JP5454054B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
こうした要求を満たすために、加工適性を十分に満足する基材の表面に表面保護層を施す技術が用いられており、該表面保護層には電離放射線硬化性樹脂組成物が好ましく用いられている。電離放射線硬化性樹脂組成物は紫外線や電子線などの電離放射線によって硬化する組成物であり、これを用いた表面保護層は、有機溶剤を使用せず無溶剤で塗布形成できるので環境に良く、しかも高架橋密度となるので、耐磨耗性などの表面強度が容易に得られるなどの各種利点が得られる。
高光沢感を有する化粧シートとしては、ウレタン系塗料を塗布してトップコート層を形成したものが主流である(例えば特許文献1)。しかし、このようなウレタンコート紙は塗膜の表面特性に比較的すぐれたものが得られるが、製造工程において塗膜の養生に数日を要する場合もあり、生産性の点で不利であり、また鏡面性(表面平滑性)やマジック消去性、耐擦り傷性の点でも必ずしも十分満足のいくものではないという問題があった。
(1)基材上に、少なくとも隠蔽層、光沢層及び表面保護層を順に積層してなる化粧シートであって、該光沢層を形成するインキ組成物中のバインダーがアクリルポリオール系樹脂とポリウレタン樹脂とを30:70〜90:10(質量比)の比率で含有するものであり、該表面保護層が25質量%以上45質量%未満の固形分を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなり、かつ該電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布量が5g/m2より多いことを特徴とする化粧シート、
(2)光沢層と表面保護層との間に、浸透防止層を有する上記(1)に記載の化粧シート、
(3)光沢層が、金属顔料及び/又はパール顔料を含有するものである上記(1)又は(2)に記載の化粧シート、
(4)基材が、紙基材又はポリエチレンテレフタレート樹脂からなるものである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化粧シート、及び
(5)基板と上記(1)〜(4)のいずれかに記載の化粧シートとが、接着剤層を介して接合されてなる化粧板、
を提供するものである。
本発明の化粧シートは、基材上に、少なくとも隠蔽層、光沢層及び表面保護層を順に積層してなる化粧シートであって、該光沢層を形成するインキ組成物中のバインダーがアクリルポリオール系樹脂とポリウレタン樹脂とを30:70〜90:10(質量比)の比率で含有するものであり、該表面保護層が25質量%以上45質量%未満の固形分を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなり、かつ該電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布量が5g/m2より多いことを特徴とする。
本発明の化粧シートの典型的な構造を、図1を用いて説明する。図1は本発明の化粧シート1の好ましい実施形態の一つの断面を示す模式図である。図1に示す例は、基材2上に全面を被覆する隠蔽層3、絵柄層6、光沢層4、浸透防止層7、及び電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる表面保護層5がこの順に積層されたものである。
本発明の化粧シートは、各種基板に貼着して化粧板として使用することができる。具体的には、図2に示すように、化粧シート1と基板10とを接着剤層9を介して接合して得られる化粧板である。
以下、本発明の好ましい実施形態の一つを示した図1に基づいて、詳細に説明する。
本発明で用いられる基材2としては、通常化粧シートとして用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、プラスチックシート、金属箔、金属シート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材などを用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体など、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
これらの基材、特にプラスチックフィルムやプラスチックシートを基材として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また該基材は基材と各層との層間密着性の強化などのためのプライマー層を形成するなどの処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反など、建材分野で使われることの多い各種紙が挙げられる。さらには、事務分野や通常の印刷、包装などに用いられるコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙などを用いることもできる。また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布や不織布も基材として使用することができる。各種繊維としてはガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維などの無機質繊維、又はポリエステル繊維、アクリル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成樹脂繊維が挙げられる。
基材2の厚さについては特に制限はないが、紙基材を用いる場合には、坪量は、通常20〜150g/m2程度、好ましくは30〜100g/m2の範囲である。また、プラスチックを素材とするフィルムやシートを用いる場合には、厚さは、通常20〜150μm程度、好ましくは30〜100μmの範囲である。厚さが上記範囲内であれば、化粧シートとして十分な強度を確保することができ、また化粧シートが台所製品などに用いられる場合であって、不燃性あるいは難燃性を要するとしても、十分に対応が可能であり、好ましい。
