JP6582380B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

本発明は、建築物の内装、外装、家具、建具等の表面化粧、車両の内装等に用いられる化粧シートに関する。
建築物の内装,外装、家具、建具、車両の内装等の表面化粧板としては、例えば木目調柄などを印刷した化粧シートを接着剤で貼り合わせた構造のものが用いられている。
このような表面化粧板に使用される化粧シートには、触感、マット感、光沢感、耐汚染性に加え、意匠性に優れることなど、種々の特性が要求されている。
これらのうち、特に、触感、マット感、光沢感、意匠性を得るために、化粧シートの表面に盛上部を設けることが提案されている。
このような化粧シートとして、例えば、特許文献1には、化粧シートの表面に多角形や円形の規則的もしくは定形な盛上部を設けた化粧シート、特許文献2には、盛上部の凹凸の高低差及び凸部の表面積割合を限定した化粧シート、特許文献3には、表面の電離放射線硬化性樹脂のインキからなる凹凸部を設けた化粧シートが開示されている。
しかしながら、これらの化粧シートは、シートとしての、耐傷性、耐汚染性、触感、マット感及び光沢感が十分ではなく、意匠性についてもさらなる向上が求められていた。
特開2003−94592号 特許第3334365号 特開2004−249586号
本発明の課題は、上記のような状況下で、触感、マット感及び光沢感に優れ、かつ耐傷性、耐汚染性、及び意匠性に優れる化粧シートを提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基材上に、盛上層及び表面保護層を有する化粧シートであって、表面の十点平均粗さが特定の範囲であり、かつ盛上層の占有面積比を特定の範囲とすることで、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、基材上に少なくとも、部分的に設けられた盛上層と、該盛上層が形成された領域及び該盛上層が形成されていない領域とを含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する化粧シートであって、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、表面の十点平均粗さが5〜35μmであり、かつ前記盛上層の占有面積比が2〜25%である化粧シートを提供するものである。
本発明の化粧シートは、触感、マット感及び光沢感に優れ、かつ耐傷性、耐汚染性、及び意匠性に優れる。
本発明の化粧シートの断面を示す模式図である。
本発明の化粧シートは、基材上に少なくとも、部分的に設けられた盛上層と、該盛上層が形成された領域及び該盛上層が形成されていない領域とを含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する。
以下、本発明の化粧シートについて、好適な態様を示す図1を用いて詳細に説明する。
図1に示される本発明の化粧シート10は、基材20上に必要に応じて設けられる、例えばベタ印刷層31及び絵柄層32からなる装飾層30を有し、その上に必要に応じて形成されるプライマー層40を有し、その上に部分的に設けられた盛上層50を有し、該盛上層上に表面保護層60を有する。
<基材>
本発明の化粧シート10における基材20としては、通常化粧シートの基材として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、プラスチックシート等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
これらの基材、特にプラスチックフィルムやプラスチックシートを基材として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理法、クロム酸化処理法、火炎処理法、熱風処理法、オゾン及び紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また該基材はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
基材として用いられる各種の紙類としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙などが使用できる。これらの紙基材は、紙基材の繊維間ないしは他層と紙基材との層間強度を強化したり、ケバ立ち防止のため、これら紙基材に、更に、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を添加(抄造後樹脂含浸、又は抄造時に内填)させたものでもよい。例えば、紙間強化紙、樹脂含浸紙等である。
これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い各種紙が挙げられる。さらには、事務分野や通常の印刷、包装などに用いられるコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等を用いることもできる。また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布や不織布も基材として使用することができる。各種繊維としてはガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、アクリル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成樹脂繊維が挙げられる。
プラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
基材の厚さについては特に制限はないが、プラスチックを素材とするフィルム又はシートを用いる場合には、厚さは、通常20〜150μm程度、好ましくは30〜100μmの範囲であり、紙基材を用いる場合には、坪量として、通常20〜150g/m2程度、好ましくは30〜100g/m2の範囲である。
本発明の化粧シート10は、基材20上に、少なくとも、部分的に設けられた盛上層50を有することを特徴とする。
