JP6415965B2 - インクジェット印刷用化粧板原紙の製造方法 - Google Patents

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本発明は、メラミン化粧板、ポリエステル化粧板、ダップ化粧板等の熱硬化性樹脂化粧板の表面化粧材として使用される化粧板原紙に関するものである。より詳しくは、インクジェット印刷によって印刷する化粧板原紙に関するものである。
化粧板原紙には成型した際に下地を隠蔽するために、色相に応じて酸化チタン、顔料、染料等が抄き込まれている。この点で化粧板の最表層に使用されるオーバーレイ原紙とは識別される。オーバーレイ原紙は成型した際に透明性に優れている必要がある。
化粧板原紙はその色相という観点からは白原紙と色原紙とに大別される。化粧板原紙の隠蔽力は一般的には酸化チタンを抄き込むことで付与されるが、色相によっても隠蔽力を付与することができる。例えば黒色原紙には酸化チタンは抄き込まれておらず、黒顔料又は黒染料を抄き込むことで隠蔽力を持たせている。本発明における隠蔽力とは化粧板とした際に下地を隠蔽する特性を言う。
また、印刷という観点では、印刷が施される印刷用とそのまま使用する単色用とにも大別される。印刷用途の場合は、抄紙機に設置されたオンマシンカレンダーにて脱水工程におけるワイヤーと接していないおもて面側(反ワイヤー面側)にカレンダー処理が施されている。印刷用途のおもて面の平滑度(王研式)は一般的には50〜200秒であり、印刷はおもて面側に施される。
何れにしても最終的には熱硬化性樹脂が含浸された状態で他の部材とともに積層して熱圧成型され化粧板に加工される。従って、化粧板原紙には熱硬化性樹脂の含浸適性が要求される。熱硬化性樹脂の含浸適性が悪いと、含浸工程の生産性を落とすことになる。尚、化粧板原紙は樹脂を多量に含浸するため、サイズ剤を用いたサイズ処理は施さない無サイズ処理の特殊紙である。
化粧板原紙への木目柄、抽象柄等の印刷は化粧板に意匠性を持たせるために施される。印刷方法としてはグラビア印刷が主流である。化粧板原紙へのグラビア印刷は、一般的な印刷柄の場合は3色印刷である。グラビア印刷は少量生産には向かない等の理由により、化粧板原紙にインクジェット印刷で印刷することも行われている。しかしながら、グラビア印刷用として設計された化粧板原紙を、インクジェット印刷用に転用してもインクジェット印刷の印刷仕上がりは充分満足のできるものではない。
化粧板原紙のインクジェット印刷適性を改善するために、例えば、特許文献1では化粧板原紙のおもて面(平滑面側)に、非晶質シリカと高分子樹脂を含有する水系の塗工液を塗工してなるインクジェット印刷用の化粧板原紙が提案されている。塗工方式としては特に限定はされておらず、一例としてグラビア塗工方式も記載されている。しかしながら、実施例には塗工方式の記載はない。
特許文献2では、化粧板原紙に塗工液をカーテンコート方式により塗工することが提案されている。実施例ではブレードコート方式に比べてカーテンコート方式で塗工した方が、メラミン樹脂の含浸性を損なわないことが記載されている。
また、本件出願人は特許文献3で、化粧板原紙に非晶質シリカとノニオン性エマルジョンとカチオン性インク定着剤を含有する塗工液を塗工することを提案している。塗工方式は特に限定するものではないが、グラビア塗工方式の例示はない。実施例ではワイヤーバー塗工方式を用いている。
特開2000−335105号公報 US2008/0090032A1 特開2014−9430号公報
内添サイズや表面サイズのサイズ処理はしない化粧板原紙に、高分子樹脂を含有する塗工液を塗工すると、塗工液が紙内部まで浸み込み、裏抜けを起こし易い。塗工液の塗工量が多くなるほど裏抜けする傾向にある。実生産においては、裏抜けした塗工液がロール等を汚すと共に塗工液による汚れにより化粧板原紙の品質を損なうという生産上の問題が顕在化してくる。従って、実生産においては塗工液の裏抜け対策を講じる必要がでてくる。特許文献1〜3には塗工液の裏抜けについての記載はない。
本発明は、インクジェット印刷適性を改善するために、化粧板原紙に高分子樹脂を含有する塗工液を塗工してなるインクジェット印刷用化粧板原紙であって、塗工液の裏抜けによる汚れの問題を改善した塗工方法を課題とする。尚、インクジェット印刷用化粧板原紙には、印刷物を熱硬化性樹脂化粧板に加工した状態での印刷仕上がりが求められる。