図1に示される全面にわたって被覆される隠蔽層3は、本発明の化粧シートの意匠性を高め、基材と絵柄層や光沢層との密着性を向上させる目的で設けられるものである。隠蔽層3は、基材2上の表面の色を整えることで、基材2自身が着色していたり、色ムラがあるときに形成して、基材2の表面に意図した色彩を与えることができる。隠蔽層3は、通常基材や下地を隠蔽する目的で、不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、基材や下地が持っている模様を活かすこともできる。
着色剤としては、化粧シートの用途や絵柄層との色の相性などから適宜選択すればよいが、例えばカーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。
この隠蔽層3の厚さは、1〜20μm程度である。
図1に示される光沢層4は、化粧シートに高光沢感を付与する層である。光沢層4は、全面に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよく、模様を形成していてもよい。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様などがあり、これらを複合した寄木、パッチワークなどの模様もある。
これらの着色剤の粒径は、要求される高光沢感、透明感などに応じて適宜選択すればよいが、通常1〜100μm程度のものが用いられ、5〜50μmのものが好ましい。
光沢層の形成に用いられるインキにおいて、着色剤の含有量は、バインダーに対して1〜50質量%(固形分)が好ましく5〜30質量%(固形分)がより好ましい。
図1に示される絵柄層6は化粧シートに装飾性を与えるものであり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、上記した光沢層を形成する模様と同様のものが挙げられ、これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷などによっても形成される。
絵柄層6に用いる絵柄インキとしては、隠蔽層3に用いるインキと同様のものを用いることができる。
図1に示される浸透防止層7は、所望により設けられる層であって、表面保護層5を構成する電離放射線硬化性樹脂が、基材2中に浸透することを抑制する機能を有する層であり、基材2が紙や不織布などの浸透性基材である場合に特に効果を発揮する。従って、浸透防止層7は基材2と表面保護層5との間に位置すればよいが、表面保護層5を構成する電離放射線硬化性樹脂と密着性を有する硬化性樹脂からなる層を、図1に示すように光沢層4と表面保護層5との間に設けることが好ましい。このことにより、基材2上に存在する隠蔽層3、絵柄層6などの層の表面をならし、これらと表面保護層5との接着性を高める機能をも併せて果たすものである。
表面保護層5は上述のように電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化したものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物が20質量%以上45質量%未満の固形分を含有し、かつ該電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布量が5g/m2より多いことを特徴とするものである。ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。
電離放射線硬化性樹脂組成物中の固形分の含有量は、20質量%以上45質量%未満であることを要し、30〜40質量%が好ましい。該含有量が上記範囲内にあれば、良好な鏡面性と高光沢感とが得られ、かつ上記したような使用適性も良好となるので好ましい。また、光沢層でパール顔料が用いられる場合でも、優れた表面の鏡面性を得られる点で好ましい。
表面保護層5に用いる電離放射線硬化性樹脂としては、従来公知の化合物を適宜使用すれば良い。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、なかでも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマーなどに対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステルなどが挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂組成物として電子線硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂組成物は溶剤の使用量を低減することが可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物などが用いられる。
シリコーン(メタ)アクリレートは、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのうち、(メタ)アクリル基を導入した変性シリコーンオイルの中の一つである。変性シリコーンオイルの構造は、置換される(メタ)アクリル基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、(メタ)アクリル基の結合位置には、特に制限はない。また、(メタ)アクリル基の置換数にも、特に制限はないが、シリコーンメタクリレートとシリコーンアクリレートとを組み合わせて用いることが好ましい。
このようなシリコーンメタクリレートとしては、メタクリル基を1乃至2つ有する1乃至2官能シリコーンメタクリレートが好ましく、分子量1000〜6000、より好ましくは3000〜6000、官能基当量(分子量/官能基数)500〜3000、より好ましくは1500〜3000の条件を有するものが挙げられる。また、シリコーンアクリレートとしては、アクリル基を複数、好ましくは4つ以上を、さらに好ましくは4〜6つ有する多官能シリコーンアクリレートが好ましく、分子量3000〜100000、より好ましくは10000〜30000、官能基当量(分子量/官能基数)750〜25000、より好ましくは3000〜6000の条件を有するものが挙げられる。
