JP4333026B2 - オフセット印刷用艶消し塗工紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、白紙光沢度が低いにも関わらず、優れた印刷適性を備えたオフセット印刷用艶消し塗工紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、印刷物に対し、写真や図案を多用し、更にカラー化するなどにより、視覚的に内容を強力に伝達できる高品質印刷用塗工紙への強い要望がある。一方、省資源、輸送および郵送コストなどの点から印刷物の軽量化に対しても強い要望がある。この二つの要望は相反するものであり、高品質印刷塗工紙は原紙および塗工量が多く、また表面処理による平滑化などにより、同一坪量で比較して密度が高いものであり、軽量化の要望にそぐわない。印刷物の軽量化には低坪量の用紙を選択することが可能であるが、密度が同等であれば軽量化にともない紙厚も低くなり、冊子のボリューム感を損なうため好まれない。このため、すなわち同一坪量で比較して紙厚の高い、もしくは同一紙厚で比較して坪量の低く、すなわち低密度(嵩高)でかつインキ着肉性等の印刷適性が良好な塗工紙が求められている。
【0003】
塗工紙は、光沢塗工紙と艶消し塗工紙に大別される。光沢塗工紙は、従来高級印刷に用いられていたアート紙、スーパーアート紙、あるいはカタログ、パンフレットなどに用いられるコート紙等があり、印刷仕上がりは白紙光沢も印刷光沢も高いグロス調である。艶消し塗工紙は、ダル調、マット調があり、グロス調よりも白紙光沢や印刷光沢が低いものである。マット調はダル調よりも白紙光沢が低いものである。特にマット調の艶消し塗工紙は、従来のグロス調のものに比べて、印刷後の文字部が読みやすく、近年需要が増えている。
【0004】
例えばマットコート紙として坪量157g/m2、両面塗工量30〜50g/m2、密度(緊度)0.88g/cm3のマットコート紙の典型的品質は、75°光沢度12%、60°印刷光沢度27%(4色重刷部)となっている(印刷と用紙188頁 紙業タイムス社 1996年発行)。このマット調の艶消し塗工紙を軽量化しようとして、例えば上記マットコート紙の原紙坪量および塗工量を半分にして総坪量80g/m2のものとすると、印刷光沢度が著しく低下し、また不透明度が低下して裏写りの問題が発生するおそれが増大する。総坪量80g/m2のままで、印刷光沢度を改善すべく、塗工層の塗工量を多くすれば、その分原紙坪量を下げざるを得ず、ますます不透明度と剛度が不足し実用的でない。この不透明度と剛度が実用的な程度にまで改善すべく原紙坪量を増加させれば、その分今度は塗工量を極めて少なくした場合、表面の被覆性が不足して印刷光沢度が極めて低い不鮮明な画像となってしまう。また、不透明度を改善する方法として、原紙に不透明性が大きい二酸化チタンのような無機填料を内添する方法が公知であるが、無機填料を内添すると原紙の密度は逆に増大してしまう。
【0005】
一方、塗工紙の印刷品質、特にインキの着肉濃度や画線部の印刷光沢度を向上させるためには、塗工紙の平滑性を高めることが有効な手段のひとつである。このため、光沢塗工紙や、ダル調と呼ばれる艶消し塗工紙と光沢塗工紙の中間的な白紙光沢度を有する塗工紙では、スーパーカレンダー等の表面平滑化処理を施すことが一般的である。しかし、これらの処理は用紙を加圧して表面の平滑性を高めるものであるため、同時に白紙光沢度が高く、用紙の紙厚が低くなり、目標とする印刷品質を得るには十分ではなかった。
【0006】
低密度で紙厚と不透明度を保ちながら原紙を軽量化する方法として、中空の合成有機物のカプセルを配合する方法、抄紙時のドライヤーの熱で発泡させる合成有機発泡性填料(例えば商品名EXPANSEL、日本フィライト株式会社製)を配合する方法等が知られている。しかし、これらの方法は、抄紙時の乾燥条件など、安定した操業条件を得ることが困難であり、大量生産が必要な品種には適当とはいえない。また、填料ではないが、特開平8−13380号公報に微細フィブリル化セルロースを添加する方法が提案されている。しかしこの方法では、微細フィブリル化セルロースを別に調整する必要があり操業上煩雑になり、実用的ではない。
【0007】
以上のように、従来の技術の単なる応用では所望の特性を持った軽量化したマット調艶消し塗工紙を得ることはできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況に鑑みて、本発明の課題は、低密度で実用に適した不透明度、剛度を有し、低白紙光沢にも関わらず高いインキ着肉性および印刷光沢度を有するマット調艶消し塗工紙を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題について鋭意研究した結果、原紙上に顔料および接着剤を含有する塗工層を設けてなるオフセット印刷用艶消し塗工紙において、顔料として体積分布平均粒径3.5〜20μmであるデラミネーテッドクレーを顔料100重量部当たり30〜90重量部含有した塗工紙を、金属ロールの温度100℃以上のソフトカレンダー処理することにより、塗工紙の坪量が80g/m2以下、白紙光沢度が30%未満、平滑度が150秒以上、塗工紙密度が0.95g/cm3以下、好ましくは0.90g/cm3以下にすることにより低坪量でも低密度で紙厚があり、実用に適した不透明度、剛度を有し、白紙光沢度は低いままで、相対的に良好なインキ着肉性および印刷光沢度が高い画像を得ることができ、前記課題が解決されることを見いだし本発明に至った。
