JPH09278936A - 帯電防止樹脂組成物 - Google Patents

帯電防止樹脂組成物

Info

Publication number
JPH09278936A
JPH09278936A JP9376896A JP9376896A JPH09278936A JP H09278936 A JPH09278936 A JP H09278936A JP 9376896 A JP9376896 A JP 9376896A JP 9376896 A JP9376896 A JP 9376896A JP H09278936 A JPH09278936 A JP H09278936A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
antistatic
quaternary ammonium
ammonium salt
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9376896A
Other languages
English (en)
Inventor
Yutaka Nakayama
豊 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd filed Critical Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
Priority to JP9376896A priority Critical patent/JPH09278936A/ja
Publication of JPH09278936A publication Critical patent/JPH09278936A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】耐熱性に優れた帯電防止剤を用いることによ
り、熱劣化による帯電防止性能の低下が生じずに高い帯
電防止性能を備えた帯電防止樹脂組成物を提供する。 【解決手段】熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の少なく
とも一方からなる合成樹脂を主成分とする帯電防止樹脂
組成物であって、下記の四級アンモニウム塩(A)を含
有する。 (A)下記の一般式(1)〜(3)で表される四級アン
モニウム塩からなる群から選ばれた少なくとも一つの四
級アンモニウム塩。 【化1】 【化2】 【化3】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対イオンとしてア
ルキルスルホネートアニオンを有する四級アンモニウム
塩を帯電防止剤として用いた、優れた耐熱性と高度な帯
電防止能を有する帯電防止樹脂組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、帯電防止樹脂組成物を作製す
る方法としては、一般に、界面活性剤を塗布することに
より作製する方法、もしくは、樹脂成分に内添すること
により作製する方法が行われている。
【0003】上記界面活性剤を塗布することにより作製
する方法は、簡便に行える方法であるといえるが、使用
時の摩擦等によって上記界面活性剤がすぐに剥離してし
まうため、一時的な帯電防止用としてしか使用されず、
その使用機会が限定されている。
【0004】一方、界面活性剤を樹脂成分に溶融混練等
で内添することにより作製する方法においては、例え
ば、樹脂成分が熱可塑性樹脂の場合、帯電防止剤である
界面活性剤自身が混練時等の高い加工温度に対する耐熱
性を要求されるため、実際に使用される界面活性剤とし
ては、非イオン性界面活性剤もしくはアニオン性界面活
性剤を用いる場合が殆どである。
【0005】また、樹脂成分として熱硬化性樹脂を使用
する場合についても、上述の、界面活性剤を塗布するこ
とにより作製する方法、もしくは、樹脂硬化時に樹脂成
分に界面活性剤を添加し硬化させる方法が知られてい
る。
【0006】さらに、上記非イオン性界面活性剤もしく
はアニオン性界面活性剤以外に、カチオン性界面活性剤
である四級アンモニウム塩を用いた各種の帯電防止樹脂
組成物が提案されている(特開平2−248439号公
報、特開平3−243640号公報、特開平4−216
59号公報、特開平4−28745号公報)。これら帯
電防止樹脂組成物は、樹脂成分に、過塩酸アニオンを対
イオンにもつ、四級アンモニウム塩を含有するものであ
る。しかし、上記含有対象となる樹脂成分が、160〜
180℃の範囲で加工される軟質塩化ビニル樹脂に代表
される、加工温度の低い樹脂に限定されることから、応
用範囲の狭いものであった。
【0007】また、比較的耐熱性が良好なものとして、
対イオンにベンゼンスルホン酸アニオンもしくはアルキ
ルベンゼンスルホン酸アニオンを有する四級アンモニウ
ム塩を含有する帯電防止樹脂組成物が提案されている
(特公昭40−7366号公報)。この帯電防止樹脂組
成物は、ある一定の効果は認められるものの、分子容の
大きな対イオンの移動度の悪さから、現実的には、示さ
れている程度の帯電防止能を得ることはできないのが実
情である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の各種
帯電防止樹脂組成物のなかでも、樹脂成分が熱可塑性樹
脂においては、この熱可塑性樹脂に内添する際の高い加
工温度に耐えうる耐熱性という点を考慮して、多くの場
合、前述のように、非イオン性界面活性剤もしくはアニ
オン性界面活性剤をマトリックス樹脂中に内添して作製
する方法がとられている。しかしながら、この内添して
作製する方法により得られた帯電防止樹脂組成物からな
る成形体の表面固有抵抗値は、せいぜい1010Ω程度で
あって、これでは近年要求が高まっている、さらなる高
い帯電防止性能を満足させることは困難である。
【0009】これに対して、カチオン性界面活性剤を用
いた場合は、その表面固有抵抗値が108 〜109 Ωの
範囲の極めて優れた帯電防止性能を有する帯電防止樹脂
組成物からなる成形体が得られる反面、200℃を超え
る高い加工温度に耐えうる耐熱性を併せて持つものは得
られていない。
【0010】さらに、前述の特公昭40−7366号公
報には、比較的耐熱性が良好なカチオン性帯電防止剤が
