JP7225635B2 - 化粧材 - Google Patents

化粧材 Download PDF

Info

Publication number
JP7225635B2
JP7225635B2 JP2018179197A JP2018179197A JP7225635B2 JP 7225635 B2 JP7225635 B2 JP 7225635B2 JP 2018179197 A JP2018179197 A JP 2018179197A JP 2018179197 A JP2018179197 A JP 2018179197A JP 7225635 B2 JP7225635 B2 JP 7225635B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
pattern
decorative
surface region
imparting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018179197A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020049702A (ja
Inventor
一葉 大竹
健 小笠原
祥太 西根
紘己 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2018179197A priority Critical patent/JP7225635B2/ja
Publication of JP2020049702A publication Critical patent/JP2020049702A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7225635B2 publication Critical patent/JP7225635B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、化粧材に関するものである。
壁、天井、床等の建築物の内装用部材又は外壁、屋根等の外装用部材、窓枠、玄関ドア等の各種扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具又は造作部材の他、キッチン、家具又は弱電製品、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装用部材又は外装用部材には、一般的に、樹脂部材、木質部材、金属部材等の各種部材を被着材として、これらの被着材に化粧材を貼り合わせたもの等が用いられる。
このような用途に用いられる化粧材としては、例えば、基材上に、低艶絵柄インキ層からなる模様、表面保護層等を有し、該模様領域とその周辺領域との間に艶差を有するように構成された化粧材が提案されている。この化粧材においては、かかる艶差に起因した視覚的効果によって、実在の凹部は未形成で実質上表面が平坦部であるにも関わらず、エンボス(賦型)加工がなくても、印刷及び塗布工程のみで、該模様領域が凹部として認識される(例えば、特許文献1及び2)。
特開昭49-39166号公報 特開2005-125780号公報
ところで、近年の消費者の高級品志向の高まり、あるいは志向の多様化に伴い、上記の内装用部材、外装用部材等に求められる意匠性への要望は、複雑化し、またより厳しくなっている。特許文献1及び2に記載される化粧材は、艶差により凹凸感を有しており、優れた意匠性を有するものではあるものの、凹凸感は凹部及び凸部の2段階(又は2階調)のみと単調であるとともに、視覚的凹凸感の段差自体も少ないものである。そのため、より複雑化し、かつ厳しくなっている意匠性への要望に対応できない場合が生じるようになっている。
本発明は、このような状況下になされたもので、エンボス(賦型)加工がなくても、印刷及び塗布工程のみで、実在の凹凸による多段階の階調表現により、高い意匠性を有する化粧材を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の構成を有する化粧シート、及びこれを用いた化粧材に係る発明により前記課題を解決できることを見出した。
[1]基材と、模様層と、浸透防止層及び触感付与層から選ばれる少なくとも一の層と、表面層とを有し、該模様層及び該少なくとも一の層が該基材の一方の面側の同一面上の一部に設けられ、該表面層が該模様層と該少なくとも一の層とを覆うように全面にわたって設けられ、該表面層の表面に、該模様層が設けられる領域の直上部に表面領域1と、該浸透防止層が設けられる領域の直上部に表面領域2及び該触感付与層が設けられる領域の直上部に表面領域3から選ばれる少なくとも一の表面領域と、該模様層、該浸透防止層及び該触感付与層が設けられていない領域の直上部に表面領域4と、を有し、該表面領域1と該表面領域2及び該表面領域3から選ばれる少なくとも一の表面領域と、該表面領域4とにより形成される模様を有する化粧材。
[2]前記基材と、前記模様層及び前記少なくとも一の層との間に、更に浸透層を有する上記[1]に記載の化粧材。
[3]前記基材と、前記模様層及び前記少なくとも一の層との間に、更に装飾層を有する上記[1]又は[2]に記載の化粧材。
本発明によれば、エンボス(賦型)加工がなくても、印刷及び塗布工程のみで、実在の凹凸による多段階の階調表現により、高い意匠性を有する化粧材を提供することができる。
本発明の化粧材の一例の断面を示す模式図である。 本発明の化粧材の一例の断面を示す模式図である。 本発明の化粧材を用いた化粧部材の一例の断面を示す模式図である。
〔化粧材〕
本発明の化粧材は、基材と、模様層と、浸透防止層及び触感付与層から選ばれる少なくとも一の層と、表面層とを有し、該模様層及び該少なくとも一の層が該基材の一方の面側の同一面上の一部に設けられ、該表面層が該模様層と該少なくとも一の層とを覆うように全面にわたって設けられ、該表面層の表面に、該模様層が設けられる領域の直上部に表面領域1と、該浸透防止層が設けられる領域の直上部に表面領域2及び該触感付与層が設けられる領域の直上部に表面領域3から選ばれる少なくとも一の表面領域と、該模様層、該浸透防止層及び該触感付与層が設けられていない領域の直上部に表面領域4と、を有し、該表面領域1と該表面領域2及び該表面領域3から選ばれる少なくとも一の表面領域と、該表面領域4とにより形成される模様を有するというものである。
本発明の化粧材の構成を、図1及び2を用いて説明する。図1は、本発明の化粧材10の一例の断面を示す模式図であり、(1-1)は基材11の一方の面11f側に、模様層12、浸透防止層13及び表面層15を有しており、模様層12及び浸透防止層13が基材11の一方の同一面上の一部に設けられている。また、模様層12が設けられている領域、浸透防止層13が設けられている領域、並びに模様層12及び浸透防止層13が設けられていない領域(「表面層15と直接接する基材11の領域」ともいえる。)の直上部に、各々表面領域1(15a)、表面領域2(15b)及び表面領域4(15d)を有しており、基材11の一方の面11f上に、これらの表面領域の高さに対応した凹凸形状による模様が形成されている。
(1-1)の化粧材においては、表面層15を形成する樹脂組成物の、該表面層15に接する層への浸透性は、模様層12、基材11、浸透防止層13の順となるため、該表面層15の表面領域の同一面(この場合は、基材の一方の面11f)を基準とした高さは、模様層12が設けられている領域の直上部の表面領域1(15a)、基材11の直上部、すなわち模様層12及び浸透防止層13が設けられていない領域の直上部の表面領域4(15d)、浸透防止層13が設けられている領域の直上部の表面領域2(15b)の順に高くなっている。このように、本発明の化粧材は、表面層15を形成する樹脂組成物の、各層に対する浸透性の違いに応じて表面領域の高さを調整することにより、多段階の階調表現を可能とし、高い意匠性を有するものとなる。
本発明の化粧材は、図1の(1-2)に示されるように、浸透防止層13の代わりに触感付与層14を設けることで、表面層15の表面に、該触感付与層14が設けられている領域の直上部の表面領域3(15c)の高さが表面層15の他の表面領域の高さよりも突出することによる高さの階調表現に加えて、触感表現も可能となり、消費者の高級品志向、あるいは志向の多様化に伴うより複雑化した意匠性の要望にも対応することが可能となる。図(1-2)及び(1-3)には、触感付与層14に触感をより向上させるために、触感付与粒子14aが含まれていることが示されている。また、本発明の化粧材は、図1の(1-3)に示されるように、浸透防止層13と触感付与層14とを同時に有するものとすることもでき、更に複雑化した意匠性の要望に対応することが可能である。また、本発明の化粧材は、エンボス版の押圧による賦型工程を行うことなく、各層をパターン印刷して表面層を形成することのみにより、該各層に対応する他段階の高さを有する表面領域を形成することができるので、パターン印刷のパターンをかえるだけで、より複雑化し、かつ多様化する消費者の要望に容易に対応することができる。
以下、本発明の化粧材を構成する各層について、説明する。
(基材11)
基材は、通常化粧材の基材として用いられるものを制限なく採用することができ、例えば、紙、不織布又は織布、樹脂、木材、金属、非金属無機材料等からなる基材が代表的に挙げられる。基材の厚みも特に制限はなく、フィルム、シート、又は板状の形態のものを所望に応じて適宜用いることができるが、通常は、フィルム又はシートとして20~300μm程度、板としては500μm~10cm程度のものが用いられる。
これらの基材は、表面層を形成する樹脂組成物を基材に浸透させて階調表現を行おうとする場合には、紙、不織布又は織布のような液体浸透性を有する基材を選択すればよいし、基材に浸透させることによる階調表現が不要であれば樹脂基材のような液体浸透性が低い基材を選択すればよい。
紙基材としては、例えばクラフト紙、チタン紙、リンター紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、樹脂含浸紙、薄葉紙、和紙等が挙げられる。不織布又は織布の基材としては、例えばガラス繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機繊維、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の各種合成樹脂の有機繊維で構成される不織布又は織布、またこれらの複合体等の基材が挙げられる。
