JP4918745B2 - オフセット印刷用塗工紙及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット印刷用塗工紙に関し、特に低密度で印刷適性の優れたオフセット印刷用塗工紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、印刷物に対し、写真や図案を多用し、更にカラー化するなどにより、視覚的に内容を強力に伝達しようとする(以下視覚化という)強い要望がある。一方、省資源、輸送および郵送コストなどの点から印刷物の軽量化に対しても強い要望がある。この二つの要望は相反するものであって、視覚化に適するグレードの塗工紙は原紙坪量、塗工量とも多く、軽量化の要望にそぐわない。
【0003】
塗工紙は、高光沢塗工紙と艶消し塗工紙に大別される。高光沢塗工紙は、従来高級印刷に用いられていたアート紙、スーパーアート紙などであり、印刷仕上がりは白紙光沢も印刷光沢も高いグロス調である。艶消し塗工紙は白紙光沢と印刷光沢によりダル調、マット調がある。マット調は、白紙面、印刷面ともに光沢が低くフラットで落ち着いた感じの印刷物で、ダル調は、白紙光沢度は低いが、印刷光沢度は高いという、グロス調とマット調の中間のものである。例えばダルアート紙として坪量157g/m2、両面塗工量40〜50g/m2、密度(緊度)1.18g/cm3のダルアート紙の典型的品質は、75°光沢度35%、60°印刷光沢度55%(4色重刷部)となっている(印刷と用紙188頁 紙業タイムス社 1996年発行)。
【0004】
この様な塗工紙を軽量化しようとして、例えば上記ダルアート紙の原紙坪量および塗工量を半分以下にして総坪量60g/m2のものとすると、印刷光沢度が著しく低下して10〜30%程度となり、不透明度が低下して裏写りの問題が発生するおそれが増大し、さらに、剛度が不足して印刷機への通紙性が不安定となって安定した印刷操業性が保てなくなる。総坪量60g/m2のままで、印刷光沢度を改善すべく、塗工層の塗工量を多くすれば、その分原紙坪量を下げざるを得ず、ますます不透明度と剛度が不足し実用にならない。この不透明度と剛度が実用的な程度にまで改善すべく原紙坪量を増加させれば、その分今度は塗工量を極めて少なくせざるを得ず、表面の被覆性が不足して印刷光沢度が極めて低い不鮮明な画像となってしまう。また、不透明度を改善する方法として、原紙に不透明性が大きい二酸化チタンのような無機填料を内添する方法が公知であるが、無機填料を内添すると原紙の密度は逆に増大し剛度が低下してしまう。
【0005】
不透明度と剛度を保ちながら原紙を軽量化する方法として、中空の合成有機物のカプセルを配合する方法、あるいは抄紙時のドライヤーの熱で発泡させる合成有機発泡性填料(例えば商品名EXPANSEL、日本フィライト株式会社製)を配合する方法が知られている。しかし、これらの方法は、抄紙時の乾燥条件など、安定した操業条件を得ることが困難であり、大量生産が必要な品種には適当とはいえない。また、填料ではないが、微細フィブリル化セルロースを添加する方法が提案されている(特許文献1)。しかしこの方法では、微細フィブリル化セルロースを別に調整する必要があり、さらに抄紙時にパルプのフリーネスをCSF400ml以上、好ましくはCSF500ml以上にする必要があるが、機械パルプを多く配合した紙料ではフリーネスを調整することが困難であって、機械パルプを使用する中質紙などへの工業的適用はできない。
【0006】
また、製紙用パルプとして機械パルプを10重量%以上含有し、填料として無定型シリケートをパルプ重量に対して3〜12重量%含有した原紙上に、顔料粒子が体積基準で0.4〜4.2μmの範囲に65%以上含まれる粒径分布を有する顔料の塗工層を設けた塗工紙を剛性ロールの温度が150℃以上のソフトニップカレンダーで処理することにより低坪量でも低密度で紙厚があり、不透明度と剛度を実用に足る状態に保つことができ、白紙光沢度は低いままで、相対的に印刷光沢度が高い画像を得ることが示されている(特許文献2参照)。しかしながら、特に低塗工量領域における塗工顔料による原紙被覆性は十分ではなく、不透明度、印刷適性ともに十分ではなかった。また、低塗工量領域で塗料の流動性が悪くなり、塗工適性に劣る問題があった。