記載されているが、その帯電防止処理方法は、マトリッ
クス樹脂に、上記カチオン性帯電防止剤を配合し、混練
して成形体を作製した後、再度、この成形体の表面に、
カチオン性帯電防止剤を塗布、噴霧あるいは浸漬すると
いった煩雑な処理工程を経由する方法であって、しかも
得られた成形体の帯電防止性能の持続性に関して満足の
いくものではなかった。
【0011】また、樹脂成分が熱硬化性樹脂において
は、熱可塑性樹脂の場合に比べて内添する際の加工温度
は比較的低く帯電防止剤自体の著しい熱劣化は少ないも
のの、得られる成形体が硬化物であり、非常にリジッド
な樹脂であるため、優れた帯電防止性能が発現し難く、
従来のものではその表面固有抵抗値はせいぜい1010
1011Ω程度であった。
【0012】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、耐熱性に優れた帯電防止剤を用いることによ
り、熱劣化による帯電防止性能の低下が生じず高い帯電
防止性能を備えた帯電防止樹脂組成物の提供をその目的
とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の帯電防止樹脂組成物は、熱可塑性樹脂およ
び熱硬化性樹脂の少なくとも一方からなる合成樹脂を主
成分とする帯電防止樹脂組成物であって、下記の四級ア
ンモニウム塩(A)を含有するという構成をとる。 (A)下記の一般式(1)〜(3)で表される四級アン
モニウム塩からなる群から選ばれた少なくとも一つの四
級アンモニウム塩。
【0014】
【化4】
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】なお、本発明において、上記合成樹脂を主
成分とする帯電防止樹脂組成物とは、本発明の帯電防止
樹脂組成物を構成するマトリックス成分が合成樹脂であ
って、これに必須成分として上記四級アンモニウム塩
(A)が含有された帯電防止樹脂組成物をいう趣旨であ
る。
【0018】この発明者は、樹脂等に混練する際の加工
温度に対して優れた耐熱性を示す帯電防止剤を用いるこ
とにより、高い帯電防止性能を備えた成形体が得られる
帯電防止樹脂組成物を得るために一連の研究を重ねた。
そして、帯電防止能を有する種々の化合物について検討
を重ねた結果、マトリックス成分である合成樹脂に、前
記特定の四級アンモニウム塩〔一般式(1)〜(3)〕
を用いると、上記特定の四級アンモニウム塩は優れた耐
熱性を有するために、熱劣化による帯電防止性能の低下
が生じないことから、これら特定の四級アンモニウム塩
を含有する帯電防止樹脂組成物が、所期の目的を達成す
ることを見出し本発明に到達した。
【0019】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態につ
いて説明する。
【0020】本発明の帯電防止樹脂組成物は、マトリッ
クス成分である合成樹脂に、特定の四級アンモニウム塩
を含有させたものである。
【0021】上記合成樹脂としては、各種の熱可塑性樹
脂、および、熱硬化性樹脂があげられる。
【0022】上記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィ
ン系樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体(以下「ABS樹脂」とい
う)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、含塩素ビ
ニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等があげられ
る。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられ
る。
【0023】上記ポリオレフィン系樹脂としては、各種
ポリオレフィン類、エチレン−ビニルエステル共重合
体、エチレン−アクリルエステル共重合体等があげら
れ、さらにこれらポリオレフィン類および各共重合体の
混合物もあげられる。なかでも、上記ポリオレフィン類
を使用することが、得られた樹脂組成物の帯電防止性能
と機械的物性のバランスという点から好ましい。
【0024】上記ポリオレフィン類としては、詳しく
は、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4
−メチルペンテン−1、エチレンとα−オレフィンの共
重合体等があげられる。なかでも、上記高密度ポリエチ
レン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ
プロピレンを用いることが好ましく、その数平均分子量
として、通常、5000〜500000の範囲のものが
用いられ、特に好ましくは数平均分子量が10000〜
200000の範囲のものである。
【0025】上記ポリスチレン樹脂としては、ポリスチ
レン、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、メタク
リル酸エステル−スチレン共重合体、スチレン−αメチ
ルスチレン共重合体等があげられ、なかでも、数平均分
子量10000〜200000の範囲のものが好まし
い。
【0026】上記ABS樹脂としては、特に限定するも
のではなく、グラフト法、ポリマーブレンド法により得
られたものが用いられる。さらに、アクリロニトリル−
スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−EPD
M(エチレン−プロピレン−ジエンゴム)−スチレン樹
脂(AES樹脂)等も使用可能であるが、好ましくはA
BS樹脂があげられる。
【0027】上記アクリル樹脂、メタクリル樹脂として
は、特に限定するものではなく従来公知のものがあげら
れる。具体的には、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタ
クリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタ
クリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル
酸エチル、メタクリル酸メチル−アクリル酸メチル共重
