JP4978362B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

本発明は表面に、絵柄模様に応じた表面凹凸形状を形成し、本木の表面の凹凸感(以下「木肌感」という)を有すると共に表面の汚染性にも優れる化粧シートに関する。
家具や台所製品のキャビネット等の表面化粧板としては、一般に木質系材料、無機系材料、合成樹脂系材料、鋼板等の金属系材料等に、例えば木目調柄等を印刷した化粧シートを接着剤で貼り合わせた構造のものが用いられている。
ところで、近年の消費者の高級品指向により、床タイルや壁パネル、あるいは家具や台所製品のキャビネット等に対しても高級感が求められるようになり、これらに用いられる化粧板や化粧シートにおいても、高級感を与える外観を有するものが望まれている。そのため、各基材シートの表面に各種の印刷をしたり、絵柄層を有するフィルムを設けたりすることに加えて、触感や質感の付与も重要となってきている。
例えば、化粧シートの表面に凹凸形状を形成するために、表面保護層に合成樹脂ビーズを添加した化粧シートが、既に各種提案されている。(下記特許文献1〜4参照)
しかしながら、これらの提案は、いずれも合成樹脂ビーズが表面保護層により被覆されないため、化粧シートの表面の汚染性が劣っていた。
特開平7−205387号公報 特開平8−34099号公報 特開平10−109392号公報 特開2004−262105号公報
本発明は、このような状況下で、表面に凹凸形状を形成し木肌感を有すると共に汚染性に優れる化粧シートを提供することを課題とする。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、化粧シートの表面保護層の内側の層に合成樹脂ビーズを含有させることにより、合成樹脂ビーズが表面保護層により被覆されることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
即ち、本発明は、基材上に少なくとも、絵柄層と、絵柄層上にプライマー層と、プライマー層を被覆する表面保護層とを有する化粧シートであって、表面保護層が硬化性樹脂組成物を架橋硬化したものであり、プライマー層が平均粒子径5〜30μmの合成樹脂ビーズを含み、該合成樹脂ビーズがプライマー層の上部に突出して表面保護層の表面に凸部を形成し、且つ該凸部が表面保護層により被覆されていることを特徴とする化粧シートを提供するものである。
本発明によれば、表面に凹凸形状を形成し木肌感を有すると共に汚染性に優れる化粧シートを提供することができる。
本発明の化粧シートは、基材上に少なくとも、絵柄層と、絵柄層上にプライマー層と、プライマー層を被覆する表面保護層とを有する。
本発明の化粧シートの典型的な層構成を、図1を用いて説明する。図1は本発明の化粧シート1の一実施態様の断面を示す模式図である。図1に示す例では、基材2上に、所望により設けられる、全面を被覆する一様均一な下塗層7、絵柄層3、所望により設けられるポリオレフィン系樹脂層8、全面を被覆するプライマー層4、所望により設けられる導管インキ層9、及び表面を全面に亘って被覆する表面保護層5がこの順に形成されている。本発明の化粧シート1においては、プライマー層4には合成樹脂ビーズ6が含まれ、合成樹脂ビーズ6がプライマー層4の上部に突出して表面保護層5の表面に凸部を形成し、且つ該凸部が表面保護層により被覆されていることを特徴とする。即ち、該凸部を形成する合成樹脂ビーズ6の表面が露出することなく、表面保護層により被覆されている。これにより、本発明の化粧シート1の表面の汚染性は格段に改良され、耐摩耗性やホフマンスクラッチも良好となる。
以下、図1を用いて各層を構成する要素について詳細に説明する。
本発明で用いられる基材2としては、通常化粧シートの基材として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、プラスチックシート、金属箔、金属シート、金属板、木材等の木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
これらの基材、特にプラスチックフィルムやプラスチックシートを基材として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また基材2はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
基材2として用いられる各種の紙類としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙等が使用できる。これらの紙基材は、紙基材の繊維間ないしは他層と紙基材との層間強度を強化したり、ケバ立ち防止のため、これら紙基材に、更に、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を添加(抄造後樹脂含浸、又は抄造時に内填)させたものでもよい。例えば、紙間強化紙、樹脂含浸紙等である。
これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い各種紙が挙げられる。さらには、事務分野や通常の印刷、包装等に用いられるコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等を用いることもできる。また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布や不織布も基材として使用することができる。各種繊維としてはガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、アクリル繊維、若しくはビニロン繊維等の合成樹脂繊維が挙げられる。
プラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
