JP5035038B2 - 化粧シート - Google Patents

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本発明は表面化粧板等に使用される化粧シートに関する。
家具や台所製品のキャビネットなどの表面化粧板としては、一般に木質系材料、無機系材料、合成樹脂系材料、鋼板などの金属系材料などに、例えば木目調柄などを印刷した化粧シートを接着剤で貼り合わせた構造のものが用いられている。
このような表面化粧板に使用される化粧シートには、使用状態における耐汚染性、耐候性、耐光性、耐熱性、耐水性、耐溶剤性、表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性など、種々の表面保護特性が要求される。
こうした要求を満たすために、基材の表面に表面保護層を施すことが行われており、表面保護層としては電離放射線硬化性樹脂組成物が好ましく用いられている。
例えば、特許文献1には、電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化した表面保護層を有する化粧シートが提案されている。
ところで、化粧シートには、上記の特性以外に、静電気による埃付着の少ない、帯電防止性に優れることが求められている。この特性を満足すべく、特許文献2には、接着樹脂層、基材樹脂層、印刷層、帯電防止剤を1〜10%含有した接着剤層、透明な表面樹脂層が下から順次積層されてなる化粧板積層用樹脂フィルムである化粧シートが開示されている。
帯電防止性を高める見地からは、表面保護層自体に帯電防止剤を配合することも考えられる。
しかしながら、表面保護層を構成する重合性シリコーン含有電離放射線硬化性樹脂組成物に帯電防止剤を配合すると、電離放射線硬化の際、重合性シリコーンの硬化性が低下し、最悪の場合には、重合性シリコーンの硬化反応性が失活するという問題があった。
そこで、重合性シリコーンの硬化反応性を低下させない帯電防止剤を配合し、帯電防止特性と表面保護特性の良好な電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化物を表面保護層として具備する化粧シートが望まれていた。
特開2001−199028号公報 特開2002−59518号公報
本発明は、表面保護特性及び外観性に優れかつ帯電防止特性が良好である化粧シートを提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、化粧シートの表面保護層として用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物に第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を配合すれば、重合性シリコーンの反応活性を損なうことなく、電離放射線硬化性樹脂組成物を好適に架橋硬化し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)ポリエステル基材と、該ポリエステル基材上の一部又は全面に設けられた絵柄層と、該絵柄層上を含め表面の一部又は全面を被覆する表面保護層とを有する化粧シートであって、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、かつ該電離放射線硬化性樹脂組成物が該組成物中の電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して重合性シリコーンを1〜40質量部、及び該組成物全質量を基準として第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を0.1〜10質量%含有することを特徴とする化粧シート、
(2)ポリエステル基材が第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を含有する上記(1)の化粧シート、
(3)ポリエステル基材に含まれる第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤の含有量が、ポリエステル基材全質量を基準として、0.1〜10質量%である上記(2)の化粧シート、
(4)電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である上記(1)〜(3)のいずれかの化粧シート、
(5)重合性シリコーンがラジカル重合性シリコーンである上記(1)〜(4)のいずれかの化粧シート、
(6)ラジカル重合性シリコーンがシリコーン(メタ)アクリレートである上記(5)の化粧シート、及び
(7)ポリエステル基材と絵柄層との間にプライマー層を有する上記(1)〜(6)のいずれかの化粧シートである。
本発明によれば、表面保護特性及び外観性に優れかつ帯電防止特性が良好である化粧シートを提供することができる。
本発明の化粧シートの典型的な構造を、図1を用いて説明する。図1は本発明の化粧シート1の断面を示す模式図である。図1に示す例では、ポリエステル基材2、該ポリエステル基材2上の全面を被覆する一様均一なプライマー層5、絵柄層3、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面保護層4がこの順に積層されたものである。絵柄層3は通常、部分的に設けられるが、基材上の全面にわたって設けられてもよい。絵柄層3の直上部及びその近傍を含め、化粧シート表面の一部又は全面を表面保護層4が被覆する。
以下、本発明の好ましい実施形態の一つを示した図1に基づいて、詳細に説明する。