【0007】
このように、従来の技術の単なる応用では所望の特性を持った軽量化したオフセット印刷用塗工紙を得ることはできなかった。
【特許文献1】
特開平8−13380号公報
【特許文献2】
特開2000−345493号公報
【発明が解決しようとする課題】
このような状況に鑑みて、本発明の課題は、特に低密度において、実用に適した不透明度、剛度を有し、印刷適性に優れ、塗工適性が良好なオフセット印刷用塗工紙を提供することであり、また、印刷適性に優れ、塗工適性が良好なオフセット印刷用塗工紙の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題について鋭意研究した結果、原紙上に、顔料および接着剤を含有する塗工層を設けてなるオフセット印刷用塗工紙において、マルバーン社製マスターサイザーSを用いて測定したレーザー法およびマイクロメトリクス社製セディグラフ5100を用いて測定した沈降法でそれぞれ測定した顔料平均粒子径の比(レーザー法/沈降法)が4.0〜8.0の範囲である無機顔料を顔料100重量部当たり50重量部以上含む塗工層を密度が0.3〜0.8g/cm3である原紙に、塗工層を設けることにより、特に低密度において、実用に適した不透明度、剛度を有し、印刷適性に優れ、塗工適性が良好であるオフセット印刷用塗工紙を得ることができ、また、マルバーン社製マスターサイザーSを用いて測定したレーザー法およびマイクロメトリクス社製セディグラフ5100を用いて測定した沈降法でそれぞれ測定した顔料平均粒子径の比(レーザー法/沈降法)が4.0〜8.0の範囲である無機顔料を顔料100重量部当たり50重量部以上含む塗工液を原紙にブレード塗工方式で塗工することにより、印刷適性に優れ、塗工適性が良好なオフセット印刷用塗工紙の製造することができ、前記課題が解決されることを見いだし本発明を完成した。
【0009】
特に、製紙用パルプとして機械パルプを全パルプ中10重量%以上含有させた場合、原紙は嵩高になるため、より低密度な塗工紙を得ることができる。また、原紙を嵩高にする手法として、内添填料として無定型シリケートをパルプ重量に対して3〜12重量%に含有させることにより、原紙および塗工紙をより低密度にすることができる。また、塗工後、150℃以上のソフトニップカレンダーで処理と組み合わせることにより、低密度で紙厚があり、不透明度と剛度を実用に足る状態に保ち、高い印刷光沢度を向上するのに有効である。
【0010】
【発明実施の形態】
本発明おいては、好ましくは嵩高な原紙上に、特定の顔料と接着剤を含有する塗工液を塗工することにより、オフセット印刷用塗工紙を得ることができる。
【0011】
本発明に用いる塗工用顔料としては、レーザー法および沈降法で測定した顔料粒子径の比(レーザー法/沈降法、以下形状指数と略)が3.0〜10の範囲である顔料を100重量部当たり50重量部以上配合することが重要である。例えばクレー等の板状顔料の粒径をレーザー法で測定した場合、最も大きな面の粒径を中心に測定される傾向にある。一方、沈降法で顔料の粒径を測定した場合、板状顔料の厚さが沈降する際の抵抗に影響を与えるため、厚さが薄い顔料ほど粒径の測定値がより小さくなる傾向にある。従って、レーザー法および沈降法で測定した顔料粒子径の比(レーザー法/沈降法)を測定することにより、顔料の形状を評価することができ、この値が大きい顔料は板状面積に対する厚さが小さいことを意味する。形状指数が3.0未満の場合、顔料形状はよりブロック状に近づき、塗料は原紙内部に浸透しやすく、同塗工量で比較した場合、原紙被覆性は相対的に劣る。形状指数が10を越える場合は、顔料は薄く板状になるが、同体積あたりの比表面積は大きくなり50重量部以上配合した塗工液の粘度は極めて高くなる。この様な塗料を原紙にブレード方式で塗工する場合、ブレード刃先でストーリーク、ストラクタイト等が発生し塗工適性は劣り、その結果、原紙被覆性も相対的に劣る。特に密度が0.3〜0.8g/cm3である原紙に対し、低塗工量で塗料による原紙被覆性を良好にし、かつ塗工適性をより良好にするには、形状指数が3.0〜10の範囲である顔料を用いることが重要である。しかし、形状指数が3.0〜10の範囲である顔料を用いても、配合量が50重量部未満の場合には塗料による原紙被覆性は十分なレベルに達しない。特に嵩高な原紙に塗工する場合、塗料が原紙に浸透しやすく、塗料による原紙被覆性は劣る傾向にあるが、形状指数が3.0〜10の範囲である顔料を50重量部以上配合することにより、嵩高原紙に対する塗料の浸透抑制と塗料流動性をより最適化できる(顔料の形状に起因)。顔料による原紙被覆性および塗工適性を最適化させるには、形状指数が4.0〜8.0の範囲であることがより好ましい。また、顔料の平均粒子径としては、レーザー法で測定した値で0.5〜8.0μmが好ましく、沈降法においては、0.2〜2.0μmが好ましい。