本発明は、熱硬化性樹脂化粧板の表面化粧材に用いられる、サイズ処理はしない化粧板原紙であって、該化粧板原紙の片面への、高分子樹脂を含有する塗工液の塗工工程を有するインクジェット印刷用化粧板原紙の製造方法において、前記塗工工程が、塗工方式としてグラビア塗工方式を用い、複数回のグラビア塗工により、1回のグラビア塗工で乾燥塗工量として0.8〜2g/m、乾燥総塗工量として3〜7g/m塗工し、高分子樹脂を含有する塗工液として、非晶質シリカとノニオン性エマルジョンとカチオン性インク定着剤を含有する塗工液を用いる工程であることを特徴とするインクジェット印刷用化粧板原紙の製造方法を要旨とするものである。
高分子樹脂を含有する塗工液の粘度(25℃)としてはザーンカップNo.3で12〜23秒が好ましい。
塗工液としては、非晶質シリカとノニオン性エマルジョンとカチオン性インク定着剤を含有する塗工液が好ましい。
本発明ではグラビア塗工方式で複数回塗工するため、多色刷りに用いられる複数の印刷ユニットを有するグラビア印刷機が好適に用いられる。
本発明は白原紙、色原紙の何れにも適用できる。塗工液を塗工する面は、化粧板原紙のおもて面側、裏面側の何れにも適用できる。
本発明により、インクジェット印刷適性に優れ、熱硬化性樹脂の含浸性にも優れたインクジェット印刷用化粧板原紙の生産において、塗工液の裏抜けの問題を改善できる。
以下、順を追って本発明を説明する。
本発明において、ベースとなる化粧板原紙の原材料、物性は従来の化粧板原紙を基本とするものであり、特に限定されるものではない。化粧板原紙の坪量は50g/m以上110g/m以下の範囲が一般的である。透気度(王研式)は含浸性の点では低い方が好ましく、米坪、灰分等にもよるが一般的には30秒を超えないように設計される。
化粧板原紙は、LBKP、NBKP等のパルプ、色相に応じて酸化チタン等の填料、顔料、染料と、湿潤紙力増強剤、硫酸バンド、アルミン酸ナトリウム、歩留向上剤等の製紙用の各種添加剤を含有する紙料を長網抄紙機等で抄造することによって得られる。パルプの濾水度は400〜600mlCSFが好ましい。尚、化粧板原紙は内添サイズや表面サイズのサイズ処理は施さない特殊紙である。
化粧板原紙の灰分は黒色原紙のような特殊なものを除くと一般的に20〜40質量%である。白原紙の場合は、灰分は概ね酸化チタンの含有量に相当する。抄紙機の脱水工程での脱水によりワイヤー上で酸化チタンが紙料から抜けるため、ワイヤー面の方が反ワイヤー面に比べて酸化チタンの分布量が少なくなっている。また、顔料等も抜けるため色原紙においてはワイヤー面の方が反ワイヤー面に比べて色相が薄くなる。これらのことより化粧板原紙のワイヤー面と反ワイヤー面は識別できる。
化粧板原紙は、カレンダーによる平滑処理により平滑度を上げた設計にもできる。反ワイヤー面側(おもて面側)に平滑処理を施すと、それに応じてワイヤー面側(裏面側)の平滑度も高くなる。一般的な印刷用途の化粧板原紙の反ワイヤー面平滑度(王研式)は50〜200秒であり、対応するワイヤー面平滑度(王研式)は坪量、灰分にもよるが20〜100秒である。尚、平滑度(王研式)と透気度(王研式)は、以下は単に平滑度、透気度と略記する。
次に、高分子樹脂を含有する塗工液について説明していく。塗工液は基本的に水系のものが好ましい。高分子樹脂としては、従来よりインクジェット印刷のインク受理性を改善するために用いられてきたものが適用できる。例えば、水溶性又は水分散性の高分子樹脂が挙げられ、より具体的にはポリビニルアルコール、澱粉、カルボキシメチルセルロース等が例示される。澱粉としては表面強度の改良目的で表面サイズ剤として使用されるグレードは、熱硬化性樹脂の含浸性の点では推奨されない。
非晶質シリカ等の填料も配合する場合には、ノニオン性エマルジョンが好ましく、なかでもエチレン酢酸ビニルエマルジョン(EVAエマルジョン)が好ましく用いられる。エチレン酢酸ビニルエマルジョンとしては特に限定するものではなく、単量体としてエチレンおよび酢酸ビニルを有する樹脂のエマルジョンであり、例えば住友化学工業の商品名スミカフレック7400HQが挙げられる。
