領域及び低艶絵柄インキ層が形成されていない領域を含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する化粧材であって、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、かつ該表面保護層中に、低艶絵柄インキ層の直上部及びその近傍に視覚的に凹部として認識される低光沢領域を形成すると共に、特定の粒径を有する微粒子を含有させることによって、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に少なくとも、部分的に設けられた低艶絵柄インキ層と、該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、低艶絵柄インキ層が形成された領域及び低艶絵柄インキ層が形成されていない領域を含む全面にわたって被覆する表面保護層、を有する化粧材であって、
(a)当該表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであること、
(b)当該表面保護層中には、前記低艶絵柄インキ層の直上部及びその近傍に視覚的に凹部として認識される低光沢領域を有する低艶膜様層が形成されていること、及び
(c)当該表面保護層中に微粒子を含み、かつ該微粒子の平均粒径が、前記低艶絵柄インキ層の直上部に位置する表面保護層の最大厚さのプラス側近傍値であること、
を特徴とする化粧材、
(2)微粒子の粒度分布の変動係数CV値[(粒径の標準偏差/平均粒径)×100]が30%以下である上記(1)に記載の化粧材、
(3)微粒子の平均粒径をdA、低艶絵柄インキ層の直上部に位置する表面保護層の最大厚さをtM、低艶絵柄インキ層が存在しない領域の表面保護層の厚さをtGとした場合、式(I)
1.05×tM≦dA≦tG ・・・(I)
の関係を満たす上記(1)又は(2)に記載の化粧材、
(4)表面保護層中の微粒子含有量が2〜20質量%である上記(1)、(2)又は(3)に記載の化粧材、
(5)電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の化粧材、
(6)低艶模様層の上部に位置する表面保護層の表面が凸形状を有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の化粧材、
(7)基材が浸透性基材であって、該基材と低艶絵柄インキ層の間にさらに浸透防止層を有する上記(1)〜(6)のいずれかに記載の化粧材、
(8)基材上に着色層、絵柄層、浸透防止層が積層され、その上に低艶絵柄インキ層と該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、低艶絵柄インキ層が形成された領域及び低艶絵柄インキ層が形成されていない領域を含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する上記(1)〜(7)のいずれかに記載の化粧材、及び
(9)絵柄層が木目模様を形成するものであり、低艶絵柄インキ層が導管部の低艶部分を形成するものである上記(8)に記載の化粧材、
を提供するものである。
本発明によれば、表面保護層に特定の粒径の微粒子を含有させることにより、表面に形成された模様に応じて、より一層強調された艶差が付与され、該艶差が視覚的に凹部として認識されることから、表面に良好な凹凸感を有し、かつ耐溶剤性、耐摩耗性、あるいは層間強度の高い化粧材を提供することができる。
本発明の化粧材は、基材上に少なくとも、部分的に設けられた低艶絵柄インキ層と、該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、低艶絵柄インキ層が形成された領域及び低艶絵柄インキ層が形成されていない領域を含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する化粧材であって、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、かつ該表面保護層中には、該低艶絵柄インキ層の直上部及びその近傍に視覚的に凹部として認識される低光沢領域を有する低艶模様層が形成されると共に、特定の粒径の微粒子が含まれていることを特徴とする。
本発明の化粧材における構成の基本的な部分を、図1及び図2を用いて説明する。図1及び図2は本発明の化粧材1の構成のうち、低艶模様層及び微粒子を除いた部分の断面を示す模式図である。なお、本発明の特徴部分である低艶模様層及び微粒子については、後に別途詳述する。図1に示す例では、基材2上に低艶絵柄インキ層3が積層され、その上に電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面保護層4が積層されたものである。次に、図2に示す例では、基材2上に全面を被覆する一様均一な着色層5、絵柄層6、一様均一な浸透防止層7、低艶絵柄インキ層3、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面保護層4がこの順に積層されたものである。
以下、本発明における構成の基本的な部分の好ましい態様を示した図2に基づいて、詳細に説明する。
本発明で用いられる基材2としては、通常化粧材として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、プラスチックシート、金属箔、金属シート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