金属箔、金属シート、又は金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等からなるものを用いることができ、またこれらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。各種の木質系の板としては、木材の単板、合板、集成材、パーチクルボード、又はMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板が挙げられる。窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板等の窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル等が例示される。これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基材2として使用できる。
基材2の厚さについては特に制限はないが、プラスチックを素材とするシートを用いる場合には、厚さは、通常20〜150μm程度、好ましくは30〜100μmの範囲であり、紙基材を用いる場合には、坪量は、通常20〜150g/m2程度、好ましくは30〜100g/m2の範囲である。
図1に示される絵柄層3は化粧シート1に装飾性を与えるものであり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
絵柄層3に用いる絵柄インキとしては、バインダーに顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、硝化綿(ニトロセルロース系樹脂)、酢酸セルロース系樹脂等の中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
次に、プライマー層4としては、含有する合成樹脂ビーズとの接着性が良好な樹脂やプライマー層を挟んで対峙する両層の密着性が向上する樹脂を適宜選定すれば良く、特に制限は無い。例えば、これらの点で、アクリルポリオール樹脂、ウレタン樹脂が好ましく、アクリルポリオール樹脂(例えば、昭和インク工業(株)製、商品名「EBFプライマー」等)が特に好ましい。
アクリルポリオール樹脂は、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体やポリアクリロニトリル樹脂と、ビニルアルコールやヒドロキシアルキルビニルエーテル等の水酸基を有するモノマーとの共重合体である。上記のポリ(メタ)アクリル酸エステル系重合体としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体等を挙げることができる。尚、上記の(メタ)アクリルは、アクリル又はメタアクリルのことである。
ウレタン樹脂は、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とする樹脂である。ウレタン樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂を用いることができる。2液硬化型ウレタン樹脂としては、そのポリオール成分にアクリル−ウレタンブロック共重合体を用いるのが更に好ましい。
また、本発明の化粧シート1は、プライマー層4中に平均粒子径5〜30μmの合成樹脂ビーズ6を含むことを特徴とする。合成樹脂ビーズ6はプライマー層4の上部に突出して表面保護層5の表面に凸部を形成し、これによって化粧シート1の表面に凹凸形状を形成して木肌感を創出するものである。従って、合成樹脂ビーズ6の平均粒子径はプライマー層4及び表面保護層5の厚さとの関係を考慮して決定される必要があるが、少なくとも、合成樹脂ビーズ6の平均粒子径が5μm未満であると、プライマー層4及び表面保護層5を薄くせざるを得ず、合成樹脂ビーズ6の少なくとも外側表面を表面保護層により被覆する工程の生産性が低くなり、プライマー層4及び表面保護層5を厚くすると合成樹脂ビーズ6が塗膜中に埋もれる部分が増大し、木肌感の触感が得られにくくなる。一方、合成樹脂ビーズ6の平均粒子径が30μmを超えると、合成樹脂ビーズ6が表面保護層5から抜け落ち易くなり、化粧シートの耐傷付き性が悪化する。以上の観点から、合成樹脂ビーズ6の平均粒子径は6〜25μmの範囲が好ましい。
本発明において、合成樹脂ビーズを用いるのは、表面が滑らかで略球状のものが多いので、木肌感を得易いからである。
合成樹脂ビーズ6の種類としては特に限定されず、例えばアクリル樹脂ビーズ、スチレン樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズ、ポリエステル樹脂ビーズ等を使用することができるが、透明度の高いウレタンアクリル樹脂ビーズ等のアクリル樹脂ビーズが好ましい。
合成樹脂ビーズ6の添加量は、最適な木肌感が得られるとの観点から、プライマー層4を構成するための樹脂組成物に対して3〜50質量%(固形分換算)の範囲が好ましい。
表面保護層5は硬化性樹脂組成物の架橋硬化したもので構成される。硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物に用いる熱硬化性樹脂としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化型樹脂が挙げられる。中でもウレタン樹脂が好適に使用できる。
ウレタン樹脂の主剤であるポリオール(多価アルコール)としては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アルキッド変性アクリルポリオール等が用いられる。中でもアルキッド変性アクリルポリオールが好ましい。
また、ウレタン樹脂の架橋剤(硬化剤)であるイソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート等が用いられる。
本発明において、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波又は荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、即ち、紫外線又は電子線等を照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等が挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
電離放射線硬化性樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性モノマーや重合性オリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール等が挙げられる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
