JP6582380B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
このような表面化粧板に使用される化粧シートには、触感、マット感、光沢感、耐汚染性に加え、意匠性に優れることなど、種々の特性が要求されている。
これらのうち、特に、触感、マット感、光沢感、意匠性を得るために、化粧シートの表面に盛上部を設けることが提案されている。
このような化粧シートとして、例えば、特許文献1には、化粧シートの表面に多角形や円形の規則的もしくは定形な盛上部を設けた化粧シート、特許文献2には、盛上部の凹凸の高低差及び凸部の表面積割合を限定した化粧シート、特許文献3には、表面の電離放射線硬化性樹脂のインキからなる凹凸部を設けた化粧シートが開示されている。
しかしながら、これらの化粧シートは、シートとしての、耐傷性、耐汚染性、触感、マット感及び光沢感が十分ではなく、意匠性についてもさらなる向上が求められていた。
以下、本発明の化粧シートについて、好適な態様を示す図1を用いて詳細に説明する。
本発明の化粧シート10における基材20としては、通常化粧シートの基材として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、プラスチックシート等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
これらの基材、特にプラスチックフィルムやプラスチックシートを基材として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
また該基材はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い各種紙が挙げられる。さらには、事務分野や通常の印刷、包装などに用いられるコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等を用いることもできる。また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布や不織布も基材として使用することができる。各種繊維としてはガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、アクリル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成樹脂繊維が挙げられる。
<盛上層>
本発明の化粧シートにおける盛上層50は、基材20と表面保護層60の間に位置し、化粧シートに触感を付与し、意匠性を高める機能を有するものである。
本発明において、盛上層の高さは、表面保護層を設けた後の化粧シートの表面の十点平均粗さ(Rz)が5〜35μmの範囲となる高さであることを必須とする。化粧シート表面の十点平均粗さ(Rz)が5μm未満であると、化粧シートの表面に十分な触感を付与することができない。一方、当該十点平均粗さ(Rz)が35μmを超えると、曲げ加工性に劣る。以上の観点から、本願発明の化粧シート表面の十点平均粗さ(Rz)は10〜25μmの範囲であることが好ましい。
また、盛上層の占有面積比は化粧シートの平面の面積に対して2〜25%の範囲である。当該占有面積比が2%以下であると、化粧シートの表面に十分な触感を付与することができない。一方、占有面積比が25%を超えると、曲げ加工性に劣る。その上、化粧シートの表面の触感も悪化するとともに、汚染性も低下する。以上の観点から、占有面積比は5〜25%の範囲であることが好ましい。
このような盛上層の厚さ及び占有面積比の範囲を選択することにより、化粧シートに、特に好適な触感を付与することができる。
なお、盛上層の占有面積比とは、盛上部の底面の面積の化粧シートの平面の面積に対する比率をいう。
また、盛上層の材料としては、特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物等を用いることができる。これらのうち、特に、ベヒクル成分として、アクリル系、ポリエステル系、アクリルウレタン系、ウレタン系の樹脂で水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基を有する樹脂に、硬化剤としてポリイソシアネートを添加した2液硬化型樹脂が表面性能維持及びコストの点から望ましい。
本発明の化粧シート10における表面保護層60は、前記盛上層50上に存在し、部分的に設けられた盛上層と、該盛上層が形成された領域及び該盛上層が形成されていない領域とを含む全面にわたって被覆するもので、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化したもので構成される。ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性樹脂は、具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート単量体が好適である。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。化粧シートの長期使用を図るために添加するものである。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
このようにして調製された塗工液を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。
ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
本発明の化粧シート10では、化粧シートに装飾性を付与するために、装飾層30を設けることができる。装飾層は基材20と盛上層50の間に設けることが好ましく、より具体的には、図1に好適な態様として示すように、基材20上に設けることが好ましい。装飾層はベタ印刷層31のみからなってもよく、ベタ印刷層31と絵柄層32により構成されてもよい。