これらの基材、特にプラスチックフィルムやプラスチックシートを基材として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また該基材はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
基材として用いられる各種の紙類としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙などが使用できる。これらの紙基材は、紙基材の繊維間ないしは他層と紙基材との層間強度を強化したり、ケバ立ち防止のため、これら紙基材に、更に、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を添加(抄造後樹脂含浸、又は抄造時に内填)させたものでもよい。例えば、紙間強化紙、樹脂含浸紙等である。
これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い各種紙が挙げられる。さらには、事務分野や通常の印刷、包装などに用いられるコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等を用いることもできる。また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布や不織布も基材として使用することができる。各種繊維としてはガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、アクリル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成樹脂繊維が挙げられる。
プラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル樹脂等のアクリル樹脂;ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂;三酢酸セルロース樹脂、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
金属箔、金属シート、又は金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等からなるものを用いることができ、またこれらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。各種の木質系の板としては、杉、松、檜、ラワン、チーク等の木材の単板、合板、集成材、パーチクルボード、又はMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板が挙げられる。窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル等が例示される。これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基材として使用できる。
基材2の厚さについては特に制限はないが、プラスチックを素材とするシートを用いる場合には、厚さは、通常20〜150μm程度、好ましくは30〜100μmの範囲であり、紙基材を用いる場合には、坪量は、通常20〜150g/m2程度、好ましくは30〜100g/m2の範囲である。
図2に示される全面にわたって被覆される一様均一な着色層5は、本発明の化粧材の意匠性を高める目的で所望により設けられる、隠蔽層、あるいは全面ベタ層とも称されるものである。着色層5は基材2上の表面の色を整えることで、基材2自身が着色していたり、色ムラがあるときに形成して、基材2の表面に意図した色彩を与えるものである。通常不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。基材2が白色であることを活かす場合や、基材2自身が適切に着色されている場合には着色層5の形成を行う必要はない。
着色層の形成に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
この着色層5は厚さ1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
図2に示される絵柄層6は基材2に装飾性を与えるものであり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層6に用いる絵柄インキとしては、着色層5に用いるインキと同様のものを用いることができる。なお、本発明の化粧材においては、後に詳述する低艶絵柄インキ層3により、化粧を施すことができるので、絵柄層6は必須の構成要素ではない。
図2に示される浸透防止層7は、所望により設けられる層であって、後述する低艶絵柄インキ層3を構成する低艶絵柄インキ及び表面保護層4を構成する電離放射線硬化性樹脂が、基材2中に浸透することを抑制する機能を持つものであり、基材2が紙や不織布などの浸透性基材である場合に特に効果を発揮する。従って、浸透防止層7は基材2と低艶絵柄インキ層3の間に位置すればよく、例えば、基材2と着色層5の間、着色層5と絵柄層6の間又は図2に示されるように絵柄層6と低艶絵柄インキ層3の間に設けられる。通常は、表面保護層4を構成する電離放射線硬化性樹脂と密着性がある、硬化性樹脂が架橋硬化した一様均一な層を、図2に示すように絵柄層6と低艶絵柄インキ層3の間に設ける。このことにより、基材2上に着色層5、絵柄層6等がある場合には、これらの表面をならし、これらと低艶絵柄インキ層3及び表面保護層4との接着性を高める機能をも併せて果たすものである。