また、樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、アイオノマー等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、エチレングリコール-テレフタル酸-イソフタル酸共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート-ブチル(メタ)アクリレート共重合体等のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(以下、「ABS樹脂」とも称する。)、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂からなる樹脂基材が挙げられる。
木材としては、杉、檜、松、樫、ラワン、チーク、ゴムの木等の各種樹種の木材からなる木材基材が挙げられる。木材基材は、突板と称されるフィルム、又はシート形態、あるいは単板、合板、集成材、パーチクルボード、繊維板等の板形態とすることができる。
金属としては、鉄、アルミニウム、銅、錫、チタニウム、これらの金属を少なくとも一種含む合金(例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、ジュラルミン、真鍮、青銅等)等からなる金属基材が挙げられる。
また、非金属無機材料としては、セメント、石膏、珪酸カルシウム、陶磁器、各種セラミックス等が挙げられる。
基材は、着色されていてもよいし、着色されていなくてもよく(透明でもよく)、着色されている場合、着色の態様には特に制限はなく、透明着色であってもよいし、不透明着色(隠蔽着色)であってもよく、これらは任意に選択できる。
基材は、着色されている場合、着色剤としては、例えば、チタン白等の白色顔料、鉄黒、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、ニッケル-アゾ錯体、アゾメチンアゾ系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の着色剤が挙げられる。例えば、化粧シートを貼着する被着材の表面色相がばらついている場合に、表面色相を隠蔽し、所望に応じて設けられる装飾層の色調の安定性を向上させたい場合は、白色顔料等の無機顔料を用いればよい。
樹脂の着色の場合は、樹脂中への添加(混練、練り込み)、樹脂バインダと着色剤とを含む塗料の塗膜の塗布による形成等の、いずれの手段を採用することができる。紙、不織布、又は織布の着色の場合は、パルプや繊維材料との混抄、あるいは塗膜形成等のいずれかの手段、又はこれらの併用により行うことができる。
木材の着色の場合は、染料による染色、あるいは塗膜形成のいずれかの手段、又はこれらの併用により行うことができる。金属の着色の場合、塗膜形成の他、陽極酸化法を用いて表面に金属酸化物皮膜を形成する解着色法等を採用することができる。また、非金属無機材料の場合、塗膜形成、あるいは基材中への添加のいずれかの手段、又はこれらの併用により行うことができる。
基材には、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレーなどの無機充填剤、水酸化マグネシウムなどの難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。添加剤の配合量は、加工特性等を阻害しない範囲であれば特に制限はなく、要求特性等に応じて適宜設定できる。
本発明の化粧材の耐候性を向上させる観点から、上記添加剤の中でも、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を用いることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、化粧材に汎用される紫外線吸収剤を特に制限なく用いることができ、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。光安定剤としても、化粧材に汎用される紫外線吸収剤を特に制限なく用いることができ、例えばピペリジニルセバケート系光安定剤等のヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。また、これらの紫外線吸収剤、光安定剤は、分子中に(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性二重結合を有する反応性官能基を有するものであってもよい。
これらの紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤、その他各種添加剤は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、上記の基材を単独で、又は複数種を組み合わせて用いることもできる。複数の紙基材を組み合わせたものであってもよいし、紙基材と繊維基材、紙基材と樹脂基材、繊維基材と樹脂基材、紙基材と繊維基材と樹脂基材とを組み合わせたものであってもよい。また、樹脂基材については、上記樹脂の単層、あるいは同種又は異種樹脂による複層のいずれの構成であってもよい。
基材の形状としては、特に制限はなく、所望に応じて適宜選択すればよく、例えば、平板状のものでもよいし、曲面を有するものでもよいし、また角を有するもの等の非平板状のものであってもよい。図1~3には、平板状(「シート状」ともいえる。)の化粧材が示されているが、本発明の化粧材の形状は、これに限られるものではない。化粧材の製造のしやすさ、用途、加工のしやすさ等を考慮すると、平板状であることが好ましい。
基材の厚さは、耐候性、耐傷性等の表面特性、加工特性、取扱の容易さ等を考慮すると、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、40μm以上が更に好ましい。上限としては、200μm以下が好ましく、160μm以下がより好ましく、100μm以下が更に好ましい。
基材は、基材と他の層との層間密着性の向上、各種の被着材との接着性の強化等のために、その片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的表面処理、又は化学的表面処理等の表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン-紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が、表面処理の効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、基材と他の層との層間密着性の向上、各種の被着材との接着性の強化等のために、基材にプライマー層、裏面プライマー層を形成する等の処理を施してもよい。
(模様層12)
模様層は、本発明の化粧材に意匠性を付与する層である。模様層は、好ましくは表面層を形成する樹脂組成物に対して浸透性を有する層であり、該模様層が設けられる領域の直上部に表面領域1を形成し、該表面領域1と他の領域の直上部に形成する表面領域とによる優れた階調表現による模様を形成することができる。模様層は好ましくは他の層よりも浸透性を有することから、該模様層が設けられる領域の直上部の表面領域1は、他の領域の直上部に形成する表面領域よりも相対的に低く、凹部を形成しやすい表面領域となる。
表面層を形成する樹脂組成物に対して浸透性を発現させる方法としては、例えば模様層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂の種類を選定する方法、模様層に充填剤を含有させる方法、これらの方法を組み合わせた方法が主に挙げられる。浸透性の調整のしやすさを考慮すると、少なくとも充填剤を含有させる方法を用いることが好ましい。
模様層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂としては、表面層を形成する樹脂組成物が浸透しやすい性状を有する樹脂であれば特に制限はなく、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
硬化性樹脂としては、表面層を形成する樹脂組成物の浸透性を考慮すると、2液硬化型樹脂が好ましく、例えばポリオールを主剤とし、イソシアネートを硬化剤とするものが挙げられる。主剤のポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、エポキシポリオール等、種々のものがあり、アクリルポリオールが好ましい。アクリルポリオールとしては、塩化ビニル変性アクリルポリオール、塩化ビニル-酢酸ビニル変性アクリルポリオール、塩素化ポリオレフィン変性アクリルポリオール、メチル(メタ)アクリレート-2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、オクチル(メタ)アクリレート-エチルヘキシル(メタ)アクリレート-2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート-ブチル(メタ)アクリレート-2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート-スチレン共重合体等が代表的に挙げられる。
また、イソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環式)イソシアネート;などのポリイソシアネートが用いられる。また、これら各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等も用いられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、熱可塑性(非架橋型)ウレタン樹脂等が好ましく挙げられる。
充填剤としては、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が上げられるが、吸油量、粒径、細孔容積等の材料設計の自由度が高く、表面層を形成する樹脂組成物の浸透性を調整しやすいこと等を考慮すると、シリカが好ましい。
充填剤の吸油量は、表面層を形成する樹脂組成物の浸透性の要求される度合いに応じて適宜選定すればよく、特に制限はないが、より優れた階調表現により模様を形成し、優れた意匠性を得る観点から、好ましくは50mL/100g以上、より好ましくは100mL/100g以上、更に好ましくは150mL/100g以上であり、上限として好ましくは700mL/100g以下、より好ましくは500mL/100g以下、更に好ましくは350mL/100g以下である。なお、本明細書において、吸油量は、JIS K 5101-13-1:2004に準拠して測定した値である。
充填剤の平均粒径は、模様層の厚さにもよるが、より優れた階調表現により模様を形成し、優れた意匠性を得る観点から、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上であり、上限として好ましくは7μm以下、より好ましくは5μm以下である。また、充填剤の平均粒径が上記範囲内であると、該充填剤を含む樹脂組成物のチキソ性が極端に高くなることがなく塗布性能が向上し、結果として優れた意匠性が得られやすくなる。なお、本明細書において、充填剤の平均粒径は、コールターカウンター法、又はレーザー回折法により測定された値である。