本発明の化粧シート1において、表面保護層5が艶消し剤を含むことが好ましい。艶消し剤を配合することで、化粧シートの最表面において、光沢を繊細に制御することができる。艶消し剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク等の無機物、ウレタン樹脂、ナイロン、ポリカーボネート等の有機物の粉体が用いられ、通常、該艶消し剤の平均粒子径は0.1〜5μmの範囲である。艶消し剤の添加量は、化粧シートに望まれる艶消し感の程度によって適宜設定すればよく、通例、表面保護層を構成するための樹脂組成物に対して1〜30質量%(固形分換算)の範囲である。
プライマー層4及び表面保護層5の厚さは、合成樹脂ビーズ6がプライマー層4の上部に突出して表面保護層5の表面に凸部を形成するように、合成樹脂ビーズ6の平均粒径(μm)と調整すればよい。通常、それぞれ1〜10μm程度の間で適宜設計される。また、塗工方法は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等、各種方法が可能であるが、グラビアコートが最も一般的である。
図1に示される、全面を被覆する一様均一な下塗層7は、本発明の化粧シートの意匠性を高める目的で所望により設けられる、隠蔽層、あるいは全面ベタ層とも称されるものである。下塗層7は基材2上の表面の色を整えることで、基材2自身が着色していたり、色ムラがあるときに形成して、基材2の表面に意図した色彩を与えるものである。通常不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。基材2が白色であることを活かす場合や、基材2自身が適切に着色されている場合には下塗層7の形成を行う必要はない。
下塗層の形成に用いられるインキとしては、上述の絵柄層3に用いるインキと同様のものを用いることができる。
この下塗層7は厚さ1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
本発明の化粧シート1においては、図1に示されるように、必要に応じて、絵柄層3とプライマー層4との間にポリオレフィン系樹脂層8を設けても良い。合成樹脂ビーズ6を含むプライマー層4から絵柄層3をより好適に保護するためである。また、このポリオレフィン系樹脂層8を設けることにより、化粧シート1の意匠の奥行き感が増す(意匠感が増す)という効果もある。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(低密度、又は高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂、或いは各種のオレフィン系熱可塑性エラストマーが用いられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンとの混合物(例えば、アイソタクチックポリプロピレン/アタクチックポリプロピレン=10/90〜90/10(質量比));アタクチックポリプロピレンのハードセグメントと水素添加スチレンブタジエンゴムのソフトセグメントとからなるオレフィン系熱可塑性エラストマー;エチレン−プロピレン−ブテン共重合体(特に、ランダム共重合体)樹脂からなる熱可塑性エラストマー(ブテンとして、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる);(A)ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン重合体(結晶性高分子)をハードセグメントとし、これに(B)部分架橋したエチレン−プロピレン共重合体ゴム、不飽和エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重合体ゴムをソフトセグメントとし、これらを均一に配合し混合してなるオレフィン系エラストマー(特に、モノオレフィン共重合体ゴム/オレフィン重合体=50/50〜90/10(質量比));(B)未架橋モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)と、(A)オレフィン系共重合体(結晶性、ハードセグメント)と架橋剤とを混合し、加熱し剪断応力を加えつつ動的に部分架橋させてなるオレフィン系エラストマー(特に、(B)モノオレフィン共重合体ゴム/(A)オレフィン系共重合体=60/40〜80/20(質量比));(A)アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等のペルオキシドと混合・加熱すると分子量を減じ、流動性を増すペルオキシド分解型オレフィン重合体(ハードセグメント)と、(B)エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のペルオキシドと混合・加熱することにより、架橋して流動性が減じるペルオキシド架橋型モノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)、(C)ポリイソブチレン、ブチルゴム等のペルオキシドと混合・加熱しても架橋せず、流動性が不変の、ペルオキシド非架橋型炭化水素ゴム(ソフトセグメント兼流動性改質成分)、及び(D)パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の鉱物油系軟化剤、とを混合し、有機ペルオキシドの存在下で動的に熱処理してなるオレフィン系エラストマー(特に、(A)が90〜40質量部、(B)が10〜60質量部で、(A)+(B) =100質量部として、これに、(C)及び/又は(D)が5〜100質量部の配合比となるもの);エチレン−スチレン−ブチレン共重合体からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
