JP6589555B2 - 化粧板原紙、及び化粧板 - Google Patents

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本発明は、化粧板原紙、及び化粧板に関する。
従来、化粧板原紙では、グラビア印刷によって模様が印刷されていた(例えば、特許文献1参照)。グラビア印刷によれば、高速度で大量の印刷を行えるという利点がある。しかしながら、グラビア印刷は、少量の印刷しか行わない場合には経済的ではなく、また、模様が複雑である場合には印刷品質の点で不適当である。そのため、特許文献1に記載の技術では、化粧板原紙の印刷に、インクジェット印刷を用いることが提案されている。
この場合、例えば、化粧板原紙の意匠性を向上するために、インクジェットインキに光輝性顔料を混ぜて、インクジェット印刷層に光輝性顔料を含ませることが考えられる。
特開2001―71447号公報
しかしながら、光輝性顔料は粒径が大きいため、光輝性顔料を混ぜたインクジェットインキでインクジェット印刷を行うことは難しく、意匠性の向上が困難であった。
本発明は、上記のような点に着目したもので、意匠性に優れたものとしつつ、熱硬化性樹脂の含浸性を向上できる化粧板原紙、及び化粧板を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、紙基材に、インク受容層、インクジェットインキで印刷されたインクジェット印刷層、及び光輝性顔料を含有する高光沢層がこの順に積層され、インク受容層は、顔料とバインダーとを20:80〜80:20の質量比で含み、顔料は、炭酸カルシウム及びシリカの何れかであり、高光沢層は、光輝性顔料を10質量%以上50質量%以下含み、インクジェットインキは、水系顔料インク及び溶剤系顔料インクの何れかであり、光輝性顔料は、体積基準粒子径の粒度分布における平均粒径が10μm以上80μm以下であることを特徴とする。
本発明の一態様によれば、インクジェット印刷層上に光輝性顔料を含有する高光沢層を設けたため、意匠性に優れたものとしつつ、熱硬化性樹脂の含浸性を向上できる化粧板原紙を提供できる。
実施形態に係る化粧板原紙、及び化粧板を表す端面図である。
次に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、及び構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(化粧板原紙1)
図1に示すように、本実施形態の化粧板原紙1は、チタン紙2(広義には「紙基材」)の一方の面に、インク受容層3、インクジェット印刷で印刷されたインクジェット印刷層4、及び光輝性顔料を含有する高光沢層5がこの順に積層されて構成される。光輝性顔料としては、例えば、金属の鱗片状箔片等からなる金属顔料、パール顔料を使用できる。そして、化粧板原紙1は、公知の方法で化粧板8を形成する。図1の例では、チタン紙2の他方の面に、基板6が貼り付けられ、さらに、インク受容層3に熱硬化性樹脂7が塗布・含浸されて硬化されることで、化粧板8を形成する。化粧板8としては、例えば、高圧メラミン化粧板、低圧メラミン化粧板、ポリエステル化粧板、ダップ化粧板がある。
このように、本実施形態では、インクジェット印刷層4上に光輝性顔料を含有する高光沢層5を設けたため、意匠性に優れた化粧板原紙1を提供することができる。
(チタン紙2)
チタン紙2は、パルプにチタンホワイトを抄き込んだ原紙である。例えば、カレンダー処理された坪量60g/m2以上110g/m2未満の印刷用原紙に、酸化チタンを含む紙料を、長網抄紙機で抄造して得られる。灰分は、20質量%以上40質量%未満とする。
(インク受容層3)
インク受容層3は、インクジェット印刷で塗布されるインクジェットインキを受容する層である。インク受容層3は、チタン紙2の表面に、インク受容層3用の塗工液を塗工して設けることができる。塗工装置としては、例えば、グラビアコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーターを使用できる。塗工量としては、例えば、乾燥固形分で7.5g/m2以上とする。7.5g/m2未満とした場合、インキ反射濃度が低下する。また、塗工量の上限は、乾燥固形分で12g/m2とする。