【0010】
塗工用顔料としては、体積分布平均粒径3.5〜20μmであるデラミネーテッドクレーを30〜90重量部配合することが重要である。本発明においては、六角板状が積層した通常のクレーを単層に剥がすことにより(デラミネーション)得られるデラミネーテッドクレーを顔料として使用することにより、塗工層表面に大粒径の板状のものが配向され易いため、空隙率が高い原紙上に相対的に低い塗工量で塗工した場合においても、原紙被覆性は良好になり、平滑性が出やすく、インキ着肉性および印刷光沢度が高い画像を得ることが可能になる。また、原紙被覆性が良好なため、通常のカレンダー処理するよりも低圧の条件で処理することができ、低密度で、不透明度、剛度を向上することができる。
【0011】
本発明のデラミネーテッドクレーは、粒径分布に特徴があり、通常のものより、比較的大きな粒径のものが多い分布を有するものを使用するため、原紙被覆性が良好になり、同一塗工量で比較した場合印刷適性に寄与する有効塗工層厚さは増加し、印刷光沢度も高くなり、低塗工量で白紙光沢度が30%未満と低いにも関わらず、相対的に高いインキ着肉性及び印刷光沢度が得ることができると考えられる。塗料の塗工適性や塗工紙の品質をより向上させるためには、体積分布平均粒径の3.5〜20μmのデラミネーテッドクレーを55〜90重量部配合することが好ましい。
【0012】
平均粒径が3.5μmより小さいデラミネーテッドクレーを用いた場合には、相対的に白紙光沢度が高く、印刷光沢が低く、オフセット印刷適性に劣る。平均粒径20μm越えるデラミネーテッドクレーを用いた場合には、原紙に塗工液を塗工した塗工紙を製造において、塗工液の粘度が上昇し、調液時のハンドリングが難しく、ストリーク、スクラッチおよびブリーディング等の塗工不良が発生し、操業上問題になる。尚、本発明で規定する平均粒径とは、レーザー回折法を用いたものであり、MALVERN Instruments社製Laser Diffraction粒度分布測定器を用いて、体積分布平均粒径を測定した値である。
【0013】
また、顔料として体積分布平均粒径3.5〜20μmであるデラミネーテッドクレーを配合した場合においても、配合量が顔料100重量部に対し30重量部未満である場合、相対的に原紙被覆性が劣り、オフセット印刷適性に劣る。配合量が90重量部以上である場合は、オフセット印刷時のインクセット性が極端に遅くなる。インキのセット性が極端に遅い場合、多色印刷が行われる際、塗工紙上の1色目の印刷インキのタックが上昇する前に2色目が印刷され、2色目のインキに1色目のインキが持って行かれる現象が発生し、印刷トラブルになる。
【0014】
本発明において、艶消し塗工紙の白紙光沢度は30%未満、より好ましくは25%未満である。マット調塗工紙は、フラットで落ち着いた感じの印刷物で、従来のグロス調のものと比較して印刷後の文字部が読みやすく、近年需要が増えている。白紙光沢度が30%以上の場合、印刷後の文字が読みづらくなる。また、塗工紙の密度は0.95g/cm3以下、より好ましくは0.90g/cm3以下である。塗工紙密度が0.95g/cm3を超える場合、紙厚は低くなるとともに不透明度が低下し、裏移りの問題が発生するおそれが増大する。また、塗工紙の平滑度は150秒以上、より好ましくは200秒以上であることが望ましい。平滑度が150秒未満の場合、印刷の際にインキの転移ムラが発生し、良好なインキ着肉性、印刷面感が得られず、細かい印刷画像部の再現は困難になる。尚、本発明で規定する平滑度とは、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法NO.5「空気マイクロメーター型試験器による紙および板紙の平滑度・透気度試験方法」に従い測定した値である。
【0015】
本発明においては、塗工原紙の填料として、より低密度で不透明度を高くし、表面強度を維持するために無定型シリケートを原紙重量当たり3〜12重量%含有することが好ましい。無定型シリケートとは、不溶性ケイ酸塩であれば良く、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸アルミニウムソーダ、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸マグネシウムなどがある。
【0016】
また、本発明においては、低密度で実用に適した不透明度を有し、低白紙光沢にも関わらず高いインキ着肉性および印刷光沢度を有するために、塗工原紙に顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工乾燥した後、剛性ロール温度100℃以上の高温ソフトニップカレンダーで加圧仕上げすることが好ましく、より好ましくは150℃以上である。剛性ロールとしては金属ロールが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる顔料としては、体積分布平均粒径3.5〜20μmであるデラミネーテッドクレーを30〜90重量部使用するが、発明の目的を損なわない範囲で他の顔料を併用することができる。他の顔料としては、塗工紙用に従来から用いられている、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料、プラスチックピグメントなどの有機顔料であり、これらの顔料は必要に応じて単独または2種類以上併用して使用できる。