本発明で用いられるポリエステル基材2としては、ポリエステル樹脂フイルムが好適に用いられる。このポリエステル樹脂フイルムは、いわゆる押出口金から溶融押し出されたポリエステル樹脂フイルムであって、通常、無延伸又は縦方向及び横方向の二軸方向に配向させたフイルムであるが、無延伸フィルムが各種家具類や建築内装材等に貼着し易く、また、プライマー処理もし易いので好ましい。このポリエステル樹脂フイルムには、ジカルボン酸とグリコールとから縮重合によって得られたポリマーが用いられる。ここで、ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などが挙げられ、またグリコールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。具体的には例えばポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。本発明の場合、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエステル樹脂等の樹脂フイルムの厚みとしては20〜100μm、コスト及び使用上の取扱の良さから40〜60μmが好ましい。
ポリエステル基材2として用いられるポリエステル樹脂フイルムとその上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、ポリエステル基材2の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
ポリエステル基材2に用いられるポリエステル樹脂フイルムとしては、着色ポリエステル樹脂フイルムが好ましい。そして、着色されるためには、顔料及び/又は染料が配合されていることが必要である。顔料としては、無機顔料と有機顔料とに分類することができ、無機顔料としては、酸化チタン白、亜鉛華、鉛白、カーボンブラック、弁柄、朱、黄鉛、群青、コバルト青、コバルト紫、ジンククロメートなどが挙げられる。有機顔料としては、フタロシアニン系、ジオキサジン系、アントラキノン系などの顔料が挙げられ、代表的なものとして、キナクリドン、ウォッチアングレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。また染料としては、天然染料と合成染料に分類することができ、天然染料としては、インジゴ(藍)等が代表される。合成染料としては、アゾ染料、インジゴイド染料、硫化染料、ニトロ染料、ニトロソ染料等が挙げられる。これらの顔料及び染料は、1種又は2種以上併用して使用することができ、耐光性に優れ、ポリエステル基材フイルムに隠蔽性を持たすようにするためには、無機顔料が最適である。ポリエステル樹脂フイルムに着色される色は白色であることが絵柄層3等の色調を変えにくいので好ましい。また、必要に応じ、蛍光増白剤をポリエステル樹脂フイルムに含有させると、絵柄層3等の美感が増し好ましい。
また、ポリエステル基材2はプライマー層5を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
図1に示される絵柄層3は化粧シート1に装飾性を与えるものであり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層3に用いる絵柄インキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。上述の樹脂のなかでも、熱可塑性ポリエステル系ウレタン樹脂が特に好ましい。
絵柄インキの着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
上述のように、表面保護層4は、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化したもので構成される。ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、荷電粒子線又は電磁波の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、電子線又は紫外線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。特に、本発明の化粧シート1に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は重合性シリコーンを含有する。
重合性シリコーンとしては、ラジカル重合性シリコーン又はカチオン重合性シリコーンが用いられるが、電子線照射による硬化の場合は、ラジカル重合性シリコーンが好ましい。
ラジカル重合性シリコーンとして、1乃至2官能シリコーン(メタ)アクリレート及び多官能シリコーン(メタ)アクリレートが好ましい。そして、該電離放射線硬化性樹脂が1乃至2官能シリコーン(メタ)アクリレート及び多官能シリコーン(メタ)アクリレートを含有すると、化粧シート1の耐汚染性、マジック消去性、耐セロファンテープ性、レベリング性、表面平滑性、くもり性(透明度)が向上し、かつ、すべり性がおさえられる。
ここで、表面保護層4の電離放射線硬化性樹脂に含有される1乃至2官能シリコーン(メタ)アクリレートは主に耐汚染性、マジック消去性、耐セロファンテープ性を付与し、多官能シリコーン(メタ)アクリレートは主にレベリング性、表面平滑性、くもり性(透明度)の向上及びすべり性を減じる特性を付与するものである。なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
上述の内、1乃至2官能シリコーンメタクリレートは、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのうち、又は片方乃至両方の末端にメタクリル基を導入した変性シリコーンオイルの中の一つである。シリコーンメタクリレートに用いる1乃至2官能シリコーンメタクリレートとしては、従来公知のものが使用でき、有機基がメタクリル基であり、該有機基を1乃至2つ有する変性シリコーンオイルであれば、特に限定されない。また、変性シリコーンオイルの構造は、置換される有機基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、有機基の結合位置には、特に制限はない。
このような1乃至2官能シリコーンメタクリレートとしては、好ましくは分子量1000〜6000、より好ましくは3000〜6000、官能基当量(分子量/官能基数)好ましくは500〜3000、より好ましくは1500〜3000の条件を有するものが用いられる。
