JP6633251B2 - 印刷用塗工紙 - Google Patents
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Description
(態様1)原紙の片面に少なくとも一層の顔料塗工層を備える印刷用塗工紙であって、
白紙光沢度が20〜40%、
JIS P8147に準じて測定した3回目の動的摩擦係数が0.25〜0.45であり、
窒素吸着法によって測定した当該顔料塗工層の細孔容積が0.04〜0.09cm3/gである、印刷用塗工紙。
(態様2)前記顔料塗工層の塗工量が2〜50g/m2である、態様1に記載の印刷用塗工紙。
(態様3)最外顔料塗工層が、0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する炭酸カルシウムを含む、態様1または2記載の印刷用塗工紙。
(態様4)前記最外顔料塗工層における顔料100重量部中に、前記炭酸カルシウムを40重量部以上含む、態様3に記載の印刷用塗工紙。
(態様5)前記顔料塗工層における顔料中、炭酸カルシウムを100重量%含む、態様1〜4のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
(態様6)窒素吸着法によって測定した平均細孔直径が20〜80nmである態様1〜5のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
印刷用塗工紙とは原紙の上に設けられた顔料塗工層を備える印刷用の紙である。顔料塗工層とは白色顔料を主成分とする層である。本発明の印刷用塗工紙は、用紙表面にオフセット印刷、グラビア印刷、オンデマンド印刷(レーザー方式、インクジェット方式、電子写真方式)、などの商業印刷を施すことができ、用途しては書籍、雑誌、ポスター、封筒、カレンダーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
1)顔料
顔料塗工層は1層であってもよく、2層以上であってもよい。本発明においては公知の顔料を用いることができる。その例としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料が挙げられる。
顔料塗工層はマトリックスとして接着剤(バインダー)を含む。接着剤は限定されず、公知の接着剤を使用できる。その例としては、スチレン・ブタジエン系共重合体、スチレン・アクリル系共重合体、エチレン・酢酸ビニル系共重合体、ブタジエン・メチルメタクリレート系共重合体、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等のラテックス;完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。これらの複数種を組合せて使用できる。
顔料塗工層は、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、着色用顔料等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を含んでいてもよい。本発明においては、前述の白色顔料より大きな粒子径を有する有機物粒子を用いることが好ましい。当該有機物粒子を原紙から最も遠い最外塗工層に含有することで、印刷後の紙同士の擦れによる紙面汚れが低減し、印刷適性を向上させることができる。有機物粒子としては蒸煮をしていない澱粉粒が好ましく、前述の顔料に対し0.5〜10重量%含有させることで、上記効果を得ることができる。有機物粒子の粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定機で測定した平均粒子径(D50)が8〜25μmであることが好ましい。
顔料塗工層の塗工量は、片面あたり固形分で2g/m2以上が好ましく、5g/m2以上がより好ましく、10g/m2以上がさらに好ましい。塗工量が5g/m2未満では、紙基材表面の凹凸を十分に覆うことができないため、印刷インキの受理性が低下することがある。一方、顔料塗工層の塗工量は、50g/m2以下が好ましく、40g/m2以下がより好ましく、35g/m2以下がさらに好ましい。当該塗工量は片面あたりの全顔料塗工層の合計の値であるが、最内顔料塗工層(原紙に隣接する顔料塗工層)の塗工量は2〜15g/m2が好ましく、より好ましくは5〜12g/m2である。また、最外顔料塗工層の塗工量は6〜20g/m2が好ましく、より好ましくは8〜15g/m2である。インキ乾燥性および手触りを含めた質感には、最外塗工層の影響が大きいため、最外塗工層の塗工量は最内顔料塗工層の塗工量よりも多いことが好ましい。
1)パルプ
原紙には公知のパルプを使用できる。公知のパルプとしては、化学パルプ、砕木パルプ(GP)、リファイナー砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケモサーモメカニカルパルプ(CTMP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)、古紙パルプなどが挙げられる。本発明においては、化学パルプを使用することが好ましい。化学パルプには、クラフトパルプ法により製造したものと、亜硫酸パルプ法により製造されたものがあり、本発明においてはその両方を使用することができるが、クラフト法により製造した化学パルプが生産コストの面から好適である。原料パルプに占める化学パルプの含有量は、白色度等の観点から、全パルプ中60重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、95重量%以上が特に好ましい。