【0018】
本発明に用いられる接着剤としては塗工紙用に従来から用いられている、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、あるいはポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体などの通常の塗工紙用接着剤1種以上を適宜選択して使用される。これらの接着剤は顔料100重量部当たり5〜50重量部、より好ましくは10〜30重量部程度の範囲で使用される。本発明においては、接着剤として澱粉を顔料100重量部当たり6重量部以上配合することが好ましい。本発明は、低密度塗工紙に関するものであり、そのためには低密度の原紙に塗工する必要がある。低密度の原紙は、原紙がポーラスであるため、一般的に塗料が原紙中に浸透し、原紙被覆性が低下しやすい。そのため、ラテックス等のバインダーと比較して保水性が良好である澱粉を6部以上配合することにより塗工層の被覆性は良好になる。また、保水性を向上させる手法として、各種天然系、合成系の保水剤を配合することも有効である。
【0019】
本発明の塗工液には、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等の通常使用される各種助剤を使用しても良い。
【0020】
塗工原紙としては、一般の塗工紙に用いられる坪量が30〜400g/m2程度の紙ベースや板紙ベースの原紙が適宜用いられているが、本発明においては密度0.95g/cm3以下の塗工紙艶消し塗工紙を得るために、より低密度の塗工原紙を使用する。
【0021】
塗工原紙の填料としては、無定型シリケートを使用することが好ましいが、無定型シリケート以外に、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の填料を1種以上使用することができる。
【0022】
塗工原紙を構成するパルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒しまたは未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ(故紙パルプ)を単独または任意の割合で混合使用する。本発明においては、機械パルプを含有させることが好ましい。機械パルプは化学パルプに比べ繊維が剛直なので、機械パルプを配合した原紙は抄紙工程でかかる各種の圧力で紙層が潰れることが少なく、全体として嵩高になるから、原紙内部の空隙量が増し、不透明度が向上し、同時に剛度も大きくなる。機械パルプの中でもグランドパルプは低密度化への寄与が高く好ましく用いることができる。機械パルプ無配合の場合、填料やカレンダー条件を最適化しても十分な不透明度と剛度を得ることはできない場合がある。機械パルプは白色度や塗工適正等の点から製紙用パルプの60重量%以下とすることが好ましい。機械パルプの樹種は特に限定するものではないが、ガムウッド、メープル、バーチ等は繊維が粗大な分、原紙は低密度になりやすい。機械パルプ以外のパルプは特に限定するものではなく、化学パルプや古紙パルプを使用することができる。特に古紙パルプの使用は、古紙中の機械パルプを本発明の機械パルプとすることができる点、および資源の有効使用という点で好ましい。
【0023】
原紙の抄紙方法については特に限定されるものではなく、トップワイヤー等を含む長網マシン、丸網マシン、二者を併用した板紙マシン、ヤンキードライヤマシン等を用いて、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙方式で抄紙した原紙のいずれであってもよく、勿論、メカニカルパルプを含む中質原紙および回収古紙パルプを含む原紙も使用できる。また、サイズプレス、ビルブレード、ゲートロールコータ、プレメタリングサイズプレスを使用して、澱粉、ポリビニルアルコールなどを予備塗工した原紙や、ピグメントと接着剤を含む塗工液を1層以上予備塗工した塗工原紙も使用可能である。
【0024】
原紙に、調整された塗工液を塗工する方法としては、ブレードコータ、バーコータ、ロールコータ、エアナイフコータ、リバースロールコータ、カーテンコータ、サイズプレスコータ、ゲートロールコータ等を用いて、一層もしくは二層以上を原紙上に片面づつもしくは両面同時に両面塗工する。塗工量は、両面で5〜40g/m2、より好ましくは、8〜16g/m2である。
【0025】
湿潤塗工層を乾燥させる手法としては、例えば蒸気過熱シリンダー、加熱熱風エアドライヤー、ガスヒータードライヤー、電気ヒータードライヤー、赤外線ヒータードライヤー、高周波ヒータードライヤー等各種の方法が単独または併用して用いられる。
【0026】
以上の様に塗工乾燥された塗工紙は、高温ソフトニップカレンダーで平滑化処理を行うのが好ましいが、所望の塗工品質が得られる場合、スーパーカレンダー処理あるいは、未カレンダー処理でも良い。高温ソフトカレンダーを使用する場合は、剛性ロールの温度のみならずニップ滞留時間も重要である。この点から実際の操業では、ロール相当径300mm以上、弾性ロールのショアーD硬度80〜100、好ましくは85〜95であって、ロール相当径500mmに換算した場合、通紙速度400〜3000m/分。線圧10〜200kg/cm、カレンダー前塗工水分5〜8%で、カレンダーニップ数2以上で処理を行うことが好ましい。尚、ロール相当径とは、A.V.Lyonsらが下記の計算式で示した(1990 TAPPI Finishing and Converting, P5)ロール相当径(equivalent diameter)を指す。