また、シリコーンアクリレートに用いる多官能シリコーンアクリレートとしては、従来公知のものが使用でき、有機基がアクリル基であって該有機基を2個以上、好ましくは3個以上、さらには4〜6個有する変性シリコーンオイルであれば、特に限定されない。また、変性シリコーンオイルの構造は、置換される有機基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、有機基の結合位置には、特に制限はない。
このような多官能シリコーンアクリレートとしては、好ましくは分子量3000〜100000、より好ましくは10000〜30000、官能基当量(分子量/官能基数)好ましくは750〜25000、より好ましくは3000〜6000の条件を有するものが用いられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる重合性シリコーンの含有量が、電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、1〜40質量部であることを要する。1質量部以上であれば反応活性が良好となり、40質量部以下であれば未反応シリコーンが残留しないからである。この重合性シリコーン含有量の内、1乃至2官能シリコーンメタクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは1.5〜20質量部、より好ましくは2〜18質量部、特に好ましくは4〜18質量部である。1.5質量部以上であれば耐汚染性、マジック消去性、耐セロハンテープ性が付与されるので好ましく、20質量部以下であれば未反応シリコーンが残留しないので好ましいからである。また、上記多官能シリコーンアクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して好ましくは1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部、特に好ましくは1〜10質量部である。1質量部以上であればマーリング性、表面平滑性、透明度の向上が付与されるので好ましく、20質量部以下であれば未反応シリコーンが残留しないのでの理由で好ましい。
また、1乃至2官能シリコーンメタクリレートと多官能シリコーンアクリレートとの含有量の比は、好ましくは5:1〜1:5、より好ましくは4:1〜1:3(いずれも質量比)である。
カチオン重合性シリコーンとしては、エポキシ変性シリコーン、ビニルエーテル変性シリコーン、オキセタン変性シリコーン、重合性内部オレフィン基含有シリコーン及び環状シロキサン基含有シリコーン等が挙げられる。
本発明の化粧シート1の表面保護層4に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物には、上述の重合性シリコーンの外、各種の重合性モノマー又は重合性オリゴマーが配合される。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の化粧シート1の表面保護層4に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物には、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
本発明の化粧シート1の表面保護層4に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物には、上述の重合性シリコーンと共に、第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を配合する。この第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を配合することにより、帯電防止特性を向上するばかりでなく、表面保護層4の表面保護特性を良好にすることができる。
第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤としては、第4級アンモニウムクロリド系帯電防止剤、第4級アンモニウムサルフェート系帯電防止剤、第4級アンモニウムナイトレート系帯電防止剤が挙げられる。また、通常の低分子型帯電防止剤のみならず、高分子型帯電防止剤をも用いることが出来る。高分子型帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩含有(メタ)アクリレート共重合体、第4級アンモニウム塩含有マレイミド共重合体、第4級アンモニウム塩含有メタクリルイミド共重合体等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤の含有量が、電離放射線硬化性樹脂組成物全質量を基準として、0.1〜10質量%であることを要する。0.1質量%以上であれば、帯電防止機能が付与され、10質量%以下であれば、帯電防止剤が析出しない。
本発明の化粧シート1においては、さらに、ポリエステル基材2にも第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を配合することが好ましい。ポリエステル基材2も帯電防止効果を有すると、さらに静電気が逃げ易くなる。また、第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤種によっては、該帯電防止剤が徐々にポリエステル基材2から表面保護層4に移行するため、より長期的に帯電防止効果を享受できる。
ポリエステル基材2に含まれる第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤の含有量は、ポリエステル基材全質量を基準として、0.1〜10質量%であることが好ましい。
0.1質量%以上であれば、帯電防止機能が向上するので好ましく、10質量%以下であれば、基材の透明度が維持されるので好ましいからである。