原紙には公知の填料を用いてよい。公知の填料としては、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱酸による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料が挙げられる。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムが不透明度向上のためにも好ましく使用される。填料として使用する炭酸カルシウムは前述の第1の炭酸カルシウムであってもよいし第2の炭酸カルシウムであってもよいが、軽質炭酸カルシウムが好ましい。紙中填料率は特に制限されないが、1〜40重量%が好ましく、10〜35重量%がさらに好ましい。原紙の強度等を考慮すると、より好ましくは10〜20重量%である。
公知の製紙用添加剤も使用できる。例えば、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、各種紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。乾燥紙力向上剤としてはポリアクリルアミド、カチオン化澱粉などが挙げられ、湿潤紙力向上剤としてはポリアミドアミンエピクロロヒドリンなどが挙げられる。これらの薬品は地合や操業性などの影響の無い範囲で添加される。内添サイズ剤としてはアルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸、ロジンサイズ剤などが挙げられる。更に、染料、顔料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
本発明の印刷用塗工紙の原紙の坪量は40〜160g/m2が好ましく、45〜150g/m2がより好ましく、50〜140g/m2がさらに好ましい。
本発明の印刷用塗工紙は、上述した原紙の片面または両面にクリア(透明)塗工層を有していてもよい。原紙上にクリア塗工を施すことにより、原紙の表面強度や平滑性を向上させることができ、また、顔料塗工をする際の塗工適性を向上させることができる。クリア塗工の量は、片面あたり固形分で0.1〜3.0g/m2が好ましく、0.2〜2.0g/m2がより好ましく、さらに好ましくは0.5〜2.0g/m2である。
本発明の印刷用塗工紙は公知の方法で製造できるが、原紙上に、顔料と接着剤を含む顔料塗工液を塗工することにより製造することが好ましい。
(1)原紙の調製
本発明で用いられる原紙に使用される原料についてはすでに述べたとおりである。原紙は公知の抄紙方法で製造される。例えば、トップワイヤー等を含む長網抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマ、丸網抄紙機、長網抄紙機と丸網抄紙機を併用した板紙抄紙機、ヤンキードライヤーマシン等を用いて行うことができる。抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよいが、中性またはアルカリ性が好ましい。抄紙速度も特に限定されない。本発明で用いられる原紙は、単層でも多層でもよいが、単層の原紙が好適に使用される。
得られた原紙に顔料塗工液を塗工する前に、各種カレンダー装置により原紙に平滑化処理を施すことが好ましい。かかるカレンダー装置としては、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の一般に使用されているカレンダー装置が適宜使用できる。カレンダー仕上げ条件としては、剛性ロールの温度、カレンダー圧力、ニップ数、ロール速度、カレンダー前の紙水分等が、要求される品質に応じて適宜選択される。本発明においては、マット調の風合いを維持したまま平滑性を付与するために原紙にカレンダー処理を施すことが好ましい。原紙にカレンダー処理を施すことで、原紙の平滑性が向上し、顔料塗工適性が向上する。
顔料塗工液は顔料、接着剤、および必要に応じて添加剤を水に分散または溶解することで調製できる。前述顔料塗工層を形成できるように各成分の配合は調整される。ブレード塗工を行う場合は、顔料塗工液の固形分濃度は40〜70重量%が好ましく、より好ましくは60〜70重量%である。顔料塗工液の粘度は室温にて60rpmで測定したB型粘度が500〜5000mPa・sの範囲であることが好ましい。また、ロールコーターで塗工を行う場合は、顔料塗工液の固形分は50〜70重量%が好ましく、より好ましくは60〜70重量%である。固形分重量が低すぎるとバックフロー等が起きてしまい、高すぎるとブレード負荷が大きくなりブレードの摩耗が進むなど、操業性に影響が出る。
塗工方法は限定されず、ロールコーター、ブレードコーター等の公知の塗工方法を用いることができる。塗工速度も特に限定されないが、ブレードコーターの場合は400〜1800m/分、ロールコーターの場合は400〜2000m/分が好ましい。本発明においては、顔料塗工層を1層ブレードコーターで塗工してもよく、ロールコーターで塗工した後にブレードコーターで塗工してもよいし、ブレードコーターで塗工した後にブレードコーターで塗工してもよいが、表面の平滑性を向上させることができるため、最外塗工層の塗工にブレードコーターを用いることが好ましい。