本発明の化粧材における低艶絵柄インキ層3は、図1に示すように基材2に直接積層されるか、または図2に示すように、必要に応じて設けられた着色層5、絵柄層6、浸透防止層7等の上に積層されるもので、模様の艶差を生じさせる層である。
低艶絵柄インキ層3を形成する低艶絵柄インキは、表面保護層4を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物との間で溶出、分散、混合等の相互作用を発現し得る性質を有するものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物(未硬化物)との関連で適宜選定されるものである。具体的には、バインダー樹脂として非架橋性樹脂を有するインキであることが好ましく、例えば熱可塑性(非架橋型)ウレタン樹脂などが好適である。また、必要に応じて、低光沢領域の発現の程度、低艶領域とその周囲との艶差のコントラストを調整するため、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などを混合することができる。
低艶絵柄インキ層3を形成する低艶絵柄インキは着色層5や絵柄層6で用いるインキ組成物と同様に、着色剤を有し、それ自体で絵柄模様を与えることができるが、図2に示すような着色層5や絵柄層6を有する場合には、既に基材2に対して色彩や模様を与えているので、低艶絵柄インキ層3を形成するための低艶絵柄インキ組成物には、必ずしも着色剤を添加して着色する必要はない。すなわち、絵柄層6を有する場合には、絵柄層6が表現しようとする模様のうち、艶を消して、視覚的に凹部を表現したい部分と低艶絵柄インキ層3を同調させることによって艶差による視覚的凹部を有する模様が得られる。例えば、絵柄層6によって木目模様を表現しようとする場合には、木目の導管部分に低艶絵柄インキ層3のインキ部分を同調させることにより、艶差により導管部分が視覚的に凹部となった模様が得られる。あるいは絵柄層6によって、タイル貼模様を表現しようとする場合には、タイル貼の目地溝部分に低艶絵柄インキ層3のインキ部分を同調させることにより、艶差によって、目地溝部分が視覚的に凹部となった模様が得られる。
低艶絵柄インキ層を形成する低艶絵柄インキの塗布量については、1〜30g/m2の範囲であることが好ましい。1g/m2以上であると、上述した低艶絵柄インキの電離放射線硬化性樹脂組成物との相互作用が十分であり、化粧材表面の十分な艶差が得られる。一方30g/m2以下であると、低艶絵柄インキの印刷に際して機械的制約がなく、また経済的にも有利である。以上の観点から、低艶絵柄インキの塗布量はさらに2〜10g/m2の範囲であることが好ましい。
次に、表面保護層4は上述のように電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化したもので構成される。ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
本発明においては、上述のように低艶絵柄インキ層3を構成する低艶絵柄インキが表面保護層4構成する電離放射線硬化性樹脂組成物に対して、溶出、分散、混合等の相互作用を発現し得る性質を有することが重要であり、この観点から適当なインキと電離放射線硬化性樹脂組成物が選定されるが、電離放射線硬化性樹脂組成物としては、多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含有することが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
上述した本発明の基本構成を有する化粧材は、低艶絵柄インキ層3における低艶絵柄インキと表面保護層4を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物の相互作用によって模様の艶差を形成するものである。以下、図3を用いて詳細に説明する。
本発明における艶差発生の機構については、十分解明されるには至っていないが、各種実験と観察、測定の結果から、低艶絵柄インキ層3の表面に表面保護層4を形成するための電離放射線硬化性樹脂の未硬化物を塗工した際に、各材料の組合せ、塗工条件の適当な選択によって、低艶絵柄インキ層3の樹脂成分が一部表面保護層中に溶出、分散、混合、又は浸透などすることによるものと推測される。この際、低艶絵柄インキ層3のインキと電離放射線硬化性樹脂の未硬化物におけるそれぞれの樹脂成分は、短時間には完全相溶状態にならずに懸濁状態となって、低艶絵柄インキ層3の直上部及びその近傍に存在し、該懸濁状態となった部分が光を散乱して低光沢領域をなすものと考えられる。この懸濁状態を有したまま、表面保護層を架橋硬化せしめることにより、かかる状態が固定されると、表面保護層中に低光沢領域を有する低艶模様層8が部分的に形成され、目の錯覚により、その部分が凹部であるかの如く認知されるものと推測される。
なお、表面保護層4中に形成される低艶模様層8の厚さについては、本発明の効果を奏する範囲内であれば特に限定されず、図3に示す如く、低艶絵柄インキ層3の表面から表面保護層4の厚み方向の途中で留まっていてもよく、また表面保護層4の最表面に達するものであってもよい。
また、低艶絵柄インキと電離放射線硬化性樹脂組成物の種類乃至は塗工条件によっては、表面保護層4の最表面における、低艶模様層8の上部は、該低艶模様層8の形成に伴って隆起し、凸形状を形成する場合がある。表面保護層4の表面がこのように凸形状を有することによって、この部分でも光が散乱されるため、また表面積が増加し、かつ低艶が認識できる視野角も広がるため、上記低艶模様層8の効果と協調してさらに視覚的な凹凸感が強調され好ましい。なお、該凸形状の高さについては、本発明の効果を奏する範囲である高さであることが好ましく、通常2〜3μmの範囲である。