【0027】
本発明においては、特に坪量が80g/m2以下のマット調艶消し塗工紙において効果の優れるものである。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、勿論これらの例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞれ重量%を示す。尚、塗工液および得られたオフセット印刷用塗工紙について以下に示すような評価法に基づいて試験を行った。
〈評価方法〉
(1)体積分布平均粒径:MALVERN Instruments社製Laser Diffraction粒度分布測定器を用いて、体積分布粒径分布を測定し、粒度分布の50%点を体積分布平均粒径とした。
(2)白紙光沢度:JIS P 8142に基づいて測定した。
(3)印刷光沢度:東芝オフセット輪転機(4色)を用いて、B縦サイズの版を用いて印刷速度500rpmで印刷し、得られた印刷物(4色ベタ印刷部)の表面をJIS P 8142に基づいて測定した。
(4)インキ着肉性:東芝オフセット輪転機(4色)を用いて、B縦サイズの版を用いて印刷速度500rpmで印刷し、得られた印刷物(藍単色ベタ印刷部)のインキ着肉性を4段階で目視評価した。
◎:非常に優れる、○:優れる、△:やや問題有り、×:問題有り
(5)密度:JIS P 8118に基づいて測定した。
(6)平滑度:JAPAN TAPPI No.5「空気マイクロメーター型試験器による紙および板紙の平滑度・透気度試験方法」にもとづいて測定した。
(7)不透明度:JIS P 8138に基づいて測定した。
(8)剛度:JIS P8143に基づいて測定し、評価は以下の基準で行った。◎極めて良好、○:良好,△:やや劣る、×:劣る
(9)塗工適性:ブレード塗工時のストーリーク、スクラッチおよび塗工液の流動性を指標として、以下の基準で評価した。◎極めて良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
[実施例1]
大粒径デラミネーテッドクレー(Engelhard社製 Nusurf, 体積分布平均粒径5.2μm)70部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)30部からなる顔料に、分散剤として対顔料でポリアクリル酸ソーダ0.2部を添加して、セリエミキサーで分散し、固形分濃度が70%の顔料スラリーを調整した。このようにして得られた顔料スラリーに非増粘型のスチレンブタジエンラテックスA(ガラス転移温度20℃)13部、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉8部を加え、さらに水を加えて塗工液を得た。塗工原紙用内添填料として、含水ケイ酸アルミニウムソーダを原紙重量当たり5重量%となるよう添加した坪量50g/m2の中質紙に片面あたりの塗工量が、固形分で7g/m2になるように、1000m/分の塗工速度のブレードコーターで両面塗工を行い、紙水分が5.5%になるように乾燥した。
【0029】
次いで、ロール温度150℃、2ニップ、カレンダー線圧80kg/cm、通紙速度1000m/分でソフトニップカレンダー処理を行い塗工紙を得た。
[実施例2]
実施例1において、ロール温度70℃、2ニップ、カレンダー線圧100kg/cm、通紙速度1000m/分でソフトニップカレンダー処理を行った以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例3]
実施例2において、内添填料として含水ケイ酸アルミニウムソーダを原紙重量当たり5重量%となるよう添加するかわりに、タルクを原紙重量当たり5重量%となるよう添加した以外は実施例2と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例4]
実施例1において、大粒径デラミネーテッドクレー(Engelhard社製 Nusurf,体積分布平均粒径5.2μm)70部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)30部のかわりに、大粒径デラミネーテッドクレー(Engelhard社製 Nusurf,体積分布平均粒径5.2μm)85部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)15部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例5]
実施例1において、大粒径デラミネーテッドクレー(Engelhard社製 Nusurf,体積分布平均粒径5.2μm)70部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)30部のかわりに、大粒径デラミネーテッドクレー(Engelhard社製 Nusurf,体積分布平均粒径5.2μm)35部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)65部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例6]