<盛上層>
本発明の化粧シートにおける盛上層50は、基材20と表面保護層60の間に位置し、化粧シートに触感を付与し、意匠性を高める機能を有するものである。
本発明において、盛上層の高さは、表面保護層を設けた後の化粧シートの表面の十点平均粗さ(Rz)が5〜35μmの範囲となる高さであることを必須とする。化粧シート表面の十点平均粗さ(Rz)が5μm未満であると、化粧シートの表面に十分な触感を付与することができない。一方、当該十点平均粗さ(Rz)が35μmを超えると、曲げ加工性に劣る。以上の観点から、本願発明の化粧シート表面の十点平均粗さ(Rz)は10〜25μmの範囲であることが好ましい。
また、盛上層の占有面積比は化粧シートの平面の面積に対して2〜25%の範囲である。当該占有面積比が2%以下であると、化粧シートの表面に十分な触感を付与することができない。一方、占有面積比が25%を超えると、曲げ加工性に劣る。その上、化粧シートの表面の触感も悪化するとともに、汚染性も低下する。以上の観点から、占有面積比は5〜25%の範囲であることが好ましい。
このような盛上層の厚さ及び占有面積比の範囲を選択することにより、化粧シートに、特に好適な触感を付与することができる。
なお、盛上層の占有面積比とは、盛上部の底面の面積の化粧シートの平面の面積に対する比率をいう。
本発明における盛上層を構成する各盛上部の形状は、特に限定されず、丸、4角形、6角形の規則的に並んだような定形の形状でも、不定型な絵柄であってもよいが、不定型な絵柄であると触感、マット感、光沢感及び意匠性に優れることから好ましい。
また、盛上層の材料としては、特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物等を用いることができる。これらのうち、特に、ベヒクル成分として、アクリル系、ポリエステル系、アクリルウレタン系、ウレタン系の樹脂で水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基を有する樹脂に、硬化剤としてポリイソシアネートを添加した2液硬化型樹脂が表面性能維持及びコストの点から望ましい。
<表面保護層>
本発明の化粧シート10における表面保護層60は、前記盛上層50上に存在し、部分的に設けられた盛上層と、該盛上層が形成された領域及び該盛上層が形成されていない領域とを含む全面にわたって被覆するもので、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化したもので構成される。ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性樹脂は、具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート単量体が好適である。
(メタ)アクリレート単量体としては、多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーなどが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明で用いられる化粧シート10においては、電離放射線硬化性樹脂として電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。化粧シートの長期使用を図るために添加するものである。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
また、表面保護層は、その他の成分として焼成カオリン粒子を含有することが好ましい。この表面保護層中に焼成カオリン粒子を含有させることで、耐マーリング(marring)性が向上する。ここでマーリングとは、シート表面が擦られた場合に、小さい擦り傷が発生することをいい、耐マーリング性が優れているとは、擦り傷ができにくいことをいう。
化粧シートの表面に耐マーリング性を付与するために使用する焼成カオリン粒子は、一般的な(含水)カオリン粒子を焼成して得られるカオリン粒子であるが、充填剤として焼成カオリン粒子を添加することで、シリカ粒子や焼成前の含水カオリン粒子では実現できなかった耐マーリング性の改善が実現する。なお、焼成カオリン粒子の粒径は、用途、要求物性等に応じて適宜選択すればよいが、例えば平均粒径で0.5〜2μm程度のものを使用する。また、焼成カオリン粒子の添加量も、用途、要求物性等に応じて適宜選択すれば良いが、例えば、電離放射線硬化性樹脂(ただし、表面保護層が、他の樹脂を含む場合には、電離放射線硬化性樹脂とその他の樹脂との合計)100質量部に対して5〜50質量部程度である。なお、焼成カオリン粒子は含水カオリン粒子よりも塗料安定性にも優れている。
焼成カオリン粒子としては、さらにその表面を処理したものを用いても良い。この表面処理された焼成カオリン粒子を用いることで、耐マーリング性向上効果をさらに増すことができる。表面処理としては、シランカップリング剤による表面処理がある。該シランカップリング剤としては、アルコキシ基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロル基等を有する公知のシランカップリング剤が挙げられる。例えば、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ―メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ―アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ―アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ―アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ―アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ―アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ―アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシランなどである。