合体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合
体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合
体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体等
の、アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル等
のアルキルエステル化合物の単独重合体あるいは共重合
体、メタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル
等のアルキルエステル化合物の単独重合体あるいは共重
合体等があげられる。これらアクリル樹脂、メタクリル
樹脂としては単独でもしくは2種以上併せて用いられ
る。また、その製法については特に限定されず、公知の
懸濁重合法、乳化重合法、バルク重合法等があげられ
る。
【0028】上記ポリエステル樹脂としては、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタ
レート(PBT)等、結合単位がエステルである各種樹
脂があげられる。
【0029】上記ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノ
ールA等のビスフェノール類を、ホスゲンもしくは炭酸
エステル等で重縮合させることにより得られる樹脂であ
る。
【0030】上記ポリアミド樹脂としては、特に限定す
るものではなく従来公知の各種ポリアミド樹脂があげら
れ、脂肪族、芳香族のいずれのポリアミド樹脂であって
もよい。分子量については特に限定するものではない
が、目的とする帯電防止樹脂組成物の成形性や物性等を
考慮すると、数平均分子量が4000〜50000、好
ましくは数平均分子量が5000〜30000のものが
あげられる。このようなポリアミド樹脂は、従来公知の
各種の製法により得られる。例えば、三員環以上のラク
タム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸とジアミン等
の開環(共)重合、(共)重縮合等によって製造するこ
とができる。
【0031】そして、上記ポリアミド樹脂としては、具
体的には、ナイロン−6、ナイロン6−6、ナイロン6
−10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−1
2、ナイロン4−6等の脂肪族ポリアミド、ナイロン6
/6(ナイロン−6とナイロン6−6の共重合体)と、
ナイロン6/6,10、ナイロン6/6,12等の脂肪
族共重合ポリアミド、ポリヘキサメチレンジアミンテレ
フタルアミド、ポリヘキサメチレンジアミンイソフタル
アミド、キシレン基含有ポリアミド等の芳香族ポリアミ
ド等があげられる。さらには、ポリエステルアミド、ポ
リエステルエーテルアミド等があげられる。なかでも好
ましくはナイロン6、ナイロン6−6である。
【0032】上記含塩素ビニル樹脂としては、ポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル
−アクリル酸エステル共重合体、さらには、上記各種含
塩素ビニル樹脂と、ABS樹脂、ブタジエン−スチレン
−メチルメタクリレートターポリマー(MBS樹脂)、
ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等との混合物があ
げられる。
【0033】上記含塩素ビニル樹脂は、特に可塑剤を含
有する半硬質または軟質に有効である。用いられる可塑
剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジ−2−エ
チルヘキシルフタレート、ビス(ブトキト)等のフタル
酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマ
ニ油等のエポキシ系型可塑剤、塩素化パラフィン、塩素
化脂肪族エステル等をあげられる。
【0034】さらに、上記含塩素ビニル樹脂には、通常
配合される各種の添加剤、例えば、Ca、Ba、Mg、
Zn、Cd、Sn、Pbのカルボン酸塩、フェノレー
ト、有機ホスフェート塩等の有機酸塩、上記金属の酸化
物、水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、亜リン酸
塩、アルミン酸塩あるいはこれらの複塩等の無機金属化
合物、有機錫化合物等の汎用の熱安定剤、エポキシ化大
豆油、エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、有機ホスファ
イト化合物、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料、充
填剤、発泡剤、滑剤、難燃剤、β−ジケトン化合物、フ
ェノール化合物等を配合することができる。
【0035】また、上記各種熱硬化性樹脂としては、ポ
リウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、メラミ
ン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等があげられる。これ
は単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0036】上記ポリウレタン樹脂は、分子中に連結子
としてウレタン結合を有するものであって、ジイソシア
ネート、ポリイソシアネート類と、多価アルコール、ア
ミン等の含活性水素化合物を重付加することにより得ら
れる。上記ジイソシアネートとしては、トリレンジイソ
シアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレ
ンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシア
ネート、水添キシリレンジイソシアネート等があげら
れ、さらにこれらを多価アルコールへ付加したものや、
3量化等の操作により多官能化したポリイソシアネート
等があげられる。
【0037】上記含活性水素化合物としては、各種グリ
コール類やその酸化エチレン誘導体、酸化プロピレン誘