また、インク受容層3は、顔料とバインダーとを主成分として含む。顔料としては、熱硬化性樹脂の含浸性を考慮すれば、炭酸カルシウム、シリカのいずれかが好ましい。
また、バインダーとしては、例えば、カチオン系エマルジョンを使用できる。具体的には、アクリルエマルジョン、エチレン酢酸ビニルエマルジョン等が好適である。特にアクリル・スチレンエマルジョンが好ましい。顔料とバインダーとの質量比は、20:80〜80:20とする。顔料とバインダーとの合計質量に対し、顔料を20質量%未満とした場合、インキ反射濃度及び熱硬化性樹脂の含浸性が低下する。また、これらの合計質量に対し、顔料を80質量%より大きくした場合、インキ反射濃度が低下する。
また、インク受容層3には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、耐水化剤等の添加剤を添加してもよい。
(インクジェット印刷層4)
インクジェット印刷層4は、インクジェットインキによって意匠性を付与するための絵柄が印刷された層である。インクジェット印刷層4は、インク受容層3の表面に、インクジェット印刷で絵柄を印刷することによって設けることができる。インクジェットインキとしては、例えば、水系顔料インク、溶剤系顔料インクを使用できる。また、絵柄としては、例えば、木目、石目等、化粧板原紙1が用いられる箇所に適した絵柄を選択できる。
(高光沢層5)
高光沢層5は、化粧板原紙1に高光沢感を付与するための層である。高光沢層5は、インクジェット印刷層4の表面に、高光沢層5用の印刷用インクを印刷して設けることができる。印刷装置としては、例えば、グラビア印刷装置を使用できる。高光沢層5は、インクジェット印刷層4の表面のすべてに設けてもよいし、表面の一部に設けてもよい。
また、高光沢層5は、バインダーと光輝性顔料とを主成分として含む。バインダーとしては、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニルー酢酸ビニルーアクリル系共重合体、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂を使用できる。
また、光輝性顔料の粒径は、10μm以上80μm以下とした。これにより、十分な光輝性を得つつ、熱硬化性樹脂の含浸性を向上できる。光輝性顔料の粒径を10μm未満とした場合、十分な光輝性を得ることができず、化粧板原紙1の意匠性が低下する。また、光輝性顔料の粒径を80μmより大きくした場合、熱硬化性樹脂の含浸性が低下する。
また、光輝性顔料の含有量を10質量%以上50質量%以下とした。これにより、十分な光輝性を得つつ、熱硬化性樹脂の含浸性を向上できる。光輝性顔料を10質量%未満とした場合、十分な光輝性を得ることができず、化粧板原紙1の意匠性が低下する。また、光輝性顔料を50質量%より大きくした場合、熱硬化性樹脂の含浸性が低下する。
(本実施形態の効果)
本実施形態に係る発明は、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態に係る化粧板原紙1は、チタン紙2に、インク受容層3、インクジェットインキで印刷されたインクジェット印刷層4、及び光輝性顔料を含有する高光沢層5がこの順に積層されて構成されている。
このような構成によれば、インクジェット印刷層4上に光輝性顔料を含有する高光沢層5を設けたため、意匠性に優れた化粧板原紙1を提供できる。
(2)本実施形態に係る化粧板原紙1では、インク受容層3は、顔料とバインダーとを20:80〜80:20の質量比で含む。
このような構成によれば、顔料とバインダーとの合計質量に対し、顔料が20質量%以上であるので、インキ反射濃度及び熱硬化性樹脂の含浸性を向上できる。また、合計質量に対し、顔料が80質量%以下であるので、インキ反射濃度を向上できる。
(3)本実施形態に係る化粧板原紙1では、顔料は、炭酸カルシウム及びシリカのいずれかである。
このような構成によれば、熱硬化性樹脂の含浸性を向上できる。
(4)本実施形態に係る化粧板原紙1では、インクジェットインキは、水系顔料インク及び溶剤系顔料インクのいずれかである。
このような構成によれば、インキ反射濃度及び熱硬化性樹脂の含浸性を向上できる。
(5)本実施形態に係る化粧板原紙1では、光輝性顔料は、体積基準粒子径の粒度分布における平均粒径が10μm以上80μm以下である。
このような構成によれば、十分な光輝性を得つつ、熱硬化性樹脂の含浸性を向上できる。