化粧シート10の表面保護層60は、例えば以下のように形成することができる。まず、前記の電離放射線硬化性樹脂、必要に応じて配合されるその他の成分及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。この塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
このようにして調製された塗工液を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。
このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させると、硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
<装飾層>
本発明の化粧シート10では、化粧シートに装飾性を付与するために、装飾層30を設けることができる。装飾層は基材20と盛上層50の間に設けることが好ましく、より具体的には、図1に好適な態様として示すように、基材20上に設けることが好ましい。装飾層はベタ印刷層31のみからなってもよく、ベタ印刷層31と絵柄層32により構成されてもよい。
本発明の化粧シートにおいて、基材上に設けられるベタ印刷層は、本発明の化粧シートの意匠性を高めるために所望により設けられる、隠蔽層とも称されるものである。ベタ印刷層は、基材の表面の色を整えることで、化粧シート自身が着色していたり、色ムラがあるときに形成して、化粧シートの表面に意図した色彩を与えるものである。通常不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。基材が白色であることを活かす場合や、基材自身が適切に着色されている場合にはベタ印刷層の形成を行う必要はない。
ベタ印刷層の形成に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
このベタ印刷層の厚さは1〜20μm程度であることが好ましい。
絵柄層32は、化粧シートに装飾性を与えるものであり、基材20上に、又はベタ印刷層31上に、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層32に用いる絵柄インキとしては、ベタ印刷層に用いるインキと同様のものを用いることができる。
<プライマー層>
本発明の化粧シート10は、基材20上にプライマー層40を有し、該プライマー層上に盛上層50を有することが好ましい。該プライマー層には種々の機能を持たせることができる。
その機能の一つとして艶消し機能がある。すなわち、当該プライマー層に艶消剤を含有させ、化粧シート全体の艶を下げる機能である。
当該艶消剤としては、無機微粒子及び有機微粒子のいずれであってもよい。当該微粒子の例としては、無機微粒子として、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、カオリナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラスなどの粒子を挙げることができ、有機微粒子として、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物などの粒子を挙げることができる。これらのうち、本発明の効果の点から、シリカ粒子が好適であり、効果及び取扱い性の観点から、その粒径は1〜10μmの範囲が好ましく、さらには2〜5μmの範囲が好ましい。
また、これらの微粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、プライマー層が有する他の機能として浸透防止機能がある。すなわち、盛上部を構成する樹脂組成物及び表面保護層を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物が、基材中に浸透することを抑制する機能である。基材が紙や不織布などの浸透性基材である場合に特に効果を発揮する。
また、基材20又は装飾層30と盛上層50との接着性を高める機能をも併せて持たせることもできる。
<裏面プライマー層>
本発明の化粧シートにおいては、装飾層、盛上層、表面保護層等が形成される側の反対側、すなわち基材の裏面側に裏面プライマー層70を設けることができる。裏面プライマー層によって、後述する化粧板を作製するに際し、基板との密着性及び接着性を向上させることができる。
裏面プライマー層に用いる材料としては、基板との密着性及び接着性を向上させることができるものであれば特に制限はなく、具体的には、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂などが好ましく挙げられ、なかでもウレタン樹脂が好ましい。なお、裏面プライマー層7用いられる材料は被着材によって、適宜選択される。
また、裏面プライマー層の厚さは、1〜5μm程度であることが好ましく、より好ましくは1〜3μmである。厚さが上記範囲内であると、効率よく、プライマー層としての優れた性能を得ることができる。
<化粧板>
本発明の化粧シート10は、各種基板に貼着して化粧板として使用することができる。被着体となる基板は、特に限定されず、プラスチックシート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの基板、特にプラスチックシートを基板として用いる場合には、化粧シートとの密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン処理及び紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
プラスチックシートとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等からなるものを用いることができ、またこれらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。