導体、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエ
リスリトール、ソルビトール等の多価アルコールやその
酸化エチレン誘導体、酸化プロピレン誘導体、または二
塩基酸とグリコール類から重縮合して得られる末端ヒド
ロキシルポリエステル等、さらには多価アミンがあげら
れる。
【0038】このようなポリウレタン樹脂は、発泡体、
エラストマー塗料、その他特に限定するものではなく、
またその成形方法も特に限定するものではない。
【0039】上記エポキシ樹脂は、モノマー分子中にオ
キシラン環を有する化合物に対し、アミン、酸無水物等
の硬化剤にて硬化させる樹脂である。
【0040】上記不飽和ポリエステル樹脂は、二塩基酸
と二価アルコールとを縮合させて得られる。その場合、
上記二塩基酸の一部に必ず不飽和基を有する。これら
は、過酸化物等で硬化されて不飽和ポリエステル樹脂と
なる。この場合、不飽和ポリエステル樹脂を低粘度のビ
ニルモノマーで希釈し、同時に硬化させたものであって
も差し支えない。上記二塩基酸としては、例えば、無水
マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、無水フタル酸、イ
ソフタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、3,6−エン
ドジクロロメチレン・テトラクロロフタル酸、3,6−
エンドメチレン・テトラヒドロ無水フタル酸等があげら
れる。また、上記二価アルコールとしては、例えば、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブ
チレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノー
ルジオキシエチルエーテル等があげられる。さらに、上
記ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、o−ク
ロルスチレン、ジアリルフタレート、トリアリルイソシ
アヌレート、メチルメタクリレート、ジアリルベンゼン
ホスホネート等があげられる。
【0041】上記フェノール樹脂は、フェノールとホル
マリンとを縮合させて得られる樹脂であり、ノボラック
樹脂、レゾール樹脂等いずれの形態であってもよく、熱
硬化させるものである。また、原料フェノールを一部メ
タキシレン、トルエン、アルキルフェノール、クレゾー
ル、ナフタレン等が置換した変性フェノール樹脂であっ
てもよい。
【0042】上記フラン樹脂は、フルフラールと、メラ
ミン、尿素等を縮合させて得られる樹脂である。
【0043】上記ユリア樹脂は、尿素とホルムアルデヒ
ドとを縮合させて得られる樹脂である。
【0044】上記メラミン樹脂は、メラミンとホルムア
ルデヒドとを縮合させて得られる樹脂である。
【0045】上記ジアリルフタレート樹脂は、ジアリル
フタレートモノマーを過酸化物等で硬化させた樹脂であ
る。
【0046】上記熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂は、その
用途に応じて適宜に選択し使用される。
【0047】これら熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の合成
樹脂に含有させる特定の四級アンモニウム塩は、下記の
一般式(1)〜(3)で表される四級アンモニウム塩で
あって、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0048】
【化7】
【0049】
【化8】
【0050】
【化9】
【0051】上記一般式(1)で表される四級アンモニ
ウム塩は、長鎖アルキル基を1つ含有する三級アミン
を、アルキルスルホン酸エステルによって四級化したも
のである。特に、式(1)中のR1 で表されるアルキル
基のなかでも、炭素数10〜18のアルキル基が好まし
い。具体的には、下記の構造式(1a)で示される四級
アンモニウム塩があげられる。
【0052】
【化10】
【0053】上記一般式(2)で表される四級アンモニ
ウム塩は、脂肪酸と、2級のアミノ基と、1級のアミノ
基を分子中に有するジアミンを脱水アミド化したのち、
アルキルスルホン酸エステルによって四級化したもので
ある。特に、式(2)中のR 1 としては、上記式(1)
と同様、炭素数7〜18のアルキル基が好ましい。具体
的には、下記の構造式(2a)で示される四級アンモニ
ウム塩があげられる。
【0054】
【化11】
【0055】上記一般式(3)で表される四級アンモニ
ウム塩は、ジアルキルアミンに、酸化エチレン、酸化プ
ロピレン等を付加したものと、脂肪酸とをエステル化し
たのち、アルキルスルホン酸エステルによって四級化し
たものである。特に、式(3)中のR1 としては、上記
式(1)、式(2)と同様、炭素数7〜18のアルキル
基が好ましい。具体的には、下記の構造式(3a)で示
される四級アンモニウム塩があげられる。
【0056】
【化12】
【0057】このように、上記式(1)〜(3)で表さ
れる四級アンモニウム塩はいずれも、アルキルスルホネ
ートアニオンを対イオンに有するものであって、この構
成により高い加工温度等においても熱劣化しないという
優れた耐熱性を有する効果を奏するようになる。したが
って、上記四級アンモニウム塩を用いることが本発明の
最大の特徴である。
【0058】上記一般式(1)〜(3)で表される四級
アンモニウム塩の含有量は、合成樹脂100重量部(以
下「部」と略す)に対して0.05〜20.0部の範囲
に設定することが好ましく、より好ましくは0.1〜1
5部である。すなわち、上記四級アンモニウム塩の含有
量が0.05部未満では、帯電防止効果の発現が顕著で
はない。そして、合成樹脂として熱可塑性樹脂を使用の
場合、四級アンモニウム塩の含有量が20.0部を超え
ると、充分な帯電防止効果が発現するものの、熱可塑性
樹脂に溶融混練する際のスリップによる供給不良や得ら
れる成形体表面の外観不良等が生起する。また、合成樹
脂として熱硬化性樹脂を使用の場合、四級アンモニウム
塩の含有量が20.0部を超えると、樹脂液中で分離が
生起し、硬化不良を生じるというような問題が発生する
傾向がみられるからである。
【0059】なお、本発明の帯電防止樹脂組成物には、