湿潤状態の塗工層を乾燥させる方法は限定されず、例えば蒸気加熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等を用いることができる。
(1)白紙光沢度
白紙光沢度は白紙での光沢度合いを示す指標であり、本発明においてはJIS−P8142に従い測定される。本発明の印刷用塗工紙は、前述の通り白紙光沢と印刷光沢の差異が大きなマット調の印刷用塗工紙であるため、白紙光沢度は20〜40%である。その上限は35%以下が好ましく、30%未満がより好ましい。
動摩擦係数はJIS P8147に準じて測定される。JIS P8147では、同一サンプルを用いて動的摩擦係数を3回ずつ測定するが、本発明においては3回目の値を動的摩擦係数とする。動摩擦係数は0.25〜0.45である。動摩擦係数がこの範囲にあるとしっとりとした質感が得られる。この観点から動摩擦係数の下限は0.3以上が好ましく、上限は4.0以下が好ましい。静摩擦係数も同様にJIS P8147に準じて測定され、本発明においては1回目の値を採用する。静的摩擦係数は0.3〜0.7であることが好ましい。
本発明の印刷用塗工紙は、印刷光沢度が高いにもかかわらずインキ乾燥性に優れる。印刷用塗工紙のインキ乾燥性の優劣は、一般的に印刷後の印字物を重ねた際にインキが他方に転移する裏移りや印刷面の擦れ汚れなどを確認することで識別される。
本発明においては、低圧条件下で測定できる窒素吸着法を用いて顔料塗工層の細孔構造を定評的に評価することで、印刷用塗工紙のインキ乾燥性を評価できる。顔料塗工層と溶剤吸収性との関係については、顔料塗工層中に存在する多数の微細な孔を毛細管の集合体として捉えた(1)式に示すLucas−Washburnの式が広く用いられている。ここで、Lは溶剤の浸透深さ、rは毛細管の平均半径、tは時間、γは溶剤の表面張力、θは毛細管壁と溶剤の接触角、ηは溶剤の粘度である。そして、顔料塗工層の細孔構造を平均半径rの円筒菅がn個並んだものと仮定すると、顔料塗工層へのインキ溶剤浸透量νは式(2)で表されるから、式(1)は式(3)のように変形できる。dは顔料塗工層の厚さ、Vは顔料塗工層の細孔容積、kはインキの粘度である。つまり、顔料塗工層中の細孔直径、細孔容積が大きいほど、また顔料塗工層厚さが小さいほど一定時間あたりの溶剤浸透量は多くなり、インキ乾燥性は向上すると考えられる。本発明においては、トライスター3000によって得られた細孔容積を、顔料塗工層の細孔容積とみなし、平均細孔直径を、顔料塗工層の平均細孔直径とみなす。
印刷光沢度は、印刷後の印刷物の光沢度合を示す指標であり、本発明においては後述の方法で測定される。印刷光沢度(CM)は45以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。印刷光沢度の上限は限定されないが、75%未満が好ましい。また、本発明においては、印刷光沢度から白紙光沢度を差し引いた光沢度差は、15以上であれば印刷部と白紙部の光沢の差異が十分に得られており、より鮮明な印刷物であるといえる。
(1)坪量:JIS P 8124に準じて測定した。
(2)紙厚:JIS P 8118に準じて測定した。
(3)密度:JIS P 8118に準じて坪量と紙厚から求めた。
(4)白紙光沢度
JIS−P8142に基づいて測定した。
ローランド社製オフセット枚葉印刷機(4色)にてオフセット枚葉用インキ(東洋インキ製NEX−M)を用い、印刷速度8000枚/hrでベタ部のインキ着肉濃度が墨2.00となるように印刷したあと、墨ベタ印刷部を印刷直後から10分ごとに指先で触り、インキ乾燥の速さの程度を以下の基準で官能評価した。
A:良好
B:不良
ローランド社製オフセット枚葉印刷機(4色)にてオフセット枚葉用インキ(東洋インキ(株)製NEX−M)を用い、印刷速度8000枚/hrでベタ部のインキ着肉濃度が藍1.60、紅1.50となる様に藍紅(CM)の順に印刷した。得られた印刷物の藍紅(CM)ベタ印刷部の光沢度を、JIS P−8142に基づいて測定した。印刷光沢度から白紙光沢度を差し引いた値を光沢度差とし、光沢度差が15ポイント以上であれば印刷部と白紙部の光沢の差異が十分に得られており、見栄えのよい印刷物といえる。
光沢度差=印刷光沢度(%)−白紙光沢度(%)
(i)サンプル調製と測定
窒素吸着法により、塗工紙の細孔容積、全細孔容積、平均細孔直径を求めた。
(サンプルの調製)
縦40cm×横15cmの紙サンプルを厚さ方向に均等になるよう2層に分割し、顔料塗工層と原紙層を含む積層体を得た。両面塗工紙の場合は当該積層体が2つ、片面塗工紙の場合は当該積層体が1つと主として原紙層からなる層が1つ得られる。顔料塗工層と原紙層を含む積層体をサンプルシートとして測定に使用した。両面塗工紙の場合はいずれか一方をサンプルシートとして測定に使用した。サンプルシートの坪量t(g/m2)を測定した。1枚のサンプルシート中の任意の4点を選択し、短冊状に断裁した後、測定サンプルが絶乾重量1〜2g程度となるように測定セルに入れた。この時の絶乾重量をw(g)とした。真空状態、処理温度120℃で一晩前処理を行った。