(6)本実施形態に係る化粧板原紙1は、高光沢層5は、光輝性顔料を10質量%以上50質量%以下含む。
このような構成によれば、十分な光輝性を得つつ、熱硬化性樹脂の含浸性を向上できる。
(7)本実施形態に係る化粧板8は、化粧板原紙1を備える。
このような構成によれば、インクジェット印刷層4上に光輝性顔料を含有する高光沢層5を設けた化粧板原紙1を用いるため、意匠性に優れた化粧板8を提供できる。
本発明に係る実施例について説明する。
(実施例1)
実施例1では、チタン紙2の一方の面に、インク受容層3用の塗工液を塗工した。チタン紙2として、坪量100g/m2の印刷用白色原紙(KJ特殊紙(株)製:「KW−1001P」)を使用した。また、インク受容層3用の塗工液として、水75gに対し、体積基準粒子径の粒度分布における平均粒径が3.3μmの炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製:「白艶華PZ」)35g、カチオン系エマルジョン(中央理科工業(株)製):「FK−820」)38.43gを撹拌機で分散させたものを使用した。また、塗工液の塗工には、グラビア印刷機を使用した。続いて、120℃オーブンで塗工液を乾燥させて、チタン紙2の一方の面に、インク受容層3を形成した。その際、インク受容層3の炭酸カルシウムを70質量%とした。また、インク受容層3の乾燥固形分を7.5g/m2とした。
続いて、インク受容層3の表面に、インクジェット印刷で絵柄を印刷して、インクジェット印刷層4を形成した。インクジェットインキとして、水系顔料インク(東洋インキ製:LIOJET)を使用した。また、絵柄の解像度は1200×1200dpiとした。
続いて、インクジェット印刷層4の表面に、高光沢層5用の塗工液を印刷した。高光沢層5用の塗工液として、カチオン系エマルジョン(中央理科工業(株)製):「FK−820」)100gに対し、体積基準粒子径の粒度分布における平均粒径が15μmの光輝性顔料(メルク(株)製:Iriodin201 Rutile Gold)11gを添加したものを使用した。また、塗工液の印刷には、グラビア印刷機を使用した。続いて、塗工液を乾燥させて、インクジェット印刷層4の表面に、高光沢層5を形成したその際、高光沢層5の質量に対し光輝性顔料を22質量%とした。これにより、チタン紙2の一方の面に、インク受容層3、インクジェット印刷層4及び高光沢層5がこの順に積層された化粧板原紙1を形成した。
(比較例1)
比較例1では、インク受容層3の塗工液に含まれるカチオン系エマルジョン(中央理科工業(株)製):「FK−820」)を9.97gとした。そして、塗工液を乾燥させてなるインク受容層3の炭酸カルシウムを90質量%とした。つまり、インク受容層3の顔料とバインダーとの質量比を90:10とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(比較例2)
比較例2では、インク受容層3の塗工液に含まれるカチオン系エマルジョン(中央理科工業(株)製):「FK−820」)を807.7gとした。そして、塗工液を乾燥させてなるインク受容層3の炭酸カルシウムを10質量%とした。つまり、インク受容層3の顔料とバインダーとの質量比を10:90とした。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(比較例3)
比較例3では、インクジェットインキとして、紫外線硬化型インク(東洋インキ製:FV03)を使用した。それ以外は実施例1と同様の構成とした。
(比較例4)
比較例4では、高光沢層5において、粒径が90μmの光輝性顔料(日本光研工業製:TWINCLE PEARL RYX)を使用した。それ以外は比較例1と同様の構成とした。
(比較例5)
比較例5では、高光沢層5の塗工液に含まれる光輝性顔料(メルク(株)製:Iriodin201 Rutile Gold)を1.5gとした。そして、塗工液を乾燥してなる高光沢層5の光輝性顔料を3.7質量%とした。それ以外は比較例1と同様の構成とした。
(比較例6)
比較例6では、高光沢層5の塗工液に含まれる光輝性顔料(メルク(株)製:Iriodin201 Rutile Gold)を58.5gとした。そして、塗工液を乾燥してなる高光沢層5の光輝性顔料を60質量%とした。それ以外は比較例1と同様の構成とした。
(評価判定)