マトリックス成分である合成樹脂に含有させる、上記特
殊な四級アンモニウム塩以外に、必要に応じて他の添加
剤を含有させることができる。
【0060】上記他の添加剤としては、各種樹脂に使用
される酸化防止剤、耐候剤、滑剤、可塑剤、難燃剤等が
あげられる。
【0061】本発明の帯電防止樹脂組成物は、例えば、
上記のマトリックス成分である各種合成樹脂に、一般式
(1)〜(3)で表される四級アンモニウム塩を添加
し、加熱混練することにより得られる。合成樹脂として
熱可塑性樹脂を使用する場合の加熱条件は、一般に、2
00〜280℃の範囲の高温に設定される。一方、熱硬
化性樹脂を使用する場合は、熱履歴としては硬化に必要
な温度(常温〜200℃程度)と比較的低い加工温度に
設定される。
【0062】つぎに、実施例について比較例と併せて説
明する。
【0063】まず、実施例に先立って、下記の方法によ
り3種類の四級アンモニウム塩(合成物A〜C)を合成
した。
【0064】〔合成物A〕コンデンサー、温度計、滴下
ロートを取り付けた1リットルの4ツ口フラスコに、ラ
ウリルジメチルアミン319.5g(1.5モル)、ト
ルエン319.5gを仕込み、攪拌混合しながら80℃
まで加温した。80℃まで昇温した後、加温を停止し
て、滴下ロートからメタンスルホン酸メチル165.0
g(1.5モル)を滴下して反応させた。この反応は発
熱反応であって、内温の上昇がみられたが、90〜10
0℃に保ちながら滴下を継続した。上記メタンスルホン
酸メチルを全量滴下した後、内温を100℃に保ちなが
ら1時間攪拌を継続した後、冷却して反応を終了した。
得られた反応液を、ロータリーエバポレーターにて脱溶
媒することにより下記の構造式(A)で表される合成物
Aを得た。
【0065】
【化13】
【0066】〔合成物B〕検水管を取り付けたコンデン
サー、温度計、滴下ロートを取り付けた1リットルの4
ツ口フラスコに、ステアリン酸208.7g(0.73
5モル)、ジメチルアミノプロピルアミン70.7g
(0.7モル)、キシレン280.0gを仕込み、攪拌
混合しながら80℃まで昇温してステアリン酸を溶解し
た後、さらに昇温してキシレン還流下で脱水反応を行っ
た。そのまま、反応を4時間継続した後、系内の酸価を
測定したところ、酸価が5.0まで低下していたので冷
却し、80℃まで降温させた。その後、エタンスルホン
酸エチル96.6g(0.7モル)を滴下ロートにより
徐々に添加して反応させた。この反応は発熱反応であっ
て、内温の上昇がみられたが、90〜100℃に保ちな
がら滴下を継続した。上記エタンスルホン酸エチルを全
量滴下した後、内温を100℃に保ちながら1時間攪拌
を継続した後、冷却して反応を終了した。得られた反応
液を、ロータリーエバポレーターにて脱溶媒することに
より下記の構造式(B)で表される合成物Bを得た。
【0067】
【化14】
【0068】〔合成物C〕検水管を取り付けたコンデン
サー、温度計、N2 導入管を取り付けた1リットルの4
ツ口フラスコに、オクチル酸151.2g(1.05モ
ル)、N,N−ジメチルエタノールアミン89.0g
(1.0モル)、キシレン240.0gを仕込み、N2
を吹き込みながら昇温し、キシレン還流下で脱水反応を
行った。そのまま、反応を10時間継続した後、系内の
酸価を測定したところ、酸価が4.8まで低下していた
ので冷却し、80℃まで降温させた。その後、N2 導入
管と滴下ロートを付け換えて、滴下ロートからメタンス
ルホン酸ベンジル200.0g(1.0モル)を徐々に
添加して反応させた。この反応は発熱反応であって、内
温の上昇がみられたが、90〜100℃に保ちながら滴
下を継続した。上記メタンスルホン酸ベンジルを全量滴
下した後、内温を100℃に保ちながら1時間攪拌を継
続した後、冷却して反応を終了した。得られた反応液
を、ロータリーエバポレーターにて脱溶媒することによ
り下記の構造式(C)で表される合成物Cを得た。
【0069】
【化15】
【0070】(1)合成樹脂として熱可塑性樹脂を使用
した例。
【0071】
【実施例1〜12】下記の表1に示す各種の熱可塑性樹
脂および合成物A〜Cを同表に示す割合となるよう、定
量供給装置の付いた二軸押出機(栗本鉄工所社製,KR
CニーダーS−II型)により、混練、押し出し、コー
ルドカットを行い、帯電防止樹脂組成物からなるペレッ
トを製造した。そして、上記ペレットを射出成形機(新
潟鉄工所社製,ハイパーショット3000)にて試験片
を作製した。
【0072】なお、表1中のLD−PEは低密度ポリエ
チレン、PPはポリプロピレン、ABSはABS樹脂、
HI−PSは耐衝撃性ポリスチレン、PVCはポリ塩化
ビニル、MMAはポリメタクリル酸メチル、PBTはポ
リブチレンテレフタレート、PAはナイロン6−6、E
VAはエチレン−酢酸ビニルコポリマーである。
【0073】
【表1】
【0074】(2)合成樹脂として熱硬化性樹脂を使用
した例。
【0075】
【実施例13】 〔フェノール樹脂〕還流冷却器、温度計、かき混ぜ機を
付けた500mlの3つ口セパラブルフラスコに、蒸留
したフェノール100g、37%ホルムアルデヒド水溶
液74g(モル比1:0.85)、触媒として35%濃
塩酸0.1mlを加え、この混合物をかき混ぜながら油
浴中で加熱した。そして、反応混合物の温度が85℃に
達すれば加熱を中止し、反応熱による発熱によって沸騰
還流を生起させた。激しい還流がおさまれば加熱を続け
た。加熱還流開始後20分ぐらいで反応系が白濁し、樹
脂層と水層とが分離した。その後、さらに60分加熱し
て還流を続けた。
【0076】反応後、フラスコ中の反応物を蒸発皿に移
し、水冷して樹脂層を沈殿させ、上部の水層の濁りがな
くなった時点で、水層を傾斜させて流出させた。つぎ
に、蒸発皿をアスベスト金網で覆ったヒーターの上に置
き、かき混ぜながら加熱して水や未反応フェノール等の
揮発分を除去した。樹脂の温度が170〜175℃にな
れば加熱を中止し、磁製または金属製パットに流し出し
固化させた。
【0077】上記固化した樹脂を粉砕し、この粉砕物1
5gに、ヘキサメチレンテトラミン1.5gおよび合成
物A0.45gを加え、ミキサーミルで粉砕し混合し
た。ついで、140±1℃に保持した油浴に浸漬し、ガ
ラス棒で緩くかき混ぜながら加熱し混合物を溶解した。
この混合物を60×60×3mmの型に流し込み、徐々