本発明の化粧材は、上記基本構成に加えて、電離放射線硬化性樹脂組成物にさらに、微粒子が配合される。この微粒子としては、平均粒径が、前記低艶絵柄インキ層3の直上部に位置する表面保護層4の最大厚さのプラス側近傍値であるものが用いられる。微粒子が配合された本発明の化粧材について、図4を用いて詳細に説明する。図4に示す化粧材は、微粒子を配合したこと以外、その層構成は図3に示したものと同様である。
表面保護層に配合された微粒子9(9−a,9−b)は、その平均粒径dAが、低艶絵柄インキ層3の直上部に位置する表面保護層4の最大厚さtMのプラス側近傍値、すなわちdAがtMよりも若干大きく、低艶絵柄インキ層3の直上部に位置する表面保護層4の表面から、該微粒子9−aの頭出しが起こる。この頭出しが起こった部分は凸形状を形成するために、光の散乱が生じる。これと同時に、表面保護層4の内部では、低艶絵柄インキ層3における低艶絵柄インキと、表面保護層4を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物との相互作用によって艶差が生じ、低艶絵柄インキ層4の直上部及びその近傍部に視覚的に凹部として認識される低光沢領域を有する低艶模様層が形成される。
一方、低艶絵柄インキ層3の直上部ではない部分に位置する微粒子9−bは、頭出しをすることがなく、微粒子9−aのような光の散乱効果を示さない。
従って、この表面保護層4中の低艶模様層8と、該表面保護層4の表面における微粒子の頭出しによる光の散乱との相乗効果により、さらには、前記した低艶模様層8の形成に伴い形成される凸形状の効果により、視覚的な凹凸感はさらに強調される。
なお、低艶絵柄インキ層3の直上部に位置する表面保護層4の最大厚さtMとは、上記低艶模様層8の形成に伴う凸形状が形成されない場合には、表面保護層4の厚さであり、該凸形状が形成される場合には、その部分を含んだ厚さである。
前記微粒子は、粒度分布が単分散に近いほど、その使用量の設定が容易であると共に、少ない使用量で前記効果が良好に発揮されるので、好ましい。
本発明においては、当該微粒子の粒度分布の変動係数CV値[(粒径の標準偏差/平均粒径)×100]は、30%以下であることが好ましい。前記CV値が30%以下であれば、当該微粒子は、実用的な粒度分布を有し、かつ適度の使用量で前記効果を十分に発揮することができる。このCV値は、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。
さらに、当該微粒子の平均粒径をdA、低艶絵柄インキ層の直上部に位置する表面保護層の最大厚さをtM、低艶絵柄インキ層が存在しない領域の表面保護層の厚さをtGとした場合、式(I)
1.05×tM≦dA≦tG ・・・(I)
の関係を満たすことが好ましい。当該微粒子の平均粒径dAが、1.05×tM以上であれば、低艶絵柄インキ層に当該微粒子の沈み込みが生じたとしても、該低艶絵柄インキ層の直上部に位置する表面保護層の表面に当該微粒子の頭出しが生じ、前記効果が十分に発揮される。また、該dAがtG以下であれば、低艶絵柄インキ層が存在しない領域における表面保護層において、当該微粒子の頭出しが抑制される。
当該微粒子の形状については特に制限はなく、球状、楕円体状、多面体状などの微粒子を用いることができるが、球状微粒子が好ましい。なお、本発明においては、球状以外の形状の微粒子の粒径は、外接球の直径で示される値とする。
表面保護層中の当該微粒子の含有量は、当該微粒子の平均粒径や粒度分布の変動係数CV値などにもよるが、通常2〜20質量%の範囲で選定される。この含有量が2質量%以上であれば、当該微粒子を含有させた効果が発揮され、また20質量%以下であれば、化粧材表面に形成された模様の視認性が良好である。当該微粒子の好ましい含有量は4〜16質量%であり、さらに好ましくは4〜13質量%である。
当該微粒子は、無機微粒子及び有機微粒子のいずれであってもよいが、化粧材表面に形成された模様の視認性の点から、透明性を有するものが好ましい。当該微粒子の例としては、無機粒子として、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、カオリナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラスなどの粒子を挙げることができ、有機微粒子として、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物などの粒子を挙げることができる。
これらの微粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、透明性および本発明の効果の点から、シリカ粒子が好適である。
また本発明における電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、有機系紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
本発明においては、前記の電離放射線硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー、微粒子及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。この塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μm程度になるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