高分子樹脂を含有する塗工液には、非晶質のシリカ等の填料を配合することもできる。填料としては非晶質のシリカが好ましく、具体的には、沈降法シリカとしては例えば東ソー・シリカの商品名ニップジェル、トクヤマの商品名トクシール、ゲル法シリカとしては例えば水澤化学工業の商品名ミズカシル、ゾル法シリカ(コロイダルシリカ)としては例えば日産化学工業の商品名スノーテックスが挙げられる。
非晶質シリカのなかでも、体積基準粒子径の粒度分布から求められる2μm未満の累積頻度が10%以下で、2μm以上5μm以下の累積頻度が80%以上で、5μm超える累積頻度が10%以下の非晶質シリカがより好ましく用いられる。累積頻度は、レーザー回折・散乱式粒度分析計で測定した体積を基準とした粒度分布の測定結果から填料の粒子径に関する累積頻度曲線を求め、面積比として算出される。このような累積頻度を有する非晶質シリカは、該当する市販品は単独で使用できるが、市販品を混合することによって調整することもできる。単独で使用できる市販品としてはニップジェルAZ−200(東ソー・シリカ製)が挙げられる。ニップジェルAZ−200の平均粒子径は3.3μm、2μm未満累積頻度は6.7%、2μm以上5μm以下累積頻度は88.2%、5μm超累積頻度は5.1%である。
また、本発明においては高分子樹脂を含有する塗工液にカチオン性インク定着剤を配合することもできる。カチオン性インク定着剤は、インクジェットインクの顔料の定着に効果があるものであれば使用できる。定着剤としては公知のものが使用でき、例えば、カチオン性ポリマー、水溶性多価金属化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、ポリビニルアミン等が挙げられる。好ましくは、ポリジアリルアミンの塩酸塩であり、例えば田岡化学工業の商品名SR−1001が挙げられる。
更に、塗工液には、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、耐水化剤、等の添加剤を添加することもできる。また、顔料、染料により着色することもできる。
本発明に用いる塗工液は、非晶質シリカ、ノニオン性エマルジョン、カチオン性インク定着剤を含有する塗工液が好ましい。塗工液中の固形分配合比率としては、発色性の点で、非結質シリカ100質量部に対してノニオン性エマルジョン固形分25質量部以上65質量部以下の範囲、カチオン性インク定着剤の固形分が2質量部以上7質量部以下の範囲が好ましい。
塗工液の乾燥総塗工量(固形分)としては、3〜7g/mが好ましく、4〜6g/mがより好ましい。乾燥総塗工量が少ないと、十分な発色性が得られない傾向にある。乾燥総塗工量が多くなると、熱硬化性樹脂の含浸性を悪化させる傾向にある。
以上のような構成の塗工液を、グラビア塗工方式にて化粧板原紙に複数回の塗工回数にて所定の乾燥総塗工量となるように塗工する。
塗工液のグラビア塗工での1回の乾燥塗工量としては、0.8〜2g/mが好ましく、1〜1.5g/mがより好ましい。乾燥塗工量が少ないとグラビア塗工の回数が多くなるので生産性が低下する。乾燥塗工量が多くなると、乾燥に時間がかかり、多すぎると塗工条件によっては裏抜け傾向になる。
塗工液の粘度としては、ザーンカップNo.3での粘度(25℃)が12〜23秒が好ましく、15〜20秒がより好ましい。粘度が低すぎても、高すぎてもグラビア塗工には適し難くなる。
本発明に用いられるベタ塗工版のグラビアのセル形状は特に限定するものではなく、ヘリオ形式等の一般的に塗工に用いられているものが適用できる。セルの線数、セル径、セル深さは塗工液の固形分濃度、塗工量等に応じて選択すればよい。
本発明ではグラビア塗工方式で複数回の塗工を行うため、多色刷りに用いられる複数の印刷ユニットを有するグラビア印刷機が好適に用いられる。このようなグラビア印刷機のなかでも、化粧板原紙のグラビア印刷に用いられているグラビア印刷機の仕様が、化粧板原紙には適しているためより好ましい。化粧板原紙のグラビア印刷に用いられるグラビア印刷機は印刷ユニットを少なくとも3ユニット有し、4ユニット以上が一般的である。印刷ユニットのグラビアシリンダーのベタ印刷版形状を統一することは必ずしも必要ではない。
高分子樹脂を含有する塗工液を塗工・乾燥した後にも、カレンダーによる平滑化処理を塗工面側に施すことができる。