本発明の化粧シートにおいて、基材上に設けられるベタ印刷層は、本発明の化粧シートの意匠性を高めるために所望により設けられる、隠蔽層とも称されるものである。ベタ印刷層は、基材の表面の色を整えることで、化粧シート自身が着色していたり、色ムラがあるときに形成して、化粧シートの表面に意図した色彩を与えるものである。通常不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。基材が白色であることを活かす場合や、基材自身が適切に着色されている場合にはベタ印刷層の形成を行う必要はない。
ベタ印刷層の形成に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
このベタ印刷層の厚さは1〜20μm程度であることが好ましい。
絵柄層32に用いる絵柄インキとしては、ベタ印刷層に用いるインキと同様のものを用いることができる。
本発明の化粧シート10は、基材20上にプライマー層40を有し、該プライマー層上に盛上層50を有することが好ましい。該プライマー層には種々の機能を持たせることができる。
その機能の一つとして艶消し機能がある。すなわち、当該プライマー層に艶消剤を含有させ、化粧シート全体の艶を下げる機能である。
当該艶消剤としては、無機微粒子及び有機微粒子のいずれであってもよい。当該微粒子の例としては、無機微粒子として、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、カオリナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラスなどの粒子を挙げることができ、有機微粒子として、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物などの粒子を挙げることができる。これらのうち、本発明の効果の点から、シリカ粒子が好適であり、効果及び取扱い性の観点から、その粒径は1〜10μmの範囲が好ましく、さらには2〜5μmの範囲が好ましい。
また、これらの微粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、基材20又は装飾層30と盛上層50との接着性を高める機能をも併せて持たせることもできる。
本発明の化粧シートにおいては、装飾層、盛上層、表面保護層等が形成される側の反対側、すなわち基材の裏面側に裏面プライマー層70を設けることができる。裏面プライマー層によって、後述する化粧板を作製するに際し、基板との密着性及び接着性を向上させることができる。
裏面プライマー層に用いる材料としては、基板との密着性及び接着性を向上させることができるものであれば特に制限はなく、具体的には、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂などが好ましく挙げられ、なかでもウレタン樹脂が好ましい。なお、裏面プライマー層7用いられる材料は被着材によって、適宜選択される。
また、裏面プライマー層の厚さは、1〜5μm程度であることが好ましく、より好ましくは1〜3μmである。厚さが上記範囲内であると、効率よく、プライマー層としての優れた性能を得ることができる。
本発明の化粧シート10は、各種基板に貼着して化粧板として使用することができる。被着体となる基板は、特に限定されず、プラスチックシート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの基板、特にプラスチックシートを基板として用いる場合には、化粧シートとの密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン処理及び紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材等が挙げられる。これらは単独で、又は積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル、火山灰を主原料とした板等が例示される。
これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基材として使用できる。
化粧シートに、和紙、洋紙、合成紙、不織布、織布、寒冷紗、含浸紙、合成樹脂シート等の裏打ち材を貼着して用いてもよい。裏打ち材を貼着することにより、化粧シート自体の補強、化粧シートの割れや破け防止、接着剤の化粧シート表面への染み出し防止等の作用がなされ、不良品の発生が防止されると共に、取り扱いが容易となることとなり、生産性を向上することができる。
このようにして接着剤を介して毎葉ごとにあるいは連続して化粧シートが載置された基板を、コールドプレス、ホットプレス、ロールプレス、ラミネーター、ラッピング、縁貼り機,真空プレス等の貼着装置を用いて圧締して、化粧シートを基板表面に接着し、化粧板とする。
化粧シートの基板上への貼着は、通常、本発明の化粧シートの裏面に接着剤層を形成し、基板を貼着するか基板の上に接着剤を塗布し、化粧シートを貼着する等の方法による。
本発明の化粧シート10は、基材側に粘着剤層を設けて、化粧タックシートとして用いることができる。この化粧タックシートは、上記の基板に粘着剤層を介して貼着し、化粧板を製造することができる。
粘着剤層に用いられる粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤等の粘着剤が好ましく挙げられ、耐久性及び粘着性能の点でアクリル系粘着剤がより好ましい。アクリル系粘着剤としては、例えば、炭素数2〜14(メタ)アルキルアクリレートが好ましく挙げられる。
粘着補強層の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、20〜100μmであることがより好ましい。5μm以上であると基材との良好な接着性が得られ、200μm以下であると良好な曲げ加工性が得られる。
(評価方法)
各実施例で得られた化粧シートについて、以下の方法で評価した。
(1)盛上部の占有面積比
オリンパス(株)製、非接触表面粗さ計「3次元測定顕微鏡」STM6ZP(商品名)を用い、倍率50倍、測定ピッチ0.10mm、駆動スピードは高速の条件で盛上部の占有面積を測定した。該占有面積を化粧シートの平面の面積で除して盛上部の占有面積比を求めた。