【0012】
本発明で用いられる形状指数が3.0〜10の顔料の種類は、この形状指数を満たすものであれば特に制限はなく、塗工用顔料として従来から用いられているカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料であり、これらの顔料は必要に応じて単独又は二種以上混合して使用することができるが、好ましい顔料としてはカオリン、クレー、エンジアードカオリン、デラミネーテッドクレーなどの板状顔料である。これらの顔料の配合量は、顔料100重量部当たり50重量部以上であり、好ましくは70重量部以上である。本発明の顔料は形状に大きな特徴があり、通常用いられる塗工用顔料に比べて、薄い板状の顔料が多い配合であり、この形状をあらかじめ持っている顔料を選択して使用するか、あるいは分級して本発明で規定する範囲のものとして使用する。このようにすることにより、低塗工量でも原紙表面の被覆性を上げることができ、印刷適性に優れる。また、本発明で用いられる形状指数が3.0〜10の範囲外の顔料としては、塗工用顔料として従来から用いられているカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ケイ酸、ケイ酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料、プラスチックピグメントなどの有機顔料を併用することもできる。
本発明において用いる接着剤は塗工紙用に従来から用いられている、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、あるいはポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリンなどの澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体などの通常の塗工紙用接着剤1種以上を適宜選択して使用される。これらの接着剤は顔料100重量部当たり5〜50重量部、より好ましくは10〜30重量部程度の範囲で使用される。
【0013】
また、顔料及び接着剤の他に必要に応じて配合する添加剤としては、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤が適宜使用され塗工液を調製する。
【0014】
本発明おいて原紙は、密度が0.3〜0.8g/cm3であることが好ましく、より好ましくは密度が0.3〜0.7g/cm3であり、更に好ましくは0.3〜0.6g/cm3である。密度が0.3〜0.8g/cm3の原紙を用いることにより、塗工量を減らしても、原紙被覆性が良好なため、印刷適性に優れ、更なる低密度化をはかることが可能になる。また、塗工適性も良好である。原紙の密度が0.3g/cm3未満の時は、形状指数が3.0〜10の範囲である無機顔料を顔料100重量部当たり50重量部以上含有した塗料を用いても、塗料の浸透性は大きくなり、塗工適性が劣る傾向にある。
【0015】
原紙を構成するパルプは、化学パルプ、半化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ等を用いることできるが、機械パルプを10重量%以上含有させることが好ましい。機械パルプは化学パルプに比べ繊維が剛直なので、機械パルプを配合した原紙は抄紙工程でかかる各種の圧力で紙層が潰れることが少なく、全体として嵩高になるから、原紙内部の空隙量が増し、不透明度が向上し、同時に剛度も大きくなる。機械パルプの中でもグランドパルプは低密度化への寄与が高く好ましく用いることができる。機械パルプの配合量が10重量%未満では、填料やカレンダー条件を最適化しても相対的に不透明度および剛度が劣る。機械パルプは白色度や塗工適正等の点から製紙用パルプの60重量%以下とすることが好ましい。機械パルプの樹種は特に限定するものではないが、ガムウッド、メープル、バーチ等は繊維が粗大な分、原紙は低密度になりやすい。特に古紙パルプの使用は、資源の有効使用及び環境に優しいという点で好ましい。