以上のようにして得られる本発明のインクジェット印刷用化粧板原紙には、塗工面側にインクジェット印刷により印刷を施す。インクジェットの印刷方法については特に限定するものではない。インクについても特に限定するものではなく、例えば顔料インクとしては溶剤系顔料インクまたは水性顔料インクのいずれであってもよい。また、UV硬化型のインクを用いることもできる。
インクジェット印刷用化粧板原紙の塗工面側にインクジェット印刷が施された印刷物は、表面化粧材として公知の方法で熱硬化性樹脂化粧板に加工できる。得られる化粧板としては特に限定するものではなく、高圧メラミン化粧板、低圧メラミン化粧板、ポリエステル化粧板、ダップ化粧板の表面化粧材として用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。尚、部及び%は質量部及び質量%を示す。
<ベースとなる化粧板原紙>
本実施例では、インクジェット印刷用化粧板原紙のベースとなる化粧板原紙として、KJ特殊紙製の80g/m品の印刷用白原紙である製品品番KSH−801Pを用いた。使用したKSH−801Pの坪量は80g/m、平滑度はおもて面120秒/裏面58秒、透気度は25秒、灰分は32%であった。尚、KSH−801Pは長網、多筒ドライヤー、オンマシンカレンダーを有する長網抄紙機にて抄造されている。
<高分子樹脂を含有する塗工液(以下、塗工液と略記する)>
本実施例で用いた塗工液は、水84gに非晶質シリカとしてニップジェルAZ−200(東ソー・シリカ製)8.4gをマグネティックスターラーで分散させ、カチオン性インク定着剤としてSR−1001(田岡化学工業製、濃度30%)を1.2g添加し、続いて高分子樹脂としてエチレン酢酸ビニルエマルジョンのスミカフレック400HQ(住友化学工業製、濃度55%、ノニオン性エマルジョン)を6.5g添加して調整した。塗工液は必要量に応じて調整した。固形分濃度は12%で、ザーンカップNo.3での粘度(25℃)は17秒だった。
<塗工液のグラビア塗工>
ベースとなる化粧板原紙への前記塗工液のグラビア塗工は次のようにして行った。
ベースとなる化粧板原紙をカットし、ベースとなる化粧板原紙の下側に市販のPPC用紙を敷き、前記の塗工液をグラビア印刷試験機(商品名GP−2(クラボウ製))を用いて、ヘリオ方式のベタ印刷用の版(54L、230μm、11cm×13cm:グラビアのセルの線数が54線/cmでセルの対角線の長さが230μmでベタ版の印刷範囲が11cm×13cm)にて、グラビア塗工し、1回のグラビア塗工毎に乾燥した。
本実施例の評価方法は、以下の方法により行った。
(1)塗工液の裏抜け評価
グラビア塗工の1回毎に、下に敷いたPPC用紙が濡れているか目視で評価し、濡れていない場合を○、濡れている場合を×とした。ワイヤーバーで塗工する場合は同じようにベースとなる化粧板原紙の下側に市販のPPC用紙を敷き、塗工した後に下に敷いたPPC用紙が濡れていない場合を○、濡れている場合を×とした。
(2)インクジェット印刷をしていないインクジェット印刷用化粧板原紙の熱硬化性樹脂含浸性
熱硬化性樹脂含浸性は、熱硬化性樹脂として高圧メラミン化粧板用のメラミン樹脂の55%水溶液を用い、20℃に調整した後、紙のインクジェット印刷をする面から浸み込ませ、紙の反対面までメラミン樹脂が均一に浸み込むまで目視で観察し、かかった時間をストップウオッチで測定した。数値が低い方がメラミン樹脂の含浸性に優れている。本発明においては100秒以下、より好ましくは50秒以下を良好とした。
(3)インクジェット印刷適性
インクジェットプリンターにPX−105(セイコーエプソン製)を用い、純正水性顔料インクを使用して赤ベタ印刷をした。この印刷物を用い、後記の方法で化粧板を作成し、化粧板での印刷仕上がりを評価した。
<高圧メラミン化粧板の作製>
高圧メラミン化粧板用のメラミン樹脂100部と、硬化剤0.2部、浸透剤1部を水に溶かした55%溶液の含浸液に印刷物を手含浸して、印刷物基準で含浸率100〜130%のメラミン樹脂含浸紙を得た。
次に、メラミン樹脂が含浸されたオーバーレイ紙(商品名メラミン含浸オーバーレイ紙(太田産業製))の上に、フェノール樹脂が含浸されたコア紙(商品名太田コア(太田産業製))を4枚重ね、更にその上にメラミン樹脂を含浸した上記印刷物を重ね、更にメラミン樹脂が含浸されたオーバーレイ紙(商品名メラミン含浸オーバーレイ紙(太田産業製))を重ねた後、加熱加圧プレス機で、熱圧して高圧メラミン化粧板を得た。