以上の実施例1及び比較例1〜6の化粧板原紙1について、次の評価を実施した。
(インキ反射濃度評価)
実施例1及び各実施例の化粧板原紙1のインク受容層3への印刷時に、イエロー及びマゼンダのベタ印刷を行った。そして、化粧板原紙1の反射濃度(マクベス濃度)を蛍光分光濃度計(X−Rite社:「eXact Advance」)で測色した。その際、反射濃度が1.1以上である場合を合格「○」、反射濃度が1.1未満である場合を不合格「×」とした。
(熱硬化性樹脂含浸性評価)
メラミンホルムアルデヒド樹脂が含浸されたオーバーレイ紙の上に、フェノールホルムアルデヒド樹脂が含浸された2枚のコア紙、実施例1及び各実施例の化粧板原紙1、及びメラミンホルムアルデヒド樹脂が含浸されたオーバーレイ紙をこの順に積層した積層体を形成した。続いて、形成した積層体を、加熱加圧プレス機で熱圧して化粧板8を形成した。その際、化粧板8の表面にスポット状の微小な膨れやへこみ、つまり、ブリスターが発生していない場合を合格「○」、ブリスターが発生した場合を不合格「×」とした。
(意匠性評価)
光輝性顔料の輝度感が良好であるか否かを目視で判断した。その際、意匠として、輝度感が良好であると判断した場合を合格「○」、それ以外の場合を不合格「×」とした。
評価結果を表1に示す。
Figure 0006589555
表1から、実施例1、つまり、チタン紙2に、インク受容層3、インクジェット印刷層4、及び高光沢層5がこの順に積層され、また、インク受容層3の顔料とバインダーとの質量比を70:30とし、さらに、インクジェットインキを水系顔料インクとし、高光沢層5の光輝性顔料の粒径を15μmとし、高光沢層5の光輝性顔料を22質量%とした、化粧板原紙1では、インキ反射濃度、熱硬化性樹脂含浸性、及び意匠性に優れることがわかった。それゆえ、本発明によれば、より適切な化粧板原紙1を提供できることがわかった。なお、上記実施例1に記載の化粧板原紙1の他にも、上記実施形態に記載の材質及び数値を有する種々の化粧板原紙1についても同様の効果を確認することができた。
これに対し、比較例1、つまり、インク受容層3の顔料とバインダーとの質量比が10:90である化粧板原紙1では、熱硬化性樹脂含浸性及び意匠性は合格「○」となったが、インキ反射濃度は不合格「×」となった。また、比較例2、つまり、インク受容層3の顔料とバインダーとの質量比が90:10である化粧板原紙1では、意匠性は合格「○」となったが、インキ反射濃度及び熱硬化性樹脂含浸性は不合格「×」となった。
また、比較例3、つまり、インクジェットインキとして紫外線硬化型インクを用いた化粧板原紙1では、意匠性は合格「○」となったが、インキ反射濃度及び熱硬化性樹脂含浸性は不合格「×」となった。さらに、比較例4、つまり、高光沢層5に含まれる光輝性顔料の粒径が90μmである化粧板原紙1では、インキ反射濃度及び意匠性は合格「○」となったが、熱硬化性樹脂含浸性は不合格「×」となった。また、比較例5、つまり、高光沢層5の光輝性顔料が3.7質量%である化粧板原紙1では、インキ反射濃度及び熱硬化性樹脂含浸性は合格「○」となったが、意匠性は不合格「×」となった。さらに、引用例6、つまり高光沢層5の光輝性顔料が60質量%である化粧板原紙1では、インキ反射濃度及び意匠性は合格「○」となったが、熱硬化性樹脂含浸性は不合格「×」となった。
1 化粧板原紙
2 チタン紙
3 インク受容層
4 インクジェット印刷層
5 高光沢層
6 基板
7 熱硬化性樹脂
8 化粧板

Claims (2)

  1. 紙基材に、インク受容層、インクジェットインキで印刷されたインクジェット印刷層、及び光輝性顔料を含有する高光沢層がこの順に積層され
    前記インク受容層は、顔料とバインダーとを20:80〜80:20の質量比で含み、
    前記顔料は、炭酸カルシウム及びシリカの何れかであり、
    前記高光沢層は、前記光輝性顔料を10質量%以上50質量%以下含み、
    前記インクジェットインキは、水系顔料インク及び溶剤系顔料インクの何れかであり、
    前記光輝性顔料は、体積基準粒子径の粒度分布における平均粒径が10μm以上80μm以下であることを特徴とする化粧板原紙。
  2. 請求項1に記載の化粧板原紙を備えることを特徴とする化粧板。
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