木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材等が挙げられる。これらは単独で、又は積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル、火山灰を主原料とした板等が例示される。
これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基材として使用できる。
また、前記基板はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。被着体となる基板としては各種素材の平板、曲面板等の板材、或いは上記素材が単体か或いは複合された立体形状物品(成形品)が対象となる。
化粧シートに、和紙、洋紙、合成紙、不織布、織布、寒冷紗、含浸紙、合成樹脂シート等の裏打ち材を貼着して用いてもよい。裏打ち材を貼着することにより、化粧シート自体の補強、化粧シートの割れや破け防止、接着剤の化粧シート表面への染み出し防止等の作用がなされ、不良品の発生が防止されると共に、取り扱いが容易となることとなり、生産性を向上することができる。
このようにして接着剤を介して毎葉ごとにあるいは連続して化粧シートが載置された基板を、コールドプレス、ホットプレス、ロールプレス、ラミネーター、ラッピング、縁貼り機,真空プレス等の貼着装置を用いて圧締して、化粧シートを基板表面に接着し、化粧板とする。
接着剤はスプレー、スプレッダー、バーコーター等の塗布装置を用いて塗布する。この接着剤には、酢酸ビニル樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、イソシアネート系等の接着剤を、単独であるいは任意混合した混合型接着剤として用いられる。接着剤には、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、クレー、チタン白等の無機質粉末、小麦粉、木粉、プラスチック粉、着色剤、防虫剤、防カビ剤等を添加混合して用いることができる。一般に、接着剤は固形分を35〜80質量%とし、塗布量50〜300g/m2の範囲で基板表面に塗布される。
化粧シートの基板上への貼着は、通常、本発明の化粧シートの裏面に接着剤層を形成し、基板を貼着するか基板の上に接着剤を塗布し、化粧シートを貼着する等の方法による。
以上のようにして製造される化粧板は、任意切断し、表面や木口部にルーター、カッター等の切削加工機を用いて溝加工、面取加工等の任意加飾を施すことができる。そして種々の用途、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装又は外装材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の表面化粧板、キッチン、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装、外装等に用いることができる。
<化粧タックシート>
本発明の化粧シート10は、基材側に粘着剤層を設けて、化粧タックシートとして用いることができる。この化粧タックシートは、上記の基板に粘着剤層を介して貼着し、化粧板を製造することができる。
粘着剤層に用いられる粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤等の粘着剤が好ましく挙げられ、耐久性及び粘着性能の点でアクリル系粘着剤がより好ましい。アクリル系粘着剤としては、例えば、炭素数2〜14(メタ)アルキルアクリレートが好ましく挙げられる。
化粧タックシートと基板とを積層して化粧板を製造する際、粘着剤層を介して直接積層してもよいが、これらの層のより強固な接着性を得るために、化粧タックシートと基板との間に粘着補強層を設けることも可能である。この粘着補強層は、化粧タックシートの基材の表面保護層を設ける面とは反対側の面(裏面プライマー層を設ける場合は裏面プライマー層の面)、基板のいずれに設けてもよい。粘着補強層を基板に設ける処理、及び基板と化粧タックシートとの接着処理は、通常現場にて施工し行う。
粘着補強層は、基板に設けることが好ましく、固形物換算での塗工量が3〜20g/m2となるように塗布することが好ましい。粘着補強層の材質としては、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム等からなるゴム系接着剤が好ましく、不燃性確保の観点からクロロプレンゴム系接着剤であることが特に好ましい。
粘着補強層の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、20〜100μmであることがより好ましい。5μm以上であると基材との良好な接着性が得られ、200μm以下であると良好な曲げ加工性が得られる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例で得られた化粧シートについて、以下の方法で評価した。
(1)盛上部の占有面積比
オリンパス(株)製、非接触表面粗さ計「3次元測定顕微鏡」STM6ZP(商品名)を用い、倍率50倍、測定ピッチ0.10mm、駆動スピードは高速の条件で盛上部の占有面積を測定した。該占有面積を化粧シートの平面の面積で除して盛上部の占有面積比を求めた。
(2)十点平均表面粗さ(Rz)
十点平均粗さRzを、JIS B 0601:2001に準拠して、測定長8mm、カットオフ値0.8mmで測定した
(3)表面の触感
人の手で接触した感触を以下の基準で評価した。
◎:大きな盛上感がある
○:盛上感がある
△:若干の盛上感がある
×:殆ど盛上感が無い
(4)耐汚染性
JIS K−6902に準拠して、汚染物を化粧シートの表面に塗布し、ふき取った後の汚染物の残存具合を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
◎;汚染物の残存は全くない
〇;汚染物の残存がかすかに見られる
△;汚染物の残存はあるものの軽微なもので実用上問題がない
△×;凹部に汚染物の残存が見られる
×;汚染物の残存が著しい
(5)化粧シートの曲げ加工性