<シャープ性評価>
作製した化粧板の印刷仕上がりのシャープ性は、ドット径をマイクロスコープ:VHX−500(キーエンス製)で観察することにより評価した。ドット径が小さい方がシャープな画像となる。本発明においては比較例1と比較例3を考慮し、ドット径55μm以下、より好ましくは50μm以下をシャープ性に優れるとした。
<発色性評価>
作製した化粧板の印刷仕上がりの発色性は、色相をマクベク分光光度計:CE―3100(サカタインクス製)で測色して評価した。測色したa値が高い方が発色が良い。
(実施例1)
ベースとなる化粧板原紙の平滑度120秒の面(おもて面)に、グラビア印刷試験機を用いてベタ印刷版で、前記の塗工液を3回塗工した。トータルの乾燥塗工量は4.5g/mだった。
(実施例2)
ベースとなる化粧板原紙の平滑度58秒の面(裏面)に、グラビア印刷試験機を用いてベタ印刷版で、前記の塗工液を3回塗工した。トータルの乾燥塗工量は4.5g/mだった。
(実施例3)
ベースとなる化粧板原紙の平滑度120秒の面(おもて面)に、グラビア印刷試験機を用いてベタ印刷版で、前記の塗工液を4回塗工した。トータルの乾燥塗工量は5.2g/mだった。
(比較例1)
ベースとなる化粧板原紙の平滑度120秒の面(おもて面)をそのままインクジェット印刷面とした。
(比較例2)
ベースとなる化粧板原紙の平滑度120秒の面(おもて面)に、グラビア印刷試験機を用いてベタ印刷版で、前記の塗工液を1回塗工した。乾燥塗工量は1.3g/mだった。
(比較例3)
ベースとなる化粧板原紙の平滑度120秒の面(おもて面)に、ワイヤーハ゛―で前記の塗工液を1回塗工した。乾燥塗工量は4.0g/mだった。
<塗工液2の調整>
前記の塗工液配合の内、カチオン性インク定着剤を商品名カチオファストVFH(BASFジャパン製、濃度12.5%)に変更して2.9g配合し、塗工液2を調整した。塗工液2の固形分は12%、ザーンカップNo.3での粘度(25℃)は15秒だった。
(実施例4)
実施例4のみ塗工液2を用いた。塗工液2を用いた以外は実施例3と同様にして塗工し、実施例3と同様にして評価した。トータルの乾燥塗工量は5.4g/mだった。
表1に実施例1〜4の評価結果を示す。
Figure 0006415965
表2に比較例1〜3の評価結果を示す。
Figure 0006415965
比較例3のように、高分子樹脂を含有する塗工液を、サイズ処理をしない化粧板原紙に、ワイヤーバーで一度に多量に塗工すると、塗工液が裏抜けする。一方、実施例1〜4のように、複数回に分けてグラビア塗工すると、裏抜けすることなく塗工することができる。実施例1と実施例2の結果より、ドット径の点では裏面よりもおもて面に塗工した方が好ましい。
本発明により得られるインクジェット印刷用化粧板原紙は、インクジェット印刷適性に優れ、メラミン樹脂含浸性も優れているため、インクジェット印刷物を表面化粧材として用いる高圧メラミン化粧板での利用が期待できる。また、高圧メラミン化粧板だけでなく、低圧メラミン化粧板、ポリエステル化粧板、ダップ化粧板への展開が期待できる。

Claims (3)

  1. 熱硬化性樹脂化粧板の表面化粧材に用いられる、サイズ処理はしない化粧板原紙であって、該化粧板原紙の片面への、高分子樹脂を含有する塗工液の塗工工程を有するインクジェット印刷用化粧板原紙の製造方法において、
    前記塗工工程が、
    塗工方式としてグラビア塗工方式を用い、複数回のグラビア塗工により、1回のグラビア塗工で乾燥塗工量として0.8〜2g/m、乾燥総塗工量として3〜7g/m塗工し、
    高分子樹脂を含有する塗工液として、非晶質シリカとノニオン性エマルジョンとカチオン性インク定着剤を含有する塗工液を用いる工程であることを特徴とするインクジェット印刷用化粧板原紙の製造方法。
  2. 高分子樹脂を含有する塗工液の粘度(25℃)がザーンカップNo.3で12〜23秒である請求項1記載のインクジェット印刷用化粧板原紙の製造方法。
  3. グラビア塗工に、多色刷りに用いられる複数の印刷ユニットを有するグラビア印刷機を用いる請求項1記載のインクジェット印刷用化粧板原紙の製造方法。
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