に粘度が上昇して3分前後で固化した。さらに、30分
間加熱を続けるとほぼ不溶不融性の硬化物が得られた。
この硬化物を試験片とした。
【0078】
【実施例14】 〔不飽和ポリエステル樹脂〕かき混ぜ機、温度計、不活
性ガス吹き込み管、コンデンサーを取り付けた500m
lの4つ口フラスコに、無水マレイン酸78g、無水フ
タル酸178g、プロピレングリコール167gを入
れ、窒素ガスを約100ml/minの流速で通じなが
らかき混ぜ、徐々に加熱した。約1時間かけて150〜
160℃としてこの温度を1時間保持した。つぎに、反
応温度を徐々に上げて210℃に保持し、酸価40まで
反応が進めば、マントルヒーターを外して140℃に冷
却し、ヒドロキノン0.06gを加え溶解した後、1リ
ットルのビーカーに移してスチレン含有量が37重量%
となるようにスチレンを加え混合した。その結果、淡い
琥珀色の低粘度不飽和ポリエステル樹脂が得られた。
【0079】つぎに、小さい紙コップに不飽和ポリエス
テル樹脂10gを入れ、これにナフテン酸あるいはオク
テン酸のコバルト(II)塩の10%スチレン溶液0.1
2mlおよび合成物B1.0gを加えて混合し溶液を作
製した。一方、別の紙コップに10gの不飽和ポリエス
テル樹脂10gを入れ、これにメチルエチルケトンパー
オキシドの50%フタル酸ジブチル溶液0.4mlを加
えてよく混合し溶液を作製した。ついで、上記両溶液を
よく混合して、60×60×3mmの型に流し込んだ
後、室温にて放置すると、約10〜30分経過後から発
熱して硬化が始まり、1〜2時間後には全体が固化し
た。さらに、2〜3時間放置した後、50℃の湯浴中で
約30分間加熱した。冷却後、硬化物を型から取り出し
てこれを試験片とした。
【0080】
【実施例15】 〔エポキシ樹脂〕温度計、攪拌機、滴下ロート、およ
び、エピクロルヒドリンと水との共沸混合物を凝縮分離
するための装置を付けた3リットルの4つ口フラスコ
に、エピクロルヒドリン1388g(15モル)とビス
フェノールA342g(1.5モル)を加えた。攪拌し
ながら119℃に加熱して還流させ、これに40%苛性
ソーダ水溶液304g(3モル)を3.5時間を要して
滴下し加えた。この間、留出した水およびエピクロルヒ
ドリンは分離装置を通り、エピクロルヒドリンは元の反
応器に戻った。滴下終了後、さらに15分間加熱を続け
て水を完全に留去してから、未反応エピクロルヒドリン
を留去し粗生成物を得た。この粗生成物にトルエン55
gを加え溶解し、濾過して食塩を除去し、ついで170
℃/2mmHgまで加熱してトルエンを完全に除去して
エポキシ樹脂を合成した。
【0081】上記エポキシ樹脂20gおよび合成物C
1.0gを、ビーカー中で120℃に加熱し、これに無
水フタル酸6.0gをかき混ぜながら添加して、60×
60×3mmの型に流し込んだ。そして、120℃で1
時間保持し、ついで170〜180℃で1〜2時間加熱
することにより完全に硬化させた。冷却後、型から取り
出してこれを試験片とした。
【0082】
【実施例16】 〔ポリウレタン樹脂〕ポリカプロラクトンジオール(分
子量2000)10g、1,4−ブタンジオール0.9
g、ジフェニルメタンジイソシアネート4.0g、合成
物A1.0gをビーカーに入れ、60℃に加温し、溶解
混合した後、60×60×3mmの型に流し込んだ。つ
いで、恒温槽に投入し100〜120℃で3時間加熱し
て硬化させた。冷却後、型から取り出してこれを試験片
とした。
【0083】以上の実施例13〜16における熱硬化性
樹脂と、合成物A〜C、さらに熱硬化性樹脂に対する合
成物A〜Cの添加量を下記の表2に併せて示す。
【0084】
【実施例17,18】実施例13において合成物Aの配
合量を下記の表2に示す割合に変えた。それ以外は実施
例13と同様にして試験片を作製した(実施例17)。
また、実施例14において合成物Bの配合量を下記の表
2に示す割合に変えた。それ以外は実施例14と同様に
して試験片を作製した(実施例18)。
【0085】
【表2】
【0086】
【比較例1〜9】下記の表3に示す各種の熱可塑性樹脂
および帯電防止剤を同表に示す割合となるよう、定量供
給装置の付いた二軸押出機(栗本鉄工所社製,KRCニ
ーダーS−II型)により、混練、押し出し、コールド
カットを行い、帯電防止樹脂組成物からなるペレットを
製造した。そして、上記ペレットを射出成形機(新潟鉄
工所社製,ハイパーショット3000)にて試験片を作
製した。
【0087】なお、表3中の合成樹脂は、前記表1と同
様、LD−PEは低密度ポリエチレン、PPはポリプロ
ピレン、ABSはABS樹脂、HI−PSは耐衝撃性ポ
リスチレン、PVCはポリ塩化ビニル、MMAはポリメ
タクリル酸メチル、PBTはポリブチレンテレフタレー
ト、PAはナイロン6−6、EVAはエチレン−酢酸ビ
ニルコポリマーである。また、表3中の帯電防止剤は
ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、帯
電防止剤はラウリルアミドプロピルジメチルエチルア
ンモニウムエトサルフェート、帯電防止剤はステアリ
ルトリメチルアンモニウムトルエンスルホネート、帯電
防止剤はオクタノイルオキシエチルトリメチルアンモ
ニウムパークロレートである。
【0088】
【表3】
【0089】
【比較例10】実施例13において、合成物Aに代えて
ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライドを
0.45g用いた。それ以外は実施例13と同様にして
試験片を作製した。
【0090】
【比較例11】実施例14において、合成物Bに代えて
ラウリルアミドプロピルジメチルエチルアンモニウムエ
トサルフェートを1.0g用いた。それ以外は実施例1
4と同様にして試験片を作製した。
【0091】このようにして作製した各試験片(実施例
品、比較例品)を用い、各種物性(表面固有抵抗値、帯
電圧減衰速度)を下記の方法に従って測定した。その結
果を後記の表4〜表5に併せて示す。また、前述の実施
例1〜12および比較例1〜9における熱可塑性樹脂
に、合成物A〜Cもしくは各種帯電防止剤を混練する際
の加工温度を後記の表4〜表5に併せて示した。
【0092】〔表面固有抵抗値〕メガオームメーター
(東亜電波社製)にて、各試験片に500Vの電圧をか