(2)十点平均表面粗さ(Rz)
十点平均粗さRzを、JIS B 0601:2001に準拠して、測定長8mm、カットオフ値0.8mmで測定した
(3)表面の触感
人の手で接触した感触を以下の基準で評価した。
◎:大きな盛上感がある
○:盛上感がある
△:若干の盛上感がある
×:殆ど盛上感が無い
(4)耐汚染性
JIS K−6902に準拠して、汚染物を化粧シートの表面に塗布し、ふき取った後の汚染物の残存具合を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
◎;汚染物の残存は全くない
〇;汚染物の残存がかすかに見られる
△;汚染物の残存はあるものの軽微なもので実用上問題がない
△×;凹部に汚染物の残存が見られる
×;汚染物の残存が著しい
(5)化粧シートの曲げ加工性
Vカット加工を行ったのち、目視にてVカット部分の確認を行い、下記の判定基準で評価した。
◎;化粧シートの表面の割れはまったく確認されなかった。
〇;化粧シートの割れが軽微であり、実用上問題ない。
△;化粧シートの割れが若干確認された。
×;化粧シートの割れが著しかった。
易接着処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績(株)製「A4100(厚さ;50μm)」)の易接着処理面上の全面に、アクリル樹脂と硝化綿をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて、塗工量5g/m2の層をグラビア印刷にて施してベタ印刷層とした。その上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、木目模様の絵柄層をグラビア印刷にて形成し、装飾層を得た。
次いで、プライマーインキ((株)昭和インク工業所製アクリル系インキ「EBF同調プライマー」)に艶消剤としてシリカを加えたインキ組成物をグラビア印刷にて施して、浸透防止機能を有するプライマー層を形成した。
次に、アクリル樹脂を主成分とした盛り上げ用のインキ(大日精化工業(株)製、商品名:KKBキュアUセミマットメヂウム)を用いて、不定型な形状の絵柄の盛上部が形成できるような版型を用い、グラビア印刷にて複数の盛上部を形成して、盛上層を形成した。ここで、版型は、全平面に対する盛上部の占有面積比が2%となり、かつ盛上部の高さが5μmとなるような版深とした。
この盛上層上に電子線硬化性樹脂(大日精化工業(株)製「REB−GE」)に焼成カオリン粒子5質量%、珪フッ化マグネシウム0.5質量%を添加した電子線硬化性樹脂組成物を塗工量4g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量30kGy(3Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて表面保護層とし、化粧シートを得た。
該化粧シートについて、上記評価を行った結果を第1表に示す。
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上部の占有面積比が25%となるような版型を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上部の高さが35μmとなり、かつ全平面に対する盛上部の占有面積比が2%となる版型を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上部の高さが35μmとなり、かつ全平面に対する盛上部の占有面積比が25%となる版型を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上層を設けないこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上部の高さが2μmとなり、かつ全面積に対する盛上げ部分の占有面積比が25%となる版型を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上部の高さが35μmとなり、且つ全面積に対する盛上げ部分の占有面積比が1%となる版型を用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
実施例1における盛上部の作製過程において、盛上部の高さが40μmとなり、且つ全面積に対する盛上げ部分の占有面積比が30%となる版型を用いたこと以外は実施例3と同様にして化粧シートを作製した。該化粧シートについて、実施例1と同様にして評価を行った結果を第1表に示す。
20.基材
30.装飾層
31.ベタ印刷層
32.絵柄層
40.プライマー層
50.盛上層
60.表面保護層
70.裏面プライマー層
Claims (5)
- 基材上にプライマー層を有し、該プライマー層上に少なくとも、部分的に設けられた盛上層と、該盛上層が形成された領域及び該盛上層が形成されていない領域とを含む全面にわたって被覆する表面保護層を有する化粧シートであって、該プライマー層が艶消剤を含有し、該盛上部が盛り上げ用インキにより形成されたものであり、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものであり、表面の十点平均粗さが5〜35μmであり、かつ前記盛上層の占有面積比が2〜25%である化粧シート。
- 前記基材と前記盛上層の間に、さらに装飾層を有する請求項1に記載の化粧シート。
- 前記装飾層がベタ印刷層又はベタ印刷層の上に絵柄層を有してなる請求項2に記載の化粧シート。
- 前記表面保護層の厚さが1〜20μmである請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
- 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シート。
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