本発明においては、このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy、好ましくは10〜50kGyの範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、通常波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例で得られた化粧材について、以下の方法で評価した。
(1)艶の評価
グロスメーター(村上色彩技術研究所製「GMX−203」)を用い、入射角75度の条件で、高光沢領域と低光沢領域におけるグロス値を測定した。数字が高いほど高光沢(高艶)であることを示し、数字が低いほど低光沢(低艶)であることを示す。
(2)耐水性
水を入れたコップを化粧材の表面に逆さに固定し、24時間放置後コップをとる。その後、室温で24時間放置し、表面に膨れ等の変化が発生していないかを目視で観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
◎ 全く変化がない
△ 変化はあるものの軽微なもので実用上問題がない
× 膨れ等の変化が明瞭である
(3)経時剥離性
化粧材表面にセロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(商標)」2.5mm幅)を貼着させ、室温(25℃)及び50℃で24時間放置し、その後強制的に剥離した。該化粧材の剥離面を目視で観察し、以下の判定基準で評価した。
◎ 絵柄の剥離がいずれの温度においても全くない
△ 絵柄の剥離はあるものの軽微なもので実用上問題がない
× 絵柄の剥離が著しい
(4)耐汚染性
JIS K−6902に準拠して、汚染物を化粧材表面に塗布し、ふき取った後の汚染物の残存具合を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
◎ 汚染物の残存は全くない
△ 汚染物の残存はあるものの軽微なもので実用上問題がない
× 汚染物の残存が著しい
(5)マリーング性能
29.4kPa(300g/cm2)の荷重となるように調整された重りに、スチールウール(#0000)を取り付けて、化粧材の表面を50回擦り、該表面の艶の変化を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
◎ 全く変化がない
△ 変化はあるものの軽微なもので実用上問題がない
× 変化が著しい
実施例1
基材2として、米秤量30g/m2の建材用紙間強化紙を用い、その片面にアクリル樹脂と硝化綿をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて、塗工量5g/m2の(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施して着色層5とした。その上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、木目模様の絵柄層6をグラビア印刷にて形成した。
次いで、数平均分子量20,000、ガラス転移温度(Tg)−59.8℃のポリエステルウレタン系樹脂とトリレンジイソシアネートからなるポリイソシアネートをバインダーとする塗料組成物を用いて、塗工量7g/m2で全面にグラビア印刷して浸透防止層7を形成した。
次に、数平均分子量30,000、ガラス転移温度(Tg)−62.8℃のポリエステルウレタン系樹脂をバインダーとした透明インキ100質量部に対して、平均粒子径1.5μmのシリカ粒子を10質量部配合したインキ組成物を用いて木目模様の導管部分に位置同調するようにグラビア印刷にて低艶絵柄インキ層3を形成した。この際の塗工量は3g/m2であり、次工程の表面保護層形成後の低艶絵柄インキ層3の厚さは2μmであった。
これらインキ層の上に3官能アクリレートモノマーであるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリアクリレートを60質量部と6官能アクリレートモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを40質量部、平均粒子径2.5μm、CV値10%のシリカ粒子8質量部及びシリコーンアクリレートプレポリマー1質量部からなる電子線硬化性樹脂組成物を塗工量6g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGyの電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層4とした。低艶絵柄インキ層3が存在しない領域の表面保護層4の厚さは4μmであった。次いで、70℃で24時間の養生を行い、化粧材を得た。
この化粧材について、艶の評価、耐水性、経時剥離性、耐汚染性及びマリーング性能について評価した。その結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1において、電子線硬化性樹脂組成物中のシリカ粒子として、平均粒子径が1.0μm、CV値10%のシリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、化粧材を作製した。