前記装置を用いて前記測定サンプルの顔料塗工層側から細孔容積および平均細孔直径を測定した。具体的には、脱着等温線よりBJH法を用いて前記測定サンプルの細孔容積および平均細孔直径を求め、4サンプルの平均値を取り、測定サンプルの細孔容積V’および平均細孔直径m’とした。細孔容積V’については単位塗工量当たりの値に換算して本発明の顔料塗工層の細孔容積Vとした。得られた平均細孔直径m’については、そのまま本発明の顔料塗工層の平均細孔直径mとした。測定サンプルの顔料塗工層重量は、顔料塗工層重量(g)=測定サンプルの絶乾重量w(g)×塗工量c(g/m2)÷サンプルシートの坪量t(g/m2)から算出した。塗工量c(g/m2)は後述する測定方法により求めた。測定および解析には、株式会社島津製作所製トライスター3000を使用した。
特許第5827187号に記載の方法に準じて、塗工量を測定した。具体的には以下の手順により測定した。
1)測定サンプル(紙)を5cm×5cmの大きさに切断し、温度23℃、相対湿度50%で調湿後重量xを測定した。
2)スチレンポリマー板上に顔料塗工層が接するように当該サンプルを置き、時計皿で挟みクリップで固定した。
3)120〜150℃の乾燥機に入れ、スチレンポリマーを溶融させ顔料塗工層と密着させ、放冷した後、温度23℃、相対湿度50%で約半日調湿して重量yを測定した。
4)前工程で得た測定サンプルを銅エチレンジアミン溶液に約3〜4時間浸漬した後、刷毛を用いて原紙層と顔料塗工層を慎重に剥離した。顔料塗工層に付着したパルプ繊維がなくなるまで、この工程を繰り返した。
5)顔料塗工層を水洗いし乾燥させ、温度23℃、相対湿度50%で約半日調湿後、重量zを測定した。
6)以下の式によって、塗工量を算出した。
塗工量c(g/m2)=(x−A)×400
A=y−z
JIS P8147に準じて測定した。ただし、3回の繰返し測定において、静的摩擦係数は1回目の測定値を採用し、動的摩擦係数は3回目の測定値を採用した。
シルク調の風合いを以下の基準で官能評価した。
A:良好
B:不良
ローランド社製オフセット枚葉印刷機(4色)にてオフセット枚葉用インキ(東洋インキ(株)製NEX−M)を用い、印刷速度8000枚/hrでベタ部のインキ着肉濃度が藍1.60、紅1.50となる様に藍紅(CM)の順に印刷した。得られた印刷物の藍紅(CM)ハーフトーン(50%)印刷部の着肉ムラを目視で評価した。評価が4、3であれば実用上問題はない。
4:きわめて良好
3:良好
2:若干劣る
1:劣る
化学パルプ100重量%を用い、紙中灰分が13.5重量%となるように軽質炭酸カルシウムを添加し、坪量97.9g/m2の原紙を準備した。
顔料として重質炭酸カルシウム(株式会社ファイマテック製、商品名:NP、D50=0.6μm)45重量部および重質炭酸カルシウム(株式会社ファイマテック製、商品名:FMT97、D50=0.88μm)55重量部を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックスを4重量部、酸化澱粉を6重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の顔料塗工液を得た。
前記原紙上に、顔料塗工液をブレードコーターで両面塗工し乾燥し印刷用塗工紙を得た。片面あたりの乾燥塗工量は15.0g/m2であった。当該印刷用塗工紙について、前述の方法にて評価した。
最外層の片面塗工量を15.3g/m2に変更した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を製造し、評価した。
顔料として重質炭酸カルシウム(株式会社ファイマテック製、商品名:FMT97、D50=0.88μm)100重量部を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックスを7重量部、酸化澱粉を3重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の下塗り顔料塗工液を得た。
顔料として重質炭酸カルシウム(株式会社ファイマテック製、商品名:FMT100、D50=0.66μm)44.5重量部および重質炭酸カルシウム(株式会社ファイマテック製、商品名:FMT97、D50=0.88μm)55重量部を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックスを4重量部、酸化澱粉を6重量部、蒸煮をしていない澱粉粒(日本コーンスターチ社製、商品名:Y−3P)を0.5重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の上塗り顔料塗工液を得た。
前記原紙上に、下塗り顔料塗工液をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が10.0g/m2となるように両面塗工し乾燥した。さらに、その上に上塗り顔料塗工液をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が8.0g/m2となるように両面塗工し、印刷用塗工紙を得た。当該印刷用塗工紙について、前述の方法にて評価した。