上記1乃至2官能シリコーンメタクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1.5〜20質量部、より好ましくは2〜4質量部である。また、上記多官能シリコーンアクリレートの含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。
また、シリコーンメタクリレートとシリコーンアクリレートとの含有量の比は、1:1〜1:5、より好ましくは1:2〜1:3(いずれも質量比)である。
本発明においては、前記の電離放射線硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。この塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、塗工面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、5g/m2よりも多い塗工量で塗布することを要し6g/m2よりも多い塗工量であることが好ましい。また、塗工量の上限は、通常20g/m2程度であり、好ましくは15g/m2である。塗工液の塗布は、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜70kGy(1〜7Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
本発明の化粧シートは、各種基板に貼着して化粧板として使用することができる。具体的には、図2に示すように、基板10に接着剤層9を介して化粧シート1を貼着するものである。
被着体となる基板は、特に限定されず、基材に用いられる材料として上記したような、プラスチックシート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材などを用途に応じて適宜選択することができる。これらの基板、特にプラスチックシートを基板として用いる場合には、化粧シートとの密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。これらの処理方法は、上記した基材に施すものと同様である。
化粧シートの基板上への貼着は、通常、本発明の化粧シートの裏面に接着剤層を形成し、基板を貼着するか基板の上に接着剤を塗布し、化粧シートを貼着するなどの方法による。
(評価方法)
各実施例で得られた化粧シートについて、以下の方法で評価した。
(1)鏡面性の評価
得られた化粧シートの表面の状態を目視により下記の基準で評価した。
A : 表面の凹凸を全く確認できない
B : 表面の凹凸はほとんど確認できない
C : 多少の表面の凹凸は確認されるが、問題ない
D : 表面の凹凸が著しい
(2)艶の評価(目視)
得られた化粧シートのパール感あるいはメタリック感などの艶の状態を目視により下記の基準で評価した。
A : 艶が非常に高い
B : 艶が高い
C : 一部曇りが確認されるが、問題ない
D : 曇りが著しく、艶感がない
(3)耐汚染性の評価
JIS K−6902に準拠して、汚染物を化粧材表面に塗布し、ふき取った後の汚染物の残存具合を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
A : 汚染物の残存は全くない
B : 汚染物の残存はあるものの軽微なもので実用上問題がない
C : 汚染物の残存が著しい
(4)耐擦傷性の評価
29.4kPa(300g/cm2)の荷重となるように調整された重りに、スチールウール(#0000)を取り付けて、化粧材の表面を50回擦り、該表面の艶の変化を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
A : 全く変化がない
B : 変化はあるものの軽微なもので実用上問題がない
C : 変化が著しい
(5)耐薬品性の評価
塩酸(5質量%)、水酸化ナトリウム水溶液(5質量%)、住宅用洗剤(「サンポール(商品名)」大日本除虫菊株式会社製)、家庭用カビ取り剤(「カビキラー(商品名)」ジョンソン株式会社製)、台所用漂白剤(「キッチンハイター(商品名)」花王株式会社製)を化粧材表面に塗布し、ふき取った後の化粧シート表面の状態を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
A : 表面の状態は全く変化しない
B : 表面の一部が荒れたが、軽微なもので実用上問題がない
C : 表面が著しく荒れた
(6)耐水性の評価
化粧材を100℃の沸水を入れた水層で2時間浸水し、その後、室温で24時間放置し、表面に膨れ等の変化が発生しないかを目視で観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
A : 全く変化がない
B : 変化はあるものの軽微なもので実用上問題がない
C : 膨れ等の変化が明瞭である
(7)耐候性の評価(外観)
実施例及び比較例で得られた化粧板を、JIS A−6909に規定されるSWOM試験の条件下に放置した後、外観を目視して、下記の基準で評価した。
A : 全く変化なかった
B : 一部表面の浮きが見受けられるが、軽微なもので実用上問題がない
C : 表面の浮きが著しい
(8)耐候性の評価(耐セロファンテープ性)
実施例及び比較例で得られた化粧板を、JIS A−6909に規定されるSWOM試験の条件下に放置した後、該化粧板の表面の一部を、消しゴムで10回擦り、その部分に室温下、セロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ,「セロテープ(登録商標)」25mm幅)を強く粘着させて、化粧板表面と90度の方向に、該セロファンテープを強制的に剥離した。これを10回繰り返したときの表面状態を観察した。
