JP5035038B2 - 化粧シート - Google Patents
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このような表面化粧板に使用される化粧シートには、使用状態における耐汚染性、耐候性、耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤性、表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性など、種々の表面保護特性が要求される。
こうした要求を満たすために、基材の表面に表面保護層を施すことが行われており、表面保護層としては電離放射線硬化性樹脂組成物が好ましく用いられている。
例えば、特許文献1には、電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化した表面保護層を有する化粧シートが提案されている。
帯電防止性を高める見地からは、表面保護層自体に帯電防止剤を配合することも考えられる。
しかしながら、表面保護層を構成する重合性シリコーン含有電離放射線硬化性樹脂組成物に帯電防止剤を配合すると、電離放射線硬化の際、重合性シリコーンの硬化性が低下し、最悪の場合には、重合性シリコーンの硬化反応性が失活するという問題があった。
そこで、重合性シリコーンの硬化反応性を低下させない帯電防止剤を配合し、帯電防止特性と表面保護特性の良好な電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物を表面保護層として具備する化粧シートが望まれていた。
すなわち、本発明は、
(1)ポリエステル基材と、該ポリエステル基材上の一部又は全面に設けられた絵柄層と、該絵柄層上を含め表面の一部又は全面を被覆する表面保護層とを有する化粧シートであって、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、かつ該電離放射線硬化性樹脂組成物が該組成物中の電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して重合性シリコーンを1〜40質量部、及び該組成物全質量を基準として第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を0.1〜10質量%含有することを特徴とする化粧シート、
(2)ポリエステル基材が第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を含有する上記(1)の化粧シート、
(3)ポリエステル基材に含まれる第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤の含有量が、ポリエステル基材全質量を基準として、0.1〜10質量%である上記(2)の化粧シート、
(4)電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である上記(1)〜(3)のいずれかの化粧シート、
(5)重合性シリコーンがラジカル重合性シリコーンである上記(1)〜(4)のいずれかの化粧シート、
(6)ラジカル重合性シリコーンがシリコーン(メタ)アクリレートである上記(5)の化粧シート、及び
(7)ポリエステル基材と絵柄層との間にプライマー層を有する上記(1)〜(6)のいずれかの化粧シートである。
本発明で用いられるポリエステル基材2としては、ポリエステル樹脂フイルムが好適に用いられる。このポリエステル樹脂フイルムは、いわゆる押出口金から溶融押し出されたポリエステル樹脂フイルムであって、通常、無延伸又は縦方向及び横方向の二軸方向に配向させたフイルムであるが、無延伸フィルムが各種家具類や建築内装材等に貼着し易く、また、プライマー処理もし易いので好ましい。このポリエステル樹脂フイルムには、ジカルボン酸とグリコールとから縮重合によって得られたポリマーが用いられる。ここで、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などが挙げられ、またグリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。具体的には例えばポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。本発明の場合、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエステル樹脂等の樹脂フイルムの厚みとしては20〜100μm、コスト及び使用上の取扱の良さから40〜60μmが好ましい。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、ポリエステル基材2の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
絵柄インキの着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
重合性シリコーンとしては、ラジカル重合性シリコーン又はカチオン重合性シリコーンが用いられるが、電子線照射による硬化の場合は、ラジカル重合性シリコーンが好ましい。
ここで、表面保護層4の電離放射線硬化性樹脂に含有される1乃至2官能シリコーン(メタ)アクリレートは主に耐汚染性、マジック消去性、耐セロファンテープ性を付与し、多官能シリコーン(メタ)アクリレートは主にレベリング性、表面平滑性、くもり性(透明度)の向上及びすべり性を減じる特性を付与するものである。なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
上述の内、1乃至2官能シリコーンメタクリレートは、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのうち、又は片方乃至両方の末端にメタクリル基を導入した変性シリコーンオイルの中の一つである。シリコーンメタクリレートに用いる1乃至2官能シリコーンメタクリレートとしては、従来公知のものが使用でき、有機基がメタクリル基であり、該有機基を1乃至2つ有する変性シリコーンオイルであれば、特に限定されない。また、変性シリコーンオイルの構造は、置換される有機基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、有機基の結合位置には、特に制限はない。
このような1乃至2官能シリコーンメタクリレートとしては、好ましくは分子量1000〜6000、より好ましくは3000〜6000、官能基当量(分子量/官能基数)好ましくは500〜3000、より好ましくは1500〜3000の条件を有するものが用いられる。