顔料として自製軽質炭酸カルシウム(D50=1.02μm)を3重量部および自製軽質炭酸カルシウム(D50=1.38μm)を97重量部用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックスを2.5重量部、酸化澱粉を21重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度50重量%の下塗り顔料塗工液を得た。
顔料として自製軽質炭酸カルシウム(D50=1.02μm)55重量部および自製軽質炭酸カルシウム(D50=0.64μm)44.5重量部を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックスを4重量部、酸化澱粉を6重量部、蒸煮をしていない澱粉粒(日本コーンスターチ社製、商品名:Y−3P)を0.5重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の上塗り顔料塗工液を得た。
前記原紙上に、下塗り顔料塗工液をゲートロールコーターで片面あたりの乾燥塗工量が4.5g/m2となるように両面塗工し乾燥した。さらに、その上に上塗り顔料塗工液をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が10.5g/m2となるように両面塗工し、印刷用塗工紙を得た。当該印刷用塗工紙について、実施例1と同様に評価した。
顔料として重質炭酸カルシウム(株式会社ファイマテック製、商品名:FMT97、D50=0.88μm)を100重量部、接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックスを8重量部、酸化澱粉を6重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の顔料塗工液を得た。当該塗工液を用いて実施例1と同様にして1層の顔料塗工層を有する印刷用塗工紙を製造し、評価した。
顔料として自製軽質炭酸カルシウム(D50=1.02μm)を20重量部および自製軽質炭酸カルシウム(D50=1.38μm)を80重量部用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックスを2.5重量部、酸化澱粉を21重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度50重量%の下塗り顔料塗工液を得た。
顔料として自製軽質炭酸カルシウム(D50=1.02μm)95重量部および微粒クレー(イメリス製、商品名:アストラグレース、D50=0.23μm)5重量部を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系ラテックスを5.8重量部、酸化澱粉を5.3重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の上塗り顔料塗工液を得た。
前記原紙上に、下塗り顔料塗工液をゲートロールコーターで片面あたりの乾燥塗工量が4.5g/m2となるように両面塗工し乾燥した。さらに、その上に上塗り顔料塗工液をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が10.5g/m2となるように両面塗工し、印刷用塗工紙を得た。当該印刷用塗工紙について、実施例2と同様に評価した。
下塗り顔料塗工液、および上塗り顔料塗工液を表1に示すものに変更し、下塗り顔料塗工液をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が10.5g/m2、上塗り顔料塗工液をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が8.5g/m2となるようにそれぞれ両面塗工した以外は、実施例3と同様にして印刷用塗工紙を製造し、評価した。
上塗り顔料塗工液を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗工紙を製造し、評価した。
Claims (5)
- 原紙の片面に少なくとも一層の顔料塗工層を備える印刷用塗工紙であって、
白紙光沢度が20〜40%、
JIS P8147に準じて測定した3回目の動的摩擦係数が0.25〜0.45であり、
窒素吸着法によって測定した当該顔料塗工層の細孔容積が0.04〜0.09cm3/gであり、
最外顔料塗工層が、顔料100重量部中に前記0.80μm以下の平均粒子径(D50)を有する炭酸カルシウムを40〜70重量部含み、
JIS P8147に準じて測定した1回目の静摩擦係数が0.576〜0.7である、
印刷用塗工紙。 - 前記顔料塗工層の塗工量が2〜50g/m2である、請求項1に記載の印刷用塗工紙。
- 前記顔料塗工層における顔料中、炭酸カルシウムを100重量%含む、請求項1または2に記載の印刷用塗工紙。
- 窒素吸着法によって測定した平均細孔直径が20〜80nmである請求項1〜5のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
- 前記顔料塗工層が蒸煮していない澱粉粒を含む、請求項1〜4に記載の印刷用塗工紙。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017118168 | 2017-06-15 | ||
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