模様層に含まれる充填剤は、より優れた階調表現により模様を形成し、優れた意匠性を得る観点から、表面処理されたものであることが好ましい。表面処理に用いられる処理剤としては、各種シリコーンオイル、アルキルシラザン系処理剤、トリメチルシリル化剤、アルコキシシランの他、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネートカップリング剤、ジルコアルミニウム系カップリング剤等の各種カップリング剤、リン酸系、脂肪酸系等の各種界面活性剤等が挙げられる。
模様層に含まれる充填剤の含有量は、該模様層を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、上限としては通常100質量部以下であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。充填剤の含有量が上記範囲内であると、より優れた階調表現により模様を形成し、優れた意匠性が得られ、また該充填剤を含む樹脂組成物のチキソ性が極端に高くなることがなく塗布性能が向上し、結果として優れた意匠性が得られやすくなる。
また、模様層には、所望に応じて、上記基材に含まれ得る添加剤として例示した各種添加剤が含まれていてもよい。中でも、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含んでいることが好ましい。
模様層の厚さは、より優れた階調表現により模様を形成し、優れた意匠性を得ること、また層の形成のしやすさ等を考慮すると、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、上限として好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下である。
(浸透防止層13)
浸透防止層は、表面層を形成する樹脂組成物の浸透を防止する層であり、該浸透防止層が設けられる領域の直上部に表面領域2を形成し、該表面領域2と模様層等が設けられる他の領域の直上部の表面領域とによる優れた階調表現による模様を形成することができる。
浸透防止層は他の層よりも浸透性が低いことから、該浸透防止層が設けられる領域の直上部の表面領域2は、他の領域の直上部に形成する表面領域よりも相対的に高く、凸部を形成しやすい表面領域となる。
表面層を形成する樹脂組成物の浸透を防止する方法としては、例えば浸透防止層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂の種類を選定する方法、浸透防止層に充填剤を含有させない方法、これらの方法を組み合わせた方法が主に挙げられる。浸透性の調整のしやすさを考慮すると、少なくとも充填剤を含有させない方法を用いることが好ましい。
浸透防止層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂としては、表面層を形成する樹脂組成物の浸透性が、上記模様層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂よりも低いものを選定すればよく、上記模様層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂の中から、適宜選択すればよい。例えば、模様層の形成に用いられる樹脂が熱硬化性樹脂である場合、浸透防止層の形成に用いられる樹脂としては、熱硬化性樹脂の中から選定することが好ましい。また、浸透防止層の形成に好ましい各種樹脂組成物に対して、浸透性の低い樹脂としては、シリコーン等のケイ素系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フルオロエチレン-ビニルエーテル共重合体を主鎖に有するフッ素系樹脂等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
浸透防止層には充填剤が含まれていないことが好ましい。浸透防止層が充填剤を含まないと、模様層との浸透性の差がより大きくなるため、より優れた階調表現による模様を形成することができ、より優れた意匠性が得られる。ここで、「充填剤が含まれていない」とは、実質的に充填剤を含まないことを意味し、原則、浸透防止層中の充填剤の含有量が、該浸透防止層を形成する樹脂100質量部に対して0質量部である態様を意味し、また例外的に該浸透防止層を形成する樹脂、その他添加剤等に不可避的に付随して含有する態様も含まれ、この場合の充填剤の含有量は樹脂100質量部に対して0.5質量部以下であることを限度とする。
また、浸透防止層には、所望に応じて、上記基材に含まれ得る添加剤として例示した各種添加剤が含まれていてもよい。中でも、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含んでいることが好ましい。
浸透防止層の厚さは、より優れた階調表現により模様を形成し、優れた意匠性を得ること、また層の形成のしやすさ等を考慮すると、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、上限として好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下である。また、浸透防止層を厚め(例えば10μm以上程度)に形成すると、浸透防止層の厚さによる表面領域2の盛り上げ効果により、階調表現をより強調することが可能である。
(触感付与層13)
触感付与層は、本発明の化粧材に触感を付与する層であり、触感の付与効果は該触感付与層が設けられる領域の直上部の表面領域3により発現するものである。触感を付与する手法としては、表面領域3を凸形状とする盛り上げによる方法、触感付与層中に粒子を含有させて、該粒子の頭出しによる方法が挙げられる。表面領域3は、触感の付与の観点から、表面層における他の表面領域よりも相対的に高く、凸形状を形成していることが好ましい。このように、触感付与層は、より優れた階調表現により模様を形成することもできることから、触感の付与効果とともに、より優れた階調表現による優れた意匠性も発現し得る層であるといえる。
触感付与層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂としては、頭出し等の方法による触感を付与のしやすさを考慮すると、形成後にその形状が維持しやすい樹脂が好ましく、硬化性樹脂が好ましく挙げられる。硬化性樹脂としては、上記模様層を形成し得る硬化性樹脂として例示した2液硬化型樹脂が好ましく挙げられる。
触感付与層は、触感付与効果を向上させるため、触感付与粒子を含有することが好ましい。触感付与粒子としては、無機粒子、ガラスビーズ、樹脂ビーズ等が挙げられる。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリナイト等の粒子が挙げられる。
樹脂ビーズとしては、例えばアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド縮合物、ベンゾグアナミン/メラミン/ホルムアルデヒド縮合物、尿素樹脂、また、熱可塑性樹脂、例えばナイロン等のポリアミド、アクリル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン等のビーズが挙げられる。
これらの触感付与粒子の平均粒径としては、触感付与層の厚さに応じて適宜選択すればよいが、頭出しによる触感付与の効果、触感付与層の形成のしやすさ等を総合的に考慮すると、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、上限として好ましくは70μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは35μm以下である。
触感付与層中の触感付与粒子の含有量は、頭出しによる触感付与の効果、触感付与層の形成のしやすさ等を考慮すると、該触感付与層を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、上限として好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。
また、触感付与層には、所望に応じて、上記基材に含まれ得る添加剤として例示した各種添加剤が含まれていてもよい。中でも、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含んでいることが好ましい。
触感付与層の厚さは、模様層、浸透防止層、表面層等の厚さに応じて適宜決定すればよく、頭出しによる触感付与の効果、触感付与層の形成のしやすさ等を考慮すると、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、上限として好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは15μm以下である。
(表面層)
表面層は、上記模様層、浸透防止層及び触感付与層が設けられる直上部の表面領域、またこれらの層が設けられない表面領域により形成される模様を有する、本発明の化粧材に意匠性を付与する層であるとともに、これらの層を覆うように全面にわたって設けられることから、これらの層を保護し、かつ耐汚染性、耐傷性、耐擦傷性、耐候性等の各種表面特性をも付与し得る層である。
表面層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂としては、主に模様層、浸透防止層への浸透性に差がでやすい樹脂が好ましく、またこれらの層を保護し、かつ各種表面特性を得る観点から、硬化性樹脂が好ましい。硬化性樹脂としては、上記模様層に用いられ得る硬化性樹脂として例示した2液硬化性樹脂のほか、電離放射線硬化性樹脂が好ましく挙げられ、模様層、浸透防止層への浸透性に差がでやすいという性状を考慮すると、電離放射線硬化性樹脂がより好ましい。なお、表面層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂としては、2液硬化型樹脂等の熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂の他、これらの樹脂の複数種を組み合わせた、例えば、電離放射線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを併用したものであってもよく、また、硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを併用する、いわゆるハイブリッドタイプであってもよい。