また、シリコーンアクリレートに用いる多官能シリコーンアクリレートとしては、従来公知のものが使用でき、有機基がアクリル基であって該有機基を2個以上、好ましくは3個以上、さらには4〜6個有する変性シリコーンオイルであれば、特に限定されない。また、変性シリコーンオイルの構造は、置換される有機基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、有機基の結合位置には、特に制限はない。
このような多官能シリコーンアクリレートとしては、好ましくは分子量3000〜100000、より好ましくは10000〜30000、官能基当量(分子量/官能基数)好ましくは750〜25000、より好ましくは3000〜6000の条件を有するものが用いられる。
また、1乃至2官能シリコーンメタクリレートと多官能シリコーンアクリレートとの含有量の比は、好ましくは5:1〜1:5、より好ましくは4:1〜1:3(いずれも質量比)である。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤としては、第4級アンモニウムクロリド系帯電防止剤、第4級アンモニウムサルフェート系帯電防止剤、第4級アンモニウムナイトレート系帯電防止剤が挙げられる。また、通常の低分子型帯電防止剤のみならず、高分子型帯電防止剤をも用いることが出来る。高分子型帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩含有(メタ)アクリレート共重合体、第4級アンモニウム塩含有マレイミド共重合体、第4級アンモニウム塩含有メタクリルイミド共重合体等が挙げられる。
ポリエステル基材2に含まれる第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤の含有量は、ポリエステル基材全質量を基準として、0.1〜10質量%であることが好ましい。
0.1質量%以上であれば、帯電防止機能が向上するので好ましく、10質量%以下であれば、基材の透明度が維持されるので好ましいからである。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、ポリエステル基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層4の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、ポリエステル基材として電子線により劣化するポリエステル基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、ポリエステル基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線によるポリエステル基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
隠蔽層は、化粧シート1の意匠性を高める目的で、通常、プライマー層5と絵柄層3との間に配設される。全面ベタ層とも称される。ポリエステル基材2自身が着色していたり、色ムラがあるときに、隠蔽層は形成され、ポリエステル基材2上の表面の色を整えることで、ポリエステル基材2の表面に意図した色彩を与えるものである。通常不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。ポリエステル基材2自身が適切に着色されている場合や、特にポリエステル基材2が白色であることを活かす場合には隠蔽層の形成を行う必要はない。
隠蔽層の形成に用いられるインキとしては、上述の絵柄層3に用いられるものと同様のものでよい。
低艶絵柄層は、艶差が発現する効果を奏することを目的として所望により配設されるものである。艶差が発現する機構については、十分解明されるには至っていないが、各種実験と観察、測定の結果から、低艶絵柄層の表面に表面保護層4を形成するための電離放射線硬化性樹脂の未硬化物を塗工した際に、各材料の組合せ、塗工条件の適当な選択によって、低艶絵柄層の樹脂成分と表面保護層4が、一部溶出、分散、混合等の相互作用を発現することによるものと推測される。この際、低艶絵柄層のインキと電離放射線硬化性樹脂の未硬化物におけるそれぞれの樹脂成分は、短時間には完全相溶状態にならずに懸濁状態となって、低艶絵柄層の直上部及びその近傍に存在し、該懸濁状態となった部分が光を散乱して低光沢領域をなすものと考えられる。この懸濁状態を有したまま、表面保護層4を架橋硬化せしめることにより、かかる状態が固定されると、表面保護層中に低光沢領域が部分的に形成され、目の錯覚により、その部分が凹部であるかの如く認知されるものと推測される。
低艶絵柄層を形成する低艶絵柄インキは表面保護層4を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物との相互作用を起こす性質を有するものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物(未硬化物)との関連で適宜選定されるものである。具体的には、バインダー樹脂として非架橋性樹脂を有するインキであることが好ましく、例えば熱可塑性(非架橋型)ウレタン樹脂などが好適である。また、必要に応じて、低光沢領域の発現の程度、低艶領域とその周囲との艶差のコントラストを調整するため、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などを混合することができる。
被着体となる基板は、特に限定されず、プラスチックシート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの基板、特にプラスチックシートを基板として用いる場合には、化粧シート1との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、ポリエステル基材2の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材等が挙げられる。これらは単独で、又は積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル、火山灰を主原料とした板等が例示される。
これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体もポリエステル基材2として使用できる。
化粧シート1の基板上への貼着は、通常、本発明の化粧シート1の裏面に接着剤層を形成し、基板を貼着するか基板の上に接着剤を塗布し、化粧シート1を貼着する等の方法による。