また本発明における電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
本発明においては、前記の電離放射線硬化成分である重合性シリコーン、重合性モノマー、重合性オリゴマー、帯電防止剤及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。この塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、ポリエステル基材2の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、ポリエステル基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層4の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
本発明においては、このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、ポリエステル基材として電子線により劣化するポリエステル基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、ポリエステル基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線によるポリエステル基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
本発明の化粧シート1に、所望により用いられるプライマー層5の材料は、ポリエステル基材2と絵柄層3との接着を強固にするものであれば、特に制限はない。アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、熱可塑性ウレタン樹脂等の各種熱可塑性樹脂が用いられる。これらの樹脂のなかでも、熱可塑性ポリエステル系ウレタン樹脂が特に好ましい。熱可塑性ポリエステル系ウレタン樹脂としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6ヘキサングリコール等のグリコール類とアジピン酸、イソフタール酸、テレフタール酸等の2塩基酸との重縮合反応によって得られるポリエステルポリオールとトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネートとの反応により得られる線状ブロック共重合体よりなる。
図1に示される各層に加えて、所望により、さらに隠蔽層、浸透防止層、低艶絵柄層等が配設されてもよい。
隠蔽層は、化粧シート1の意匠性を高める目的で、通常、プライマー層5と絵柄層3との間に配設される。全面ベタ層とも称される。ポリエステル基材2自身が着色していたり、色ムラがあるときに、隠蔽層は形成され、ポリエステル基材2上の表面の色を整えることで、ポリエステル基材2の表面に意図した色彩を与えるものである。通常不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。ポリエステル基材2自身が適切に着色されている場合や、特にポリエステル基材2が白色であることを活かす場合には隠蔽層の形成を行う必要はない。
隠蔽層の形成に用いられるインキとしては、上述の絵柄層3に用いられるものと同様のものでよい。
また、浸透防止層は所望により設けられる層であって、後述する低艶絵柄層を構成する低艶絵柄インキ及び表面保護層4を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物の成分が、基材2中に浸透することを抑制する機能を持つものである。従って、浸透防止層は基材2と低艶絵柄層の間に位置すればよく、例えば、プライマー層5と隠蔽層の間、隠蔽層と絵柄層3の間又は絵柄層3とその上に配設される低艶絵柄層の間に設けられる。通常は、表面保護層4を構成する電離放射線硬化性樹脂と密着性がある、硬化性樹脂が架橋硬化した一様均一な層を、絵柄層3とその上に配設される低艶絵柄層の間に設ける。このことにより、基材2上に隠蔽層、絵柄層3等がある場合には、これらの表面をならし、これらと低艶絵柄層及び表面保護層4との接着性を高める機能をも併せて果たすものである。
本発明の化粧シート1に所望により設けられる低艶絵柄層は、プライマー層5に直接積層されるか、又は、必要に応じて設けられた隠蔽層、絵柄層3、浸透防止層等の上に積層されるもので、模様の艶差を生じさせる層である。
低艶絵柄層は、艶差が発現する効果を奏することを目的として所望により配設されるものである。艶差が発現する機構については、十分解明されるには至っていないが、各種実験と観察、測定の結果から、低艶絵柄層の表面に表面保護層4を形成するための電離放射線硬化性樹脂の未硬化物を塗工した際に、各材料の組合せ、塗工条件の適当な選択によって、低艶絵柄層の樹脂成分と表面保護層4が、一部溶出、分散、混合等の相互作用を発現することによるものと推測される。この際、低艶絵柄層のインキと電離放射線硬化性樹脂の未硬化物におけるそれぞれの樹脂成分は、短時間には完全相溶状態にならずに懸濁状態となって、低艶絵柄層の直上部及びその近傍に存在し、該懸濁状態となった部分が光を散乱して低光沢領域をなすものと考えられる。この懸濁状態を有したまま、表面保護層4を架橋硬化せしめることにより、かかる状態が固定されると、表面保護層中に低光沢領域が部分的に形成され、目の錯覚により、その部分が凹部であるかの如く認知されるものと推測される。
低艶絵柄層を形成する低艶絵柄インキは表面保護層4を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物との相互作用を起こす性質を有するものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物(未硬化物)との関連で適宜選定されるものである。具体的には、バインダー樹脂として非架橋性樹脂を有するインキであることが好ましく、例えば熱可塑性(非架橋型)ウレタン樹脂などが好適である。また、必要に応じて、低光沢領域の発現の程度、低艶領域とその周囲との艶差のコントラストを調整するため、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などを混合することができる。