表面層の形成に好ましく用いられる電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂のことであり、電離放射線硬化性官能基を有するものである。ここで、電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられる。また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含まれる。
電離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。中でも、模様層、浸透防止層への浸透性に差が出やすく、より優れた階調表現を得るために有利である点、より優れた表面特性を得る点を考慮すると、アクリロイル基を有するアクリレートモノマーが好ましい。
また、これと同様の観点から、重合性モノマーの官能基数は好ましくは2以上であり、上限として好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。これらの多官能性(メタ)アクリレートは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。
重合性オリゴマーとしては、例えば、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。これらの重合性オリゴマーは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、模様層、浸透防止層への浸透性に差が出やすく、より優れた階調表現を得るために有利である点、より優れた表面特性を得る点を考慮すると、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
これらの重合性オリゴマーの官能基数は、模様層、浸透防止層への浸透性に差が出やすく、より優れた階調表現を得るために有利である点、より優れた表面特性を得る点を考慮すると、好ましくは2以上であり、上限として好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。
また、これと同様の観点から、これらの重合性オリゴマーの重量平均分子量は、2,500以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、3,500以上が更に好ましい。また、上限としては、15,000以下が好ましく、12,500以下がより好ましく、11,000以下が更に好ましい。ここで、重量平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
表面層には、所望に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤、紫外線遮蔽剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、ブロッキング防止剤、滑剤、溶剤等を添加することができる。中でも、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含んでいることが好ましい。
表面層の厚さは、表面領域により形成される模様の表現、階調表現による意匠性の向上、模様層等の各層の保護、化粧材の表面特性の向上、更には表面層の形成のしやすさ等を考慮すると、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、上限として好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは8μm以下である。
表面領域により形成される模様としては、特に制限なく所望に応じて選択すればよく、例えば、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)、花崗岩板のへき開面等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、レザーのシボを表現したレザー(皮シボ)模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、ヘアライン、万線条溝、梨地、砂目、文字、記号、幾何学模様等、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様が挙げられる。また、これらを複合した模様として、例えば大理石等の石材の砕石を白色セメントに混ぜて固め、磨いて大理石のように仕上げた人造石、いわゆる人造大理石のような模様も挙げられる。
本発明の化粧材における、模様層が設けられる領域の直上部の表面領域1、浸透防止層が設けられる領域の直上部の表面領域2、触感付与層が設けられる領域の直上部の表面領域3、これらの層が設けられていない領域の直上部の表面領域4について、高さが多段階の凹凸、すなわち高さの多段階の階調表現により模様を形成し、より優れた意匠性を得る観点から、同一面を基準とした表面領域1の高さをH、これと同じように各表面領域の高さをH、H、Hとすると、H>H>H>Hの関係を有していることが好ましい。
これらの表面領域は高さが異なることから物理的に凹凸形状を形成しており、高さが低くなるにつれて凹形状を形成することとなり、これと同時に、高さHが最も低い表面領域1は、同一色で比較した場合、他の表面領域より暗く視認され、高さHが高くなるにつれてより明るく視認されるという視覚的特徴を有することとなる。すなわち、本発明の化粧材の上記の好ましい態様においては、表面領域3、表面領域2、表面領域4、表面領域1の順に暗く視認されることとなる。
本発明においては、上記の表面領域により形成される物理的な凹凸形状による模様と、表面領域の高さに応じた視覚的特徴とを組み合わせることにより、視覚的にも触感的にも優れた質感を有する、極めて優れた意匠性が得られることとなる。このような観点から、本発明の化粧材が有する模様としては、木目模様が好ましい。木目模様には、柾目模様、板目模様、杢目模様、木口模様等があるが、いずれであってもよい。
木目模様には、より低光沢(艶消又は低艶)の導管部分、より高光沢(艶有又は高艶)の春材部分、更に高光沢の秋材部分(照り部分)等が存在する。本発明の化粧材では、より低光沢と視認される表面領域1が導管部分に同調していることが好ましい。また、本発明の化粧材が木目模様を有する場合、視覚的にも触感的にも本物の木の質感に近いリアル感を得る観点から、例えば図(1-1)で示される態様の場合は、より高光沢の表面領域2を秋材部に同調させることが好ましく、図(1-2)で示される態様の場合は表面領域3を秋材部に同調させることが好ましく、図(1-3)で示される態様の場合は表面領域2を春材部、表面領域3を秋材部に同調させることが好ましい。すなわち、本発明の化粧材においては、模様層を導管部分に同調するように設けることが好ましく、更に浸透防止層及び触感付与層から選ばれる少なくとも一の層を秋材部分に同調するように設けることが好ましい。模様層を導管部分、浸透防止層、触感付与層を態様に応じて秋材部分、春材部分に同調するように設けることにより、これらの層を設けなかった領域の直上部の表面領域4は自ずと春材部分に同調することとなる。このようにして、本発明の化粧材は視覚的にも触感的にも本物の木の質感に近いリアル感を有する、極めて優れた意匠性を有するものとなる。
また、本発明においては、浸透防止層と模様層とを組み合わせて、より具体的には、浸透防止層の上に模様層を設けることにより、更に高さが多段階の階調表現を行うことが可能である。この場合、模様層のみが設けられる領域の直上部の表面領域1及び浸透防止層のみが設けられる領域の直上部の表面領域2に加えて、浸透防止層と模様層とが設けられる領域の直上部の表面領域5(図示省略)が発現することとなり、より高さが多段階の階調表現が可能となり、より多様かつ優れた意匠性が得られる。
(浸透層16)
本発明の化粧材は、基材と、模様層並びに浸透防止層及び触感付与層から選ばれる少なくとも一層との間に、更に浸透層を有することができる。浸透層を有する層構成は、図2の(2-1)及び(2-2)に示されており、これらの図には、浸透層16が化粧材10の全面にわたって設けられていることが示されており、後述する装飾層17を有する場合は、該装飾層17の絵柄層17aを覆うように設けられていることが示されている。絵柄層17aは通常化粧材の一部に設けられるため、その残部は装飾層17が埋めることとなる。
浸透層は、表面層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂を浸透させる性状を有する層であり、基材として浸透性の低い基材、例えば樹脂基材を採用する場合であって、模様層及び少なくとも一層が設けられない領域の直上部の表面領域4による階調表現を強調したい場合に、特に好ましく設けられる。浸透層が設けられていない場合、模様層及び少なくとも一層が設けられていない領域の直上部の表面領域4は、基材の一方の面の模様層及び少なくとも一層が設けられていない領域の直上部の表面領域に該当し、浸透層が設けられる場合は、浸透層の一方の面の模様層及び少なくとも一層が設けられていない領域の直上部の表面領域に該当することとなる。
浸透層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂としては、上記模様層を形成する樹脂組成物に含まれる樹脂として例示した、表面層を形成する樹脂組成物が浸透しやすい性状を有する樹脂、例えば、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の中から選択すればよい。階調表現によるより優れた意匠性を得る観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。
また、浸透層には、階調表現によるより優れた意匠性を得る観点から、充填剤が含まれることが好ましい。充填剤としては、上記模様層に含まれ得る充填剤として例示したものが好ましく挙げられ、充填剤として特にシリカが好ましいのも模様層と同じである。
浸透層中の充填剤の含有量は、該浸透層を形成する樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、上限として好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。充填剤の含有量が上記範囲内であると、より優れた階調表現により模様を形成し、優れた意匠性が得られ、また該充填剤を含む樹脂組成物のチキソ性が極端に高くなることがなく塗布性能が向上し、結果として優れた意匠性が得られやすくなる。また、模様層との関係として、表面領域1と表面領域4とによる階調表現をより優れたものとする観点から、浸透層中の充填剤の含有量は、模様層中の充填剤の含有量よりも少ない、又は多いことが好ましく、木目模様の化粧材を得ようとする場合は少ないことが好ましい。