以上のようにして製造される化粧板は、また、該化粧板を任意切断し、表面や木口部にルーター、カッター等の切削加工機を用いて溝加工、面取加工等の任意加飾を施すことができる。
(評価方法)
各実施例で得られた化粧シートについて、表面保護特性、帯電防止性及び外観性を以下の方法で評価した。なお、表面保護特性は、耐汚染性、マーリング性(耐擦傷性)及び未反応物の表面へのブリードの有無により評価し、外観性は帯電防止剤の析出の有無により評価した。
(1)耐汚染性
JIS K−6902に準拠して、汚染物を化粧シート表面に塗布し、ふき取った後の汚染物の残存具合を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
○ 汚染物の残存は全くない
× 汚染物の残存が著しい
(2)マーリング性(耐擦傷性)
29.4kPa(300g/cm2)の荷重となるように調整された重りに、スチールウール(#0000)を取り付けて、化粧シート表面を50回擦り、該表面の艶の変化を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。マーリング性とは、継続した表面の擦れにより微細な傷がどの程度発生するかを評価するものである。
○ 全く変化がない
× 変化が著しい
(3)未反応物の表面へのブリードの有無
電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる未反応物の化粧シート表面へのブリードの有無を目視にて観察し、ブリードのない場合を「無」、ブリードのある場合を「有」として表示した。
(4)帯電防止性
JIS K−6911に準拠して、電極50mmφ/70mmφ、印加電圧10V、電圧印加時間10秒で高抵抗計を用いて表面又は裏面の表面抵抗値(単位:Ω/□)を測定した。表面抵抗値が低い程、帯電防止性能が良好である。
(5)帯電防止剤の析出の有無
化粧シート表面及び裏面の帯電防止剤の析出の有無を目視にて観察し、表面及び裏面のいずれにも析出のない場合を「無」、表面に析出のある場合を「表面有」、裏面に析出のある場合を「裏面有」として表示した。
厚さ50μmの白色ポリエステル樹脂フイルム(ダイヤホイル(株)製、Z−210と同一仕様で、白色とし、蛍光増白剤であるKyaphor NV liquid(日本化薬カラーズ製)を0.01%添加したものに、表1に示す配合量で第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を夫々添加しているものを用いた)よりなるポリエステル基材2の表面に透明ポリエステル系ウレタン樹脂を3〜5g/m2 (ドライ)塗布することによりプライマー処理を行い、プライマー層5を形成した後、ニトロセルロース・アルキッド系樹脂(ザ・インクテック(株)製、KL−MAX)からなるインキを使用して木目模様の絵柄層3をグラビア印刷した。次いで、表1に示す配合処方よりなる電子線硬化性樹脂組成物を夫々5g/m2 でグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層4とした。次いで、70℃で24時間の養生を行い、19種の化粧シートを得た。
これら19種の化粧シートについて、耐汚染性、マーリング性能、帯電防止性能、未反応物の化粧シート表面へのブリードの有無並びに化粧シート表面及び裏面の帯電防止剤の析出の有無について評価した。その結果を表1に示す。
*2: 単官能シリコーンアクリレート{ 信越化学(株)製、官能基当量:約3,000 }
*3: 2官能シリコーンアクリレート{ 信越化学(株)製、官能基当量:約3,500 }
*4: ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
*5: エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
*6: 第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤A{瀧原産業(株)販売、商品名「スタチサイド」}
*7: 第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤B{松本油脂製薬(株)製、商品名「エフコール70」}
一方、比較例1〜2は電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる未反応物の化粧シート表面へのブリードが認められ、比較例3〜5は汚染性及びマーリング性が劣っていた。また、比較例6〜7は化粧シート表面に帯電防止剤が析出し、比較例8〜9は化粧シート表面の表面抵抗値が著しく高かった。
2 ポリエステル基材
3 絵柄層
4 表面保護層
5 プライマー層
Claims (7)
- ポリエステル基材と、該ポリエステル基材上の一部又は全面に設けられた絵柄層と、該絵柄層上を含め表面の一部又は全面を被覆する表面保護層とを有する化粧シートであって、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、かつ該電離放射線硬化性樹脂組成物が該組成物中の電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して重合性シリコーンを1〜40質量部、及び該組成物全質量を基準として第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を0.1〜10質量%含有することを特徴とする化粧シート。
- ポリエステル基材が第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を含有する請求項1に記載の化粧シート。
- ポリエステル基材に含まれる第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤の含有量が、ポリエステル基材全質量を基準として、0.1〜10質量%である請求項2に記載の化粧シート。
- 電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
- 重合性シリコーンがラジカル重合性シリコーンである請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
- ラジカル重合性シリコーンがシリコーン(メタ)アクリレートである請求項5に記載の化粧シート。
- ポリエステル基材と絵柄層との間にプライマー層を有する請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
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