【0016】
原紙に用いる填料は、無定型シリケート、無定型シリカ、タルク、カオリン、クレー、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができ、配合量は、パルプ重量に対して3〜20重量%程度である。本発明においては、より低密度にするためには、原紙中に無定型シリケートをパルプ重量に対して3〜12重量%含有させることが好ましい。3重量%未満では塗工原紙が低密度効果は小さく、パルプ配合、カレンダー条件を最適化しても相対的に原紙密度を高く、結果として剛度は低くなる傾向にある。逆に12重量%を超えて配合した場合、パルプ重量当たりの填料粒子数が多くなり、繊維間結合が阻害される確率が高くなって塗工層を設けた後においても表面強度が相対的に劣る。また、低密度、表面強度の点から、無定型シリケートの嵩比重は0.2〜0.8g/mlであることが望ましく、更に好ましくは0.4〜0.7g/mlである。これら填料は紙料スラリーの抄紙適性や強度特性を調節する目的で、単独または2種以上を混合使用しても良い。
【0017】
これらの紙料に必要に応じ通常抄紙工程で使用される薬品類、例えば紙力増強剤、サイズ剤、消泡剤、着色剤などを添加し、抄紙する。抄紙方法は特に限定されるものではなく、トップワイヤーなどを含む長網マシン、丸網マシン、この両者の併用マシン、ヤンキードライヤーマシンなどを用いて、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ性抄紙方式で抄紙する。また、サイズプレス、ゲートロールコーター、プレメタリングサイズプレスを使用して、澱粉、ポリビニルアルコールなどを予備塗工した原紙や、顔料と接着剤を含む塗工液を予備塗工した原紙も使用することができる。原紙の坪量は一般の塗工紙に用いられる30〜400g/m2程度のものを適宜用いることができるが、本発明の効果が顕著となるのは、原紙の不透明性や通紙性が問題となってくる80g/m2以下、特に25〜60g/m2である。
【0018】
本発明においては、原紙上に調整された塗工液をブレードコーターを用いて、一層もしくは二層以上を両面塗工する。塗工量は、所望の特性に応じて決定され通常は3〜20g/m2程度であるが、本発明の場合、3〜10g/m2低塗工量において効果をより発揮するものである。例えば、およそ原紙坪量が60g/m2の場合、5〜10g/m2、40g/m2の場合4〜8g/m2程度の少ない塗工量で、十分な被覆性と、印刷光沢度を得ることができる。本発明は、特に塗工速度が800m/分以上、更には1000m/分以上の高速でも塗工適性が良好である。
【0019】
湿潤塗工層を乾燥させる方法としては、例えば上記加熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等の各種方式のドライヤを単独あるいは組み合わせて用いる。
【0020】
このようにして得られた塗工紙は、そのまま、あるいはスーパーカレンダーやソフトカレンダーで表面仕上げされてオフセット印刷用塗工紙を得ることができる。本発明においては、弾性ロールと150℃以上に加熱した金属ロールなどの剛性ロールからなる高温ソフトニップカレンダーで表面仕上げを行うことが好ましい。塗工紙の含有水分が適当であれば、剛性ロール温度が高いほど低いニップ圧あるいは短いニップ滞留時間で原紙あるいは塗工層を平滑化することができ、塗工層および原紙の密度は低くなり、不透明度が高く、剛度がある低密度で嵩高な塗工紙となり、その上従来のスーパーカレンダーよりも処理速度が速く、巻取りの枠替えなどが省略できるため、効率よく生産でき操業性に優れる。また、高温ソフトニップカレンダーを用いる場合の好ましい条件としては、例えばロール相当径300mm以上、弾性ロールのショアーD硬度80〜100、好ましくは85〜95であって、ロール相当径500mmに換算した場合、通紙速度400〜3000m/分。線圧30〜500kg/cm、カレンダー前塗工水分5〜8%で、カレンダーニップ数2以上で処理を行うことが好ましい。本発明においては、塗工紙の密度が0.90g/cm3〜0.40cm3において、より顕著な効果を発揮するものである。