更に、極性基として水酸基又は/及びカルボキシル基を持たせた、上記いずれかのオレフィン系熱可塑性エラストマーも挙げられる。例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のグラフト重合で水酸基を、また、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の共重合体でカルボキシル基を導入したオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる。これら水酸基、カルボキシル基はどちらか一方、又は両方を併用してもよく、これら極性基は、基材2、絵柄層3、プライマー層4等の他の層との接着性を向上させる作用を持つ。
なお、ポリオレフィン系樹脂層8には、必要に応じ、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤を添加する。
ポリオレフィン系樹脂層8の形成方法は特に限定は無いが、例えばポリオレフィン系樹脂シートを絵柄層3の上に積層するか、或いはTダイ等による溶融押出法で絵柄層3の上に該樹脂の溶融物を積層する事等で形成すれば良い。なお、前記ポリオレフィン系樹脂シートは、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等の公知の成膜方法によって得る。また、ポリオレフィン系樹脂シートの場合、延伸シート、未延伸シートのいずれでも使用可能であるが、成形性の点では、未延伸シートの方が良好である。また、ポリオレフィン系樹脂層8の厚みは用途等によるが、通常は20〜300μm程度である。
ポリオレフィン系樹脂シートは、所望により、上述の基材2の処理と同様に、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことができる。
図1に示される、所望により設けられる導管インキ層9は、表面保護層5より相対的に光沢を低くして、木目導管溝等の平面視形状の絵柄を表現した層である。また、導管インキ層は着色剤により暗色に形成される場合もある。導管インキ層の光沢は、艶消し剤の添加量及び種類で調整する。この導管インキ層9は、表面保護層5を形成する硬化性樹脂組成物に溶出する性質を有するものであり、該硬化性樹脂組成物(未硬化物)との関連で適宜選定されるものである。具体的には、バインダー樹脂として非架橋性樹脂を有するインキであることが好ましく、例えば熱可塑性(非架橋型)ウレタン樹脂等が好適である。また、必要に応じて、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等を混合することができる。これらの樹脂等をバインダーとするビヒクル中に、艶消し剤、更に通常は着色剤等を添加した艶消しインキを使用して、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷法で、木目導管溝柄等として、プライマー層4上に形成すれば良い。なお、艶消し剤としては、表面保護層5に用いられる上述の艶消し剤を使用すれば良い。艶消し剤の平均粒径は1〜10μm程度、添加量は樹脂分に対して5〜30質量%程度である。
さらに、本発明の化粧シート1は、導管インキ層9と絵柄層3とを同調させることが好ましい。特に、絵柄層3が木目模様の場合、木目導管溝柄の導管インキ層9を絵柄層3の導管部に重なるように印刷すると、これにより、見る角度によって、導管部が浮き出て見えたり、沈んで見えたりすることとなり、本物の木目模様と変わらない質感(木肌感)が得られ、極めて高い意匠性を実現することができる。
また本発明における表面保護層5を構成する硬化型樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等を好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル等が挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール等が、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物等が用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の公知の着色用顔料等が用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
本発明における表面保護層5の塗工には、前記の硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、硬化型樹脂組成物からなる塗工液を調製する。この塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、絵柄層3やプライマー層4の表面に、場合によっては導管インキ層9の表面に、未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成する。
本発明においては、このようにして形成された未硬化樹脂層に、熱を加えるか又は電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。
熱硬化の場合の加熱温度は用いる樹脂に応じて適宜決定される。また、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材2として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等を付与することもできる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
各実施例で得られた化粧シートについて、以下の方法で評価した。
(1)艶(光沢度)の評価
日本電色工業(株)製「VG−2000型」を用いて、ASTM D523に準じ、入射角度70度における光沢度を測定した。
(2)手触り感(官能評価)
各実施例及び比較例で得られた化粧シートの表面に触れ、抵抗が強く、木肌感が得られたか、又は抵抗が弱く、木肌感が得られなかったかで判定した。
(3)汚染性
JAS汚染B試験に準拠して評価した。試験片の表面に色が残らないものを○、目視できる程度に色が残るものを△、色残りが目立つものを×とした。
(4)耐摩耗性
JAS摩耗B試験に準拠して評価した。摩耗値が50以上であり、かつ、摩耗量が0.1g以下であるものを○、この基準を満たさなかったものを×とした。