Vカット加工を行ったのち、目視にてVカット部分の確認を行い、下記の判定基準で評価した。
◎;化粧シートの表面の割れはまったく確認されなかった。
〇;化粧シートの割れが軽微であり、実用上問題ない。
△;化粧シートの割れが若干確認された。
×;化粧シートの割れが著しかった。
実施例1
易接着処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績(株)製「A4100(厚さ;50μm)」)の易接着処理面上の全面に、アクリル樹脂と硝化綿をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて、塗工量5g/m2の層をグラビア印刷にて施してベタ印刷層とした。その上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、木目模様の絵柄層をグラビア印刷にて形成し、装飾層を得た。
次いで、プライマーインキ((株)昭和インク工業所製アクリル系インキ「EBF同調プライマー」)に艶消剤としてシリカを加えたインキ組成物をグラビア印刷にて施して、浸透防止機能を有するプライマー層を形成した。
次に、アクリル樹脂を主成分とした盛り上げ用のインキ(大日精化工業(株)製、商品名:KKBキュアUセミマットメヂウム)を用いて、不定型な形状の絵柄の盛上部が形成できるような版型を用い、グラビア印刷にて複数の盛上部を形成して、盛上層を形成した。ここで、版型は、全平面に対する盛上部の占有面積比が2%となり、かつ盛上部の高さが5μmとなるような版深とした。
この盛上層上に電子線硬化性樹脂(大日精化工業(株)製「REB−GE」)に焼成カオリン粒子5質量%、珪フッ化マグネシウム0.5質量%を添加した電子線硬化性樹脂組成物を塗工量4g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量30kGy(3Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて表面保護層とし、化粧シートを得た。
該化粧シートについて、上記評価を行った結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上部の占有面積比が25%となるような版型を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
実施例3
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上部の高さが35μmとなり、かつ全平面に対する盛上部の占有面積比が2%となる版型を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
実施例4
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上部の高さが35μmとなり、かつ全平面に対する盛上部の占有面積比が25%となる版型を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
比較例1
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上層を設けないこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
比較例2
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上部の高さが2μmとなり、かつ全面積に対する盛上げ部分の占有面積比が25%となる版型を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
比較例3
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上部の高さが35μmとなり、且つ全面積に対する盛上げ部分の占有面積比が1%となる版型を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
比較例4
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上部の高さが40μmとなり、且つ全面積に対する盛上げ部分の占有面積比が30%となる版型を用いたこと以外は実施例3と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
本発明によれば、例えば、木目模様であれば実際の木の触感及び艶感に近い意匠を付与することができ、内装材等に高級感を与える化粧シートを提供することができる。本発明の化粧シートは、建築物の内装、外装、家具、建具等の表面化粧、車両の内装等に好適に用いられる。
10.化粧シート
20.基材
30.装飾層
31.ベタ印刷層
32.絵柄層
40.プライマー層
50.盛上層
60.表面保護層
70.裏面プライマー層

Claims (5)

  1. 基材上にプライマー層を有し、該プライマー層上に少なくとも、部分的に設けられた盛上層と、該盛上層が形成された領域及び該盛上層が形成されていない領域とを含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する化粧シートであって、該プライマー層が艶消剤を含有し、該盛上部が盛り上げ用インキにより形成されたものであり、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、表面の十点平均粗さが5〜35μmであり、かつ前記盛上層の占有面積比が2〜25%である化粧シート。
  2. 前記基材と前記盛上層の間に、さらに装飾層を有する請求項に記載の化粧シート。
  3. 前記装飾層がベタ印刷層又はベタ印刷層の上に絵柄層を有してなる請求項に記載の化粧シート。
  4. 前記表面保護層の厚さが1〜20μmである請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
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