けた際の表面固有抵抗値を測定した。
【0093】〔帯電圧減衰速度〕スタティックオネスト
メーター(宍戸商会社製)にて、各試験片に10000
V×30秒印加して、初期電圧の半分になるのに要した
時間を秒数で示した。
【0094】
【表4】
【0095】
【表5】
【0096】上記表4〜表5の結果から、全ての実施例
品は表面固有抵抗値が低く、しかも帯電圧減衰速度値が
低い。このことから、実施例品は全て帯電防止性能に優
れていることがわかる。これに対して、比較例品はいず
れも表面固有抵抗値が高く、しかも帯電圧減衰速度値が
高いことから、帯電防止性能に劣っていることが明らか
である。特に、実施例1〜12において、熱可塑性樹脂
に合成物A〜Cを混練する際の加工温度が200℃以上
の高温で混練されたにもかかわらず、熱劣化せずに、高
い帯電防止性を有することがわかる。
【0097】また、上記各実施例で用いた合成物A〜
C、および、各比較例で用いた帯電防止剤〜の減量
開始温度を下記に従って測定し耐熱性の指標とした。
【0098】〔耐熱性〕合成物A〜C、および、帯電防
止剤〜を用い、N2 雰囲気下、室温(25℃)から
500℃まで10℃/minで昇温した際の熱減量曲線
から減量開始温度を測定(示差熱分析における)した。
その結果を下記の表6に示す。
【0099】
【表6】
【0100】上記表6の結果から、合成物A〜Cの減量
開始温度は、帯電防止剤〜に比べていずれも高く耐
熱性が向上していることがわかる。
【0101】
【発明の効果】以上のように、本発明の帯電防止樹脂組
成物は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の少なくとも
一方からなる合成樹脂を主成分とし、前記一般式(1)
〜(3)で表される四級アンモニウム塩を含有する。こ
のため、上記一般式(1)〜(3)で表される四級アン
モニウム塩はマトリックス成分である合成樹脂に混練す
る際等の加工温度に対して優れた耐熱性を有し、しか
も、高い帯電防止性能を備えた成形体が得られる。
【0102】特に、合成樹脂として熱可塑性樹脂を用い
る際に、200℃以上の高い加工温度で上記一般式
(1)〜(3)で表される四級アンモニウム塩を添加し
ても、これら四級アンモニウム塩は優れた耐熱性を有す
ることから、混練時等の熱劣化による帯電防止性能の低
下がみられず、高い帯電防止性能を備えた熱可塑性樹脂
製成形体が得られる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の少な
    くとも一方からなる合成樹脂を主成分とする帯電防止樹
    脂組成物であって、下記の四級アンモニウム塩(A)を
    含有することを特徴とする帯電防止樹脂組成物。 (A)下記の一般式(1)〜(3)で表される四級アン
    モニウム塩からなる群から選ばれた少なくとも一つの四
    級アンモニウム塩。 【化1】 【化2】 【化3】
  2. 【請求項2】 四級アンモニウム塩(A)の含有量が、
    合成樹脂100重量部に対して0.05〜20.0重量
    部の範囲に設定されている請求項1記載の帯電防止樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹
    脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン
    −スチレン共重合体、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、
    ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド
    樹脂、含塩素ビニル樹脂およびエチレン−酢酸ビニル共
    重合体からなる群から選ばれた少なくとも一つの熱可塑
    性樹脂である請求項1または2記載の帯電防止樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 熱硬化性樹脂が、ポリウレタン樹脂、エ
    ポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびフェノール
    樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの熱硬化性
    樹脂である請求項1〜3のいずれか一項に記載の帯電防
    止樹脂組成物。
JP9376896A 1996-04-16 1996-04-16 帯電防止樹脂組成物 Pending JPH09278936A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9376896A JPH09278936A (ja) 1996-04-16 1996-04-16 帯電防止樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9376896A JPH09278936A (ja) 1996-04-16 1996-04-16 帯電防止樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09278936A true JPH09278936A (ja) 1997-10-28

Family

ID=14091616

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9376896A Pending JPH09278936A (ja) 1996-04-16 1996-04-16 帯電防止樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09278936A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001197901A (ja) * 2000-01-21 2001-07-24 Kao Corp 抗菌性靴底用ポリウレタンフォームの製造法
JP2005015740A (ja) * 2003-06-25 2005-01-20 Toho Chem Ind Co Ltd 帯電防止性樹脂組成物
JP2005015742A (ja) * 2003-06-25 2005-01-20 Toho Chem Ind Co Ltd 生分解性ポリエステル系樹脂組成物