また、浸透層には、所望に応じて、上記基材に含まれ得る添加剤として例示した各種添加剤が含まれていてもよい。中でも、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含んでいることが好ましい。
浸透層の厚さは、より優れた階調表現により模様を形成し、優れた意匠性を得ること、また層の形成のしやすさ等を考慮すると、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上であり、上限として好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは8μm以下である。
(装飾層)
本発明の化粧材は、基材と、模様層及び少なくとも一層、すなわち浸透防止層及び触感付与層から選ばれる少なくとも一層との間に、更に装飾層を有することができる。装飾層を有することで、表面領域により形成される模様による意匠性を更に向上させることができる。装飾層を有する層構成は、図2の(2-2)に示されており、(2-2)には、装飾層17が絵柄層17aと化粧材10の全面にわたって設けられる着色層17bとにより構成される層であることが示されている。
装飾層は、例えば、全面を被覆する着色層(いわゆるベタ着色層)であってもよいし、種々の模様を有する絵柄層であってもよいし、またこれらを組み合わせたものであってもよい。例えば、被着材の地色を着色隠蔽する場合には、ベタ着色層とすることで、着色隠蔽しつつ、意匠性を向上させることができるし、更に意匠性を向上させる観点から、ベタ着色層と絵柄層とを組み合わせてもよいし、一方、被着材の地模様を生かす場合は、ベタ着色層を設けず絵柄層のみを設ければよい。
装飾層に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜混合したものが使用される。
バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アルキッド樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、ニトロセルロース樹脂(硝化綿)、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
装飾層においては、例えば、チタン白等の白色顔料、鉄黒、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の着色剤を用いることもできる。
装飾層は、耐候性を向上させる観点から、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤、光安定剤としては、基材に含まれ得るものとして例示した、紫外線吸収剤、光安定剤を挙げることができる。
装飾層として絵柄層を有する場合、その模様としては、上記の表面領域により形成される模様として例示した模様が好ましく挙げられ、中でも木目模様が好ましい。
上記のとおり、木目模様はより低光沢の導管部分、より高光沢の春材部分、更に高光沢の秋材部分(照り部分)等により構成され、視覚的にも触感的にも木の質感に近い質感を有する、極めて優れた意匠性を得る観点から、模様層を導管部分に同調するように設け、浸透防止層及び触感付与層から選ばれる少なくとも一の層を秋材部分に同調するように設けることが好ましい。これと同じ観点から、装飾層は模様層と同調していることが好ましく、更に浸透防止層及び触感付与層から選ばれる少なくとも一の層とも同調していることが好ましい。このように同調させることにより、模様層、浸透防止層及び触感付与層から選ばれる少なくとも一の層が設けられない部分(基材又は浸透層)も結果として装飾層と同調することとなる。より具体的には、装飾層の絵柄層が木目模様である場合、該絵柄層の導管部分と模様層(及び表面領域1)とは同調していることが好ましく、更に該絵柄層の秋材部分と浸透防止層及び触感付与層から選ばれる少なくとも一の層とは同調していることが好ましい。この好ましい態様は、図(2-2)に示されており、本図には、絵柄層17aのうち最も暗い部分(導管部分)と同調するように模様層12が設けられ、より明るい部分(春材部分)と同調するように浸透防止層13が設けられ、更に明るい部分(秋材部分)と同調するように触感付与層14が設けられた化粧材が示されている。
装飾層の厚さは、所望の模様に応じて適宜選択すればよいが、被着材の地色を着色隠蔽し、かつ意匠性を向上させる観点から、着色層の厚さとして好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上であり、上限として好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、更に好ましくは20μm以下である。また、絵柄層の厚さとして好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは2μm以上であり、上限として好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以下である。
(化粧材の製造方法)
本発明の化粧材の製造方法について、本発明の化粧材として好ましい態様の一つである、基材、装飾層、浸透層、模様層、浸透防止層、触感付与層及び表面層を順に有する化粧材を例にとって、その製造方法を説明する。
本発明の化粧材は、例えば、基材に装飾層を設ける工程(1)、該装飾層上に浸透層を設ける工程(2)、及び該浸透層上に模様層、浸透防止層、触感付与層を設ける工程(3)、硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて表面層を形成する工程(4)を順に経ることにより製造することができる。上記の通り、本発明の化粧材の表面に多段階の高さを有する凹凸を付与するに際しては、エンボス加工による賦型工程は不要である。
工程(1)は、基材上に装飾層を設ける工程である。装飾層は、基材上に装飾層の形成に用いられるインキを塗布して所望の着色層、絵柄層を設けることにより形成される。該インキの塗布は、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法、インキジェット印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式、好ましくはグラビア印刷法により行う。
また、基材に表面処理を施す場合は、装飾層を形成する場合であって、基材と装飾層との間にプライマー層を設ける場合、装飾層の形成前に設ければよく、また基材の装飾層側とは反対側の面(裏面)に裏面プライマー層を設ける場合は、装飾層の形成前後のいずれに設けてもよい。プライマー層の形成は、プライマー層を構成する樹脂組成物を、例えば、グラビア印刷法、バーコート法、ロールコート法、リバースロールコート法、コンマコート法等の公知の方式で塗布して形成することができる。
工程(2)は、装飾層上に浸透層を設ける工程である。浸透層は、基材に装飾層を設けた後、該装飾層上に、浸透層を形成する樹脂組成物を、上記装飾層を形成するインキの塗布方法として例示した公知の方式により塗布して設ければよい。
工程(3)は、浸透層上に模様層、浸透防止層、触感付与層を設ける工程である。これらの層を形成する樹脂組成物を、上記装飾層を形成するインキの塗布方法として例示した公知の方式により塗布して、模様層、浸透防止層、触感付与層を設ければよい。
工程(4)は、上記工程(3)により模様層、浸透防止層、触感付与層を設けた面に、硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させて表面層を形成する工程である。
表面層は、2液硬化性樹脂、好ましくは電離放射線硬化性樹脂を含む硬化性樹脂組成物を、模様層、浸透防止層、触感付与層を設けた面に、これらの層を覆うように全面にわたって塗布し、硬化させて得られる。
表面層を形成するための、樹脂組成物の塗布は、硬化後の厚さが所定の厚さとなるように、上記装飾層を形成するインキの塗布方法として例示した公知の方式により塗布すればよい。
表面層の形成に電離放射線樹脂組成物を用いる場合、該樹脂組成物の塗布により形成した未硬化樹脂層は、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して硬化物とすることで、表面層となる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70~300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
照射線量は、電離放射線硬化性樹脂の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5~300kGy(0.5~30Mrad)、好ましくは10~50kGy(1~5Mrad)の範囲で選定される。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190~380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
表面層の形成に2液硬化型樹脂、熱硬化性樹脂組成物等を用いる場合は、使用する樹脂組成物に応じた熱処理を施して、硬化させて表面層を形成すればよい。
(化粧部材)
本発明の化粧材は、例えば、被着材と上記の本発明の化粧材とを積層させて、化粧部材として用いることができる。具体的には、被着材の装飾を要する面と、化粧材の基材側の面とを対向させて積層し、化粧部材とすることができる。図3に、本発明の化粧材の好ましい態様の一例の断面を示す模式図を示す。図3に示される本発明の化粧部材20は、被着材21、接着剤層22、及び本発明の化粧材10を順に有している。
(被着材)
被着材としては、各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(又はフィルム)等が挙げられる。例えば、杉、檜、松、ラワン等の各種木材からなる木材単板、木材合板、集成材、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる木質部材;鉄、炭素鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタニウム等の金属からなる板材、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる金属部材;ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏、珪酸カルシウム等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯業部材;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる樹脂部材等が挙げられる。また、これらの部材は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