また、本発明の化粧シート1に用いられる絵柄層3及び所望により配設される隠蔽層、浸透防止層、低艶絵柄層等の各層に、必要に応じ、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等から適宜選択される体質顔料を含有してもよい。体質顔料を含有することによって、例えば、絵柄層3や低艶絵柄層の絵柄インキ組成物にチキソ性を付与することができ、版を用いて絵柄層3等を印刷する際に、絵柄インキ組成物の形状が維持される。このことにより、例えば、凸部から凹部に移行する端部における凹凸の鮮映性(シャープネス)を強調することができ、メリハリのある意匠表現が可能となる。
本発明の化粧シート1は、各種基板に貼着して化粧板として使用することができる。即ち、基板に接着剤層を介して本発明の化粧シート1を貼着するものである。
被着体となる基板は、特に限定されず、プラスチックシート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの基板、特にプラスチックシートを基板として用いる場合には、化粧シート1との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、ポリエステル基材2の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
プラスチックシートとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等からなるものを用いることができ、またこれらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。
木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材等が挙げられる。これらは単独で、又は積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル、火山灰を主原料とした板等が例示される。
これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体もポリエステル基材2として使用できる。
また該基板はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。被着体となる基板としては各種素材の平板、曲面板等の板材、或いは上記素材が単体か或いは複合された立体形状物品(成形品)が対象となる。
化粧シートに、和紙、洋紙、合成紙、不織布、織布、寒冷紗、含浸紙、合成樹脂シート等の裏打ち材を貼着して用いてもよい。裏打ち材を貼着することにより、化粧シート自体の補強、化粧シートの割れや破け防止、接着剤の化粧シート表面への染み出し防止等の作用がなされ、不良品の発生が防止されると共に、取り扱いが容易となることとなり、生産性を向上することができる。
このようにして接着剤を介して毎葉ごとにあるいは連続して化粧シート1が載置された基板を、コールドプレス、ホットプレス、ロールプレス、ラミネーター、ラッピング、縁貼り機,真空プレス等の貼着装置を用いて圧締して、化粧シートを基板表面に接着し、化粧板とする。
接着剤はスプレー、スプレッダー、バーコーター等の塗布装置を用いて塗布する。この接着剤には、酢酸ビニル樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、イソシアネート系等の接着剤を、単独であるいは任意混合した混合型接着剤として用いられる。接着剤には、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、クレー、チタン白等の無機質粉末、小麦粉、木粉、プラスチック粉、着色剤、防虫剤、防カビ剤等を添加混合して用いることができる。一般に、接着剤は固形分を35〜80質量%とし、塗布量50〜300g/m2の範囲で基板表面に塗布される。
化粧シート1の基板上への貼着は、通常、本発明の化粧シート1の裏面に接着剤層を形成し、基板を貼着するか基板の上に接着剤を塗布し、化粧シート1を貼着する等の方法による。
以上のようにして製造される化粧板は、また、該化粧板を任意切断し、表面や木口部にルーター、カッター等の切削加工機を用いて溝加工、面取加工等の任意加飾を施すことができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例で得られた化粧シートについて、表面保護特性、帯電防止性及び外観性を以下の方法で評価した。なお、表面保護特性は、耐汚染性、マーリング性(耐擦傷性)及び未反応物の表面へのブリードの有無により評価し、外観性は帯電防止剤の析出の有無により評価した。
(1)耐汚染性
JIS K−6902に準拠して、汚染物を化粧シート表面に塗布し、ふき取った後の汚染物の残存具合を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
○ 汚染物の残存は全くない
× 汚染物の残存が著しい
(2)マーリング性(耐擦傷性)
29.4kPa(300g/cm2)の荷重となるように調整された重りに、スチールウール(#0000)を取り付けて、化粧シート表面を50回擦り、該表面の艶の変化を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。マーリング性とは、継続した表面の擦れにより微細な傷がどの程度発生するかを評価するものである。
○ 全く変化がない
× 変化が著しい
(3)未反応物の表面へのブリードの有無
電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる未反応物の化粧シート表面へのブリードの有無を目視にて観察し、ブリードのない場合を「無」、ブリードのある場合を「有」として表示した。
(4)帯電防止性