実施例1において、大粒径デラミネーテッドクレー(Engelhard社製 Nusurf,体積分布平均粒径5.2μm)70部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)30部のかわりに、大粒径デラミネーテッドクレーA(体積分布平均粒径3.8μm)80部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)20部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例7]
実施例1において、大粒径デラミネーテッドクレー(Engelhard社製 Nusurf,体積分布平均粒径5.2μm)70部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)30部のかわりに、大粒径デラミネーテッドクレーB(体積分布平均粒径18μm)35部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)65部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例1]
市販されている坪量64.0g/m2の日本製紙製 A3マットコート紙「NPiコートLマット」を比較に用いた。
[比較例2]
市販されている坪量64.0g/m2の日本製紙製 微塗工紙「スーパーピレーヌDX」を比較に用いた。
[比較例3]
市販されている坪量64.0g/m2の日本製紙製 微塗工マット紙「ピレーヌDX」を比較に用いた。
[比較例4]
実施例3において、大粒径デラミネーテッドクレー(Engelhard社製 Nusurf,体積分布平均粒径5.2μm)70部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)30部のかわりに、デラミネーテッドクレー(Rio Capim Caulim S.A.社製 Capim NP, 体積分布平均粒径2.5μm)80部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)20部に変更した以外は実施例3と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例5]
実施例1において、大粒径デラミネーテッドクレー(Engelhard社製 Nusurf,体積分布平均粒径5.2μm)70部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)30部のかわりに、大粒径デラミネーテッドクレー(Engelhard社製 Nusurf,体積分布平均粒径5.2μm)95部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)5部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[比較例6]
実施例1において、大粒径デラミネーテッドクレー(Engelhard社製 Nusurf,体積分布平均粒径5.2μm)70部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)30部のかわりに、大粒径デラミネーテッドクレー(Engelhard社製 Nusurf,体積分布平均粒径5.2μm)25部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)75部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
[実施例7]
実施例1において、大粒径デラミネーテッドクレー(Engelhard社製 Nusurf,体積分布平均粒径5.2μm)70部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)30部のかわりに、大粒径デラミネーテッドクレーC(体積分布平均粒径22μm)70部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)30部に変更した以外は実施例1と同様の方法で塗工紙を得た。
【0030】
以上の結果を表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
本発明により、低密度かつ実用に適した不透明度、剛度を有し、低白紙光沢にも関わらず高いインキ着肉性および印刷光沢度を有するマット調艶消し塗工紙を効率よく得ることができる。
Claims (2)
- 原紙上に顔料および接着剤を含有する塗工層を設けてなるオフセット印刷用艶消し塗工紙において、顔料として、体積分布平均粒径3.5〜20μmであるデラミネーテッドクレーを顔料100重量部当たり30〜90重量部含有した塗工紙を、金属ロールの温度100℃以上のソフトカレンダー処理することにより、塗工紙の坪量が80g/m2以下、白紙光沢度が30%未満、塗工紙密度が0.95g/cm3以下、平滑度が150秒以上であることを特徴とするオフセット印刷用艶消し塗工紙。
- 原紙の填料として、無定型シリケートを原紙重量当たり3〜12重量%含有することを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷用艶消し塗工紙。
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