この化粧材について、艶の評価、耐水性、経時剥離性、耐汚染性及びマリーング性能について評価した。その結果を第1表に示す。
比較例2
実施例1において、電子線硬化性樹脂組成物中のシリカ粒子として、平均粒子径が6.0μm、CV値10%のシリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、化粧材を作製した。
この化粧材について、艶の評価、耐水性、経時剥離性、耐汚染性及びマリーング性能について評価した。その結果を第1表に示す。
比較例3
実施例1において、電子線硬化性樹脂組成物中にシリカ粒子を含有させなかったこと意外は、実施例1と同様な操作を行い、化粧材を作製した。
この化粧材について、艶の評価、耐水性、経時剥離性、耐汚染性及びマリーング性能について評価した。その結果を第1表に示す。
Figure 0004725017
実施例1及び比較例1〜3の化粧材について、その断面を顕微鏡で拡大して観察したところ、表面保護層中の絵柄インキ層の直上部及びその近傍が光を散乱する低艶状となり、また、その他の表面層は光を散乱せず、高透明状態となっていることが観察された。また、実施例1では、低艶絵柄インキ層の直上部に位置する表面保護層の表面にシリカ粒子の頭出しが認められると共に、低艶絵柄インキ層の存在しない領域の表面保護層の表面には、シリカ粒子の頭出しは認められなかった。
これに対し、比較例1では、低艶絵柄インキ層の直上部に存在する表面保護層及び低艶絵柄インキ層の存在しない領域の表面保護層のいずれの表面にも、シリカ粒子による頭出しは認められなかった。また、比較例2では、低艶絵柄インキ層の直上部に存在する表面保護層及び低艶絵柄インキ層の存在しない領域の表面保護層のいずれの表面にも、シリカ粒子による頭出しが認められた。
そして、前記化粧材を表面保護層側から目視観察すると、いずれも、低艶インキ絵柄層部分が凹部として認識されたが、実施例1で得られた化粧材の木目模様における導管部分の外観は、比較例のものに比べて、導管部分の視覚的凹部がより鮮映に見えるものであった。
本発明によれば、表面に模様が形成され、模様に応じた艶差を有し、該艶差が視覚的に凹部として認識される、表面に凹凸感を有する化粧材であって、かつ耐溶剤性、耐摩耗性、あるいは層間強度の高い化粧材を得ることができる。特に木目模様に用いた場合には、導管部分の艶差及び凹凸感をリアルに表現でき、実際の木材を用いた材料と同様の質感を得ることができる。
本発明の化粧材における構成の基本的部分の断面を示す模式図である。 本発明の化粧材における構成の基本的部分の断面を示す模式図である。 本発明の化粧材における構成の基本的部分の断面を示す模式図である。 本発明の化粧材の断面を示す模式図である。
符号の説明
1.化粧材
2.基材
3.低艶絵柄インキ層
4.表面保護層
5.着色層
6.絵柄層
7.浸透防止層
8.低艶模様層
9−a.微粒子
9−b.微粒子


Claims (9)

  1. 基材上に少なくとも、部分的に設けられた絵柄インキ層と、該絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、絵柄インキ層が形成された領域及び絵柄インキ層が形成されていない領域を含む全面にわたって被覆する表面保護層、を有する化粧材であって、
    (a)当該表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであること、
    )当該絵柄インキ層を形成する絵柄インキのバインダー樹脂が非架橋性樹脂であること、
    )当該表面保護層中には、前記絵柄インキ層の直上部及びその近傍に、該電離放射線硬化性樹脂組成物と該非架橋性樹脂との相互作用により、視覚的に凹部として認識される低光沢領域を有する低艶模様層が形成されていること、及び
    )当該表面保護層中に微粒子を含み、かつ該微粒子の平均粒径dAが、絵柄インキ層の直上部に位置する表面保護層の最大厚さをtM絵柄インキ層が存在しない領域の表面保護層の厚さをtGとした場合、式(I)
    1.05×tM≦dA≦tG ・・・(I)
    の関係を満たすこと、
    を特徴とする化粧材。
  2. 微粒子の粒度分布の変動係数CV値[(粒径の標準偏差/平均粒径)×100]が30%以下である請求項1に記載の化粧材。
  3. 表面保護層中の微粒子含有量が2〜20質量%である請求項1又は2に記載の化粧材。
  4. 電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧材。
  5. 低艶模様層の上部に位置する表面保護層の表面が凸形状を有する請求項1〜4のいずれかに記載の化粧材。
  6. 基材が浸透性基材であって、該基材と絵柄インキ層の間にさらに浸透防止層を有する請求項1〜5のいずれかに記載の化粧材。
  7. 基材上に着色層、絵柄層、浸透防止層が積層され、その上に絵柄インキ層と該絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、絵柄インキ層が形成された領域及び絵柄インキ層が形成されていない領域を含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する請求項1〜6のいずれかに記載の化粧材。
  8. 絵柄層が木目模様を形成するものであり、絵柄インキ層が導管部の低艶部分を形成するものである請求項7に記載の化粧材。
  9. 非架橋性樹脂が、熱可塑性ウレタン樹脂である請求項1〜8のいずれかに記載の化粧材。
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