A : 表面状態の荒れが全くない
B : 表面状態の荒れはあるものの、軽微なもので実用上問題がない
C : 表面状態の荒れが著しい
基材2として、PETフィルム(厚み50μm、東洋紡績株式会社製)を用い、その片面にポリカーボネート系樹脂をバインダーとするインキ(「TMK(NT)タイプ(商品名)」:昭和インク株式会社製)を用いて、塗工量3g/m2の(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施して隠蔽層3とした。その上に、後述する光沢層4を形成するポリウレタン・アクリルポリオール系樹脂と同じ樹脂をバインダーとするインキを用いて、絵柄層6をグラビア印刷にて形成した。
次いで、ポリウレタン・アクリルポリオール系樹脂(ポリウレタン樹脂とアクリルポリオール系樹脂との混合比率(質量比)=25:75)をバインダーとし、パール顔料(粒径:5〜25μm)を20質量%(固形分)含有するインキを用いて、塗工量5g/m2での光沢層4をグラビア印刷にて形成し、さらに光沢層4の形成に用いたものと同じポリウレタン・アクリルポリオール系樹脂をバインダーとする塗料組成物を用いて、塗工量2g/m2で全面にグラビア印刷して浸透防止層8を形成した。
これらインキ層の上に電子線硬化性アクリレート樹脂及び多官能モノマーを主体とする電子線硬化性樹脂100質量部に、変性シリコーン(メタ)アクリレート1質量部及び固形分含有量が50%となるように溶媒としてメチルエチルケトンを加えてなる電子線硬化性樹脂組成物を塗工量4g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧125kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層5とした。次いで、70℃で24時間の養生を行い、化粧シートを得た。
また、上記化粧シートの裏面と、基板として厚さ3mmの火山性ガラス質複層板(商品名:ダイライト、大建工業株式会社製)とを、該化粧シートの裏面側に接着剤をTダイ押出にて40μmの厚みで塗工し、60℃でロールラミを行い接着し、化粧板を作製した。
得られた化粧シート及び化粧板について、上記した各種評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物の固形分含有量、光沢層の形成に用いるインキ、及び絵柄層の形成に用いるインキを第1表に示されるものにかえた以外は、実施例1と同様にして化粧シート及び化粧板を作製した。
得られた化粧シート及び化粧板について、上記した各種評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例1において、電離放射線硬化性樹脂組成物の固形分含有量、該電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布量、光沢層の形成に用いるインキ、及び絵柄層の形成に用いるインキを第1表に示されるものにかえた以外は、実施例1と同様にして化粧シート及び化粧板を作製した。
得られた化粧シート及び化粧板について、上記した各種評価を行った。その結果を第1表に示す。
実施例1において、基材をPETフィルムから紙基材(興人株式会社製,秤量:60g/m2)とし、電離放射線硬化性樹脂組成物の固形分含有量、該電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布量、光沢層の形成に用いるインキ、及び絵柄層の形成に用いるインキを第2表に示されるものにかえた以外は実施例1と同様にして、各々実施例12〜22及び比較例5〜8の化粧シート及び化粧板を作った。得られた化粧シート及び化粧板について、鏡面性の評価以外については、上記した各種評価を行った。その結果を第2表に示す。また、鏡面性の評価は、以下の基準に従って評価を行った。
実施例12〜22及び比較例5〜8で得られた化粧シートの表面の状態を目視により下記の基準で評価した。
a :紙基材に由来する凹凸が若干見られるが、インキの染込みに由来するむら(凹凸)は確認できず、独特の鏡面性を有する意匠感が十分に表現されている
b :紙基材に由来する凹凸とインキの染込みに由来するむら(凹凸)とが若干確認されるが、独特の鏡面性を有する意匠感が表現されている
c :若干の紙基材に由来する凹凸と著しいインキの染込みに由来するむら(凹凸)とが確認される
2.基材
3.隠蔽層
4.光沢層
5.表面保護層
6.絵柄層
7.浸透防止層
9.接着剤層
10.基板
Claims (4)
- 基材上に、少なくとも隠蔽層、光沢層及び表面保護層を順に積層してなる化粧シートであって、該隠蔽層と光沢層との間に絵柄層を有し、該光沢層の厚みが5〜30μmであり、該光沢層が金属顔料及び/又はパール顔料を含有するものであり、該光沢層を形成するインキ組成物中のバインダーがアクリルポリオール系樹脂とポリウレタン樹脂とを30:70〜90:10(質量比)の比率で含有するものであり、該表面保護層が25質量%以上45質量%未満の固形分を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなり、かつ該電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布量が5g/m2より多いことを特徴とする化粧シート。
- 光沢層と表面保護層との間に、浸透防止層を有する請求項1に記載の化粧シート。
- 基材が、紙基材又はポリエチレンテレフタレート樹脂からなるものである請求項1又は2に記載の化粧シート。
- 基板と請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シートとが、接着剤層を介して接合されてなる化粧板。
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