(5)ホフマンスクラッチ試験
BYK Gardner Inc.製のホフマンスクラッチ テスターを用いた試験による評価で、90g以上を合格(ホフマンスクラッチ性に優れる)とした。
実施例1〜5及び比較例1〜2
基材2として、厚み45μmのポリエチレンテレフタレート(PET)原反を用い、その片面にアクリル樹脂とウレタン樹脂をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて、塗工量5g/m2の(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施して下塗層7とした。その上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、木目模様の絵柄層3をグラビア印刷にて形成した。
次に、絵柄層3の上に、ポリオレフィン系樹脂層8としてポリプロピレン系樹脂(アタクチックポリプロピレンのハードセグメントと水素添加スチレンブタジエンゴムのソフトセグメントとからなるオレフィン系熱可塑性エラストマー)からなる厚み60μmの樹脂シートを、樹脂シートの接着面をコロナ放電処理後、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤(ポリエステルポリオールの主剤とヘキサメチレンジイソシアネート系の硬化剤との100対5質量比混合物)を用いて、ドライラミネートした。
更に、ポリオレフィン系樹脂層8の上に、アクリルポリオール樹脂(昭和インク工業(株)製、商品名「EBFプライマー」)とウレタンアクリル樹脂ビーズとシリカ(平均粒径1.7μm)と消泡剤とを表1に示す配合量となるように酢酸エチル(溶剤)に溶解又は分散して得た樹脂組成物をグラビアダイレクト法(グラビア印刷でも良い)により塗工し、プライマー層4を得た。
次いで、数平均分子量30,000、ガラス転移温度(Tg)−62.8℃のポリエステルウレタン系樹脂をバインダーとした透明インキ100質量部に対して、平均粒子径1.5μmのシリカ粒子を10質量部配合したインキ組成物を用いて木目模様の導管部分に位置同調するようにグラビア印刷にて導管インキ層9を形成した。
次に、3官能アクリレートモノマーであるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリアクリレートを60質量部と6官能アクリレートモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを40質量部とからなる電子線硬化性樹脂と、平均粒子径2μmのシリカ粒子と、添加剤としてシリコーンアクリレートオリゴマーを表1に示す配合量となるように混合して電子線硬化性樹脂組成物を得た。
プライマー層3及び導管インキ層9の上に、この電子線硬化性樹脂組成物をグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層5とした。なお、表1にあるように、比較例2では、表面保護層5にウレタンアクリル樹脂ビーズを表1の配合量で配合し、プライマー層4には配合しなかった。
次に、70℃で24時間の養生を行い、化粧シートを得た。プライマー層4の厚さ及び表面保護層5の厚さを表1に示す。
これら7種類の化粧シートについて、艶(光沢度)、手触り感、汚染性、耐摩耗性及びホフマンスクラッチを評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0004978362
実施例1〜5の化粧シートは、比較例1の化粧シートと比較して、いずれも手触り感に優れ、木肌感を有する点で格段に優れており、適度なマット感もあり、且つホフマン スクラッチ性が大幅に改良された。
また、実施例1〜5の化粧シートは、比較例2の化粧シートと比較して、いずれも汚染性及び耐摩耗性が大幅に改良された。
本発明の化粧シートは、表面に凹凸感を有し、特に木目模様に用いた場合には、木肌感を有する。また、汚染性、耐摩耗性及びホフマン スクラッチ性にも優れるので、化粧シートとして、住宅等の建築物の内装材、造作材、建具等の建築資材、家具や台所製品のキャビネット等の家具什器類、住設機器又は家電製品等の外装材、自動車用フロントパネル等の車両内装材や車両外装材等の各種用途に好適に用いられる。
本発明の化粧シートの一実施態様の断面を示す模式図である。
符号の説明
1.化粧シート
2.基材
3.絵柄層
4.プライマー層
5.表面保護層
6.合成樹脂ビーズ
7.下塗層
8.ポリオレフィン系樹脂層
9.導管インキ層

Claims (8)

  1. 基材上に少なくとも、絵柄層と、絵柄層上にプライマー層と、プライマー層を被覆する表面保護層とを有する化粧シートであって、表面保護層が硬化性樹脂組成物を架橋硬化したものであり、プライマー層が平均粒子径5〜30μmの合成樹脂ビーズを含み、該合成樹脂ビーズがプライマー層の上部に突出して表面保護層の表面に凸部を形成し、該凸部を形成する合成樹脂ビーズの表面が露出することなく表面保護層により被覆されており、且つ該合成樹脂ビーズがウレタンアクリル樹脂ビーズであることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記プライマー層がアクリルポリオール樹脂又はウレタン樹脂を含む請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記表面保護層がさらに艶消し剤を含む請求項1に記載の化粧シート。
  4. 前記硬化性樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である請求項4に記載の化粧シート。
  6. 前記絵柄層と前記プライマー層との間に、更にポリオレフィン系樹脂層を設けてなる請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 前記プライマー層と前記表面保護層との間に、更に導管インキ層を設けてなる請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シート。
  8. 絵柄層が導管インキ層と同調する請求項7に記載の化粧シート。
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