被着材は、上記のなかから用途に応じて適宜選択すればよく、壁、天井、床等の建築物の内装用部材又は外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具又は造作部材を用途とする場合は、木質部材、金属部材及び樹脂部材から選ばれる少なくとも一種の部材からなるものが好ましく、玄関ドア等の外装用部材、窓枠、扉等の建具又は造作部材を用途とする場合は、金属部材及び樹脂部材から選ばれる少なくとも一種の部材からなるものが好ましい。
被着材の厚さは、用途及び材料に応じて適宜選択すればよく、0.1mm以上10mm以下が好ましく、0.3mm以上5mm以下がより好ましく、0.5mm以上3mm以下が更に好ましい。
(接着剤層)
被着材と化粧シートとは、優れた接着性を得るため、接着剤層を介して貼り合わせられることが好ましい。すなわち、本発明の化粧材は、少なくとも被着材、接着剤層、基材、及び表面層を順に有する部材であることが好ましい。
接着剤層に用いられる接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤を使用することができ、例えば、感熱接着剤、感圧接着剤等の接着剤が好ましく挙げられる。この接着剤層を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネート化合物等を硬化剤とする2液硬化型のポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤も適用し得る。
また、接着剤層には、粘着剤を用いることもできる。粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。
接着剤層は、上記の樹脂を溶液、あるいはエマルジョン等の塗布可能な形態にしたものを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法等の手段により塗布、乾燥して形成することができる。
接着剤層の厚さは特に制限はないが、優れた接着性を得る観点から、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が更に好ましい。
(化粧部材の製造方法)
化粧部材は、化粧材と被着材とを積層する工程を経て製造することができる。
本工程は、被着材と、本発明の化粧材とを積層する工程であり、被着材の装飾を要する面と、化粧材の基材側の面とを対向させて積層する。被着材と化粧材との積層する方法としては、例えば、接着剤を間に介して化粧材を板状の被着材に加圧ローラーで加圧して積層するラミネート方法、接着剤を間に介して化粧材を供給しつつ、複数の向きの異なるローラーにより、被着材を構成する複数の側面に順次化粧材を加圧接着して積層していくラッピング加工、また、固定枠に固定した化粧材が軟化する所定の温度になるまでシリコーンゴムシートを介してヒーターで加熱し、加熱され軟化した化粧材に真空成形金型を押し付け、同時に真空成形金型から真空ポンプ等で空気を吸引し化粧材を真空成形金型に密着させる真空成形加工等が好ましく挙げられる。
ラミネート加工やラッピング加工において、ホットメルト接着剤(感熱接着剤)を用いる場合、接着剤を構成する樹脂の種類にもよるが、加温温度は160℃以上200℃以下が好ましく、反応性ホットメルト接着剤では100℃以上130℃以下が好ましい。また、真空成形加工の場合は加熱しながら行うことが一般的であり、80℃以上130℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以上120℃以下である。
以上のようにして得られる化粧部材は、任意切断し、必要に応じて、表面や木口部にルーター、カッター等の切削加工機を用いて溝加工、面取加工等の任意加飾を施すことができる。また、化粧材を鋼板等に貼着した後、Vカット加工、ラッピング加工等の曲げ加工を施すこともできる。そして種々の用途、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装用部材又は外壁、屋根等の外装用部材、窓枠、玄関ドア等の各種扉、手すり、幅木、廻り縁、窓枠、扉枠、モール等の建具又は造作部材の他、キッチン、家具又は弱電製品、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装用部材又は外装用部材等に用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価及び測定方法)
(1)意匠性の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧材について、任意の成人20人に、その意匠性について、高さが多段階の階調表現により、高い意匠性を有しているか否かについて目視評価をさせた。C以上であれば合格である。
A:高い意匠性を有すると答えた人が20人中18人以上であった。
B:高い意匠性を有すると答えた人が20人中16人以上であった。
C:高い意匠性を有すると答えた人が20人中14人以上であった。
D:高い意匠性を有すると答えた人が20人中13以下であった。
(2)触感の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧材について、任意の成人20人に、その意匠性について、凹凸形状により、高い触感を有しているか否かについて目視評価をさせた。C以上であれば合格である。
A:高い触感を有すると答えた人が20人中18人以上であった。
B:高い触感を有すると答えた人が20人中16人以上であった。
C:高い触感を有すると答えた人が20人中14人以上であった。
D:高い触感を有すると答えた人が20人中13人以下であった。
実施例1
易接着処理された建材用着色単層PETシート(東洋紡株式会社製、「A4100(型番)」、厚さ:50μm)を基材とし、該基材の一方の面に、アクリル樹脂とウレタン樹脂との混合樹脂をバインダーとする印刷インキをグラビア印刷法で塗布して厚さ20μmの着色層(ベタ層)を形成し、硝化綿とアルキッド樹脂との混合樹脂をバインダーとする印刷インキをグラビア印刷法で塗布し、木目模様(導管部分、春材部分、秋材部分を有する)の厚さ10μmの装飾層としての絵柄層を形成した。
次いで、絵柄層上に、2液硬化性樹脂(主剤:アクリルポリオール、硬化剤;ヘキサメチレンジイソシアネート)及び充填剤を含む浸透層形成用の樹脂組成物(昭和インク株式会社製、「EBFプライマー(商品名)」、平均粒径:1.3μm、充填剤含有量:樹脂分100質量部に対してシリカ粒子を40質量部)を塗布して、厚さ5μmの浸透層を形成した。
次いで、該浸透層上に、1液硬化型樹脂及び充填剤を含む模様層形成用の樹脂組成物(ウレタン樹脂及びシリカ粒子含有組成物、「導管MINI(D)(商品名)」、DICグラフィックス社製)を、木目模様の導管部分に同調するようにパターン印刷を行い、アクリル樹脂を含む浸透防止層形成用の樹脂組成物(充填剤は含まない。)を、木目模様の秋材部分に同調するようにパターン印刷を行い、厚さ4μmの模様層及び浸透防止層を形成した。
次いで、電離放射線硬化性樹脂組成物(電離放射線硬化性樹脂:電子線硬化性アクリレート樹脂、その他添加剤:シリコーン、シリカ、体質顔料)を全面にわたって、ロールコート法により塗布して未硬化樹脂層を形成し、電子線(加圧電圧:175KeV、5Mrad(50kGy))を照射して未硬化樹脂層を硬化させて、表面層(厚さ:5μm)を得た。その後、70℃で24時間の加熱養生を行い、実施例1の化粧材を得た。得られた化粧材について、上記の評価を行った。その評価結果を第1表に示す。
実施例2
実施例1において、浸透防止層の代わりに、触感付与層形成用樹脂組成物(2液硬化型樹脂(主剤:アクリルポリオール、硬化剤:ヘキサメチレンジイソシアネート)、触感付与粒子(シリカ粒子、平均粒径:12μm、該2液硬化型樹脂100質量部に対して50質量部))を、版深90μmのパターン版を用いて、厚さ15μmとなるように、木目模様の秋材部分(照り表現部分)に同調するようにパターン印刷を行い、触感付与層を形成し、化粧材を得た。得られた化粧材について、上記の評価を行った。その評価結果を第1表に示す。
実施例3
実施例1において、浸透防止層を木目模様の春材部分に同調するように設け、更に、触感付与層形成用樹脂組成物(2液硬化型樹脂(主剤:アクリルポリオール、硬化剤:ヘキサメチレンジイソシアネート)、シリカ粒子(平均粒径:12μm、該2液硬化型樹脂100質量部に対して50質量部))を、版深90μmのパターン版を用いて、厚さ15μmとなるように、木目模様の秋材部分(照り表現部分)に同調するようにパターン印刷を行い、触感付与層を形成し、化粧材を得た。得られた化粧材について、上記の評価を行った。その評価結果を第1表に示す。
実施例4~6
実施例2において、触感付与層形成用樹脂組成物中の触感付与粒子を、第1表に示される充填剤とした以外は、実施例2と同様にして化粧材を得た。
比較例1
実施例1において、浸透防止層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして化粧材を得た。
Figure 0007225635000001
第1表中、実施例において用いた触感付与粒子は以下のとおりである。
・触感付与粒子a:シリカ粒子(平均粒径:12μm)
・触感付与粒子b:水酸化アルミニウム粒子(平均粒径:4μm)
・触感付与粒子c:アクリルビーズ(平均粒径:20μm)
・触感付与粒子d:アクリルビーズ(平均粒径:30μm)
実施例1~6の結果より、本発明の化粧材は多段階の階調表現により、高い意匠性を有することが確認された。また、触感付与層を有する実施例2~6の化粧材は、触感付与層を有しない実施例1の化粧材に比べて、触感が向上し、また意匠性も向上する傾向にあることが確認された。
一方、浸透防止層及び触感付与層を有しない比較例1の化粧材は、意匠性、触感の何れの評価も優れているとはいえないものとなった。
本発明の化粧材は、エンボス(賦型)加工がなくても、印刷及び塗布工程のみで、実在の凹凸による多段階の階調表現による優れた意匠性を有するものであり、これを用いた化粧部材は、壁、天井、床等の建築物の内装用部材又は外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具又は造作部材の他、キッチン、家具又は弱電製品、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装用部材又は外装用部材に好適に用いられる。
10.化粧材
11.基材
12.模様層
13.浸透防止層
14.触感付与層
14a.触感付与粒子
15.表面層
15a.表面領域1
15b.表面領域2
15c.表面領域3
15d.表面領域4
16.浸透層
17.装飾層
17a.絵柄層
17b.着色層