WO2005103160A1 (ja) 2004-04-26 2005-11-03 Toho Chemical Industry Co., Ltd. 生分解性樹脂組成物
JP2008013636A (ja) * 2006-07-04 2008-01-24 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd 帯電防止ハードコート樹脂組成物
JP2008265301A (ja) * 2007-03-29 2008-11-06 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート
WO2015008507A1 (ja) * 2013-07-19 2015-01-22 日本乳化剤株式会社 Abs樹脂組成物用帯電防止剤およびabs樹脂組成物

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001197901A (ja) * 2000-01-21 2001-07-24 Kao Corp 抗菌性靴底用ポリウレタンフォームの製造法
JP2005015740A (ja) * 2003-06-25 2005-01-20 Toho Chem Ind Co Ltd 帯電防止性樹脂組成物
JP2005015742A (ja) * 2003-06-25 2005-01-20 Toho Chem Ind Co Ltd 生分解性ポリエステル系樹脂組成物
JP4634015B2 (ja) * 2003-06-25 2011-02-16 東邦化学工業株式会社 生分解性ポリエステル系樹脂組成物
WO2005103160A1 (ja) 2004-04-26 2005-11-03 Toho Chemical Industry Co., Ltd. 生分解性樹脂組成物
US7714048B2 (en) 2004-04-26 2010-05-11 Toho Chemical Industry Co., Ltd. Biodegradable resin composition
JP4893885B2 (ja) * 2004-04-26 2012-03-07 東邦化学工業株式会社 生分解性樹脂組成物
TWI381012B (zh) * 2004-04-26 2013-01-01 Toho Chem Ind Co Ltd 生物分解性樹脂組成物
JP2008013636A (ja) * 2006-07-04 2008-01-24 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd 帯電防止ハードコート樹脂組成物
JP2008265301A (ja) * 2007-03-29 2008-11-06 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート
WO2015008507A1 (ja) * 2013-07-19 2015-01-22 日本乳化剤株式会社 Abs樹脂組成物用帯電防止剤およびabs樹脂組成物
US9688839B2 (en) 2013-07-19 2017-06-27 Nippon Nyukazai Co., Ltd. Anti-static agent for ABS resin composition, and ABS resin composition

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI352019B (en) Antistatic resin composition
TW200303896A (en) Flame retardant thermoplastic polyurethane containing melamine cyanurate
TW200406464A (en) Reactive blend polymer compositions with thermoplastic polyurethane
CN101151320A (zh) 阻燃性聚酯树脂组合物
TW200811239A (en) Toughened halogen free flame retardant polyester composition
TW574292B (en) Solvent based compositions containing a substantially non-gelled polymeric composition
JP6762246B2 (ja) 抗菌無機フィラー用分散剤
TW201109379A (en) Antistastic resin composition
TWI715547B (zh) 無鹵素阻燃性組成物及其製造方法
JP2003327901A (ja) ポリウレタン粉体塗料
TW201245328A (en) Flame retardant thermoplastic polyurethane compositions
JPH09278936A (ja) 帯電防止樹脂組成物
JP2002284880A (ja) 樹脂組成物及び帯電防止剤
AU2022201507B2 (en) Soil and dirt repellent powder coatings
TW201802183A (zh) 可熔融加工之熱塑性聚胺甲酸酯-尿素彈性體
KR920001567B1 (ko) 난연성 수지 조성물과 전선
CN112654656B (zh) 环氧复合配方
US5562794A (en) Low solvent, thermoplastic polyurethane containing solvent cement
JP4204853B2 (ja) 吸湿もしくは吸放湿性付与剤
JPS58147425A (ja) カルボキシル基含有反応性ポリマ−、その製法及び粉体塗料バインダ−成分としての使用
TW201137035A (en) Melt processable copolyurea elastomers
JP3767070B2 (ja) 表面処理複合難燃性粉体
TWI833052B (zh) 抗靜電劑、抗靜電性樹脂組成物及成形品
JP2973111B1 (ja) 成形材料組成物
JP6862223B2 (ja) 消臭無機フィラー用分散剤