【0021】
【実施例】
以下に実施例をあげて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらの例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞれ重量%を示す。
【0022】
尚、得られた塗工紙について以下に示すような評価法に基づいて試験を行った。
(形状指数)固形分濃度8%の顔料スラリーを超音波分散処理し、顔料粒径測定に用いた。レーザー回折・散乱法(Malvern社製MastersizerSを用いて測定)および沈降法(Micromeritics社製Sedigraph 5100を用いて測定)を用い顔料スラリーの平均粒子径を測定し、レーザー解析・散乱法で測定した値を沈降法で測定した値で除した値を形状指数と定義した。
(白紙光沢度)JIS P 8142に基づいて測定した。
(印刷光沢度)RI−II型印刷試験器を用い、東洋インキ製造株式会社製枚葉プロセスインキ(商品名TKハイエコー紅 MZ)を0.30cc使用して印刷を行い、一昼夜放置後、得られた印刷物の表面をJIS P 8142に基づて測定した。
(密度)JIS P 8118に基づいて測定した。
(塗工適性)ブレード塗工時のストラクタイト、ストーリーク、スクラッチの発生状況を目視で評価した。◎:全く発生しない、○:ほとんど発生しない、△:少し発生する、×:発生する
(不透明度)JIS P 8138に基づいて測定し、評価は以下の基準で行った。
◎:極めて良好,○:良好,△:やや劣る
(剛度)JIS P8143に基づいて測定し、評価は以下の基準で行った。
[実施例1]
[塗工液の調成]エンジニアードカオリン(イメリス社製 Contour1500, 形状指数4.6)100部からなる顔料に、分散剤として対顔料でポリアクリル酸ソーダ0.2部を添加してセリエミキサーで分散し、固形分濃度が65%の顔料スラリーを調成した。このようにして得られた顔料スラリーに、非増粘型のスチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(ガラス転移温度15℃、ゲル含量75%)10部、およびヒドロキシエチルエーテル化澱粉(ペンフォード社製PG295)6部を加え、さらに水を加えて固形分濃度60%の塗工液を得た。
[原紙]填料として含水ケイ酸アルミニウムソーダをパルプ重量に対して4%(嵩比重 0.4g/ml)、タルクを6%含有し、製紙用パルプとして機械パルプを30%、クラフトパルプを50%、古紙パルプを20%含有する坪量48g/m2、密度0.60g/cm3の中質紙を塗工原紙として用いた。
[塗工紙の製造]上記の原紙に前述の塗工液を片面当たりの塗工量が6g/m2になるように、1100m/分の塗工速度のブレードコーターで両面塗工を行い、紙水分が5.5%になるように乾燥した。
[カレンダー]次いで、ロール相当径400mm、金属ロール温度160℃、弾性ロールのショアー硬度85,通紙速度650m/分、線圧40kg/cmで、カレンダーニップ数2ニップの条件でソフトニップカレンダー処理を行いオフセット印刷用塗工紙を得た。
[実施例2]
顔料を大粒径カオリン(エンゲルハルド社製 Ultimatte, 形状指数5.8)60部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製 FMT−90,形状指数1.1)40部を用いた以外は、実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[参考例1]
顔料をブラジル産カオリン(リオカピム社製 カピムNP, 形状指数3.2)100部に変更した以外は、実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[実施例4]