Claims (12)

  1. 基材と、模様層と、浸透防止層及び触感付与層から選ばれる少なくとも一の層と、表面層とを有し、
    前記模様層、記浸透防止層及び前記触感付与層が、少なくとも樹脂を含む樹脂組成物から形成され、
    前記模様層は、充填剤を含有し、前記充填剤の含有量が、前記模様層を形成する樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上であり、
    前記充填剤のJIS K 5101-13-1:2004に準拠して測定した吸油量が、50mL/100g以上であり、
    該模様層及び該少なくとも一の層が該基材の一方の面側の同一面上の一部に設けられ、
    該表面層が該模様層と該少なくとも一の層とを覆うように全面にわたって設けられ、
    該表面層の表面に、
    該模様層が設けられる領域の直上部に表面領域1と、
    該浸透防止層が設けられる領域の直上部に表面領域2及び該触感付与層が設けられる領域の直上部に表面領域3から選ばれる少なくとも一の表面領域と、
    該模様層、該浸透防止層及び該触感付与層が設けられていない領域の直上部に表面領域4と、を有し、
    同一面を基準とした前記表面領域1の高さをH、前記表面領域4の高さをHとしたときに、H>Hの関係を有し、
    該表面領域1と該表面領域2及び該表面領域3から選ばれる少なくとも一の表面領域と、該表面領域4とにより形成される模様を有し、エンボス加工による凹凸を有しない化粧材。
  2. 前記模様層が含有する充填剤が、シリカ粒子を含む請求項1に記載の化粧材。
  3. 前記基材と、前記模様層及び前記少なくとも一の層との間に、更に浸透層を有する請求項1又は2に記載の化粧材。
  4. 前記基材と、前記模様層及び前記少なくとも一の層との間に、更に装飾層を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧材。
  5. 前記模様層と前記装飾層とが同調している請求項4に記載の化粧材。
  6. 前記装飾層が木目模様を形成する請求項4又は5に記載の化粧材。
  7. 前記表面領域3が凸形状を形成する請求項1~6のいずれか1項に記載の化粧材。
  8. 前記基材と、前記模様層と、前記浸透防止層と、前記表面層とを有する請求項1~7のいずれか1項に記載の化粧材。
  9. 前記基材と、前記模様層と、前記触感付与層と、前記表面層とを有する請求項1~7のいずれか1項に記載の化粧材。
  10. 前記基材と、前記模様層と、前記浸透防止層と、前記触感付与層と、前記表面層とを有する請求項1~9のいずれか1項に記載の化粧材。
  11. 同一面を基準とした前記表面領域2の高さをH、前記表面領域3の高さをHとしたときに、H>H>H>Hの関係を有する請求項10に記載の化粧材。
  12. 前記触感付与層が、触感付与粒子を含有する請求項10又は11に記載の化粧材。
JP2018179197A 2018-09-25 2018-09-25 化粧材 Active JP7225635B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018179197A JP7225635B2 (ja) 2018-09-25 2018-09-25 化粧材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018179197A JP7225635B2 (ja) 2018-09-25 2018-09-25 化粧材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020049702A JP2020049702A (ja) 2020-04-02
JP7225635B2 true JP7225635B2 (ja) 2023-02-21