JIS K−6911に準拠して、電極50mmφ/70mmφ、印加電圧10V、電圧印加時間10秒で高抵抗計を用いて表面又は裏面の表面抵抗値(単位:Ω/□)を測定した。表面抵抗値が低い程、帯電防止性能が良好である。
(5)帯電防止剤の析出の有無
化粧シート表面及び裏面の帯電防止剤の析出の有無を目視にて観察し、表面及び裏面のいずれにも析出のない場合を「無」、表面に析出のある場合を「表面有」、裏面に析出のある場合を「裏面有」として表示した。
実施例1〜10及び比較例1〜9
厚さ50μmの白色ポリエステル樹脂フイルム(ダイヤホイル(株)製、Z−210と同一仕様で、白色とし、蛍光増白剤であるKyaphor NV liquid(日本化薬カラーズ製)を0.01%添加したものに、表1に示す配合量で第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を夫々添加しているものを用いた)よりなるポリエステル基材2の表面に透明ポリエステル系ウレタン樹脂を3〜5g/m2 (ドライ)塗布することによりプライマー処理を行い、プライマー層5を形成した後、ニトロセルロース・アルキッド系樹脂(ザ・インクテック(株)製、KL−MAX)からなるインキを使用して木目模様の絵柄層3をグラビア印刷した。次いで、表1に示す配合処方よりなる電子線硬化性樹脂組成物を夫々5g/m2 でグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層4とした。次いで、70℃で24時間の養生を行い、19種の化粧シートを得た。
これら19種の化粧シートについて、耐汚染性、マーリング性能、帯電防止性能、未反応物の化粧シート表面へのブリードの有無並びに化粧シート表面及び裏面の帯電防止剤の析出の有無について評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0005035038
*1: 4官能シリコーンアクリレート{ 信越化学(株)製、官能基当量:約4,000 }
*2: 単官能シリコーンアクリレート{ 信越化学(株)製、官能基当量:約3,000 }
*3: 2官能シリコーンアクリレート{ 信越化学(株)製、官能基当量:約3,500 }
*4: ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
*5: エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
*6: 第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤A{瀧原産業(株)販売、商品名「スタチサイド」}
*7: 第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤B{松本油脂製薬(株)製、商品名「エフコール70」}
表1より明らかなごとく、実施例1〜10の化粧シートは、いずれも重合性シリコーンの硬化反応性が低下せず、表面保護特性及び外観性に優れかつ帯電防止特性が良好であった。なお、実施例9は化粧シート裏面に帯電防止剤の析出が認められ、基材の透明度が低下した。また、実施例10は化粧シート裏面の表面抵抗値が高かった。
一方、比較例1〜2は電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる未反応物の化粧シート表面へのブリードが認められ、比較例3〜5は汚染性及びマーリング性が劣っていた。また、比較例6〜7は化粧シート表面に帯電防止剤が析出し、比較例8〜9は化粧シート表面の表面抵抗値が著しく高かった。
本発明の化粧シートは、壁、天井、床等の建築物の内装又は外装材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の表面化粧板、キッチン、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装、外装等に好適に使用される。
本発明の化粧シートの断面を示す模式図である。
符号の説明
1 化粧シート
2 ポリエステル基材
3 絵柄層
4 表面保護層
5 プライマー層

Claims (7)

  1. ポリエステル基材と、該ポリエステル基材上の一部又は全面に設けられた絵柄層と、該絵柄層上を含め表面の一部又は全面を被覆する表面保護層とを有する化粧シートであって、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、かつ該電離放射線硬化性樹脂組成物が該組成物中の電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して重合性シリコーンを1〜40質量部、及び該組成物全質量を基準として第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を0.1〜10質量%含有することを特徴とする化粧シート。
  2. ポリエステル基材が第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤を含有する請求項1に記載の化粧シート。
  3. ポリエステル基材に含まれる第4級アンモニウム塩含有帯電防止剤の含有量が、ポリエステル基材全質量を基準として、0.1〜10質量%である請求項2に記載の化粧シート。
  4. 電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 重合性シリコーンがラジカル重合性シリコーンである請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
  6. ラジカル重合性シリコーンがシリコーン(メタ)アクリレートである請求項5に記載の化粧シート。
  7. ポリエステル基材と絵柄層との間にプライマー層を有する請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
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