製紙用パルプとしてクラフトパルプ100%の原紙(密度0.71g/cm3)を用いた以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[実施例5]
内添填料をタルク10%に変更した原紙(密度密度0.75g/cm3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
顔料をエンジニアードカオリン(エンゲルハード社製 ECLIPS650, 形状指数2.2)80部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製 FMT−90,形状指数1.1)20部に変更した以外は、実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
無機顔料として、エンジニアードカオリン(イメリス社製 Contour1500, 形状指数4.6)45部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製 FMT−90,形状指数1.1)55部に変更した以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[比較例3]
無機顔料として、カオリン(形状指数11.0)100部に変更した以外は実施例1と同様の方法でオフセット印刷用塗工紙を得た。
[比較例4]
市販されている坪量60.2g/m2の日本製紙製微塗工紙「スーパーピレーヌDx」を比較に用いた。
[比較例5]
市販されている坪量60.2g/m2の日本製紙製微塗工紙「ピレーヌDx」を比較に用いた。
【0023】
以上の効果を、表1に示した。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】
本発明の構成により、低密度で、実用に適した不透明度、剛度を有し、印刷適性に優れ、塗工適性が良好なオフセット印刷用塗工紙を得ることができ、また、印刷適性に優れ、塗工適性が良好なオフセット印刷用塗工紙を効率よく製造することができる。
Claims (7)
- 原紙上に、顔料および接着剤を含有する塗工層を設けてなるオフセット印刷用塗工紙において、顔料としてマルバーン社製マスターサイザーSを用いて測定したレーザー法およびマイクロメトリクス社製セディグラフ5100を用いて測定した沈降法でそれぞれ測定した顔料平均粒子径の比(レーザー法/沈降法)が4.0〜8.0の範囲である無機顔料を顔料100重量部当たり50重量部以上含有する塗工層を、密度が0.3〜0.8g/cm3である原紙に設けたことを特徴とするオフセット印刷用塗工紙。
- 原紙の製紙用パルプとして機械パルプを全パルプ中10重量%以上含有することを特徴とする請求項1記載のオフセット印刷用塗工紙。
- 原紙の填料として無定型シリケートを全パルプに対して3〜12重量%含有することを特徴とする請求項1または2記載のオフセット印刷用塗工紙。
- 剛性ロールの温度が150℃以上のソフトニップカレンダーで処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオフセット印刷用塗工紙。
- 原紙上に、顔料および接着剤を含有する塗工液を塗工するオフセット印刷用塗工紙の製造方法において、マルバーン社製マスターサイザーSを用いて測定したレーザー法およびマイクロメトリクス社製セディグラフ5100を用いて測定した沈降法でそれぞれ測定した顔料平均粒子径の比(レーザー法/沈降法)が4.0〜8.0の範囲である無機顔料を顔料100重量部当たり50重量部以上含む塗工液を、原紙にブレード方式で塗工することを特徴とするオフセット印刷用塗工紙の製造方法。
- 前記無機顔料の平均粒子径が、レーザー法で測定した値が0.5〜8.0μmであり、かつ、沈降法で測定した値が0.2〜2.0μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオフセット印刷用塗工紙。
- 前記無機顔料の平均粒子径が、レーザー法で測定した値が0.5〜8.0μmであり、かつ、沈降法で測定した値が0.2〜2.0μmであることを特徴とする請求項5に記載のオフセット印刷用塗工紙の製造方法。
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