Family

ID=69996082

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018179197A Active JP7225635B2 (ja) 2018-09-25 2018-09-25 化粧材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7225635B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP4219149A1 (en) * 2020-09-28 2023-08-02 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Decorative sheet, decorative material, plate, and manufacturing method for decorative sheet

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000006355A (ja) 1998-06-19 2000-01-11 Dainippon Printing Co Ltd 模様に同調した凹凸感を有する化粧材とその製造法
US20040170812A1 (en) 2001-05-10 2004-09-02 Ake Sjoberg Embossed decorative boards
JP2009029089A (ja) 2007-07-30 2009-02-12 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート
JP2015171810A (ja) 2014-02-18 2015-10-01 大日本印刷株式会社 化粧シート
JP2016215423A (ja) 2015-05-15 2016-12-22 大日本印刷株式会社 化粧板及びその製造方法
US20180105976A1 (en) 2016-10-19 2018-04-19 Hyundai Motor Company Artificial leather with three-dimensional pattern and manufacturing method thereof
US20180229475A1 (en) 2015-10-23 2018-08-16 Hp Indigo B.V. Laminates

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000006355A (ja) 1998-06-19 2000-01-11 Dainippon Printing Co Ltd 模様に同調した凹凸感を有する化粧材とその製造法
US20040170812A1 (en) 2001-05-10 2004-09-02 Ake Sjoberg Embossed decorative boards
JP2009029089A (ja) 2007-07-30 2009-02-12 Dainippon Printing Co Ltd 化粧シート
JP2015171810A (ja) 2014-02-18 2015-10-01 大日本印刷株式会社 化粧シート
JP2016215423A (ja) 2015-05-15 2016-12-22 大日本印刷株式会社 化粧板及びその製造方法
US20180229475A1 (en) 2015-10-23 2018-08-16 Hp Indigo B.V. Laminates
US20180105976A1 (en) 2016-10-19 2018-04-19 Hyundai Motor Company Artificial leather with three-dimensional pattern and manufacturing method thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020049702A (ja) 2020-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101733369B1 (ko) 화장 시트, 및 이것을 사용한 화장 부재
JP7201065B2 (ja) 化粧シート及びこれを用いた化粧材
JP7180743B2 (ja) 化粧シート、化粧板及び加飾樹脂成形品
JP7115615B2 (ja) 化粧シート及びこれを用いた化粧材
JP6760459B2 (ja) 化粧シート
JP7196968B2 (ja) 艶消物品
JP2022109932A (ja) 艶消物品
JP2019038195A (ja) 暗色絵柄化粧シート及びこれを用いた化粧部材
JP6369084B2 (ja) 化粧シート及びこれを用いた化粧板
JP7392352B2 (ja) 化粧材
JP7225635B2 (ja) 化粧材
JP6627249B2 (ja) 化粧シート及び化粧板
WO2022210538A1 (ja) 艶消物品
WO2022210527A1 (ja) 艶消物品
JP7409371B2 (ja) 化粧材
JP2023049868A (ja) 化粧シート及び化粧材
JP7001196B2 (ja) 化粧材及び化粧部材
JP7215514B2 (ja) 艶消物品
JP7294482B1 (ja) 積層体
JP2019038194A (ja) 化粧シート及びこれを用いた化粧材
JP7392279B2 (ja) 化粧材
JP2023045596A (ja) 積層体
JP2022148249A (ja) 化粧シートの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20200827

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210727

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220510

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220627

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220719

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220915

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230123

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7225635

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150